一般の四面体ABCDにおいて、種々の点が一直線上にあることなど_
特に、四面体ABCDの「6つの二面角が、すべて等しい四面体は、正四面体になる」2017_03_14(火)
[1].
一般の四面体ABCDについて、
[内接球面Iの△ACDとの接点I^B]の真の重心座標が、
(S_A/(2F)[1+cosθ(A,B)],0,S_C/(2F)[1+cosθ(C,B)],S_D/(2F)[1+cosθ(D,B)] )
・・・(1.1.1) 及び
[傍接球面E_Dの△ACDとの接点(E_D)^B]の真の重心座標が
( S_A(1+cosθ(A,B))/[2(F-S_D)],0,S_C(1+cosθ(C,B))/[2(F-S_D)]
,-S_D(1-cosθ(D,B))/[2(F-S_D)] ) ・・・(1.1.2)
であることは、2017_01_31及び2017_02_15のブログで提示した。このとき、異なる3点
D,I^B,(E_D)^Bが一直線上にあることを示そう。
まず(1.1.1)から、∀P∈E^mに対して
(→PI^B)=S_A/(2F)[1+cosθ(A,B)](→PA)+S_C/(2F)[1+cosθ(C,B)](→PC)
+S_D/(2F)[1+cosθ(D,B)](→PD) そこで P⇒Dとして、
(→DI^B)=S_A/(2F)[1+cosθ(A,B)](→DA)+S_C/(2F)[1+cosθ(C,B)](→DC)・・・(1.1.3)
同様にして(1.1.2)から、
(→D(E_D)^B)=S_A(1+cosθ(A,B))/[2(F-S_D)](→DA)
+S_C(1+cosθ(C,B))/[2(F-S_D)](→DC) ・・・(1.1.4)
(1.1.3)と(1.1.4)より、
(→D(E_D)^B)=(2F)/[2(F-S_D)](→DI^B) ・・・(1.1.5)
ゆえに
[命題1.2]
異なる3点 D,I^B,(E_D)^Bはこの順に一直線上にあり、しかも
DI^B:D(E_D)^B=2(F-S_D):2F=(F-S_D):F ・・・(1.2.1)であることが
分かった。
つまり I^BはD(E_D)^Bを (F-S_D):S_D の比に内分した点であることがいえた。
[2].
次に異なる3点D,I,E_Dがこの順に一直線上にあることは、
「このブログ」で以前の2009_06_18に述べたが
もう一度示しておこう。
[事実2.1]
異なる3点である頂点D,内心I 及び傍心E_Dはこの順に一直線上にあり、
DI:DE_D=2(F-S_D):2F=(F-S_D):F ・・・(2.1.1)
即ち 内心Iは DE_Dを(F-S_D):S_D の比に内分する点である。・・・(2.1.2)
「証明」
内心I の真の重心座標は( S_A/(2F),S_B/(2F),S_C/(2F),S_D/(2F) )・・・(2.1.3)
傍心E_Dの真の重心座標は ( S_A/[2(F-S_D)],S_B/[2(F-S_D)],S_C/[2(F-S_D)],
-S_D/[2(F-S_D)] ) ・・・(2.1.4)だから、
(→DI)=1/(2F)[S_A(→DA)+S_B(→DB)+S_C(→DC)]・・・(2.1.5),
(→DE_D)=1/[2(F-S_D)][S_A(→DA)+S_B(→DB)+S_C(→DC)] である。
よって
(→DE_D)=2F/[2(F-S_D)]×1/(2F)[S_A(→DA)+S_B(→DB)+S_C(→DC)]
=2F/[2(F-S_D)]×(→DI)・・・(2.1.6)
したがって、(2.1.1)が成り立ち、F>S_D だから(2.1.2)も成り立つ。
(「証明」終わり)
[命題1.2]と[事実2.1]より次の[定理2.2]が成り立つことが分かる。
[定理2.2]
2つの直角三角形 △D(I^B)I ∽ △D(E_D)^B(E_D) であって、その相似比は、
(F-S_D):F である。特に II^B :(E_D)(E_D)^B=r:r_D=(F-S_D):F
ここにr,r_Dはそれぞれ、内接球面 I、傍接球面E_Dの半径である。
(最後の等号は、r=(3V)/(2F),r_D=(3V)/[2(F-S_D)]とも矛盾しない。ここに
Vは四面体ABCDの体積である。)
さらに、これも以前述べたことと同様にして、頂点Dと内心 Iを結ぶ直線と
△ABCとの交点をI_Dとすると、I_Dの△ABCに関する真の重心座標は
( S_A/[S_A+S_B+S_C],S_B/[S_A+S_B+S_C],S_C/[S_A+S_B+S_C] ) よって
I_Dの四面体ABCDに関する真の重心座標は
( S_A/[S_A+S_B+S_C],S_B/[S_A+S_B+S_C],S_C/[S_A+S_B+S_C],0 )・・・(2.1.7)となる。
ゆえに
(2.1.5)と(2.1.7)より S_A+S_B+S_C=2F-S_Dを用いて、
[命題2.3]
(→DI_D)=[(2F)/(2F-S_D)](→DI)・・・(2.3.1)がわかり、
DI:DI_D=(2F-S_D):2F ・・・(2.3.2)とわかる。
即ち DI:II_D=(2F-S_D):S_D・・・(2.3.3)であり、[事実2.1]と併せて
異なる4点 D,I,I_D,E_Dはこの順に一直線上にあることがわかった。
( なお、[命題2.3]は2009_06_18頃に記したブログの内容の一部と同様である。)
[3].
[命題1.2]と[定理2.2]は大切であったが、もっと重要なことを述べてゆく。
四面体ABCDがあって、頂点Dから対面の△ABCに下した垂線の足を前と同じく
H_Dで表す。また内心 Iから△ABCに下した垂線の足が[内接球面 I]の△ABCとの
接点I^D である。このとき、次のことがいえる。
[定理3.1]
(ア)
△ABC上にある見かけ上の4点 H_D,I^D,I_D,(E_D)^Dについて、もし2点が異なるなら、
見かけ上の4点 H_D,I^D,I_D,(E_D)^Dは全て異なり、異なる4点はこの順に
一直線上にあり、
(H_D)(I^D):(I^D)(I_D)=(2F-S_D):S_D・・・(3.1.1),
(I^D)(I_D):(I_D)(E_D)^D=(F-S_D):F ・・・(3.1.2),
よって
(H_D)(I^D):(I^D)(I_D):(I_D)(E_D)^D =(F-S_D)(2F-S_D):(F-S_D)(S_D):F(S_D)
・・・(3.1.3) となる。
(イ)
△ABC上にある見かけ上の4点 H_D,I^D,I_D,(E_D)^Dについて、もし2点が一致する
ならば見かけ上の4点は1点に一致する。
その条件は
(1) 二面角 θ(A,D),θ(B,D),θ(C,D)について、
θ(A,D)=θ(B,D)=θ(C,D) ・・・(3.1.4)となること
⇔
(2) cosθ(A,D)=cosθ(B,D)=cosθ(C,D)・・・(3.1.5) となること、
⇔
(3) cosθ(A,D)=cosθ(B,D)=cosθ(C,D)=(S_D)/(2F-S_D)・・・(3.1.6) となること。
よって特に、このときθ(A,D)=θ(B,D)=θ(C,D)は鋭角になる。・・・(3.1.7)
⇔
(4)「内心」を Iとするとき、
[直線 DI]⊥△ABC・・・(3.1.8)であること。
☆[定理3.1]の「証明」であるが、内容が沢山あるので少しずつ分けて証明してゆく。
まず、
[定理3.1]の(ア)について。
見かけ上の4点 H_D,I^D,I_D,(E_D)^Dについて、これらが全て異なる点としておく。
このとき、異なる4点はこの順に一直線上にあり、(3.1.1)を満たすことを示す。
まず前回までと今回のブログで紹介したように、H_D,I^D,I_D,E_D^Dの真の重心座標は
H_Dは ( (S_A/S_D)cosθ(A,D),(S_B/S_D)cosθ(B,D),(S_C/S_D)cosθ(C,D),0 )
・・・(3.1.9)
I^Dは ( 1/(2F)×(S_A)[1+cosθ(A,D)],1/(2F)×(S_B)[1+cosθ(B,D)],
1/(2F)×(S_C)[1+cosθ(C,D)], 0 ) ・・・(3.1.10)
I_Dは ( S_A/[2F-S_D],S_B/[2F-S_D],S_C/[2F-S_D],0 )・・・(3.1.11)
(∵ (2.1.7) )
(E_D)^Dは( S_A(1-cosθ(A,D))/[2(F-S_D)],S_B(1-cosθ(B,D))/[2(F-S_D)]
,S_C(1-cosθ(C,D))/[2(F-S_D)],0 ) ・・・(3.1.12) である。
(1)
H_D,I^D,I_D について:
H_D,I_Dの重心座標の第1成分をみて、
S_D×(S_A/S_D)cosθ(A,D)+(2F-S_D)×S_A/[2F-S_D]=(S_A)[1+cosθ(A,D)] により、
S_D/(2F)×(S_A/S_D)cosθ(A,D)+(2F-S_D)/(2F)×S_A/[2F-S_D]
=1/(2F)×(S_A)[1+cosθ(A,D)] この右辺は I^Dの第1成分であり、
S_D/(2F)+(2F-S_D)/(2F)=1でもあるから、第2,第3成分も考えてI^Dは線分(H_D)(I_D)を
(2F-S_D)/(2F):S_D/(2F)=(2F-S_D):S_Dの比に内分した点になる。(∵ 内分点の公式による )
即ち (H_D)(I^D):(I^D)(I_D)=(2F-S_D):S_D
これで異なる3点H_D,I^D,I_D はこの順に一直線上にあって (3.1.1)が成り立つ
ことが分かった。
(2)
I^D,I_D,(E_D)^Dについて:
I^D,(E_D)^Dの重心座標の第1成分をみて、
(2F)×1/(2F)×(S_A)[1+cosθ(A,D)]+[2(F-S_D)]×S_A(1-cosθ(A,D))/[2(F-S_D)]
=(S_A)[1+cosθ(A,D)]+(S_A)(1-cosθ(A,D))=2S_A により
[F/(2F-S_D)]×1/(2F)×(S_A)[1+cosθ(A,D)]
+[(F-S_D)/(2F-S_D)]×S_A(1-cosθ(A,D))/[2(F-S_D)]
= S_A/[2F-S_D] この右辺は I_Dの第1成分であり、
[F/(2F-S_D)]+[(F-S_D)/(2F-S_D)]=1 でもあるから、、第2,第3成分も考えて
I_Dは線分 (I^D)(E_D)^D を(F-S_D):Fの比に内分した点になる。
即ち (I^D)(I_D):(I_D)(E_D)^D=(F-S_D):F
これで異なる3点I^D,I_D,(E_D)^D はこの順に一直線上にあって (3.1.2)が成り立つ
ことが分かった。
以上(1)(2)により[定理3.1]の(ア)について、
△ABC上にある見かけ上の4点 H_D,I^D,I_D,(E_D)^Dについて、これらが全て異なる点として
おくとき [定理3.1]の(ア)が成り立つことが分かった。
次に、[定理3.1]の(ア)の残りと[定理3.1]の(イ)を示すために次の[命題3.2]を示す。
[命題3.2]
△ABC上にある見かけ上4つの点 H_D,I^D,I_D,(E_D)^Dから2つ取る組み合わせの個数は
4C2=6通りある。このとき
H_D=I^D ⇔ H_D=I_D ⇔ H_D=(E_D)^D ⇔I^D=I_D ⇔ I^D=(E_D)^D ⇔I_D=(E_D)^D
⇔ cosθ(A,D)=cosθ(B,D)=cosθ(C,D)=(S_D)/(2F-S_D)
が成り立つ。しかもこのとき、0<S_D<F ⇔ 0<(S_D)/(2F-S_D)<1 だから
cosθ(A,D)=cosθ(B,D)=cosθ(C,D)=(S_D)/(2F-S_D)ならば、
θ(A,D)=θ(B,D)=θ(C,D)はみな鋭角となる。
「[命題3.2]の証明」
まず最初に 0<S_D<F ⇔ 0<(S_D)/(2F-S_D)<1 を示しておく。
0<(S_D)/(2F-S_D)<1 ⇔ 0<S_D < 2F-S_D ⇔ 0<2(S_D)<2F
⇔ 0<S_D<F よって これは示された。次に
H_D=I^D ⇔ cosθ(A,D)=cosθ(B,D)=cosθ(C,D)=(S_D)/(2F-S_D)を示そう。
(3.1.9)と(3.1.10)によりH_D=I^D
⇔ 第1成分について、 (S_A/S_D)cosθ(A,D)=1/(2F)×(S_A)[1+cosθ(A,D)] ・・・(3.2.1)
第2成分についても (S_B/S_D)cosθ(B,D)=1/(2F)×(S_B)[1+cosθ(B,D)] ・・・(3.2.2)
第3成分についても (S_C/S_D)cosθ(C,D)=1/(2F)×(S_C)[1+cosθ(C,D)] ・・・(3.2.3)
ここで、(3.2.1)⇔ (1/S_D)cosθ(A,D)=1/(2F)×[1+cosθ(A,D)]
⇔ (2F)cosθ(A,D)=(S_D)+(S_D)cosθ(A,D)
⇔ (2F-S_D)cosθ(A,D)=S_D
⇔ cosθ(A,D)=(S_D)/(2F-S_D) (∵ 2F-S_D>0 ) となる。
第2成分、第3成分についても、(3.2.2) ⇔ cosθ(B,D)=(S_D)/(2F-S_D)
(3.2.3) ⇔ cosθ(C,D)=(S_D)/(2F-S_D) となるので、
H_D=I^D ⇔ cosθ(A,D)=cosθ(B,D)=cosθ(C,D)=(S_D)/(2F-S_D) が示された。
H_D=I_D ⇔ cosθ(A,D)=cosθ(B,D)=cosθ(C,D)=(S_D)/(2F-S_D)も同様である。
念のため、複雑そうな
I^D=(E_D)^D ⇔ cosθ(A,D)=cosθ(B,D)=cosθ(C,D)=(S_D)/(2F-S_D) を示しておく。
(3.1.10)と(3.1.12)により I^D=(E_D)^D
⇔ 第1成分について、1/(2F)×(S_A)[1+cosθ(A,D)]=S_A(1-cosθ(A,D))/[2(F-S_D)]
・・・(3.2.4)
第2成分についても1/(2F)×(S_B)[1+cosθ(B,D)]=S_B(1-cosθ(B,D))/[2(F-S_D)]
・・・(3.2.5)
第3成分についても1/(2F)×(S_C)[1+cosθ(C,D)]=S_C(1-cosθ(C,D))/[2(F-S_D)]
・・・(3.2.6)
ここで、(3.2.4)⇔ [2(F-S_D)][1+cosθ(A,D)]=(2F)(1-cosθ(A,D))
⇔ (F-S_D)][1+cosθ(A,D)]=F-Fcosθ(A,D)
⇔ (2F-S_D)cosθ(A,D)=S_D
⇔ cosθ(A,D)=(S_D)/(2F-S_D) となる。
第2成分、第3成分についても、(3.2.5) ⇔ cosθ(B,D)=(S_D)/(2F-S_D)
(3.2.6) ⇔ cosθ(C,D)=(S_D)/(2F-S_D) となるので、
I^D=(E_D)^D ⇔ cosθ(A,D)=cosθ(B,D)=cosθ(C,D)=(S_D)/(2F-S_D) が示された。
他も同様である。
([命題3.2]の「証明」終わり)
☆[定理3.1]の「証明」の続き。
[定理3.1]の(ア)の残りと[定理3.1]の(イ)の内(2)(3)は[命題3.2]に
より 証明された。二面角の大きさは 0°<θ(A,D)<180°などにより
(3.1.4)⇔(3.1.5) となる。明らかに (3.1.6) ⇒ (3.1.5)がいえる。
この逆について 次の[補題3.3]を述べる。
[補題3.3]
一般の四面体ABCDにおいて、
cosθ(A,D)=cosθ(B,D)=cosθ(C,D)・・・(3.1.5)
⇒ cosθ(A,D)=cosθ(B,D)=cosθ(C,D)=(S_D)/(2F-S_D) となる。
「証明」
(3.1.5)が成り立つとする。これを 第一余弦定理の一形
S_D=(S_A)cosθ(A,D)+(S_B)cosθ(B,D)+(S_C)cosθ(C,D)に代入すれば、
S_D=(S_A+S_B+S_C)cosθ(A,D) ・・・(3.3.1) となる。2F=S_A+S_B+S_C+S_D
を用いて、S_A+S_B+S_C=2F-S_D よって (3.3.1)は、
S_D=(2F-S_D)cosθ(A,D) ・・・(3.3.2) となる。ゆえに
cosθ(C,D)=cosθ(B,D)=cosθ(A,D)=(S_D)/(2F-S_D) よって
(3.1.6)が成り立つ。
([補題3.3]の「証明」終わり)
次に(3.1.8) と(3.1.6) とが同値なこと、つまり、
[直線 DI]⊥△ABC・・・(3.1.8)
⇔ cosθ(A,D)=cosθ(B,D)=cosθ(C,D)=(S_D)/(2F-S_D) ・・・(3.1.6)
のことは、
[直線 DI]⊥△ABC・・・(3.1.8) ⇔ I^D=I_D であって、[命題3.2]より
I^D=I_D ⇔ cosθ(A,D)=cosθ(B,D)=cosθ(C,D)=(S_D)/(2F-S_D) ・・・(3.1.6)
となることから分かる。
また「見かけ上の4点が一致の云々と、異なるの云々」は[命題3.2]から分かる。
☆ 以上により[定理3.1] は「完全に証明された。」
[4].次の[定理4.1]が成り立つ。
[定理4.1]
一般の四面体ABCDにおいてその「内心」を Iとするとき、
[直線AI]⊥△BCD ,[直線BI]⊥△ACD ,[直線CI]⊥△ABD
ならば、
この四面体ABCDは「等面四面体ABCD」になり、さらには
実は「正四面体ABCD」となる。
この「証明」は段階に分けて行う。
まず、
[命題4.2]
一般の四面体ABCDにおいてその「内心」を Iとするとき、
[直線AI]⊥△BCD ,[直線BI]⊥△ACD ,[直線CI]⊥△ABD
ならば、
[直線DI]⊥△ABCでもあり、、
cosθ(A,B)=cosθ(A,C)=cosθ(A,D)
=cosθ(B,C)=cosθ(B,D)=cosθ(C,D)=1/3となって、
この四面体ABCDは「等面四面体ABCD」になる。
[命題4.2]の「証明」
図を考えれば [直線AI]⊥△BCD ⇔I^A=I_A であって、
[命題3.2]と同様にして、
I^A=I_A
⇔ cosθ(B,A)=cosθ(C,A)=cosθ(D,A)=(S_A)/(2F-S_A)・・・(4.2.1)
同様に
[直線BI]⊥△ACD ⇔ I^B=I_B
⇔ cosθ(A,B)=cosθ(C,B)=cosθ(D,B)=(S_B)/(2F-S_B)・・・(4.2.2)
[直線CI]⊥△ABD ⇔ I^C=I_C
⇔ cosθ(A,C)=cosθ(B,C)=cosθ(D,C)=(S_C)/(2F-S_C)・・・(4.2.3)
(4.2.1)~(4.2.3)により、
cosθ(A,B)=cosθ(A,C)=cosθ(A,D)=cosθ(B,C)=cosθ(B,D)=cosθ(C,D)
=(S_A)/(2F-S_A)=(S_B)/(2F-S_B)=(S_C)/(2F-S_C) ・・・ (4.2.4)
よって特に cosθ(A,D)=cosθ(B,D)=cosθ(C,D) ・・・ (4.2.5)
ここで[補題3.3] から
cosθ(A,D)=cosθ(B,D)=cosθ(C,D)=(S_D)/(2F-S_D)・・・ (4.2.6)
ゆえに[定理3.1]の(イ)の(3)(4)により、[直線DI]⊥△ABCとなる。また
(4.2.4),(4.2.6)より
cosθ(A,B)=cosθ(A,C)=cosθ(A,D)=cosθ(B,C)=cosθ(B,D)=cosθ(C,D)
=(S_A)/(2F-S_A)=(S_B)/(2F-S_B)=(S_C)/(2F-S_C)=(S_D)/(2F-S_D)
・・・ (4.2.7)
ところが関数 t → t/(2F-t) は開区間(0,2F) [t∈(0,2F) とする] において
一対一(単射)であるから、 (4.2.7)より
(S_A)/(2F-S_A)=(S_B)/(2F-S_B)=(S_C)/(2F-S_C)=(S_D)/(2F-S_D)
⇔ S_A=S_B=S_C=S_D となり、この四面体ABCDは「等積四面体] ゆえに
[バンの定理]より、この四面体ABCDは「等面四面体ABCD」であることも分かった。
また S_A=S_B=S_C=S_Dにより(4.2.7)の共通な値は、2F=4S_D から
(S_D)/(2F-S_D)=(S_D)/(4S_D-S_D)=1/3 となる。
([命題4.2]の「証明」終わり)
★さて「本」のPP228~229にあるように、
[事実4.3]
等面四面体ABCDについて、4つの面は合同な鋭角三角形である。△ABCにおいて
BC=a,CA=b,AB=c,また AD=BC=a,BD=AC=b,CD=AB=c ・・・(4.3.1)とし、
x=((→AB),(→AC)),y=((→BA),(→BC)),z=((→CA),(→CB))・・・(4.3.2)
とおけば、x>0,y>0,z>0 ・・・(4.3.3)で
x=((→AB),(→AC))=((→BA),(→BD))=((→CA),(→CD))=((→DB),(→DC)),
y=((→BA),(→BC))=((→AB),(→AD))=((→CB),(→CD))=((→DA),(→DC)),
z=((→CA),(→CB))=((→BC),(→BD))=((→AC),(→AD))=((→DA),(→DB))
・・・(4.3.4)であって、x+y=AB^2,x+z=AC^2,y+z=BC^2 ,
4(S_D)^2=yz+xz+xy ・・・(4.3.5)となり、等面四面体ABCDの諸量は、
△ABCと同様に正の数 x=((→AB),(→AC)),y=((→BA),(→BC)),z=((→CA),(→CB))
で表せる。そして x=(b^2+c^2-a^2)/2,y=(c^2+a^2-b^2)/2,z=(a^2+b^2-c^2)/2
・・・(4.3.6) となることも昔のブログで述べた通りである。
このとき次の公式が成立する。(「本」の[命題12.25] )
cosθ(A,B)=cosθ(C,D)=[yz+xz-xy]/[yz+xz+xy] ・・・(4.3.7)
cosθ(A,C)=cosθ(B,D)=[yz-xz+xy]/[yz+xz+xy] ・・・(4.3.8)
cosθ(A,D)=cosθ(B,C)=[-yz+xz+xy]/[yz+xz+xy] ・・・(4.3.9) である。
(「本」の引用終わり)
が成り立つ。
[命題4.4]
[等面四面体ABCD]において θ(A,B)=θ(A,C)
⇔ cosθ(A,B)=cosθ(A,C) ⇔ AB=AC [よって またBA=BD,CD=CA,DB=DC となる]
⇔ 各面は c=bの合同な2等辺三角形
「[命題4.4]の証明」
等面四面体ABCDについて[事実4.3]のようにする。(4.3.7)と(4.3.8)により
cosθ(A,B)=cosθ(A,C) ⇔ yz+xz-xy=yz-xz+xy (∵(4.3.5) )
⇔ 2xz=2xy ⇔ y=z (∵(4.3.3) ) ⇔ (c^2+a^2-b^2)/2=(a^2+b^2-c^2)/2
(∵ (4.3.6))⇔ c^2=b^2 ⇔ c=b ⇔ AB=AC
(「証明」終わり)
[命題4.5]
[等面四面体ABCD]において θ(A,B)=θ(A,D)
⇔ cosθ(A,B)=cosθ(A,D) ⇔ AB=AD [よって またBA=BC,CD=CB,DC=DA となる]
⇔ 各面は a=c の合同な2等辺三角形
「[命題4.5]の証明」
等面四面体ABCDについて[事実4.3]のようにする。(4.3.8)と(4.3.9)により
cosθ(A,B)=cosθ(A,D) ⇔ yz+xz-xy=-yz+xz+xy (∵(4.3.5) )
⇔ 2yz=2xy ⇔ z=x (∵(4.3.3) ) ⇔ (a^2+b^2-c^2)/2=(b^2+c^2-a^2)/2
(∵ (4.3.6))⇔ a^2=c^2 ⇔ a=c ⇔ BC=AB ⇔ AD=AB (∵BC=AD← (4.3.1) )
(「証明」終わり)
(注意)他の二面角の余弦についても同様なことがいえる。
[定理4.6]
[等面四面体ABCD]において
[直線AI]⊥△BCD ⇔ cosθ(A,B)=cosθ(A,C)=cosθ(A,D)
⇔ この[等面四面体ABCD]は正四面体ABCD
「[定理4.6]の証明」
[直線AI]⊥△BCD ⇔ cosθ(A,B)=cosθ(A,C)=cosθ(A,D)は「定理3.1]の(イ)
と同様である。cosθ(A,B)=cosθ(A,C)=cosθ(A,D)
⇔ この[等面四面体ABCD]は正四面体ABCD であることは、
[命題4.4]と[命題4.5]により cosθ(A,B)=cosθ(A,C)=cosθ(A,D)
⇔ c=b かつ a=c ⇔ a=b=c であることから分かる。
(「証明」終わり)
☆
「[定理4.1]の[証明」」
一般の四面体ABCDにおいてその「内心」を Iとするとき、
[直線AI]⊥△BCD ,[直線BI]⊥△ACD ,[直線CI]⊥△ABD であるとする。
まず[命題4.2]により、[直線DI]⊥△ABCで、この四面体ABCDは
「等面四面体ABCD」になる。すると[定理4.6]と同様にして、
⇔ cosθ(A,D)=cosθ(B,D)=cosθ(C,D)
⇔ この[等面四面体ABCD]は正四面体ABCD
となって「証明」された。
★
[定理4.1]から、二面角に着目して次のように述べることができる。
[定理4.7]
一般の四面体ABCDにおいて
θ(A,B)=θ(A,C)=θ(A,D)=θ(B,C)=θ(B,D)=θ(C,D)[二面角が全て等しい]
ならば、
cosθ(A,B)=cosθ(A,C)=cosθ(A,D)
=cosθ(B,C)=cosθ(B,D)=cosθ(C,D)=1/3 であって、
この四面体ABCDは正四面体ABCD となる。
この逆はもちろん正しい。