関とおるの鶴岡・山形県政通信

安心して住み続けられる山形県をめざして、住民の暮らし、県政の動き、そして私の考えと活動をお知らせします。

荘内病院夜勤体制、救急医療について取り上げました~9月市議会~

2012年09月20日 | 医療・介護・福祉など社会保障

<長時間二交代夜勤>
 荘内病院の1個病棟で、この9月から当面来年3月まで、長時間二交代夜勤の試行が始められた。
 夜勤はそもそも有害労働でありその勤務時間を更に延ばすことで、一つは看護師の健康上弊害をもたらす、第二に、医療安全上もリスクを高める、という懸念がある。
 夜勤労働者は、収縮期血圧が高くなることや、脳梗塞の発生率が高くなる、腰痛の発症率が高くなる、ガンのリスクが高まるなど、夜勤は有害労働。
 医療安全面では、日本看護協会の調査でも「ヒヤリハット」があった看護職場が三交代職場では25.5%なのに対し、二交代職場では39.8%と、14.3%高い。
 当局は「全国で二交代制が拡大している」と言うが、そもそも看護師の夜勤労働が長時間にわたるというのは他の先進国に例を見ないことで、日本が異常と認識すべき。 
 看護師の健康上、医療安全上のリスクについて、どう認識しているのか、医療安全の確保についてどのような対策を予定しているのか。
荘内病院事務部長
 試行にあたっては事前に労働組合と協議をおこない、評価検討委員会の設置など確認書を取り交わした。看護師の健康や医療安全面などについて対応策なども提起。
 健康上の問題は、日本産業衛生学会産業疲労研究会が作成した「自覚症調べ」のアンケートを毎月第四週に一週間実施、毎月上旬に二交代制勤務に関する意識調査をおこなう。
 こうした調査を元に毎月、当該部門の看護師と労働組合、事務部、管理部と情報意見交換や課題の抽出をおこなう。
 医療安全上のリスクについては、当該職場で徹底すると共に、病院全体で日常的に実施しているヒヤリハットの活用などして対応する。
 健康面、医療安全面で何らかの問題が生じた場合は、現場及び労働組合と協議をおこない、試行を一旦停止して協議する。
 看護師と入院患者さんの双方にメリットがあるかどうかも含めて、検証検討をおこなう。

 先程紹介した看護協会の調査では、ヒヤリハットの発生率は日勤・準夜・深夜のいずれの勤務でも勤務の後半に高く、特に深夜勤務終了前に多いことが明らかにされた。その夜勤の時間を延ばす訳だから、十分留意した状況把握、安全対策が必要ではないか。
事務部長
 「自覚症調べ」は、大学、研究者、国立病院等で活用されていて、看護師の疲労度を捕らえる点で有効な指標と考えている。

 看護協会の調査を監修している財団法人労働科学研究所慢性疲労研究センター長である、佐々木司先生は、「夜勤を評価する三つの社会的価値」として、①安全性、②健康性、③生活性、を挙げ、「実感しやすいのは生活性であるが最も優先されなければならないのは安全性の問題」と主張されている。
 ヒヤリハットが起こる大きな要因に看護師の疲労度がある。「自覚症チェック」はそれ自体有用なものだが、主観的指標だけでなく、客観的指標も使って、しっかり把握する必要がある。
 安全衛生、労働科学の分野で確立された多くの検査方法がある。専門家とも相談して、そうしてものを検討する考えはないか。
事務部長
 夜勤が従来の3名から4名になるということもリスクへの対応と考えている。
 疲労度を客観的に把握することはおっしゃるとおり必要。血圧や心拍数の定期的な測定をおこない、当院の産業医の意見を聞いていきたい。
 また10月に荘内病院職員を対象に佐々木司氏を講師に招いた講演会が開催予定(労働組合主催)。講演の中で、活用できるお話があれば実施したい。

<救急医療>
  病院の過重な医師労働の問題に係わって、救急外来診療の負担軽減も緊急課題。
 今年度から、受診者のうち緊急性が無いと判断された軽症患者から一件につき3150円の時間外診療加算料が徴収され、救急患者総数、時間外の救急患者数とも、前年比で減少している。
 今後更に、病院の救急患者の内実をより把握していく必要があるのではないか。
 例えば、軽症の方が診療所や電話相談を知っていたのかどうか、なぜ病院の方に来院したのかなど。
 ただ患者が減ることのみの追求はできない。今年4~7月、病院救急は月平均患者数で246人減少、診療所の増加数は96人、その差150人が診療所にも行かずに病院受診をやめたのではないかという推測も出来る。
 日頃医療機関の受診や介護サービスの利用などが適切におこなわれていないことが、救急の受診につながる場合もある。
 患者の実情把握と分析をより深めていくことについての見解は。
事務部長
 今年4月から7月までの救急患者数を平成23年度と比較すると約15.2%減少。
 時間外診療は17.4%減少。
 時間帯別に一日当たりの救急患者数で見ると、人数では準夜帯の減少が最も大きく、26.4人から22人へと4.4人減少、以下土日祝日の日勤帯、深夜帯、平日の日勤帯の順。
 減少の割合は、深夜帯が23.9%の減と最も減少幅が大きく、以下、準夜帯、土日祝日の日勤帯、平日の日勤帯の準。
 休日夜間診療所で平日夜間におこなわれている時間帯の救急患者数は、若干休日夜間診療所の開設時間とずれはあるが17.5%減少。
 まだ導入間もないことから確定的なことは言えないが、救急入院患者数は前年と大きな変化は見られないので、時間外診療加算が、特に入院を伴わない軽症の患者数の減少に一定の効果を果たしているのではないかと考えられる。 
 救急センターの中には、「休日夜間診療所ににこふる」の案内と、救急電話相談についての案内ポスターも掲示。事前に診療加算料の算定制度をもれなく説明しているが、市の広報などでご覧になってご存じの方が多いようだ。
 診療が終わり会計の段階で「緊急性が無かった」という方には、休日夜間診療所や電話相談の案内をしているが、今後もさらに周知を図って参りたい。
 救急患者さんの動向は、今後とも分析を進めて参りたい。
健康福祉部長
 平成22年4月の総合保健福祉センターへの移転を契機として、休日歯科診療所を開設するとともに、地区薬剤師会の協力で薬剤師を配置し、院内処方を実施して市民の利便性を高めた。
 さらに地区医師会の協力で、平成22年10月からは、平日夜間の診療も開始。
 これらの結果、患者数は数年々増加、23年度の総患者数は22年度比42%増加、一日当たりの患者数で休日日中で22年度比18.3%増、休日夜間51.4%増、平日夜間12.3%増といずれも増加。
 特に平日の夜間診療を開始してから休日夜間の患者数も増加していることは、平日夜間診療の開始が相乗効果を生んだと推察。
 4月から8月までの一日当たり患者数を昨年と比べると、休日日中7.9%、休日夜間37.2%、平日夜間10.9%何れも増加、実人数で307名増。
 これらは、荘内病院で救急医療に携わる医師等の負担軽減に一定の効果をもたらしているのではないか。
 次に休日夜間診療所の周知について。
 平成22年10月の平日の夜間診療の開始時に、地区医師会を通じて、市内の病院診療所にポスターの掲示を依頼したほか、「軽症の場合は、まず休日夜間診療所へ」と強くアピールし、市の広報へのチラシの折り込み、毎月15日号の健康だよりコーナーへの掲載、テレビ広報や年間を通じた市民課窓口の番号表示板等による放送、小中学校の長期休暇やインフルエンザ流行期前に学校を通じてチラシを配布する等に加え、乳幼児検診時にチラシを配布し診療体制や時間などについて説明、同時に県の救急電話相談、#8000と#8500についても周知を図っている。

 6月7日の山形新聞に掲載された「庄内医療連携座談会」では、医師不足を背景に「日本海病院と荘内病院の経営統合も視野に入れるべき」という意見が交わされていた。救急の機能分担ということもそのテーマ。
 大学からの医師派遣が今後とも継続される保障は無いとも聞く。
 病院の医師体制が雪崩を打ったように崩壊した都市と、本市の状況は変わるところがないということを市民の共通認識にする必要がある。
 健康福祉部では、あらゆる組織を生かし、あらゆる機会を捉えて推進するという構えをつくってもらいたい。救急電話相談の利用促進や、DVDでお知らせをしていくことなども強めてもらいたい。
健康福祉部長
 診療所は以前から比べれば相当定着してきたのではないかと考えているが、なお市民の取り組みを進めていかなければならない。
 引き続きこれまでの取り組み、テレビ広報で休日夜間診療所の活動を紹介したDVDも今後とも活用して参りたい。
 また、夜間に場所が確認しやすいような看板の設置なども検討して参りたい。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。