パロディ『石泥集』(短歌・エッセイ・対談集)

百人一首や近現代の名歌を本歌どりしながら、パロディ短歌を披露するのが本来のブログ。最近はエッセイと対談が主になっている。

2013~2014年事件簿抜粋

2015-10-08 10:56:06 | 10年間の事件簿
元ページ: plaza.rakuten.co.jp/qq578bk9/diary/201308210030より

穏やかならざる隣人・中国共産党政府と韓国大統領

 かつてアメリカと冷戦時代を競い合ったソビエト連邦が、白を黒といい、黒を白といったあげく、都合の悪い事実を突きつけられると、真実を述べている者を「嘘つき」呼ばわり。都合の悪い決議は、拒否権を発動して葬る。…まあ、考え得る限りの手練手管を使ったものだ。
 中共政府が全く同じ体質であることは、火を見るより明らかである。レーニンがいった「(革命成就という)目的は手段を正当化する」というテーゼはまだまだ健在だ。日本が不愉快な闘争を強いられるのは、まだこれからといっていい。前回にも書いたように、中共・ロシア・韓国はこう思っている。「戦争に負けた国が領土を譲るのは当たり前だ」。でも、韓国は別に日本と戦ったわけではない。これを便乗組という。便乗といえば、中共もそうだ。日中戦争の間は、蒋介石の率いる国民軍に矢面に立たせ、国民軍の弱ったところを内戦で倒し、今になって「日本軍と正面から戦ったのは共産党」という、でっち上げを行う。
 中国建国の父、毛沢東は事態を把握していた。「われわれが(国民党軍に)勝利できたのは、日本軍のおかげだ」。日中国交回復の際、毛が田中角栄に喋ったといわれる言葉である。
 毛沢東については水も漏らさぬ神格化が行われているが、実像を知れば、その落差に唖然とするばかり。李志綏(リチスイ)『毛沢東の私生活上・下』(文芸春秋、1994年)とユン・チアン『マオ 誰も知らなかった毛沢東』(講談社、2005年)を読めばわかる。反共もののパンフレットとは全く違って、李志綏(リチスイ)は誠実が衣を着ているような、毛沢東の主治医。ユン・チアンは中国の海外留学生で初めて外国(イギリス)の博士号を得た人物。ベストセラー『ワイルドスワン』の著者として有名だ。一読をお勧めする。

 尖閣諸島に艦船を連日差し向け、領海侵犯をして嫌がらせをしていることは周知の事実であるが、2013年11月には、一方的に尖閣諸島を含む東シナ海上空に防空識別圏を設定。自衛隊機に対し、挑発に乗り出す行為をした。

自衛隊機にレーザー照射し
●尖閣に中国(シナ)のかけたるしがらみは 流れもあへぬレーザーなりけり
(本歌 山川に風のかけたるしがらみは 流れもあへぬ紅葉なりけり  春道列樹)
(蛇足)レーザーを当てるということは、実弾発射を前提にした行為である。はじめ中国外務省は「知らない」といい、軍部の独走を示唆したが、あくる日になって「日本が嘘を言いたてて挑発した」と百八十度言い分を変えた。共産党らしい。

中国国内では、反日ドラマと中日の軍事力比較番組が人気らしい
●忍ぶれど色にいでにけりわが本音 戦争辞せずと軍のいふまで
(本歌 忍ぶれど色にいでにけりわが恋は ものや思ふと人の問ふまで   平兼盛)
(蛇足)中共軍幹部の非公式発言として「我が軍は戦争を辞さず」の言葉が伝えられた。何度もいうが、「中国軍」は国の軍隊ではなく、中国共産党の私的な軍隊である。ここ50年で最も戦争をたくさん起こした国といえば、中共政府ひきいる中国である。相手はソビエト連邦、インド、ベトナム。最近ではフィリピンやインドネシアも標的だ。国内ではとっくにチベット族やウィグル族を迫害するだけでなく、満州族を辺境へ移住させ、あとに漢民族を送り込んで、民族再興の芽を摘んでもいる。スターリンを真似たやり方である。

大気汚染
 別の公害もまき散らしている。煤塵(ばいじん)をまき散らす工場、あふれかえる自動車で、中国(特に北京)の大気汚染は深刻だ。しかもPM2.5という物質は、微細な粒子で通常のマスクなんぞは軽々と通ってしまう。それが偏西風に乗って、日本へやってくる…。
 
「北京の秋」はかつて最も美しいと評判だった。が…
●あかねさす昼の光の届かなくて北京の空は死にたまふなり
(本歌 あかねさす昼の光の尊くておたまじゃくしは生(あ)れやまずけり  斎藤茂吉)
(蛇足)北京では肺の病気が爆発的に増えている。オリンピックや国際大会の時期だけは、車の乗り入れをナンバーの偶数奇数で規制し、外国人に青空を見せるのだ。究極のごまかしである。

赤サンゴ密漁
 小笠原諸島近辺の海には、高価な赤サンゴを求めて、中国漁船が大挙して密漁に訪れた。金のため…であろうが、日本なら取り締まりから逃げられる、逮捕されてもすぐ釈放されると当て込んだ行為ととれなくもない。

罰金が安すぎるので…(密漁船)
●このたびは罰金もとりあへず小笠原 サンゴにかける網のまにまに
(元歌 このたびは幣もとりあへず手向山 紅葉の錦神のまにまに   菅家)
(蛇足)1回の密漁で何億と儲かるサンゴの密漁。罰金が400万円では何の効果もない。法改正を進めてやっと3000万円に引き上げたようだが、それでも一攫千金の魅力にはかなわない。まだまだ、中国船は来るはずである。中共政府が禁止したら、一発でいうことを聞くのに。でも、それが期待できない。

中国の民主派はいま
 強硬路線一本やりの習近平は、何年かすれば批判されるかも知れない。その時には、共産党独特の用語で「極左冒険主義にはしり国を危機に陥れた」といわれるだろう。中国本土の民主派・改革派は、今や保守派の迫害を受けて、息も絶え絶えになっているように見えるが、中国には厳然として改革派も存在し、民主化を求める意見の中には、共産主義を捨てて民主社会主義を標榜してはどうか、という要求もかつて出たことがある。

 本当ですか? という声が出そうである。もちろん今は弾圧されていて、この論文の筆者、中国人民大学元副学長の謝韜氏はどうなっているかわからない。でも2007年2月、彼が発表していることは事実である。総書記に改革派の胡燿邦や趙紫陽がすわっていたこともある。いずれも、小平に見限られて失脚したけれどね。

朴槿惠の親中・反日
 韓国の朴槿惠(パクウネ)大統領は昔に戻る決心をしたらしい。すなわち、中国を中心にした世界で、第一の子分になる決心だ。儒教の体制下、何百年と続いた前近代組織である。いまの習近平と朴槿惠は相思相愛の中である。そこで一首。

反日で共同戦線を組む(習近平と朴槿惠)
●島を見よ島に反日海を見よ海に反日いざ唇(くち)を君
(元歌 山を見よ山に日は照る海を見よ海に日は照るいざ唇(くち)を君   若山牧水)
(蛇足)島とは竹島のこと。韓国では独島と言っている。いっそのこと毒島はどうだ。海は言わずもがな、尖閣諸島の沖合いである。習と朴のラブシーンを歌っているこの風景、かなりヤバいのではないか。

出直し東京都知事選挙
 2020年の東京オリンピックを招致した猪瀬・東京都知事が、医療法人「徳洲会」グループから5000万円の資金提供をうけており、その説明がつかなくて辞任した。
 辞任を受けて2014年1月に実施された都知事選挙。細川・小泉の元総理がタッグを組んで立候補する…という噂が立った時は、乱戦になるとの予想もあったが、この予想は見事にくつがえった。舛添要一が順当に選ばれ、乱戦にはならなかった。
 「反原発」という単一イッシューでの劇場型選挙の失敗などが論じられているが、細川陣営では立候補の記者会見が遅れに遅れ、あげくの果てには会見なしの立候補となったのが主因だと思う。
 何故、記者会見が開かれなかったのか? 信じられないとは思うが、細川氏が自らの過去をすっかり忘れていた可能性がある。過去とは、佐川急便からの意図不明の借入れをした1億円の説明ができなくて、自ら退陣した過去である。猪瀬・前知事が退陣に追い込まれたのと同じ構図である。記者会見すれば、この点に質問が集中することは目に見えている。だからこそ記者会見を見送ったわけであろう。
 しかし、こんなことは通常折込済みのはずである。また、記者会見をすっぽかしたら、集票に影響が出てくることも当たり前である。それなのに、この袋小路に突っ込んだ理由、それは殿さまの細川氏が自らの過去をすっかり忘れていて、立候補を宣言してからやっと、事の重大さに気づいた以外には考えられない。彼が立候補するかもしれない…という噂が立った時、自民党の有力者は「殿、ご乱心」と呟いたそうだが、「乱心」というより「殿、ご失念」という方が当たっているのではないか。

細川惨敗の原因にはもうひとつ、「過去の人」のイメージが…
●髪白き元総理ふたつ屋根にゐて 都知事選挙は死にたまふなり
(本歌 のど赤き玄鳥(つばくらめ)ふたつ屋梁(はり)にゐて 足乳根(たらちね)の母は死にたまふなり  斎藤茂吉)
(蛇足)細川氏が総理を辞めてから何年もたっている。小泉氏も同様。小泉氏を若い人たちは知らないだろう。さらに若い人が細川氏を知らなくても不思議ではない。選挙カーの屋根には白髪頭が二つ並び、そこには「老い」のイメージしかなかった。引き際は難しい。







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2010~2012年事件簿抜粋

2015-10-03 17:06:03 | 10年間の事件簿
元ページ: days.partsya.net/

●くちばしの黄色い総理みっつ居て リベラルの党は死にたまふなり

2010年4月 民主党政権が誕生
 福田康夫-麻生太郎と続いた自民党政権の体たらくに幻滅して、国民が誕生させたのが民主党政権だった。しかし、もっと大きな幻滅を国民は味わうことになる。手始めは、総理となった鳩山由紀夫のお坊ちゃんぶりだった。

母から毎月1,500万円の手当てを貰っていたことがバレ(鳩山総理)
●このたびは秘書もとりあへず無申告 こども手当て母のまにまに
(本歌 このたびは幣もとりあへず手向山 紅葉の錦神のまにまに   菅家)
(蛇足)1年に1,500万円ではありません。1ヶ月に1,500万円。女房への小遣い値上げ交渉で、1ヶ月1,500円の増額を勝ち取るのも難しい。それどころか、減らされているんだよ。総理でなければ、脱税で逮捕されているだろう。

母からの多額献金に弁解して(鳩山総理)
●人はいさ心も知らず鳩山は 銭ぞ昔の蔵ににほひける
(本歌 人はいさ心も知らずふるさとは 花ぞ昔の香ににほひける    紀貫之)
(蛇足)「裕福に育ちましたもので」と、多額献金を知らない言い訳にした総理。額が桁外れなので、庶民は信じる前に呆れてしまう。

消費税増税などに反対し、民主党公認を蹴られて(鳩山由紀夫元総理)
●鳩の色はうつりにけりないたづらに わが身世にふるながめせしまに
(本歌 花の色はうつりにけりないたづらに わが身世にふるながめせしまに  小野小町)
(蛇足)迷走の連続だった歴代最低の総理。沖縄の基地移転で「最低でも県外移転」と大見得を切った挙句に、もとの普天間へ逆戻り。もっとも、逆戻りできたのはご本人の頭の中だけで、沖縄の世論は戻らない。総理を辞めたら議員も辞職する、といいながらすぐに撤回。母親から毎月おこづかいをいただいているせいでもなかろうが、ガキンチョの発想である。民主党の創業者だけに、引退という事態には、相当くやしい思いをしているはず。でもね、引退しても大人しくしていてくれ。君が動くと、ろくなことがない。

2012年12月の総選挙で民主党は惨敗した。
●くちばしの黄色い総理みっつ居て リベラルの党は死にたまふなり
(本歌 のど赤き玄鳥(つばくらめ)ふたつ屋梁(はり)に居て 足乳根(たらちね)の母は死にたまふなり  斎藤茂吉)
(蛇足)説明の要なし。良識に欠けた宇宙人(鳩山由紀夫)、自分を律するモラルがない・恥の感覚がない(菅直人)、経験不足(野田佳彦)の三強(三弱?)トリオである。


2011年1月 尖閣諸島での中国漁船体当たり事件の巻
 尖閣諸島近辺に石油が出ると分かってから、中共政府は急に自分の領土であると主張し始めた。漁船を装った武装船を何隻も繰り出し、その内の1隻が海上保安庁の船に突撃するなどやりたい放題。体当たりした漁船の船長を逮捕したが、何の理由もなく釈放。法務大臣自らが検事総長に指揮権発動した疑いが濃い。もちろん、法務大臣は総理の菅直人の指示を受けたはずである。菅という人物は市民運動家のなれの果てで、北朝鮮への献金や拉致疑惑の人物への釈放を働きかけたことなどで悪名をはせた。総理を辞めた時の悪あがきでも有名である。ただ、しぶといことに総選挙では毎回最下位ですべりこむという悪運の強さを見せている。

中国船の船長釈放に対する国民の感想は
●「釈放する」と君が言ったから 9月24日はワカラン記念日
(本歌 「この味がいいね」と君が言ったから 7月6日はサラダ記念日   俵 万智)
(蛇足)船長釈放に対して、日本では初めてといっていいくらい、単なる右翼だけでない、広範なデモがあった。しかし、全国紙やテレビ報道はほとんど、これを無視して報じなかった。マスコミの中立性にも、はっきりとした疑問符が。

船長釈放の責任を検察庁になすりつけ(官邸)
●これやこの放すも帰すも検察庁 知らぬも知らぬも総理大臣
(本歌 これやこの行くも帰るもわかれてはしるもしらぬも逢坂の関    蝉丸)
(蛇足)突然の釈放は国民には不評だった。しかし、政府は検察庁に丸投げした。前日に法務大臣が検事総長を呼び「ムニャムニャ」となにごとかを囁いたらしい。可哀相なのは那覇地検である。噂では「このままでは指揮権発動の可能性も出てくると思うが…」と、官房長官が法務大臣にささやき、尻をまくるはずの法務大臣が、これをそのまま検事総長に伝へた、という光景が映し出されている。

2011年7月 菅総理居座りで大混乱の巻
 2011年6月、菅総理への不信任案が衆議院で可決されそうになった。民主党の中からも、賛成票が続出しそうな気配になったのだ。菅総理は奇手に出た。民主党の両院議員総会で退陣を明らかにし、不信任案への否決を呼びかけた。民主党を二つに割りたくない鳩山前党首の心情を利用した形跡がある。不信任案が否決されると、菅は言を左右にして、退陣を拒否。鳩山が「菅はペテン師だ」と激高。そういう鳩山も自らも議員引退を公約しながら、これを撤回している。ペテン師がペテン師をののしるという光景を、国民は複雑な心境で眺める羽目になっちゃった。

退陣論をうまくごまかした(菅総理)
●「退(たい)」といふ字を百あまり声にのせ 退(ひ)くことをやめて帰り来れり
(本歌 大といふ字を百あまり砂に書き死ぬことをやめて帰り来れり    石川啄木)
(蛇足)彼は確信犯のようである。まず、目つきが変った。絶対に引かない、という目つきでややサディストを連想させる。もともと、他人にものを依頼するのに頭を下げない、という定評のある人で、それがテレビ画像で確認できたのが幸いというか、がっかりというか、微妙なところである。

2012年9月 尖閣諸島国有化騒動の巻 
 
尖閣諸島はもともと個人の所有で、国が借り上げていたというのが実態であった。しかし、2012年8月に石原慎太郎都知事が「尖閣諸島を買い取る用意がある」と発言してから事態は二転三転する。石原氏は「国が何もしないから都がのりだすのであって、国が買うなら協力する」と言っていた。尖閣諸島を中国から守ることは国民の一大関心事である。

 民主党政権が信頼を失って、政界の関心はいつ総選挙があるか、に絞られている。尖閣諸島を国なり都なりが買い上げて、領土問題に毅然とした態度を示すことは、国民の喝采を浴びるに違いない、と関係者が考えたことは想像に難くない。事実、都知事が尖閣買収の意思を示してから、呼びかけに応じた国民の寄付金は14億6000万円にものぼっていた。

 島を所有している栗原氏の代わりにスポークスマンとなった実弟は「石原都知事とは長年の親交があり、尖閣諸島をきちんと守ってくれるのは彼しかいない」と、交渉に至った経緯を説明。この時点では、誰もが尖閣の島は東京都のものになると思い、また、9月4日には都の調査団が海上から魚釣島を視察している。海上からになったのは、民主党の野田内閣が上陸を認めなかったからだ。

 その裏で、野田内閣はひそかにどんでん返しを図っていた。東京都が買収に至るまでには、島の査定をして適正価格を割り出し、都で予算を計上し、都議会で承認を得なければならない。その手続きに比べたら、国は予備費から掴み金を出すだけでいい。

 さらに石原都知事のことだから、島を買収すれば港湾施設を手はじめに、島の整備を開始するに違いなく、これは中国の望むところではなかろう。国が買い上げても、現状のままで放っておくことにすれば、中国を刺激することにはならない――野田はこう考えたのではないか。

 そして9月5日、国が尖閣諸島を買い取った。買収価格は魚釣島、北小島、南小島の三島で20億5000万円である。価格査定の根拠ははっきりしない。掴み金といわれる所以である。都の計画していた港湾施設などは一切作られないことも露見した。

 中国の反応は、野田首相が望んだようにはいかなかった。矢つぎばやの反日デモで、日本企業や日本料理店に被害が続出し、日本製品ボイコットのうえ、日中友好40周年記念行事までもが中止された。中国であれ、アメリカであれ、歯に衣着せぬ言動の石原都知事に代わって穏便な措置をとったつもりの野田内閣にとっては、目算違いもいいところである。

 こんなことなら、予定通り東京都が買収をして、港だまりから手をつけ、尖閣諸島の整備を図るべきだった。中国の反発はさらにひどくなったであろうが、尖閣問題は確実に選挙の争点になったに違いない。そうすれば、日本の民意がはっきりと示される可能性があり、中国政府も尊重せざるを得まい。

 そもそも、1972年の日中国交正常化の交渉で、尖閣問題は取り上げないはずだった。帰属については何の問題もなかったからである。しかし、肝心の田中角栄首相がポロリと尖閣の名前を出してしまった(9月28日付産経新聞による)。周恩来首相は尖閣問題が石油埋蔵の調査結果による、と述べながら「今はこれについて話したくない」と棚上げを提案。

 これが一筋の蜘蛛の糸として残り、1978年に日中平和友好条約の批准書交換のため、日本を訪れていた実力者の小平国務院副総理は「両国に食い違いがあることには触れない方がいい。次の世代に任せよう」と言葉巧みに棚上げを継続。この策略に「ほいほい」とのってしまったのが、当時の福田赳夫首相であった。

 要するに政治家として、巧みにごまかされたのが実態である。ただし、外交ではごまかす方が政治家としては上手(うわて)であり、してやられた方は笑いものにされるのがオチである。

 中国に関しては、これからも不愉快なことの連続を覚悟した方がいい。つき合わないわけにはいかないが、接点は最小にすべきである。代わりにインド、ベトナム、ミャンマー、モンゴルなど反中感情を抱いている国との連携を深め、産業の育成や文化交流を進めるべきであろう。その際、中国と疎遠になることで被る不利益は当初から織りこんで、決して妥協しない覚悟が必要である。これが実行できれば、戦後すっかりボケてしまった日本人も、少しはしゃんとするだろう。

 中国の尖閣進攻は、はじめは民間漁船を装い、少しずつ軍事圧力を加えてくるはずである。その際に中国政府があてにするのは、事態をひたすら沈静化させようとする日本人の団体である。「毅然とした対応」という言葉は、もう手垢にまみれてしまって、当事者(つまり為政者)にとって何を意味するのかさえ、はっきりしなくなっている。

 日本人はまだ分かっていない。70年前の敗戦は、これからじわじわと効いてくる。中国人もロシア人も韓国人もこう思っているだろう。

 「領土をとられるのが『戦争に負ける』ということなのに、日本人はまだ分かっていないらしい。われわれは勝者なのだよ。日露戦争、日中戦争の借りを、これから返してもらうのだよ」……中韓露では誰も公式には言っていない。しかし、腹の中がこうではないと誰が言えるだろう。

 と言っていたら、案の定中国側から「敗戦国が戦勝国の領土を……」発言が飛び出した。ほれみろ、言わんこっちゃない。

東京都を出し抜いて島を買い(野田総理)
●心あてに売るなら買おう 石原の置きし手付の尖閣諸島
(本歌 心あてに折らばや折らむ はつ霜の置きまどはせる白菊の花  凡河内躬恒)
(蛇足)尖閣諸島を石原都知事に購入されたのでは、メンツが立たないと思ったか、それとも選挙を控えて、票をとられるとふんだか、いずれにせよ、予備費からポンとつかみ金を出すというやり方で、東京都を出し抜いた総理。港湾など一切作りません…と宣言することで、中国からもお褒めにあずかるはず、と読んだ気配もある。慎太郎が買って、中国と丁々発止やりあう方がよかった。その方が、白黒ははっきりしたはずだ。


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