四面体ABCDの実例で内接球面Iと側面の接点I^Dの重心座標の公式の確認(その2) 2019.05.26(日)
ーーー接点I^Dの重心座標の公式の確認(その1)からの続きーーーー
(Ⅴ)
それでは、いよいよ本題に入る。
四面体ABCDを上の通りとする。このとき、内接球面Iと△ABCとの接点I^Dに対して、
(1) (→II^D)⊥△ABC かつ (2) |(→II^D)|=r [ここにrは内接球面Iの半径]
・・・(5.1.0) となっていることを実際に計算して示そう。
それには、内心Iの重心座標と、I^Dの重心座標を必要とする。
前に示したように、I(S_A/2F,S_B/2F,S_C/2F,S_D/2F)
だった。ここに 2F=S_A+S_B+S_C+S_D である。また I^Dは、
(S_A(1+cosθ(A,D))/2F,S_B(1+cosθ(B,D))/2F,S_C(1+cosθ(C,D))/2F,0)である。
・・・(#)
(1)
よって、
(→II^D)=[S_A(1+cosθ(A,D))/2F-S_A/2F](→PA)+[S_B(1+cosθ(B,D))/2F-S_B/2F](→PB)
+[S_C(1+cosθ(C,D))/2F-S_C/2F](→PC)+[0-S_D/2F](→PD)
即ち、(→II^D)=1/2F[(S_A)cosθ(A,D))(→PA)+(S_B)cosθ(B,D))(→PB)]
+1/2F[(S_C)cosθ(C,D))(→PC)-(S_D)(→PD)] ・・・(5.1.1)
(5.1.1)において、P ⇒ Aとして
(→II^D)=(1/2F)[(S_B)cosθ(B,D))(→AB)]
+(1/2F)[(S_C)cosθ(C,D))(→AC)-(S_D)(→AD)] ・・・(5.1.2)
(5.1.2)で内積 ((→II^D),(→AB))及び((→II^D),(→AB)) を計算して0となることを
示したい。そのため次の[補題]を準備する。
[補題5.1]
|(→AB)|^2=c^2=3^2=9,((→AC),(→AB))=6,((→AD),(→AB))=19/2,
|(→AC)|^2=b^2=(√7)^2=7,((→AD),(→AC))=15/2
(証明)
(4.1)を使う。
AB=c=3,AC=b=√7より第1,4式は明らか。また第2式は、
((→AC),(→AB))=[AC^2+AB^2-BC^2]/2=[(√7)^2+3^2-2^2]/2=[7+9-4]/2=6
第3式は、((→AD),(→AB))=[AD^2+AB^2-BD^2]/2=[4^2+3^2-(√6)^2]/2
=[16+9-6]/2=19/2 ,第5式は,((→AD),(→AC))=[AD^2+AC^2-CD^2]/2
=[4^2+(√7)^2-(2√2)^2]/2=[16+7-8]/2=15/2 による。
(証明終わり)
内積 ((→II^D),(→AB))の計算。(5.1.2)と[補題5.1]と(4.1),(4.2.1)(4.3.1)より
((→II^D),(→AB))=(1/8F)[4(S_B)cosθ(B,D))|(→AB)|^2]
+(1/8F)[4(S_C)cosθ(C,D))((→AC),(→AB))-4(S_D)((→AD),(→AB))]
=(1/8F)[√223×{43/(√223√27)}×9]+(1/8F)[√215×{21/(√215√27)}×6]
-(1/8F)[2√27×19/2]
=(1/8F)[(43×9)/√27+(21×6)/√27-√27×19] この右辺の
[ ]=(1/√27)×[43×9+21×6-27×19]=(9/√27)×[43+7×2-3×19]
=(9/√27)×[43+14-57]=0
即ち、((→II^D),(→AB))=0 ・・・(5.1.3)が示された。
次に、
内積 ((→II^D),(→AC))の計算。(5.1.2)と[補題5.1]と(4.1),(4.2.1)(4.3.1)より
((→II^D),(→AC))=(1/8F)[4(S_B)cosθ(B,D))((→AB),(→AC))]
+(1/8F)[4(S_C)cosθ(C,D))|(→AC)|^2-4(S_D)((→AD),(→AC))]
=(1/8F)[√223×{43/(√223√27)}×6]+(1/8F)[√215×{21/(√215√27)}×7]
-(1/8F)[2√27×15/2]
=(1/8F)[(43×6)/√27+(21×7)/√27-√27×15] この右辺の
[ ]=(1/√27)×[43×6+21×7-27×15]=(3/√27)×[43×2+7×7-9×15]
=(3/√27)×[86+49-135]=(3/√27)×[135-135]=0
即ち、((→II^D),(→AC))=0 ・・・(5.1.4)が示された。
(5.1.3)(5.1.4)と(→II^D)≠(→0) により、(5.1.0)の(1)の(→II^D)⊥△ABCが
計算で証明された。
(2)
そこで、(5.1.0)の(2)の|(→II^D)|=r [ここにrは内接球面Iの半径]を示すため、
|(→II^D)|^2=r^2=[3V/2F]^2=(6V/4F)^2=[√(detJ(3))/4F]^2=[detJ(3)/16F^2]を
示したい。(5.1.2)より、
(→II^D)=1/2F[(S_B)cosθ(B,D))(→AB)+(S_C)cosθ(C,D))(→AC)-(S_D)(→AD)]
よって、
16(2F)^2|(→II^D)|^2
=[{(4S_B)cosθ(B,D)}^2|(→AB)|^2+{(4S_C)cosθ(C,D)}^2|(→AC)|^2+(4S_D)^2|(→AD)|^2]
+2(4S_B)(4S_C)cosθ(B,D)cosθ(C,D))((→AB),(→AC))
-2(4S_B)(4S_D)cosθ(B,D)((→AB),(→AD))-2(4S_C)(4S_D)cosθ(C,D)((→AC),(→AD))
・・・(5.2.1)となる。
ここで、(Ⅳ)[と(4.1)などと二面角の余弦など]の結果より、
(4S_B)cosθ(B,D)=√223×43/[√223√27]=43/√27 ・・・(5.2.2)
(4S_C)cosθ(C,D)=√215×21/[√215√27]=21/√27 ・・・(5.2.3)
(4S_B)(4S_C)cosθ(B,D)cosθ(C,D))=√223√215×43/[√223√27]×21/[√215√27]
=(43×21)/27 ・・・(5.2.4)
(4S_B)(4S_D)cosθ(B,D)=√223(2√27)×43/[√223√27]=2×43 ・・・(5.2.5)
(4S_C)(4S_D)cosθ(C,D)=√215(2√27)×21/[√215√27]=2×21 ・・・(5.2.6)
これと[補題5.1]から、(5.2.1)は
16(2F)^2|(→II^D)|^2
=[43/√27]^2×9+[21/√27]^2×7+(2√27)^2×16+2×(43×21)/27×6
-2×2×43×(19/2)-2×(2×21)×(15/2)
=(43^2)/3+(7^2×7)/3+4×27×16+2×(43×7×2)/3
-2×43×19-2×21×15
=1/3[43^2+7^3+2^2×43×7]+2×[27×2×16-43×19-21×15]
=1132+2×(-268)
=4×283-4×134
=4×149
となる。
即ち 16×(4F^2)×|(→II^D)|^2=4×149 ⇔ 16(F^2)×|(→II^D)|^2=149
⇔ |(→II^D)|^2=149/(4F)^2 ⇔ |(→II^D)|=√149/(4F)=√[detJ(3)]/(4F)[∵(4.1)]
⇔ |(→II^D)|=(6V)/2[S_A+S_B+S_C+S_D]=(3V)/[S_A+S_B+S_C+S_D]=r
ここにrは内接球面Iの半径である。
よって |(→II^D)|=r が示された。これは(5.1.0)の(2)の示したかったことであった。
☆☆☆
以上計算が大変であったが、内接球面Iと△ABCとの接点I^Dの重心座標に間違いが
ないことが具体例で示された。なお、
I^Dの真の重心座標は、
([2√23√27-10]/[{2√23+√223+√215+2√27}√27],
[√223√27+43]/[{2√23+√223+√215+2√27}√27] ,
[√215√27+21]/[{2√23+√223+√215+2√27}√27] , 0 )
となる。興味のある方は計算してみて下さい。[(Ⅴ)の(1)の前の(#)の式]
その際 (5.2.2)(5.2.3) などを使用するとよいだろう。