利用者Mさんは、最近3日に2日は眠れない夜を過ごしております。
部屋でベッドに横になり、しばらくすると「たすけてーたすけてー」と叫ぶ、というのが何回も続きます。で、部屋に伺うと
「よかった~死ぬところだったの~」「まだ死んでないの?生きてるの?」「助けて、死んじゃう!!」というのが5割。
あとは「味噌が足りなくて……」とか「書類はどこにやったの?」とか「はさみで切って!!」とか意味不明なのが5割。
昨日も、「眠い」と繰り返しいうので、部屋に連れていったら5分も経たない内に「助けて~、まだ死にたくない~、まだ生きてたい~~」と。
なんでそんなに死にたくないのかな。私なんて、今の時点で「いつ死んでもいいよ」と思ってるのに。ましてや、80才も過ぎて、自分で歩くこともできなくて、それでもまだそんなに死にたくないのかね?ま、そりゃ、私だってイザ死に直面したら「死にたくない」と思うかもしれないけど。Mさんも、もしかしたら普段は「もう死んでもいいよ」と思っているかもしれない。でも、夜になると、彼女にとっては死に直面するので、「死にたくない」と思うのかも知れない。そうなのかな?死に直面するって、どんな気持ちなんだろう?やっぱり受け入れられないのかなー?
なんて考えてたけどね、忘れてたよ、彼女は認知症だった。つまり、「死にたくない!」と思っている時の彼女は83才の体の不自由なお婆ちゃんじゃないかもしれない。現に「お父さ-んお母さ-ん」と叫んでいることもあることだし。まだ10代の少女だったら、そりゃ、まだまだ死にたくないかもしれない。20代30代のお母さんだったら、「まだ子供が小さいのに死ねない」と思うかもしれない。40代50代では「孫の顔をみるまでは……」と思うかも知れない。そもそも「死にそうだ」と思うのだって、10代でまだまだ健康なはずなのに、体が思うように動かない→死にそうだ!!と、なるのかもしれない。
認知症って難しい……。