(旗はご存じ、ヨーロッパ連合)
果たして危機は来るのか?
国民投票の結果、イギリスがEUから抜けることになった。テレビや新聞は「大変だ~!」と煽り立てているが、本当にそうだろうか? 毎日テレビの昼のニュースはひどかった。キャスターの惠とやらが、何も知らないくせに「大変だ~! これから日本はどうなりますかね。株も下がった! 円高になった~!」と大騒ぎ。準レギュラーの弁護士まで「予想していませんでした!」だって。報道機関なら両方のケースを予想するのが義務なんじゃないの? 朝日新聞と同じく、毎日新聞や毎日テレビ・朝日テレビも、的外れ解説が多いから、皆さん注意してほしい。中日新聞や京都新聞も、だよ。
そもそも、マスコミは世界的に残留派支持が多かった。これはマスコミ界がエスタブリッシュメント(既得権益層)に属することと大いに関係がある。今まであまり表に出てかなかったが、アメリカのトランプ現象―つまりD.トランプ氏が共和党大統領候補になるのを見誤ったころから、実はマスコミの方が世論からずれていることは明瞭であった。話は飛ぶが、今さかんにテレビに出ている池上彰も、最近はおかしい。過去の解説はうまいが、未来の予測になると、既得権益擁護つまり現状維持ばかり説いている。お里が知れた、というべきだろう。
話が横道にそれた。今回の戦犯第一はキャメロン首相であろう。国民投票をする必要があったのか、というのが初めの疑問である。なにか国民投票や住民投票など、直接選挙がもてはやされるような気風がある。一種の流行だろう。しかし、何のために代議員制度があるのか。国会が何故あるのか。難しい問題は国民に投票して決めてもらおう、というのは政治家としての怠慢ではないのか。キャメロンの罪は大きい。しかも、世論を読み違えた。パナマ文書に名前が出て、不信感を持たれているのに、それも分かっていないようで、鳩山くんクラスの“Loopy”であろう。
しかし、事ここにいたっては仕方がない。EUとの交渉期間の2年間は、経済もぐずぐずした展開になる。アメリカ大統領にだれが選ばれるかも重要だ。ヒラリーならEU復帰をめざして圧力をかけるかも知れない。トランプならEUの方に圧力をかけるだろう。イギリスは力を弱めるが、ドイツも力をそがれる。案外、イギリスの狙いはドイツの牽制にあるのかもしれない。有能なメルケル首相がうとましいのかも。
しかしながら、問題の根本にはアラブが関係している。中東が安定しないと、イギリス離脱の要因となった難民問題は解決しないのだ。アラブ諸国に民主主義を輸出する―という欧米の価値観は捨てるべき。ただし、シーア派にせよ、スンニ派にせよ、世俗派が統治するのでなければ意味がない。誰が過激派を一掃するのか。候補としては、アメリカかロシアである。中東の国境線を引き直すくらいの荒療治が必要だと思う。ロシアはクリミアを取ってしまうが、国連統治かなにかで、うやむやになる。中東が安定するきっかけになれば、今回の出来事は歓迎してもいいと思う。経済は3,4年の内に回復するだろう。
イギリス独立派は思ったより多かった
●「去る」という字を千万あまり紙に書きEUをやめて帰り来たれり
(本歌 大という字を百あまり砂に書き死ぬことをやめて帰り来たれり 石川啄木)
(蛇足)最終得票は離脱1741万742票(51.9%)、残留1614万1241票(48.1%)である。大阪都構想のときよりは差が大きい。離脱票は感情的―という評論家もいるが、議論になっていない。感情をくみ取るのが政治である。
日本のマスコミは騒ぎすぎ、もう少し冷静に経過をみてはいかがか
●EUの弱味にしみる夏の夜の票はしづかに読むべかりかり
(本歌 白玉の歯にしみとほる秋の夜の酒はしづかに飲むべかりかり 若山牧水)
(蛇足)国境をなくす…という目標はいいが、少し早足すぎる。ドイツの独り勝ちで、格差がひろがりすぎる。この辺がEU内の不満だろう。
これからどういう交渉が始まるのか、誰も知らない
●これやこの去るも留まるもわかれては知るも知らぬも後の政治(まつり)
(本歌 これやこの行くも帰るもわかれては知るも知らぬも逢坂の関 蝉丸)
(蛇足)首相のキャメロンにしてみれば「想定外」。案外、メルケルは想定していて、次の手を打つかも。
庶民の不満を聞き取れなかったキャメロンの詠める
●英国のしのぶ不満のたれ故に乱れそめにしわれなら知らん
(本歌 みちのくのしのぶもみずり たれ故に乱れそめにしわれならなくに 河原左大臣)
(蛇足)何度もいうようだが、キャメロンの罪は大きい。坊ちゃん政治家だね。
メルケルはしんどいだろうな
●イギリスのつれなく見えし別れよりEUばかり憂きものはなし
(本歌 有明のつれなく見えし別れより暁ばかり憂きものはなし 壬生忠岑)
(蛇足)いろんな国で移民・難民反対勢力が増えている。どうなだめるのか。メルケルの腕を見たい。フランスのオランドは追随するだけ。
イギリス最大の問題は経済
●EUを渡るイギリスかぢをたえ行方も知らぬ銭の道かな
(本歌 由良の門を渡る舟人かぢをたえ行方も知らぬ恋の道かな 曾祢好忠)
(蛇足)イギリスから企業が逃げ出す…という予想がある。EUとの間に関税が復活する、と予測すれば、の話。大人の交渉が見られるのかどうか。2年間は高みの見物をしていればいいのさ。
果たして危機は来るのか?
国民投票の結果、イギリスがEUから抜けることになった。テレビや新聞は「大変だ~!」と煽り立てているが、本当にそうだろうか? 毎日テレビの昼のニュースはひどかった。キャスターの惠とやらが、何も知らないくせに「大変だ~! これから日本はどうなりますかね。株も下がった! 円高になった~!」と大騒ぎ。準レギュラーの弁護士まで「予想していませんでした!」だって。報道機関なら両方のケースを予想するのが義務なんじゃないの? 朝日新聞と同じく、毎日新聞や毎日テレビ・朝日テレビも、的外れ解説が多いから、皆さん注意してほしい。中日新聞や京都新聞も、だよ。
そもそも、マスコミは世界的に残留派支持が多かった。これはマスコミ界がエスタブリッシュメント(既得権益層)に属することと大いに関係がある。今まであまり表に出てかなかったが、アメリカのトランプ現象―つまりD.トランプ氏が共和党大統領候補になるのを見誤ったころから、実はマスコミの方が世論からずれていることは明瞭であった。話は飛ぶが、今さかんにテレビに出ている池上彰も、最近はおかしい。過去の解説はうまいが、未来の予測になると、既得権益擁護つまり現状維持ばかり説いている。お里が知れた、というべきだろう。
話が横道にそれた。今回の戦犯第一はキャメロン首相であろう。国民投票をする必要があったのか、というのが初めの疑問である。なにか国民投票や住民投票など、直接選挙がもてはやされるような気風がある。一種の流行だろう。しかし、何のために代議員制度があるのか。国会が何故あるのか。難しい問題は国民に投票して決めてもらおう、というのは政治家としての怠慢ではないのか。キャメロンの罪は大きい。しかも、世論を読み違えた。パナマ文書に名前が出て、不信感を持たれているのに、それも分かっていないようで、鳩山くんクラスの“Loopy”であろう。
しかし、事ここにいたっては仕方がない。EUとの交渉期間の2年間は、経済もぐずぐずした展開になる。アメリカ大統領にだれが選ばれるかも重要だ。ヒラリーならEU復帰をめざして圧力をかけるかも知れない。トランプならEUの方に圧力をかけるだろう。イギリスは力を弱めるが、ドイツも力をそがれる。案外、イギリスの狙いはドイツの牽制にあるのかもしれない。有能なメルケル首相がうとましいのかも。
しかしながら、問題の根本にはアラブが関係している。中東が安定しないと、イギリス離脱の要因となった難民問題は解決しないのだ。アラブ諸国に民主主義を輸出する―という欧米の価値観は捨てるべき。ただし、シーア派にせよ、スンニ派にせよ、世俗派が統治するのでなければ意味がない。誰が過激派を一掃するのか。候補としては、アメリカかロシアである。中東の国境線を引き直すくらいの荒療治が必要だと思う。ロシアはクリミアを取ってしまうが、国連統治かなにかで、うやむやになる。中東が安定するきっかけになれば、今回の出来事は歓迎してもいいと思う。経済は3,4年の内に回復するだろう。
イギリス独立派は思ったより多かった
●「去る」という字を千万あまり紙に書きEUをやめて帰り来たれり
(本歌 大という字を百あまり砂に書き死ぬことをやめて帰り来たれり 石川啄木)
(蛇足)最終得票は離脱1741万742票(51.9%)、残留1614万1241票(48.1%)である。大阪都構想のときよりは差が大きい。離脱票は感情的―という評論家もいるが、議論になっていない。感情をくみ取るのが政治である。
日本のマスコミは騒ぎすぎ、もう少し冷静に経過をみてはいかがか
●EUの弱味にしみる夏の夜の票はしづかに読むべかりかり
(本歌 白玉の歯にしみとほる秋の夜の酒はしづかに飲むべかりかり 若山牧水)
(蛇足)国境をなくす…という目標はいいが、少し早足すぎる。ドイツの独り勝ちで、格差がひろがりすぎる。この辺がEU内の不満だろう。
これからどういう交渉が始まるのか、誰も知らない
●これやこの去るも留まるもわかれては知るも知らぬも後の政治(まつり)
(本歌 これやこの行くも帰るもわかれては知るも知らぬも逢坂の関 蝉丸)
(蛇足)首相のキャメロンにしてみれば「想定外」。案外、メルケルは想定していて、次の手を打つかも。
庶民の不満を聞き取れなかったキャメロンの詠める
●英国のしのぶ不満のたれ故に乱れそめにしわれなら知らん
(本歌 みちのくのしのぶもみずり たれ故に乱れそめにしわれならなくに 河原左大臣)
(蛇足)何度もいうようだが、キャメロンの罪は大きい。坊ちゃん政治家だね。
メルケルはしんどいだろうな
●イギリスのつれなく見えし別れよりEUばかり憂きものはなし
(本歌 有明のつれなく見えし別れより暁ばかり憂きものはなし 壬生忠岑)
(蛇足)いろんな国で移民・難民反対勢力が増えている。どうなだめるのか。メルケルの腕を見たい。フランスのオランドは追随するだけ。
イギリス最大の問題は経済
●EUを渡るイギリスかぢをたえ行方も知らぬ銭の道かな
(本歌 由良の門を渡る舟人かぢをたえ行方も知らぬ恋の道かな 曾祢好忠)
(蛇足)イギリスから企業が逃げ出す…という予想がある。EUとの間に関税が復活する、と予測すれば、の話。大人の交渉が見られるのかどうか。2年間は高みの見物をしていればいいのさ。