「四平方定理」を「一般の垂心四面体」へ拡張した「七平方定理」 2008.11.3(月)
☆ この「定理」は2008.10.30(木)に得たばかりである。
「垂心四面体ABCD」の6辺の長さを例によって、
BC=a ,CA=b ,AB=c ,AD=d ,BD=e ,CD=f ・・・(1.1.1)とし、
x=((→AB),(→AC))=((→AB),(→AD))=((→AC),(→AD)),
y=((→BA),(→BC))=((→BA),(→BD))=((→BC),(→BD)),
z=((→CA),(→CB))=((→CA),(→CD))=((→CB),(→CD)),
w=((→DA),(→DB))=((→DA),(→DC))=((→DB),(→DC)) ・・・(1.1.2)とおくと、
x=(b^2+c^2-a^2)/2=(c^2+d^2-e^2)/2=(d^2+b^2-f^2)/2
y=(c^2+a^2-b^2)/2=(e^2+c^2-d^2)/2=(a^2+e^2-f^2)/2
z=(a^2+b^2-c^2)/2=(b^2+f^2-d^2)/2=(f^2+a^2-e^2)/2
w=(d^2+e^2-c^2)/2=(f^2+d^2-b^2)/2=(e^2+f^2-a^2)/2 ・・・(1.1.3)
kを a^2+d^2=b^2+e^2=c^2+f^2=k^2 ・・・(1.1.4)を満たす正の数とする。
また、△BCD ,△ACD ,△ABD ,△ABCの面積をそれぞれ、S_A ,S_B ,S_C ,S_D
とする。
このとき、次の関係式(1.1.5)があった。
y+z=a^2 ,x+z=b^2 ,x+y=c^2 ,
x+w=d^2 ,y+w=e^2 ,z+w=f^2 ・・・(1.1.5)
実は、
「四面体ABCD」が「垂心四面体」であること、つまり(1.1.2) ⇔ (1.1.5) である。
このことは、また別の機会に示すつもりである。
さて、次の[定理2.1]が成り立ち、これは、「3直角四面体」で成立する「四平方定理」の
自然な拡張である。平方が7つあるので「七平方定理」と呼ぶことにする。
すなわち、
[定理2.1] 垂心四面体の「七平方定理」・・・・次の(2.1.5)を指す。
「垂心四面体ABCD」の6辺の長さを、
BC=a ,CA=b ,AB=c ,AD=d 、BD=e ,CD=f ・・・(2.1.1)とし、
x=((→AB),(→AC))=((→AB),(→AD))=((→AC),(→AD)),
y=((→BA),(→BC))=((→BA),(→BD))=((→BC),(→BD)),
z=((→CA),(→CB))=((→CA),(→CD))=((→CB),(→CD)),
w=((→DA),(→DB))=((→DA),(→DC))=((→DB),(→DC)) ・・・(2.1.2)とおき、
kを a^2+d^2=b^2+e^2=c^2+f^2=k^2 ・・・(2.1.3)を満たす正の数とする。
また、△BCD ,△ACD ,△ABD ,△ABCの面積をそれぞれ S_A ,S_B ,S_C ,S_D
とする。
このとき、aとd ,bとe ,cとfが3組の対辺であるが、
(1) 4[(S_A)^2+(S_B)^2+(S_C)^2+(S_D)^2]=(ad)^2+(be)^2+(cf)^2 ・・・(2.1.4)
が成立する。
すなわち (2S_A)^2+(2S_B)^2+(2S_C)^2+(2S_D)^2=(ad)^2+(be)^2+(cf)^2 ・・・(2.1.5)
(2) 「A-3直角四面体」では、上の(2.1.3)から
よく知られた、(S_A)^2=(S_B)^2+(S_C)^2+(S_D)^2 ・・・(2.1.6) の式が
自然に導かれる。
「証明」
(1) 2008.11.03(月)に、このBlogのあとにアップロードする予定のBlog「垂心四面体ABCDの垂心の
ベクトルによる重心座標表現で見落としていた大事なこと」により、
S_A ,S_B ,S_C ,S_Dは それぞれ △BCD ,△ACD ,△ABD ,△ABCの面積だから、
4(S_A)^2=zw+yw+yz ・・・(2.2.1), 4(S_B)^2=zw+xw+xz ・・・(2.2.2)
4(S_C)^2=yw+xw+xy ・・・(2.2.3), 4(S_D)^2=yz+xz+xy ・・・(2.2.4)
これらを加えれば、(1.1.5)を用いて
4[(S_A)^2+(S_B)^2+(S_C)^2+(S_D)^2]
=(zw+yw+yz)+(zw+xw+xz)+(yw+xw+xy)+(yz+xz+xy)
=2(xy+xz+xw+yz+yw+zw)
=2{x(z+w)+y(x+w)+z(y+w)}
=2{x(f^2)+y(d^2)+z(e^2)}
=(2x)(f^2)+(2y)(d^2)+(2z)(e^2) ・・・(2.2.5)
ここで (1.1.3)から
2x=b^2+c^2-a^2 ,2y=c^2+a^2-b^2 ,2z=a^2+b^2-c^2 を代入して
4[(S_A)^2+(S_B)^2+(S_C)^2+(S_D)^2]
=(b^2+c^2-a^2)(f^2)+(c^2+a^2-b^2)(d^2)+(a^2+b^2-c^2)(e^2)
ところで、(2.1.3)の a^2+d^2=b^2+e^2=c^2+f^2=k^2 により、d^2,e^2,f^2を
k^2と、a^2,b^2,c^2で表せば、
4[(S_A)^2+(S_B)^2+(S_C)^2+(S_D)^2]
=(b^2+c^2-a^2)(k^2-c^2)+(c^2+a^2-b^2)(k^2-a^2)+(a^2+b^2-c^2)(k^2-b^2)
={(b^2+c^2-a^2)+(c^2+a^2-b^2)+(a^2+b^2-c^2)}(k^2)
-[(c^2){(b^2)+(c^2)-(a^2)}+(a^2){(c^2)+(a^2)-(b^2)}+(b^2){(a^2)+(b^2)-(c^2)}]
={(a^2)+(b^2)+(c^2)}(k^2)
-[(bc)^2+(c^4)-(ac)^2+(ac)^2+(a^4)-(ab)^2+(ab)^2+(b^4)-(bc)^2]
={(a^2)+(b^2)+(c^2)}(k^2)-[(a^4)+(b^4)+(c^4)]
=(a^2){(k^2)-(a^2)}+(b^2){(k^2)-(b^2)}+(c^2){(k^2)-(c^2)}
=(a^2)(d^2)+(b^2)(e^2)+(c^2)(f^2)
=(ad)^2+(be)^2+(cf)^2
ここで、(2.1.3)の a^2+d^2=b^2+e^2=c^2+f^2=k^2 により
(k^2)-(a^2)=(d^2) ,(k^2)-(b^2)=(e^2) ,(k^2)-(c^2)=(f^2)を用いた。
こうして (2.1.4)の
4[(S_A)^2+(S_B)^2+(S_C)^2+(S_D)^2]=(ad)^2+(be)^2+(cf)^2
が導かれた。
次に
(2)を示そう。
「A-3直角四面体ABCD」は、∠BAC=∠BAD=∠CAD=90度の四面体で、これは「垂心H」が
「頂点A」になる特殊な「垂心四面体」であった。
よって 上の(1.1.2)の x=0 であって、
x=((→AB),(→AC))=((→AB),(→AD))=((→AC),(→AD))=0
これは(1.1.3)から、
b^2+c^2-a^2=c^2+d^2-e^2=d^2+b^2-f^2=0 ,
a^2=b^2+c^2 ,e^2=c^2+d^2 ,f^2=b^2+d^2 ・・・(2.3.1)
ゆえに a^2,e^2,f^2は b^2 ,c^2 , d^2 で表される。
よって
△ABCは∠BAC=90度の直角三角形、△ABDは∠BAD=90度の直角三角形,
△ACDは∠CAD=90度の直角三角形であり、
S_D=(bc)/2 ,S_C=(cd)/2 ,S_B=(bd)/2 ゆえに
bc=2(S_D) ,cd=2(S_C) ,bd=2(S_B) ・・・(2.3.2) である。
さて、
(1)で証明した公式(2.1.4)の右辺に(2.3.1)を代入すれば、
(2.1.4)の右辺=(a^2)(d^2)+(b^2)(e^2)+(c^2)(f^2)
=(b^2+c^2)(d^2)+(b^2)(c^2+d^2)+(c^2)(b^2+d^2)
=2{(bd)^2+(cd)^2+(bc)^2} ・・・(2.3.3)
これに (2.3.2)を代入すれば、
(2.1.4)の右辺=8[(S_B)^2+(S_C)^2+(S_D)^2]となる。
よって (2.1.4)式は
4[(S_A)^2+(S_B)^2+(S_C)^2+(S_D)^2]=8[(S_B)^2+(S_C)^2+(S_D)^2] となる。
ゆえに 4(S_A)^2=4[(S_B)^2+(S_C)^2+(S_D)^2]
すなわち (S_A)^2=(S_B)^2+(S_C)^2+(S_D)^2
となり、(2.1.6)式が自然に導かれた。
(証明 終わり)