-------四面体ABCDの「内接球面Iとその接点」と内心Iとの間のベクトル等式_2018.04.11(水)_[その1]からの続き------
四面体ABCDの「内接球面Iとその接点」と内心Iとの間のベクトル等式_2018.04.11(水)_[その2]
[2].
さて、それでは表題の「四面体の内心I」についても同様なことが成り立つことを示そう。
四面体ABCDを考え、内心をI、内接球面Iと各面△BCD,△ACD,△ABD,△ABCとの接点を
例によって、I^A,I^B,I^C,I^D とし、面△BCD,△ACD,△ABD,△ABCの面積を
S_A,S_B,S_C,S_D とおき、S_A+S_B+S_C+S_D=2F とおく。このとき、
[定理2.1]
四面体ABCD⊆E^3⊆E^n (但し n≧3とする)とする。任意の∀P∈E^nに対し
S_A(→PI^A)+S_B(→PI^B)+S_C(→PI^C)+S_D(→PI^D)
=S_A(→PA)+S_B(→PB)+S_C(→PC)+ S_D(→PD) ・・・(2.1.1) となる。
これは、
S_A(→AI^A)+S_B(→BI^B)+S_C(→CI^C)+ S_D(→DI^D) =(→0) ・・・(2.1.2)と同値である。
「証明」
(2.1.1)⇔(2.1.2)のことは[定理1.2]の証明と同様である。そこで(2.1.1)を証明しよう。
まず、2017.1.31(火)のblog「四面体ABCDの「内接球面」の各側面と4つの接点
「I^A,I^B,I^C,I^D」の重心座標」の[定理2.3]で述べたように、
I^Aは
(0,S_B/(2F)[1+cosθ(B,A)],S_C/(2F)[1+cosθ(C,A)],S_D/(2F)[1+cosθ(D,A)] )
・・・(2.1.3)
I^Bは、
(S_A/(2F)[1+cosθ(A,B)],0,S_C/(2F)[1+cosθ(C,B)],S_D/(2F)[1+cosθ(D,B)] )
・・・(2.1.4)
I^Cは、
(S_A/(2F)[1+cosθ(A,C)],S_B/(2F)[1+cosθ(B,C)],0,S_D/(2F)[1+cosθ(D,C)] )
・・・(2.1.5)
I^Dは、
(S_A/(2F)[1+cosθ(A,D)],S_B/(2F)[1+cosθ(B,D)],S_C/(2F)[1+cosθ(C,D)],0 )
・・・(2.1.6)
即ち
(→PI^A)
=S_B/(2F)[1+cosθ(B,A)](→PB)+S_C/(2F)[1+cosθ(C,A)](→PC)+S_D/(2F)[1+cosθ(D,A)](→PD)
などにより、
(2F)(→PI^A)=S_B[1+cosθ(B,A)](→PB)+S_C[1+cosθ(C,A)](→PC)+S_D[1+cosθ(D,A)](→PD)
・・・(2.1.7)
(2F)(→PI^B)=S_A[1+cosθ(A,B)](→PA)+S_C[1+cosθ(C,B)](→PC)+S_D[1+cosθ(D,B)](→PD)
・・・(2.1.8)
(2F)(→PI^C)=S_A[1+cosθ(A,C)](→PA)+S_B[1+cosθ(B,C)](→PB)+S_D[1+cosθ(D,C)](→PD)
・・・(2.1.9)
(2F)(→PI^D)=S_A[1+cosθ(A,D)](→PA)+S_B[1+cosθ(B,D)](→PB)+S_C[1+cosθ(C,D)](→PC)
・・・(2.1.10)
となる。ゆえに、このとき
(2F)[S_A(→PI^A)+S_B(→PI^B)+S_C(→PI^C)+S_D(→PI^D)]
=S_A[S_B[1+cosθ(B,A)](→PB)+S_C[1+cosθ(C,A)](→PC)+S_D[1+cosθ(D,A)](→PD)]
+S_B[S_A[1+cosθ(A,B)](→PA)+S_C[1+cosθ(C,B)](→PC)+S_D[1+cosθ(D,B)](→PD)]
+S_C[S_A[1+cosθ(A,C)](→PA)+S_B[1+cosθ(B,C)](→PB)+S_D[1+cosθ(D,C)](→PD)]
+S_D[S_A[1+cosθ(A,D)](→PA)+S_B[1+cosθ(B,D)](→PB)+S_C[1+cosθ(C,D)](→PC)]
=S_A[S_B[1+cosθ(A,B)]+S_C[1+cosθ(A,C)]+S_D[1+cosθ(A,D)]](→PA)
+S_B[S_A[1+cosθ(B,A)]+S_C[1+cosθ(B,C)]+S_D[1+cosθ(B,D)]](→PB)
+S_C[S_A[1+cosθ(C,A)]+S_B[1+cosθ(C,B)]+S_D[1+cosθ(C,D)]](→PC)
+S_D[S_A[1+cosθ(D,A)]+S_B[1+cosθ(D,B)]+S_C[1+cosθ(D,C)]](→PD)
=S_A[(S_B+S_C+S_D)+{S_Bcosθ(A,B)+S_Ccosθ(A,C)+S_Dcosθ(A,D)}](→PA)
+S_B[(S_A+S_C+S_D)+{S_Acosθ(B,A)+S_Ccosθ(B,C)+S_Dcosθ(B,D)}](→PB)
+S_C[(S_A+S_B+S_D)+{S_Acosθ(C,A)+S_Bcosθ(C,B)+S_Dcosθ(C,D)}](→PC)
+S_D[(S_A+S_B+S_C)+{S_Acosθ(D,A)+S_Bcosθ(D,B)+S_Ccosθ(D,C)}](→PD)
・・・(2.1.11)
ここで、四面体の第1余弦定理から S_Bcosθ(A,B)+S_Ccosθ(A,C)+S_Dcosθ(A,D)=S_A
よって
S_A[(S_B+S_C+S_D)+{S_Bcosθ(A,B)+S_Ccosθ(A,C)+S_Dcosθ(A,D)}]
=S_A[(S_B+S_C+S_D+S_A]=S_A×2F=(2F)S_A ・・・(2.1.12)
同様にして
S_B[(S_A+S_C+S_D)+{S_Acosθ(B,A)+S_Ccosθ(B,C)+S_Dcosθ(B,D)}]
=(2F)S_B ・・・(2.1.13)
S_C[S_A[1+cosθ(C,A)]+S_B[1+cosθ(C,B)]+S_D[1+cosθ(C,D)]]
=(2F)S_C ・・・(2.1.14)
S_D[(S_A+S_B+S_C)+{S_Acosθ(D,A)+S_Bcosθ(D,B)+S_Ccosθ(D,C)}]
=(2F)S_D ・・・(2.1.15)
したがって (2.1.11) の
右辺
=(2F)(S_A)(→PA)+(2F)(S_B)(→PB)+(2F)(S_C)(→PC)+(2F)(S_D)(→PD) ゆえに(2.1.11)式は
(2F)[S_A(→PI^A)+S_B(→PI^B)+S_C(→PI^C)+S_D(→PI^D)]
=(2F)[S_A(→PA)+S_B(→PB)+S_C(→PC)+S_D(→PD))]
⇔ S_A(→PI^A)+S_B(→PI^B)+S_C(→PI^C)+S_D(→PI^D)
=S_A(→PA)+S_B(→PB)+S_C(→PC)+S_D(→PD) となって[定理2.1]は証明された。
(「証明」終わり)
次に以前に証明したように,
[命題2.2]
四面体ABCD⊆E^3⊆E^n、但し n≧3としておく。内心をIとすると、∀P∈E^n に対して
(→PI)=[S_A(→PA)+S_B(→PB)+S_C(→PC)+S_S(→PD)]/(S_A+S_B+S_C+S_D) ・・・(2.2.1)
であって、これは S_A(→IA)+S_B(→IB)+S_C(→IC)+S_D(→ID)=(→0) ・・・(2.2.2)と同値。
[命題2.3]
[定理2.1]の等式 (2.1.1)は、
S_A(→II^A)+S_B(→II^B)+S_C(→II^C)+S_D(→II^D)=(→0) ・・・(2.3.1)と同値。よって
また (2.1.2)とも同値である。
「証明」
(2.1.1)であるとする。(2.1.1)で P ⇒ Iとして
S_A(→II^A)+S_B(→II^B)+S_C(→II^C)+S_D(→II^D)
=S_A(→IA)+S_B(→IB)+S_C(→IC)+ S_D(→ID) ・・・(2.3.2) ここで
[命題2.2]の(2.2.2)より S_A(→IA)+S_B(→IB)+S_C(→IC)+ S_D(→ID)=(→0) だから
(2.3.2)⇔ S_A(→II^A)+S_B(→II^B)+S_C(→II^C)+S_D(→II^D)=(→0)・・・(2.3.1)
となる。逆に
S_A(→II^A)+S_B(→II^B)+S_C(→II^C)+S_D(→II^D)=(→0)・・・(2.3.1)であるとする。
⇔ S_A[(→PI^A)-(→PI)]+S_B[(→PI^B)-(→PI)]
+S_C[(→PI^C)-(→PI)]+S_D[(→PI^D)-(→PI)]=(→0)
⇔ S_A(→PI^A)+S_B(→PI^B)+S_C(→PI^C)+S_D(→PI^D)
=(S_A+S_B+S_C+S_D)(→PI)
ここで [命題2.2]の(2.2.1) より
(S_A+S_B+S_C+S_D)(→PI)=S_A(→PA)+S_B(→PB)+S_C(→PC)+S_S(→PD) よって
S_A(→PI^A)+S_B(→PI^B)+S_C(→PI^C)+S_D(→PI^D)
=S_A(→PA)+S_B(→PB)+S_C(→PC)+S_D(→PD) となり、
(2.1.1)が成り立つ。
(「証明」終わり)
[定理2.1]の(2.1.1)と[命題2.2]の(2.2.1)から、次の命題が成り立つ。
[命題2.4]
四面体ABCD⊆E^3⊆E^n (但し n≧3とする)とする。 内心をI、内接球面Iと
各面△BCD,△ACD,△ABD,△ABCとの接点を例によって、I^A,I^B,I^C,I^D とし、
面△BCD,△ACD,△ABD,△ABCの面積をS_A,S_B,S_C,S_D とおき、
S_A+S_B+S_C+S_D=2F とおく。
このとき、∀P∈E^n に対して
(→PI)=[S_A(→PI^A)+S_B(→PI^B)+S_C(→PI^C)+S_D(→PI^D)]/(2F) ・・・(2.4.1)
が成り立ち、これは
S_A(→AI^A)+S_B(→BI^B)+S_C(→CI^C)+ S_D(→DI^D) =(→0) ・・・(2.1.2)と
S_A(→II^A)+S_B(→II^B)+S_C(→II^C)+S_D(→II^D)=(→0) ・・・(2.3.1)とも同値である。
そこで、
[定義2.5]
[命題2.4]の同値な3つの等式(2.4.1),(2.1.2),(2.3.1)を、「内心I」と「内接球面I
と接点との間」に成り立つ「ベクトル等式」とよぶことにする。
以上のことをまとめれば、
[定理2.7]
四面体ABCDに対しその「内接球面I」から決まる4つの接点I^A,I^B,I^C,I^Dに対し
四面体(I^A)(I^B)(I^C)(I^D)ができるときは、四面体(I^A)(I^B)(I^C)(I^D)の「外心J」は
四面体ABCDの「内心I]に一致するが、その 四面体(I^A)(I^B)(I^C)(I^D)の「外心J」の
四面体(I^A)(I^B)(I^C)(I^D)に関する ベクトルによる「重心座標表現」は、
(→PJ)=(→PI)=[S_A(→PI^A)+S_B(→PI^B)+S_C(→PI^C)+S_D(→PI^D)]/(2F) ・・・(2.7.1)
となる。
また「ベクトル等式」
S_A(→AI^A)+S_B(→BI^B)+S_C(→CI^C)+ S_D(→DI^D) =(→0) ・・・(2.7.2)と
S_A(→II^A)+S_B(→II^B)+S_C(→II^C)+S_D(→II^D)=(→0) ・・・(2.7.3)が成り立ち、
(2.7.1)と同値である。
☆ [定理2.7]において、四面体(I^A)(I^B)(I^C)(I^D)ができそうだが、明らかではない。
これについてはまた考えることにする。