あれこれゆっくりと学びについて考える

学んだことなどを自分勝手に気が向いた時だけ書くと、いうことで

三角形の構成理論-2009.8.21(金)-垂心四面体(その1)に続く

2009年08月21日 | 考察

三角形の構成理論-2009.8.21(金)
<記号の約束>

mは自然数、E^mでm次元ユークリッド空間を表すものとし、「ベクトルAB」などを(→AB)で表す。
ベクトル(→AB)と(→AC)の「内積」を((→AB),(→AC))で表わし、また、「三角形ABC」の3辺BC,CA,ABを
 BC=a,CA=b,AB=cとし、その面積をSで表す。
「垂心四面体ABCD」の6辺を、BC=a,CA=b,AB=c,AD=d,BD=e,CD=f とする。
その体積をV,頂点A,B,C,Dの対面の△BCD,△ACD,△ABD,△ABCの面積をそれぞれ
S_A,S_B,S_C,S_D とおく。またdetJ(2),detJ(3)はいつもの通りとする。

1.三角形ABCについて次のことが成立した。
 △ABC⊆E^2⊆E^m (m≧2)としておく。BC=a,CA=b,AB=c …(1.1.1) として、
3つの「ベクトルの内積」((→AB),(→AC)),((→BA),(→BC)),((→CA),(→CB))を
それぞれ x=((→AB),(→AC)),y=((→BA),(→BC)),z=((→CA),(→CB)) …(1.1.2)とおく。
このとき
 |(→BC)|^2=|(→AC)-(→AB)|^2=|(→AB)|^2+|(→AC)|^2-2((→AB),(→AC))から
 x=((→AB),(→AC))=(1/2)[|(→AB)|^2+|(→AC)|^2-|(→BC)|^2] よって
 x=(1/2)[b^2+c^2-a^2],同様にして
 y=(1/2)[c^2+a^2-b^2] , z=(1/2)[a^2+b^2-c^2] …(1.1.3)となる。 
 
◎ この逆も成り立つ:つまり
[命題1.1.2]
   x=(1/2)[b^2+c^2-a^2],y=(1/2)[c^2+a^2-b^2],z=(1/2)[a^2+b^2-c^2] 
   ⇒ x=((→AB),(→AC)),y=((→BA),(→BC)),z=((→CA),(→CB))
「証明」
 x=(1/2)[b^2+c^2-a^2]⇒ x=((→AB),(→AC)) を
 示しておこう。
 b^2=|(→AC)|^2,c^2=|(→AB)|^2,a^2=|(→BC)|^2 だから
 x=(1/2)[b^2+c^2-a^2]=(1/2)[|(→AC)|^2+|(→AB)|^2-|(→BC)|^2]
  =(1/2)[|(→AC)|^2+|(→AB)|^2-|(→AC)-(→AB)|^2]=(1/2)[2((→AB),(→AC))]
  =((→AB),(→AC)) すなわち x=((→AB),(→AC)) 他も同様である。
([命題1.1.2] の「証明」終わり)
次に 
[命題1.2.1] 上記と同じ記号のもとで、△ABCについて「内積」の定義から
 
 x+y=AB^2=c^2, x+z=AC^2=b^2, y+z=BC^2=a^2 …(1.2.1) が成り立つ。

「証明」
 例えば x=((→AB),(→AC))=(-(→BA),(→BC)-(→BA))=|(→AB)|^2-((→BA),(→BC))=AB^2-y
 すなわち x=AB^2-y ⇔ x+y=AB^2=c^2 が成立。他も同様である。
 ([命題1.2.1]の「証明」終わり)

[命題1.2.2] ---(1.2.1)を満たす x,y,zの「一意性」---
  △ABCについて[命題1.2.1]の(1.2.1)式を満たすx,y,zは 
  x=((→AB),(→AC)),y=((→BA),(→BC)),z=((→CA),(→CB))に限る。
 
「証明」[命題1.2.1]の(1.2.1)をx,y,zを未知数とする連立方程式と考える。
 (1.2.1)の三式の両辺を加えて
  2(x+y+z)=a^2+b^2+c^2  よって x+y+z=(1/2)[a^2+b^2+c^2] …(1.2.2) 
  これから x=(1/2)[b^2+c^2-a^2],y=(1/2)[c^2+a^2-b^2] ,z=(1/2)[a^2+b^2-c^2] 
  と解ける。これと[命題1.1.2]から x=((→AB),(→AC)),y=((→BA),(→BC)),z=((→CA),(→CB))
  となる。
([命題1.2.2]の「証明」終わり)
☆ x+y=AB^2=c^2,x+z=AC^2=b^2,y+z=BC^2=a^2 ならば 
 x+y>0,x+z>0,y+z>0 であるから 以上のことより、次の[命題1.3.1]が成り立つ。
[命題1.3.1] 
 △ABCの3辺BC,CA,ABをBC=a,CA=b,AB=cとし、x,y,zを[命題1.2.1]の(1.2.1)式を満たす
 【実数】としたとき、√(x+y)=AB=c,√(x+z)=AC=b,√(y+z)=BC=a …(1.3.1)
 かつ x=((→AB),(→AC)),y=((→BA),(→BC)),z=((→CA),(→CB)) …(1.3.2)となる。
さて  
 「△ABC」の面積をSとすると4(S^2)は 「上の」x,y,zを用いて 
 4(S^2)=yz+xz+xy …(1.3.3)とx,y,zの2次の対称式で表されるのであった。

◎ これは【Goo】の2008年のBlogに書いてあるが、いつかを調べていると、【執拗な攻撃者】にまた
 【妨害】されて【ネットに繋げなくされる】ので申し訳ないが皆さんで調べて下さい。
  もう1年以上も【攻撃】・【侵入】を受け続けているので困っている。

 [証明」は簡単である。
[命題1.3.2] 
 △ABCの3辺BC,CA,ABをBC=a,CA=b,AB=cとし、x,y,zを
 x=((→AB),(→AC)),y=((→BA),(→BC)),z=((→CA),(→CB))とおけば
 4(S^2)=(2S)^2=yz+xz+xy …(1.3.3)
「証明」
 受験生なら知っているだろう、 (2S)^2=|(→AB)|^2×|(→AC)|^2-|((→AB),(→AC))|^2 を使う。
|(→AB)|=c,|(→AC)|=b,((→AB),(→AC))=x なので (1.2.1) のx+y=c^2,x+z=b^2 から
(2S)^2=(b^2)(c^2)-x^2=(x+z)(x+y)-x^2=x^2+xy+xz+yz-x^2=yz+xz+xy
([命題1.3.2]の「証明」終わり )

◎つまり △ABCでの3辺をBC=a,CA=b,AB=c,その面積をS,x=((→AB),(→AC)),y=((→BA),(→BC)),
 z=((→CA),(→CB))とおけば、 x+y=c^2,x+z=b^2,x+y=a^2 ,
 (2S)^2=yz+xz+xy>0 であって √(x+y),√(x+z),√(y+z) は順に△ABCの3辺c,b,aをなす。
 そしてa,b,cとの関係は、
 
 x=(1/2)[b^2+c^2-a^2],y=(1/2)[c^2+a^2-b^2],z=(1/2)[a^2+b^2-c^2]

この逆も成り立つのである。まず、これが今回の目標の一つで「三角形の場合」である。
[定理1.4]
 x,y,zが【実数】(したがってマイナスになるときもある)として、
 x+y>0 ,x+z>0 ,y+z>0 …(1.4.1) かつ  yz+xz+xy >0 …(1.4.2)であるとする。
 このとき、次のことが成り立つ。

(1) 正の数 √(x+y),√(x+z),√(y+z)は三角形の三辺をなす。
 すなわち √(x+y)+√(x+z)>√(y+z),かつ √(x+z)+√(y+z)>√(x+y),かつ
      √(y+z)+√(x+y)>√(x+z) ・・・(1.4.3)  
(2)
 √(x+y)=AB ,√(x+z)=AC,√(y+z)=BC とおくと
 √(x+y),√(x+z),√(y+z)は順に△ABCの三辺 AB,AC,BC …(1.4.4)となり、
 x=((→AB),(→AC)),y=((→BA),(→BC)),z=((→CA),(→CB)) …(1.4.5)
 
 そして √(x+y)=c,√(x+z)=b,√(y+z)=aとおけば、
 x=(1/2)[b^2+c^2-a^2] ,y=(1/2)[c^2+a^2-b^2],z=(1/2)[a^2+b^2-c^2] …(1.4.6)
 
 また △ABCの面積をSとすれば 2S=√(yz+xz+yz) ...(1.4.7) となる。
(3)
角A,B,Cについて、
 cosA=x/[√(x+y)√(x+z)] ,cosB=y/[√(x+y)√(y+z)] ,cosC=z/[√(x+z)√(y+z)] …(1.4.8) 
 となる。

「証明」
(1) (1.4.3)についてはx,y,zの対称性から √(x+y)+√(x+z)>√(y+z) ...(1.4.9)を示せば十分である。
 (1.4.9)の両辺>0なので両辺平方しても同値
  √(x+y)+√(x+z)>√(y+z) ⇔ [√(x+y)+√(x+z)]^2>[√(y+z)]^2
⇔ (x+y)+(x+z)+2√(x+y)√(x+z)>y+z ⇔ x+√(x+y)√(x+z)>0 そこで 
 ⇔ √(x+y)√(x+z)>-x ...(1.4.10) を「証明」すればよい。 
 (1.4.10)の左辺>0 だから 
(ア)x≧0 のとき、 (1.4.10)の右辺≦0となり(1.4.10)は成立する。
(イ) x<0 のときは、-x>0 よって このとき、√(x+y)√(x+z)>-x は[√(x+y)√(x+z)]^2>(-x)^2と同値になる。
 ところが [√(x+y)√(x+z)]^2-(-x)^2=(x+y)(x+z)-x^2=yz+xz+xy …(1.4.11) となるが、
 条件の yz+xz+xy >0 …(1.4.2)により [√(x+y)√(x+z)]^2-(-x)^2=yz+xz+xy>0
 ゆえに [√(x+y)√(x+z)]^2>(-x)^2, -x>0 のときだから √(x+y)√(x+z)]^2>(-x) となり、
 やはり (1.4.10)は成立する。
 よって(1)は「証明」された。
(2)
 (1)より (1.4.4)~(1.4.7)が成り立つことは、√(x+y)=c,√(x+z)=b,√(y+z)=c ならば
 x+y=c^2,x+z=b^2,y+z=a^2となるので (1.1.3),[命題1.1.2],[命題1.2.2],[命題1.3.1],[命題1.3.2] 
 により成立する。
(3)
 「内積」の定義より cosA=((→AB),(→AC))/[|(→AB)||→AC)|]=x/[AB×AC]=x/[√(x+y)√(x+z)]
  cosB=((→BA),(→BC))/[|(→BA)||→(BC)|]=y/[BA×BC]=y/[√(x+y)√(y+z)],cosCも同様である。 

([定理1.4]の「証明」終わり)
「注意1.4.2」
 実数 x,y,zについて 
 x+y>0 ,x+z>0 ,y+z>0 ならば x,y,zのうち「0以下になるのは唯一つだけ」で
 残りの2つは正の数でなければならない。
 
「なぜなら、仮にx≦0 とすれば x+y>0から y>0,またx+z>0からz>0 でなければならない。
 y≦0のときもz≦0 としたときも同様である。」
◎これは[定理1.4]において、x=((→AB),(→AC)),y=((→BA),(→BC)),z=((→CA),(→CB))
 なので 
 x<0 ,y>0,z>0 ⇔ ∠BACが鈍角,∠ABCと∠ACBは鋭角
 x=0, y>0,z>0 ⇔ ∠BACが直角,∠ABCと∠ACBは鋭角
 x>0, y>0,z>0 ⇔ ∠BAC,∠ABCと∠ACBはみな鋭角
 を意味し、x,y,zは「三角形の性質」をよく反映している。
以上により、次のことが言える。
[定理1.5]
△ABCにおいて [定理1.4]の条件:x+y>0,x+z>0,y+z>0 かつ yz+xz+xy>0
を満たす【実数】 x,y,zで「△ABCの性質を調べる」ことが、
△ABCの3辺AB=c,AC=b,BC=aの正の数a,b,cでb+c>a,c+a>b、a+b>cを満たすもので 
「△ABCの性質を調べる」ことと「同じように」できる。

これらはいわば、「図形,多様体などの座標変換」に相当する。REAL={実数全体}とおく。
 T(3)={△ABCの全体}とおく。
(1) M(3)={(a,b,c)∈(REAL)^3|a>0,b>0,c>0,b+c>a,c+a>b,a+b>c}とおけば,
  M(3)は3次元空間(REAL)^3の部分集合である。T(3)={△ABCの全体}を調べることは集合M(3)を調べることであると
  いってよいだろう。
(2)IP(3)={(x,y,z)∈(REAL)^3|x+y>0,x+z>0,y+z>0,yz+xz+xy>0}も3次元空間(REAL)^3の部分集合である。
 ( IP(3)は「内積」Inner Product の略のつもり)
  T(3)={△ABCの全体}を調べることは集合IP(3)を調べることであると言える。
(3) 変数変換の写像 Φ:M(3)→IP(3) を
  Φ(a,b,c)=((1/2)[b^2+c^2-a^2],(1/2)[c^2+a^2-b^2],(1/2)[a^2+b^2-c^2])
  と定義する。すなわち fは2次変換で
  x=(1/2)[b^2+c^2-a^2] ,y=(1/2)[c^2+a^2-b^2],z=(1/2)[a^2+b^2-c^2] …(1.5.1)である。
  このとき、x+y=c^2>0, x+z=b^2>0 ,y+z=a^2>0,yz+xz+yz>0となり、
  △ABCの面積をSとすれば 2S=√(yz+xz+yz)

(4) (3)の逆変換 Ψ:IP(3)→M(3) は Ψ(x,y,z)=(√(y+z),√(x+z),√(x+y))…(1.5.2)である。
   すなわち   a=√(y+z),b=√(x+z),c=√(x+y)          …(1.5.3)
 (Ψ・Φ)(a,b,c)=(a,b,c) ,(Φ・Ψ)(x,y,z)=(x,y,z) である。

(5) この様に写像 Φ,Ψは1:1かつ「上への」写像で「互いに他の逆写像」で M(3)とIP(3)は1:1に対応する。
 
☆したがって「どんな△ABCも上のIP(3)の要素 x,y,zを用いて得られる」わけである。こうして
「△ABCを表現する(前から使用しているが)新しいパラメータ x,y,zを得たことになる。」といえよう。
 変数はどちらも3つである。
なお
◎ 「△ABCが正三角形 ⇔ a=b=c ⇔ x=y=z」である。

[命題1.6] ---[定理1.4]の系---「3辺の三角不等式は試す必要がない!ので問題作りが助かると思う」
 実数x,y,zが x>0,y>0,z>0であれば、
 √(y+z),√(x+z),√(x+y)は「鋭角三角形の3辺になりうる」

[証明」
 x>0,y>0,z>0のとき、[定理1.4]の条件 
 x+y>0 ,x+z>0 ,y+z>0 …(1.4.1) かつ  yz+xz+xy >0 …(1.4.2)は【自然に】成立する。
 ゆえに AB=√(x+y),AC=√(x+z),BC=√(y+z)は鋭角三角形ABCを形造る。
「注意」:x>0,y>0,z>0 だから∠BAC,∠ABC,∠ACBはみな鋭角であることを注意しておく。
 また、この方法で造ると「3辺の間の三角不等式は自然に成り立つ」ので簡単に「三角形が作れる」ので
 便利である。

[命題1.7] ---[定理1.4]の系--- 
 自然数x,y,zをx<y<z と選んでおけば「3辺の長さがみな異なる鋭角三角形」がQ(有理数体)上せいぜい
 2次代数拡大の長さの3辺 √(x+y),√(x+z),√(y+z) のもので無数にできる。そして
  √(x+y)<√(x+z)<√(y+z) …(1.7.1)

「証明」x>0,y>0,z>0 で x<y<zだから ( x=((→AB),(→AC))>0⇔∠BACが「鋭角」などに注意)
 x+y<x+z またx<yの両辺にzを加えてx+z<y+z よって x+y<x+z<y+z ⇔√(x+y)<√(x+z)<√(y+z)
([命題1.7」の「証明」終わり)

[命題1.8]  
 [定理1.4]の条件(1.4.1),(1.4.2)を満たす x,y,zを用いて ∠BACが鈍角の「鈍角三角形ABC」を造るには、
 x<0 のうち、|x|<y かつ |x|<z かつ |x|<(yz)/[y+z]と なるように選べば良い

「証明」
∠BACが鈍角⇔ x<0 このときy>0,z>0 で、 x+y>0,x+z>0 からy>-x ,z>-x またyz+xz+xy >0となるには
 yz+(y+z)x>0 ⇔ yz>(y+z)(-x) となることから分かる。   
[例1.9]
(1) x=1,y=2,z=3 として AB=√(x+y)=√(1+2)=√3,AC=√(x+y)=√(1+3)=2,BC=√(2+3)=√5
  ゆえに(c,b,a)=(√3,2,√5)が一つできる。 三角不等式を試す必要はない。
(2) x=0 のとき( x=((→AB),(→AC))=0⇔∠BACが直角 )∠BAC=90°の直角三角形で、y>0,z>0 で 
 AC=√(x+z)=√(z),AB=√(x+y)=√(y),斜辺BC=√(y+z)
 の直角三角形ABCができる。[三平方の定理も成り立っている。{√(z)}^2+{√(y)}^2={√(y+z)}^2 ]
(3)
 x=77/2,y=51/2,z=21/2 として AB=√(x+y)=√(128/2)=8,√(x+z)=√(98/2)=7,
 √(y+z)=√(72/2)=6 よって (c,b,a)=(8,7,6)の「鋭角三角形」
(4)
 x=-2,y=4,z=5 とすると x+y=2>0、x+z=3>0,y+z=9>0,(yz)/[y+z]=20/9>|-2|なので
 (c,b,a)=(√2,√3,3)となり、∠Aが鈍角である。

--垂心四面体の構成理論及びその展開図の作成(その1)-2009.8.21(金) --に続く

垂心四面体の構成理論及びその展開図の作成(その1)-2009.8.21(金)

2009年08月21日 | 考察

垂心四面体の構成理論及びその展開図の作成(その1)-2009.8.21(金)
<記号の約束>

mは自然数、E^mでm次元ユークリッド空間を表すものとし、「ベクトルAB」などを(→AB)で表す。
ベクトル(→AB)と(→AC)の「内積」を((→AB),(→AC))で表わし、また、「三角形ABC」の3辺BC,CA,ABを
 BC=a,CA=b,AB=cとし、その面積をSで表す。
「垂心四面体ABCD」の6辺を、BC=a,CA=b,AB=c,AD=d,BD=e,CD=f とする。
その体積をV,頂点A,B,C,Dの対面の△BCD,△ACD,△ABD,△ABCの面積をそれぞれ
S_A,S_B,S_C,S_D とおく。またdetJ(2),detJ(3)はいつもの通りとする。

2.
少し復習をしよう。
「四面体ABCD」について、BC=a,CA=b,AB=c,AD=d,BD=e,AD=fとしたとき、以下の条件は同値
 「垂心H」が存在する
 ⇔ AB⊥CD かつAC⊥BD かつAD⊥BC …(2.1.1)⇔a^2+d^2=b^2+e^2=c^2+f^2 …(2.1.2)
 ⇔((→AB),(→AC))=((→AB),(→AD))=((→AC),(→AD))
 ⇔((→BA),(→BC))=((→BA),(→BD))=((→BC),(→BD))
⇔((→CA),(→CB))=((→CA),(→CD))=((→CB),(→CD))


⇔((→DA),(→DB))=((→DA),(→DC))=((→DB),(→DC)) …(2.1.3)

 そこで「垂心H」が存在する四面体を「垂心四面体」(または「直辺四面体」)と呼ぶ。

「垂心四面体ABCD」に対し
x=((→AB),(→AC))=((→AB),(→AD))=((→AC),(→AD)),
y=((→BA),(→BC))=((→BA),(→BD))=((→BC),(→BD)),
z=((→CA),(→CB))=((→CA),(→CD))=((→CB),(→CD)),
w=((→DA),(→DB))=((→DA),(→DC))=((→DB),(→DC))  …(2.1.4)とおくと、
次のことが成り立つ。
[命題2.2]
 「垂心四面体ABCD」について、BC=a,CA=b,AB=c,AD=d,BD=e,AD=fとしたとき、
 x+y=AB^2=c^2 ,x+z=AC^2=b^2,x+w=AD^2=d^2,
  y+z=BC^2=a^2,y+w=BD^2=e^2, z+w=CD^2=f^2 …(2.2.1)
「証明」
z+w=CD^2=f^2 を証明してみよう。
z=((→CA),(→CB))=((→CA),(→CD))=((→CB),(→CD))のうちで、Dが入った式に
着目して z=((→CA),(→CD))=((→DA)-(→DC),-(→DC))=|(→DC)|^2-((→DA),(→DC))
      =CD^2-w ( ∵(2.1.4)より ((→DA),(→DC))=w だから)
 ゆえに z+w=CD^2=f^2 となる。他も同様である。
([命題2.2]の「証明」終わり)

 これより次の[命題2.3]が成立する。
[命題2.3]
「垂心四面体ABCD」において 、BC=a,CA=b,AB=c,AD=d,BD=e,AD=fとしたとき、
(1) 頂点Dの対面の△ABCについて AB=c,AC=b,BC=a、その面積をS_Dとしたとき、
  x=((→AB),(→AC)),y=((→BA),(→BC)),z=((→CA),(→CB))
  x+y=AB^2=c^2>0,x+z=AC^2=b^2>0,y+z=BC^2=a^2>0、また
(2S_D)^2=yz+xz+xy>0 …(2.3.1)
(2) 頂点Aの対面の△BCDについて BC=a,BD=e,BD=e、その面積をS_Aとしたとき、
  y=((→BC),(→BD)),z=((→CB),(→CD)),w=((→DB),(→DC))
  y+z=BC^2=a^2>0,y+w=BD^2=e^2>0,z+w=CD^2=f^2>0,また
(2S_A)^2=zw+yw+yz>0 …(2.3.2) 
(3) 頂点Bの対面の△ACDについて AC=b,AD=d,CD=f、その面積をS_Bとしたとき、 
  x=((→AC),(→AD)),z=((→CA),(→CD)),w=((→DA),(→DC))
  x+z=AC^2=b^2>0,x+w=AD^2=d^2>0,z+w=CD^2=f^2>0、また
(2S_B)^2=zw+xw+xz>0 …(2.3.3)
(4) 頂点Cの対面の△ABDについて AB=c,AD=d,BD=e、その面積をS_Cとしたとき、 
  x=((→AB),(→AD)),y=((→BA),(→BD)),w=((→DA),(→DB))
  x+y=AB^2=c^2>0,x+w=AD^2=d^2>0,y+w=BD^2=e^2>0、 また
(2S_C)^2=yw+xw+xy>0 …(2.3.4)

垂心四面体の構成理論及びその展開図の作成(その2)-2009.8.21(金)

2009年08月21日 | 考察

垂心四面体の構成理論及びその展開図の作成(その2)-2009.8.21(金)

                  -----
--[三角形及び垂心四面体の構成理論及びその展開図の作成(その1)-2009.8.21(金)]の続き-----

[命題2.4]
「四面体ABCD」に対し(→AB)=(→b),(→AC)=(→c),(→AD)=(→d)とおき、3次の実対称行列J(3)を 
J(3)=
(((→b),(→b)) ((→b),(→c)) ((→b),(→d)) )
(((→c),(→b)) ((→c),(→c)) ((→c),(→d)) )
(((→d),(→b)) ((→d),(→c)) ((→d),(→d)) )
とおくと detJ(3)はいわゆるGram(グラム)の行列式であって、
(→AB)=(→b),(→AC)=(→c),(→AD)=(→d) が一次独立だから detJ(3)>0 
「四面体ABCD」の体積をVとすると detJ(3)=(6V)^2 の関係がある。
特に「垂心四面体ABCD」にたいしては
detJ(3)=(6V)^2=yzw+xzw+xyw+xyz>0 …(2.4.1) のように detJ(3)はx,y,z,wの3次の対称式になる。
「証明」
「垂心四面体ABCD」にたいして
 detJ(3)=yzw+xzw+xyw+xyz …(2.4.1)だけ「証明」しておこう。
「垂心四面体ABCD」では ((→b),(→c))=((→AB),(→AC))=x ,((→c),(→c))=|(→c)|^2=|(→AC)|^2=b^2
 などにより
J(3)=
( c^2   x       x    )
( x    b^2      x    )
( x    x      d^2    )
ゆえに
detJ(3)=
| c^2   x       x    |
| x    b^2       x    |=
| x    x       d^2    |

| c^2-x     0     x   |
| 0      b^2-x    x   |
|-(d^2-x)  -(d^2-x) d^2   |

=d^2(c^2-x)(b^2-x)+x(b^2-x)(d^2-x)+x(c^2-x)(d^2-x)
=(x+w)yz+xzw+xyw=yzw+xzw+xyw+xyz となる。
ここで [命題2.2](2.2.1)の x+w=d^2,よってまた d^2-x=w,x+y=c^2,x+z=b^2を用いた。
それ以外のことは「線型代数」の本、例えば裳華房の「佐武一郎」著「線型代数学」のP265~P266を
見ていただきたい。
([命題2.4]の「証明」終わり)

それでは、
1.での三角形の作り方と同じような[垂心四面体ABCD]の造り方を述べて行く。
まず、次の[補題2.5]を用意する。
[補題2.5]
 x,y,z,wを不定元 とするとき、次の恒等式が成立する。
(1) yzw+xzw+xyw+xyz=(x+y+z+w)(yz+xz+xy)-(y+z)(x+z)(x+y) …(2.5.1) 
(2) yzw+xzw+xyw+xyz=(x+y+z+w)(zw+yw+yz)-(z+w)(y+w)(y+z) …(2.5.2)
(3) yzw+xzw+xyw+xyz=(x+y+z+w)(zw+xw+xz)-(z+w)(x+w)(x+z) …(2.5.3)
(4) yzw+xzw+xyw+xyz=(x+y+z+w)(yw+xw+xy)-(y+w)(x+w)(x+y) …(2.5.4)

「証明」
(2.5.1)が成り立てば、(2.5.1)の両辺でxとwとを交換して(2.5.2)が導かれ、(2.5.1)の両辺で
yとwを交換すれば(2.5.3)が、(2.5.1)の両辺でzとwを交換すれば(2.5.4)が導かれる。
それで(2.5.1)式だけ「証明」すればよい。
(2.5.1)の右辺=(y+z)(yz+xz+xy)+(x+w)(yz+xz+xy)-(y+z)(x+z)(x+y)
      =(y+z){(yz+xz+xy)-(x+z)(x+y)}+(x+w)(yz+xz+xy)
      =(y+z){(yz+xz+xy)-x^2-xz-xy-yz}+(x+w){(yz+x(z+y)}
      =-(x^2)(y+z)+xyz+yzw+(x^2)(z+y)+xzw+xyw
      =xyz+yzw+xzw+xyw
      =yzw+xzw+xyw+xyz
      =(2.5.1)の左辺
([補題2.5]の「証明」終わり)
[補題2.5の系]
「垂心四面体ABCD」では、
detJ(3)=yzw+xzw+xyw+xyz
    =(x+y+z+w)(yz+xz+xy)-(y+z)(x+z)(x+y) …(2.5.5) 
    =(x+y+z+w)(zw+yw+yz)-(z+w)(y+w)(y+z)  …(2.5.6)
=(x+y+z+w)(zw+xw+xz)-(z+w)(x+w)(x+z)  …(2.5.7)
=(x+y+z+w)(yw+xw+xy)-(y+w)(x+w)(x+y)  …(2.5.8)
[定理2.6]
  x,y,z,wは【実数】とする。
   x+y>0 ,x+z>0 ,x+w>0, y+z>0,y+w>0 ,z+w>0 …(2.6.1) かつ
   yzw+xzw+xyw+xyz>0 …(2.6.2)

 ⇒ yz+xz+xy>0 …(2.6.3) ,zw+yw+yz>0 …(2.6.4),
   zw+xw+xz>0 …(2.6.5) ,yw+xw+xy>0 …(2.6.6)
「証明」
 [補題2.5]の(2.5.1)より
  (x+y+z+w)(yz+xz+xy)-(y+z)(x+z)(x+y)=yzw+xzw+xyw+xyz …(2.6.7)
  条件より yzw+xzw+xyw+xyz>0 …(2.6.2) また(2.6.1)より x+y+z+w>0 で
  y+z>0, x+z>0,x+y>0 でもある。 ゆえに 
  (x+y+z+w)(yz+xz+xy)-(y+z)(x+z)(x+y)>0 より
  yz+xz+xy>[(y+z)(x+z)(x+y)]/(x+y+z+w)>0 すなわち
  yz+xz+xy>0 …(2.6.3)が成立する。
  他の式も条件(2.6.1),(2.6.2)を使って成立することが分かる。
([定理2.6]の「証明」終わり)
◎「注意]:[定理2.6]の述べていることは、次の通りである。「垂心四面体ABCD」では、[命題2.2]の
 (2.2.1)が成立し、したがって[定理2.6]の条件(2.6.1)は成立している。
 そして体積Vとの関連で detJ(3)=(6V)^2=yzw+xzw+xyw+xyz>0 
 が成り立っている。さらに各面の△ABC、△BCD,△ACD,△ABDの面積S_D,S_A,S_B,S_Cに
 ついて[命題2.3]の (2S_D)^2=yz+xz+xy>0 が成立しなければならないが、
 この(2S_D)^2=yz+xz+xy>0 などの4つの不等式は
   x+y>0 ,x+z>0 ,x+w>0, y+z>0,y+w>0 ,z+w>0 …(2.6.1) かつ
  yzw+xzw+xyw+xyz>0 …(2.6.2)から自然に導かれるので、「垂心四面体」を構成する
  ときにそのチェックは【不要】ということを意味する。

3.
したがって1.の「定理1.4]を「四面体ABCD」の各面の△ABC,△BCD,△ACD,△ABDの構成に適用すれば、
次の[定理3.1]が成立する。
[定理3.1]
  x,y,z,wは【実数】とする。
   x+y>0 ,x+z>0 ,x+w>0, y+z>0,y+w>0 ,z+w>0 …(3.1.1) かつ
   yzw+xzw+xyw+xyz>0 …(3.1.2) が成立しているとする。
 このとき、次のことが成り立つ。
(1) √(x+z),√(x+y),√(y+z) は AC=√(x+z),AB=√(x+y),BC=√(y+z)として
  「△ABC」の「3辺」になる。
(2) √(y+z),√(y+w),√(z+w) は BC=√(y+z),BD=√(y+w), CD=√(z+w) として
「△BCD」の「3辺」になる。
(3) √(x+z),√(x+w),√(z+w) は AC=√(x+z),AD=√(x+w),CD=√(z+w) として
  「△ACD」の「3辺」になりる。
(4) √(x+y),√(x+w),√(y+w) は AB=√(x+y),AD=√(x+w),BD=√(y+w) として
  「△ABD」の「3辺」になる。
[定理3.2]
   x,y,z,wは【実数】とする。
   x+y>0 ,x+z>0 ,x+w>0, y+z>0,y+w>0 ,z+w>0 …(3.2.1) かつ
   yzw+xzw+xyw+xyz>0 …(3.2.2) が成立しているとする。
このとき、次のことが成り立つ。
 (1)
  まず、E^3内の「平面上」に3点B,C,Dを BC=√(y+z),CD=√(z+w),DB=√(y+w),
  ととれば△BCDができて、次に点Aを BA=√(x+y),CA=√(x+z),DA=√(x+w)
  となるようにその上方にとれば、
  ((→AB),(→AC))=((→AB),(→AD))=((→AC),(→AD))=x …(3.2.3),
  ((→BA),(→BC))=((→BA),(→BD))=((→BC),(→BD))=y …(3.2.4),
 ((→CA),(→CB))=((→CA),(→CD))=((→CB),(→CD))=z …(3.2.5),
 ((→DA),(→DB))=((→DA),(→DC))=((→DB),(→DC))=w …(3.2.6)
 (2)
 (2S_D)^2=yz+xz+xy>0, (2S_A)^2=zw+yw+yz>0,
  (2S_B)^2=zw+xw+xz>0, (2S_C)^2=yw+xw+xy>0  …(3.2.7)
 (3) 
[命題2.4]のJ(3)は 
J(3)=
( x+y    x     x )
(  x    x+z    x )
(  x     x    x+w )   …(3.2.8)となり、

detJ(3)=

|x+y    x     x  |
| x    x+z     x  |=yzw+xzw+xyw+xyz>0 …(3.2.9)
| x     x     x+w |

 (4)
(→AB),(→AC),(→AD)は一次独立となり、4点A,B,C,Dは「垂心四面体ABCD」を形造る。
 そしてその体積 V は
 V=(1/6)√(yzw+xzw+xyw+xyz) …(3.2.10)
「証明」
 (1) 3点A,B,CをAB=√(x+y),AC=√(x+z),BC=√(y+z),
   ととれば [定理3.1]の(2)から △ABCができる。
  ((→AB),(→AC))=(1/2)[|(→AB)|^2+|(→AC)|^2-|(→BC)|^2]
   =(1/2)[|AB|^2+|AC|^2-|BC|^2]
   =(1/2)[{√(x+y)}^2+{√(x+z)}^2-{√(y+z)}^2]=(1/2)[(x+y)+(x+z)-(y+z)]
   =(1/2)[2x]=x ,同様に
  ((→AB),(→AD))=(1/2)[|AB|^2+|AD|^2-|BD|^2]
   =(1/2)[{√(x+y)}^2+{√(x+w)}^2-{√(y+w)}^2]=(1/2)[(x+y)+(x+w)-(y+w)]
   =(1/2)[2x]=x
  ((→AC),(→AD))=(1/2)[|AC|^2+|AD|^2-|CD|^2]
   =(1/2)[{√(x+z)}^2+{√(x+w)}^2-{√(z+w)}^2]=(1/2)[(x+z)+(x+w)-(z+w)]
   =(1/2)[2x]=x
  ゆえに ((→AB),(→AC))=((→AB),(→AD))=((→AC),(→AD))=x となり、(3.2.3)が成立。
  次に
  ((→BA),(→BC))=(1/2)[|(→BA)|^2+|(→BC)|^2-|(→AC)|^2]
   =(1/2)[|AB|^2+|BC|^2-|BD|^2]  
   =(1/2)[{√(x+y)}^2+{√(y+z)}^2-{√(x+z)}^2]=(1/2)[(x+y)+(y+z)-(x+z}]
   =(1/2)[2y]=y などから (3.2.4)も同様に成立。(3.2.5),(3.2.6)の成立も同様である。
(2)
 (3.2.7)は[定理2.6]と[定理3.1]から成り立つ。
(3) 
[命題2.4]のJ(3)は 
  J(3)=
(((→AB),(→AB)) ((→AB),(→AC)) ((→AB),(→AD)) )
(((→AC),(→AB)) ((→AC),(→AC)) ((→AC),(→AD)) )=
(((→AD),(→AB)) ((→AD),(→AC)) ((→AD),(→AD)) )

(|AB|^2   x     x   )
( x   |AC|^2  x    )=
( x  x   |AD|^2  )

(|√(x+y)|^2   x     x  )
( x     |√(x+z)|^2  x  )=
( x  x   |√(x+w)|^2x )

( x+y    x     x )
(  x    x+z    x )
(  x     x    x+w ) よって 

detJ(3)=
|x+y    x     x  | | y    0    x  |
| x    x+z     x  |=| 0    z    x  |
| x     x     x+w | |-w    -w   x+w |

=yz(x+w)+xzw+xyw=yzw+xzw+xyw+xyz >0 (∵ 条件(3.2.2) より)

(4) 上の(3)から 
(→AB),(→AC),(→AD)の「Gram」の行列式 detJ(3)>0 だから
(→AB),(→AC),(→AD)は一次独立となり、「四面体ABCD」ができる。
さらに(2)から((→AB),(→AC))=((→AB),(→AD))=((→AC),(→AD))
だから「四面体ABCD」は1.で述べたところの「垂心四面体ABCD」の条件を満たしている。
[定理3.1]から4つの側面は「三角形」をなしている。
 よって 4点A,B,C,Dは「垂心四面体ABCD」を形造る。x,y,z,wは
 x=((→AB),(→AC))=((→AB),(→AD))=((→AC),(→AD)),
 y=((→BA),(→BC))=((→BA),(→BD))=((→BC),(→BD)),
z=((→CA),(→CB))=((→CA),(→CD))=((→CB),(→CD)),
w=((→DA),(→DB))=((→DA),(→DC))=((→DB),(→DC))を満たしているから
 detJ(3)=(6V)^2=yzw+xzw+xyw+xyz
 ゆえに その体積 V は
 V=(1/6)√(yzw+xzw+xyw+xyz) …(3.2.10)
([定理3.2]の「証明」終わり)

4.
T(4)={垂心四面体の全体},
IP(4)={(x,y,z,w)∈(REAL)^4|x+y>0,x+z>0,x+w>0,y+z>0,y+w>0,y+w>0,yzw+xzw+xyw+xyz>0}
としたとき、T(4)の一つの対象である「垂心四面体ABCD」の6辺 
BC=a,CA=b,AB=c,AD=d,BD=e,CD=fは 条件 a^2+d^2=b^2+e^2=c^2+f^2 …(4.1.1)を
満たしている。
M(4)
={(a,b,c,d,e,f)∈(REAL)^6|BC=a,CA=b,AB=c,AD=d,BD=e,CD=fとして
     4点A,B,C,Dは四面体ABCDを作り,かつa^2+d^2=b^2+e^2=c^2+f^2}
とおけば M(4)は「垂心四面体ABCD」の集合を表していると考えられる。そこで 3.の「定理3.2]により
写像 Φ:M(4) →IP(4) を
Φ(a,b,c,d,e,f)=((1/2)[b^2+c^2-a^2],(1/2)[c^2+a^2-b^2],(1/2)[a^2+b^2-c^2],(1/2)[d^2+e^2-c^2])  
  …(4.1.2)  すなわち 
 x=((→AB),(→AC))=((→AB),(→AD))=((→AB),(→AD)),
 y=((→BA),(→BC))=((→BA),(→BD))=((→BC),(→BD)),
 z=((→CA),(→CB))=((→CA),(→CD))=((→CB),(→CD)),
 w=((→DA),(→DB))=((→DA),(→DC))=((→DB),(→DC)) 具体的には
x=(1/2)[b^2+c^2-a^2],y=(1/2)[c^2+a^2-b^2],z=(1/2)[a^2+b^2-c^2],w=(1/2)[d^2+e^2-c^2]
    …(4.1.3)
 とおけば 条件 a^2+d^2=b^2+e^2=c^2+f^2により Φ は well-definedであって、
 その「逆写像」Ψ:M(4) →IP(4) は、
 Ψ(x,y,z,w)=(√(y+z,√(x+z),√(x+y),√(x+w),√(y+w),√(z+w))…(4.1.4) となる。
すなわち a=BC=√(y+z),b=CA=√(x+z),c=AB=√(x+y),
     d=AD=√(x+w),e=BD=√(y+w),f=CD=√(z+w) である。
(Ψ・Φ)(a,b,c,d,e,f)=(a,b,c,d,e,f) ,(Φ・Ψ)(x,y,z,w)=(x,y,z,w)
となり、Φ:M(4) →IP(4)及び Ψ:IP(4)→M(4)は 1:1かつ「上への」写像で「互いに他の逆写像」になる。
 M(4)とIP(4)は1:1に対応する。
 この様にして「垂心四面体ABCD」はa,b,c,d,e,fの6つあるパラメーターに対し、
2つの等式 a^2+d^2=b^2+e^2=c^2+f^2より
パラメーターは 6-2=4となるべきであるが、その4つのパラメーターとして、
IP(4)の(x,y,z,w)がとれるということである。よって次の[定理4.1]が得られた。

[定理4.1]
 すべての「垂心四面体ABCD」は、条件 x+y>0,x+z>0,x+w>0,y+z>0,y+w>0,y+w>0,yzw+xzw+xyw+xyz>0
  …(4.1.1) を満たす (x,y,z,w)によって
 BC=√(y+z),CA=√(x+z),AB=√(x+y),AD=√(x+w),BD=√(y+w),CD=√(z+w) として得られる。

[定理4.1の系1]
  x>0,y>0,z>0.w>0 ならば,
 BC=√(y+z),CA=√(x+z),AB=√(x+y),AD=√(x+w),BD=√(y+w),CD=√(z+w) 
 として4つの側面全てが「鋭角三角形」の「垂心四面体ABCD」ができる。
[注意]:
 x+y>0,x+z>0,x+w>0,y+z>0,y+w>0,y+w>0とする。このとき、x,y,z,wのうち,「0以下になるのは唯一つしかない」から
 次の場合とそのxをy,z,w に入れ替えた場合しか起こらない。
(1) x<0,y>0,z>0,w>0 ⇔ ∠BAC,∠BAD,∠CADは鈍角で他の角はみな鋭角,特に頂点Aの対面の△BCDは「鋭角三角形」
(2) x=0, y>0,z>0,w>0 ⇔ ∠BAC=∠BAD=∠CAD=90°,「他の角はみな鋭角」 これは「A-3直角四面体」である。
(3) x>0 ,y>0,z>0,w>0 ⇔ 4つの側面は全て「鋭角三角形」

--垂心四面体の構成理論及びその展開図の作成(その3)-2009.8.21(金) --に続く

垂心四面体の構成理論及びその展開図の作成(その3)-2009.8.21(金)

2009年08月21日 | 考察


垂心四面体の構成理論及びその展開図の作成(その3)-2009.8.21(金)


mは自然数、E^mでm次元ユークリッド空間を表すものとし、「ベクトルAB」などを(→AB)で表す。
ベクトル(→AB)と(→AC)の「内積」を((→AB),(→AC))で表わし、また、「三角形ABC」の3辺BC,CA,ABを
 BC=a,CA=b,AB=cとし、その面積をSで表す。
「垂心四面体ABCD」の6辺を、BC=a,CA=b,AB=c,AD=d,BD=e,CD=f とする。
その体積をV,頂点A,B,C,Dの対面の△BCD,△ACD,△ABD,△ABCの面積をそれぞれ
S_A,S_B,S_C,S_D とおく。またdetJ(2),detJ(3)はいつもの通りとする。
-----                         -----
--[垂心四面体の構成理論及びその展開図の作成(その2)-2009.8.21(金)]の続き-----

[定理4.1の系2]
 x,y,z,wを自然数で x<y<z<w とし、さらに【y+z<x+w】と選べば各辺の長さがみな異なり、
 4つの側面が全て「鋭角三角形」の「垂心四面体ABCD」を無数に造ることができる。
「証明」
 x<y<z<w から x+y<x+z<x+w<y+w<z+w そしてy+z<x+w としたから 
 x+z<y+z<x+w 
 よって
     x+y<x+z<y+z<x+w<y+w<z+w 
  ⇔ √(x+y)<√(x+z)<√(y+z)<√(x+w)<√(y+w)<√(z+w)
 となり6辺は全て異なり、AB<AC<BC<AD<BD<CD であり、「側面の4つの三角形はみな鋭角三角形」になる。
([定理4.1の系2]の「証明」終わり)

[例4.2]
(1)
 x=1,y=2,z=3,w=5 …(4.2.1)とすれば x<y<z<w かつ 5=y+z<x+w=6 なので
 √(x+y)<√(x+z)<√(y+z)<√(x+w)<√(y+w)<√(z+w) は√3<2<√5<√6<√7<2√2 
 となり、AB=√3,AC=2,BC=√5,AD=√6,BD=√7,CD=2√2 を満たす4点A,B,C,Dは6辺の長さが全て異なる
「垂心四面体ABCD」を形造る。
 S_A=(1/2)√(zw+yw+yz)=(1/2)√(15+10+6)=√(31)/2, S_B=(1/2)√(zw+xw+xz)=(1/2)√(15+5+3)=√(23)/2
 S_C=(1/2)√(yw+xw+xy)=(1/2)√(10+5+2)=√(17)/2 , S_D=(1/2)√(yz+xz+xy)=(1/2)√(6+3+2)=√(11)/2
    …(4.2.2)
 detJ(3)=yzw+xzw+xyw+xyz=30+15+10+6=61 …(4.2.3)
 体積 V=(1/6)√{detJ(3)}=(1/6)√[yzw+xzw+xyw+xyz]=√(61)/6 …(4.2.4)
 また
(ア)「垂心H」の「ベクトルによる重心座標表現」は
 (→PH)=[yzw(→PA)+xzw(→PB)+xyw(→PC)+xyz(→PD)]/(yzw+xzw+xyw+xyz)
    =(1/61)[30(→PA)+15(→PB)+10(→PC)+6(→PD)] …(4.2.5)
(イ) 「外心S」の「ベクトルによる重心座標表現」は
 (→PS)
  =[{detJ(3)-2yzw}(→PA)+{detJ(3)-2xzw}(→PB)+{detJ(3)-2xyw}(→PC)+{detJ(3)-2xyz}(→PD)]/{2detJ(3)}
  =[{61-60}(→PA)+{61-30}(→PB)+{61-20}(→PC)+{61-12}(→PD)]/(2×61)
  =(1/122)[(→PA)+31(→PB)+41(→PC)+49(→PD)]  …(4.2.6)
(ウ) 
   「内心I」の「ベクトルによる重心座標表現」は
 (→PI)=[S_A(→PA)+S_B(→PB)+S_C(→PC)+S_D(→PD)]/(S_A+S_B+S_C+S_D)
    =[√(31)/2(→PA)+√(23)/2(→PB)+√(17)/2(→PC)+√(11)/2(→PD)]/(√(31)/2+√(23)/2+(17)/2+√(11)/2)
    ={1/(√(31)+√(23)+(17)+√(11)}×[√(31)(→PA)+√(23)(→PB)+√(17)(→PC)+√(11)(→PD)] 
      …(4.2.5)
(エ) 「内接球面」の半径 r=√{detJ(3)}/[2(S_A+S_B+S_C+S_D)]=√(61)/[2{√(31)+√(23)+√(17)+√(11)}]
 …(4.2.6)
(オ) 「外接球面」の半径Rの2乗は R^2=(x+y+z+w)/4-(xyzw)/detJ(3)=(11)/4-30/61=(671-120)/244=551/244
    よって R=√(19×29)/2√(61)=√(551)/2√(61) …(4.2.7)
(2)
  x=1,y=3,z=6,w=10 …(4.2.8)とすれば x<y<z<w かつ 9=y+z<x+w=11 なので
  √(x+y)<√(x+z)<√(y+z)<√(x+w)<√(y+w)<√(z+w) は2<√7<3<√11<√13<4 となり
  AB=2,AC=√7,BC=3,AD=√11,BD=√13,CD=4 を満たす4点A,B,C,Dは「垂心四面体ABCD」を形造る。
  detJ(3)=yzw+xzw+xyw+xyz=180+60+30+18=288 …(4.2.9)
  体積 V=(1/6)√{detJ(3)}=(1/6)√[yzw+xzw+xyw+xyz]=12√(2)/6=2√2 …(4.2.10)

5.
「垂心四面体」を立体的に構成する方法を述べる。
 [定理4.1]の条件
 x+y>0,x+z>0,x+w>0,y+z>0,y+w>0,y+w>0,yzw+xzw+xyw+xyz>0 …(4.1.1) が
 成り立っているものとする。 
 [定理3.2]において「垂心四面体ABCD]を構成できる「証明」のポイントは[定理3.2]の(3)の
 detJ(3)=yz(x+w)+xzw+xyw=yzw+xzw+xyw+xyz>0 すなわち detJ(3)>0 をその根拠にした。

  ここでは、図形的な見かたでこれを「証明」しようと思う。これは前にも述べたことがあるが,前より
 「説明」は易しくなる。座標に大文字のX,Y,Zを使うことにし,3次元ユークリッド空間E^3-「XYZー空間」を考える。
 その部分空間の「XYー平面」上に点Bを原点(0,0,0),BCをX軸の正の方向においたとき、
 Y>0の部分に△BCDの頂点Dがくるように BC=√(y+z),BD=√(y+w),CD=√(z+w)となるように取る。
 この様にして「△BCDが構成できる」ことは[定理3.1]の(2)に示してある。
 Dの座標を求めてみよう。
◎ 以下しばらくは「XYー平面」上で考えることにする。
[命題5.1.2] 
 条件(4.1.1)が成立しているとする。この頂点Dから底辺BC=√(y+z)に下した「垂線の足」をLとする。
 すると DL=√(zw+yw+yz)/√(y+z) …(5.1.1),BL=y/√(y+z) …(5.1.2),LC=z√(y+z) …(5.1.3)
「証明」
 △BCDの面積は[命題2.3]の(2.3.2)より S_A=(1/2)√(zw+yw+yz) である。ゆえに(1/2)×BC×DL=(1/2)√(zw+yw+yz)
 よってDL=√(zw+yw+yz)/BC=√(zw+yw+yz)/√(y+z) …(5.1.1) 
 次に BLの長さを求めよう。BL=sとおく。「三平方の定理」からBD^2-BL^2=CD^2-LC^2 つまり
 [√(y+w)]^2-s^2=[√(z+w)]^2-[√(y+z)-s]^2 ⇔ y+w-s^2=z+w-(y+z)+2[√(y+z)]s-s^2 
 ⇔ 2[√(y+z)]s=2y ⇔ s=y/√(y+z) よってBL=y/√(y+z) すると
  LC=√(y+z)-[y/√(y+z)]=[(y+z)-y]/√(y+z)=z/√(y+z) 
 すなわち BL=y/√(y+z) …(5.1.2) ,LC=z/√(y+z) …(5.1.3)
 ([命題5.1.2]の「証明」終わり)
次に
[命題5.2.2] 
 条件(4.1.1)が成立しているとする。△ABCを考えよう。辺BCを△BCDと同じくX軸上にとり、頂点A′がY<0の
 部分にくるように A′B=√(x+y),A′C=√(x+z)と取る。△ABCと△A′BCとは「合同」でBCを軸として鏡映的である。
 このとき、△A′BCの頂点A′からBCに下した垂線の足は[命題5.1.2]の点Lと一致し、
  A′L=√(yz+xz+xy)/√(y+z) …(5.2.1) そして A′D⊥BC で
  A′D=[√(zw+yw+yz)+√(yz+xz+xy)]/√(y+z) …(5.2.2)
「証明」
 △A′BCの頂点A′からBCに下した垂線の足をL′とする。BC=√(y+z),A′B=√(x+y),A′C=√(x+z)であるから
 BL′=tとおくと「三平方の定理」から (A′B)^2-(BL′)^2=(A′C)^2-(L′C)^2 つまり
 [√(x+y)]^2-t^2=[√(x+z)]^2-[√(y+z)-t]^2 ⇔ x+y-t^2=x+z-(y+z)+2[√(y+z)]t-t^2 
 ⇔ 2[√(y+z)]t=2y ⇔ t=y/√(y+z) つまり BL′=y/√(y+z) よって L′=Lとなる。
 ゆえに BL=y/√(y+z) ,LC=z√(y+z) …(5.1.3) また、
 △A′BCの面積=△ABCの面積=(1/2)√(yz+xz+xy) だから[命題5.1.2]と同様にして、
 DL⊥BC,(A′L)⊥BCから、3点A′,L,Dは一直線上にあり、(A′D)⊥BC,(A′L)=√(yz+xz+xy)/√(y+z) …(5.2.3) 
([命題5.2.2]の「証明」終わり) 
「注意」:実は(A′D)⊥BC は「四面体ABCD」が「垂心四面体ABCD」になるための条件の一つ AD⊥BC からでてくるのである。

全く同様に
[命題5.2.3] 
 条件(4.1.1)が成立しているとする。△ABCを考えよう。辺BCを△BCDと同じくX軸上にとり、頂点A″を△BCDと同じ側,
 Y>0の側に A″B=√(x+y),A″C=√(x+z)ととって△A″BCができる。△A″BC≡△ABCである。
 頂点A″から辺BCに下した「垂線」の足は [命題5.1.2]の点Lと一致する。点A″,L,Dは一直線上にあり、A″D⊥BC,
 (A″L)=√(yz+xz+xy)/√(y+z) …(5.2.4) DL=√(zw+yw+yz)/BC=√(zw+yw+yz)/√(y+z) …(5.1.1)だから
  (A″D)=|√(zw+yw+yz)/√(y+z)-√(yz+xz+xy)/√(y+z)| …(5.2.5)

このとき次の[命題5.3]が成り立つ。 

[命題5.3] 
   DA′>DA>DA″ …(5.3.1) 
これを「証明」するため次の2つの「補題」を用意する。
[補題5.4]
 実数 x,y,z,wは条件(4.1.1) x+y>0,x+z>0,x+w>0,y+z>0,y+w>0,y+w>0,yzw+xzw+xyw+xyz>0 を
 満たしているとする。
 そのとき、 √(yz+yw+zw)√(yz+xz+xy)>|yz| …(5.4.1) このとき、|yz|≧yz かつ |yz|≧-yzだから
   √(zw+yw+yz)√(yz+xz+xy)>yz かつ √(zw+yw+yz)√(yz+xz+xy)>-yz …(5.4.2) となる。
「証明」
 (5.4.1)の両辺とも0以上なので、[√(yz+yw+zw)√(yz+xz+xy)]^2>(yz)^2 …(5.4.3)を「証明」すればよい。
 (5.4.3)の(左辺)^2-(右辺)^2=(yz+yw+zw)(yz+xz+xy)]^2-(yz)^2
   ={yz+w(y+z)}{yz+x(y+z)}-(yz)^2=(yz)^2+(y+z)yzw+(y+z)xyz+(y+z)^2(xw)-(yz)^2
   =(y+z){yzw+xyz+(y+z)(xw)}=(y+z)(yzw+xyw+xzw+xyz)>0(∵条件(4.1.1))
  よって(5.4.3)が成立し、(5.4.1)も成立する。
([補題5.4]の「証明」終わり)
[補題5.5]
 実数 x,y,z,wは条件(4.1.1) x+y>0,x+z>0,x+w>0,y+z>0,y+w>0,y+w>0,yzw+xzw+xyw+xyz>0 を
 満たしているとする。
そのとき、√(zw+yw+yz)+√(yz+xz+xy)>√(x+w)√(y+z)>|√(zw+yw+yz)-√(yz+xz+xy)|…(5.5.1)
「証明」 
(5.5.1)の全辺とも0以上なので、 
 [√(zw+yw+yz)+√(yz+xz+xy)]^2>[√(x+w)√(y+z)]^2>[√(zw+yw+yz)-√(yz+xz+xy)]^2
すなわち [√(zw+yw+yz)+√(yz+xz+xy)]^2>(x+w)(y+z)>[√(zw+yw+yz)-√(yz+xz+xy)]^2
を「証明」すればよい。
(ア)
 まず、[√(zw+yw+yz)+√(yz+xz+xy)]^2-(x+w)(y+z)
   =(zw+yw+yz)+(yz+xz+xy)+2√(zw+yw+yz)√(yz+xz+xy)-(xy+xz+yw+zw)
   =2[√(zw+yw+yz)√(yz+xz+xy)+yz] ところが[補題5.4]より 
   √(zw+yw+yz)√(yz+xz+xy)>-yz …(5.4.2) よって 2[√(zw+yw+yz)√(yz+xz+xy)+yz]>0
 ゆえに [√(zw+yw+yz)+√(yz+xz+xy)]^2>[√(x+w)√(y+z)]^2が証明された。
(イ)
  (x+w)(y+z)-[√(zw+yw+yz)-√(yz+xz+xy)]^2
  =(xy+xz+yw+zw)-[(zw+yw+yz)+(yz+xz+xy)]+2√(zw+yw+yz)√(yz+xz+xy)]
  =2[√(zw+yw+yz)√(yz+xz+xy)-yz] ところが[補題5.4]より 
  √(zw+yw+yz)√(yz+xz+xy)>yz …(5.4.2) よって 2[√(zw+yw+yz)√(yz+xz+xy)-yz]>0
 ゆえに [√(x+w)√(y+z)]^2>[√(zw+yw+yz)√(yz+xz+xy)]^2 が証明された。
([補題5.5]の「証明」終わり)
それでは、
[命題5.3]を「証明」しよう。
『[命題5.3]の「証明」』
まず 
 (1)DA=AD=√(x+w) 次に(2) [命題5.2.2]から DA′=A′D=[√(zw+yw+yz)+√(yz+xz+xy)]/√(y+z)
 (3) [命題5.2.3] から DA″=A″D=|√(zw+yw+yz)/√(y+z)-√(yz+xz+xy)/√(y+z)|
  であることに注意する。
 [補題5.5]の√(zw+yw+yz)+√(yz+xz+xy)>√(x+w)√(y+z) 
  ⇔ [√(zw+yw+yz)+√(yz+xz+xy)]/√(y+z)>√(x+w) …(5.3.1)
 また 
 [補題5.5]の√(x+w)√(y+z)>|√(zw+yw+yz)-√(yz+xz+xy)| 
  ⇔ √(x+w)>|√(zw+yw+yz)-√(yz+xz+xy)|/√(y+z) ‥(5.3.2)
 (1)(2)(3)により
 (5.3.1)は DA'>DA を意味し、(5.3.2)は DA>DA″を意味する。
よって[命題5.3]は証明された。
([命題5.3]の「証明」終わり)
◎ ここからは3次元の「XYZ-空間内」で考えてゆく。先ほどの「XY-平面 (Z=0)」に上記の
「△BCD」が固定されて,また 「△A′CD」も「△A″CD」も[命題5.2.2],[命題5.2.3] のように
「XY-平面 (Z=0)」に置かれてあるものとする。
「命題5.6]
 実数 x,y,z,wは条件(4.1.1) x+y>0,x+z>0,x+w>0,y+z>0,y+w>0,y+w>0,yzw+xzw+xyw+xyz>0 を
 満たしているとする。「命題5.3]から「垂心四面体ABCD」が図形的に構成できる。
「証明」 
 この「XY-平面 (Z=0)」をπと名付けよう。平面π上の点Dを「中心」,「半径DA」の「2次元球面U」を
 3次元空間-「XYZ-空間内」に描いておく。辺BCを固定し、BCを回転の軸として、△A″BCの板を「XYZ-空間内」で
 頂点がA″からA′までZ座標≧0の領域で0°≦θ≦180°まで180°回転してゆくとする。この回転角θに対応して
 A″からA′まで回転する「頂点」の「動点」をA(θ)と書くことにする。このとき、[命題5.2.2]の辺BC上の
 点Lに着目すれば、この回転でA(θ)は「点Lを中心」とする「半径A″L」の「一次元の半円周V」を描く。
 「一次元の半円周V」と「点Dを『中心』,『半径DA』の2次元球面U」との交点を考えよう。
 [命題5.3]の [Uの半径]=DA>DA″により、θ=0°⇔A(θ)=A″のとき、A″は「2次元球面U」の「内部の領域」にある。
 そしてθ=180°⇔ A(θ)=A′のときは、 DA′>DA=[Uの半径] によりA′は「2次元球面U」の「外部の領域」にある
 ことになる。よって「棒LA(θ)」に着目したとき、「一次元の半円周V」の「棒LA(θ)」のLを中心とした「回転の
 連続性」と「2次元球面U」の「位相的な性質」により、つまり「中間値の定理」から「棒LA(θ)の先端A(θ」と
 「2次元球面U」はあるθに対して「交点を持つ」ことが分かる。この場合、交点はただ一つで、それはθ=ηのときに
  起こりその交点をA(η)としよう。ここに 0°<η<180°である。このとき、(A(η)B)=(A″B)=AB=√(x+y)、
  (A(η)C)=(A″C)=AC=√(x+z)、そして、A(η)は「『半径DA』の2次元球面U」上にもあるのだったから、
  (A(η)D)=半径DA=√(x+w)となる。こうして△BCDの上方に「点A=A(η)」がとれて、また△ABC,△ABD,△ABDが
  できていることは、[定理3.1]の(1)(3)(4)より分かる。このようにして「四面体ABCD」が構成できた。
 (「命題5.6]の「証明」終わり) 
「注意」:3次元ユークリッド空間E^3内の「2次元球面S」がE^3内を「内部」と「外部」の「2つの領域に分ける」
 (当たり前と思えることだが)ことも「Jordan(ジョルダン)の定理」と呼ぶような気がしたが自信がない。
 (E^2内に『S^1と同相な一次元閉曲線J』があるとき閉曲線JはE^2を『内部』と『外部』に分ける]というのが
 「Jordanの曲線定理」である。)
--垂心四面体の構成理論及びその展開図の作成(その4)-2009.8.21(金)---に続く


垂心四面体の構成理論及びその展開図の作成(その4)-2009.8.21(金)

2009年08月21日 | 考察


垂心四面体の構成理論及びその展開図の作成(その4)-2009.8.21(金)


mは自然数、E^mでm次元ユークリッド空間を表すものとし、「ベクトルAB」などを(→AB)で表す。
ベクトル(→AB)と(→AC)の「内積」を((→AB),(→AC))で表わし、また、「三角形ABC」の3辺BC,CA,ABを
 BC=a,CA=b,AB=cとし、その面積をSで表す。
「垂心四面体ABCD」の6辺を、BC=a,CA=b,AB=c,AD=d,BD=e,CD=f とする。
その体積をV,頂点A,B,C,Dの対面の△BCD,△ACD,△ABD,△ABCの面積をそれぞれ
S_A,S_B,S_C,S_D とおく。またdetJ(2),detJ(3)はいつもの通りとする。
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--[垂心四面体の構成理論及びその展開図の作成(その3)-2009.8.21(金)]の続き-----

6.
 それでは「定理4.1]のような造り方での「垂心四面体ABCD]の「展開図」について述べる。
[定理6.1]
 実数 x,y,z,wは条件(4.1.1) x+y>0,x+z>0,x+w>0,y+z>0,y+w>0,y+w>0,yzw+xzw+xyw+xyz>0 を
 満たしているとする。このとき、△BCDを[命題5.1.2]のすぐ上にある「説明」のように平面上に描いておく。
 BC=√(y+z),CD=√(z+w),BD=√(y+w) である。このとき、[命題5.2.2]のように△A′BC≡△ABCで,
 Y<0にある点A′をA(3)としよう。すると A(3)D⊥BC で、かつ 
 A(3)D=A′D=[√(zw+yw+yz)+√(yz+xz+xy)]/√(y+z) …(5.2.2) となる。 
 次に△BCDの頂点Bから対辺のCDに垂線を引き、直線CDとの交点をMとし、垂線BMの点Mの延長上に点A(1)を
 BA(1)=[√(zw+yw+yz)+√(zw+xw+xz)]/√(z+w) …(6.1.1)となるように取る。そして線分CA(1)、線分DA(1)を
 結べば、CA(1)=√(x+z),DA(1)=√(x+w) …(6.1.2) となり、△A(1)DCが「辺CD」に隣接してできる。
 
 最後に△BCDの頂点Cから対辺のBDに「垂線」を引き「直線BD」との交点をNとし、
 垂線CNの点Nの延長上に点A(2)をCA(2)=[√(zw+yw+yz)+√(yw+xw+xy)]/√(y+w)となるように取る。
 このとき、A(2)B=√(x+y),A(2)D=√(x+w) …(6.1.3) となり、△A(2)BDが「辺BD」に隣接してできる。
 こうして「△BCD」の周りに
 (1)CDに「隣接して」△A(1)DCができ、(2)BDに「隣接して」△A(2)BDができ、(3)BCに「隣接して」△A(3)BCができる。
 △BCDの周りに、この△A(1)DCを「辺CD」で「谷折り」にし、次に△A(2)BDを「辺BDで谷折り」にし、
 最後に△A(3)CBを「辺BC」で「谷折り」にして、3点A(1),A(2),A(3)を張り合わせて点Aとすれば、
 「垂心四面体ABCD]の出来上がりである。
「証明」
 △BCDについてBC=√(y+z),CD=√(z+w),BD=√(y+w),△BCDの面積S_A=(1/2)√(zw+yw+yz)、また
 [命題5.1.2]より、頂点Dから対辺BCに下した垂線の足をLとしたとき、BL=y/√(y+z),LC=z/√(y+z),
 AL=[2(S_A)]/BC=√(zw+yw+yz)/√(y+z)であった。これと同様なことが△BCDの残りの2辺についても成り立つ。
 まず、CM=z/√(z+w),DM=w/√(z+w) …(6.1.4)
 そしてBM=√(zw+yw+yz)/√(z+w) …(6.1.5)。このとき、上記の作図法で造った△A(1)DCについて
 A(1)C=√(x+z) …(6.1.6) 及び、A(1)D=√(x+w) …(6.1.7)を示そう。CD=√(z+w)だから
 (6.1.1)よりMA(1)=BA(1)-BM=[√(zw+yw+yz)+√(zw+xw+xz)]/√(z+w)-√(zw+yw+yz)/√(z+w)
 =√(zw+xw+xz)/√(z+w) つまり MA(1)=√(zw+xw+xz)/√(z+w)…(6.1.8)「三平方の定理」より
 [A(1)C]^2=CM^2+[MA(1)]^2=[z/√(z+w)]^2+[√(zw+xw+xz)]/√(z+w)]^2=[z^2+(zw+xw+xz)]/(z+w)
 =[z(z+w)+x(z+w)]/(z+w)=[(x+z)(z+w)]/(z+w)=x+z すなわち[A(1)C]^2=x+z ⇒A(1)C=√(x+z)
 …(6.1.6) が示された。同様に [A(1)D]^2=DM^2+[MA(1)]^2=[w/√(z+w)]^2+[√(zw+xw+xz)]/√(z+w)]^2
 =[w^2+(zw+xw+xz)]/(z+w)=[w(w+z)+x(z+w)]/(z+w)=[(x+w)(z+w)]/(z+w)=x+w 
 すなわち[A(1)D]^2=x+w ⇒A(1)D=√(x+w) …(6.1.7)も示された。 
 同様に△A(2)BDについてもA(2)B=√(x+y),A(2)D=√(x+z)となり△A(2)BD≡△ABD、△A(3)CBについてもA(3)B=√(x+y)、
 A(3)C=√(x+z) となり△A(3)CB≡△ADBとなっている。したがって展開図が完成している。
[例6.2] 
 [例4.2]のもので、見てみよう。「定理6.1]は正しいのだから、展開図を描くには、実際は普通に三角形を4つ
 描けば良いのである。
 [例4.2]では、AB=√3,AC=2,BC=√5,AD=√6,BD=√7,CD=2√2 
 
  △BCDの3辺は a=BC=√5,f=CD=2√2,e=DB=√7,この△BCDの周りの辺DCの右上に
  A(1)D=AD=√6=d,A(1)C=AC=2=bとなるように△A(1)DCを描き、次に辺BDの左上に△A(2)BD,
  ただしA(2)B=√3=c,A(2)D=√6=dを描き、最後に辺BCの下に△A(3)CB,ただし、A(3)C=2=b,A(3)B=√3=c
  を描いて「垂心四面体ABCD」の「展開図」のできあがりである。

  上の長さを10倍して「cm単位」で「画用紙に展開図を描いて」この「垂心四面体ABCD」を作成してみると、
  面白いのではないだろうか。△BCDの「垂心H_A」と△A(1)DCの「垂心H_B」を「定理6.1」で述べた直線BA(1)が通っている
  こと、つまり「垂心四面体ABCD」で「各頂点から対面へ下した垂線の足」はその「対面の三角形の『垂心』」に
  なっていることなどや「四面体のオイラー線の関係」,「各頂点から四面体の『重心G』を通る直線と対面の『交点』は
  その「対面」の「重心」になること」などがハッキリと分かるだろう。なお、「垂心四面体ABCD」の「垂心H]は
  AH:HH_A=(1-κ):κ=(xzw+xyw+xyz):yzw=x(zw+yw+yz):yzw=x(2S_A)^2:yzw
      =1×(√(31)^2:(2×3×5)=31:30([例4.2]参照 )
  すなわち AH=(AH_A)×(31/61) …(6.2.1) である。ここで [例4.2]より 
  V=(1/6)√(61)=(1/3)(S_A)(AH_A)=(1/3)(1/2)√(31)(AH_A) ⇒ 高さAH_A=√(61)/√(31)これを
  (6.2.1)に代入して AH=√(31)/√(61) となっているので、頂点Aから対面の「垂心H_A」に引いた
  「垂線上の頂点Aから√(31)/√(61)の距離」のところにこの「垂心四面体ABCD」の「垂心Hはある」ことを
  注意しておく。私は未だ試していない。

  [定理4.1]によって「垂心四面体ABCD」の「例」は無数に出きるのだから、他のも造ってみるとよいだろう。