パロディ『石泥集』(短歌・エッセイ・対談集)

百人一首や近現代の名歌を本歌どりしながら、パロディ短歌を披露するのが本来のブログ。最近はエッセイと対談が主になっている。

2019年 岡目八目5 等身大の日本(2)

2019-05-06 12:12:42 | 対談
                令和時代の日本・見取り図

(八)4月15日の岡目八目4で、「墨守政党を支える愚者の楽園」として、戦後体制をどう評価するかという観点から、既存の政党を墨守政党・保守政党・革新政党に分け、さらに霞ヶ関、教育界、マスコミがどのようにコミットしているかを、チャートで示しました。
(冬)保守と革新の概念が、昔と今では、すっかり変わったので、それをチャートにした…という話でしたね。
(八)少し私事を話しても、いいでしょうか?
(冬)珍しいですな。どうぞどうぞ。
(八)私は京都で生まれ、父の仕事の関係で、生後1歳にならないうちに北京に渡り、8歳のとき日本に引き揚げてきました。
(冬)ご苦労でしたね。
(八)引き揚げてから住んだのも、また京都でした。8歳から25歳までですから、17年間ということになります。
(冬)ほう、それで?
(八)ご承知の通り、京都はサヨクの強い土地です。
(冬)もっぱらの評判ですな。
(八)もちろん自民党支持の保守派もいるんですが、保守が1とすると共産党が1、その他が1という割合になります。その他は様々ですが、大まかに言って、穏健派革新といったところでしょうか。
(冬)右翼はいない?
(八)そこなんですよ。街宣活動をしていた右翼はいます。でも、右翼の勢力としては、全国でも低い方から数えた方が早いのではないか。それでチャートから右翼が抜けちゃった。
(冬)弁解しているわけ、ね(笑)。
(八)まあ(笑)。それで右翼を調べたんですが、昔と違って大立者がいない(笑)。
(冬)親分がいない、ということだね(笑)。
(八)あまりまとまっていない。お互いに批判している。皇室についての考えも、靖国神社に対する考えもいろいろで、一人で一派を構えているような印象です。親米もあれば、反米もある。一時はマスコミに積極的に出た、一水会のように、テロを否定する団体もある。
(冬)大事なのは、戦後体制を変えようとしている革新勢力と右翼を区別することではないか?
(八)その通りです。戦前の日本が正しい…としている復古思想をもっている輩がいて、国を変える手段としてテロを考えている連中がいます。
(冬)復古右翼といえば、籠池夫妻という格好のモデルがいましたね(笑)
(八)二人の功績は大きい。復古右翼をマンガにして見せてくれましたから、ね(笑)。彼らがテロを容認していたかどうか、は分かりませんが、あの思想でテロがOKということなら、正真正銘の右翼です。
(冬)まずは、右翼を加えた「令和の政党チャート」を見ましょうか。Ver.6というわけですが、いろいろと変わっていますね。


(八)まず、革新勢力の外に「復古右翼・ネトウヨ」というカテゴリーを作りました。戦前への復帰とテロを容認する勢力ですね。ヘイトスピーチをする連中もここに入ります。さすがに政党はできていませんが。
(冬)前は「墨守政党」と言っていたのが「保守反動」になりました。
(八)立憲民主党をはじめ、サヨクは憲法論議さえ拒否する、要するに「問答無用」と言っているわけです。同じ言葉を投げつけて、時の首相・犬養毅をピストルで殺した、2.26事件の将校に近い神経を感じます。
(冬)細かいところで、Aの「植民地主義」が「米国併合主義」になりましたね。
(八)これは憲法9条をそのままにして親米…というカテゴリーで、現実にはほとんどいません。極端な話、「日本はアメリカの1州になればいい」という考えです。前の「植民地主義」では海外に植民地を持つ「帝国主義」と混同されますから、呼び方を変えました。
(冬)日本会議という団体がありますね。
(八)日本会議をチャートに組み込むと、こんな感じかな。ただし、自民党にコミットメントしていますが、希望と維新は直接の関係はありません。


(冬)サヨクはすごく警戒しているようですが。
(八)籠池泰典が日本会議のメンバーだったから、極右にかかる疑いを持っているのでしょう。日本会議は「大変迷惑した」といっていますが、会員の選別をきちんと図るべきですね。
(冬)この図を見ると、日本は二分されていますね。
(八)アメリカもヨーロッパもアジアも分裂しています。これからは、ナショナリズムが強くなるでしょう。グローバリズムからインターナショナリズムへの変化です。
(冬)国境を無視する動きが、一時的にとまって揺り戻しが来ている状態ですな。
(八)話は変わりますが、西部邁と中島岳志(東京工業大学教授)の師弟対談がネットで見られます。AERAに2017年5月1-8合併号に掲載されたものです。その中で、お二人は「保守」の条件として人間の理性に対する懐疑心を真っ先に挙げています。
(冬)平たく言うと、人間は間違える存在である、と。
(八)サヨクは理性万能主義の色彩が濃い。
(冬)自分が間違っているかもしれない、と思えば、他人にも寛容になれる。
(八)もう1年半前のことですが、2017年12月20日のブログで「自分は信用できるか?」というタイトルで、人間一般を分析しています。その時の結論だけ記すと、
…そして私は直感した。自分を100%信じるということは間違いだ、と。もう今から60年も前の話になるが、大学生の私はフロイトの本を読んでいて「人間の意識は氷山の一角で、大部分は無意識の領域」だと理解していたから、これは当然の結論のように思えた。ヒトの脳には、古い発生のものもあって、ワニの脳と同じ部分もある。無意識には何があっても不思議ではないからである。その証拠に、世の中には、不自由と不平等が遍在し、価値は常に混沌としていて、信じられない犯罪が生まれる。
 表題の答えは、こうである。私はいつでも、どこでも間違いを起こしうる存在だ。無条件に信用するわけには行かない。ここからある種の人間観が生まれてくる。無条件に自己主張する人間は偽者であるという感覚で、(中略)サヨク嫌いも復古右翼を許したくないのも、動機は同じ。要するに、ノー天気に自分自身を主張するから信用できないのである。自らを少しは恥じている感覚があるかどうか、が分かれ目になる。

(冬)私も同感だから、われわれはバリバリの保守派、ということ(笑)。サヨクの不寛容さは目に余る。
(八)ただし、自分が不確定…というところから、不必要なまでに伝統や民族性に頼ると、復古右翼になってしまう(笑)。
(冬)心しなければならないですね。
(八)いずれにせよ、憲法第9条を墨守する「保守反動」と、戦前復帰を目指す「復古右翼・ネトウヨ」勢力を小さくして、健全な憲法論議、国防論議を始めなければ…。
(冬)そして「寛容」を第一とする令和の時代にしたいですね。

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