第三話
「やられた!インドの洗礼?!」の巻
☆マザーテレサでボランティア
夜行寝台は朝方コルカタに到着。ここは昔カルカッタと呼ばれていたインドの大都市です。駅からツクツクで日本人宿サンタナに到着。Wi-Fiも通じ地震の状況も分かってきて、更に被害は拡大していました。家族にもう一度無事であることを連絡しました。宿の管理人の「リュウ」さんが親身になって私の話を聞いてくれて、その上昼食にスタッフが食べる日本食を勧めてくれました。異国で不安になった時の日本語と日本食、そして話を聞いてくれる親切な人、お蔭で心のざわつきも落ち着いてきました。(リュウさんは日本で有名な武道家だったことが分かりました。現在は地震で疲弊したネパールの山奥の村へ単独で赴き、「武士道」を現地の人に教えています。)
昨日までは世界一周を中断して帰国まで考えていましたが、皆さんの親切で落ち着きを取り戻してコルカタに来た本来の目的のマザーテレサが設立したホスピス施設へボランティアに行くことにしました。朝6時からミサが始まり、7時から朝食を頂き、各施設に派遣されます。私が行ったのは病気で体の不自由な老人たちが入っている施設です。まずはシーツやカバーなどを手で洗って、洗濯層をリレーしながら濯いで絞って干して行きます。100人以上の分を洗いますのですごい量です。その後食事の世話をしたり、歩けない人には尿瓶の中を捨てに行ってあげたり、マッサージをしたりして大忙しでお手伝いをさせてもらいました。ボランティアは世界中から集まってきていました。知り合ったスエーデンの方は定年後ここに来て、半年も続けておられるとのこと。中には髭剃り、理髪、理学療法などの特技を活かして喜ばれている方たちもたくさんおられました。マザーテレサさんは1950年にお一人でこの活動を立ち上げられ、そして今でも世界中にその精神が受け継がれていることに感銘を受けました。
さらに日本人宿には5,6名の日本の女性が、短期、長期でボランティアに来られていました。何人かとお話ししましたが、休みを取って来た方、仕事を辞めて来た方など、動機はいろいろでした。皆さん「ボランティアやってるぞ!」なんて肩に力が入っていなくて、とっても自然な感じで爽やかでした。こんなに素敵な日本女性たちが静かに活動している姿をみて、本物とはこんなに自然だと思いました。
そしてムンバイを経由してスリランカのコロンボへ移動しました。
☆インドの洗礼に撃沈
スリランカの空港ではお金を払うだけでビザを取得、幸先よくスタート。空港からバスで市内のバスセンターへ到着。そこで目的の天空の城シーギリヤへ行く途中の乗り換えの町ダンプーラへ向うことに。ガイドブックと違って完全なローカルバス乗ることになりました。6時間で200円。横6人席、どんどん人が乗り降りしながら進みました。一時間もしない内にお腹がゴロゴロ言い始めました。もしや?インドを無事に過ぎたと思ったのは甘かった~~やっぱりきました、あのピーが・・・・・インドのあれを経験している人には分かると思うがそれは想像以上の攻撃です。一度は臨時停車してもらいましたが、二度目はもう非常事態、バスからバックバックを投げ捨て飛び降りました。近くの商店に飛び込むも、トイレは無しと言われ、向かいの農家に突撃、ピー!トイレから出てみると農家の親子がびっくりしているし、後ろから不審者の私に向かって犬がお尻をガブリ!インドを甘く見ちゃいけません。
ところが降りた場所がどこなのか分かりません。途方に暮れて歩いていると道路工事の若い監督官が、どこに行きたいのか聞いてくれて、「15番のバスに乗れ」と言う。さらにバスを止めてやるからここで待ってるようにと。なんと親切なのでしょうか。おお神様ありがとう。
すべての体力を消耗しながらやっとシーギリアに到着。体力回復の為に珍しく高級ホテルに宿泊しました。翌日無事天空の城と言われるシーギリアロックにも登れました。テレビで見た以上の迫力でした。1500年前にお父さんを殺して王位を奪い、復讐が怖くてこんな山奥の崖の上に城を作ったそうです。罰が当たって10年ぐらいで滅亡したそうです。いつの時代も権力者は横暴ですね。
その後古いイギリスの街並みが今でもあるキャンディーから鉄道で移動しました。奮発して一等客車。まるでテレビの「世界の車窓から」のようなゆったりとした眺めを楽しみながらコロンボのYMCAに到着しました。
次の日の朝、中心街まで散歩をしていると一人の紳士が近づいてきて、特別なお祭りがあるから案内してくれるという。ツクツクで寺院に行き、お祈りをして、町を観光して海岸線をYMCAに戻っていきました。ところが途中で写真を撮った後、豹変「有り金全部出せ」と叫んできました。嫌だと言って小競り合いになって、こちらもこんな状況を予想していたのでポケットには小銭しか入れていませんでした。反対側の窓から飛び降りて小銭を投げつけ走って逃げました。ああ分かっていながらこんな詐欺にあうとは情けない。気を引き締めていこう。
半年たって南米でこの話をしたら同じコロンボで全く同じ被害にあった旅人に会いました。「シラトンホテルのマネージャーで・・・・・」設定は何から何まで一緒。スリランカは素朴でとってもいいところなのに残念です。気を取り直してアジアでベスト3に入る美しいビーチ「ヒッカドウ」へ。
☆拾う神あり?!
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