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あれこれゆっくりと学びについて考える

学んだことなどを自分勝手に気が向いた時だけ書くと、いうことで

等面四面体ABCDについての補足_其の2_2017_10_20(金)_No2

2017年10月20日 | 考察

等面四面体ABCDについての補足_其の2_2017_10_20(金)_No2

ーーーーーーーー-----No1からの続き------------

5.
さて、四面体ABCDにおいて[外心O=重心G]ならば、この四面体は[等面四面体]であることを
「青空学園数学科」の考えを使って分かりやすく(と私は思っている?)証明しよう。
そのために次の[命題]を準備する。
[命題5.1]
一般の四面体ABCDにおいて重心をGとする。このとき
 16AG^2=3(AB^2+AC^2+AD^2)-(BC^2+BD^2+CD^2)・・・(1)
 16BG^2=3(BA^2+BC^2+BD^2)-(AC^2+AD^2+CD^2)・・・(2)
 16CG^2=3(CA^2+CB^2+CD^2)-(AB^2+AD^2+BD^2)・・・(3)
 16DG^2=3(DA^2+DB^2+DC^2)-(AB^2+AC^2+BC^2)・・・(4)

つまり BC=a,CA=b,AB=c,AD=d,BD=e,CD=f とおけば、上の(1)~(4)は
 16AG^2=3(c^2+b^2+d^2)-(a^2+e^2+f^2)     ・・・(5)
 16BG^2=3(c^2+a^2+e^2)-(b^2+d^2+f^2)     ・・・(6)
 16CG^2=3(b^2+a^2+f^2)-(c^2+d^2+e^2)     ・・・(7)
 16DG^2=3(d^2+e^2+f^2)-(c^2+b^2+a^2)     ・・・(8)
「証明」
 Gは重心であるから、4(→PG)=(→PA)+(→PB)+(→PC)+(→PD) for ∀P
 P⇒A として 4(→AG)=(→AB)+(→AC)+(→AD) ゆえに[補題3.3] を用いて
 
 16AG^2=AB^2+AC^2+AD^2+2((→AB),(→AC))+2((→AB),(→AD))+2((→AC),(→AD))
       =AB^2+AC^2+AD^2+[AB^2+AC^2-BC^2]+[AB^2+AD^2-BD^2]
   +[AC^2+AD^2-CD^2]
       =3(AB^2+AC^2+AD^2)-(BC^2+BD^2+CD^2) よって(1)が証明された。
 P⇒B として 4(→BG)=(→BA)+(→BC)+(→BD),同様に 4(→CG)=(→CA)+(→CB)+(→CD),
 4(→DG)=(→DA)+(→DB)+(→DC)などから、(2)~(4)も示される。(5)~(8)は
 BC=a,CA=b,AB=c,AD=d,BD=e,CD=f を(1)~(4)に代入するだけである。
(「証明」終わり)

[命題5.2]
一般の四面体ABCDにおいて[外心O=重心G]ならば、この四面体は[等面四面体]である。
また 外接球面の半径をRとすると R^2=(a^2+b^2+c^2)/8 となる。
「証明」
[外心O=重心G]なので AO=AG=R,BO=BG=Rなどにより
 16AG^2=16BG^2=16CG^2=16DG^2=16R^2 ゆえに [命題5.1]の(5)~(8)から、

 3(c^2+b^2+d^2)-(a^2+e^2+f^2)=16R^2・・・(1)
 3(c^2+a^2+e^2)-(b^2+d^2+f^2)=16R^2・・・(2)
 3(b^2+a^2+f^2)-(c^2+d^2+e^2)=16R^2・・・(3)
 3(d^2+e^2+f^2)-(c^2+b^2+a^2)=16R^2・・・(4) となる。これを d^2,e^2,f^2,R^2の
 4元連立方程式と思って解く。ポイントは最初に R^2を求めること。

まず(1)~(4)の全てを加えて、
 6(d^2+e^2+f^2+a^2+b^2+c^2)-2(d^2+e^2+f^2+a^2+b^2+c^2)=64R^2
 ⇔ d^2+e^2+f^2+a^2+b^2+c^2=16R^2・・・(5)
 次に(4)+(5)として 4(d^2+e^2+f^2)=32R^2
 ⇔ d^2+e^2+f^2=8R^2・・・(6)
(1)+(5) として 4(d^2+b^2+c^2)=32R^2 ⇔ d^2+b^2+c^2=8R^2・・・(7)
(2)+(5) として 4(e^2+a^2+c^2)=32R^2 ⇔ e^2+a^2+c^2=8R^2・・・(8)
(3)+(5) として 4(f^2+a^2+b^2)=32R^2 ⇔ f^2+a^2+b^2=8R^2・・・(9)
次に(7)+(8)+(9) から d^2+e^2+f^2=24R^2-2(a^2+b^2+c^2)・・・(10)
(6)を(10)に代入して 8R^2=24R^2-2(a^2+b^2+c^2) これより R^2が求まって

 a^2+b^2+c^2=8R^2・・・(11) となる。

(11)と(7)よりd^2が求まり d^2=a^2・・・(12),(11)と(8)より e^2=b^2,
(11)と(9)よりf^2が求まり、 f^2=c^2 したがって d^2=a^2,e^2=b^2,f^2=c^2
かつ R^2=(a^2+b^2+c^2)/8 となり、証明された。
(「証明」終わり)

☆以上2回に亘って「等面四面体ABCDについての補足」の其の1と其の2で、述べてきたが、

(1)
 「四面体ABCDにおいて【外心O=重心G】ならば、この四面体は[等面四面体]」
  の重心座標が等しいことだけによる直接的な証明には今のところ至っていない。
 「本」のP133~P134で述べたように、外心Oの重心座標の行列式表示が完成して
  いるので、【外心O=重心G】⇔ detΘ_3^0=detΘ_3^1=detΘ_3^2=detΘ_3^3
  から、まず列の移動をするなど行列式の性質を用いて、
  d^2=a^2,e^2=b^2,f^2=c^2 を導くか、 または[命題3.2]に述べた「内積」が等しく
  ならないか色々考えたが、できないでいる。
(2)
  「四面体ABCDにおいて【外心O=内心I】ならば、この四面体は[等面四面体]」
    の方は、【外心O=内心I】
   ⇔[detΘ_3^0]/S_A=[detΘ_3^1]/S_B=[detΘ_3^2]/S_C=[detΘ_3^3]/S_D
   であるがこの等式を平方して[S_A]^2などを「ヘロンの公式」で、または外積に
   よる 4[S_A]^2=|(→BC)×(→BD)|^2=BC^2・BD^2-((→BC),(→BD))^2
          =a^2e^2-((→BC),(→BD))^2などを用いることも考えたがとても
   できそうにない。
 「青空学園」の方法か、「本」の第一部、一松信先生のP96の下から4行分に頼るしか
  ない。
(3)
 なお今回参考にした、昔のblog_2008_09_29(月)
「四面体の外心の重心座標表現(垂心四面体の場合)」の誤記や抜け字に気がついたので
 修正しておきます。良かったらそちらの[命題8.2]を見てください。


等面四面体ABCDについての補足_其の2_2017_10_20(金)_No1

2017年10月20日 | 考察

等面四面体ABCDについての補足_其の2_2017_10_20(金)_No1

1.

まず 一般の四面体ABCDについて次の事柄が成り立つ。

[命題1.1]
四面体ABCDにおいて、この四面体の重心をGとする。
頂点Dと重心Gを結んだ線分DGをGの方に延長した直線DGと△ABCとの交点をG_Dとすると、
G_Dは△ABCの重心になる。・・・(1.1.1)

「証明」
以前のblog または「本」のP165[命題10.6]にも述べたように、一般に
E^3内の点Tに対しTの真の重心座標を(κ,λ,μ,ν)として ν≠1のときは
(→DT)=(1-ν)(→D(T_D)) が成立する。ここにT_Dは直線DTと△ABCとの交点である。

そこでT⇒G として (→DG)=(1-ν)(→D(G_D))となる。ここでGは重心であるから ν=1/4
である。よって (→DG)=(1-1/4)(→D(G_D))=(3/4)(→D(G_D)) すなわち
 (→D(G_D))=(4/3)(→DG) これに (→DG)=[(→DA)+(→DB)+(→DC)]/4
(∵ Gは四面体ABCDの重心 )を代入して
  (→D(G_D))=(4/3)[(→DA)+(→DB)+(→DC)]/4
      =[(→DA)+(→DB)+(→DC)]/3  すなわち
  (→D(G_D))=[(→DA)+(→DB)+(→DC)]/3 となる。
この右辺はDを始点とする△ABCの重心の表示である。よってG_Dは△ABCの重心になる。
(「証明」終わり)
次も一般的な四面体について成り立つ事柄である。

[命題1.2]
四面体ABCDの外心をOとすると、
(1) 外心Oは頂点A,B,C,Dとは一致しない。
(2) 外心Oが△ABCを含む平面上にあるときは、四面体ABCDの外心Oは△ABCの
  外心に一致する。
(3) 外心Oが△ABCを含む平面に含まれないとき、外心Oから△ABCを含む平面に下した
  垂線が考えられるが、この垂線の足O^Dは△ABCの外心になる。

「証明」
(1) 外心Oとは AO=BO=CO=DOとなるE^3内の点である。もし仮にO=D とすれば、この
  条件は AD=BD=CD=DD となる。A,B,C,Dは四面体ABCDの頂点であるから、辺 AD>0,
    BD>0,CD>0 一方DD=0 よって矛盾である。他の頂点と一致とした場合も同様である。

(2) 外心Oが△ABCを含む平面上にあるとき、AO=BO=CO=DOであることから特に、
  AO=BO=CO かつ Oは△ABCを含む平面上にある。ゆえに Oは△ABCの外心になる。

(3) 外心Oから△ABCを含む平面に下した垂線の足をO^D とする。(1)より
  AO=BO=CO=DO=Rとおけば R>0。 そして外心Oが△ABCを含む平面に含まれないから、
  OO^D≠0 そこで OO^D=d とおけば d≠0で、3つの直角三角形 OAO^D,OBO^D,OCO^Dが
  できる。  すると三平方の定理より (AO^D)^2=(AO)^2-(OO^D)^2=R^2-d^2,
  (BO^D)^2=(BO)^2-(OO^D)^2=R^2-d^2, [∵ Oは四面体ABCDの外心 ]などにより、
  (AO^D)^2=(BO^D)^2=(CO^D)^2 よって AO^D=BO^D=CO^D=√[R^2-d^2]となり、
  O^D は△ABCの外心となる。
 (「証明」終わり)

[命題1.2]を単に

「四面体ABCDの外心Oから、△ABCに下した[垂線の足O^D]は△ABCの外心である」・・・(1.2.1)
 ということにする。

すると、[命題1.1],[命題1.2]を使えば、2017_04_21(金)に述べた等面四面体ABCDについての
「定理2.11」及び「命題1.6」の内容は、[等面四面体ABCD]では、[内心I]=[重心G]=[外心O]
 であることを使えば明らかになる。実際2017_04_21(金)のblogの「定理2.11」は次のようであった。

2017_04_21(金)の「定理2.11」」

『[等面四面体ABCD]において[頂点D]と[内心I]を結ぶ「直線DI」と△ABC
との交点I_Dの真の重心座標は (1/3,1/3,1/3,0) 
即ち「△ABCの重心」である。』
このことは[等面四面体ABCD]では[内心I]=[重心G]であるので、
「[頂点D]と[内心I]を結ぶ「直線DI」と△ABCとの交点I_D」とは
「[頂点D]と[重心G]を結ぶ「直線DG」と△ABCとの交点G_D」ということになり、今回のblogの
[命題1.1]の(1.1.1)により「I_D=G_D=△ABCの重心」となるからである。

また
2017_04_21(金)の「命題1.6」」は

『等面四面体ABCDにおいて、△DCB≡△CDA≡△BAD≡△ABCであるが、
[内接球面I]と△DCB,△CDA,△BAD,△ABCのそれぞれとの接点I^A,I^B,I^C,I^Dは
△DCB,△CDA,△BAD,△ABCのそれぞれの「外心」になる。』とあったが、例えば
I^Dが△ABCの[外心]になることは【計算をしなくても】
[等面四面体ABCD]では[内心I]=[外心O]であること及び接点I^Dは[内心I=外心O]から△ABC
に下した垂線の足となり今回のblogの[命題1.2]の(1.2.1)より、[I^D=O^D]であることが分かる。
よって等面四面体ABCDにおいて、[内接球面I]と△ABCとの接点I^Dは△ABCの「外心」になることが
【計算をしなくても】分かるのであった。
以上は反省です。

2.
さて、等面四面体ABCDについての補足_其の1_2017_08_17(木)のblogにおいて、[定理2.3]の

『等面四面体ABCDの外心Oはその重心Gに等しい。・・・(2.3.1)、したがって外接球面の半径Rは、
|→AG|=R から x,y,zを用いて、R^2=(x+y+z)/4 ・・・(2.3.2) と表される。』
及び [定理2.4]の

『等面四面体ABCDの内接球面の半径rについては、r^2=(xyz)/4(yz+xz+xy) ・・・(2.4.1)』
ということを述べた。

☆ 一般の四面体ABCDにおいて、外接球面の半径Rと内接球面の半径rについて
 【R≧3rが成り立ち、等号はこの四面体ABCDが正四面体の場合に限る」・・・(2.1)ということが
成り立つそうだ。もっと一般にn≧2のとき n次元単体において、外接球面の半径Rと内接球面の半径r
について「R≧nr が成り立つ】とものの本で読んだことがある。
一般の四面体ABCDにおいて R≧3r 即ちR^2≧9r^2 が成り立つことの証明も私はみたことがない。
しかし幸いなことに「特殊な四面体ABCDーー等面四面体ABCDでは」このことが成立するのを
示すことができる。そこで

「定理2.1」
[等面四面体ABCD]において、正の数 x>0,y>0,z>0を今までのようにする。このとき、
外接球面,内接球面の半径をそれぞれR,rとおくと R^2≧9r^2 即ち R≧3r が成立し等号は
この[等面四面体ABCD]が正四面体ABCDのときに限る。

「証明」
外接球面の半径Rについて R^2=(x+y+z)/4 ,内接球面の半径rについて
 r^2=(xyz)/4(yz+xz+xy) それで  R^2≧9r^2⇔ (x+y+z)/4≧9(xyz)/4(yz+xz+xy)
 ⇔ (x+y+z)(yz+xz+xy)≧9(xyz) 等号はx=y=zのとき・・・(2.1.1)を示す。x,y,zは正の数で
あるから、3つの正の数の相加・相乗平均の関係から、
 x+y+z≧3∛(xyz) 等号はx=y=zのとき ・・・(2.1.2),
 yz+xz+xy≧3∛(yz・zx・xy) 等号は yz=xz=xy 即ち x=y=zのとき ・・・(2.1.3)
 ここで (2.1.3)⇔ yz+xz+xy≧3∛(xyz)^2
 等号はx=y=zのとき ・・・(2.1.4) そこで(2.1.2)×(2.1.4)として、
 (x+y+z)(yz+xz+xy)≧9(xyz) 等号はx=y=zのとき ・・・(2.1.5) となる。
ここで x=y=z ⇔a=b=c [等面四面体ABCD]で考えているので d=a,e=b,f=c ゆえに
 x=y=z ⇔この[等面四面体ABCD]は正四面体ABCDとなる。
(「証明」終わり)

3.

等面四面体ABCDでは「本」またはこのblogで述べたように、
[事実3.1]
 等面四面体ABCDについて、
  x=((→AB),(→AC)),y=((→BA),(→BC)),z=((→CA),(→CB))・・・(3.1.1)
 とおけば
 x=((→AB),(→AC))=((→BA),(→BD))=((→CA),(→CD))=((→DB),(→DC)),
 y=((→BA),(→BC))=((→AB),(→AD))=((→CB),(→CD))=((→DA),(→DC)),
 z=((→CA),(→CB))=((→BC),(→BD))=((→AC),(→AD))=((→DA),(→DB))
 ・・・(3.1.2)であった。
実はこの逆も成り立つ。即ち、

[命題3.2]
    四面体ABCDが等面四面体
 ⇔ ((→AB),(→AC))=((→BA),(→BD))=((→CA),(→CD))=((→DB),(→DC))・・・(3.2.1)
 ⇔ ((→BA),(→BC))=((→AB),(→AD))=((→CB),(→CD))=((→DA),(→DC))・・・(3.2.2)
 ⇔ ((→CA),(→CB))=((→BC),(→BD))=((→AC),(→AD))=((→DA),(→DB))・・・(3.2.3)
まず一般的な簡単な補題を準備する。

[補題3.3]
E^mをm次元ユークリッド空間とする。任意の点 A,B,C∈E^mについて、どんな内積に対しても
内積の性質より 始点が共通なベクトル(→AB),(→AC)について、その内積は
 ((→AB),(→AC))=[AB^2+AC^2-BC^2]/2 ・・・(3.3) となる。
「証明」
 (→CB)=(→AB)-(→AC)だから
  CB^2=|(→CB)|^2=|(→AB)-(→AC)|^2
     =|(→AB)|^2-2((→AB),(→AC))+|(→AC)|^2 ゆえに
  ((→AB),(→AC))=[|(→AB)|^2+|(→AC)|^2-CB^2]/2 つまり
  ((→AB),(→AC))=[AB^2+AC^2-BC^2]/2・・・(3.3.1)
 (「証明」終わり)
☆ これは20数年前から気づいていたことである。余弦定理など必要ない。内積の「性質」だけ
から導かれることである。大学入試でも使ってよいだろう。但し一言証明を書いておくこと。
さて 四面体ABCDにもどろう。BC=a,CA=b,AB=c,AD=d,BD=e,CD=fとおくと、この[補題3.3]を
使って「本」のP152に書いておいたように[命題3.2]における内積は全て(3.3.1)の右辺の
ように書ける。そこで

[命題3.2]の「証明」
(3.2.1)を示す。
((→AB),(→AC))=((→BA),(→BD))=((→CA),(→CD))=((→DB),(→DC))⇒ d=a,e=b,f=cを
示しさえすればよい。「本」のP152の「証明」の式により
((→AB),(→AC))=[b^2+c^2-a^2]/2・・・(1),((→BA),(→BD))=[e^2+c^2-d^2]/2・・・(2),
((→CA),(→CD))=[b^2+f^2-d^2]/2・・・(3),((→DB),(→DC))=[e^2+f^2-a^2]/2・・・(4)
よって ((→AB),(→AC))=((→BA),(→BD))=((→CA),(→CD))=((→DB),(→DC))
⇔   b^2+c^2-a^2=e^2+c^2-d^2=b^2+f^2-d^2=e^2+f^2-a^2
⇔   b^2+c^2-a^2=e^2+c^2-d^2・・・(5) かつ b^2+c^2-a^2=b^2+f^2-d^2・・・(6)
かつ b^2+c^2-a^2=e^2+f^2-a^2・・・(7)
⇔   e^2-d^2=b^2-a^2 ・・・(8) かつ f^2-d^2=c^2-a^2 ・・・(9)
かつ e^2+f^2=b^2+c^2 ・・・(10)
⇒ (8)-(9)として e^2-f^2=b^2-c^2・・・(11) (10)+(11)として
   2e^2=2b^2⇔ e^2=b^2・・・(12), (10)-(11) 2f^2=2c^2⇔f^2=c^2・・・(13)
 (12)を(8)に代入して d^2=a^2 ゆえに d=a,e=b,f=c となった。
 他も同様である。
 ([命題3.2]の「証明」終わり)
4.
次に[命題3.2]を用いて[等面四面体ABCD]について、[外心O=重心G]の[重心座標が等しい]
ことを再び示そう。

2008_10_22のblog「四面体の重心座標表現の具体例」または「本」のP134により、

一般の四面体ABCDにおける、[外心O]の[重心座標]は次のようにして与えられるのだった。

4K=a^2d^2(e^2+f^2-a^2)+b^2e^2(f^2+a^2-e^2)+c^2f^2(a^2+e^2-f^2)-2(aef)^2,
4L=a^2d^2(b^2+f^2-d^2)+b^2e^2(f^2+d^2-b^2)+c^2f^2(d^2+b^2-f^2)-2(dbf)^2,
4M=a^2d^2(e^2+c^2-d^2)+b^2e^2(c^2+d^2-e^2)+c^2f^2(d^2+e^2-c^2)-2(dec)^2,
4N=a^2d^2(b^2+c^2-a^2)+b^2e^2(c^2+a^2-b^2)+c^2f^2(a^2+b^2-c^2)-2(abc)^2
・・・(4.1.1) とおくと、
その真の重心座標は、
 (K/[2detJ(3)],L/[2detJ(3)],M/[2detJ(3)],N/[2detJ(3)])
=(4K/[8detJ(3)],4L/[8detJ(3)],4M/[8detJ(3)],4N/[8detJ(3)])
=(-det(Θ_3^0)/[detΞ(3)],-det(Θ_3^1)/[detΞ(3)], [∵detΞ(3)=8detJ(3) ]
  -det(Θ_3^2)/[detΞ(3)],-det(Θ_3^3)/[detΞ(3)] )・・・(4.1.2) であった。

等面四面体ABCDだから 直接 d=a,e=b,f=c を -det(Θ_3^0),-det(Θ_3^1),
  -det(Θ_3^2),-det(Θ_3^3)の表示式に代入して行列式の形から、このとき
例えば[-det(Θ_3^0)と-det(Θ_3^1)]はa^2,b^2,c^2の内 a^2とb^2だけが入れ替わった
ものにできるから、これらが等しいことを示すには、これらの行列式の値のどちらかが、
 8xyz=(b^2+c^2-a^2)(c^2+a^2-b^2)(a^2+b^2-c^2)であることを示せばよいが、
[∵これは a^2とb^2の対称式だから]、それも案外難しい。 そこで展開式
 4K,4L,4M,4Nの値が d=a,e=b,f=cのときに等しいことを示そう。
そのために、
[命題4.1]
[一般の四面体ABCD]において 4K,4L,4M,4Nは内積を用いて
4K=2a^2d^2((→DB),(→DC))+2b^2e^2((→CB),(→CD))+2c^2f^2((→BC),(→BD))-2(aef)^2,
4L=2a^2d^2((→CA),(→CD))+2b^2e^2((→DA),(→DC))+2c^2f^2((→AC),(→AD))-2(dbf)^2,
4M=2a^2d^2((→BA),(→BD))+2b^2e^2((→AB),(→AD))+2c^2f^2((→DA),(→DB))-2(dec)^2,
4N=2a^2d^2((→AB),(→AC))+2b^2e^2((→BA),(→BC))+2c^2f^2((→CA),(→CB))-2(abc)^2
・・・(4.1.3)と表せる。
即ち
2K=a^2d^2((→DB),(→DC))+b^2e^2((→CB),(→CD))+c^2f^2((→BC),(→BD))-(aef)^2,
2L=a^2d^2((→CA),(→CD))+b^2e^2((→DA),(→DC))+c^2f^2((→AC),(→AD))-(dbf)^2,
2M=a^2d^2((→BA),(→BD))+b^2e^2((→AB),(→AD))+c^2f^2((→DA),(→DB))-(dec)^2,
2N=a^2d^2((→AB),(→AC))+b^2e^2((→BA),(→BC))+c^2f^2((→CA),(→CB))-(abc)^2
・・・(4.1.4)と表せる。
「証明」
「本」P152の「証明」の式の内
 e^2+f^2-a^2=2((→DB),(→DC)),f^2+a^2-e^2=2((→CB),(→CD)),
 a^2+e^2-f^2=2((→BC),(→BD))より4Kが、
 b^2+f^2-d^2=2((→CA),(→CD)),f^2+d^2-b^2=2((→DA),(→DC)),
 d^2+b^2-f^2=2((→AC),(→AD))より4Lが、
 e^2+c^2-d^2=2((→BA),(→BD)),c^2+d^2-e^2=2((→AB),(→AD)),
 d^2+e^2-c^2=2((→DA),(→DB))より4Mが、
 b^2+c^2-a^2=2((→AB),(→AC)),c^2+a^2-b^2=2((→BA),(→BC)),
 a^2+b^2-c^2=2((→CA),(→CB))より4Nが、(4.1.3)の右辺のように表せることが分かる。
 よって、また(4.1.4)が成り立つ。
(「証明」終わり)

なお (4.1.4)については2008_09_15のblog「四面体の外心の重心座標表現」で
説明している。

いよいよ[命題3.2]と[命題4.1]を用いて[等面四面体ABCD]について、[外心O=重心G]の[重心座標が
等しい]ことが示される。
[命題4.2]
[等面四面体ABCD]については4K=4L=4M=4Nであり、したがって[外心O」の重心座標は
 [重心G]の重心座標に等しい。
「証明」
[等面四面体ABCD]では d=a,e=b,f=c 及び[命題3.2]から

 x=((→AB),(→AC))=((→BA),(→BD))=((→CA),(→CD))=((→DB),(→DC)),
 y=((→BA),(→BC))=((→AB),(→AD))=((→CB),(→CD))=((→DA),(→DC)),
 z=((→CA),(→CB))=((→BC),(→BD))=((→AC),(→AD))=((→DA),(→DB))
であるから、[命題4.1]の式 (4.1.3)は
4K=2(a^4)x+2(b^4)y+2(c^4)z-2(abc)^2,4L=2(a^4)x+2(b^4)y+2(c^4)z-2(abc)^2,
4M=2(a^4)x+2(b^4)y+2(c^4)z-2(abc)^2,4N=2(a^4)x+2(b^4)y+2(c^4)z-2(abc)^2 となって
全て一致する。よって成り立つ。
(「証明」終わり)

ーーーーーーーーーーーーNo2に続くーーーーーーーーーーー


等面四面体ABCDについての補足_其の1_2017_08_17(木)

2017年08月17日 | 考察

等面四面体ABCDについての補足_其の1_2017_08_17(木)

等面四面体ABCDについて前回述べたがまだいくつか述べておいたほうがよいと
思われる事があるので、もう少し記述しようと思う。
まず、
[命題1.1]
四面体ABCDにおいて、「内心I=重心G」 ⇔この四面体ABCDは[等面四面体]
「証明」
内心Iの真の重心座標は、(S_A/2F,S_B/2F,S_C/2F,S_D/2F),一方、重心Gの真の
重心座標は(1/4,1/4,1/4,1/4) だから「内心I=重心G」
⇔ S_A/2F=1/4,S_B/2F=1/4,S_C/2F=1/4,S_D/2F=1/4 ⇔S_A=S_B=S_C=S_D

⇔四面体ABCDは等積四面体⇔四面体ABCDは等面四面体(∵バンの定理)
(「証明」終わり)

[命題1.2]
四面体ABCDにおいて、傍心E_Dの重心座標が (1/2,1/2,1/2,-1/2)
即ち、→P(E_D)=1/2(→PA)+1/2(→PB)+1/2(→PC)-1/2(→PD) for ∀P∈E^n
⇔ この四面体ABCDは[等面四面体]
「証明」
一般の四面体ABCDにおいて、傍心E_Dの真の重心座標は、
(S_A/2(F-S_D),S_B/2(F-S_D),S_C/2(F-S_D),-S_D/2(F-S_D)) ゆえにこれが、
(1/2,1/2,1/2,-1/2)
⇔S_A/2(F-S_D)=1/2,S_B/2(F-S_D)=1/2,S_C/2(F-S_D)=1/2,-S_D/2(F-S_D)=-1/2
⇔S_A/2(F-S_D)=1/2,S_B/2(F-S_D)=1/2,S_C/2(F-S_D)=1/2,S_D/2(F-S_D)=1/2
⇔S_A=S_B=S_C=S_D
⇔四面体ABCDは等積四面体⇔四面体ABCDは等面四面体(∵バンの定理)
(「証明」終わり)

[命題1.3]
等面四面体ABCDにおいて、内接球面I,傍接球面E_A,傍接球面E_B,傍接球面E_C,傍接球面E_Dの
半径をそれぞれ、r,r_A,r_B,r_C,r_Dとすれば、
 r_A=r_B=r_C=r_D=2r ・・・(1.3.1)
即ち4つの傍接球面の半径はみな等しく、内接球面Iの半径の2倍である。
「証明」
以前のblogに述べたように、一般の四面体ABCDについて r=(3V)/(2F),r_A=(3V)/2(F-S_A),
r_B=(3V)/2(F-S_B),r_C=(3V)/2(F-S_C),r_D=(3V)/2(F-S_D)である。等面四面体ABCDでは
S_A=S_B=S_C=S_D だから r_A=r_B=r_C=r_Dとなり、S_A=S_B=S_C=S_D=Sとおけば、
2F=S_A+S_B+S_C+S_D=4S だから r_D=(3V)/2(F-S_D)=(3V)/(4S-2S)=(3V)/(2S),
一方、r=(3V)/(2F)=(3V)/(4S) となり r_D=2rとなるからである。 
(「証明」終わり)

次に一般の四面体ABCDについて、その6辺の長さをBC=a,CA=b,AB=c,AD=d,BD=e,CD=f
とおく。
これが[等面四面体ABCD]⇔AD=BC,BD=CA,CD=AB⇔d=a,e=b,f=cであった。ゆえに
等面四面体ABCDの諸量を△ABCの3辺a,b,cで表すことができる。これらはまた次の
(1.1)に述べる、[正の数]x,y,zで全て表される。

等面四面体ABCDについて、その[外心O]の重心座標をを以前のblogの
ようにして求め、detJ(3)がどうなるか、したがって体積をVとするとき、V^2もa,b,c
で表そう。そしてこのとき、[外心O]=[重心G]となることを示す。また、
[【外接球面O】の半径をRとして、R^2をa,b,cで]表し、[【内接球面I】の半径をrとして
r^2もa,b,cで]表そう。そのため2017_04_21(金)にも述べた正の数x,y,zを△ABCで用いて、、
 x=((→AB),(→AC)),y=((→BA),(→BC)),z=((→CA),(→CB))・・・(1.1)とおく。このとき、
 x=((→AB),(→AC))=((→BA),(→BD))=((→CA),(→CD))=((→DB),(→DC)),
 y=((→BA),(→BC))=((→AB),(→AD))=((→CB),(→CD))=((→DA),(→DC)),
 z=((→CA),(→CB))=((→BC),(→BD))=((→AC),(→AD))=((→DA),(→DB)) 
 ・・・(1.2) であった。このとき、三角形ABCの議論より、AB^2=x+y,BC^2=y+z,AC^2=x+z
なので、AB^2=CD^2=x+y,BC^2=AD^2=y+z,AC^2=BD^2=x+z ・・・(1.3)となる。そして
 x=(b^2+c^2-a^2)/2,y=(c^2+a^2-b^2)/2,z=(a^2+b^2-c^2)/2・・・(1.4) ,
4S^2=yz+xz+xy ・・・(1.5) だった。ここに S_A=S_B=S_C=S_D=Sとした。

まず、
[補題2.1]
四面体ABCDの[外心O]に対し、Oの真の重心座標を(κ,λ,μ,ν),κ+λ+μ+ν=1 ・・・(2.1.1)
⇔(→PO)=κ(→PA)+λ(→PB)+μ(→PC)+ν(→PD), κ+λ+μ+ν=1 for ∀P∈E^n ・・・(2.1.2)
 としたとき、
⇔(→AO)=λ(→AB)+μ(→AC)+ν(→AD), κ+λ+μ+ν=1・・・(2.1.3)であるが、
Oが外心
⇔((→AO),(→AB))=(1/2)|(→AB)|^2,((→AO),(→AC))=(1/2)|(→AC)|^2,
  ((→AO),(→AD))=(1/2)|(→AD)|^2
・・・(2.1.4)
であった。

◎等面四面体ABCDの[外心O]を求める。
そこで (2.1.3)を(2.1.4)に代入して、
(λ(→AB)+μ(→AC)+ν(→AD),(→AB))=(1/2)|(→AB)|^2,
(λ(→AB)+μ(→AC)+ν(→AD),(→AC))=(1/2)|(→AC)|^2,
(λ(→AB)+μ(→AC)+ν(→AD),(→AD))=(1/2)|(→AD)|^2  これを分配法則を用いて展開すれば、
次のλ,μ,νの行列方程式
(((→AB),(→AB))   ((→AC),(→AB))   ((→AD),(→AB)))(λ)
(((→AB),(→AC))   ((→AC),(→AC))   ((→AD),(→AC)))(μ)
(((→AB),(→AD))   ((→AC),(→AD))   ((→AD),(→AD)))(ν)
=
(1/2|(→AB)|^2)
(1/2|(→AC)|^2)
(1/2|(→AD)|^2)
・・・(2.1.5) を得る。ここで以前のblogで定義したように、
J(3)
=
(((→AB),(→AB))   ((→AB),(→AC))   ((→AB),(→AD)))
(((→AC),(→AB))   ((→AC),(→AC))   ((→AC),(→AD)))
(((→AD),(→AB))   ((→AD),(→AC))   ((→AD),(→AD)))
=
(((→AB),(→AB))   ((→AC),(→AB))   ((→AD),(→AB)))
(((→AB),(→AC))   ((→AC),(→AC))   ((→AD),(→AC)))
(((→AB),(→AD))   ((→AC),(→AD))   ((→AD),(→AD))) ・・・(2.1.6)
であるから、(1.2),(1.3)により、(2.1.6)は、
J(3)
=
(x+y    x    y )
( x    x+z   z )
( y     z   y+z)
・・・(2.1.7) となる。また同様にして
(2.1.5)は
(x+y    x    y )(λ)
( x    x+z   z )(μ)
( y     z   y+z)(ν)
=
((1/2)(x+y))
((1/2)(x+z))
((1/2)(y+z))
・・・(2.1.8) となる。そこで、[命題2.2]として、J(3) 及び detJ(3)について
掲げておく。
[命題2.2]
等面四面体ABCDにおいて、(1.1)のようにおく。すると(1.2),(1.3)が成り立つので、
J(3)
=
(x+y    x     y )
( x    x+z    z )
( y     z    y+z)
・・・(2.2.1)
また、detJ(3)=4xyz>0 ・・・(2.2.2) となる。さらにCramerの公式を使うために、
K(λ)=
(x+y    x     y )
(x+z   x+z    z )
(y+z    z    y+z)
K(μ)=
(x+y   x+y    y )
( x    x+z    z )
( y    y+z   y+z)
K(ν)=
(x+y    x    x+y)
( x    x+z   x+z)
( y     z    y+z)
とおけば、
detK(λ)=detK(μ)=detK(ν)=2xyz ・・・(2.2.3)
また xyz=9V^2 ⇔ V^2=1/72(b^2+c^2-a^2)(c^2+a^2-b^2)(a^2+b^2-c^2) ・・・(2.2.4)
ここに Vは等面四面体ABCDの体積である。
「証明」
detJ(3)=4xyz ・・・(2.2.2)を示す。
detJ(3)=
|x+y    x     y |
| x    x+z    z | [2列・3列を第1列から引く]
| y     z    y+z|
=
| 0     x     y |
|-2z   x+z    z |
|-2z    z    y+z|
=-2z×
| 0     x     y |
| 1    x+z    z |
| 1     z    y+z|
=-2z×
| 0     x     y |
| 0     x    -y |
| 1     z    y+z|
=-2z×
| x     y |
| x    -y |
=-2xyz×
| 1     1 |
| 1    -1 |
=4xyz>0 (∵ x>0,y>0,z>0 )

ゆえに (2.2.2)が示された。
次に
detJ(3)=(3!V)^2 から 4xyz=36V^2 ⇔xyz=9V^2 となり、これに(1.4)を代入すれば
1/8(b^2+c^2-a^2)(c^2+a^2-b^2)(a^2+b^2-c^2)=9V^2 ⇔
 V^2=1/72(b^2+c^2-a^2)(c^2+a^2-b^2)(a^2+b^2-c^2) ・・・(2.2.4)が示された。
さらに、
detK(λ)=
|x+y    x     y |
|x+z   x+z    z |
|y+z    z    y+z|
=
| 0     x     y |
|-z    x+z    z |
|-z     z    y+z|
=
-z×
| 0     x     y |
| 1    x+z    z |
| 1     z    y+z|
=-z×
| 0     x     y |
| 0     x    -y |
| 1     z    y+z|
=-z×
| x     y |
| x    -y |
=2xyz 即ち detK(λ)=2xyz となる。同様にして detK(μ)=detK(ν)=2xyz ・・・(2.2.3)
が示される。
(「証明」終わり)

[定理2.3]
等面四面体ABCDの外心Oはその重心Gに等しい。・・・(2.3.1)、したがって外接球面の半径Rは、
|→AG|=R から x,y,zを用いて、R^2=(x+y+z)/4 ・・・(2.3.2) と表される。a,b,cで表せば、
R^2=(a^2+b^2+c^2)/8 ・・・(2.3.3) である。
特に正四面体ABCDでは、R^2=(3a^2)/8 ・・・(2.3.4) になる。
「証明」
[補題2.1]の次の
「◎等面四面体ABCDの[外心O]を求める。」の以下のところを参照し(2.1.8)を Cramerの
公式で解けば、[命題2.2]を使うと(2.2.2)(2.2.3)から、

λ=(1/2)detK(λ)/detJ(3)=1/2×(2xyz)/(4xyz)=1/4,
μ=(1/2)detK(μ)/detJ(3)=1/2×(2xyz)/(4xyz)=1/4,
ν=(1/2)detK(ν)/detJ(3)=1/2×(2xyz)/(4xyz)=1/4 ゆえにκ+λ+μ+ν=1 から
κ=1/4 となる。これを 四面体ABCDの(2.1.2)に代入して、[外心O]に対し
そのベクトルによる重心座標表現は、
(→PO)=1/4(→PA)+1/4(→PB)+1/4(→PC)+1/4(→PD),  for ∀P∈E^n となる。
つまり[外心O]の 真の重心座標は[重心G]の真の重心座標(1/4,1/4,1/4,1/4)に等しい。
したがって [外心O]=[重心G] となる。これで(2.3.1)が示された。

よって外接球面Oの
半径をRとすれば、R=|(→AO)|=|(→AG)| である。(→AG)=1/4[(→AB)+(→AC)+(→AD)]
であって、(1.2)のx=((→AB),(→AC)),y=((→AB),(→AD)),z=((→AC),(→AD))と 
と(1.3)の AB^2=x+y,AD^2=BC^2=y+z,AC^2=x+z により、

 R^2=|(→AG)|^2
=1/16[AB^2+AC^2+AD^2+2((→AB),(→AC))+2((→AB),(→AD))+2((→AB),(→AD))]
=1/16[(x+y)+(x+z)+BC^2+2x+2y+2z]=1/16[2x+y+z+(y+z)+2(x+y+z)]
=1/16[4(x+y+z)]
=1/4(x+y+z) となって、(2.3.2)が示された。
このとき (1.4)の
 x=(b^2+c^2-a^2)/2,y=(c^2+a^2-b^2)/2,z=(a^2+b^2-c^2)/2 を使えば、
 R^2=1/4(x+y+z)=1/8[(b^2+c^2-a^2)+(c^2+a^2-b^2)+(a^2+b^2-c^2)]
   =1/8[a^2+b^2+c^2] となって、(2.3.3)が示された。よってまた、c=b=a とすれば、
一辺の長さがaの正四面体ABCDの外接球面の半径Rについては、R^2=(3a^2)/8 ・・・(2.3.4)
になる。

[補足]
(2.3.3)は以前のblog または「本」のP136,P137で述べたことを使えば次の様にも示される。
一般の四面体ABCDにたいしての R^2は
R^2=1/[16detJ(3)]×[(ad+be+cf)(be+cf-ad)(cf+ad-be)(ad+be-cf)] である。等面四面体ABCDの
条件 d=a,e=b,f=c 及び(2.2.2)の detJ(3)=4xyz をこれに代入して、
R^2=1/(16×4xyz)[(a^2+b^2+c^2)(b^2+c^2-a^2)(c^2+a^2-b^2)(a^2+b^2-c^2)]
   =1/(16×4xyz)[(a^2+b^2+c^2)×2x×2y×2z]
  =1/8[a^2+b^2+c^2] として求めることができるわけである。[∵(1.4) ]
(「証明」終わり)

[定理2.4]
等面四面体ABCDの内接球面の半径r,及び傍接球面の半径r_A,r_B,r_C,r_Dについては、
r^2=(xyz)/4(yz+xz+xy) ・・・(2.4.1) ,
(r_A)^2=(r_B)^2=(r_C)^2=(r_D)^2=(xyz)/(yz+xz+xy)・・・(2.4.2) ,
3辺a,b,cで表すと
 r^2
=[(b^2+c^2-a^2)(c^2+a^2-b^2)(a^2+b^2-c^2)]/[8(a+b+c)(b+c-a)(c+a-b)(a+b-c)]
  ・・・(2.4.3)

(r_A)^2=(r_B)^2=(r_C)^2=(r_D)^2
=[(b^2+c^2-a^2)(c^2+a^2-b^2)(a^2+b^2-c^2)]/[2(a+b+c)(b+c-a)(c+a-b)(a+b-c)]
  ・・・(2.4.4)
特に一辺の長さがaの正四面体ABCDでは
 r^2  =(a^2)/24 ・・・(2.4.5),傍接球面の半径はみな等しくて、
  (r_A)^2=(r_B)^2=(r_C)^2=(r_D)^2=(a^2)/6 ・・・(2.4.6)
 
「証明」
[命題1.3]でも述べたように、r=(3V)/(2F) ⇔ r^2=(9V^2)/(2F)^2
ゆえに等面四面体ABCでは、2F=4S,また[命題2.4]の(2.2.4)から、xyz=9V^2 よって
(1.5)から、 r^2=(xyz)/(4S)^2=(xyz)/4(4S^2)=(xyz)/4(yz+xz+xy) となり(2.4.1)が
示された。よってまた[命題1.3]より (r_A)^2=(r_B)^2=(r_C)^2=(r_D)^2=4r^2
 =(xyz)/(yz+xz+xy) として(2.4.2)が出てくる。

次にa,b,cでこれらを表すには、

ヘロンの公式の 16S^2=(a+b+c)(b+c-a)(c+a-b)(a+b-c) ・・・(2.4.7)と(1.4)を使う。
すると r^2=(xyz)/(4S)^2=(xyz)/(16S^2)
 =(b^2+c^2-a^2)/2×(c^2+a^2-b^2)/2×(a^2+b^2-c^2)/2÷
  [(a+b+c)(b+c-a)(c+a-b)(a+b-c)]
 =(b^2+c^2-a^2)(c^2+a^2-b^2)(a^2+b^2-c^2)/[8(a+b+c)(b+c-a)(c+a-b)(a+b-c)]
 となり、(2.4.3)が出て、
 これを4倍して、
 (r_A)^2=(r_B)^2=(r_C)^2=(r_D)^2
 =[(b^2+c^2-a^2)(c^2+a^2-b^2)(a^2+b^2-c^2)]/[2(a+b+c)(b+c-a)(c+a-b)(a+b-c)]
 となり (2.4.4)が得られた。

 特に一辺の長さがaの正四面体ABCDでは、
 r^2
 =[(a^2)(a^2)(a^2)]/[8×3a(a)(a)(a)]=a^6/(24a^4)
 =(a^2)/24 が出てくる。これを4倍して 
(r_A)^2=(r_B)^2=(r_C)^2=(r_D)^2=(a^2)/6 となり(2.4.6)が得られた。
(「証明」終わり)
 [補足」
 因みに、一辺の長さがaの正三角形ABCにおいては 内接円の半径をr とすれば r^2=(a^2)/12、
傍接円の半径 r_A,r_B,r_Cは皆等しくて, r_A=r_B=r_C=3r だから
 (r_A)^2=(r_B)^2=(r_C)^2=9×(a^2)/12=(3a^2)/4 である。


[命題1.1]と[定理2.3]により、等面四面体ABCDの[外心O,内心Iはその重心G]に等しい。また
[内心I=重心G] ⇒ この四面体ABCDは等面四面体である。
実は、さらに
(1) [外心O=重心G]⇒ この四面体ABCDは等面四面体
(2) [外心O=内心I]⇒ この四面体ABCDは等面四面体
 ということも成り立つのであるが、私はまだそれぞれの[重心座標が等しい]ことだけによって
 直接これを示すことができていないでいる。なお、[定理2.3]と違う方法で重心座標によって
等面四面体ABCD ⇒[外心O=重心G] を直接示すことができている。これには1つの[命題]
が必要である。
なお(1)(2)については、[青空学園数学科]のホームページを見てください。次回の
等面四面体ABCDについての補足_其の2(予定)において、この[命題]と(1)の[青空学園数学科]の
分かりやすい計算方法を示すことにする。では次回また。


等面四面体ABCDにおける内接球面と傍接球面についての特殊性

2017年04月21日 | 考察

等面四面体ABCDにおける内接球面と傍接球面についての特殊性_2017_04_21(金)

以下[等面四面体ABCD]で考える。

[1].
以前の2017_01_30(月)のブログで、提示したように[等面四面体ABCD]の[内接球面I]と
各面との接点たちを考え、△BCD,△ACD,△ABD,△ABCとの接点をそれぞれ、
I^A,I^B,I^C,I^D とすると、そこの[定理2.3の系1]にあるように

[等面四面体ABCD]に関する真の重心座標はそれぞれ、

[事実1.1]

I^Aは、
(0,1/4[1+cosθ(B,A)],1/4[1+cosθ(C,A)],1/4[1+cosθ(D,A)] )
   ・・・(1.1.1)
I^Bは、
(1/4[1+cosθ(A,B)],0,1/4[1+cosθ(C,B)],1/4[1+cosθ(D,B)] )
   ・・・(1.1.2)
I^Cは、
(1/4[1+cosθ(A,C)],1/4[1+cosθ(B,C)],0,1/4[1+cosθ(D,C)] )
      ・・・(1.1.3)
I^Dは、
(1/4[1+cosθ(A,D)],1/4[1+cosθ(B,D)],1/4[1+cosθ(C,D)],0 )
      ・・・(1.1.4)
であった。
ここで、次の事実がある。

[事実1.2]
[等面四面体ABCD]では、
θ(D,A)=θ(B,C),θ(D,B)=θ(A,C),θ(D,C)=θ(A,B) ・・・(1.2)

であるので、[事実1.1]の(1.1.1)~(1.1.4)は、二面角θ(A,B),θ(B,C),θ(C,A)
だけを用いて、[なお一般の四面体ABCDにおいて勿論、θ(A,B)=θ(B,A)などである]

[命題1.3]
I^Aは、
(0,1/4[1+cosθ(B,A)],1/4[1+cosθ(C,A)],1/4[1+cosθ(B,C)] )
   ・・・(1.3.1)
I^Bは、
(1/4[1+cosθ(A,B)],0,1/4[1+cosθ(C,B)],1/4[1+cosθ(A,C)] )
   ・・・(1.3.2)
I^Cは、
(1/4[1+cosθ(A,C)],1/4[1+cosθ(B,C)],0,1/4[1+cosθ(A,B))] )
      ・・・(1.3.3)
I^Dは、
(1/4[1+cosθ(B,C)],1/4[1+cosθ(A,C)],1/4[1+cosθ(A,B)],0 )
      ・・・(1.3.4)
と書ける。
2017_03_14(火)にも述べたように、[等面四面体ABCD]では、次の[事実4.3]
があった。番号を付け直して、
[事実1.4]
 等面四面体ABCDについて、4つの面は合同な鋭角三角形である。△ABCにおいて
 BC=a,CA=b,AB=c,また AD=BC=a,BD=AC=b,CD=AB=c ・・・(1.4.1)とし、
  x=((→AB),(→AC)),y=((→BA),(→BC)),z=((→CA),(→CB))・・・(1.4.2)
 とおけば、x>0,y>0,z>0 ・・・(1.4.3)で
 x=((→AB),(→AC))=((→BA),(→BD))=((→CA),(→CD))=((→DB),(→DC)),
 y=((→BA),(→BC))=((→AB),(→AD))=((→CB),(→CD))=((→DA),(→DC)),
 z=((→CA),(→CB))=((→BC),(→BD))=((→AC),(→AD))=((→DA),(→DB))
 ・・・(1.4.4)であって、x+y=AB^2,x+z=AC^2,y+z=BC^2 ,
 4(S_D)^2=yz+xz+xy ・・・(1.4.5)となり、等面四面体ABCDの諸量は、
 △ABCと同様に正の数 x=((→AB),(→AC)),y=((→BA),(→BC)),z=((→CA),(→CB))
 で表せる。そして x=(b^2+c^2-a^2)/2,y=(c^2+a^2-b^2)/2,z=(a^2+b^2-c^2)/2
  ・・・(1.4.6) となることも昔のブログで述べた通りである。

 このとき次の公式が成立する。(「本」の[命題12.25] )
 cosθ(A,B)=cosθ(C,D)=[yz+xz-xy]/[yz+xz+xy] ・・・(1.4.7)
 cosθ(A,C)=cosθ(B,D)=[yz-xz+xy]/[yz+xz+xy] ・・・(1.4.8)
 cosθ(A,D)=cosθ(B,C)=[-yz+xz+xy]/[yz+xz+xy] ・・・(1.4.9) である。
(「本」の引用終わり)
 が成り立つ。

このことを使う。
まず、(1.4.7)~(1.4.9)を用いれば、[命題1.3]は
1+cosθ(B,A)=1+[yz+xz-xy]/[yz+xz+xy]=(2yz+2xz)/[yz+xz+xy]

=2z(x+y)/[yz+xz+xy] などから、

[命題1.5]
I^Aは
(0,z(x+y)/[2(yz+xz+xy)],y(x+z)/[2(yz+xz+xy)],x(y+z)/[2(yz+xz+xy)] )
   ・・・(1.5.1)
I^Bは、
(z(x+y)/[2(yz+xz+xy)],0,x(y+z)/[2(yz+xz+xy)],y(x+z)/[2(yz+xz+xy)] )
   ・・・(1.5.2)
I^Cは、
(y(x+z)/[2(yz+xz+xy)],x(y+z)/[2(yz+xz+xy)] ,0,z(x+y)/[2(yz+xz+xy)] )
      ・・・(1.5.3)
I^Dは、
(x(y+z)/[2(yz+xz+xy)] ,y(x+z)/[2(yz+xz+xy)],z(x+y)/[2(yz+xz+xy)],0 )
      ・・・(1.5.4)
となる。

ところで、等面四面体ABCDにおいては、△DCB≡△CDA≡△BAD≡△ABC
である。[図1参照]
I^Dの四面体ABCDとしての真の重心座標は(1.5.4)であるが、I^D∈△ABCと見たときの
真の重心座標は、(x(y+z)/[2(yz+xz+xy)] ,y(x+z)/[2(yz+xz+xy)],z(x+y)/[2(yz+xz+xy)] )
      ・・・(1.6.1)となる。
⇔ (→P(I^D))=x(y+z)/[2(yz+xz+xy)](→PA)+y(x+z)/[2(yz+xz+xy)](→PB)
      + z(x+y)/[2(yz+xz+xy)](→PC) for ∀P∈E^n ( ただし△ABC⊆E^3⊆E^n )
     ・・・(1.6.2)
これは I^D∈△ABCと見たときの I^Dの「ベクトルによる重心座標表現」である。ところが、
2008_10_08(水)の「あれこれゆっくりと学びについて考える」のブログの(2.1.1)式に
示したように、△ABCの「外心O」の「ベクトルによる重心座標表現」は、
  (→PO)=1/[2detJ(2)][x(y+z)(→PA)+y(x+z)(→PB)+z(x+y)(→PC)]
       for ∀P∈E^n ( ただし△ABC⊆E^3⊆E^n )
   ・・・(1.6.3) である。ここで、
 detJ(2)=4S^2=yz+xz+xy ( ∵ (1.4.5) )だから
(1.6.2)と(1.6.3)の右辺は同じである。よって「ベクトルによる重心座標表現」の
一意性から「I^D=△ABCの外心O」となる。
同様にして、I^AはI^A∈△DCBとみたときの△DCB [順番注意!]の「外心」、
I^BはI^B∈△CDAとみたときの△CDA [順番注意!]の「外心」,
I^CはI^C∈△BADとみたときの△BAD [順番注意!]の「外心」 であることが分かった。これを
[命題1.6]として記しておこう。

[命題1.6]

等面四面体ABCDにおいて、△DCB≡△CDA≡△BAD≡△ABCであるが、
[内接球面I]と△DCB,△CDA,△BAD,△ABCのそれぞれとの接点I^A,I^B,I^C,I^Dは
△DCB,△CDA,△BAD,△ABCのそれぞれの「外心」になる。

[2].
さて、[等面四面体ABCD]の[傍接球面E^D]について考察しよう。
まず、2017_02_15(水)で述べたように、次の[命題1.6]があった。これを番号を付け替えて

[命題2.1]
[等面四面体ABCD]において、
傍接球面E_Dと△BCD,△ACD,△ABD,△ABC(を含む平面)との接点をそれぞれ、
(E_D)^A,(E_D)^B,(E_D)^C,(E_D)^D で表すとき、その四面体ABCDに関する
真の重心座標は次のようになる。

(E_D)^A:
( 0,(1+cosθ(B,A))/2,(1+cosθ(C,A))/2,-(1-cosθ(D,A))/2 )・・・(2.1.1)
(E_D)^B:
( (1+cosθ(A,B))/2,0,(1+cosθ(C,B))/2,-(1-cosθ(D,B))/2 )・・・(2.1.2)
(E_D)^C:
( (1+cosθ(A,C))/2,(1+cosθ(B,C))/2,0,-(1-cosθ(D,C))/2 )・・・(2.1.3)
(E_D)^D:
( (1-cosθ(A,D))/2, (1-cosθ(B,D))/2, (1-cosθ(C,D))/2,0 )・・・(2.1.4)

☆まず (E_D)^Dが△ABCの「垂心」になることを示す。

[命題2.2]

[等面四面体ABCD]については、[傍接球面E_D]
に対し(E_D)^Dは面△ABCの[垂心]になる。
「証明」
[事実1.2]を使う。[等面四面体ABCD]では、
θ(D,A)=θ(B,C),θ(D,B)=θ(A,C),θ(D,C)=θ(A,B) ・・・(1.2)より、

(E_D)^D:
( (1-cosθ(B,C))/2, (1-cosθ(A,C))/2, (1-cosθ(A,B))/2,0 )・・・(2.2.1)となる。
ここで、(1.4.7)~(1.4.9)を用いれば
 1-cosθ(B,C)=1-[-yz+xz+xy]/[yz+xz+xy]=2yz/[yz+xz+xy] より、
(1-cosθ(B,C))/2=yz/(yz+xz+xy),同様にして
(1-cosθ(A,C))/2=[1-(yz-xz+xy)/(yz+xz+xy)]/2=xz/(yz+xz+xy),
(1-cosθ(A,B))/2=[1-(yz+xz-xy)/(yz+xz+xy)]/2=xy/(yz+xz+xy)
よって 
(E_D)^D:の真の重心座標は (yz/(yz+xz+xy),xz/(yz+xz+xy),xy/(yz+xz+xy),0 )
となる。⇒ (E_D)^D∈△ABCと見たときの真の重心座標は、
 (yz/(yz+xz+xy),xz/(yz+xz+xy),xy/(yz+xz+xy) )
⇔ (→P((E_D)^D))=yz/(yz+xz+xy)(→PA)+xz/(yz+xz+xy)(→PB)
         +xy/(yz+xz+xy)(→PC) for ∀P∈E^n ( ただし△ABC⊆E^3⊆E^n )
     ・・・(2.2.2) 
 これが (E_D)^Dの「ベクトルによる重心座標表現」
一方、△ABCの「垂心H」の「ベクトルによる重心座標表現」は、2008_11_07(金)に提示したように、
  (→PH)=1/(4S^2)[yz(→PA)+xz(→PB)+xy(→PC)] for ∀P∈E^n 
 ( ただし△ABC⊆E^3⊆E^n )
     ・・・(2.2.3) 
であり、yz+xz+xy=4S^2 だから、(2.2.2)(2.2.3)の右辺は一致する。
ゆえに「ベクトルによる重心座標表現」の一意性から、(E_D)^D=「△ABCの垂心H」となる
ことが分かった。
([命題2.2]の「証明」終わり)

[命題2.3]
[等面四面体ABCD]において I^Bは線分 D((E_D)^B)の中点である。
即ち (E_D)^B は△CDAの「外心I^B」に関する、頂点Dの対称点である。

「証明」
前回_2017_03_14(火)の[命題1.2]で述べたように、一般の四面体ABCDにおいて、
I^Bは、D(E_D)^Bを (F-S_D):S_Dの比に内分する点である。[等面四面体ABCD]
において S_A=S_B=S_C=S_D=S とおけば 2F=S_A+S_B+S_C+S_D=4S ⇔ F=2S だから
(F-S_D):S_D=S:S=1:1 ゆえにI^Bは、D(E_D)^Bの中点である。
よって  (E_D)^B は△CDAの「外心I^B」に関する、頂点Dの対称点になる。
(「証明」終わり)
同様にして次のことが分かる。

[命題2.4]
[等面四面体ABCD]において
(E_A)^B は△CDAの「外心I^B」に関する、頂点Aの対称点,
(E_C)^B は△CDAの「外心I^B」に関する、頂点Cの対称点,

☆ 何かの役に立つかも知れないので次の[命題2.5]を記しておく。

[命題2.5]
[等面四面体ABCD]において (E_D)^A,(E_D)^B,(E_D)^Cの真の重心座標を、x,y,z
で表しておこう。
(E_D)^A:
( 0,z(x+y)/(yz+xz+xy),y(x+z)/(yz+xz+xy),-yz/(yz+xz+xy) )・・・(2.4.1)
(E_D)^B:
( z(x+y)/(yz+xz+xy),0,x(y+z)/(yz+xz+xy),-xz/(yz+xz+xy) )・・・(2.4.2)
(E_D)^C:
( y(x+z)/(yz+xz+xy),x(y+z)/(yz+xz+xy), 0,-xy/(yz+xz+xy) )・・・(2.4.3)

(1.4.7)~(1.4.9)を用いるだけである。

[命題2.3][命題2.4]のように「「外心」に関する、頂点Aの対称点」に三角形の
「心」の名前がついていることをご存知の方はお教え下さるよう「コメント」をお願いします。
お待ち申しております。ただし「あれこれゆっくりと学びについて考える」では「ブログ設定」で
「コメントを受け付けるよう」に「変更・保存」しても、そのようにできない。それでこれは
Goo-blogの方に変更・保存が機能するようお願いしたいところである。
さて、
 次に[等面四面体ABCD]において頂点Dから△ABCに下した垂線の足 H_Dが△ABCのどんな
点になるか調べよう。2017_03_14(火)の[定理3.1]に記したことを番号を付け替えて
つぎの[命題]とする。

[命題2.6]
 △ABC上にある見かけ上の4点 H_D,I^D,I_D,(E_D)^Dについて、もし2点が異なるなら、
見かけ上の4点 H_D,I^D,I_D,(E_D)^Dは全て異なり、異なる4点はこの順に
一直線上にあり、
 (H_D)(I^D):(I^D)(I_D)=(2F-S_D):S_D・・・(2.6.1),
 (I^D)(I_D):(I_D)(E_D)^D=(F-S_D):F ・・・(2.6.2)である。
これは「一般の四面体ABCD」について成り立つことであった。
[等面四面体ABCD]では、S_A=S_B=S_C=S_D だからこの共通な値をS とすれば、
(2.6.1),(2.6.2)はそれぞれ、次のようになる。
(H_D)(I^D):(I^D)(I_D)=(4S-S):S=3:1,(I^D)(I_D):(I_D)(E_D)^D=(2S-S):2S=1:2

よって
[定理2.7]
[等面四面体ABCD]では、△ABC上にある見かけ上、この順にある4点
  H_D,I^D,I_D,(E_D)^Dについて、

(H_D)(I^D):(I^D)(I_D)=3:1・・・(2.7.1),
(I^D)(I_D):(I_D)(E_D)^D=1:2・・・(2.7.2) よって特に

(H_D)(I^D):(I^D)((E_D)^D)=1:1・・・(2.7.3)

⇔ I^Dは(H_D)((E_D)^D) の中点・・・(2.7.4)

⇔ H_D は「△ABCの外心 I^D」に関する、「△ABCの垂心((E_D)^D」の対称点・・・(2.7.5)
となる。
「証明」
(2.7.3)を示す。(2.7.1),(2.7.2)により、
(H_D)(I^D):(I^D)((E_D)^D)=3:(1+2)=3:3=1:1
(「証明」終わり)
[定義2.8]
△ABCにおいて、「△ABCの外心 」に関する、「△ABCの垂心」の対称点
を de Longshamps 点(ド・ロンシャン点)という。

このことを使えば、[定理2.7]の(2.7.5)は次のようにいえる。
[定理2.9]
[等面四面体ABCD]においては、頂点Dから△ABCを含む平面へ下した垂線の足
H_Dは△ABCの「ド・ロンシャン点」になる。

ここで、△ABCの「ド・ロンシャン点」の真の重心座標を求めておこう。

[命題2.10]
△ABCの「ド・ロンシャン点」の真の重心座標は
( (-yz+xz+xy)/(yz+xz+xy),(yz-xz+xy)/(yz+xz+xy),(yz+xz-xy)/(yz+xz+xy) )
      ・・・(2.10.1)
「証明」
2017_03_14(火)の(3.1.9)で記したように、
一般の四面体ABCDにおいて、
H_Dは  ( (S_A/S_D)cosθ(A,D),(S_B/S_D)cosθ(B,D),(S_C/S_D)cosθ(C,D),0 )
 ・・・(3.1.9)
よって[等面四面体ABCD]においてH_Dの真の重心座標は
  ( cosθ(A,D),cosθ(B,D),cosθ(C,D),0 )
このH_Dは[等面四面体ABCD]では、[定理2.8]より△ABCの「ド・ロンシャン点」である。
即ち( cosθ(A,D),cosθ(B,D),cosθ(C,D) ) が△ABCに関する、「ド・ロンシャン点」
の真の重心座標になる。
これに(1.4.7)~(1.4.9)の
 cosθ(A,B)=cosθ(C,D)=[yz+xz-xy]/[yz+xz+xy] ・・・(1.4.7)
 cosθ(A,C)=cosθ(B,D)=[yz-xz+xy]/[yz+xz+xy] ・・・(1.4.8)
 cosθ(A,D)=cosθ(B,C)=[-yz+xz+xy]/[yz+xz+xy] ・・・(1.4.9)を使えば、
(2.10.1)がでる。
(「証明」終わり)

[定理2.11]
[等面四面体ABCD]において[頂点D]と[内心I]を結ぶ「直線DI」と△ABC
との交点I_Dの真の重心座標は (1/3,1/3,1/3,0) 
即ち「△ABCの重心」である。

「証明」
 一般の四面体ABCDにおいて、I^Dの真の重心座標は
 2017_03_14(火)の(3.1.11)式にあるように
 ( S_A/[2F-S_D],S_B/[2F-S_D],S_C/[2F-S_D],0 )・・・(3.1.11)
これに[等面四面体ABCD]の性質  S_A=S_B=S_C=S_D=S とおけば 2F=4Sだから、
 2F-S_D=3S よって 
S_A/[2F-S_D]=S_B/[2F-S_D]=S_C/[2F-S_D]=S/(3S)=1/3となるからである。

または、次のようにしても分かる。△ABC上にある見かけ上、この順にある4点
H_D,I^D,I_D,(E_D)^Dについて、[定理2.7]の(2.7.2)式
(I^D)(I_D):(I_D)(E_D)^D=1:2・・・(2.7.2)が成り立っている。
ここで、I^Dは△ABCの「外心」、(E_D)^Dは△ABCの「垂心」。よって (2.7.2)は
I_Dが「外心」と「垂心」を結ぶ見かけ上の線分をこの順に1:2の比に「内分」した
点であることを示している。ゆえに「オイラー線の関係」より、I_Dは「△ABCの
[重心]」となる。
(「証明」終わり)

[3].
以上により、[等面四面体ABCD]の△ABC上にある見かけ上、この順にある4点
H_D,I^D,I_D,(E_D)^D はそれぞれ△ABCの「ド・ロンシャン点」,「外心」,「重心」,
「垂心」であることが分かった。それに対し (E_D)^A,(E_D)^B,(E_D)^Cはそれぞれ、
△DCBの「[外心I^A]に関する」頂点Dの対称点,△CDAの「[外心I^B]に関する」
頂点Dの対称点,△BADの「[外心I^C]に関する」頂点Dの対称点であることが
分かった。
ただし、2017_03_14(火)の[定理3.1]の(イ)から[等面四面体ABCD]においても
[直線DI⊥△ABC]のときは、これら見かけ上の4点 H_D,I^D,I_D,(E_D)^Dは
△ABCの[重心]に一致してしまう。

ここで、2017_03_14(火)の[定理4.6]と同様にして、次の定理がでる。
[定理3.2]
 [等面四面体ABCD]において
  [直線DI]⊥△ABC ⇔ θ(A,D)=θ(B,D)=θ(C,D)
  ⇔ この[等面四面体ABCD]は正四面体ABCD

ゆえに[等面四面体ABCD]において[直線DI⊥△ABC]となるのはこの
[等面四面体ABCD]が正四面体ABCDのときである。

即ち[等面四面体ABCD]において見かけ上の4点 H_D,I^D,I_D,(E_D)^Dが全て異なるのは、
この[等面四面体ABCD]が「正四面体ABCD」でないときに限ることが分かる。


一般の四面体ABCDにおいて種々の点が一直線上にあることなど,特に、四面体の「6つの二面角が、すべて等しい四面体は、正四面体になる」

2017年03月14日 | 考察

一般の四面体ABCDにおいて、種々の点が一直線上にあることなど_

特に、四面体ABCDの「6つの二面角が、すべて等しい四面体は、正四面体になる」2017_03_14(火)

[1].
一般の四面体ABCDについて、
[内接球面Iの△ACDとの接点I^B]の真の重心座標が、

(S_A/(2F)[1+cosθ(A,B)],0,S_C/(2F)[1+cosθ(C,B)],S_D/(2F)[1+cosθ(D,B)] )
・・・(1.1.1) 及び

[傍接球面E_Dの△ACDとの接点(E_D)^B]の真の重心座標が

( S_A(1+cosθ(A,B))/[2(F-S_D)],0,S_C(1+cosθ(C,B))/[2(F-S_D)]
 ,-S_D(1-cosθ(D,B))/[2(F-S_D)] ) ・・・(1.1.2)

であることは、2017_01_31及び2017_02_15のブログで提示した。このとき、異なる3点
D,I^B,(E_D)^Bが一直線上にあることを示そう。
まず(1.1.1)から、∀P∈E^mに対して
(→PI^B)=S_A/(2F)[1+cosθ(A,B)](→PA)+S_C/(2F)[1+cosθ(C,B)](→PC)
       +S_D/(2F)[1+cosθ(D,B)](→PD) そこで P⇒Dとして、
(→DI^B)=S_A/(2F)[1+cosθ(A,B)](→DA)+S_C/(2F)[1+cosθ(C,B)](→DC)・・・(1.1.3)

同様にして(1.1.2)から、
(→D(E_D)^B)=S_A(1+cosθ(A,B))/[2(F-S_D)](→DA)
            +S_C(1+cosθ(C,B))/[2(F-S_D)](→DC)   ・・・(1.1.4) 
(1.1.3)と(1.1.4)より、
   (→D(E_D)^B)=(2F)/[2(F-S_D)](→DI^B) ・・・(1.1.5)
 ゆえに
[命題1.2]
 異なる3点 D,I^B,(E_D)^Bはこの順に一直線上にあり、しかも
  DI^B:D(E_D)^B=2(F-S_D):2F=(F-S_D):F ・・・(1.2.1)であることが
 分かった。
つまり I^BはD(E_D)^Bを (F-S_D):S_D の比に内分した点であることがいえた。

[2].
次に異なる3点D,I,E_Dがこの順に一直線上にあることは、

このブログ」で以前の2009_06_18に述べたが
もう一度示しておこう。

[事実2.1]
異なる3点である頂点D,内心I 及び傍心E_Dはこの順に一直線上にあり、
 DI:DE_D=2(F-S_D):2F=(F-S_D):F ・・・(2.1.1)
 即ち 内心Iは DE_Dを(F-S_D):S_D の比に内分する点である。・・・(2.1.2)

「証明」
内心I の真の重心座標は( S_A/(2F),S_B/(2F),S_C/(2F),S_D/(2F) )・・・(2.1.3)
傍心E_Dの真の重心座標は ( S_A/[2(F-S_D)],S_B/[2(F-S_D)],S_C/[2(F-S_D)],
-S_D/[2(F-S_D)] )  ・・・(2.1.4)だから、
 (→DI)=1/(2F)[S_A(→DA)+S_B(→DB)+S_C(→DC)]・・・(2.1.5),
 (→DE_D)=1/[2(F-S_D)][S_A(→DA)+S_B(→DB)+S_C(→DC)] である。
 よって
 (→DE_D)=2F/[2(F-S_D)]×1/(2F)[S_A(→DA)+S_B(→DB)+S_C(→DC)]
        =2F/[2(F-S_D)]×(→DI)・・・(2.1.6)
 したがって、(2.1.1)が成り立ち、F>S_D だから(2.1.2)も成り立つ。
(「証明」終わり)

[命題1.2]と[事実2.1]より次の[定理2.2]が成り立つことが分かる。

[定理2.2]
2つの直角三角形 △D(I^B)I ∽ △D(E_D)^B(E_D) であって、その相似比は、
 (F-S_D):F である。特に II^B :(E_D)(E_D)^B=r:r_D=(F-S_D):F
 ここにr,r_Dはそれぞれ、内接球面 I、傍接球面E_Dの半径である。

(最後の等号は、r=(3V)/(2F),r_D=(3V)/[2(F-S_D)]とも矛盾しない。ここに
Vは四面体ABCDの体積である。)

さらに、これも以前述べたことと同様にして、頂点Dと内心 Iを結ぶ直線と
△ABCとの交点をI_Dとすると、I_Dの△ABCに関する真の重心座標は
( S_A/[S_A+S_B+S_C],S_B/[S_A+S_B+S_C],S_C/[S_A+S_B+S_C] ) よって
I_Dの四面体ABCDに関する真の重心座標は
( S_A/[S_A+S_B+S_C],S_B/[S_A+S_B+S_C],S_C/[S_A+S_B+S_C],0 )・・・(2.1.7)となる。
ゆえに
(2.1.5)と(2.1.7)より S_A+S_B+S_C=2F-S_Dを用いて、

[命題2.3]
(→DI_D)=[(2F)/(2F-S_D)](→DI)・・・(2.3.1)がわかり、
 DI:DI_D=(2F-S_D):2F ・・・(2.3.2)とわかる。
即ち DI:II_D=(2F-S_D):S_D・・・(2.3.3)であり、[事実2.1]と併せて
異なる4点 D,I,I_D,E_Dはこの順に一直線上にあることがわかった。

( なお、[命題2.3]は2009_06_18頃に記したブログの内容の一部と同様である。)
[3].
[命題1.2]と[定理2.2]は大切であったが、もっと重要なことを述べてゆく。
四面体ABCDがあって、頂点Dから対面の△ABCに下した垂線の足を前と同じく
H_Dで表す。また内心 Iから△ABCに下した垂線の足が[内接球面 I]の△ABCとの
接点I^D である。このとき、次のことがいえる。

[定理3.1]
(ア)
△ABC上にある見かけ上の4点 H_D,I^D,I_D,(E_D)^Dについて、もし2点が異なるなら、
見かけ上の4点 H_D,I^D,I_D,(E_D)^Dは全て異なり、異なる4点はこの順に
一直線上にあり、
 (H_D)(I^D):(I^D)(I_D)=(2F-S_D):S_D・・・(3.1.1),
 (I^D)(I_D):(I_D)(E_D)^D=(F-S_D):F ・・・(3.1.2),
よって
 (H_D)(I^D):(I^D)(I_D):(I_D)(E_D)^D =(F-S_D)(2F-S_D):(F-S_D)(S_D):F(S_D)
 ・・・(3.1.3) となる。
(イ)
△ABC上にある見かけ上の4点 H_D,I^D,I_D,(E_D)^Dについて、もし2点が一致する
ならば見かけ上の4点は1点に一致する。
その条件は
 (1) 二面角 θ(A,D),θ(B,D),θ(C,D)について、
   θ(A,D)=θ(B,D)=θ(C,D) ・・・(3.1.4)となること

(2) cosθ(A,D)=cosθ(B,D)=cosθ(C,D)・・・(3.1.5) となること、

(3) cosθ(A,D)=cosθ(B,D)=cosθ(C,D)=(S_D)/(2F-S_D)・・・(3.1.6) となること。
 よって特に、このときθ(A,D)=θ(B,D)=θ(C,D)は鋭角になる。・・・(3.1.7)

(4)「内心」を Iとするとき、
  [直線 DI]⊥△ABC・・・(3.1.8)であること。

☆[定理3.1]の「証明」であるが、内容が沢山あるので少しずつ分けて証明してゆく。
まず、
[定理3.1]の(ア)について。
見かけ上の4点 H_D,I^D,I_D,(E_D)^Dについて、これらが全て異なる点としておく。
このとき、異なる4点はこの順に一直線上にあり、(3.1.1)を満たすことを示す。
まず前回までと今回のブログで紹介したように、H_D,I^D,I_D,E_D^Dの真の重心座標は
H_Dは  ( (S_A/S_D)cosθ(A,D),(S_B/S_D)cosθ(B,D),(S_C/S_D)cosθ(C,D),0 )
 ・・・(3.1.9)
I^Dは  ( 1/(2F)×(S_A)[1+cosθ(A,D)],1/(2F)×(S_B)[1+cosθ(B,D)],
     1/(2F)×(S_C)[1+cosθ(C,D)], 0 ) ・・・(3.1.10)
I_Dは  ( S_A/[2F-S_D],S_B/[2F-S_D],S_C/[2F-S_D],0 )・・・(3.1.11)
(∵ (2.1.7) )
(E_D)^Dは( S_A(1-cosθ(A,D))/[2(F-S_D)],S_B(1-cosθ(B,D))/[2(F-S_D)]
 ,S_C(1-cosθ(C,D))/[2(F-S_D)],0 ) ・・・(3.1.12) である。

(1)
H_D,I^D,I_D について:

H_D,I_Dの重心座標の第1成分をみて、
 S_D×(S_A/S_D)cosθ(A,D)+(2F-S_D)×S_A/[2F-S_D]=(S_A)[1+cosθ(A,D)] により、
 S_D/(2F)×(S_A/S_D)cosθ(A,D)+(2F-S_D)/(2F)×S_A/[2F-S_D]
   =1/(2F)×(S_A)[1+cosθ(A,D)] この右辺は I^Dの第1成分であり、
 S_D/(2F)+(2F-S_D)/(2F)=1でもあるから、第2,第3成分も考えてI^Dは線分(H_D)(I_D)を
(2F-S_D)/(2F):S_D/(2F)=(2F-S_D):S_Dの比に内分した点になる。(∵ 内分点の公式による )
 即ち  (H_D)(I^D):(I^D)(I_D)=(2F-S_D):S_D

これで異なる3点H_D,I^D,I_D はこの順に一直線上にあって (3.1.1)が成り立つ
ことが分かった。

 (2)
I^D,I_D,(E_D)^Dについて:

I^D,(E_D)^Dの重心座標の第1成分をみて、
 (2F)×1/(2F)×(S_A)[1+cosθ(A,D)]+[2(F-S_D)]×S_A(1-cosθ(A,D))/[2(F-S_D)]
  =(S_A)[1+cosθ(A,D)]+(S_A)(1-cosθ(A,D))=2S_A により
 [F/(2F-S_D)]×1/(2F)×(S_A)[1+cosθ(A,D)]
 +[(F-S_D)/(2F-S_D)]×S_A(1-cosθ(A,D))/[2(F-S_D)]
 = S_A/[2F-S_D] この右辺は I_Dの第1成分であり、
 [F/(2F-S_D)]+[(F-S_D)/(2F-S_D)]=1 でもあるから、、第2,第3成分も考えて
 I_Dは線分 (I^D)(E_D)^D を(F-S_D):Fの比に内分した点になる。
  即ち (I^D)(I_D):(I_D)(E_D)^D=(F-S_D):F
 
これで異なる3点I^D,I_D,(E_D)^D はこの順に一直線上にあって (3.1.2)が成り立つ
ことが分かった。
 
以上(1)(2)により[定理3.1]の(ア)について、
△ABC上にある見かけ上の4点 H_D,I^D,I_D,(E_D)^Dについて、これらが全て異なる点として
おくとき [定理3.1]の(ア)が成り立つことが分かった。

次に、[定理3.1]の(ア)の残りと[定理3.1]の(イ)を示すために次の[命題3.2]を示す。

[命題3.2]
△ABC上にある見かけ上4つの点 H_D,I^D,I_D,(E_D)^Dから2つ取る組み合わせの個数は
4C2=6通りある。このとき

    H_D=I^D ⇔ H_D=I_D ⇔ H_D=(E_D)^D ⇔I^D=I_D ⇔ I^D=(E_D)^D ⇔I_D=(E_D)^D
            ⇔ cosθ(A,D)=cosθ(B,D)=cosθ(C,D)=(S_D)/(2F-S_D)

   が成り立つ。しかもこのとき、0<S_D<F ⇔ 0<(S_D)/(2F-S_D)<1 だから
  cosθ(A,D)=cosθ(B,D)=cosθ(C,D)=(S_D)/(2F-S_D)ならば、
  θ(A,D)=θ(B,D)=θ(C,D)はみな鋭角となる。
「[命題3.2]の証明」
 まず最初に 0<S_D<F ⇔ 0<(S_D)/(2F-S_D)<1 を示しておく。
 0<(S_D)/(2F-S_D)<1 ⇔ 0<S_D < 2F-S_D ⇔ 0<2(S_D)<2F
                       ⇔  0<S_D<F よって これは示された。次に
  H_D=I^D ⇔ cosθ(A,D)=cosθ(B,D)=cosθ(C,D)=(S_D)/(2F-S_D)を示そう。
   (3.1.9)と(3.1.10)によりH_D=I^D
   ⇔ 第1成分について、 (S_A/S_D)cosθ(A,D)=1/(2F)×(S_A)[1+cosθ(A,D)] ・・・(3.2.1)
    第2成分についても (S_B/S_D)cosθ(B,D)=1/(2F)×(S_B)[1+cosθ(B,D)] ・・・(3.2.2)
    第3成分についても (S_C/S_D)cosθ(C,D)=1/(2F)×(S_C)[1+cosθ(C,D)] ・・・(3.2.3)
 ここで、(3.2.1)⇔ (1/S_D)cosθ(A,D)=1/(2F)×[1+cosθ(A,D)]
         ⇔ (2F)cosθ(A,D)=(S_D)+(S_D)cosθ(A,D)
         ⇔ (2F-S_D)cosθ(A,D)=S_D
         ⇔ cosθ(A,D)=(S_D)/(2F-S_D) (∵ 2F-S_D>0 ) となる。
 第2成分、第3成分についても、(3.2.2) ⇔ cosθ(B,D)=(S_D)/(2F-S_D)
               (3.2.3) ⇔ cosθ(C,D)=(S_D)/(2F-S_D) となるので、
 H_D=I^D ⇔ cosθ(A,D)=cosθ(B,D)=cosθ(C,D)=(S_D)/(2F-S_D) が示された。
 H_D=I_D ⇔ cosθ(A,D)=cosθ(B,D)=cosθ(C,D)=(S_D)/(2F-S_D)も同様である。
 念のため、複雑そうな
 I^D=(E_D)^D ⇔ cosθ(A,D)=cosθ(B,D)=cosθ(C,D)=(S_D)/(2F-S_D) を示しておく。
  (3.1.10)と(3.1.12)により I^D=(E_D)^D
   ⇔ 第1成分について、1/(2F)×(S_A)[1+cosθ(A,D)]=S_A(1-cosθ(A,D))/[2(F-S_D)]
    ・・・(3.2.4)
    第2成分についても1/(2F)×(S_B)[1+cosθ(B,D)]=S_B(1-cosθ(B,D))/[2(F-S_D)]
    ・・・(3.2.5)
   第3成分についても1/(2F)×(S_C)[1+cosθ(C,D)]=S_C(1-cosθ(C,D))/[2(F-S_D)]
     ・・・(3.2.6)
 ここで、(3.2.4)⇔ [2(F-S_D)][1+cosθ(A,D)]=(2F)(1-cosθ(A,D))
         ⇔ (F-S_D)][1+cosθ(A,D)]=F-Fcosθ(A,D)
         ⇔ (2F-S_D)cosθ(A,D)=S_D
         ⇔ cosθ(A,D)=(S_D)/(2F-S_D) となる。
  第2成分、第3成分についても、(3.2.5) ⇔ cosθ(B,D)=(S_D)/(2F-S_D)
               (3.2.6) ⇔ cosθ(C,D)=(S_D)/(2F-S_D) となるので、
 I^D=(E_D)^D ⇔ cosθ(A,D)=cosθ(B,D)=cosθ(C,D)=(S_D)/(2F-S_D) が示された。
  他も同様である。
 ([命題3.2]の「証明」終わり)

☆[定理3.1]の「証明」の続き。
 [定理3.1]の(ア)の残りと[定理3.1]の(イ)の内(2)(3)は[命題3.2]に
  より 証明された。二面角の大きさは 0°<θ(A,D)<180°などにより
 (3.1.4)⇔(3.1.5) となる。明らかに (3.1.6) ⇒ (3.1.5)がいえる。
 この逆について 次の[補題3.3]を述べる。

 [補題3.3]
   一般の四面体ABCDにおいて、
    cosθ(A,D)=cosθ(B,D)=cosθ(C,D)・・・(3.1.5)
 ⇒ cosθ(A,D)=cosθ(B,D)=cosθ(C,D)=(S_D)/(2F-S_D) となる。
 「証明」
 (3.1.5)が成り立つとする。これを  第一余弦定理の一形
  S_D=(S_A)cosθ(A,D)+(S_B)cosθ(B,D)+(S_C)cosθ(C,D)に代入すれば、
  S_D=(S_A+S_B+S_C)cosθ(A,D) ・・・(3.3.1) となる。2F=S_A+S_B+S_C+S_D
  を用いて、S_A+S_B+S_C=2F-S_D よって (3.3.1)は、
  S_D=(2F-S_D)cosθ(A,D) ・・・(3.3.2) となる。ゆえに
  cosθ(C,D)=cosθ(B,D)=cosθ(A,D)=(S_D)/(2F-S_D) よって
  (3.1.6)が成り立つ。
 ([補題3.3]の「証明」終わり)

 次に(3.1.8) と(3.1.6) とが同値なこと、つまり、
     [直線 DI]⊥△ABC・・・(3.1.8)
 ⇔ cosθ(A,D)=cosθ(B,D)=cosθ(C,D)=(S_D)/(2F-S_D) ・・・(3.1.6)
  のことは、
  [直線 DI]⊥△ABC・・・(3.1.8) ⇔ I^D=I_D であって、[命題3.2]より
  I^D=I_D ⇔ cosθ(A,D)=cosθ(B,D)=cosθ(C,D)=(S_D)/(2F-S_D) ・・・(3.1.6)
 となることから分かる。
 また「見かけ上の4点が一致の云々と、異なるの云々」は[命題3.2]から分かる。
 
☆ 以上により[定理3.1] は「完全に証明された。」

[4].次の[定理4.1]が成り立つ。

[定理4.1]
一般の四面体ABCDにおいてその「内心」を Iとするとき、
 [直線AI]⊥△BCD ,[直線BI]⊥△ACD ,[直線CI]⊥△ABD
 ならば、
 この四面体ABCDは「等面四面体ABCD」になり、さらには
 実は「正四面体ABCD」となる。
この「証明」は段階に分けて行う。
まず、

[命題4.2]
一般の四面体ABCDにおいてその「内心」を Iとするとき、
 [直線AI]⊥△BCD ,[直線BI]⊥△ACD ,[直線CI]⊥△ABD
 ならば、
 [直線DI]⊥△ABCでもあり、、
  cosθ(A,B)=cosθ(A,C)=cosθ(A,D)
 =cosθ(B,C)=cosθ(B,D)=cosθ(C,D)=1/3となって、
 この四面体ABCDは「等面四面体ABCD」になる。
[命題4.2]の「証明」
  図を考えれば [直線AI]⊥△BCD  ⇔I^A=I_A であって、
  [命題3.2]と同様にして、   
    I^A=I_A
  ⇔ cosθ(B,A)=cosθ(C,A)=cosθ(D,A)=(S_A)/(2F-S_A)・・・(4.2.1)
 同様に
   [直線BI]⊥△ACD ⇔ I^B=I_B
  ⇔ cosθ(A,B)=cosθ(C,B)=cosθ(D,B)=(S_B)/(2F-S_B)・・・(4.2.2)
  [直線CI]⊥△ABD ⇔ I^C=I_C
 ⇔ cosθ(A,C)=cosθ(B,C)=cosθ(D,C)=(S_C)/(2F-S_C)・・・(4.2.3)
 (4.2.1)~(4.2.3)により、
 cosθ(A,B)=cosθ(A,C)=cosθ(A,D)=cosθ(B,C)=cosθ(B,D)=cosθ(C,D)
 =(S_A)/(2F-S_A)=(S_B)/(2F-S_B)=(S_C)/(2F-S_C)  ・・・ (4.2.4)
 よって特に   cosθ(A,D)=cosθ(B,D)=cosθ(C,D) ・・・ (4.2.5)
 ここで[補題3.3] から 
    cosθ(A,D)=cosθ(B,D)=cosθ(C,D)=(S_D)/(2F-S_D)・・・ (4.2.6)
 ゆえに[定理3.1]の(イ)の(3)(4)により、[直線DI]⊥△ABCとなる。また
 (4.2.4),(4.2.6)より
  cosθ(A,B)=cosθ(A,C)=cosθ(A,D)=cosθ(B,C)=cosθ(B,D)=cosθ(C,D)
 =(S_A)/(2F-S_A)=(S_B)/(2F-S_B)=(S_C)/(2F-S_C)=(S_D)/(2F-S_D)
 ・・・ (4.2.7)
 ところが関数 t → t/(2F-t) は開区間(0,2F) [t∈(0,2F) とする] において
  一対一(単射)であるから、 (4.2.7)より
 (S_A)/(2F-S_A)=(S_B)/(2F-S_B)=(S_C)/(2F-S_C)=(S_D)/(2F-S_D)
 ⇔ S_A=S_B=S_C=S_D となり、この四面体ABCDは「等積四面体] ゆえに
 [バンの定理]より、この四面体ABCDは「等面四面体ABCD」であることも分かった。
 また S_A=S_B=S_C=S_Dにより(4.2.7)の共通な値は、2F=4S_D から
 (S_D)/(2F-S_D)=(S_D)/(4S_D-S_D)=1/3 となる。
 ([命題4.2]の「証明」終わり)

★さて「本」のPP228~229にあるように、

[事実4.3]
 等面四面体ABCDについて、4つの面は合同な鋭角三角形である。△ABCにおいて
 BC=a,CA=b,AB=c,また AD=BC=a,BD=AC=b,CD=AB=c ・・・(4.3.1)とし、
  x=((→AB),(→AC)),y=((→BA),(→BC)),z=((→CA),(→CB))・・・(4.3.2)
 とおけば、x>0,y>0,z>0 ・・・(4.3.3)で
 x=((→AB),(→AC))=((→BA),(→BD))=((→CA),(→CD))=((→DB),(→DC)),
 y=((→BA),(→BC))=((→AB),(→AD))=((→CB),(→CD))=((→DA),(→DC)),
 z=((→CA),(→CB))=((→BC),(→BD))=((→AC),(→AD))=((→DA),(→DB))
 ・・・(4.3.4)であって、x+y=AB^2,x+z=AC^2,y+z=BC^2 ,
 4(S_D)^2=yz+xz+xy ・・・(4.3.5)となり、等面四面体ABCDの諸量は、
 △ABCと同様に正の数 x=((→AB),(→AC)),y=((→BA),(→BC)),z=((→CA),(→CB))
 で表せる。そして x=(b^2+c^2-a^2)/2,y=(c^2+a^2-b^2)/2,z=(a^2+b^2-c^2)/2
  ・・・(4.3.6) となることも昔のブログで述べた通りである。

 このとき次の公式が成立する。(「本」の[命題12.25] )
 cosθ(A,B)=cosθ(C,D)=[yz+xz-xy]/[yz+xz+xy] ・・・(4.3.7)
 cosθ(A,C)=cosθ(B,D)=[yz-xz+xy]/[yz+xz+xy] ・・・(4.3.8)
 cosθ(A,D)=cosθ(B,C)=[-yz+xz+xy]/[yz+xz+xy] ・・・(4.3.9) である。
(「本」の引用終わり)
 が成り立つ。

[命題4.4]
 [等面四面体ABCD]において  θ(A,B)=θ(A,C)
  ⇔ cosθ(A,B)=cosθ(A,C) ⇔ AB=AC [よって またBA=BD,CD=CA,DB=DC となる]
                ⇔ 各面は c=bの合同な2等辺三角形
「[命題4.4]の証明」
 等面四面体ABCDについて[事実4.3]のようにする。(4.3.7)と(4.3.8)により
  cosθ(A,B)=cosθ(A,C) ⇔  yz+xz-xy=yz-xz+xy (∵(4.3.5) )
   ⇔ 2xz=2xy ⇔ y=z (∵(4.3.3) ) ⇔ (c^2+a^2-b^2)/2=(a^2+b^2-c^2)/2
 (∵ (4.3.6))⇔ c^2=b^2 ⇔ c=b ⇔ AB=AC
  (「証明」終わり)
[命題4.5]
 [等面四面体ABCD]において θ(A,B)=θ(A,D)
  ⇔ cosθ(A,B)=cosθ(A,D) ⇔ AB=AD [よって またBA=BC,CD=CB,DC=DA となる]
                ⇔ 各面は a=c の合同な2等辺三角形
「[命題4.5]の証明」
 等面四面体ABCDについて[事実4.3]のようにする。(4.3.8)と(4.3.9)により
  cosθ(A,B)=cosθ(A,D) ⇔  yz+xz-xy=-yz+xz+xy  (∵(4.3.5) )
   ⇔ 2yz=2xy ⇔ z=x (∵(4.3.3) ) ⇔ (a^2+b^2-c^2)/2=(b^2+c^2-a^2)/2
 (∵ (4.3.6))⇔ a^2=c^2 ⇔ a=c ⇔ BC=AB ⇔ AD=AB (∵BC=AD← (4.3.1) )
  (「証明」終わり)
 (注意)他の二面角の余弦についても同様なことがいえる。
[定理4.6]
 [等面四面体ABCD]において
  [直線AI]⊥△BCD ⇔ cosθ(A,B)=cosθ(A,C)=cosθ(A,D)
  ⇔ この[等面四面体ABCD]は正四面体ABCD
「[定理4.6]の証明」
  [直線AI]⊥△BCD ⇔ cosθ(A,B)=cosθ(A,C)=cosθ(A,D)は「定理3.1]の(イ)
  と同様である。cosθ(A,B)=cosθ(A,C)=cosθ(A,D)
  ⇔ この[等面四面体ABCD]は正四面体ABCD であることは、
  [命題4.4]と[命題4.5]により cosθ(A,B)=cosθ(A,C)=cosθ(A,D)
 ⇔ c=b かつ a=c ⇔ a=b=c であることから分かる。
 (「証明」終わり)

「[定理4.1]の[証明」」
 一般の四面体ABCDにおいてその「内心」を Iとするとき、
 [直線AI]⊥△BCD ,[直線BI]⊥△ACD ,[直線CI]⊥△ABD であるとする。
 まず[命題4.2]により、[直線DI]⊥△ABCで、この四面体ABCDは
「等面四面体ABCD」になる。すると[定理4.6]と同様にして、
 ⇔ cosθ(A,D)=cosθ(B,D)=cosθ(C,D)
 ⇔ この[等面四面体ABCD]は正四面体ABCD
 となって「証明」された。

[定理4.1]から、二面角に着目して次のように述べることができる。
 [定理4.7]
 一般の四面体ABCDにおいて
 θ(A,B)=θ(A,C)=θ(A,D)=θ(B,C)=θ(B,D)=θ(C,D)[二面角が全て等しい]
 ならば、
 cosθ(A,B)=cosθ(A,C)=cosθ(A,D)
 =cosθ(B,C)=cosθ(B,D)=cosθ(C,D)=1/3 であって、
 この四面体ABCDは正四面体ABCD となる。

 この逆はもちろん正しい。


四面体の傍接球面と各面との接点の重心座標

2017年02月15日 | 考察

四面体の傍接球面と各面との接点の重心座標_2017_02_15(水)

前回の[命題1.3]は、ブログ発表後少し計算して2月1日(水)に

☆ (→TT^D)=ν(→DH_D) ・・・(#) を証明すればよいことに気が付き
[証明]が完成した。但し「本」のP220の[命題12.28]とP232の[命題12.37]
を使う。大事なことは、[命題12.28]が基本的で[命題12.37]はそれから
すぐでてきて[二面角]の余弦の6辺による表示を使用してないことである。
まず「本」の[命題12.27]を述べておこう。

「本」の[命題12.27]
一般の四面体ABCDの頂点Dから対面の△ABCに下した垂線の足をH_Dとし、
点H_Dの△ABCに関する重心座標を(κ_D,λ_D,μ_D)(順番注意) かつ
κ_D+λ_D+μ_D=1 とする。このとき、cosθ(D,A)=[S_D/S_A]κ_D
 ・・・(1)

[証明]は「本」をみてください。この(1)は「種を明かせば」簡単なことである。
「種」については「本」を見てください。
ついでに

「「本」の[命題12.28]」の一部も述べておこう。

cosθ(D,A)=[S_D/S_A]κ_D・・・(10) cosθ(D,B)=[S_D/S_B]λ_D・・・(11)
cosθ(D,C)=[S_D/S_C]μ_D・・・(12)
である。
☆ これより(10)(11)(12)から、[第一余弦定理]の別証明が得られる。
なぜなら、
(10)⇔(S_D)κ_D=(S_A)cosθ(D,A)・・・(13)⇔κ_D=[1/S_D](S_A)cosθ(D,A)・・・(16)
(11)⇔(S_D)λ_D=(S_B)cosθ(D,B)・・・(14)⇔λ_D=[1/S_D](S_B)cosθ(D,B)・・・(17)
(12)⇔(S_D)μ_D=(S_C)cosθ(D,C)・・・(15)⇔μ_D=[1/S_D](S_C)cosθ(D,C)・・・(18) 

である。

(13)(14)(15)の3式を両辺加えて、κ_D+λ_D+μ_D=1を使えば、

S_D=S_D(κ_D+λ_D+μ_D)
  =(S_A)cosθ(D,A)+(S_B)cosθ(D,B)+(S_C)cosθ(D,C)
即ち
 S_D=(S_A)cosθ(D,A)+(S_B)cosθ(D,B)+(S_C)cosθ(D,C)
となるからである。
少し話がわき道にそれた。さて「本」の「P232の[命題12.37]」を述べる前に、

[命題1.0]を述べておく。

[命題1.0]
一般の四面体ABCDの頂点Dから対面の△ABCに下した垂線の足をH_Dとし、
点H_Dの△ABCに関する重心座標を(κ_D,λ_D,μ_D)(順番注意) かつ
κ_D+λ_D+μ_D=1 とする。このとき、

 κ_D=[1/S_D](S_A)cosθ(D,A)・・・(1.0.1)
 λ_D=[1/S_D](S_B)cosθ(D,B)・・・(1.0.2)
 μ_D=[1/S_D](S_C)cosθ(D,C)・・・(1.0.3) である。

「証明」
上述の、☆の「なぜなら、」以下の文章の(16),(17),(18) による。
(「証明」終わり)

それでは、「本」の「P232の[命題12.37]」 を述べよう。それを今回のブログでは
[命題1.1] としておく。

[命題1.1]
一般の四面体ABCDにおいて頂点Dから△ABCに下した垂線の足をH_D
とする。点H_Dの△ABCに関する重心座標を(κ_D,λ_D,μ_D) 
かつκ_D+λ_D+μ_D=1 とする。つまり
(→PH_D)=κ_D(→PA)+λ_D(→PB)+μ_D(→PC) for ∀P∈E^m とすれば、

(→PH_D)
=[1/S_D][(S_A)cosθ(D,A)(→PA)+(S_B)cosθ(D,B)(→PB)+(S_C)cosθ(D,C)(→PC)] 
   for ∀P∈E^m ・・・(1.1.1) となる。
「証明」
[命題1.0]の(1.0.1),(1.0.2),(1.0.3)による。
(「証明」終わり)

さて、前回のブログの[命題1.3]に関連して冒頭のことを次の[定理1.2]として述べる。
[定理1.2]
四面体ABCD⊂E^3⊂E^mとしておく。T∈E^3とし、その真の重心座標が
T(κ,λ,μ,ν) 但し κ+λ+μ+ν=1・・・(1.2.1)であるとする。
このとき、点T∈E^3から△ABCを含む平面に下した垂線の足をT^D とすると、
 (→TT^D)=ν(→DH_D)・・・(1.2.2)が成り立つ。
「証明]
四線座標を使う。H_Dは頂点Dから対面の△ABCに下した垂線の足だから、
線分 TT^D//DH_D である。Dの重心座標は(0,0,0,1) そこでT,Dの四線座標を
それぞれ(α_T,β_T,γ_T,δ_T),(α_D,β_D,γ_D,δ_D)とすれば、
[重心座標と四線座標]との関係式から、δ_T=3V/(S_D)×ν ・・・(1.2.3),
δ_D=3V/(S_D)×1=3V/(S_D)・・・(1.2.4) そして四線座標の意味から、
δ_T=有効線分TT^D・・・(1.2.5),δ_D=有効線分DH_D・・・(1.2.6)である。

(1.2.3)と(1.2.4)から、δ_T=νδ_D・・・(1.2.7)となる。これは符号を含めて
正しい。よって(1.2.5)と(1.2.6)により、(1.2.7)は

[有効線分TT^D]=ν×[有効線分DH_D] となる。このことと TT^D//DH_D
をベクトルで表現すれば、
(→TT^D)=ν(→DH_D)・・・(1.2.2)が成り立つ。
(「証明」終わり)

[定理1.2]より[定理1.2]と同値な次の[定理1.3]がでてくる。

[定理1.3]
条件は[定理1.2]と同じとする。
このとき、
(→PT^D)=[κ+ν(S_A/S_D)cosθ(A,D)](→PA)+[λ+ν(S_B/S_D)cosθ(B,D)](→PB)
    +[μ+ν(S_C/S_D)cosθ(C,D)](→PC)       for ∀P∈E^m・・・(1.3.1)
 となり、T^Dの△ABCに関する真の重心座標は、
(κ+ν(S_A/S_D)cosθ(A,D),λ+ν(S_B/S_D)cosθ(B,D)
,μ+ν(S_C/S_D)cosθ(C,D)) ・・・(1.3.2)      となる。
「証明」
(1.2.2)の(→TT^D)=ν(→DH_D) 
    ⇔ (→PT^D)-(→PT)=ν[(→PH_D)-(→PD)]
       ⇔(→PT^D)=(→PT)+ν(→PH_D)-ν(→PD)・・・(1.3.3) ここで

[命題1.1]の(1.1.1)より
(→PH_D)=
[1/S_D][(S_A)cosθ(D,A)(→PA)+(S_B)cosθ(D,B)(→PB)+(S_C)cosθ(D,C)(→PC)]
 ・・・(1.3.4)

またTの真の重心座標がT(κ,λ,μ,ν)だから、
(→PT)=κ(→PA)+λ(→PB)+μ(→PC)+ν(→PD)・・・(1.3.5)
(1.3.4)と(1.3.5)を(1.3.3)に代入して(1.3.3)は、
(→PT^D)=κ(→PA)+λ(→PB)+μ(→PC)+ν(→PD)
     +ν×[(S_A/S_D)cosθ(A,D)(→PA)+(S_B/S_D)cosθ(B,D)(→PB)]
     +ν×[(S_C/S_D)cosθ(C,D)](→PC)-ν(→PD)
     =[κ+ν(S_A/S_D)cosθ(A,D)](→PA)+[λ+ν(S_B/S_D)cosθ(B,D)](→PB)
    +[μ+ν(S_C/S_D)cosθ(C,D)](→PC)
    となり、(1.3.1)がでてきた。
前回のブログで、(1.3.1)の(→PA),(→PB),(→PC)の係数の和=1が
確認してあるから、(1.3.2)も成り立つ。

逆であるところの[定理1.3]から[定理1.2]は、[第一余弦定理]からの、
ν(→PD)=[ν/S_D][(S_A)cosθ(A,D)+(S_B)cosθ(B,D)+(S_C)cosθ(C,D)](→PD)
を使うとでてくる。詳しいことは省略する。
(「証明」終わり)

これで前回のブログの[命題1.2],[命題1.3]が成り立つことが簡単に証明できた。
さて、本題の[傍接球面]の話に移る。
以前のブログで紹介したように、四面体ABCDの「傍心E_D」の真の重心座標は次の
ようであった。
[事実1.4]
四面体ABCDの「傍心E_D」の真の重心座標は
(S_A/[2(F-S_D)],S_B/[2(F-S_D)],S_C/[2(F-S_D)],-S_D/[2(F-S_D)])

以下、傍心E_Dを中心とした傍接球面を[傍接球面E_D]などと記述すること
にし、これと△BCD,△ACD,△ABD,△ABC(を含む平面)との接点をそれぞれ、
(E_D)^A,(E_D)^B,(E_D)^C,(E_D)^D で表すことにする。このとき、

[定理1.5]
傍接球面E_Dと△BCD,△ACD,△ABD,△ABC(を含む平面)との接点をそれぞれ、
(E_D)^A,(E_D)^B,(E_D)^C,(E_D)^D で表すとき、その四面体ABCDに関する
真の重心座標は次のようになる。
(E_D)^A:
( 0,S_B(1+cosθ(B,A))/[2(F-S_D)],S_C(1+cosθ(C,A))/[2(F-S_D)]
 ,-S_D(1-cosθ(D,A))/[2(F-S_D)] )・・・(1.5.1)
(E_D)^B:
( S_A(1+cosθ(A,B))/[2(F-S_D)],0,S_C(1+cosθ(C,B))/[2(F-S_D)]
 ,-S_D(1-cosθ(D,B))/[2(F-S_D)] )・・・(1.5.2)
(E_D)^C:
( S_A(1+cosθ(A,C))/[2(F-S_D)],S_B(1+cosθ(B,C))/[2(F-S_D)],0
 ,-S_D(1-cosθ(D,C))/[2(F-S_D)] )・・・(1.5.3)
(E_D)^D:
( S_A(1-cosθ(A,D))/[2(F-S_D)],S_B(1-cosθ(B,D))/[2(F-S_D)]
 ,S_C(1-cosθ(C,D))/[2(F-S_D)],0 )・・・(1.5.4)

(E_D)^Dだけ、他のものと様子が違うことに注意。

☆「証明」の前に、(E_D)^Aの各成分の和=1をまず示そう。
0+S_B(1+cosθ(B,A))/[2(F-S_D)]+S_C(1+cosθ(C,A))/[2(F-S_D)]
-S_D(1-cosθ(D,A))/[2(F-S_D)]
=[S_B(1+cosθ(B,A))+S_C(1+cosθ(C,A))-S_D(1-cosθ(D,A))]/[2(F-S_D)]
=[S_B+S_C-S_D+{(S_B)cosθ(B,A)+(S_C)cosθ(C,A)+(S_D)cosθ(D,A)}]
/[2(F-S_D)]
=[S_B+S_C-S_D+S_A]/[2(F-S_D)]
=[S_A+S_B+S_C-S_D]/[S_A+S_B+S_C-S_D]
=1
となり、まず(E_D)^Aの各成分の和=1が示された。ここで[第一余弦定理]
の S_A=(S_B)cosθ(B,A)+(S_C)cosθ(C,A)+(S_D)cosθ(D,A)を用いた。
(E_D)^B,(E_D)^Cの各成分の和=1も同様である。
次に、
(E_D)^Dの各成分の和=1を示す。なぜなら
 S_A(1-cosθ(A,D))/[2(F-S_D)]+S_B(1-cosθ(B,D))/[2(F-S_D)]
 +S_C(1-cosθ(C,D))/[2(F-S_D)]+0
=[(S_A+S_B+S_C)-{(S_A)cosθ(A,D)+(S_B)cosθ(B,D)+(S_C)cosθ(C,D)}]
/[2(F-S_D)]
=[S_A+S_B+S_C-S_D]/[2(F-S_D)]
=1
となるからである。

さて、
「[定理1.5]の証明」
(E_D)^A,(E_D)^Dとについて示す。
E_Dから△BCDに下した垂線の足が(E_D)^Aである。[定理1.3]と類似のものを使う。
△BCDであるから、(1.3.2)は
(E_D)^A:
(0,λ+κ[S_B/S_A]cosθ(B,A),μ+κ[S_C/S_A]cosθ(C,A)
,ν+κ[S_D/S_A]cosθ(D,A))の形に変わる。(前回のブログの[命題1.5.A]参照)
これにおいて、[事実1.4]より
κ=S_A/[2(F-S_D)],λ=S_B/[2(F-S_D)],μ=S_C/[2(F-S_D)],ν=-S_D/[2(F-S_D)]
であるから、
λ+κ(S_B/S_A)cosθ(B,A)
=S_B/[2(F-S_D)]+S_A/[2(F-S_D)]([S_B/S_A)cosθ(B,A)
=S_B(1+cosθ(B,A))/[2(F-S_D)] となる。
以下、同様にして、
μ+κ(S_C/S_A)cosθ(C,A)
=S_C/[2(F-S_D)]+S_A/[2(F-S_D)]×(S_C/S_A)cosθ(C,A)
=S_C(1+cosθ(C,A))/[2(F-S_D)],
ν+κ(S_D/S_A)cosθ(D,A)
=-S_D/[2(F-S_D)]+S_A/[2(F-S_D)]×(S_D/S_A)cosθ(D,A)
=-S_D(1-cosθ(D,A))/[2(F-S_D)]
となり、(1.5.1)が示された。

次に(1.5.4)を示す。
E_Dから△ABCに下した垂線の足が(E_D)^Dである。(1.3.2)より
(E_D)^D:
(κ+ν(S_A/S_D)cosθ(A,D),λ+ν(S_B/S_D)cosθ(B,D)
,μ+ν(S_C/S_D)cosθ(C,D),0) になる。 
これにκ=S_A/[2(F-S_D)],λ=S_B/[2(F-S_D)],μ=S_C/[2(F-S_D)],ν=-S_D/[2(F-S_D)]
を代入する。
κ+ν(S_A/S_D)cosθ(A,D)
=S_A/[2(F-S_D)]-S_D/[2(F-S_D)]×(S_A/S_D)cosθ(A,D)
=S_A(1-cosθ(A,D))/[2(F-S_D)]
また、
λ+ν(S_B/S_D)cosθ(B,D)
=S_B(1-cosθ(B,D))/[2(F-S_D)],μ+ν(S_C/S_D)cosθ(C,D)
=S_C(1-cosθ(C,D))/[2(F-S_D)]も同様である。
ゆえに (1.5.4)が示された。
([定理1.5]の「証明」終わり)

[定理1.5]より、等面四面体ABCDでは次のようになる。S_A=S_B=S_C=S_D=S
とおけば、2F=S+S+S+S=4Sとなるから、

[命題1.6]
等面四面体ABCDにおいて、
傍接球面E_Dと△BCD,△ACD,△ABD,△ABC(を含む平面)との接点をそれぞれ、
(E_D)^A,(E_D)^B,(E_D)^C,(E_D)^D で表すとき、その四面体ABCDに関する
真の重心座標は次のようになる。

(E_D)^A:
( 0,(1+cosθ(B,A))/2,(1+cosθ(C,A))/2,-(1-cosθ(D,A))/2 )・・・(1.6.1)
(E_D)^B:
( (1+cosθ(A,B))/2,0,(1+cosθ(C,B))/2,-(1-cosθ(D,B))/2 )・・・(1.6.2)
(E_D)^C:
( (1+cosθ(A,C))/2,(1+cosθ(B,C))/2,0,-(1-cosθ(D,C))/2 )・・・(1.6.3)
(E_D)^D:
( (1-cosθ(A,D))/2, (1-cosθ(B,D))/2, (1-cosθ(C,D))/2,0 )・・・(1.6.4)

☆等面四面体ABCDについては、
cosθ(A,B)=cosθ(C,D),cosθ(A,C)=cosθ(B,D),cosθ(A,D)=cosθ(B,C),かつ
cosθ(A,B)+cosθ(A,C)+cosθ(A,D)=1などが成り立つので、[内接球面I]と
各面との接点I^A,I^B,I^C,I^Dは各合同な面の[外心]になる。また[傍接球面E_D]
に対し(E_D)^Dは面△ABCの[垂心]になることが分かる。(E_D)^A,(E_D)^B,(E_D)^C
については特別な点ではなく、例えば(E_D)^Bについては、

頂点Dと(E_D)^Bとを結んだ線分 D(E_D)^Bの中点が、[外心]I^Bになる事くらいしかない。これは
頂点Dの真の重心座標が(0,0,0,1),I^Bは、
(1/4[1+cosθ(A,B)],0,1/4[1+cosθ(C,B)],1/4[1+cosθ(D,B)] )と、
(1.6.2)から分かると思う。(中点の公式!)

(E_D)^A,(E_D)^B,(E_D)^Cが各面の[垂心]ということではなく、次のように考える
べきである。

4つの[傍接球面E_A],[傍接球面E_B],[傍接球面E_C],[傍接球面E_D]に対し、
4つの点 (E_A)^A,(E_B)^B,(E_C)^C,(E_D)^Dが各面の[垂心]になるのであると。

これら[等面四面体」特有の事実については次回か次次回のブログで記述する
つもりである。
さて最後に、正四面体についてはどうなるのかを述べよう。

[命題1.7]
正四面体ABCDに対し、
傍接球面E_Dと△BCD,△ACD,△ABD,△ABC(を含む平面)との接点をそれぞれ、
(E_D)^A,(E_D)^B,(E_D)^C,(E_D)^D で表すとき、その四面体ABCDに関する
真の重心座標は次のようになる。

(E_D)^A:
( 0,2/3,2/3,-1/3 )・・・(1.7.1)
(E_D)^B:
( 2/3,0,2/3,-1/3 )・・・(1.7.2)
(E_D)^C:
( 2/3,2/3,0,-1/3 )・・・(1.7.3)
(E_D)^D:
( 1/3, 1/3, 1/3,0 )・・・(1.7.4) 即ち[△ABCの垂心]=[△ABCの重心]

「証明」
正四面体ABCDならば、[等面四面体ABCD]であるから[[命題1.6]が成り立つ。
また、正四面体ABCDについては[二面角]の余弦は容易に求まり、全て1/3に等しい。
即ち、

cosθ(B,A)=cosθ(C,A)=cosθ(D,A)=1/3 ・・・(1.7.5)
cosθ(A,B)=cosθ(C,B)=cosθ(D,B)=1/3 ・・・(1.7.6)
cosθ(A,C)=cosθ(B,C)=cosθ(D,C)=1/3 ・・・(1.7.7)
cosθ(A,D)=cosθ(B,D)=cosθ(C,D)=1/3 ・・・(1.7.8)

(1.7.5)を(1.6.1)に代入して (1.7.1)がでて、
(1.7.6)を(1.6.2)に代入して (1.7.2)がでて、
(1.7.7)を(1.6.3)に代入して (1.7.3)がでて、
(1.7.8)を(1.6.4)に代入して (1.7.4)がでてくる。
(「証明」終わり)

☆ では次回また。i アスタ・ラ・ヴィスタ!  I'll be back soon.
(i は「!」の上下逆マークの代用である )


四面体ABCDの「内接球面」の各側面との4つの接点「I^A,I^B,I^C,I^D」の重心座標

2017年01月31日 | 考察

四面体ABCDの「内接球面」の各側面との4つの接点「I^A,I^B,I^C,I^D」の重心座標_2017_01_31(火)

[1]
「重心座標による幾何学」の単行本化の以前に研究していた、2007年頃にWordで
打ったものを印刷したB4用紙の冊子第1部~第4部が2016_11_25(金)に見つかった。
その第4部に次のことが記してあった。

[命題1.1]
 四面体ABCD⊂E^3(E^3は3次元ユークリド空間)内の1点Tで、その
重心座標が、T(κ,λ,μ,ν),ただしκ+λ+μ+ν=1・・・(1.1.1)
の点Tから、「頂点Dの対面△ABCを含む平面」に下した垂線の足をT^Dとすると、
そのT^Dの△ABCに関する真の重心座標は

(κ+[{|→BC|^2(→BA,→BD)-(→BA,→BC)(→BC,→BD)}ν]/(4S_D)^2
,λ+[{|→AC|^2(→AB,→AD)-(→AB,→AC)(→AC,→AD)}ν]/(4S_D)^2
,μ+[{|→AB|^2(→AC,→AD)-(→AB,→AC)(→AB,→AD)}ν]/(4S_D)^2 )・・・(1.1.2)
=
(κ+ν[{a^2(b^2+c^2-a^2)+e^2(a^2+b^2-c^2)+f^2(c^2+a^2-b^2)-2a^2d^2}/(16S_D)^2]
,λ+ν[{b^2(c^2+a^2-b^2)+f^2(b^2+c^2-a^2)+d^2(a^2+b^2-c^2)-2b^2e^2}/(16S_D)^2]
,μ+ν[{c^2(a^2+b^2-c^2)+d^2(c^2+a^2-b^2)+e^2(b^2+c^2-a^2)-2c^2f^2}/(16S_D)^2] )
    ・・・(1.1.3) である。

・・・というものだった。(1.1.2)の「証明」はまたいつか発表することにして、
(1.1.2)→(1.1.3)となることの

4{|→BC|^2(→BA,→BD)-(→BA,→BC)(→BC,→BD)}
=a^2(b^2+c^2-a^2)+e^2(a^2+b^2-c^2)+f^2(c^2+a^2-b^2)-2a^2d^2 などの等式は、
「一般の四面体ABCDの二面角 cosθ(A,D)の公式を導く計算」と同様で、
本「重心座標による幾何学」P223の[命題12.31]の(10)~(12)の「証明]と同じであるから、
そちらを見てください。大事なことは、P225からP226の公式を見て

16(S_A)(S_D)cosθ(A,D)=
a^2(b^2+c^2-a^2)+f^2(c^2+a^2-b^2)+e^2(a^2+b^2-c^2)-2a^2d^2,

16(S_B)(S_D)cosθ(B,D)=
f^2(b^2+c^2-a^2)+b^2(c^2+a^2-b^2)+d^2(a^2+b^2-c^2)-2b^2e^2

16(S_C)(S_D)cosθ(C,D)=
e^2(b^2+c^2-a^2)+d^2(c^2+a^2-b^2)+c^2(a^2+b^2-c^2)-2c^2f^2・・・(1.1.4)

により、[命題1.1]は次のように単純になることである。

[命題1.2]

四面体ABCD⊂E^3としておく。T∈E^3とし、その真の「重心座標」が
T(κ,λ,μ,ν),ただしκ+λ+μ+ν=1・・・(1.2.1)であるとする。
このとき、「頂点Dの対面△ABCを含む平面」に下した垂線の足をT^Dとすると、
そのT^Dの△ABCに関する真の重心座標は、

(κ+ν[S_A/S_D]cosθ(A,D),λ+ν[S_B/S_D]cosθ(B,D),
,μ+ν[S_C/S_D]cosθ(C,D) ) ・・・(1.2.2)

「証明」
(1.1.4)を(1.1.3)に代入してS_Dを約せばよい。(証明終わり)

  [命題1.2]を「ベクトルによる重心座標表現」として書けば、

[命題1.3]

四面体ABCD⊂E^3としておく。T∈E^3⊂E^m(m≧3)とし、その真の「重心座標」が
T(κ,λ,μ,ν),ただしκ+λ+μ+ν=1・・・(1.3.1)であるとする。
このとき、「頂点Dの対面△ABCを含む平面」に下した垂線の足をT^Dとすると、
そのT^Dの△ABCに関する「ベクトルによる重心座標表現」は、
∀P∈E^m に対し、

(→PT^D)=[κ+ν[S_A/S_D]cosθ(A,D)](→PA)+[λ+ν[S_B/S_D]cosθ(B,D)](→PB)
   +[μ+ν[S_C/S_D]cosθ(C,D)](→PC) ・・・(1.3.2) となる。

なお、(1.3.2)において、
[命題1.4]

 [κ+ν[S_A/S_D]cosθ(A,D)]+[λ+ν[S_B/S_D]cosθ(B,D)]
+[μ+ν[S_C/S_D]cosθ(C,D)]=1 ・・・(1.4) となるから、
(1.3.2) は△ABCに関する重心座標表現である。

「証明」
κ+λ+μ+ν=1 と四面体の「第一余弦定理」
(S_A)cosθ(A,D)+(S_B)cosθ(B,D)+(S_C)cosθ(C,D)=S_D・・・(1.4.1)
を用いる。何故なら、このとき(1.4)の左辺は
  κ+λ+μ+ν/(S_D)×[(S_A)cosθ(A,D)+(S_B)cosθ(B,D)+(S_C)cosθ(C,D)]
=κ+λ+μ+[ν/(S_D)]×(S_D)=κ+λ+μ+ν=1 (「証明」終わり)

☆ [第一余弦定理」については、「本」のP210を参照のこと。以後「本」といえば、
「重心座標による幾何学」を指すことにする。同様にして、

[命題1.5.A]

四面体ABCD⊂E^3としておく。T∈E^3⊂E^m(m≧3)とし、その真の「重心座標」が
T(κ,λ,μ,ν),ただしκ+λ+μ+ν=1・・・(1.5.1)であるとする。
このとき、「頂点Aの対面△BCDを含む平面」に下した垂線の足をT^Aとすると、
そのT^Aの△BCDに関する「ベクトルによる重心座標表現」は、
∀P∈E^m に対し、

(→PT^A)=[λ+κ[S_B/S_A]cosθ(B,A)](→PB)+[μ+κ[S_C/S_A]cosθ(C,A)](→PC)
   +[ν+κ[S_D/S_A]cosθ(D,A)](→PD) ・・・(1.5.A.2) となる。

・・・ などとなる。

[2]
これらを用いて、四面体ABCDの内心をIとしたとき、四面体ABCDの
内接球面と△BCD,△ACD,△ABD,△ABCとの接点をI^A,I^B,I^C,I^D として、
それらの「四面体ABCDに関する」重心座標を求めてみよう。
まず、
次のことを思い出そう。
[事実1.6]
四面体ABCDの内心Iの「四面体ABCDに関する」真の重心座標は、
(S_A/(2F),S_B/(2F),S_C/(2F),S_D/(2F) )

I^Dは、内心Iから△ABCを含む平面に下した垂線の足であるから、[命題1.2]の
(1.2.2)式において、κ=S_A/(2F),λ=S_B/(2F),μ=S_C/(2F),ν=S_D/(2F)
として、 
   κ+ν[S_A/S_D]cosθ(A,D)=S_A/(2F)+S_D/(2F)[S_A/S_D]cosθ(A,D)
   =S_A/(2F)[1+cosθ(A,D)] ・・・(2.1) などから、

[定理2.2.D]

四面体ABCDの内心をIとしたとき、四面体ABCDの
内接球面と△ABCを含む平面との接点をI^D とすると、I^D の
「△ABCに関する」真の重心座標は、

(S_A/(2F)[1+cosθ(A,D)] ,S_B/(2F)[1+cosθ(B,D)] ,S_C/(2F)[1+cosθ(C,D)] )  
 ・・・(2.2.D.1) となり、

したがってI^D の「四面体ABCDに関する」真の重心座標は、
(S_A/(2F)[1+cosθ(A,D)] ,S_B/(2F)[1+cosθ(B,D)] ,S_C/(2F)[1+cosθ(C,D)] ,0 )
となる。同様に考えて、

[定理2.3]

四面体ABCDの内心をIとしたとき、四面体ABCDの
内接球面と△BCD,△ACD,△ABD,△ABCとの接点をI^A,I^B,I^C,I^D として、
それらの「四面体ABCDに関する」真の重心座標は、
I^Aは、
(0,S_B/(2F)[1+cosθ(B,A)],S_C/(2F)[1+cosθ(C,A)],S_D/(2F)[1+cosθ(D,A)] )
   ・・・(2.3.1)
I^Bは、
(S_A/(2F)[1+cosθ(A,B)],0,S_C/(2F)[1+cosθ(C,B)],S_D/(2F)[1+cosθ(D,B)] )
   ・・・(2.3.2)
I^Cは、
(S_A/(2F)[1+cosθ(A,C)],S_B/(2F)[1+cosθ(B,C)],0,S_D/(2F)[1+cosθ(D,C)] )
      ・・・(2.3.3)
I^Dは、
(S_A/(2F)[1+cosθ(A,D)],S_B/(2F)[1+cosθ(B,D)],S_C/(2F)[1+cosθ(C,D)],0 )
      ・・・(2.3.4)
 
である。

「確認」
念のため、(2.3.1)が真の重心座標であることを、確かめておこう。

0+S_B/(2F)[1+cosθ(B,A)]+S_C/(2F)[1+cosθ(C,A)]+S_D/(2F)[1+cosθ(D,A)]
=(S_B+S_C+S_D)/(2F)
 +1/(2F)[(S_B)cosθ(B,A)+(S_C)cosθ(C,A)+(S_D)cosθ(D,A)]
=1/(2F)[S_B+S_C+S_D]+1/(2F)[S_A]     (∵第一余弦定理)
=1/(2F)[S_A+S_B+S_C+S_D]=1/(2F)×(2F) (∵2F=S_A+S_B+S_C+S_D )
=1

よってO.Kである。他も同様である。
なお、二面角 θ(B,A)等において、0°<θ(B,A)<180°⇒ -1<cosθ(B,A)<1
 ⇔ 0<1+cosθ(B,A)<2 より 0<S_B/(2F)[1+cosθ(B,A)]<S_B/F<1

となるので、内接球面と△BCDとの接点I^Aは△BCDの内部にあることが分かる。

ここで、S_B<S_A+S_C+S_D (∵「本」のP211参照)⇔ 2S_B<S_A+S_B+S_C+S_D
 ⇔2S_B<2F  ⇔S_B<F を用いた。

[3]
特に等面四面体ABCDにおいては、S_A=S_B=S_C=S_D により

[定理2.3の系1]

I^Aは、
(0,1/4[1+cosθ(B,A)],1/4[1+cosθ(C,A)],1/4[1+cosθ(D,A)] )
   ・・・(2.3.5)
I^Bは、
(1/4[1+cosθ(A,B)],0,1/4[1+cosθ(C,B)],1/4[1+cosθ(D,B)] )
   ・・・(2.3.6)
I^Cは、
(1/4[1+cosθ(A,C)],1/4[1+cosθ(B,C)],0,1/4[1+cosθ(D,C)] )
      ・・・(2.3.7)
I^Dは、
(1/4[1+cosθ(A,D)],1/4[1+cosθ(B,D)],1/4[1+cosθ(C,D)],0 )
      ・・・(2.3.8)
[4]
さらに特に正四面体では、二面角の余弦 cosθ(B,A)=cosθ(C,A)=cosθ(D,A)
               =cosθ(B,C)=cosθ(B,D)=cosθ(C,D)=1/3
なので、
[定理2.3の系2]
正四面体では
I^Aは、(0,1/3,1/3,1/3) すなわち△BCDの重心 ・・・(2.3.9)
I^Bは、(1/3,0,1/3,1/3) すなわち△ACDの重心 ・・・(2.3.10)
I^Cは、(1/3,1/3,0,1/3) すなわち△ABDの重心 ・・・(2.3.11)
I^Dは、(1/3,1/3,1/3,0) すなわち△ABCの重心 ・・・(2.3.12)  
となることが分かった。

以上により、「本」でも分かっていなかった内接球面と4つの各面
との接点の真の重心座標を「二面角の余弦」を用いて、決定することができた。
なお、「等面四面体」については必要条件として、まだ成り立つことが
あるので、次回にそのことと、また「傍接球面」についても記す。


三角形の構成理論-2009.8.21(金)-垂心四面体(その1)に続く

2009年08月21日 | 考察

三角形の構成理論-2009.8.21(金)
<記号の約束>

mは自然数、E^mでm次元ユークリッド空間を表すものとし、「ベクトルAB」などを(→AB)で表す。
ベクトル(→AB)と(→AC)の「内積」を((→AB),(→AC))で表わし、また、「三角形ABC」の3辺BC,CA,ABを
 BC=a,CA=b,AB=cとし、その面積をSで表す。
「垂心四面体ABCD」の6辺を、BC=a,CA=b,AB=c,AD=d,BD=e,CD=f とする。
その体積をV,頂点A,B,C,Dの対面の△BCD,△ACD,△ABD,△ABCの面積をそれぞれ
S_A,S_B,S_C,S_D とおく。またdetJ(2),detJ(3)はいつもの通りとする。

1.三角形ABCについて次のことが成立した。
 △ABC⊆E^2⊆E^m (m≧2)としておく。BC=a,CA=b,AB=c …(1.1.1) として、
3つの「ベクトルの内積」((→AB),(→AC)),((→BA),(→BC)),((→CA),(→CB))を
それぞれ x=((→AB),(→AC)),y=((→BA),(→BC)),z=((→CA),(→CB)) …(1.1.2)とおく。
このとき
 |(→BC)|^2=|(→AC)-(→AB)|^2=|(→AB)|^2+|(→AC)|^2-2((→AB),(→AC))から
 x=((→AB),(→AC))=(1/2)[|(→AB)|^2+|(→AC)|^2-|(→BC)|^2] よって
 x=(1/2)[b^2+c^2-a^2],同様にして
 y=(1/2)[c^2+a^2-b^2] , z=(1/2)[a^2+b^2-c^2] …(1.1.3)となる。 
 
◎ この逆も成り立つ:つまり
[命題1.1.2]
   x=(1/2)[b^2+c^2-a^2],y=(1/2)[c^2+a^2-b^2],z=(1/2)[a^2+b^2-c^2] 
   ⇒ x=((→AB),(→AC)),y=((→BA),(→BC)),z=((→CA),(→CB))
「証明」
 x=(1/2)[b^2+c^2-a^2]⇒ x=((→AB),(→AC)) を
 示しておこう。
 b^2=|(→AC)|^2,c^2=|(→AB)|^2,a^2=|(→BC)|^2 だから
 x=(1/2)[b^2+c^2-a^2]=(1/2)[|(→AC)|^2+|(→AB)|^2-|(→BC)|^2]
  =(1/2)[|(→AC)|^2+|(→AB)|^2-|(→AC)-(→AB)|^2]=(1/2)[2((→AB),(→AC))]
  =((→AB),(→AC)) すなわち x=((→AB),(→AC)) 他も同様である。
([命題1.1.2] の「証明」終わり)
次に 
[命題1.2.1] 上記と同じ記号のもとで、△ABCについて「内積」の定義から
 
 x+y=AB^2=c^2, x+z=AC^2=b^2, y+z=BC^2=a^2 …(1.2.1) が成り立つ。

「証明」
 例えば x=((→AB),(→AC))=(-(→BA),(→BC)-(→BA))=|(→AB)|^2-((→BA),(→BC))=AB^2-y
 すなわち x=AB^2-y ⇔ x+y=AB^2=c^2 が成立。他も同様である。
 ([命題1.2.1]の「証明」終わり)

[命題1.2.2] ---(1.2.1)を満たす x,y,zの「一意性」---
  △ABCについて[命題1.2.1]の(1.2.1)式を満たすx,y,zは 
  x=((→AB),(→AC)),y=((→BA),(→BC)),z=((→CA),(→CB))に限る。
 
「証明」[命題1.2.1]の(1.2.1)をx,y,zを未知数とする連立方程式と考える。
 (1.2.1)の三式の両辺を加えて
  2(x+y+z)=a^2+b^2+c^2  よって x+y+z=(1/2)[a^2+b^2+c^2] …(1.2.2) 
  これから x=(1/2)[b^2+c^2-a^2],y=(1/2)[c^2+a^2-b^2] ,z=(1/2)[a^2+b^2-c^2] 
  と解ける。これと[命題1.1.2]から x=((→AB),(→AC)),y=((→BA),(→BC)),z=((→CA),(→CB))
  となる。
([命題1.2.2]の「証明」終わり)
☆ x+y=AB^2=c^2,x+z=AC^2=b^2,y+z=BC^2=a^2 ならば 
 x+y>0,x+z>0,y+z>0 であるから 以上のことより、次の[命題1.3.1]が成り立つ。
[命題1.3.1] 
 △ABCの3辺BC,CA,ABをBC=a,CA=b,AB=cとし、x,y,zを[命題1.2.1]の(1.2.1)式を満たす
 【実数】としたとき、√(x+y)=AB=c,√(x+z)=AC=b,√(y+z)=BC=a …(1.3.1)
 かつ x=((→AB),(→AC)),y=((→BA),(→BC)),z=((→CA),(→CB)) …(1.3.2)となる。
さて  
 「△ABC」の面積をSとすると4(S^2)は 「上の」x,y,zを用いて 
 4(S^2)=yz+xz+xy …(1.3.3)とx,y,zの2次の対称式で表されるのであった。

◎ これは【Goo】の2008年のBlogに書いてあるが、いつかを調べていると、【執拗な攻撃者】にまた
 【妨害】されて【ネットに繋げなくされる】ので申し訳ないが皆さんで調べて下さい。
  もう1年以上も【攻撃】・【侵入】を受け続けているので困っている。

 [証明」は簡単である。
[命題1.3.2] 
 △ABCの3辺BC,CA,ABをBC=a,CA=b,AB=cとし、x,y,zを
 x=((→AB),(→AC)),y=((→BA),(→BC)),z=((→CA),(→CB))とおけば
 4(S^2)=(2S)^2=yz+xz+xy …(1.3.3)
「証明」
 受験生なら知っているだろう、 (2S)^2=|(→AB)|^2×|(→AC)|^2-|((→AB),(→AC))|^2 を使う。
|(→AB)|=c,|(→AC)|=b,((→AB),(→AC))=x なので (1.2.1) のx+y=c^2,x+z=b^2 から
(2S)^2=(b^2)(c^2)-x^2=(x+z)(x+y)-x^2=x^2+xy+xz+yz-x^2=yz+xz+xy
([命題1.3.2]の「証明」終わり )

◎つまり △ABCでの3辺をBC=a,CA=b,AB=c,その面積をS,x=((→AB),(→AC)),y=((→BA),(→BC)),
 z=((→CA),(→CB))とおけば、 x+y=c^2,x+z=b^2,x+y=a^2 ,
 (2S)^2=yz+xz+xy>0 であって √(x+y),√(x+z),√(y+z) は順に△ABCの3辺c,b,aをなす。
 そしてa,b,cとの関係は、
 
 x=(1/2)[b^2+c^2-a^2],y=(1/2)[c^2+a^2-b^2],z=(1/2)[a^2+b^2-c^2]

この逆も成り立つのである。まず、これが今回の目標の一つで「三角形の場合」である。
[定理1.4]
 x,y,zが【実数】(したがってマイナスになるときもある)として、
 x+y>0 ,x+z>0 ,y+z>0 …(1.4.1) かつ  yz+xz+xy >0 …(1.4.2)であるとする。
 このとき、次のことが成り立つ。

(1) 正の数 √(x+y),√(x+z),√(y+z)は三角形の三辺をなす。
 すなわち √(x+y)+√(x+z)>√(y+z),かつ √(x+z)+√(y+z)>√(x+y),かつ
      √(y+z)+√(x+y)>√(x+z) ・・・(1.4.3)  
(2)
 √(x+y)=AB ,√(x+z)=AC,√(y+z)=BC とおくと
 √(x+y),√(x+z),√(y+z)は順に△ABCの三辺 AB,AC,BC …(1.4.4)となり、
 x=((→AB),(→AC)),y=((→BA),(→BC)),z=((→CA),(→CB)) …(1.4.5)
 
 そして √(x+y)=c,√(x+z)=b,√(y+z)=aとおけば、
 x=(1/2)[b^2+c^2-a^2] ,y=(1/2)[c^2+a^2-b^2],z=(1/2)[a^2+b^2-c^2] …(1.4.6)
 
 また △ABCの面積をSとすれば 2S=√(yz+xz+yz) ...(1.4.7) となる。
(3)
角A,B,Cについて、
 cosA=x/[√(x+y)√(x+z)] ,cosB=y/[√(x+y)√(y+z)] ,cosC=z/[√(x+z)√(y+z)] …(1.4.8) 
 となる。

「証明」
(1) (1.4.3)についてはx,y,zの対称性から √(x+y)+√(x+z)>√(y+z) ...(1.4.9)を示せば十分である。
 (1.4.9)の両辺>0なので両辺平方しても同値
  √(x+y)+√(x+z)>√(y+z) ⇔ [√(x+y)+√(x+z)]^2>[√(y+z)]^2
⇔ (x+y)+(x+z)+2√(x+y)√(x+z)>y+z ⇔ x+√(x+y)√(x+z)>0 そこで 
 ⇔ √(x+y)√(x+z)>-x ...(1.4.10) を「証明」すればよい。 
 (1.4.10)の左辺>0 だから 
(ア)x≧0 のとき、 (1.4.10)の右辺≦0となり(1.4.10)は成立する。
(イ) x<0 のときは、-x>0 よって このとき、√(x+y)√(x+z)>-x は[√(x+y)√(x+z)]^2>(-x)^2と同値になる。
 ところが [√(x+y)√(x+z)]^2-(-x)^2=(x+y)(x+z)-x^2=yz+xz+xy …(1.4.11) となるが、
 条件の yz+xz+xy >0 …(1.4.2)により [√(x+y)√(x+z)]^2-(-x)^2=yz+xz+xy>0
 ゆえに [√(x+y)√(x+z)]^2>(-x)^2, -x>0 のときだから √(x+y)√(x+z)]^2>(-x) となり、
 やはり (1.4.10)は成立する。
 よって(1)は「証明」された。
(2)
 (1)より (1.4.4)~(1.4.7)が成り立つことは、√(x+y)=c,√(x+z)=b,√(y+z)=c ならば
 x+y=c^2,x+z=b^2,y+z=a^2となるので (1.1.3),[命題1.1.2],[命題1.2.2],[命題1.3.1],[命題1.3.2] 
 により成立する。
(3)
 「内積」の定義より cosA=((→AB),(→AC))/[|(→AB)||→AC)|]=x/[AB×AC]=x/[√(x+y)√(x+z)]
  cosB=((→BA),(→BC))/[|(→BA)||→(BC)|]=y/[BA×BC]=y/[√(x+y)√(y+z)],cosCも同様である。 

([定理1.4]の「証明」終わり)
「注意1.4.2」
 実数 x,y,zについて 
 x+y>0 ,x+z>0 ,y+z>0 ならば x,y,zのうち「0以下になるのは唯一つだけ」で
 残りの2つは正の数でなければならない。
 
「なぜなら、仮にx≦0 とすれば x+y>0から y>0,またx+z>0からz>0 でなければならない。
 y≦0のときもz≦0 としたときも同様である。」
◎これは[定理1.4]において、x=((→AB),(→AC)),y=((→BA),(→BC)),z=((→CA),(→CB))
 なので 
 x<0 ,y>0,z>0 ⇔ ∠BACが鈍角,∠ABCと∠ACBは鋭角
 x=0, y>0,z>0 ⇔ ∠BACが直角,∠ABCと∠ACBは鋭角
 x>0, y>0,z>0 ⇔ ∠BAC,∠ABCと∠ACBはみな鋭角
 を意味し、x,y,zは「三角形の性質」をよく反映している。
以上により、次のことが言える。
[定理1.5]
△ABCにおいて [定理1.4]の条件:x+y>0,x+z>0,y+z>0 かつ yz+xz+xy>0
を満たす【実数】 x,y,zで「△ABCの性質を調べる」ことが、
△ABCの3辺AB=c,AC=b,BC=aの正の数a,b,cでb+c>a,c+a>b、a+b>cを満たすもので 
「△ABCの性質を調べる」ことと「同じように」できる。

これらはいわば、「図形,多様体などの座標変換」に相当する。REAL={実数全体}とおく。
 T(3)={△ABCの全体}とおく。
(1) M(3)={(a,b,c)∈(REAL)^3|a>0,b>0,c>0,b+c>a,c+a>b,a+b>c}とおけば,
  M(3)は3次元空間(REAL)^3の部分集合である。T(3)={△ABCの全体}を調べることは集合M(3)を調べることであると
  いってよいだろう。
(2)IP(3)={(x,y,z)∈(REAL)^3|x+y>0,x+z>0,y+z>0,yz+xz+xy>0}も3次元空間(REAL)^3の部分集合である。
 ( IP(3)は「内積」Inner Product の略のつもり)
  T(3)={△ABCの全体}を調べることは集合IP(3)を調べることであると言える。
(3) 変数変換の写像 Φ:M(3)→IP(3) を
  Φ(a,b,c)=((1/2)[b^2+c^2-a^2],(1/2)[c^2+a^2-b^2],(1/2)[a^2+b^2-c^2])
  と定義する。すなわち fは2次変換で
  x=(1/2)[b^2+c^2-a^2] ,y=(1/2)[c^2+a^2-b^2],z=(1/2)[a^2+b^2-c^2] …(1.5.1)である。
  このとき、x+y=c^2>0, x+z=b^2>0 ,y+z=a^2>0,yz+xz+yz>0となり、
  △ABCの面積をSとすれば 2S=√(yz+xz+yz)

(4) (3)の逆変換 Ψ:IP(3)→M(3) は Ψ(x,y,z)=(√(y+z),√(x+z),√(x+y))…(1.5.2)である。
   すなわち   a=√(y+z),b=√(x+z),c=√(x+y)          …(1.5.3)
 (Ψ・Φ)(a,b,c)=(a,b,c) ,(Φ・Ψ)(x,y,z)=(x,y,z) である。

(5) この様に写像 Φ,Ψは1:1かつ「上への」写像で「互いに他の逆写像」で M(3)とIP(3)は1:1に対応する。
 
☆したがって「どんな△ABCも上のIP(3)の要素 x,y,zを用いて得られる」わけである。こうして
「△ABCを表現する(前から使用しているが)新しいパラメータ x,y,zを得たことになる。」といえよう。
 変数はどちらも3つである。
なお
◎ 「△ABCが正三角形 ⇔ a=b=c ⇔ x=y=z」である。

[命題1.6] ---[定理1.4]の系---「3辺の三角不等式は試す必要がない!ので問題作りが助かると思う」
 実数x,y,zが x>0,y>0,z>0であれば、
 √(y+z),√(x+z),√(x+y)は「鋭角三角形の3辺になりうる」

[証明」
 x>0,y>0,z>0のとき、[定理1.4]の条件 
 x+y>0 ,x+z>0 ,y+z>0 …(1.4.1) かつ  yz+xz+xy >0 …(1.4.2)は【自然に】成立する。
 ゆえに AB=√(x+y),AC=√(x+z),BC=√(y+z)は鋭角三角形ABCを形造る。
「注意」:x>0,y>0,z>0 だから∠BAC,∠ABC,∠ACBはみな鋭角であることを注意しておく。
 また、この方法で造ると「3辺の間の三角不等式は自然に成り立つ」ので簡単に「三角形が作れる」ので
 便利である。

[命題1.7] ---[定理1.4]の系--- 
 自然数x,y,zをx<y<z と選んでおけば「3辺の長さがみな異なる鋭角三角形」がQ(有理数体)上せいぜい
 2次代数拡大の長さの3辺 √(x+y),√(x+z),√(y+z) のもので無数にできる。そして
  √(x+y)<√(x+z)<√(y+z) …(1.7.1)

「証明」x>0,y>0,z>0 で x<y<zだから ( x=((→AB),(→AC))>0⇔∠BACが「鋭角」などに注意)
 x+y<x+z またx<yの両辺にzを加えてx+z<y+z よって x+y<x+z<y+z ⇔√(x+y)<√(x+z)<√(y+z)
([命題1.7」の「証明」終わり)

[命題1.8]  
 [定理1.4]の条件(1.4.1),(1.4.2)を満たす x,y,zを用いて ∠BACが鈍角の「鈍角三角形ABC」を造るには、
 x<0 のうち、|x|<y かつ |x|<z かつ |x|<(yz)/[y+z]と なるように選べば良い

「証明」
∠BACが鈍角⇔ x<0 このときy>0,z>0 で、 x+y>0,x+z>0 からy>-x ,z>-x またyz+xz+xy >0となるには
 yz+(y+z)x>0 ⇔ yz>(y+z)(-x) となることから分かる。   
[例1.9]
(1) x=1,y=2,z=3 として AB=√(x+y)=√(1+2)=√3,AC=√(x+y)=√(1+3)=2,BC=√(2+3)=√5
  ゆえに(c,b,a)=(√3,2,√5)が一つできる。 三角不等式を試す必要はない。
(2) x=0 のとき( x=((→AB),(→AC))=0⇔∠BACが直角 )∠BAC=90°の直角三角形で、y>0,z>0 で 
 AC=√(x+z)=√(z),AB=√(x+y)=√(y),斜辺BC=√(y+z)
 の直角三角形ABCができる。[三平方の定理も成り立っている。{√(z)}^2+{√(y)}^2={√(y+z)}^2 ]
(3)
 x=77/2,y=51/2,z=21/2 として AB=√(x+y)=√(128/2)=8,√(x+z)=√(98/2)=7,
 √(y+z)=√(72/2)=6 よって (c,b,a)=(8,7,6)の「鋭角三角形」
(4)
 x=-2,y=4,z=5 とすると x+y=2>0、x+z=3>0,y+z=9>0,(yz)/[y+z]=20/9>|-2|なので
 (c,b,a)=(√2,√3,3)となり、∠Aが鈍角である。

--垂心四面体の構成理論及びその展開図の作成(その1)-2009.8.21(金) --に続く

垂心四面体の構成理論及びその展開図の作成(その1)-2009.8.21(金)

2009年08月21日 | 考察

垂心四面体の構成理論及びその展開図の作成(その1)-2009.8.21(金)
<記号の約束>

mは自然数、E^mでm次元ユークリッド空間を表すものとし、「ベクトルAB」などを(→AB)で表す。
ベクトル(→AB)と(→AC)の「内積」を((→AB),(→AC))で表わし、また、「三角形ABC」の3辺BC,CA,ABを
 BC=a,CA=b,AB=cとし、その面積をSで表す。
「垂心四面体ABCD」の6辺を、BC=a,CA=b,AB=c,AD=d,BD=e,CD=f とする。
その体積をV,頂点A,B,C,Dの対面の△BCD,△ACD,△ABD,△ABCの面積をそれぞれ
S_A,S_B,S_C,S_D とおく。またdetJ(2),detJ(3)はいつもの通りとする。

2.
少し復習をしよう。
「四面体ABCD」について、BC=a,CA=b,AB=c,AD=d,BD=e,AD=fとしたとき、以下の条件は同値
 「垂心H」が存在する
 ⇔ AB⊥CD かつAC⊥BD かつAD⊥BC …(2.1.1)⇔a^2+d^2=b^2+e^2=c^2+f^2 …(2.1.2)
 ⇔((→AB),(→AC))=((→AB),(→AD))=((→AC),(→AD))
 ⇔((→BA),(→BC))=((→BA),(→BD))=((→BC),(→BD))
⇔((→CA),(→CB))=((→CA),(→CD))=((→CB),(→CD))


⇔((→DA),(→DB))=((→DA),(→DC))=((→DB),(→DC)) …(2.1.3)

 そこで「垂心H」が存在する四面体を「垂心四面体」(または「直辺四面体」)と呼ぶ。

「垂心四面体ABCD」に対し
x=((→AB),(→AC))=((→AB),(→AD))=((→AC),(→AD)),
y=((→BA),(→BC))=((→BA),(→BD))=((→BC),(→BD)),
z=((→CA),(→CB))=((→CA),(→CD))=((→CB),(→CD)),
w=((→DA),(→DB))=((→DA),(→DC))=((→DB),(→DC))  …(2.1.4)とおくと、
次のことが成り立つ。
[命題2.2]
 「垂心四面体ABCD」について、BC=a,CA=b,AB=c,AD=d,BD=e,AD=fとしたとき、
 x+y=AB^2=c^2 ,x+z=AC^2=b^2,x+w=AD^2=d^2,
  y+z=BC^2=a^2,y+w=BD^2=e^2, z+w=CD^2=f^2 …(2.2.1)
「証明」
z+w=CD^2=f^2 を証明してみよう。
z=((→CA),(→CB))=((→CA),(→CD))=((→CB),(→CD))のうちで、Dが入った式に
着目して z=((→CA),(→CD))=((→DA)-(→DC),-(→DC))=|(→DC)|^2-((→DA),(→DC))
      =CD^2-w ( ∵(2.1.4)より ((→DA),(→DC))=w だから)
 ゆえに z+w=CD^2=f^2 となる。他も同様である。
([命題2.2]の「証明」終わり)

 これより次の[命題2.3]が成立する。
[命題2.3]
「垂心四面体ABCD」において 、BC=a,CA=b,AB=c,AD=d,BD=e,AD=fとしたとき、
(1) 頂点Dの対面の△ABCについて AB=c,AC=b,BC=a、その面積をS_Dとしたとき、
  x=((→AB),(→AC)),y=((→BA),(→BC)),z=((→CA),(→CB))
  x+y=AB^2=c^2>0,x+z=AC^2=b^2>0,y+z=BC^2=a^2>0、また
(2S_D)^2=yz+xz+xy>0 …(2.3.1)
(2) 頂点Aの対面の△BCDについて BC=a,BD=e,BD=e、その面積をS_Aとしたとき、
  y=((→BC),(→BD)),z=((→CB),(→CD)),w=((→DB),(→DC))
  y+z=BC^2=a^2>0,y+w=BD^2=e^2>0,z+w=CD^2=f^2>0,また
(2S_A)^2=zw+yw+yz>0 …(2.3.2) 
(3) 頂点Bの対面の△ACDについて AC=b,AD=d,CD=f、その面積をS_Bとしたとき、 
  x=((→AC),(→AD)),z=((→CA),(→CD)),w=((→DA),(→DC))
  x+z=AC^2=b^2>0,x+w=AD^2=d^2>0,z+w=CD^2=f^2>0、また
(2S_B)^2=zw+xw+xz>0 …(2.3.3)
(4) 頂点Cの対面の△ABDについて AB=c,AD=d,BD=e、その面積をS_Cとしたとき、 
  x=((→AB),(→AD)),y=((→BA),(→BD)),w=((→DA),(→DB))
  x+y=AB^2=c^2>0,x+w=AD^2=d^2>0,y+w=BD^2=e^2>0、 また
(2S_C)^2=yw+xw+xy>0 …(2.3.4)

垂心四面体の構成理論及びその展開図の作成(その2)-2009.8.21(金)

2009年08月21日 | 考察

垂心四面体の構成理論及びその展開図の作成(その2)-2009.8.21(金)

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--[三角形及び垂心四面体の構成理論及びその展開図の作成(その1)-2009.8.21(金)]の続き-----

[命題2.4]
「四面体ABCD」に対し(→AB)=(→b),(→AC)=(→c),(→AD)=(→d)とおき、3次の実対称行列J(3)を 
J(3)=
(((→b),(→b)) ((→b),(→c)) ((→b),(→d)) )
(((→c),(→b)) ((→c),(→c)) ((→c),(→d)) )
(((→d),(→b)) ((→d),(→c)) ((→d),(→d)) )
とおくと detJ(3)はいわゆるGram(グラム)の行列式であって、
(→AB)=(→b),(→AC)=(→c),(→AD)=(→d) が一次独立だから detJ(3)>0 
「四面体ABCD」の体積をVとすると detJ(3)=(6V)^2 の関係がある。
特に「垂心四面体ABCD」にたいしては
detJ(3)=(6V)^2=yzw+xzw+xyw+xyz>0 …(2.4.1) のように detJ(3)はx,y,z,wの3次の対称式になる。
「証明」
「垂心四面体ABCD」にたいして
 detJ(3)=yzw+xzw+xyw+xyz …(2.4.1)だけ「証明」しておこう。
「垂心四面体ABCD」では ((→b),(→c))=((→AB),(→AC))=x ,((→c),(→c))=|(→c)|^2=|(→AC)|^2=b^2
 などにより
J(3)=
( c^2   x       x    )
( x    b^2      x    )
( x    x      d^2    )
ゆえに
detJ(3)=
| c^2   x       x    |
| x    b^2       x    |=
| x    x       d^2    |

| c^2-x     0     x   |
| 0      b^2-x    x   |
|-(d^2-x)  -(d^2-x) d^2   |

=d^2(c^2-x)(b^2-x)+x(b^2-x)(d^2-x)+x(c^2-x)(d^2-x)
=(x+w)yz+xzw+xyw=yzw+xzw+xyw+xyz となる。
ここで [命題2.2](2.2.1)の x+w=d^2,よってまた d^2-x=w,x+y=c^2,x+z=b^2を用いた。
それ以外のことは「線型代数」の本、例えば裳華房の「佐武一郎」著「線型代数学」のP265~P266を
見ていただきたい。
([命題2.4]の「証明」終わり)

それでは、
1.での三角形の作り方と同じような[垂心四面体ABCD]の造り方を述べて行く。
まず、次の[補題2.5]を用意する。
[補題2.5]
 x,y,z,wを不定元 とするとき、次の恒等式が成立する。
(1) yzw+xzw+xyw+xyz=(x+y+z+w)(yz+xz+xy)-(y+z)(x+z)(x+y) …(2.5.1) 
(2) yzw+xzw+xyw+xyz=(x+y+z+w)(zw+yw+yz)-(z+w)(y+w)(y+z) …(2.5.2)
(3) yzw+xzw+xyw+xyz=(x+y+z+w)(zw+xw+xz)-(z+w)(x+w)(x+z) …(2.5.3)
(4) yzw+xzw+xyw+xyz=(x+y+z+w)(yw+xw+xy)-(y+w)(x+w)(x+y) …(2.5.4)

「証明」
(2.5.1)が成り立てば、(2.5.1)の両辺でxとwとを交換して(2.5.2)が導かれ、(2.5.1)の両辺で
yとwを交換すれば(2.5.3)が、(2.5.1)の両辺でzとwを交換すれば(2.5.4)が導かれる。
それで(2.5.1)式だけ「証明」すればよい。
(2.5.1)の右辺=(y+z)(yz+xz+xy)+(x+w)(yz+xz+xy)-(y+z)(x+z)(x+y)
      =(y+z){(yz+xz+xy)-(x+z)(x+y)}+(x+w)(yz+xz+xy)
      =(y+z){(yz+xz+xy)-x^2-xz-xy-yz}+(x+w){(yz+x(z+y)}
      =-(x^2)(y+z)+xyz+yzw+(x^2)(z+y)+xzw+xyw
      =xyz+yzw+xzw+xyw
      =yzw+xzw+xyw+xyz
      =(2.5.1)の左辺
([補題2.5]の「証明」終わり)
[補題2.5の系]
「垂心四面体ABCD」では、
detJ(3)=yzw+xzw+xyw+xyz
    =(x+y+z+w)(yz+xz+xy)-(y+z)(x+z)(x+y) …(2.5.5) 
    =(x+y+z+w)(zw+yw+yz)-(z+w)(y+w)(y+z)  …(2.5.6)
=(x+y+z+w)(zw+xw+xz)-(z+w)(x+w)(x+z)  …(2.5.7)
=(x+y+z+w)(yw+xw+xy)-(y+w)(x+w)(x+y)  …(2.5.8)
[定理2.6]
  x,y,z,wは【実数】とする。
   x+y>0 ,x+z>0 ,x+w>0, y+z>0,y+w>0 ,z+w>0 …(2.6.1) かつ
   yzw+xzw+xyw+xyz>0 …(2.6.2)

 ⇒ yz+xz+xy>0 …(2.6.3) ,zw+yw+yz>0 …(2.6.4),
   zw+xw+xz>0 …(2.6.5) ,yw+xw+xy>0 …(2.6.6)
「証明」
 [補題2.5]の(2.5.1)より
  (x+y+z+w)(yz+xz+xy)-(y+z)(x+z)(x+y)=yzw+xzw+xyw+xyz …(2.6.7)
  条件より yzw+xzw+xyw+xyz>0 …(2.6.2) また(2.6.1)より x+y+z+w>0 で
  y+z>0, x+z>0,x+y>0 でもある。 ゆえに 
  (x+y+z+w)(yz+xz+xy)-(y+z)(x+z)(x+y)>0 より
  yz+xz+xy>[(y+z)(x+z)(x+y)]/(x+y+z+w)>0 すなわち
  yz+xz+xy>0 …(2.6.3)が成立する。
  他の式も条件(2.6.1),(2.6.2)を使って成立することが分かる。
([定理2.6]の「証明」終わり)
◎「注意]:[定理2.6]の述べていることは、次の通りである。「垂心四面体ABCD」では、[命題2.2]の
 (2.2.1)が成立し、したがって[定理2.6]の条件(2.6.1)は成立している。
 そして体積Vとの関連で detJ(3)=(6V)^2=yzw+xzw+xyw+xyz>0 
 が成り立っている。さらに各面の△ABC、△BCD,△ACD,△ABDの面積S_D,S_A,S_B,S_Cに
 ついて[命題2.3]の (2S_D)^2=yz+xz+xy>0 が成立しなければならないが、
 この(2S_D)^2=yz+xz+xy>0 などの4つの不等式は
   x+y>0 ,x+z>0 ,x+w>0, y+z>0,y+w>0 ,z+w>0 …(2.6.1) かつ
  yzw+xzw+xyw+xyz>0 …(2.6.2)から自然に導かれるので、「垂心四面体」を構成する
  ときにそのチェックは【不要】ということを意味する。

3.
したがって1.の「定理1.4]を「四面体ABCD」の各面の△ABC,△BCD,△ACD,△ABDの構成に適用すれば、
次の[定理3.1]が成立する。
[定理3.1]
  x,y,z,wは【実数】とする。
   x+y>0 ,x+z>0 ,x+w>0, y+z>0,y+w>0 ,z+w>0 …(3.1.1) かつ
   yzw+xzw+xyw+xyz>0 …(3.1.2) が成立しているとする。
 このとき、次のことが成り立つ。
(1) √(x+z),√(x+y),√(y+z) は AC=√(x+z),AB=√(x+y),BC=√(y+z)として
  「△ABC」の「3辺」になる。
(2) √(y+z),√(y+w),√(z+w) は BC=√(y+z),BD=√(y+w), CD=√(z+w) として
「△BCD」の「3辺」になる。
(3) √(x+z),√(x+w),√(z+w) は AC=√(x+z),AD=√(x+w),CD=√(z+w) として
  「△ACD」の「3辺」になりる。
(4) √(x+y),√(x+w),√(y+w) は AB=√(x+y),AD=√(x+w),BD=√(y+w) として
  「△ABD」の「3辺」になる。
[定理3.2]
   x,y,z,wは【実数】とする。
   x+y>0 ,x+z>0 ,x+w>0, y+z>0,y+w>0 ,z+w>0 …(3.2.1) かつ
   yzw+xzw+xyw+xyz>0 …(3.2.2) が成立しているとする。
このとき、次のことが成り立つ。
 (1)
  まず、E^3内の「平面上」に3点B,C,Dを BC=√(y+z),CD=√(z+w),DB=√(y+w),
  ととれば△BCDができて、次に点Aを BA=√(x+y),CA=√(x+z),DA=√(x+w)
  となるようにその上方にとれば、
  ((→AB),(→AC))=((→AB),(→AD))=((→AC),(→AD))=x …(3.2.3),
  ((→BA),(→BC))=((→BA),(→BD))=((→BC),(→BD))=y …(3.2.4),
 ((→CA),(→CB))=((→CA),(→CD))=((→CB),(→CD))=z …(3.2.5),
 ((→DA),(→DB))=((→DA),(→DC))=((→DB),(→DC))=w …(3.2.6)
 (2)
 (2S_D)^2=yz+xz+xy>0, (2S_A)^2=zw+yw+yz>0,
  (2S_B)^2=zw+xw+xz>0, (2S_C)^2=yw+xw+xy>0  …(3.2.7)
 (3) 
[命題2.4]のJ(3)は 
J(3)=
( x+y    x     x )
(  x    x+z    x )
(  x     x    x+w )   …(3.2.8)となり、

detJ(3)=

|x+y    x     x  |
| x    x+z     x  |=yzw+xzw+xyw+xyz>0 …(3.2.9)
| x     x     x+w |

 (4)
(→AB),(→AC),(→AD)は一次独立となり、4点A,B,C,Dは「垂心四面体ABCD」を形造る。
 そしてその体積 V は
 V=(1/6)√(yzw+xzw+xyw+xyz) …(3.2.10)
「証明」
 (1) 3点A,B,CをAB=√(x+y),AC=√(x+z),BC=√(y+z),
   ととれば [定理3.1]の(2)から △ABCができる。
  ((→AB),(→AC))=(1/2)[|(→AB)|^2+|(→AC)|^2-|(→BC)|^2]
   =(1/2)[|AB|^2+|AC|^2-|BC|^2]
   =(1/2)[{√(x+y)}^2+{√(x+z)}^2-{√(y+z)}^2]=(1/2)[(x+y)+(x+z)-(y+z)]
   =(1/2)[2x]=x ,同様に
  ((→AB),(→AD))=(1/2)[|AB|^2+|AD|^2-|BD|^2]
   =(1/2)[{√(x+y)}^2+{√(x+w)}^2-{√(y+w)}^2]=(1/2)[(x+y)+(x+w)-(y+w)]
   =(1/2)[2x]=x
  ((→AC),(→AD))=(1/2)[|AC|^2+|AD|^2-|CD|^2]
   =(1/2)[{√(x+z)}^2+{√(x+w)}^2-{√(z+w)}^2]=(1/2)[(x+z)+(x+w)-(z+w)]
   =(1/2)[2x]=x
  ゆえに ((→AB),(→AC))=((→AB),(→AD))=((→AC),(→AD))=x となり、(3.2.3)が成立。
  次に
  ((→BA),(→BC))=(1/2)[|(→BA)|^2+|(→BC)|^2-|(→AC)|^2]
   =(1/2)[|AB|^2+|BC|^2-|BD|^2]  
   =(1/2)[{√(x+y)}^2+{√(y+z)}^2-{√(x+z)}^2]=(1/2)[(x+y)+(y+z)-(x+z}]
   =(1/2)[2y]=y などから (3.2.4)も同様に成立。(3.2.5),(3.2.6)の成立も同様である。
(2)
 (3.2.7)は[定理2.6]と[定理3.1]から成り立つ。
(3) 
[命題2.4]のJ(3)は 
  J(3)=
(((→AB),(→AB)) ((→AB),(→AC)) ((→AB),(→AD)) )
(((→AC),(→AB)) ((→AC),(→AC)) ((→AC),(→AD)) )=
(((→AD),(→AB)) ((→AD),(→AC)) ((→AD),(→AD)) )

(|AB|^2   x     x   )
( x   |AC|^2  x    )=
( x  x   |AD|^2  )

(|√(x+y)|^2   x     x  )
( x     |√(x+z)|^2  x  )=
( x  x   |√(x+w)|^2x )

( x+y    x     x )
(  x    x+z    x )
(  x     x    x+w ) よって 

detJ(3)=
|x+y    x     x  | | y    0    x  |
| x    x+z     x  |=| 0    z    x  |
| x     x     x+w | |-w    -w   x+w |

=yz(x+w)+xzw+xyw=yzw+xzw+xyw+xyz >0 (∵ 条件(3.2.2) より)

(4) 上の(3)から 
(→AB),(→AC),(→AD)の「Gram」の行列式 detJ(3)>0 だから
(→AB),(→AC),(→AD)は一次独立となり、「四面体ABCD」ができる。
さらに(2)から((→AB),(→AC))=((→AB),(→AD))=((→AC),(→AD))
だから「四面体ABCD」は1.で述べたところの「垂心四面体ABCD」の条件を満たしている。
[定理3.1]から4つの側面は「三角形」をなしている。
 よって 4点A,B,C,Dは「垂心四面体ABCD」を形造る。x,y,z,wは
 x=((→AB),(→AC))=((→AB),(→AD))=((→AC),(→AD)),
 y=((→BA),(→BC))=((→BA),(→BD))=((→BC),(→BD)),
z=((→CA),(→CB))=((→CA),(→CD))=((→CB),(→CD)),
w=((→DA),(→DB))=((→DA),(→DC))=((→DB),(→DC))を満たしているから
 detJ(3)=(6V)^2=yzw+xzw+xyw+xyz
 ゆえに その体積 V は
 V=(1/6)√(yzw+xzw+xyw+xyz) …(3.2.10)
([定理3.2]の「証明」終わり)

4.
T(4)={垂心四面体の全体},
IP(4)={(x,y,z,w)∈(REAL)^4|x+y>0,x+z>0,x+w>0,y+z>0,y+w>0,y+w>0,yzw+xzw+xyw+xyz>0}
としたとき、T(4)の一つの対象である「垂心四面体ABCD」の6辺 
BC=a,CA=b,AB=c,AD=d,BD=e,CD=fは 条件 a^2+d^2=b^2+e^2=c^2+f^2 …(4.1.1)を
満たしている。
M(4)
={(a,b,c,d,e,f)∈(REAL)^6|BC=a,CA=b,AB=c,AD=d,BD=e,CD=fとして
     4点A,B,C,Dは四面体ABCDを作り,かつa^2+d^2=b^2+e^2=c^2+f^2}
とおけば M(4)は「垂心四面体ABCD」の集合を表していると考えられる。そこで 3.の「定理3.2]により
写像 Φ:M(4) →IP(4) を
Φ(a,b,c,d,e,f)=((1/2)[b^2+c^2-a^2],(1/2)[c^2+a^2-b^2],(1/2)[a^2+b^2-c^2],(1/2)[d^2+e^2-c^2])  
  …(4.1.2)  すなわち 
 x=((→AB),(→AC))=((→AB),(→AD))=((→AB),(→AD)),
 y=((→BA),(→BC))=((→BA),(→BD))=((→BC),(→BD)),
 z=((→CA),(→CB))=((→CA),(→CD))=((→CB),(→CD)),
 w=((→DA),(→DB))=((→DA),(→DC))=((→DB),(→DC)) 具体的には
x=(1/2)[b^2+c^2-a^2],y=(1/2)[c^2+a^2-b^2],z=(1/2)[a^2+b^2-c^2],w=(1/2)[d^2+e^2-c^2]
    …(4.1.3)
 とおけば 条件 a^2+d^2=b^2+e^2=c^2+f^2により Φ は well-definedであって、
 その「逆写像」Ψ:M(4) →IP(4) は、
 Ψ(x,y,z,w)=(√(y+z,√(x+z),√(x+y),√(x+w),√(y+w),√(z+w))…(4.1.4) となる。
すなわち a=BC=√(y+z),b=CA=√(x+z),c=AB=√(x+y),
     d=AD=√(x+w),e=BD=√(y+w),f=CD=√(z+w) である。
(Ψ・Φ)(a,b,c,d,e,f)=(a,b,c,d,e,f) ,(Φ・Ψ)(x,y,z,w)=(x,y,z,w)
となり、Φ:M(4) →IP(4)及び Ψ:IP(4)→M(4)は 1:1かつ「上への」写像で「互いに他の逆写像」になる。
 M(4)とIP(4)は1:1に対応する。
 この様にして「垂心四面体ABCD」はa,b,c,d,e,fの6つあるパラメーターに対し、
2つの等式 a^2+d^2=b^2+e^2=c^2+f^2より
パラメーターは 6-2=4となるべきであるが、その4つのパラメーターとして、
IP(4)の(x,y,z,w)がとれるということである。よって次の[定理4.1]が得られた。

[定理4.1]
 すべての「垂心四面体ABCD」は、条件 x+y>0,x+z>0,x+w>0,y+z>0,y+w>0,y+w>0,yzw+xzw+xyw+xyz>0
  …(4.1.1) を満たす (x,y,z,w)によって
 BC=√(y+z),CA=√(x+z),AB=√(x+y),AD=√(x+w),BD=√(y+w),CD=√(z+w) として得られる。

[定理4.1の系1]
  x>0,y>0,z>0.w>0 ならば,
 BC=√(y+z),CA=√(x+z),AB=√(x+y),AD=√(x+w),BD=√(y+w),CD=√(z+w) 
 として4つの側面全てが「鋭角三角形」の「垂心四面体ABCD」ができる。
[注意]:
 x+y>0,x+z>0,x+w>0,y+z>0,y+w>0,y+w>0とする。このとき、x,y,z,wのうち,「0以下になるのは唯一つしかない」から
 次の場合とそのxをy,z,w に入れ替えた場合しか起こらない。
(1) x<0,y>0,z>0,w>0 ⇔ ∠BAC,∠BAD,∠CADは鈍角で他の角はみな鋭角,特に頂点Aの対面の△BCDは「鋭角三角形」
(2) x=0, y>0,z>0,w>0 ⇔ ∠BAC=∠BAD=∠CAD=90°,「他の角はみな鋭角」 これは「A-3直角四面体」である。
(3) x>0 ,y>0,z>0,w>0 ⇔ 4つの側面は全て「鋭角三角形」

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垂心四面体の構成理論及びその展開図の作成(その3)-2009.8.21(金)

2009年08月21日 | 考察


垂心四面体の構成理論及びその展開図の作成(その3)-2009.8.21(金)


mは自然数、E^mでm次元ユークリッド空間を表すものとし、「ベクトルAB」などを(→AB)で表す。
ベクトル(→AB)と(→AC)の「内積」を((→AB),(→AC))で表わし、また、「三角形ABC」の3辺BC,CA,ABを
 BC=a,CA=b,AB=cとし、その面積をSで表す。
「垂心四面体ABCD」の6辺を、BC=a,CA=b,AB=c,AD=d,BD=e,CD=f とする。
その体積をV,頂点A,B,C,Dの対面の△BCD,△ACD,△ABD,△ABCの面積をそれぞれ
S_A,S_B,S_C,S_D とおく。またdetJ(2),detJ(3)はいつもの通りとする。
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--[垂心四面体の構成理論及びその展開図の作成(その2)-2009.8.21(金)]の続き-----

[定理4.1の系2]
 x,y,z,wを自然数で x<y<z<w とし、さらに【y+z<x+w】と選べば各辺の長さがみな異なり、
 4つの側面が全て「鋭角三角形」の「垂心四面体ABCD」を無数に造ることができる。
「証明」
 x<y<z<w から x+y<x+z<x+w<y+w<z+w そしてy+z<x+w としたから 
 x+z<y+z<x+w 
 よって
     x+y<x+z<y+z<x+w<y+w<z+w 
  ⇔ √(x+y)<√(x+z)<√(y+z)<√(x+w)<√(y+w)<√(z+w)
 となり6辺は全て異なり、AB<AC<BC<AD<BD<CD であり、「側面の4つの三角形はみな鋭角三角形」になる。
([定理4.1の系2]の「証明」終わり)

[例4.2]
(1)
 x=1,y=2,z=3,w=5 …(4.2.1)とすれば x<y<z<w かつ 5=y+z<x+w=6 なので
 √(x+y)<√(x+z)<√(y+z)<√(x+w)<√(y+w)<√(z+w) は√3<2<√5<√6<√7<2√2 
 となり、AB=√3,AC=2,BC=√5,AD=√6,BD=√7,CD=2√2 を満たす4点A,B,C,Dは6辺の長さが全て異なる
「垂心四面体ABCD」を形造る。
 S_A=(1/2)√(zw+yw+yz)=(1/2)√(15+10+6)=√(31)/2, S_B=(1/2)√(zw+xw+xz)=(1/2)√(15+5+3)=√(23)/2
 S_C=(1/2)√(yw+xw+xy)=(1/2)√(10+5+2)=√(17)/2 , S_D=(1/2)√(yz+xz+xy)=(1/2)√(6+3+2)=√(11)/2
    …(4.2.2)
 detJ(3)=yzw+xzw+xyw+xyz=30+15+10+6=61 …(4.2.3)
 体積 V=(1/6)√{detJ(3)}=(1/6)√[yzw+xzw+xyw+xyz]=√(61)/6 …(4.2.4)
 また
(ア)「垂心H」の「ベクトルによる重心座標表現」は
 (→PH)=[yzw(→PA)+xzw(→PB)+xyw(→PC)+xyz(→PD)]/(yzw+xzw+xyw+xyz)
    =(1/61)[30(→PA)+15(→PB)+10(→PC)+6(→PD)] …(4.2.5)
(イ) 「外心S」の「ベクトルによる重心座標表現」は
 (→PS)
  =[{detJ(3)-2yzw}(→PA)+{detJ(3)-2xzw}(→PB)+{detJ(3)-2xyw}(→PC)+{detJ(3)-2xyz}(→PD)]/{2detJ(3)}
  =[{61-60}(→PA)+{61-30}(→PB)+{61-20}(→PC)+{61-12}(→PD)]/(2×61)
  =(1/122)[(→PA)+31(→PB)+41(→PC)+49(→PD)]  …(4.2.6)
(ウ) 
   「内心I」の「ベクトルによる重心座標表現」は
 (→PI)=[S_A(→PA)+S_B(→PB)+S_C(→PC)+S_D(→PD)]/(S_A+S_B+S_C+S_D)
    =[√(31)/2(→PA)+√(23)/2(→PB)+√(17)/2(→PC)+√(11)/2(→PD)]/(√(31)/2+√(23)/2+(17)/2+√(11)/2)
    ={1/(√(31)+√(23)+(17)+√(11)}×[√(31)(→PA)+√(23)(→PB)+√(17)(→PC)+√(11)(→PD)] 
      …(4.2.5)
(エ) 「内接球面」の半径 r=√{detJ(3)}/[2(S_A+S_B+S_C+S_D)]=√(61)/[2{√(31)+√(23)+√(17)+√(11)}]
 …(4.2.6)
(オ) 「外接球面」の半径Rの2乗は R^2=(x+y+z+w)/4-(xyzw)/detJ(3)=(11)/4-30/61=(671-120)/244=551/244
    よって R=√(19×29)/2√(61)=√(551)/2√(61) …(4.2.7)
(2)
  x=1,y=3,z=6,w=10 …(4.2.8)とすれば x<y<z<w かつ 9=y+z<x+w=11 なので
  √(x+y)<√(x+z)<√(y+z)<√(x+w)<√(y+w)<√(z+w) は2<√7<3<√11<√13<4 となり
  AB=2,AC=√7,BC=3,AD=√11,BD=√13,CD=4 を満たす4点A,B,C,Dは「垂心四面体ABCD」を形造る。
  detJ(3)=yzw+xzw+xyw+xyz=180+60+30+18=288 …(4.2.9)
  体積 V=(1/6)√{detJ(3)}=(1/6)√[yzw+xzw+xyw+xyz]=12√(2)/6=2√2 …(4.2.10)

5.
「垂心四面体」を立体的に構成する方法を述べる。
 [定理4.1]の条件
 x+y>0,x+z>0,x+w>0,y+z>0,y+w>0,y+w>0,yzw+xzw+xyw+xyz>0 …(4.1.1) が
 成り立っているものとする。 
 [定理3.2]において「垂心四面体ABCD]を構成できる「証明」のポイントは[定理3.2]の(3)の
 detJ(3)=yz(x+w)+xzw+xyw=yzw+xzw+xyw+xyz>0 すなわち detJ(3)>0 をその根拠にした。

  ここでは、図形的な見かたでこれを「証明」しようと思う。これは前にも述べたことがあるが,前より
 「説明」は易しくなる。座標に大文字のX,Y,Zを使うことにし,3次元ユークリッド空間E^3-「XYZー空間」を考える。
 その部分空間の「XYー平面」上に点Bを原点(0,0,0),BCをX軸の正の方向においたとき、
 Y>0の部分に△BCDの頂点Dがくるように BC=√(y+z),BD=√(y+w),CD=√(z+w)となるように取る。
 この様にして「△BCDが構成できる」ことは[定理3.1]の(2)に示してある。
 Dの座標を求めてみよう。
◎ 以下しばらくは「XYー平面」上で考えることにする。
[命題5.1.2] 
 条件(4.1.1)が成立しているとする。この頂点Dから底辺BC=√(y+z)に下した「垂線の足」をLとする。
 すると DL=√(zw+yw+yz)/√(y+z) …(5.1.1),BL=y/√(y+z) …(5.1.2),LC=z√(y+z) …(5.1.3)
「証明」
 △BCDの面積は[命題2.3]の(2.3.2)より S_A=(1/2)√(zw+yw+yz) である。ゆえに(1/2)×BC×DL=(1/2)√(zw+yw+yz)
 よってDL=√(zw+yw+yz)/BC=√(zw+yw+yz)/√(y+z) …(5.1.1) 
 次に BLの長さを求めよう。BL=sとおく。「三平方の定理」からBD^2-BL^2=CD^2-LC^2 つまり
 [√(y+w)]^2-s^2=[√(z+w)]^2-[√(y+z)-s]^2 ⇔ y+w-s^2=z+w-(y+z)+2[√(y+z)]s-s^2 
 ⇔ 2[√(y+z)]s=2y ⇔ s=y/√(y+z) よってBL=y/√(y+z) すると
  LC=√(y+z)-[y/√(y+z)]=[(y+z)-y]/√(y+z)=z/√(y+z) 
 すなわち BL=y/√(y+z) …(5.1.2) ,LC=z/√(y+z) …(5.1.3)
 ([命題5.1.2]の「証明」終わり)
次に
[命題5.2.2] 
 条件(4.1.1)が成立しているとする。△ABCを考えよう。辺BCを△BCDと同じくX軸上にとり、頂点A′がY<0の
 部分にくるように A′B=√(x+y),A′C=√(x+z)と取る。△ABCと△A′BCとは「合同」でBCを軸として鏡映的である。
 このとき、△A′BCの頂点A′からBCに下した垂線の足は[命題5.1.2]の点Lと一致し、
  A′L=√(yz+xz+xy)/√(y+z) …(5.2.1) そして A′D⊥BC で
  A′D=[√(zw+yw+yz)+√(yz+xz+xy)]/√(y+z) …(5.2.2)
「証明」
 △A′BCの頂点A′からBCに下した垂線の足をL′とする。BC=√(y+z),A′B=√(x+y),A′C=√(x+z)であるから
 BL′=tとおくと「三平方の定理」から (A′B)^2-(BL′)^2=(A′C)^2-(L′C)^2 つまり
 [√(x+y)]^2-t^2=[√(x+z)]^2-[√(y+z)-t]^2 ⇔ x+y-t^2=x+z-(y+z)+2[√(y+z)]t-t^2 
 ⇔ 2[√(y+z)]t=2y ⇔ t=y/√(y+z) つまり BL′=y/√(y+z) よって L′=Lとなる。
 ゆえに BL=y/√(y+z) ,LC=z√(y+z) …(5.1.3) また、
 △A′BCの面積=△ABCの面積=(1/2)√(yz+xz+xy) だから[命題5.1.2]と同様にして、
 DL⊥BC,(A′L)⊥BCから、3点A′,L,Dは一直線上にあり、(A′D)⊥BC,(A′L)=√(yz+xz+xy)/√(y+z) …(5.2.3) 
([命題5.2.2]の「証明」終わり) 
「注意」:実は(A′D)⊥BC は「四面体ABCD」が「垂心四面体ABCD」になるための条件の一つ AD⊥BC からでてくるのである。

全く同様に
[命題5.2.3] 
 条件(4.1.1)が成立しているとする。△ABCを考えよう。辺BCを△BCDと同じくX軸上にとり、頂点A″を△BCDと同じ側,
 Y>0の側に A″B=√(x+y),A″C=√(x+z)ととって△A″BCができる。△A″BC≡△ABCである。
 頂点A″から辺BCに下した「垂線」の足は [命題5.1.2]の点Lと一致する。点A″,L,Dは一直線上にあり、A″D⊥BC,
 (A″L)=√(yz+xz+xy)/√(y+z) …(5.2.4) DL=√(zw+yw+yz)/BC=√(zw+yw+yz)/√(y+z) …(5.1.1)だから
  (A″D)=|√(zw+yw+yz)/√(y+z)-√(yz+xz+xy)/√(y+z)| …(5.2.5)

このとき次の[命題5.3]が成り立つ。 

[命題5.3] 
   DA′>DA>DA″ …(5.3.1) 
これを「証明」するため次の2つの「補題」を用意する。
[補題5.4]
 実数 x,y,z,wは条件(4.1.1) x+y>0,x+z>0,x+w>0,y+z>0,y+w>0,y+w>0,yzw+xzw+xyw+xyz>0 を
 満たしているとする。
 そのとき、 √(yz+yw+zw)√(yz+xz+xy)>|yz| …(5.4.1) このとき、|yz|≧yz かつ |yz|≧-yzだから
   √(zw+yw+yz)√(yz+xz+xy)>yz かつ √(zw+yw+yz)√(yz+xz+xy)>-yz …(5.4.2) となる。
「証明」
 (5.4.1)の両辺とも0以上なので、[√(yz+yw+zw)√(yz+xz+xy)]^2>(yz)^2 …(5.4.3)を「証明」すればよい。
 (5.4.3)の(左辺)^2-(右辺)^2=(yz+yw+zw)(yz+xz+xy)]^2-(yz)^2
   ={yz+w(y+z)}{yz+x(y+z)}-(yz)^2=(yz)^2+(y+z)yzw+(y+z)xyz+(y+z)^2(xw)-(yz)^2
   =(y+z){yzw+xyz+(y+z)(xw)}=(y+z)(yzw+xyw+xzw+xyz)>0(∵条件(4.1.1))
  よって(5.4.3)が成立し、(5.4.1)も成立する。
([補題5.4]の「証明」終わり)
[補題5.5]
 実数 x,y,z,wは条件(4.1.1) x+y>0,x+z>0,x+w>0,y+z>0,y+w>0,y+w>0,yzw+xzw+xyw+xyz>0 を
 満たしているとする。
そのとき、√(zw+yw+yz)+√(yz+xz+xy)>√(x+w)√(y+z)>|√(zw+yw+yz)-√(yz+xz+xy)|…(5.5.1)
「証明」 
(5.5.1)の全辺とも0以上なので、 
 [√(zw+yw+yz)+√(yz+xz+xy)]^2>[√(x+w)√(y+z)]^2>[√(zw+yw+yz)-√(yz+xz+xy)]^2
すなわち [√(zw+yw+yz)+√(yz+xz+xy)]^2>(x+w)(y+z)>[√(zw+yw+yz)-√(yz+xz+xy)]^2
を「証明」すればよい。
(ア)
 まず、[√(zw+yw+yz)+√(yz+xz+xy)]^2-(x+w)(y+z)
   =(zw+yw+yz)+(yz+xz+xy)+2√(zw+yw+yz)√(yz+xz+xy)-(xy+xz+yw+zw)
   =2[√(zw+yw+yz)√(yz+xz+xy)+yz] ところが[補題5.4]より 
   √(zw+yw+yz)√(yz+xz+xy)>-yz …(5.4.2) よって 2[√(zw+yw+yz)√(yz+xz+xy)+yz]>0
 ゆえに [√(zw+yw+yz)+√(yz+xz+xy)]^2>[√(x+w)√(y+z)]^2が証明された。
(イ)
  (x+w)(y+z)-[√(zw+yw+yz)-√(yz+xz+xy)]^2
  =(xy+xz+yw+zw)-[(zw+yw+yz)+(yz+xz+xy)]+2√(zw+yw+yz)√(yz+xz+xy)]
  =2[√(zw+yw+yz)√(yz+xz+xy)-yz] ところが[補題5.4]より 
  √(zw+yw+yz)√(yz+xz+xy)>yz …(5.4.2) よって 2[√(zw+yw+yz)√(yz+xz+xy)-yz]>0
 ゆえに [√(x+w)√(y+z)]^2>[√(zw+yw+yz)√(yz+xz+xy)]^2 が証明された。
([補題5.5]の「証明」終わり)
それでは、
[命題5.3]を「証明」しよう。
『[命題5.3]の「証明」』
まず 
 (1)DA=AD=√(x+w) 次に(2) [命題5.2.2]から DA′=A′D=[√(zw+yw+yz)+√(yz+xz+xy)]/√(y+z)
 (3) [命題5.2.3] から DA″=A″D=|√(zw+yw+yz)/√(y+z)-√(yz+xz+xy)/√(y+z)|
  であることに注意する。
 [補題5.5]の√(zw+yw+yz)+√(yz+xz+xy)>√(x+w)√(y+z) 
  ⇔ [√(zw+yw+yz)+√(yz+xz+xy)]/√(y+z)>√(x+w) …(5.3.1)
 また 
 [補題5.5]の√(x+w)√(y+z)>|√(zw+yw+yz)-√(yz+xz+xy)| 
  ⇔ √(x+w)>|√(zw+yw+yz)-√(yz+xz+xy)|/√(y+z) ‥(5.3.2)
 (1)(2)(3)により
 (5.3.1)は DA'>DA を意味し、(5.3.2)は DA>DA″を意味する。
よって[命題5.3]は証明された。
([命題5.3]の「証明」終わり)
◎ ここからは3次元の「XYZ-空間内」で考えてゆく。先ほどの「XY-平面 (Z=0)」に上記の
「△BCD」が固定されて,また 「△A′CD」も「△A″CD」も[命題5.2.2],[命題5.2.3] のように
「XY-平面 (Z=0)」に置かれてあるものとする。
「命題5.6]
 実数 x,y,z,wは条件(4.1.1) x+y>0,x+z>0,x+w>0,y+z>0,y+w>0,y+w>0,yzw+xzw+xyw+xyz>0 を
 満たしているとする。「命題5.3]から「垂心四面体ABCD」が図形的に構成できる。
「証明」 
 この「XY-平面 (Z=0)」をπと名付けよう。平面π上の点Dを「中心」,「半径DA」の「2次元球面U」を
 3次元空間-「XYZ-空間内」に描いておく。辺BCを固定し、BCを回転の軸として、△A″BCの板を「XYZ-空間内」で
 頂点がA″からA′までZ座標≧0の領域で0°≦θ≦180°まで180°回転してゆくとする。この回転角θに対応して
 A″からA′まで回転する「頂点」の「動点」をA(θ)と書くことにする。このとき、[命題5.2.2]の辺BC上の
 点Lに着目すれば、この回転でA(θ)は「点Lを中心」とする「半径A″L」の「一次元の半円周V」を描く。
 「一次元の半円周V」と「点Dを『中心』,『半径DA』の2次元球面U」との交点を考えよう。
 [命題5.3]の [Uの半径]=DA>DA″により、θ=0°⇔A(θ)=A″のとき、A″は「2次元球面U」の「内部の領域」にある。
 そしてθ=180°⇔ A(θ)=A′のときは、 DA′>DA=[Uの半径] によりA′は「2次元球面U」の「外部の領域」にある
 ことになる。よって「棒LA(θ)」に着目したとき、「一次元の半円周V」の「棒LA(θ)」のLを中心とした「回転の
 連続性」と「2次元球面U」の「位相的な性質」により、つまり「中間値の定理」から「棒LA(θ)の先端A(θ」と
 「2次元球面U」はあるθに対して「交点を持つ」ことが分かる。この場合、交点はただ一つで、それはθ=ηのときに
  起こりその交点をA(η)としよう。ここに 0°<η<180°である。このとき、(A(η)B)=(A″B)=AB=√(x+y)、
  (A(η)C)=(A″C)=AC=√(x+z)、そして、A(η)は「『半径DA』の2次元球面U」上にもあるのだったから、
  (A(η)D)=半径DA=√(x+w)となる。こうして△BCDの上方に「点A=A(η)」がとれて、また△ABC,△ABD,△ABDが
  できていることは、[定理3.1]の(1)(3)(4)より分かる。このようにして「四面体ABCD」が構成できた。
 (「命題5.6]の「証明」終わり) 
「注意」:3次元ユークリッド空間E^3内の「2次元球面S」がE^3内を「内部」と「外部」の「2つの領域に分ける」
 (当たり前と思えることだが)ことも「Jordan(ジョルダン)の定理」と呼ぶような気がしたが自信がない。
 (E^2内に『S^1と同相な一次元閉曲線J』があるとき閉曲線JはE^2を『内部』と『外部』に分ける]というのが
 「Jordanの曲線定理」である。)
--垂心四面体の構成理論及びその展開図の作成(その4)-2009.8.21(金)---に続く


垂心四面体の構成理論及びその展開図の作成(その4)-2009.8.21(金)

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垂心四面体の構成理論及びその展開図の作成(その4)-2009.8.21(金)


mは自然数、E^mでm次元ユークリッド空間を表すものとし、「ベクトルAB」などを(→AB)で表す。
ベクトル(→AB)と(→AC)の「内積」を((→AB),(→AC))で表わし、また、「三角形ABC」の3辺BC,CA,ABを
 BC=a,CA=b,AB=cとし、その面積をSで表す。
「垂心四面体ABCD」の6辺を、BC=a,CA=b,AB=c,AD=d,BD=e,CD=f とする。
その体積をV,頂点A,B,C,Dの対面の△BCD,△ACD,△ABD,△ABCの面積をそれぞれ
S_A,S_B,S_C,S_D とおく。またdetJ(2),detJ(3)はいつもの通りとする。
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--[垂心四面体の構成理論及びその展開図の作成(その3)-2009.8.21(金)]の続き-----

6.
 それでは「定理4.1]のような造り方での「垂心四面体ABCD]の「展開図」について述べる。
[定理6.1]
 実数 x,y,z,wは条件(4.1.1) x+y>0,x+z>0,x+w>0,y+z>0,y+w>0,y+w>0,yzw+xzw+xyw+xyz>0 を
 満たしているとする。このとき、△BCDを[命題5.1.2]のすぐ上にある「説明」のように平面上に描いておく。
 BC=√(y+z),CD=√(z+w),BD=√(y+w) である。このとき、[命題5.2.2]のように△A′BC≡△ABCで,
 Y<0にある点A′をA(3)としよう。すると A(3)D⊥BC で、かつ 
 A(3)D=A′D=[√(zw+yw+yz)+√(yz+xz+xy)]/√(y+z) …(5.2.2) となる。 
 次に△BCDの頂点Bから対辺のCDに垂線を引き、直線CDとの交点をMとし、垂線BMの点Mの延長上に点A(1)を
 BA(1)=[√(zw+yw+yz)+√(zw+xw+xz)]/√(z+w) …(6.1.1)となるように取る。そして線分CA(1)、線分DA(1)を
 結べば、CA(1)=√(x+z),DA(1)=√(x+w) …(6.1.2) となり、△A(1)DCが「辺CD」に隣接してできる。
 
 最後に△BCDの頂点Cから対辺のBDに「垂線」を引き「直線BD」との交点をNとし、
 垂線CNの点Nの延長上に点A(2)をCA(2)=[√(zw+yw+yz)+√(yw+xw+xy)]/√(y+w)となるように取る。
 このとき、A(2)B=√(x+y),A(2)D=√(x+w) …(6.1.3) となり、△A(2)BDが「辺BD」に隣接してできる。
 こうして「△BCD」の周りに
 (1)CDに「隣接して」△A(1)DCができ、(2)BDに「隣接して」△A(2)BDができ、(3)BCに「隣接して」△A(3)BCができる。
 △BCDの周りに、この△A(1)DCを「辺CD」で「谷折り」にし、次に△A(2)BDを「辺BDで谷折り」にし、
 最後に△A(3)CBを「辺BC」で「谷折り」にして、3点A(1),A(2),A(3)を張り合わせて点Aとすれば、
 「垂心四面体ABCD]の出来上がりである。
「証明」
 △BCDについてBC=√(y+z),CD=√(z+w),BD=√(y+w),△BCDの面積S_A=(1/2)√(zw+yw+yz)、また
 [命題5.1.2]より、頂点Dから対辺BCに下した垂線の足をLとしたとき、BL=y/√(y+z),LC=z/√(y+z),
 AL=[2(S_A)]/BC=√(zw+yw+yz)/√(y+z)であった。これと同様なことが△BCDの残りの2辺についても成り立つ。
 まず、CM=z/√(z+w),DM=w/√(z+w) …(6.1.4)
 そしてBM=√(zw+yw+yz)/√(z+w) …(6.1.5)。このとき、上記の作図法で造った△A(1)DCについて
 A(1)C=√(x+z) …(6.1.6) 及び、A(1)D=√(x+w) …(6.1.7)を示そう。CD=√(z+w)だから
 (6.1.1)よりMA(1)=BA(1)-BM=[√(zw+yw+yz)+√(zw+xw+xz)]/√(z+w)-√(zw+yw+yz)/√(z+w)
 =√(zw+xw+xz)/√(z+w) つまり MA(1)=√(zw+xw+xz)/√(z+w)…(6.1.8)「三平方の定理」より
 [A(1)C]^2=CM^2+[MA(1)]^2=[z/√(z+w)]^2+[√(zw+xw+xz)]/√(z+w)]^2=[z^2+(zw+xw+xz)]/(z+w)
 =[z(z+w)+x(z+w)]/(z+w)=[(x+z)(z+w)]/(z+w)=x+z すなわち[A(1)C]^2=x+z ⇒A(1)C=√(x+z)
 …(6.1.6) が示された。同様に [A(1)D]^2=DM^2+[MA(1)]^2=[w/√(z+w)]^2+[√(zw+xw+xz)]/√(z+w)]^2
 =[w^2+(zw+xw+xz)]/(z+w)=[w(w+z)+x(z+w)]/(z+w)=[(x+w)(z+w)]/(z+w)=x+w 
 すなわち[A(1)D]^2=x+w ⇒A(1)D=√(x+w) …(6.1.7)も示された。 
 同様に△A(2)BDについてもA(2)B=√(x+y),A(2)D=√(x+z)となり△A(2)BD≡△ABD、△A(3)CBについてもA(3)B=√(x+y)、
 A(3)C=√(x+z) となり△A(3)CB≡△ADBとなっている。したがって展開図が完成している。
[例6.2] 
 [例4.2]のもので、見てみよう。「定理6.1]は正しいのだから、展開図を描くには、実際は普通に三角形を4つ
 描けば良いのである。
 [例4.2]では、AB=√3,AC=2,BC=√5,AD=√6,BD=√7,CD=2√2 
 
  △BCDの3辺は a=BC=√5,f=CD=2√2,e=DB=√7,この△BCDの周りの辺DCの右上に
  A(1)D=AD=√6=d,A(1)C=AC=2=bとなるように△A(1)DCを描き、次に辺BDの左上に△A(2)BD,
  ただしA(2)B=√3=c,A(2)D=√6=dを描き、最後に辺BCの下に△A(3)CB,ただし、A(3)C=2=b,A(3)B=√3=c
  を描いて「垂心四面体ABCD」の「展開図」のできあがりである。

  上の長さを10倍して「cm単位」で「画用紙に展開図を描いて」この「垂心四面体ABCD」を作成してみると、
  面白いのではないだろうか。△BCDの「垂心H_A」と△A(1)DCの「垂心H_B」を「定理6.1」で述べた直線BA(1)が通っている
  こと、つまり「垂心四面体ABCD」で「各頂点から対面へ下した垂線の足」はその「対面の三角形の『垂心』」に
  なっていることなどや「四面体のオイラー線の関係」,「各頂点から四面体の『重心G』を通る直線と対面の『交点』は
  その「対面」の「重心」になること」などがハッキリと分かるだろう。なお、「垂心四面体ABCD」の「垂心H]は
  AH:HH_A=(1-κ):κ=(xzw+xyw+xyz):yzw=x(zw+yw+yz):yzw=x(2S_A)^2:yzw
      =1×(√(31)^2:(2×3×5)=31:30([例4.2]参照 )
  すなわち AH=(AH_A)×(31/61) …(6.2.1) である。ここで [例4.2]より 
  V=(1/6)√(61)=(1/3)(S_A)(AH_A)=(1/3)(1/2)√(31)(AH_A) ⇒ 高さAH_A=√(61)/√(31)これを
  (6.2.1)に代入して AH=√(31)/√(61) となっているので、頂点Aから対面の「垂心H_A」に引いた
  「垂線上の頂点Aから√(31)/√(61)の距離」のところにこの「垂心四面体ABCD」の「垂心Hはある」ことを
  注意しておく。私は未だ試していない。

  [定理4.1]によって「垂心四面体ABCD」の「例」は無数に出きるのだから、他のも造ってみるとよいだろう。


三角形の内心,傍心,垂心,外心,重心の重心座標と三線座標NO2_2009.7.15(水)

2009年07月15日 | 考察

三角形の「内心I」,「傍心E_A」,「垂心H」,「外心O」,「重心G」の重心座標と三線座標2_09.7.15(水)
5.
最後に
「命題5.1]
△ABCの「垂心H」について、頂点Aから引いた垂線の足をH_A とすると、見かけ上の三点A,H,H_A
は直線A(H_A)上にあるが、(→A(H_A))の向きを「正」と考えたとき、
 
 AH=2RcosA …(5.1.1) ただし(→A(H_A))の向きの長さを「正の長さ」と考える。ベクトルを使えば
 
(→AH)=(2RcosA)×[(→A(H_A))/|(→A(H_A))|] …(5.1.2)
「証明」 
まず、「命題1.2.1]と(4.1.2)より |(→AH_A)|=h_A=2S/a=2RsinBsinC …(5.1.3)
「垂心H」ではκ=cotBcotCより 
 1-κ=1-cotBcotC=(sinBsinCーcosBcosC)/(sinBsinC)=-cos(B+C)/(sinBsinC)
   =-cos(180°-A)/(sinBsinC)=cosA/(sinBsinC)
 すなわち 1-κ=cosA/(sinBsinC) …(5.1.4) 
 これから κ<1 ⇔ Aは鋭角,また κ >1 ⇔ Aは鈍角
 そして 「命題1.2.2」より
  「κ≠1のときに限り、(→AH)=(1-κ)(→AH_A)」 …(1.2.5)であった。
(ア)Aが鋭角のとき cosA>0で 1-κ>0 ⇒(→AH)と(→AH_A)は同じ向きだから、
   AHは「正の長さ」といえる。よって AH=(1-κ)|(→AH_A)|=(1-κ)(h_A) 
   すなわち AH=(1-κ)(h_A)  …(5.1.5)
  これに(5.1.3)と(5.1.4)を代入して AH=cosA/(sinBsinC)×(2RsinBsinC)=2RcosA …(5.1.6)
  すなわち AH=2RcosA …(5.1.7)
(イ)Aが鈍角のとき cosA<0で 1-κ<0 ⇒(→AH)と(→AH_A)は反対向きだから、
   AHは「負の長さ」と考えられる。よって AH=(1-κ)(h_A) …(5.1.5)
  これに(5.1.3)と(5.1.4)を代入して AH=cosA/(sinBsinC)×(2RsinBsinC)=2RcosA …(5.1.6)
  すなわち AH=2RcosA …(5.1.7)
(ウ)κ=cotBcotC=1のときは[命題3.1]の(1)でやったように
   A=90°,[垂心H]=[頂点A]であり、AH=0である。このときはA=90°なので
   2RcosA=2Rcos90°=0となる。よって AH=2RcosA=0 となって AH=2RcosA …(5.1.7)は
   成り立つ。
  以上により AH=2RcosA が成り立つ。ただし(→A(H_A))の向きの長さを「正の長さ」と考える。 
 ([命題5.1]の「証明」終わり)
[命題5.2]
 「命題4.2」の△ABCの「外心O」の「三線座標」(α,β,γ)について 
  OO^A=α=RcosAであることと、「命題5.1]の △ABCの「垂心H」について 
  AH=2RcosAであることにより△ABCの「外心O」,「重心G」,「垂心H」について
 「オイラー線の関係」が成り立つことが分かる。
「証明」
  概略を示す。A≠90°のとき、「外心O」から直線BCに下した垂線の足を「O^A」とする。
  点Aと点O^Aを結び、点Oと点Hを結び、その交点をXとすれば、△X(O^A)O∽△XAH となり、
  AX:X(O^A)=AH:OO^A=2RcosA:RcosA=2:1,OX:XH=OO^A:AH=RcosA:2RcosA=1:2。
  Oが「外心」よりO^Aが辺BCの中点になる。このことからA(O^A)は頂点Aからの「中線」で
  AX:X(O^A)=2:1,点Xは△ABCの「重心G」になりOG:GH=1:2となり
  △ABCの「外心O」,「重心G」,「垂心H」について「重心G」は線分OHを
  1:2に内分している。
  A=90°のときは、△ABCは∠A=90°の直角三角形であるから「垂心H]=「頂点A]、
 「外心O」=「斜辺BCの中点」であり、線分AO=HOは「中線」になり、重心Gは線分AO=HOを
  2:1に内分する。  
 ( [命題5.2]の「証明」終わり)
 (この「証明」は△X(O^A)Oや△XAHができていることを仮定していて完全ではない。
  △ABCがB=Cの2等辺三角形のときだけが使えない。)
[注意]
上の[命題5.2]は「垂心H」と「外心O」の[命題3.1]での表示
 (→PH)=cotBcotC(→PA)+cotCcotA(→PB)+cotAcotB(→PC) …(3.1.5)
 (→PO)=[1/(4sinAsinBsinC)][(sin2A)(→PA)+(sin2B)(→PB)+(sin2C)(→PC)] …(3.1.6)を
 用いて次にようにきちんと簡単に「証明できる」
[命題5.3]
 △ABCにおいて 「垂心H],「外心O」としたとき、、任意の点P∈E^m(m≧2)にたいして
 2(→PO)+(→PH)=(→PA)+(→PB)+(→PC)  …(5.3.1)
 よって [2(→PO)+(→PH)]/3=(→PG) となり、OHを1:2に内分した点は「重心G」である。
「証明」
 2(→PO)+(→PH)の(→PA)の係数が1を示せば十分である。
 2(→PO)の(→PA)の係数=[1/(2sinAsinBsinC)](2sinAcosA)=[cosA/(sinBsinC)] …(5.3.2)
 また
(→PH)の(→PA)の係数 =(cosB/sinB)×(cosC/sinC)=[(cosBcosC)/(sinBsinC)] …(5.3.3)
 よって 
 2(→PO)+(→PH)の(→PA)の係数
  =[cosA+cosBcosC]/(sinBsinC)=[-cos(B+C)+cosBcosC]/(sinBsinC)
 =[-cosBcosC+sinBsinC+cosBcosC]/(sinBsinC)=(sinBsinC)/(sinBsinC)=1
( [命題5.3]の「証明」終わり )

◎ 終わりに△ABCの「重心G]の「三線座標」を求めておこう。

[命題5.4]
 △ABCの三辺の長さをBC=a,CA=b,AB=c,その面積をSとすれば、「重心G]の真の「三線座標」は

 (α,β,γ)=( (2S)/(3a),(2S)/(3b),(2S)/(3c) )   …(5.4.1)
  よって
 「重心G]の「三線座標」の簡単な比は ( 1/a,1/b,1/c )…(5.4.2)

「証明」
「重心G]の「ベクトルによる重心座標表現」は、任意の点P∈E^m(m≧2) に対して

  (→PG)=(1/3)(→PA)+(1/3)(→PB)+(1/3)(→PC) …(5.4.3)
 であるから、「重心G]の「重心座標」は (κ,λ,μ)=( 1/3,1/3,1/3)である。
 ゆえに「重心G]の「三線座標」を(α,β,γ)とすれば「命題1.3」の(1.3.2)から
 
 α=(2S/a)κ=(2S/a)×(1/3)=(2S)/(3a)。同じくβ=(2S)/(3b) ,γ=(2S)/(3c) となる。
(「命題5.4」の「証明』終わり)

◎以上により、三角形の「五心」、すなわち「内心,傍心,垂心,外心,重心」の
 「重心座標」と「三線座標」のうち、主に「三線座標」について述べたことになる。

三角形の内心,傍心,垂心,外心,重心の重心座標と三線座標NO1_2009.7.15(水)

2009年07月15日 | 考察

三角形の「内心I」,「傍心E_A」,「垂心H」,「外心O」,「重心G」の重心座標と三線座標-09.7.15(水)
<記号の約束>

mは自然数、E^mでm次元ユークリッド空間を表すものとし、「ベクトルAB」などを(→AB)などで表す。
また、「三角形ABC」の3辺BC,CA,ABをBC=a,CA=b,AB=cとし、その面積をSで表す。

1.三角形の「三線座標」の大雑把な復習
 △ABC⊆E^2⊆E^m (m≧2)としておく。
 よくやるように 2s=a+b+c …(1.1.1) とおく。
 「△ABC」で頂点Aから底辺BCに下した垂線の足をH_Aとし、その長さ(高さ)をh_Aとする。
 同様に、頂点B,Cからの垂線を考えてCA上に点H_B,AB上に点H_Cをとり、h_B=BH_B,h_C=CH_C …(1.1.2) 
 とする。
 E^2内の任意の点Tにたいし、点Tから底辺BCまでの「符号つき距離」をα,
 点Tから底辺CAまでの「符号つき距離」をβ,点Tから底辺ABまでの「符号のつき距離」をγとする。
 ここで、点Tから底辺BCまでの「符号つき距離α」とは「点Tから直線BCに下した垂線の長さ」で、
 その「符号」は次のように定める。点Tから直線BCに下した「垂線の足」を例によって「T^A」
 などとして T(T^A)=α であるが、

 (ア) 点Tが直線BCに関して、頂点Aと同じ側にあるとき、T(T^A)=α>0
(イ) 点Tが「直線BC上にある」とき、         T(T^A)=α=0
(ウ) 点Tが直線BCに関して、頂点Aと反対側にあるとき、T(T^A)=α<0 …(1.1.3) 
 
  と定めるのである。
 このような3つの実数の組(α,β,γ)はE^2内の点Tによって「一意的」に定まる。
 この3つの実数の組(α,β,γ)を点Tの△ABCに関する「三線座標」,または単に「三線座標」とよぶ。
 [注意]:この符号つき距離の「符号」は次のように考えてもよい。
◎ベクトル(→AH_A)は「零ベクトルではない」から、(→AH_A)の向きを「正」と考えるのである。
  そして
 (ア)(→TT^A)≠(→0)で、(→TT^A)と(→AH_A)が同じ向きに平行なとき、TT^A=α>0
 (イ)(→TT^A)=(→0)のとき、                    TT^A=α=0
 (ウ) (→TT^A)≠(→0)で、(→TT^A)と(→AH_A)が反対向きに平行なとき、TT^A=α<0 …(1.1.4)
「命題1.2.1]
 h_A=(2S)/a,h_B=(2S)/b ,h_C=(2S)/c …(1.1.5)
「証明」
 面積の式 (1/2)a(h_A)=(1/2)b(h_B)=(1/2)c(h_C)=S からでる。
 (「証明」終わり)

「命題1.2.2」
 E^2内の任意の点Tの重心座標を(κ,λ,μ),κ+λ+μ=1とすると、任意の点P∈E^mに対して、
  (→PT)=κ(→PA)+λ(→PB)+μ(→PC) …(1.2.1) となる。
  このとき、κ≠1ならば、 直線ATは、直線BCと唯1点T_Aで交わる。
  「κ≠1のときに限り」、AT:TT_A=1-κ:κ …(1.2.2) かつ A(T_A):T(T_A)=1:κ …(1.2.3)
 
「証明」
  証明はこのブログの「2009.05.28(木)」の [命題1.1]および、[命題1.3]の
  AT:T(T_A)=(1-κ):κ …(1.1.9) と同様にできるので、そちらを見るか、
  もっと古いのでは「2009.02.18」のブログ「     」を見て下さい。
  ポイントは 「t≠1で(→AT)=(1-t)(→AT_A)とするとき、t=κとなる」ことで、
  t=κ かつ (→AT)=(1-κ)(→AT_A) であるから、
  (→T(T_A))=(→AT_A)-(→AT)=(→AT_A)-(1-κ)(→AT_A)=κ(→AT_A)
  すなわち κ≠1のときは、(→T(T_A))=κ(→AT_A) …(1.2.4)からわかる。これから
  (1.2.2) ,(1.2.3)がでてくるのである。なお κ=1のときは別に考えるのだった。
 (「証明」終わり)

 次の「命題1.3」は「命題1.2.2」のA(T_A):T(T_A)=1:κ …(1.2.3)と三角形の相似を使う。

「命題1.3」 「重心座標」と「三線座標」との関係
  △ABC⊆E^2⊆E^m (m≧2)としておく。
  E^2内の任意の点Tの重心座標を(κ,λ,μ),κ+λ+μ=1 …(1.3.1)とし、「三線座標」を(α,β,γ)と
  すれば 
    α=(2S/a)κ ,β=(2S/b)λ ,γ=(2S/c)μ …(1.3.2)
  また 
    aα+bβ+cγ=2S  …(1.3.3)
  
 ここに、Sは三角形ABCの面積、a=BC,b=CA,c=AB である。
「証明」
 (1) κ≠1のときは、「命題1.2.2」の(1.2.3)から A(T_A):T(T_A)=1:κ …(1.3.4)
  そこでTが直線BC上になく、(→AT)が「直線BCと垂直でない場合」だけ証明しておく。α=T(T^A)である。
  △A(T_A)(H_A)∽△T(T_A)(T^A)だから A(H_A):T(T^A)=A(T_A):T(T_A)=1:κ (∵ (1.3.4) )
  つまり h_A:α=1:κ …(1.3.5) ⇒ α=(h_A)κ …(1.3.6) ここで「命題1.2.1」の(1.1.5)から 
  h_A=(2S)/a,よって (1.3.6)は α=(2S/a)κ …(1.3.7) となる。
 (2) κ=1のときは、(→AT)は「点Aを通って底辺BCに平行な直線上」にあり、
   したがって α=T(T^A)=h_A また κ=1なので α=(h_A)κ …(1.3.6)がやはり成り立つ。
   よって 「命題1.2.1」の(1.1.5)から α=(2S/a)κ …(1.3.7) となる。 
  同様に β=(2S/b)λ ,γ=(2S/c)μ も β=(h_B)λ ,γ=(h_C)μ からでる。
 (3)
  次に(1.3.2),(1.3.1)から aα+bβ+cγ=(2S)κ+(2S)λ+(2S)μ=(2S)(κ+λ+μ)=(2S)×1=2S 
  となって (1.3.3)が示された。
2.
 それでは、△ABCの「内心I」と「傍心E_A」の「ベクトルによる重心座標表現」を求めよう。
「命題2.1」
 △ABC⊆E^2⊆E^m (m≧2)としておく。また △ABCの面積をSとし、a=BC,b=CA,c=AB とする。
 △ABCの「内心I」の「ベクトルによる重心座標表現」は、任意の点P∈E^m に対して

  (→PI)=[1/(a+b+c)][a(→PA)+b(→PB)+c(→PC)] …(2.1.1)

     =[1/(2s)][a(→PA)+b(→PB)+c(→PC)] …(2.1.2)
  また 「内接円I」の半径をrとおけば
   r=(2S)/(a+b+c)=(2S)/(2s)=S/s       …(2.1.3)

  ここで 例によって 2s=a+b+c としている。
 「証明」
 「内心I」から辺BC,CA,ABに下した垂線の足をそれぞれ、I^A,I^B,I^Cとおく。
 「内心I」の「三線座標」を(α,β,γ)とおけば α=I(I^A),β=I(I^B),γ=I(I^C)である。
  また、任意の点P∈E^m に対して「内心I」の「ベクトルによる重心座標表現」を
  (→PI)=κ(→PA)+λ(→PB)+μ(→PC)  …(2.1.4) かつ κ+λ+μ=1 …(2.1.5)
  とし、「内接円」の半径をrとおけば、「内心I」はまず△ABCの「内部」にあるから
  κ>0,λ>0,μ>0  …(2.1.6) かつ I(I^A)=I(I^B)=I(I^C)=r すなわち
  α=β=γ=r  …(2.1.7) これに「命題1.3」の(1.3.2)を代入して(2.1.7)は
  (2S/a)κ=(2S/b)λ=(2S/c)μ=r つまり、
  (2Sκ)/a=(2Sλ)/b=(2Sμ)/c=r …(2.1.8) この κ,λ,μとrの連立方程式を
  κ+λ+μ=1 かつ κ>0,λ>0,μ>0  …(2.1.6)の基で解けばよい。
 そこでいわゆる「加比の理」を用いて
  r=(2Sκ/a)=(2Sλ/b)=(2Sμ/c)
   =[(2Sκ)+(2Sλ)+(2Sμ)]/(a+b+c)
   =(2S)[κ+λ+μ]/(a+b+c)=(2S)/(a+b+c) ( ∵ (2.1.5)のκ+λ+μ=1)
  ゆえに r=(2S)/(a+b+c) かつ 
  κ=a/(a+b+c) ,λ=b/(a+b+c),μ=c/(a+b+c) となるが、
  これは(2.1.5)(2.1.6)を満たす。 よって (2.1.4)は 
 (→PI)=a/(a+b+c)(→PA)+b/(a+b+c)(→PB)+c/(a+b+c)(→PC) 
    =[1/(a+b+c)][a(→PA)+b(→PB)+c(→PC)] 
 (「命題2.1」の「証明」終わり )
 次に「角A内の傍心E_A」の「ベクトルによる重心座標表現」を求めよう。
「命題2.2」
 △ABC⊆E^2⊆E^m (m≧2)としておく。また △ABCの面積をSとし、a=BC,b=CA,c=AB とする。
 △ABCの「傍心E_A」の「ベクトルによる重心座標表現」は、任意の点P∈E^m に対して

  (→PE_A)=[1/(-a+b+c)][ーa(→PA)+b(→PB)+c(→PC)] …(2.2.1)

     =[1/{2(s-a)}][ーa(→PA)+b(→PB)+c(→PC)] …(2.2.2)
  また 「傍接円E_A」の半径をr_Aとおけば
   r_A=(2S)/(-a+b+c)=(2S)/{2(s-a)}=S/(s-a)    …(2.2.3)
 「証明」
  「傍心E_A」から辺BC,CA,ABに下した垂線の足をそれぞれ、(E_A)^A,(E_A)^B,(E_A)^Cとおく。
 「傍心E_A」の「三線座標」を(α,β,γ)とおけば α=E_A((E_A)^A),β=E_A((E_A)^B),γ=E_A((E_A)^C)である。
  ただし、α<0,β>0,γ>0  …(2.2.4)である。
  また、任意の点P∈E^m に対して「傍心E_A」の「ベクトルによる重心座標表現」を
  (→PE_A)=κ(→PA)+λ(→PB)+μ(→PC)  …(2.2.5) かつ κ+λ+μ=1 …(2.2.6)
  とし、「傍接円E_A」の半径をr_Aとおけば、「傍心E_A」はまず△ABCの外部で
 「辺BCに関して頂点Aと反対側」にあり、∠BACの造る領域内にあるから κ<0,λ>0,μ>0  …(2.2.7)
  そして(2.2.4)からα=E_A((E_A)^B)<0,β=E_A((E_A)^B)>0,γ=E_A((E_A)^C)>0に注意して、
  もう 一つの 条件は -E_A((E_A)^A)=E_A((E_A)^B)=E_A((E_A)^C)=r_A  
  すなわち   -α=β=γ=r_A  …(2.2.8) 
  これに「命題1.3」の(1.3.2)を代入して(2.2.8)は
   -(2S/a)κ=(2S/b)λ=(2S/c)μ=r_A …(2.2.9) この κ,λ,μとr_Aの連立方程式を
   κ+λ+μ=1 かつ κ<0,λ>0,μ>0 ・・・(2.2.10)の基で解けばよい。
そこで
r_A=-(2S/a)κ=(2S/b)λ=(2S/c)μ を
r_A=(2Sκ/-a)=(2Sλ/b)=(2Sμ/c) と変形して「加比の理」を用いれば
r_A=(2Sκ/-a)=(2Sλ/b)=(2Sμ/c)=[(2Sκ)+(2Sλ)+(2Sμ)]/(-a+b+c)
  =(2S)[κ+λ+μ]/(-a+b+c)=(2S)/(-a+b+c) ( ∵ (2.2.6)のκ+λ+μ=1 )
ゆえに  r_A=(2S)/(-a+b+c) かつ

κ=-a/(-a+b+c) ,λ=b/(-a+b+c) ,μ=c/(-a+b+c)  となるが、
これは(2.2.6),(2.2.7)を満たす。 よって(2.2.5)は
(→PE_A)=-a/(-a+b+c)(→PA)+b/(-a+b+c)(→PB)+c/(-a+b+c)(→PC)
    =[1/(-a+b+c)][-a(→PA)+b(→PB)+c(→PC)] そして
 -a+b+c=(a+b+c)-2a=2s-2a=2(s-a)より成り立つ。
( 「命題2.2」の「証明」終わり )
「命題2.3」
(1) △ABCの「内心I」の真の「三線座標」は
  ((2S)/(a+b+c),(2S)/(a+b+c),(2S)/(a+b+c) )
  よって 「内心I」の「三線座標」の比は 1:1:1 となる。
(2) △ABCの「傍心E_A」の真の「三線座標」は
  (-(2S)/(-a+b+c),(2S)/(-a+b+c),(2S)/(-a+b+c) )
  よって「傍心E_A」の「三線座標」の比は-1:1:1 となる。

3.
 「命題1.2.2」で「κ≠1のときに限り」、AT:TT_A=1-κ:κ ・・・(1.2.2) かつ
 A(T_A):T(T_A)=1:κ ・・・(1.2.3)としたが、この「κ≠1」という「制限を外すことはできない」
 次の例を考えてみよう。
「命題3.1」
 △ABC⊆E^2⊆E^m(m≧2)としておく。また△ABCの面積をSとし、a=BC,b=CA,c=AB とする。
 点Tの「重心座標」を(κ,λ,μ),κ+λ+μ=1としておく。
(1) Tが「垂心H」のときに、κ=1となるのは、「垂心H」が「頂点A」のときである。つまり、
  κ=1 ⇔ △ABCは∠A=90゜の直角三角形で、「垂心H」=「頂点A」のときである。

(2) Tが「外心O」のときに、κ=1となるのは、B=C+90゜または C=B+90゜のときで、
  このとき、(→AO)//「直線BC」であって、外接円の半径をRとして、
 (ア) B=C+90゜のときは「外心O」の「重心座標」は
   (κ,λ,μ)=(1,-1/(2sinA),1/(2sinA))・・・(3.1.1)であり、
   「外心O」の「ベクトルによる重心座標表現」は
   (→PO)=(→PA)-1/(2sinA)(→PB)+1/(2sinA)(→PC) つまり

   (→AO)=1/(2sinA)(→BC) ・・・(3.1.2)となる。(→AO)は(→BC)と同じ向きに平行で、
   その長さ|(→AO)|=R

 (イ) C=B+90゜のときは「外心O」の「重心座標」は
   (κ,λ,μ)=(1,1/(2sinA),-1/(2sinA))・・・(3.1.3)であり、
   「外心O」の「ベクトルによる重心座標表現」は
   (→PO)=(→PA)+1/(2sinA)(→PB)-1/(2sinA)(→PC) つまり
   
   (→AO)=-1/(2sinA)(→BC) ・・・(3.1.4)となる。(→AO)は(→BC)と反対向きに平行で、
   その長さ|(→AO)|=R
「証明」
 △ABCの「垂心H」,「外心O」の「ベクトルによる重心座標表現」の三角関数表記は、
 任意の点P∈E^2⊆E^m(m≧2)に対し、「コタンジェント(余接)」を用いて
 (2008.8~9月位のGooのBlog参照)
 (→PH)=cotBcotC(→PA)+cotCcotA(→PB)+cotAcotB(→PC)        ・・・(3.1.5)
 (→PO)=[1/(4sinAsinBsinC)][sin2A(→PA)+sin2B(→PB)+sin2C(→PC)]  ・・・(3.1.6)を
 用いる。

(1)「垂心H」では上の(3.1.5)から κ=cotBcotC だから、κ=1 ⇔ cotBcotC=1
 ⇔(cosBcosC)/(sinBsinC)=1 ⇔cosBcosC-sinBsinC=0 ⇔ cos(B+C)=0 
 ここで 0゜<B+C<180゜だから ⇔B+C=90゜⇔ A=90゜ ⇔ cotA=0
  ⇒λ=cotCcotA=0,μ=cotAcotB=0
  よって(κ,λ,μ)=(1,0,0)で「垂心H」の「ベクトルによる重心座標表現」は
  (→PH)=(→PA) ⇔ H=A これで(1)は証明された。

(2)「外心O」では上の(3.1.6)からκ=(sin2A)/[4sinAsinBsinC] だから
  κ=1 ⇔(sin2A)/[4sinAsinBsinC]=1 ⇔ sin2A+sin2B+sin2C=sin2A
   ( ∵ sin2A+sin2B+sin2C=4sinAsinBsinC )
  ⇔ sin2B+sin2C=0 ⇔ sin(B+C)cos(B-C)=0 ⇔ cos(B-C)=0
  -180゜<B-C<180゜ だから ⇔ B-C=±90゜
 (ア) B=C+90゜のとき、λ=(sin2B)/[4sinAsinBsinC] ,μ=(sin2C)/[4sinAsinBsinC]   
 ここで、(sin2B)/[4sinAsinBsinC]=(2sinBcosB)/[4sinAsinBsinC]=cosB/[2sinAsinC]
    =cos(C+90)/(2sinAsinC)=-sinC/(2sinAsinC)=-1/(2sinA)
 ゆえに λ=-1/(2sinA)  ・・・(3.1.7) 同様にして
     μ=(cosC)/2sinAsin(C+90゜)]=1/(2sinA)  ・・・(3.1.8)
  よって (→PO)=(→PA)-1/(2sinA)(→PB)+1/(2sinA)(→PC)  
    ⇔ (→PO)-(→PA)=1/(2sinA)[(→PC)-(→PB)] ⇔ (→AO)=1/(2sinA)(→BC)
  また 点Oは外心だから |(→AO)|=R
   または実際に |(→AO)|=1/(2sinA)|(→BC)|=a/(2sinA)=(2RsinA)/(2sinA)=R
   (∵ 正弦定理 )
 (イ) C=B+90゜のとき、λ=(sin2B)/[4sinAsinBsinC]=cosB/[2sinAcosB]=1/(2sinA) ・・・(3.1.9)
    μ=(cosC)/[2sinAsinB]=-sinB/[2sinAsinB]=-1/(2sinA)  ・・・(3.1.10)
   以下同様である。
 (「命題3.1」の[証明」終わり )
  
4.
 △ABCの「垂心H」と「外心O」の「三線座標」を求めてみよう。
 まず△ABCの面積をSとし、外接円の半径をRとおく。
 このとき、正弦定理より、a=2RsinA ,b=2RsinB,c=2RsinC 
 また、面積公式より 2S=bcsinA=casinB=absinC に注意すれば
 「命題1.3]の「重心座標」と「三線座標」との関係は次のようになる。
「命題4.1」
 α=(2RsinBsinC)κ ,β=(2RsinCsinA)λ ,γ=(2RsinAsinB)μ …(4.1.1)
「証明」
 まず 2S/a=(bcsinA)/(2RsinA)=(bc)/(2R)=(2RsinB)(2RsinC)/(2R)=2RsinBsinC
 同様に2S/b=(casinB)/(2RsinB)=2RsinCsinA ,2S/c=(ab)/(2R)=2RsinAsinB …(4.1.2)
 これより 
  α=(2S/a)κ=(2RsinBsinC)κ ,β=(2S/b)λ=(2RsinCsinA)λ ,
  γ=(2S/c)μ=(2RsinAsinB)μ 
  (「命題4.1」の「証明」終わり )

「命題4.2」 △ABCの「外接円」の半径をRとする。
 (1) △ABCの「垂心H」の真の「三線座標」(α,β,γ)は
   α=2RcosBcosC ,β=2RcosCcosA ,γ=2RcosAcosB …(4.2.1)
 (2) △ABCの「外心O」の真の「三線座標」(α,β,γ)は 
   α=RcosA , β=RcosB ,γ=RcosC  …(4.2.2)
「証明」
 (1)「垂心H」については、κ=cotBcotC ,λ=cotCcotA ,μ=cotAcotB だから
  「命題4.1」により
  α=(2RsinBsinC)κ=(2RsinBsinC)×cotBcotC
   =(2RsinBsinC)×(cosBcosC)/(sinBsinC)=2RcosBcosC
  β=(2RsinCsinA)λ=(2RsinCsinA)×cotCcotA
=(2RsinCsinA)×(cosCcosA)/(sinCsinA)=2RcosCcosA
  γ=(2RsinAsinB)μ=(2RsinAsinB)×cotAcotB
=(2RsinAsinB)×(cosAcosB)/(sinCsinA)=2RcosAcosB

(2)「外心O」については、
 κ=[1/(4sinAsinBsinC)]sin2A,λ=[1/(4sinAsinBsinC)]sin2B,μ=[1/(4sinAsinBsinC)]sin2C 
 だから「命題4.1」により
 α=(2RsinBsinC)κ=(2RsinBsinC)×[1/(4sinAsinBsinC)](sin2A)
  =(2RsinAcosA)/(2sinA)=RcosA
 β=(2RsinCsinA)λ=(2RsinCsinA)×[1/(4sinAsinBsinC)](sin2B)=RcosB
γ=(2RsinAsinB)μ=(2RsinAsinB)×[1/(4sinAsinBsinC)](sin2C)=RcosC

[命題4.3」
△ABCの「垂心H」,「外心O」の「三線座標」の簡単な比は次のようになる。
(1)△ABCの「垂心H」については、
  「三線座標」の簡単な比は cosBcosC:cosCcosA:cosAcosB …(4.3.1)
(2)△ABCの「外心O」の
  「三線座標」の簡単な比は cosA:cosB:cosC …(4.3.2)

「四面体」の「内心I」と「傍心E_A」の関係など  2009.6.18(木)

2009年06月18日 | 考察

「四面体」の「内心I」と「傍心E_A」の関係など  2009.6.18(木)


1.「四面体ABCD」の「内心I」の「ベクトルによる重心座標表現」の復習

 mは自然数、E^mでm次元ユークリッド空間を表すものとし、「ベクトルAB」などを(→AB)などで表す。

「四面体ABCD」⊆E^3⊆E^m (m≧3)としておく。

「四面体ABCD」の4つの側面の△BCD,△ACD,△ABD,△ABCの面積をそれぞれ S_A,S_B,S_C,S_D …(1.1.1)とし、
 2F=S_A+S_B+S_C+S_D…(1.1.2) とおくと、「内心I」の「ベクトルによる重心座標表現」は
 E^m 内の任意の点Pにたいし、
 
 (→PI)=[1/(S_A+S_B+S_C+S_D)][(S_A)(→PA)+(S_B)(→PB)+(S_C)(→PC)+(S_D)(→PD)] …(1.1.3)

    =[1/2F][(S_A)(→PA)+(S_B)(→PB)+(S_C)(→PC)+(S_D)(→PD)]      …(1.1.4)

 であった。

 つまり、一般の点T∈E^3の「ベクトルによる重心座標表現」を、

    (→PT)=κ(→PA)+λ(→PB)+μ(→PC)+ν(→PD)  …(1.1.5) かつ
          κ+λ+μ+ν=1          …(1.1.6)  
                       
  としたときに、

   κ=(S_A)/[S_A+S_B+S_C+S_D] ,λ=(S_B)/[S_A+S_B+S_C+S_D]  

   μ=(S_C)/[S_A+S_B+S_C+S_D] ,ν=(S_D)/[S_A+S_B+S_C+S_D]  …(1.1.7) になると

  いうことである。 そして κ≠1 …(1.1.8)である。
 そこで、頂点Aに着目して直線AIを考え、△BCDとの交点をI_Aとすれば、
 前回の「2009.05.28(木)のBlog」の [命題1.1]および、[命題1.3]から、
  AI:I(I_A)=(1-κ):κ=(λ+μ+ν):κ=(S_B+S_C+S_D):S_A …(1.1.9) かつ

 λ+μ+ν=1-κ≠0 ( ∵(1.1.8) )だから、△BCD上の点(I_A)の「△BCD」に関する
 「ベクトルによる重心座標表現」はE^m 内の任意の点Pにたいし、
  
  (→PI_A)=[1/(λ+μ+ν)][λ(→PB)+μ(→PC)+ν(→PD)]

      =[1/(S_B+S_C+S_D)][(S_B)(→PB)+(S_C)(→PC)+(S_D)(→PD)] …(1.1.10)
 また、
  点(I_A)の「四面体ABCD」に関する「ベクトルによる重心座標表現」は

  (→PI_A)=[1/(λ+μ+ν)][λ(→PB)+μ(→PC)+ν(→PD)]

      =[1/(S_B+S_C+S_D)][0×(→PA)+(S_B)(→PB)+(S_C)(→PC)+(S_D)(→PD)] …(1.1.11)である。

  (1.1.9)式により、△BCD上の点I_Aは次のようにして決まる。すなわち
 
 △BCDの辺 CB,BD,DCをS_B:S_C,S_D:S_B,S_C:S_Dの比に内分する点をそれぞれN,M ,Lとすれば
「Ceva(チェバ)の定理」から3線分BL,CM,DNは1点で交わる。これが 点 I_Aなのである。
 また頂点Aと「上のように3つの比S_B:S_C,S_D:S_B,S_C:S_D」で「Cevaの定理」から決まる△BCD上の点I_Aとを
 結ぶ「直線」を以下 「頂点Aから引いた『内心線』」 とよぶことにする。
すると「四面体ABCD」の4つの頂点A,B,C,Dからの「4本の『内心線』」は唯一つの点で交わる。その点が「内心I]である。
以上のことなどから次のことがいえる。

2.
[定理2.1]
「四面体ABCD」⊆E^3⊆E^m (m≧3)としておく。「四面体ABCD」の「内心I」を作図する(求める)には
 次の3つの方法が考えられる。

(1)まず、「四面体ABCD」の側面の△BCD,△ACD,△ABD,△ABCの面積 S_A,S_B,S_C,S_Dを計量しておく。
 次に たとえば、△ABCの3辺を時計回りに見て,BA,AC,CBを「S_A:S_B,S_C:S_A,S_B:S_C」の比に内分する点を
 それぞれN,M,Lとし、線分AL,BM,CNのただ一つの交点として決まる△ABC上の点をI_Dとする。
 そのとき、「内心I」は「線分D(I_D」を(S_A+S_B+S_C):S_Dの比に「内分する点」として求まる。…(2.1.1)

(2) (1)と同様に、

  まず、「四面体ABCD」の側面の△BCD,△ACD,△ABD,△ABCの面積 S_A,S_B,S_C,S_Dを計量しておく。
 (1)のように比と「Cevaの定理」で決まる△BCD,△ACD,△ABD,△ABC上の点をI_A,I_B,I_C,I_Dとして、
 4本の『内心線』 
  
  AI_A,BI_B,CI_C,DI_Dの交点が「内心I」になる。 …(2.1.2)
(3) 
 6つの二等分面から求める方法 

  今「四面体ABCD」がボール紙でできていて△BCDが底面で、頂点Aが上方にあり、それを外から見て
 △ABCが左側、△ABDが右側に、その共通な辺ABが目の前にある状況を想像して欲しい。

 この2つの面によってできた図形、いわゆる「二面角」を次のように2等分する。「山折りになった」辺ABの部分を
「四面体ABCD」の「外部から内部」へ向かって点AからBへ包丁で切って行くのだが、
 この2面角の作る「内部の角」(角度<180°)を「2等分する」ように切って行くのである。
 このとき「包丁の動いた部分を拡大して」1つの「平面」ができる。これが
 △ABCと△ABDが作る「二面角」の「二等分面」である。この「二等分面」は今は辺ABに沿って切って
 いったのである。そこでこの「二等分面」を単に、「辺ABでの二等分面」と呼ぶことにする。

 「四面体ABCD」の1つの辺ABに対して丁度1つ「二等分面」ができる。「四面体」には辺が6つ
 あるから、計6枚の「二等分面」ができる。この「6枚の『二等分面』の交点」が「内心I」である。
  実際には、おそらくは、辺ABでの「二等分面」、辺ACでの「二等分面」、辺ADでの「二等分面」と、
  もう一つ例えば、辺BCでの「二等分面」の計4面の交点などとして「内心I」は決まるであろう。
 
「証明」
 (1)(2)については、[定理2.1]の上で説明した。
 (3)については、初等幾何の方法で証明しよう。「三垂線の定理」を用いる。頭のなかに図を浮かべながら読んで下さい。

 まず、「内心I」があるとする。点Iから△ABCへ引いた垂線の足をI_D,△ABDへ引いた垂線の足をI_Cとする。

 I(I_D)=I(I_C)=内接球面の半径 …(2.1.3) である。点Iから辺ABに垂線を引き、…(2.1.4)(ここがポイント)
 
 その交点をLとしよう。(L∈AB) 点Lと点I_D,I_Cをそれぞれ結び、△IL(I_D)と△IL(I_C)を考える。II_D,II_Cは
 
 それぞれ△ABC,△ABDへの垂線であるから、△IL(I_D)と△IL(I_C)は∠I(I_D)L=∠I(I_C)L=90°…(2.1.5)の
 
 直角三角形である。そして、斜辺のILは共通で II_D=II_Cだから、△IL(I_D)≡△IL(I_C) …(2.1.6) となる。
 
 ゆえにL(I_D)=L(I_C) …(2.1.7) ここで、△ABCを底面と考えてその上に垂直に立っている直角三角形IL(I_D)と、
 
 辺ABとの状態を見てみると I(I_D)⊥△ABCだから AB⊥I(I_D) またAB⊥IL (∵(2.1.4)) よってAB⊥[平面IL(I_D)]
 
 ゆえに (I_D)L⊥ABとなる。 同様にして(I_C)L⊥AB となる。よって 3点(I_C),(I_D),Lを結んで△(I_C)L(I_D)を

 作れば∠(I_C)L(I_D) は「△ABCと△ABDの造る二面角のなす角」 …(2.1.8) になる。よって線分(I_C)(I_D)の中点を

  Mとすれば、 △I(I_D)(I_C)はI_D=I_Cの二等辺三角形だから、(I_D)(I_C)⊥IM また△L(I_D)(I_C)はL(I_D)=L(I_C)の

 二等辺三角形より(I_D)(I_C)⊥LM かつ ∠(I_D)LM=∠(I_C)LM 。ゆえに辺ABと線分MLの造る平面は

「辺ABでの二等分面」であり、(I_D)(I_C)⊥「辺ABでの二等分面」、また(I_D)(I_C)⊥[平面ILM]となるから

 その「二等分面」は「内心I」を通る。 
  
 ( [定理2.1]の「証明」終わり )
  
3.
「四面体ABCD」⊆E^3⊆E^m (m≧3)としておく。
「定理3.1]
 頂点Aから引いた「内心線 A(I_A)」上の任意の点Tをとる。このとき、点Tから△ACD、△ABD △ABC,△BCDに
下した垂線の足を例によってそれぞれT_B,T_C,T_D,T_Aとすれば ⇒ TT_B=TT_C=TT_D である。
 
  すなわち「内心線 A(I_A)」上の任意の点Tから面△ACD、△ABD △ABCまでの「距離は等しい」。
  
  厳密には「符号も考えて」点Tの四線座標を(α(4),β(4),γ(4),δ(4))とすれば、⇒ β(4)=γ(4)=δ(4) 
「証明」
「内心I」及び点Tの「四面体ABCD」に関する「重心座標」をそれぞれ (p,q,s,t)、(κ,λ,μ,ν)とする。
 すなわち 任意の点P∈E^mに対して
  (→PI)=κ(→PA)+λ(→PB)+μ(→PC)+ν(→PD ) … (3.1.1)
  かつ    κ+λ+μ+ν=1           … (3.1.2) また
  (→PT)=p(→PA)+q(→PB)+s(→PC)+t(→PD )    … (3.1.3)
  かつ    p+q+s+t=1             … (3.1.4) とする。

 ここに κ=(S_A)/[S_A+S_B+S_C+S_D] ,λ=(S_B)/[S_A+S_B+S_C+S_D]  

     μ=(S_C)/[S_A+S_B+S_C+S_D] ,ν=(S_D)/[S_A+S_B+S_C+S_D]  …(3.1.5) である。
  また 1-κ=(S_B+S_C+S_D)/[S_A+S_B+S_C+S_D] …(3.1.6)となる。

 点Tは「内心線 A(I_A)」上にあるから、(→AT)=u(→AI) …(3.1.7) となる実数uがある。
 これは(3.1.1), (3.1.3)から
   q(→AB)+s(→AC)+t(→AD)=u×[λ(→AB)+μ(→AC)+ν(→AD)] …(3.1.8) となる。
 (→AB),(→AC),(→AD)は一次独立だから、
  q=uλ,s=uμ,t=uν …(3.1.9) となり、2F=S_A+S_B+S_C+S_D …(3.1.10)とおけば
  (3.1.5) から q=u(S_B)/(2F) ,s=u(S_C)/(2F),t=u(S_D)/(2F) …(3.1.11) となる。 
  よって また p=1-(q+s+t)=1-u(λ+μ+ν)=1-u(1-κ) すなわち
   p=1-u(1-κ)=1-u(S_B+S_C+S_D)/(2F)  …(3.1.12)
 
  ここで 点Tの「四線座標」(α(4),β(4),γ(4),δ(4))と「重心座標」(p,q,s,t)の間には
  α(4)=p(3V)/(S_A) ,β(4)=q(3V)/(S_B),γ(4)=s(3V)/(S_C),δ(4)=t(3V)/(S_A) …(3.1.13)の関係がある。 
 (3.1.11)を(3.1.13)に代入して 
    α(4)=[1-u(1-κ)](3V)/(S_A)=[1-u(S_B+S_C+S_D)]/(2F)×[(3V)/(S_A)] …(3.1.14)
   また 
    β(4)=q(3V)/(S_B)=u(S_B)/(2F)×[(3V)/(S_B)]=u(3V)/(2F)となる。同様にして γ(4)=u(3V)/(2F)
    δ(4)=u(3V)/(2F) こうして

  α(4)=[1-u(1-κ)](3V)/(S_A)=[1-u(S_B+S_C+S_D)]/(2F)×[(3V)/(S_A)] …(3.1.14) かつ
  β(4)=u(3V)/(2F) ,γ(4)=u(3V)/(2F) ,δ(4)=u(3V)/(2F)  …(3.1.15)
  ゆえに β(4)=γ(4)=δ(4)=u(3V)/(2F) …(3.1.15) ここで 内接球面の半径を rとすれば 
r=(3V)/(2F)だから   β(4)=γ(4)=δ(4)=ur  …(3.1.16) と書くこともできる。
  ([定理3.1]の「証明」終わり )
[命題3.2]
  記号は上の通りとする。「頂点Aからの『内心線』A(I_A)」(注: 直線である ),I_A∈△BCDについて
  点 I_Aの「四面体ABCD」に関する「四線座標」は
  (0,3V/(S_B+S_C+S_D),3V/(S_B+S_C+S_D),3V/(S_B+S_C+S_D) )である。
 つまり 点I_Aから △BCD,△ACD,△ABD,△BCDまでの距離は それぞれ
  0,3V/(S_B+S_C+S_D),3V/(S_B+S_C+S_D),3V/(S_B+S_C+S_D) である。
 
また 点I_Aは△BCD上にあるからI_Aの「△BCD」に関する「三線座標」も考えられる。それを(β(3),γ(3),δ(3))
  とすれば、 
  β(3)=2(S_B)(S_A)/[f(S_A+S_B+S_C+S_D)],γ(3)=2(S_C)(S_A)/[a(S_A+S_B+S_C+S_D)],
  δ(3)=2(S_D)(S_A)/[e(S_A+S_B+S_C+S_D)] となる。
 
ここに△BCDの3辺は BC=a,CD=f,DB=e としてある。
 
「証明」
 「頂点Aからの『内心線』A(I_A)」上の点Tが I_Aとなるのは(1.1.9)の式より、(→AT)=u(→AI)において 
  u=1/(1-κ)のときである。そこで「定理3.1]の(3.1.14)(3.1.15)及び(3.1.6)から、
  α(4)=[1-u(1-κ)](3V)/(S_A)=0,
  β(4)=u(3V)/(2F)=[1/(1-κ)](3V)/(2F)=[S_A+S_B+S_C+S_D]/(S_B+S_C+S_D)×(3V)/(2F)
    =(3V)/(S_B+S_C+S_D) ( ∵ 2F=S_A+S_B+S_C+S_D としてあるから )
 同様に γ(4)=(3V)/(S_B+S_C+S_D) ,δ(4)=(3V)/(S_B+S_C+S_D)
  次にI_Aの「△BCD」に関する「重心座標」は
(S_B/(S_B+S_C+S_D),(S_C)/(S_B+S_C+S_D),(S_D)/(S_B+S_C+S_D))
  ゆえにI_Aの「△BCD」に関する「三線座標」(β(3),γ(3),δ(3))は,△BCDの面積=S_A だから

 β(3)=(2S_A)/f×(S_B)/(S_B+S_C+S_D),γ(3)=(2S_A)/e×(S_C)/(S_B+S_C+S_D),
δ(3)=(2S_A)/a×(S_D)/(S_B+S_C+S_D) となり、証明された。
   ([命題3.2]の「証明」終わり)
    
4.

「四面体ABCD」の「内心I」と「傍心E_A」の位置関係 

(1) 「角A内で△BCDで『傍接する』傍接球面」の「中心」を「E_A」で表わすことにする。
 「2F=S_A+S_B+S_C+S_D」・・・(4.1.2)とおけば, 
  -S_A+S_B+S_C+S_D=2F-2(S_A)=2(F-S_A)・・(4.1.3)と なるので,
 「傍心E_A」の「ベクトルによる重心座標表現」は次の通りであった。

「角A内で△BCDで『傍接する』傍接球面」の「傍心E_A」の「ベクトルによる重心座標表現」は
 任意の点P∈E^m(ただし m≧3)に対して、

 (→PE_A)=[1/2(F-S_A)]×[-(S_A)(→PA)+(S_B)(→PB)+(S_C)(→PC)+(S_D)(→PD)]・・・(4.1.1)

 また[傍接球面E_A]の半径r_Aは
  
  r_A=(3V)[(2(F-S_A)]=[√{detJ(3)}]/4(F-S_A) ・・(4.1.2)であった。

 そこで次の[定理4.1]を示す。
[定理4.1]
「四面体ABCD」⊆E^3⊆E^m (m≧3)としておく。「四面体ABCD」の「内接球面」の半径をr,
 [傍接球面E_A]の半径r_Aとする。
  このとき、頂点A、「内心I],I_A,「傍心E_A」は この順に「Aから引いた『内心線』」上にあり、
  AI:A(E_A) =(-S_A+S_B+S_C+S_D):(S_A+S_B+S_C+S_D)=r : r_A  ・・・(4.1.3)
  AI:I(E_A) =(-S_A+S_B+S_C+S_D):2(S_A)               ・・・(4.1.4)
 A(I_A):A(E_A)=(-S_A+S_B+S_C+S_D):(S_B+S_C+S_D)          ・・・(4.1.5)
「証明」 
「内心I]の[ベクトルによる重心座標表現」はE^m 内の任意の点Pにたいし、

 (→PI)=[1/2F][(S_A)(→PA)+(S_B)(→PB)+(S_C)(→PC)+(S_D)(→PD)]    ・・・(1.1.4)
 そして「内接球面」の半径をrとすれば 
   r=(3V)/(2F)=[√{detJ(3)}]/(4F)                   ・・・(4.1.6)

一方, 「傍心E_A」のそれは
 (→PE_A)=[1/2(F-S_A)]×[-(S_A)(→PA)+(S_B)(→PB)+(S_C)(→PC)+(S_D)(→PD)]・・・(4.1.1)
 (1.1.3),(4.1.1)でPの代わりにAとおけば、(1.1.3),(4.1.1)はそれぞれ
  (→AI) =[1/(2F)]×[(S_B)(→AB)+(S_C)(→AC)+(S_D)(→AD)]      ・・・(4.1.7)
  (→AE_A)=[1/2(F-S_A)]×[(S_B)(→AB)+(S_C)(→AC)+(S_D)(→AD)]  ・・・(4.1.8)
 (4.1.7),(4.1.8)より 
    (→AE_A)=[2F/2(F-S_A)]×(→AI) ・・・(4.1.9)を得る。(2F)/2(F-S_A)>1だから
三点 A,I,E_Aはこの順に一直線上にある。
  AI:A(E_A)=1 :(2F)/2(F-S_A)=2(F-S_A):2F=(-S_A+S_B+S_C+S_D):(S_A+S_B+S_C+S_D)
       =(3V)/2F:(3V)/[2(F-S_A)]=r :r_A
 これより
  AI:I(E_A)=(-S_A+S_B+S_C+S_D):2S_A がでる。
 また AI:I(I_A)=(1-κ):κ=(λ+μ+ν):κ=(S_B+S_C+S_D):S_A  …(1.1.10)から
  (→AI)=(S_B+S_C+S_D)/(S_A+S_B+S_C+S_D)×(→AI_A) ・・・(4.1.10) これを
 (4.1.9)に代入し 
  (→A(E_A))=[2F/2(F-S_A)]×(S_B+S_C+S_D)/(2F)×(→AI_A)
      =(S_B+S_C+S_D)/[2(F-S_A)]×(→AI_A)
  A(I_A):A(E_A)=[2(F-S_A)]:(S_B+S_C+S_D)=(-S_A+S_B+S_C+S_D):(S_B+S_C+S_D) 
 を得て、頂点A、「内心I],I_A,「傍心E_A」は この順に「Aから引いた『内心線』」上にある
 ことが証明された。
 ([命題3.2]の「証明」終わり)
5.
(1)「四面体ABCD」の「角A内の『傍接球面E_A』」のイメージをここで説明しておこう。

「四面体ABCD」を△BCDが底面にきて頂点Aが上方にくるように平面上に置く。
「四面体ABCD」を上方に持ち上げて、面△ABCをAを始点としてAから辺BCの方向に例えばAB,ACの長さが3倍になるように
 し、面△ABCを下方に引っ張り△AB'C'を作ろう。同様に△ACDも下方に3倍に引っ張り△AC'D'、△ABDも下方に3倍に引っ張って
 △AB'D'として、できた図形を考えよう。この図形を頂点Aを上方になるように平面上に置く。すると辺B'C',C'D',D'B'が地面に
 触れて「床」が△BCDの「家みたいな」ものができる。そこで小さなゴムボールを膨らましながらこの家の床下から入れてゆき、
 このボールが台形B'BCC'、台形C'CDD',台形D'DBB'に「内側」から接して、かつ「床△BCD」に「下から接する」まで膨らませれば
「角A内での△BCDで傍接する『傍接球面』が出来上がる」というわけである。

(2) 3.で「内心I」の「初等幾何学的」な求め方を述べたので「傍心E_A」の場合のそれを述べておく。
 3.の[定理3.1]の(3)のように、「辺ACでの『二等分面』」,「辺ADでの『二等分面』」、「辺ADでの『二等分面』」と
 △BCDと台形B'BCC'の造る「二面角」を「四面体ABCD」の「外部から外部」へ「二等分」する

「辺BCでの『二等分面』」と、△BCDと台形C'CDD'の造る「二面角」を「四面体ABCD」の「外部から外部」へ
「二等分」する「辺CDでの『二等分面』」と、△BCDと台形D'DBB'の造る「二面角」を「四面体ABCD」の
「外部から外部」へ「二等分」する「辺CDでの『二等分面』」の6枚の「平面の交点」はただ一つでそれが、
「傍心E_A」になる。