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あれこれゆっくりと学びについて考える

学んだことなどを自分勝手に気が向いた時だけ書くと、いうことで

<三角形の垂心Hの三角関数による重心座標表現 「↑PH=cotBcotC(↑PA)+cotCcotA(↑PB)+cotAcotB(↑PC)」> 

2022年11月30日 | 考察

<三角形の垂心Hの三角関数による重心座標表現
 「↑PH=cotBcotC(↑PA)+cotCcotA(↑PB)+cotAcotB(↑PC)」> 2022.11.30(水)

 表題の結果についてはもう何十年も前の1980年6月頃に得て、数学セミナーのNOTE欄に投稿し
1981年の10月号に掲載された。[但しネットで検索すると、数学セミナー1981年の10月号には、
[重心のベクトル表示]と間違って表記されているので訂正をお願いしたいところである。
この結果については、このブログでも何回も書いてきた。2008.08.31のblogへのLinkは次の通り。

2008.08.31のblog

を見てください。

内積による表示が本質的である。
最近、知恵袋に次のような質問があったので詳しく回答したが、回答受付終了となり、勿体ないので
このブログに書きます。

点Hを三角形ABCの垂心とします。

2021/12/09(木)に以下の質問が知恵袋にありました。その回答を12/13(月)にしましたが、
回答受付終了となりました。URLがやっと、みつかりました。
リンクを貼っておきます。

知恵袋

質問:
至急回答お願いします!!
数学の幾何学の問題です!!
この問題で、AH↑を以下の形にしたいです。

どなたか解説よろしくお願いします。

私の注意:以下の形、とは、下の(#)のことです。

私の回答:

BC=a, CA=b, AB=cのとき、
AH↑=(cosC/sinC)・(cosA/sinA)AB↑+(cosA/sinA)・(cosB/sinB)AC↑…(#)を示せ。

:
AB↑=b↑,AC↑=c↑とおくとき、
AH↑=xb↑+yc↑…①と一意的に書ける。
Hが垂心⇔AH↑⊥BC↑かつ BH↑⊥CA↑かつCH↑⊥AB↑
⇒AH↑・BC↑=0かつBH↑・CA↑=0かつCH↑・AB↑=0となる。
[AH↑・BC↑は、ベクトルAH↑とBC↑との、「内積」を表す]
これらは、
AH↑・(c↑-b↑)=0…(ア)かつ(AH↑-AB↑)・(-AC↑)=0…(イ)かつ
(AH↑-AC↑)・AB↑=0…(ウ)となる。
ゆえに
(ア)⇔AH↑・b↑=AH↑・c↑…②かつ
(イ)⇔AH↑・c↑=b↑・c↑…③かつ
(ウ)⇔AH↑・b↑=b↑・c↑…④である。
[この事より、貴方の質問が正しいことが分かります。]
②③④⇔AH↑・b↑=b↑・c↑…④かつAH↑・c↑=b↑・c↑…③. であるから、

①をこれらに代入して、
(xb↑+yc↑)・b↑=b↑・c↑…⑤かつ(xb↑+yc↑)・c↑=b↑・c↑…⑥
⑤⇔|b↑|²x+(b↑・c↑)y=(b↑・c↑)つまり⑤はc²x+(cbcosA)y=cbcosAとなる。
[∵b↑とc↑とのなす角はA,|b↑|=c,|c↑|=b]
c>0だから、これは
cx+(bcosA)y=bcosA…⑦となる。同様にして⑥は
(ccosA)x+by=ccosA…⑧となる。⑦⑧をx,yの連立方程式として解く。
⑧-⑦×cosAとして
b(1-cos²A)y=cosA(c-bcosA)⇔(bsin²A)y=cosA(c-bcosA)…⑨。
⑦-⑧×cosAとして
c(1-cos²A)x=cosA(b-ccosA)⇔(csin²A)x=cosA(b-ccosA)…⑩

ここで
[第1余弦定理]の
b=ccosA+acosC…(1)
c=bcosA+acosB…(2)
a=bcosC+ccosB
の(1)(2)を用いて、
⑩⇔(csin²A)x=cosA(acosC)…(3)
⑨⇔(bsin²A)y=cosA(acosB)…(4)
さらに、正弦定理からのa=2RsinA,c=2RsinCを使用し

(3)⇒(2RsinC)(sin²A)x=cosA(2RsinA)cosC。
sinA>0だから、(sinC)(sinA)x=cosAcosC。
sinC>0,sinA>0だから、

x=(cosAcosC)/(sinAsinC)=(cosC/sinC)・(cosA/sinA)…(5)
となる。
同様にして、
(4)⇒(2RsinB)(sin²A)y=cosA(2RsinA)cosB。

sinA>0,sinB>0だから、(sinB)(sinA)y=cosAcosB。

y=(cosAcosB)/(sinB)(sinA)=
=(cosA/sinA)・(cosB/sinB)…(6)となる。(5)(6)を①に代入して、

AH↑=(cosC/sinC)・(cosA/sinA)AB↑+(cosA/sinA)・(cosB/sinB)AC↑…(#)
となる。

なおこの(#)は、
AH↑=xAB↑+yAC↑…($)であったから($)は任意の点Pに対し、
PH↑-PA↑=x(PB↑-PA↑)+y(PC↑-PA↑)となり、
PH↑=(1-x-y)PA↑+xPB↑+yPC↑…(7)となる。そこでz=1-x-yとおくと
z+x+y=1…(%)かつPH↑=zPA↑+xPB↑+yPC↑…(8)となる。
(5)(6)から
z=1-x-y=1-(cosA/sinA)[cosC/sinC+cosB/sinB]
=1-(cosA/sinA)[sinBcosC+cosBsinC]/[sinBsinC]
=1-(cosA/sinA)[sin(B+C)]/[sinBsinC]
=1-(cosA/sinA)[sinA]/[sinBsinC]
=[sinBsinC-cosA] /[sinBsinC]
=[sinBsinC+cos(B+C)]/[sinBsinC]
=[sinBsinC+cosBcosC-sinBsinC]/[sinBsinC]
=[cosBcosC]/[sinBsinC]
=(cosB/sinB)・(cosC/sinC)
即ち、
z=1-x-y=(cosB/sinB)・(cosC/sinC)となる。
ゆえに任意の点Pに対し、
(8)は、
PH↑=(cosB/sinB)・(cosC/sinC)PA↑+(cosC/sinC)・(cosA)/(sinA)PB↑
+(cosA/sinA)・(cosB/sinB)PC↑
…(9)となる。
そこで、正接tanθ=sinθ/cosθに対し
余接[コタンジェントθ,co-tangent θ]を

cotθ=cosθ/sinθと定義すれば△ABCでは
[0°<θ<180°に対し、sinθ>0だから]

cotA,cotB,cotCはどんな三角形でも、定義され計算できる。

[例えばA=90°の直角三角形でも、cotA=cot90°=0。一方tanA= tan90°=±∞、Aが鈍角のときはcotA<0]
tanAはA=90°のとき定義できない。(9)は、
PH↑=(cotBcotC)PA↑+(cotCcotA)PB↑+(cotAcotB)PC↑
となりz=cotBcotC,x=cotCcotA,y=cotAcotB,
であって、(%)から
z+x+y=1となる。即ち
cotBcotC+cotCcotA+cotAcotB=1ということが分かる。

なお、第1余弦定理は普通の余弦定理から、
cosA=[b²+c²-a²]/(2bc)となどとして右辺に代入すれば、証明できるし、
図を描けば明らかです。

なお、tan90°=±∞なので、このように、h↑=[(tanA)a↑+(tanB)b↑+(tanC)c↑]/[tanA+tanB+tanC]
には、[キズ]がある。

tanA+tanB+tanC=tanAtanBtanC としても、[キズ]は残ったままで、解決にはならない。

PH↑=(cotBcotC)PA↑+(cotCcotA)PB↑+(cotAcotB)PC↑…(10)
が、どんな三角形[直角三角形でも、鈍角三角形でも]

成り立つ万能完璧な式です。ここにPは任意の点。

例えば、A=90°のとき、垂心Hは明らかに、頂点Aである。A=90°のとき、B,Cは鋭角となり、cosB>0で
B+C=90°↔C=90°-B→cotB×cotC= cosB/sinB)×{cos(90°-B)/sin(90°-B)}

=[cosB/sinB]×[sinB/cosB]=1。即ちcotB×cotC=1,
cotCcotA=0,cotAcotB=0となるから、(10)→PH↑=PA↑となる。Pは任意の点だからP=Hととれば、0↑=HA↑となり、H=Aと求まる。
(cotBcotC,cotCcotA,cotAcotB)を垂心Hの真の[重心座標]という。なお、
(10)⇔
(cotBcotC)HA↑+(cotCcotA)HB↑+(cotAcotB)HC↑=0↑ である。

なお△ABCの外心をOとすれば、オイラー線の関係 OH↑=OA↑+OB↑+OC↑…(11)が知られているから、

外心Oのベクトルによる重心座標表現は、

PO↑=[sin2A(PA↑)+sin2B(PB↑)+(sin2C)(PC↑)]/[4sinAsinBsinC]…(12)と簡単に求まる。これも1980年6月に発見したことを
述べておきます。[分母の sinA>0,sinB>0,sinC>0 なので、(12)の分母はいつでも正で、計算できる]


「cotθの一般加法定理およびn倍角の公式について 2022.07.31(日)」

2022年07月31日 | 考察

「cotθの一般加法定理およびn倍角の公式について 2022.07.31(日)」

☆ 以下に述べるのは、約21年も昔の2001.09.08(土)に完成していたことである。さて、

Σが和の記号であるように、Πの方は「積」の記号であるとする。

cotθの加法定理を導くためには、少し準備がいる。まず、
sinθ+icosθ=i{cosθ-isinθ}=i{cos(-θ)+isin(-θ)}であるから、

sinθ+icosθ=i{cos(-θ)+isin(-θ)} ゆえにDe Moivre(ドゥ・モアブル)の公式 

を用いて 角,θ1,θ2,・・・,θnに対して
 
Π[k=1,n]{sin(θk)+icos(θk)}=(i^n){cos(-Σ[k=1,n]θk)+isin(-Σ[k=1,n]θk)}
={i^(n-1)}[sin(Σ[k=1,n]θk)+icos(Σ[k=1,n]θk)]   

そこで、i^(4n)=1を用いて
sin(Σ[k=1,n]θk)+icos(Σ[k=1,n]θk)={i^(3n+1)}Π[k=1,n]{sin(θk)+icos(θk)} ・・・(1.1)

となる。つまり、

sin(Σ[k=1,n]θk)+icos(Σ[k=1,n]θk)={i^(3n+1)}Π[k=1,n]{sin(θk)+icos(θk)}

={(-1)^n}{i^(n+1)}Π[k=1,n]{sin(θk)+icos(θk)} ・・・(1.2)

 [∵ i^(2n)=(i^2)^n=(-1)^n ]
 
こうして、

[命題1.3]

sin(Σ[k=1,n]θk)+icos(Σ[k=1,n]θk)={(-1)^n}{i^(n+1)}Π[k=1,n]{sin(θk)+icos(θk)} ・・・(1.3) 

を得た。

さて、[tanθの一般加法定理とn倍角の公式]のところで述べたことを一般化すれば、

次の命題が成り立つことが分かる。、

[命題1.4]
nを自然数、z1,z2,・・・,znを複素数とし、σ0,σ1,・・・,σnをz1,z2,・・・,zn
のそれぞれ0次,1次,・・・n次の基本対称式とする。

例えば、σ0=1,σ1=z1+z2+・・・+zn,σ2=z1・z2+z1・z3+・・・+z(n-1)・zn,・・・,
σn=z1×z2×・・・・×znとする。すると i^2=ー1から

{1+i(z1)}{1+i(z2)}・・・{1+i(zn)}
=σ0+i(σ1)+(i^2)(σ2)+(i^3)(σ3)+・・・+(i^n)(σn)
=σ0+i(σ1)ー(σ2)ーi(σ3)+σ4・・・+(i^n)(σn)

このことを正確に表現すると

[命題1.5] 

(ア)ではmを1以上の整数、(イ)ではmを0以上の整数とする。

1=σ0に注意して、
(ア) n=2mのときは、
 {1+i(z1)}{1+i(z2)}・・・{1+i(zn)}
={σ0ーσ2+σ4ー・・・+(-1)^m・(σ(2m))}+i{σ1ーσ3+σ5ー・・・+(-1)^(m-1)・(σ(2m-1))}
(イ)n=2m+1のときは、
 {1+i(z1)}{1+i(z2)}・・・{1+i(zn)}
={σ0ーσ2+σ4ー・・・+(-1)^m・(σ(2m))}+i{σ1ーσ3+σ5ー・・・+(-1)^m・(σ(2m+1))}
が成り立つことがわかる。

☆ この式は ガウス記号[ ]を用いればみやすくなる。
n=2m  ⇒[n/2]=[2m/2]=m,また n-1=2m-1 ⇒[(n-1)/2]=[(2m-1)/2]=[m-1/2]=m-1
n=2m+1 ⇒[n/2]=[(2m+1)/2]=[m+1/2]=m,また[(n-1)/2]=[(2m)/2]=[m]=m

つまり、
[補題1.6]
(ア)n=2mのとき、m=[n/2],m-1=[(n-1)/2],(イ)n=2m+1のとき、m=[n/2]=[(n-1)/2]
よって[命題1.5] は次のようになる。

[命題1.7]
nを自然数とすれば、
{1+i(z1)}{1+i(z2)}・・・{1+i(zn)}
=Σ[h=0,[n/2]](ー1)^h・σ(2h)+iΣ[h=0,[(n-1)/2]](ー1)^h・σ(2h+1) ・・・(1.4)
よって(1.3)の右辺は次のようになる。

[命題1.8]
{(-1)^n}{i^(n+1)}Π[k=1,n]{sin(θk)+icos(θk)}

={(-1)^n}{i^(n+1)}sin(θ1)sin(θ2)・・・sin(θn)×Π[k=1,n]{1+i(cot(θk))} 

={(-1)^n}{i^(n+1)}sin(θ1)sin(θ2)・・・sin(θn)×
[Σ[h=0,[n/2]](ー1)^h・τ(2h)+iΣ[h=0,[(n-1)/2]](ー1)^h・τ(2h+1)]・・・(1.5)

 ここにτ0,τ1,τ2,・・・,τnは cot(θ1),cot(θ2),・・・,cot(θn)の
それぞれ、0次,1次,2次、・・・,n次の基本対称式とする。
つまり、τ0=1,τ1=cot(θ1)+cot(θ2)+・・・+cot(θn),
τ2=cot(θ1)・cot(θ2)+cot(θ1)・cot(θ3)+・・・+cot(θ(n-1))・cot(θn)
,・・・,τn=cot(θ1)×cot(θ2)×・・・×cot(θn)である。
また[n/2]などはn/2のガウス記号を表す。

よってこの式が最初に述べた(1.3)の左辺であることに注意して(1.3)は、

[主公式1.9]

sin(Σ[k=1,n]θk)+icos(Σ[k=1,n]θk)

={(-1)^n}{i^(n+1)}sin(θ1)sin(θ2)・・・sin(θn)×
[Σ[h=0,[n/2]](ー1)^h・τ(2h)+iΣ[h=0,[(n-1)/2]](ー1)^h・τ(2h+1)]・・・(1.9.1)となる。

そこで
(ア)n=2mのとき、i^(n+1)=i^(2m)×i=(-1)^m×iだから

  (1.9.1)の右辺
={(-1)^n}{i^(n+1)}sin(θ1)sin(θ2)・・・sin(θn)×
  [Σ[h=0,[n/2]](ー1)^h・τ(2h)+iΣ[h=0,[(n-1)/2]](ー1)^h・τ(2h+1)]
={(-1)^n}(-1)^m×sin(θ1)sin(θ2)・・・sin(θn)× 
 [-Σ[h=0,[(n-1)/2]](ー1)^h・τ(2h+1)+iΣ[h=0,[n/2]](ー1)^h・τ(2h)]

={(-1)^n}(-1)^(m+1)sin(θ1)・・・sin(θn)×[Σ[h=0,[(n-1)/2]](ー1)^h・τ(2h+1)]
+i{(-1)^n}(-1)^(m)sin(θ1)・・・sin(θn)×[Σ[h=0,[n/2]](ー1)^h・τ(2h)]

(イ)n=2m+1のとき、i^(n+1)=i^(2m+2)=(-1)^(m+1)だから
 
 (1.9.1)の右辺
={(-1)^n}{i^(n+1)}sin(θ1)sin(θ2)・・・sin(θn)×
  [Σ[h=0,[n/2]](ー1)^h・τ(2h)+iΣ[h=0,[(n-1)/2]](ー1)^h・τ(2h+1)]
={(-1)^n}(-1)^(m+1)sin(θ1)・・・sin(θn)×
 [Σ[h=0,[n/2]](ー1)^h・τ(2h)+iΣ[h=0,[(n-1)/2]](ー1)^h・τ(2h+1)]

これより式(1.9.1)の実部・虚部を比較して、次の公式[公式2.0]を得る。

[公式2.0]
nを自然数とする。(ア)では、mは1以上の自然数とし、(イ)では,mは0以上の整数とする。

(ア) n=2mのとき、

cos(Σ[k=1,n]θk)={(-1)^n}(-1)^m×sin(θ1)・・・sin(θn)[Σ[h=0,[n/2]](ー1)^h・τ(2h)]
sin(Σ[k=1,n]θk)={(-1)^n}(-1)^(m+1)sin(θ1)・・・sin(θn)[Σ[h=0,[(n-1)/2]](ー1)^h・τ(2h+1)]

(イ) n=2m+1のとき、

cos(Σ[k=1,n]θk)={(-1)^n}(-1)^(m+1)sin(θ1)・・・sin(θn)[Σ[h=0,[(n-1)/2]](ー1)^h・τ(2h+1)]
sin(Σ[k=1,n]θk)={(-1)^n}(-1)^(m+1)sin(θ1)・・・sin(θn)[Σ[h=0,[n/2]](ー1)^h・τ(2h)]
 
したがって

[主定理2.1] < cotθの一般加法公式>

nを自然数とする。

(ア) nが偶数のとき

  cot(Σ[k=1,n]θk)
=-{Σ[h=0,[n/2]](ー1)^h・τ(2h)}/{Σ[h=0,[(n-1)/2](ー1)^h・σ(2h+1)}
=-{1ーτ2+τ4ー・・・+(ー1)^[n/2]・τ(2[n/2])}
 /{τ1ーτ3+τ5ー・・・+(ー1)^[(n-1)/2]・τ(2[(n-1)/2]+1)}
=-{1ーΣcot(θ1)cot(θ2)+・・・+(ー1)^[n/2]・Σcot(θ1)cot(θ2)・・・cotθ_(2[n/2])}
  /{Σcot(θ1)ーΣcot(θ1)cot(θ2)cot(θ3)+・・・+
  +(-1)^[(n-1)/2]Σcot(θ1)cot(θ2)・・・cotθ_(2[(n-1)/2]+1)} ・・・(2.0.1)
(イ) nが奇数のとき

  cot(Σ[k=1,n]θk)
={Σcot(θ1)ーΣcot(θ1)cot(θ2)cot(θ3)++・・・+(ー1)^[(n-1)/2]Σcot(θ1)・・cot(θ(2[(n-1)/2]+1))}
 /{1ーΣcot(θ1)cot(θ2)+Σcot(θ1)cot(θ2)cot(θ3)cot(θ4)ー・・・
 +(ー1)^[n/2]・Σcot(θ1)cot(θ2)・・・cot(θ(2[n/2]))}         ・・・(2.0.2)

ここで [n/2],[(n-1)/2]はそれぞれ n/2,(n-1)/2のガウス記号を表す。

また 記号Σの意味は「代数学の慣用法」にしたがっている。

[命題2.2]

<cotθのn倍角の公式 > nを自然数とする。

(ア) nが偶数のとき

  cot(nθ)
=-[1ーnC2・cot^2(θ)+nC4・cot^4(θ)-・・・+(ー1)^[n/2]・nC(2[n/2])・cot^(2([n/2])(θ)}
  /[nC1cotθーnC3・cot^3(θ)+・・・+(ー1)^[(n-1)/2]・nC(2([(n-1)/2)]+1)・cot^(2[(n-1)/2)]+1)(θ)]


(イ) nが奇数のとき

  cot(nθ)
=[nC1cotθーnC3・cot^3(θ)+・・・+(ー1)^[(n-1)/2]・nC(2([(n-1)/2)]+1)・cot^(2[(n-1)/2)]+1)(θ)]
 /[1ーnC2・cot^2(θ)+nC4・cot^4(θ)・・・+(ー1)^[n/2]・nC(2[n/2])・cot^(2([n/2])(θ)}


「証明」
(2.0.1),(2.0.2)でθ1=θ2=・・・=θn=θとおけば、あとは基本対称式の定義から分かる。
(証明終わり)

「例1」
n=4のとき [n/2]=[4/2]=2 ,2[n/2]=4,[(nー1)/2]=[3/2]=1,2[(n-1)/2]+1=3 だから

cot(θ1+θ2+θ3+θ4)
=-[1ーcot(θ1)cot(θ2)-cot(θ1)cot(θ3)-cot(θ1)cot(θ4)-cot(θ2)cot(θ3)-cot(θ2)cot(θ4)
    -cot(θ3)cot(θ4)+cot(θ1)cot(θ2)cot(θ3)cot(θ4)]
  /[cot(θ1)+cot(θ2)+cot(θ3)+cotθ4ーcot(θ1)cot(θ2)cot(θ3)-cot(θ1)cot(θ2)cot(θ4)
  -cot(θ1)cot(θ3)cot(θ4)-cot(θ2)cot(θ3)cot(θ4)]

「例2」
n=7のとき [(nー1)/2]=[6/2]=3,2[(n-1)/2]+1=7 ,[n/2]=[7/2]=3 ,2[n/2]=2[7/2]=6だから

cot7θ= [7C1cotθー7C3・cot^3(θ)+7C5・cot^5(θ)-7C7・cot^7(θ)]
    /[1ー7C2・cot^2(θ)+7C4・cot^4(θ)-7C6・cot^6(θ)]

となる。これらは21年も前の2001.09.08(土)に完成していたことだった。

タイピングするのが面倒だった。pdfファイルを改めて見たら、sinθ,cosθのn倍角の公式も
tanθの一般加法定理から、証明していたことを発見した。これについては、
atwikiのホームページからダウンロードしてください。

 

 


tan1°の最小多項式は次のxの24次多項式である。=0の解はtan1°,-tan7°,・・・,tan89°の24個である。

2021年05月21日 | 考察


 tan1°の最小多項式は次の24次多項式である。=0の解はtan1°,-tan7°,・・・,tan89°の24個である。2021.05.21(金)

 
[少しづつ編集していきます。いろいろあって今は体調が良くないので 体調が良くなったら、
 
 また少しずつ書き足して行きたいと思います。]


 x^24-48x^23-564x^22+1456x^21+21186x^20-12432x^19-269412x^18+17424x^17+1470447x^16

 +45344x^15-3923304x^14-51744x^13+5407388x^12-51744x^11-3923304x^10+45344x^9+1470447x^8

+17424x^7-269412x^6-12432x^5+21186x^4+1456x^3-564x^2-48x+1 ---(1) であって、


 (1)=0の24次の方程式の24個の解は全て実数で、みな異なる。実際、解全体Sは

 S=

{tan1°,-tan7°,-tan11°,tan13°,tan17°,-tan19°,-tan23°,tan29°,-tan31°,tan37°,tan41°,

  -tan43°,-tan47°,tan49°,tan53°,-tan59°,tan61°,-tan67°,-tan71°,tan73°,tan77°,-tan79°,

  -tan83°,tan89° }                                       
 
 であり、異なる24個からなる。…① 

  そして、(1)の解と係数の関係から次の等式などが成立する。


 tan1°-tan7°-tan11°+tan13°+tan17°-tan19°-tan23°+tan29°-tan31°+tan37°+tan41°

 -tan43°-tan47°+tan49°+tan53°-tan59°+tan61°-tan67°-tan71°+tan73°+tan77°-tan79°

 -tan83°+tan89°=48 …② そして、


 -tan3°×tan21°-tan3°×tan33°+tan3°×tan39°+tan3°×tan51°-tan3°×tan57°-tan3°×tan69°
 
 +tan21°×tan33°-tan21°×tan39°-tan21°×tan51°+tan21°×tan57°-tan21°×tan87°-tan33°×tan39°

 -tan33°×tan51°+tan33°×tan69°-tan33°×tan87°-tan39°×tan57°-tan39°×tan69°+tan39°×tan87°
 
 -tan51°×tan57°-tan51°×tan69°+tan51°×tan87°+tan57°×tan69°-tan57°×tan87°-tan69°×tan87°
  
  =-64 …③ 
 
 などとなる。[これ以上は書くのが大変。]

 (1)の Galois群は、Z₄×Z₂×Z₃ と思われる。[Q上の円分体はQ上のAbel体による。]

 


3度の倍数の角の正弦・余弦・正接の真の値と一部のGalois群

2021年04月25日 | 考察

3度の倍数の角の正弦・余弦・正接の真の値と一部のGalois群   2021.04.25(日)

 これは at.wikiのホームページ 「もやもやどきどきはらはら」に以前2014年11月2日に掲載したものを

 編集したものです。[少しづつ編集していきます。いろいろあって今は体調が良くないので、

 体調が良くなったら、また少しずつ書き足して行きたいと思います。]

  3°の倍数の角度の正弦、余弦、正接の値は、定規とコンパスにてQ上作図可能ということが知られている。

 これは360°の120等分ができること、つまり正120角形が定規とコンパスで作図できることによる。
 それは120=2³×3×5 であって、3=1+2¹,5=1+2²の奇素数だからである。

 3°の倍数の角の正弦・余弦・正接の真の値のpdfを下のところに載せておきます。

 ここでは、下のpdfに
 sin3° =cos87°,cos3° =sin87°,sin6° =cos84°, cos6°=sin84°,sin9° =cos81°,
 cos9° =sin81°,sin12°=cos78°,cos12°=sin78°,sin15°=cos75°,cos15°=sin75°,
 sin18°=cos72°,cos18°=sin72°,sin21°=cos69°,cos21°=sin69°,
 sin24°=cos66°,cos24°=sin66°,sin27°=cos63°,cos27°=sin63°,sin30°=cos60°,
 cos30°=sin60°,sin33°=cos57°,cos33°=sin57°,sin36°=cos54°,cos36°=sin54°,
 sin39°=cos51°,cos39°=sin51°,sin42°=cos48°,cos42°=sin48°,sin45°=cos45°
 の真の値をまず記す。
 また
 tan(90°-θ)=cotθより、cot(90°-θ) =tanθも出るが、これを使って

 tan3° =cot87°,tan6° =cot84°,tan9° =cot81°,tan12°=cot78°,tan15°=cot75°,
 tan18°=cot72°,tan21°=cot69°,tan24°=cot66°,tan27°=cot63°,tan30°=cot60°,¹
 tan33°=cot57°,tan36°=cot54°,tan39°=cot51°,tan42°=cot48°,tan45°=cot45°,
 tan48°=cot42°,tan51°=cot39°,tan54°=cot36°,tan57°=cot33°,tan60°=cot30°,
 tan63°=cot27°,tan66°=cot24°,tan69°=cot21°,tan72°=cot18°,tan75°=cot15°,
 tan78°=cot12°,tan81°=cot9° ,tan84°=cot6° ,tan87°=cot3°  の
 
 真の値も出てくる。これらの値も下のpdfに書いておいた。計算は2006年までに終了した。

 関数電卓でこれらの値を検算してあるので間違いはないと思う。皆さんも試してください。例えば

 sin6° =[-(√5+1)+√3{√(10-2√5)}]/8 ,

 cos27°=√2{(√5ー1)+√(10+2√5)}/8,

 sin33°=√2{(√3+1)(√5-1)+(√3-1)√(10+2√5)}/16 などと、

 tan9° =(√5+1)-√(5+2√5)…①,   tan27°=(√5-1)-√(5-2√5)…②,

 tan63°=(√5-1)+√(5-2√5)…③,  tan81°=(√5+1) +√(5+2√5)…④   である。このように、

 2重根号の組み合わせ、つまり2重根号による逐次拡大の元として表せる。

 これらの形から、ただ、単に計算しただけでなく、Galois群(ガロア群)とその同型対応も、

 考えてみた。

 ただ断っておくが、そのことは一部について計算したのみでその後計算しなかった。

 一例として、xの4次の相反方程式

  x⁴-4x³-14x²-4x+1=0 ・・・(1) の左辺は有理数体Q上既約で、(1) の

 4つのQ上の共役解は、

  T={tan81°,-tan27°,tan9°,-tan63°}であり、QにTを添加したQの正規拡大体

 L=Q(tan81°,-tan27°,tan9°,-tan63°)はQ上単純拡大体でガロア拡大となり、

 L=Q(tan81°)=Q(√(5+2√5))となる。また、そのGalois群はZ₄(位数4の巡回群)である。

 そして

 tan27°=-(1/2)tan²81°+3tan81°+3/2

 tan63°=-tan³81°+(9/2)tan²81°+12tan81°-3/2

 tan9° =-tan³81°+4tan²81°+14tan81°+4

また、方程式(1)の解と係数の関係から、次の一連の等式が成り立つ。

 tan81°-tan27°+tan9°-tan63°=4…⑤,

 すなわち、tan9°-tan27°-tan63°+tan81°=4…⑥


  tan81°×(-tan27°)+tan81°×tan9°+tan81°×(-tan63°)

 +(-tan27°)×tan9°+(-tan27°)×(-tan63°)+tan9°×(-tan63°)

 =-14…⑦ 

 つまり、
 
  tan9°×tan27°+tan9°×tan63°+tan27°×tan81°+tan63°×tan81°

 =16…⑧ [ tan81°tan9°=1,tan27°tan63°=1 ] 

 等が出てくる。

[ あと2つの解と係数の関係式は方程式の相反性などから、⑤と自明なものしか出てこない。]

 また、①~④により、
 
 tan81°+tan9°=2(√5+1)…⑨ ,tan27°+tan63°=2(√5-1)…⑩

  ゆえに、tan9°+tan27°+tan63°+tan81°=4√5 …⑪ ,
 
 tan81°-tan9°= 2√(5+2√5)…⑫,tan63°-tan27°=2√(5-2√5)…⑬
 
 よって、
 
 tan81°-tan9°+tan63°-tan27°=2√(5+2√5)+2√(5-2√5)=2√(10+2√5)

 すなわち、tan81°-tan9°+tan63°-tan27°=2√(10+2√5)…⑭
 
 (∵ pdfの(2.15)式による) も出てくる。


 
 ★ これらについては関数電卓などで検算していただきたい。代数拡大体の理論によれば、

 tan27°,tan63°,tan9°をtan81°の3次以下の多項式として表すときの有理数体Q上の係数は一意的で

 これ以外にはない。これらは大分前に計算したので思い出しながら発表して行きたいと思う。
 
 ☆) pdfの場所→ 3°の倍数の角の正弦・余弦・正接の真の値のpdf  はここからダウンロードしてください。

 


Q(√5,i)のガロア群

2020年08月12日 | 考察

ℚ(√5,i)のガロア群  2020.08.12 (水)

 
[Ⅰ] 体 ℚ(√5,i)の体ℚ上のガロア群(Galois群)を基底に着目して求める。
 
  ここに ℚは有理数体とする。

 
 [命題1]

  ℚ(√5,i )=ℚ[√5,i] 

「証明」

 (√5)²=5,i²=-1 だから (√5i)²=-5 ゆえに 多項式環 ℚ[√5,i]の要素は、
  a+b√5+ci+d√5i と書ける。ここにa,b,c,d∈ℚ とする。 
 そこでこの逆数を考えて、「分母の実数化と有理化」をしてみると
 
  a+b√5+ci+d√5i≠0のとき
  
 1/[a+b√5+ci+d√5i]
 =1/[(a+b√5)+(c+d√5)i] 
 =[(a+b√5)-(c+d√5)i]/[{(a+b√5)+(c+d√5)i}{(a+b√5)-(c+d√5)i}]  
 =[(a+b√5)-(c+d√5)i]/[(a+b√5)²+(c+d√5)²]
 =[(a+b√5)-(c+d√5)i]/[(a²+5b²+c²+5d²)+2(ab+cd)√5]
 =[(a+b√5)-(c+d√5)i][(a²+5b²+c²+5d²)-2(ab+cd)√5]  
  /[(a²+5b²+c²+5d²)+2(ab+cd)√5][(a²+5b²+c²+5d²)-2(ab+cd)√5] 
 =[(a+b√5)-(c+d√5)i][(a²+5b²+c²+5d²)-2(ab+cd)√5]
  /[(a²+5b²+c²+5d²)²-20(ab+cd)²] 

 この右辺の 分子∈ℚ[√5,i] (∵ ℚ[√5,i]は環)分母∈ℚだから、
 1/[a+b√5+ci+d√5i]∈Q[√5,i]
 
 であることが分かる。
 ゆえに ℚ(√5,i )⊂ℚ[√5,i] 逆の「⊃」は明らかだからℚ(√5,i )=ℚ[√5,i] となる。 
(証明終わり)


 [命題1] から ℚ(√5,i )の要素もa+b√5+ci+d√5i と書ける。ここにa,b,c,d∈ℚ とする。 

 なお、{1,√5,i,√5i}はℚ上1次独立である。証明は容易である。証明しておこう。
 [命題1.5]
 {1,√5,i,√5i}はℚ上1次独立である。
「証明」
 a,b,c,d∈ℚ とし。 a+b√5+ci+d√5i=0とする。⇒ (a+b√5)=-(c+d√5)i。⋯(#)
 もし仮に c+d√5≠0 とすれば、i=-(a+b√5)/(c+d√5) ここで 右辺∈ℝ (実数全体)
 一方 左辺の i∉ℝ これは矛盾。よって c+d√5=0 でなければならない。
 √5∉ℚ だから、⇒c=d=0 ⇒(#)からa+b√5=0・ よって、また a=b=0 
 こうして a=b=c=d=0 ゆえに{1,√5,i,√5i}はℚ上1次独立である。
 (「証明」終わり)
   
 ☆  [命題1][命題1.5]により、体の拡大次数は [ℚ(√5,i):ℚ]=4


 さて、ガロア群 Gal([ℚ(√5,i)/ℚ)の元 μ:ℚ(√5,i)→ℚ(√5,i)はℚ準同型で
  5∈ℚ だから、μ(5)=5。(√5)²=5であるから、μ((√5)²)=5。
 μは体の準同型だから、これは
 μ(√5×√5)=μ(√5)×μ(√5)=5 ⇔(μ(√5))²=5。⇒μ(√5)=±√5…①となる。
 また、i²=-1より、μ(i²)=μ(-1)=-1。つまり、μ(i²)=-1。
 μは体の準同型だから、μ(i²)=μ(i×i)=μ(i)×μ(i)=(μ(i))²=-1 
 ⇒μ(i)=±i…②となる。
 よってガロア群 Gal([ℚ(√5,i)/ℚ)の元μはℚ準同型だから、
 μ(a√5+bi+c√5i+d)=aμ(√5)+bμ(i)+cμ(√5)×μ(i)+d…③である。
 
 故に  μはμ(√5)とμ(i)の値によって決まる。
 ところで、①②から、μ(√5)=√5 またはμ(√5)=-√5…④の2通りあり、
 μ(i)=i,μ(i)=-i…⑤の2通りあるから、 
 全部で2×2=4通りある。
 
 そこで

 (ア) σ(√5)=√5,かつσ(i)=-iのときはσ(√5i)=-√5i。
 故に、 σ²(√5)=√5,σ(-i)=-σ(i)=i
 より、σ²(i)=σ(σ(i))=σ(-i)=iとなる。よって
 σ²(√5i)=σ²(√5)×σ²(i)=√5iとなる。
 即ち③から、
 σ²=idとなる。σは位数2の元と言う事である。同様に、

(イ)τ(√5)=-√5かつ  τ(i)=i…⑤と定義すれば、τ(√5i)=-√5i
 となり、τ²=idとなる。
  また、
(ウ) τσ(√5)=τ(√5)=-√5, στ(√5)=σ(-√5)=-√5。
 即ち、 τσ(√5)=στ(√5)=-√5。
 同様に τσ(i)=στ(i)=-i, よってτσ(√5i)=στ(√5i)=√5iとなる。

 故にσとτは可換で、στはσ,τとは異なる。

 στ(√5)=-√5。στ(i)=-i,στ(√5i)=√5i である。

 以上により、ガロア群は Gal(ℚ(√5,i)/ℚ)={id,σ,τ,στ}となり、

 σ,τ,στは位数2の元で、στ=τσだから、 Gal(ℚ(√5,i)/ℚ) は

 {id,σ}と{id,τ}との直積であり、Z/2Z×Z/2Zに同型 つまり、  
 いわゆるクライン(Klein)の4元群と同型である。 
 
 ゆえに ガロア群 Gal(ℚ(√5,i)/ℚ)≅Z/2Z×Z/2Z≅V₄


☆ さて、ℚ(√5,i)を単純拡大にしてみよう。例えば次のようにできる。

 [命題2]
 ℚ(√5,i)=ℚ(√5+i) …⑥ である。

「証明」
 ℚ(√5,i)は、√5,iを含むℚ上の拡大体だから、ℚ(√5,i)∋√5+i
 よってまた、ℚ(√5,i) ⊃ℚ(√5+i)  [∵ ℚ(√5+i)は、√5+iを含むℚ上の 
 「最小」の拡大体だから] が成り立つ。逆の包含関係 ℚ(√5,i)⊂ℚ(√5+i) …⑦を
 示そう。

 a=√5+i とおく。⑦は ℚ(√5,i)⊂ℚ(a) … ⑧となる。 
 a=√5+i ⇔ a-i=√5 …⑨ ⇒ (a-i)²=(√5)²  ⇔ a²-2ai-1=5
 ⇔ a²-6=2ai …⑩ a=√5+i≠0 だから、⑩から i=(a²-6)/(2a) …⑪
 ここでℚ(a)は体で、 
 a∈ ℚ(a) だから i=(a²-6)/(2a)∈ ℚ(a) ゆえに i∈ ℚ(a)  …⑫ 

 また a∈ ℚ(a) 、ℚ(a)は体 だから「差」について閉じていて a-i∈ ℚ(a)
 即ち ⑨ から  a-i∈ ℚ(a)⇔ √5∈ ℚ(a) …⑬。明らかに示したいときは 
  √5=a-(a²-6)/(2a)=(a²+6)/(2a)∈ ℚ(a) つまり
  √5=(a²+6)/(2a)∈ ℚ(a)。 ⑫,⑬から i,√5∈ ℚ(a) ゆえに  ℚ(√5,i)⊂ℚ(a) …⑧
 となり ⑧ 即ち ⑦が示された。以上により ℚ(√5,i)=ℚ(√5+i) となる。
 (証明終わり)

☆ 次に a=√5+iの最小多項式を求めてみよう。

[命題3]
 
 a=√5+iの最小多項式は、f(x)=x⁴-8x²+36 であり、f(x)=0 の 4つの解は

 √5+i,-√5+i,√5-i,-√5-iである。
「証明」 
 [命題2]の⑪ ,i=(a²-6)/(2a) の両辺を平方して、-1=(a²-6)²/(4a²)
 ⇔-4a²=(a²-6)²⇔-4a²=a⁴-12a²+36 ⇔ a⁴-8a²+36=0 …⑭
 つまり、a=√5+i ⇒ a⁴-8a²+36=0 よって aの最小多項式は、
   f(x)=x⁴-8x²+36 …⑮ となる。ここで ⑨の式の右辺の√5を-√5に替えた,
  a=-√5+i …⑯ を平方しても、(a-i)²=(-√5)²  ⇔ a²-2ai-1=5 即ち
  ⇔ a²-6=2ai …⑩ となるから、i=(a²-6)/(2a) となり、やはり  
 a⁴-8a²+36=0 …⑬ となる。ゆえに -√5+i も x⁴-8x²+36=0の解になる。
 
 同様に ⑪のiを-iに替えた a=√5-iについても、 
  a=√5-i ⇔a+i=√5 …⑨ ⇒ (a+i)²=(√5)²  ⇔ a²+2ai-1=5 
 ⇔ a²-6=-2ai …⑯ a=√5+i≠0 だから、⑯から -i=(a²-6)/(2a) …⑰
 両辺平方すれば、やはり -1=(a²-6)²/(4a²) となり
 ⇔-4a²=(a²-6)²⇔-4a²=a⁴-12a²+36 ⇔ a⁴-8a²+36=0 …⑬ が出てくる。
 こうして f(x)=x⁴-8x²+36=0  の4つの解は √5+i,-√5+i,√5-i,-√5-i
  であると分かった。
([命題3]の証明終わり)


[Ⅱ]
 
 f(x)=x⁴-8x²+36の ℚ上の ガロア群を求める。[Ⅰ]から、f(x)=x⁴-8x²+36=0  
 
 の4つの解は √5+i,-√5+i,√5-i,-√5-i…(2.1) だった。よって f(x)はℚ上既約

 と思われる。(実際には証明が必要→また考えることにする。)

 Lをf(x)の最小分解体とすると、(2.1)から、 L=ℚ(√5+i,-√5+i,√5-i,-√5-i)…(2.2)

 -√5+i=-(√5-i),-√5-i=-(√5+i) だから 

 L=ℚ(√5+i,-√5+i,√5-i,-√5-i)=ℚ(√5+i,√5-i) は明らか。ここで

 [命題4]
 
 ℚ(√5+i,√5-i)=ℚ(√5+i)…(2.3) が成り立つ。すなわち単純拡大になる。
 
 [証明]
  
 ℚ(√5+i,√5-i)⊇ℚ(√5+i) は明らかであるから、逆の 
 ℚ(√5+i,√5-i)⊆ℚ(√5+i) …(2.4)を示そう。√5-i∈ℚ(√5+i) を示せば良い。
 ここで、1/(√5+i)∈ℚ(√5+i) …(2.5) (∵ℚ(√5+i)は体。 )
 そして 1/(√5+i)=(√5-i)/[(√5+i)(√5-i)]=(√5-i)/{(√5)²-i²] 
  =(√5-i)/6 であるから、(2.5)から (√5-i)/6∈ℚ(√5+i) ゆえに   
  √5-i=6×[(√5-i)/6]∈ℚ(√5+i)  (∵ 6∈ℚ⊂ℚ(√5+i),ℚ(√5+i)は体 ) 
 よってℚ(√5+i)は ℚと √5+iと √5-iを含む 。ℚ(√5+i,√5-i)は、
  √5+i,√5-iを含む ℚ上の最小の拡大体であるから、
  ℚ(√5+i,√5-i)⊆ℚ(√5+i)  …(2.4) となる。 
 ゆえに ℚ(√5+i,√5-i)=ℚ(√5+i) となって題意は示された。
 ([命題4]の証明終わり)

 [命題4]により、f(x)=x⁴-8x²+36 の最小分解体Lは、
 L=ℚ(√5+i,-√5+i,√5-i,-√5-i)=ℚ(√5+i,√5-i)=ℚ(√5+i) となる。

 それでは  ℚ(√5+i)のℚ上のガロア群を求める。[Ⅰ]から
 ℚ(√5,i)のℚ上のガロア群 Gal(ℚ(√5,i)/ℚ)=<σ,τ|σ²=id,τ²=id、στ=τσ>は、
 σとτによって生成されていた。ポイントは、μ(5)=5,μ(-1)=-1 であった。 
 これより μ(√5)=±√5…①となる。
 また、i²=-1より、μ(i²)=μ(-1)=-1。つまり、μ(i²)=-1。
 μは体の準同型だから、μ(i²)=μ(i×i)=μ(i)×μ(i)=(μ(i))²=-1 
  ⇒μ(i)=±i…② となる。 
  σ(√5)=√5,かつσ(i)=-i …(2.6) で τ(√5)=-√5かつ  τ(i)=i …(2.7)であった。
 この σによりσ(√5+i)=σ(√5) +σ(i)=√5-i, 即ち σ(√5+i)=√5-i …(2.8) 
 よって  
 σ²(√5+i)=σ(σ(√5+i))=σ(√5-i)=σ(√5)-σ(i) 
   =√5-(-i)=√5+i ⇔σ²(√5+i)=√5+i ゆえに σ²=id on ℚ(√5+i)   
 また τ(√5+i)=τ(√5)+τ(i)=-√5+i 即ち τ(√5+i)=-√5+i …(2.9)
 よって τ²(√5+i)=τ(τ(√5+i))=τ(-√5+i)=-τ(√5)+τ(i) 
  =-(-(√5)+i=√5+i ゆえに σ²=id on ℚ(√5+i)  
 στ(√5+i)=σ(-√5+i)=-σ(√5)+σ(i)=-√5-i  
 即ち στ(√5+i)=-√5-i …(2.10)  
  また 、στ=τσ だから、στ(√5+i)=τσ(√5+i)=-√5-i よって 

 (2.8)(2.9)(2.10)から、id,σ,τ,στは f(x)=x⁴-8x²+36=0の 
 4つの解の置換を起こす。ガロア群 Gal(ℚ(√5+i)/ℚ)はS₄の部分群である。

  ガロア群 Gal(ℚ(√5+i)/ℚ)≅Z/2Z×Z/2Z≅V₄ 

[Ⅲ]
 
 ℚ(√5+i)/ℚの拡大次数 [ℚ(√5+i):ℚ]=4について-------

 J.ロットマン著・関口次郎訳 [改訂新版 ガロア理論] Springer フェアラーク東京 
 をみる。P71の[定理45]  によると
 
 [定理45]
  Fを体とし、p(x)∈F[x]をd次既約多項式とする。このとき
 
 E=F[x]/(p(x))は、d次のFの拡大体になる。

 実際 Eは p(x)の根αを含み、F上のEの基底は、 {1,α,α².…,α^(d-1)}である。 
 
 また、P73の[定理47]によると

 [定理47]
 E/Fは体拡大で、α∈Eは F上代数的とする。

 (ⅰ) αを根にもつ既約なモニック多項式 p(x)∈F[x]が存在する。

  (ⅱ) F[x]/(p(x))≅F(α)が成り立つ。 実際,同型 Φ:F[x]/(p(x))→F(α)

   でFを点ごとに固定し、Φ(x+(p))=αとなるものが存在する。

  (ⅲ) p(x)はαを根にもつF[x]の最低次数のモニック多項式である。しかも

   αを根にもつ最低次数のモニック多項式はp(x)以外にない。

 (ⅳ) [F(α):F]=p(x)の多項式としての次数。

 この  (ⅱ)と(ⅳ)から ℚ(√5+i)≅ℚ[x]/(x⁴-8x²+36)かつ
  
 [ℚ(√5+i):ℚ]=4 となることが分かり、私が計算した結果とあっている。

  [定理45]により、その基底の1つは、{1,√5+i,(√5+i)²,(√5+i)³} となる。
  A,B、C,D∈ℚ とするとき、
  
 A×1+B(√5+i)+C(√5+i)²+D(√5+i)³に対して、
 A×1+B(√5+i)+C(√5+i)²+D(√5+i)³= H×1+I×√5+J ×i+K×√5i となる
 ような H,I,J,K∈ℚの存在が一意的に示され、逆も言える。 …(3.1)
 [今は逆が大事であることになる]  これを示しておこう。

 まず、(√5+i)²=4+2√5i,
 (√5+i)³=(4+2√5i)(√5+i)=4√5+10i+4i-2√5=2√5+14i。

そこで
 A×1+B(√5+i)+C(√5+i)²+D(√5+i)³を計算すると、
 A+B√5+Bi+C(4+2√5i)+D(2√5+14i)=(A+4C)+(B+2D)√5+(B+14D)i+2C√5i …(*)

 これが H×1+I×√5+J ×i+K×√5iに等しいとして [命題1.5]を使うと
  A+4C=H …(1), B+2D=I …(2), B+14D=J …(3) ,2C=K …(4) これを A,B,C,Dの
 連立方程式として解く。(1)(4)から A=H-2K …(5) ,C=K/2 …(6) ,(3)-(2)として
 14D=J-I⇒ D=(J-I)/12 …(7) ,B=I-2D=(7I-J)/6 …(8) と求まった。
 これより

 逆に 
 (5)~(8)のとき 
    A×1+B(√5+i)+C(√5+i)²+D(√5+i)³
 =(H-2K)+(7I-J)/6(√5+i)+(K/2)(√5+i)²+[(J-I)/12](√5+i)³ 
 =(H-2K)+[(7I-J)/6](√5+i)+(K/2)(4+2√5i)+[(J-I)/12](2√5+14i)
 =[(H-2K)+(K/2)×4]+[(7I-J)/6+(J-I)/6]√5
 +[(7I-J)/6+7(J-I)/6]i+K√5i
 =H+I√5+Ji+K√5i となって合っている。つまり、
 A×1+B(√5+i)+C(√5+i)²+D(√5+i)³=(A+4C)+(B+2D)√5+(B+14D)i+2C√5i …(*)
  H×1+I×√5+J ×i+K×√5i =
 (H-2K)+[(7I-J)/6](√5+i)+(K/2)(√5+i)²+[(J-I)/12](√5+i)³ …(**) 
 これから 
 
 {1,√5+i,(√5+i)²,(√5+i)³}がQ上一次独立が次のように示される。

 [命題5]
 {1,√5+i,(√5+i)²,(√5+i)³}はQ上一次独立
「証明」
 A,B,C,D∈ℚ で
 A×1+B(√5+i)+C(√5+i)²+D(√5+i)³=0 としよう。すると(*)が成立。
  [命題1.5]により {1,√5,i,√5i}はℚ上1次独立であるから、
 A+4C=0,B+2D=0,B+14D=0,2C=0 …(9) そこで、A+4C=H …(1),
 B+2D=I …(2), B+14D=J …(3) ,2C=K …(4) と置けば(9)はH=I=J=K=0…(10) 
 となる。
 ところが、上に説明したように、A=H-2K …(5) ,B=(7I-J)/6 …(8),
 C=K/2 …(6),D=(J-I)/12 …(7)  となる。そして H=I=J=K=0 …(10) だから 
 (5)~(8)から A=B=C=D=0。 よって {1,√5+i,(√5+i)²,(√5+i)³}はQ上一次独立

 


曲率テンソルについて

2020年03月31日 | 考察

 曲率テンソルについて_2020.03.31(火)

新型コロナウイルスが猛威をふるっていますが、皆様には
  いかがお暮しでしょうか?お互い、しっかりと注意しながら
 罹患しないよう、過ごして行きましょう。

 さて、このblogの内容ですが、暫くの間は,
  Yahoo知恵袋!で回答したけれども削除されたものなどを編集して、
 まとめて行きたいと思います。
  まず最初は [曲率テンソル]の質問に答えます。
 
 [質問]

 MをC^∞多様体、C^∞(M)をM上のC^∞関数の全体、

 Χ(M)[Χはギリシャ文字χ(カイ)の大文字]を M上の C^∞ベクトル場の全体とする。
 
 今  写像 R:Χ(M)×Χ(M)×Χ(M)→Χ(M) を任意のX,Y,Z∊Χ(M)に 対して、
 
 
  R(X,Y,Z)=(▽_X)(▽_Y)(Z)-(▽_Y)(▽_X)(Z)-(▽_[X,Y])(Z) ・・・(☆)
 
 と定義するとき、任意のf,g,h∊X(M)に対して、

  R(fX,gY,hZ)=(fgh)R(X,Y,Z)が成り立つことを示してください。
 
  ここに、▽_XはXによる共変微分を表し、[X,Y]はベクトル場のリー括弧積
 
 を表す。
 
 (注意:このRを「曲率テンソル」という: [(1,3)型のテンソルです ]

   普通は R(X,Y)Z=(▽_X)(▽_Y)(Z)-(▽_Y)(▽_X)(Z)-(▽_[X,Y])(Z) 
  
  とすることが多い。)

 ◎以下が[回答」です。

 [回答」

 [注意1]
 (ア)
 ∀X∈Χ(M)と∀h∈C^∞(M)に対し、Xh∈C^∞(M)である。

 [∀p∈Mにおける関数Xhの値は(Xh)(p)=(X_p)hと定義する。
  ここに、X_pは接ベクトル]

 (イ)
 f∈C^∞(M),X∈Χ(M)に対して、fX∈Χ(M)。
 [fXのh∈C^∞(M)への作用は (fX)(h)=f・(Xh)である。(ア)のXh∈C^∞(M)に注意。

 ここに、[・]は関数同士の積を表す。以後[・]は省略する。]

 (ウ)
 
 ベクトル場はある種の微分であるから、関数への作用について積の微分法が
  成り立つ。

  即ちg,h∈C^∞(M)とX∈Χ(M)に対して、X(gh)=(Xg)h+g(Xh)…(#)が成り立つ。

 また以後、C^∞(M)=Fと略記する。
 
 [注意2]

 (ア)
   ベクトル場X,Yに対して

 「X=Y⇔∀h∈Fに対しXh=Yh 」 よってX=Yを示すには、
 
  ∀h∈Fに対しXh=Yhを示せばよい…①。この①はよく用いる。

 (イ)
   リー括弧積について[Y,X]=-[X,Y]が成り立つ。

 [証明]

 ∀h∈Fをとる。定義は [X,Y]h=X(Yh)ーY(Xh)…②である。ゆえに
     
 [Y,X]h

 =Y(Xh)-X(Yh)

 =-{X(Yh)-Y(Xh)}

 =-[X,Y]h
 即ち [Y,X]=-[X,Y]  [∵①]

 [命題1]

f∈Fとベクトル場X,Yに対して[fX,Y]=f[X,Y]ー(Yf)X …③

 [証明]

 ∀h∈Fに対し②から、

 [fX,Y]h

 =(fX)(Yh)-Y((fX)h)
           
 =f(X(Yh))-Y(f(Xh))

 =f(X(Yh))-{(Yf)(Xh)+f(Y(Xh))} [∵(♯)より]

 =f{X(Yh)-Y(Xh)}-(Yf)(Xh)

 =f([X,Y]h)-((Yf)X)h

 =(f[X,Y])(h)-((Yf)X)(h)

 =(f[X,Y]-(Yf)X)(h)
 即ち、

   [fX,Y]=f[X,Y]-(Yf)X

 (証明終わり)

 [注意3]

 ベクトル場 X,Wとh∈Fに対し共変微分▽_Xを考えると
 (1)
 h∈F ⇒(▽_X)h∈F 。つまり、hが関数 ⇒(▽_X )hも関数。
 Z∈Χ(M) ⇒(▽_X)Z∈Χ(M)。
 つまり、Zがベクトル場 ⇒(▽_X)Zもベクトル場

 (2)
    (▽_X)h=Xh …④
 (3)
   共変微分は一種の微分だから、積の微分法が成立する。

    (▽_X)(hW)=((▽_X)(h))W+h((▽_X)(W)) …⑤

   (2)により、これは

   (▽_X)(hW)=(Xh)W+h((▽_X)(W)) …⑥ となる。

 (4)
  (▽_fX)(h)=f((▽_X)(h))と(▽_(X+Y))(Z)=(▽_X)(Z)+(▽_Y)(Z)

    が成り立つ。
 ☆
  曲率テンソルRの質問については、

 その定義から、R(X,Y,Z)∈Χ(M) つまり、R(X,Y,Z)はベクトル場である。
 また、次の[命題2]が成り立つ。
 
 [命題2]

 R(fX,Y,Z)=fR(X,Y,Z) かつ、R(X,gY,Z)=gR(X,Y,Z) かつ
 
 R(X,Y,hZ)=hR(X,Y,Z) が成り立つ

 ⇒ R(fX,gY,hZ)=fghR(X,Y,Z)が成り立つ。

 [証明]

 R(fX,gY,hZ)

 =fR(X,gY,hZ)

 =f{gR(X,Y,hZ)}=(fg)R(X,Y,hZ)={(fg)h}R(X,Y,Z)

 =fghR(X,Y,Z)

 (証明終わり)

 [命題3]

 R(Y,X,Z)=-R(X,Y,Z)

 [証明]
  [Y,X]=ー[X,Y]と、

  (▽_(fX))(Z)=f((▽_X)(Z))を使う。

 Rの定義(☆)から、

 R(Y,X,Z)

 =(▽_Y)((▽_X)(Z))ー(▽_X)((▽_Y)(Z))-(▽_[Y,X])(Z)

 =-{(▽_X)((▽_Y)(Z))-(▽_Y)((▽_X)(Z))}-(▽_(-1)[X,Y])(Z)

 =-{(▽_X)((▽_Y)(Z))-(▽_Y)((▽_X)(Z))}+(▽_[X,Y])(Z) [[注意3]の④]

 =-{(▽_X)((▽_Y)(Z))-(▽_Y)((▽_X)(Z))-(▽_[X,Y])(Z)}

 =-R(X,Y,Z)
 即ち

   R(Y,X,Z)=-R(X,Y,Z)

 (証明終わり)

 ☆☆

 それでは、質問に答えよう。

 まず、
  R(fX,Y,Z)=fR(X,Y,Z)を示す。]

  [注意3]の(4)より

 (▽_(fX))((▽_Y)(Z))=f(▽_X)((▽_Y)(Z))…⑦ また

 (▽_Y)(▽_(fX))(Z)

 =(▽_Y)(f(▽_X(Z)))

 =(Yf)((▽_X)(Z))+f(▽_Y)((▽_X(Z)) [∵[注意3]の⑥]…⑧

 そして、[命題1]と[注意3]の(4)より

  (▽_[fX,Y])(Z)
                
 =(▽_(f[X,Y]-(Yf)X))(Z)

 =(▽_(f[X,Y]))(Z))-(▽_(Yf)X)(Z)

 =(f(▽_([X,Y])))(Z)-(Yf)(▽_X)(Z)…⑨

  ⑦⑧⑨から、

  R(fX,Y,Z)

  =(▽_(fX))((▽_Y)(Z))-(▽_Y)((▽_(fX))(Z))-(▽_[fX,Y])(Z)

  =f(▽_X)((▽_Y)(Z))

  -{(Yf)((▽_X)(Z))+f(▽_Y)((▽_X))(Z))}

  -{f(▽_[X,Y](Z)ー(Yf)((▽_X)(Z))}

  =f{(▽_X)((▽_Y)(Z))-(▽_Y)((▽_X)(Z))-(▽_[X,Y])(Z)}

  -(Yf)((▽_X)(Z)) +(Yf)((▽_X)(Z))

  =f{(▽_X)((▽_Y)(Z))-(▽_Y)((▽_X)(Z))-(▽_[X,Y])(Z)}

  =fR(X,Y,Z)

 つまり

   R(fX,Y,Z)=fR(X,Y,Z)…⑩が示された。

 次に

  R(Y,X,Z)=-R(X,Y,Z)

  により、⑩を用いて

  R(X,gY,Z)=-R(gY,X,Z)=-gR(Y,X,Z)=-g{ーR(X,Y,Z)}=gR(X,Y,Z)

 つまり R(X,gY,Z)=gR(X,Y,Z)が示された。

 最後に、

  R(X,Y,hZ)=hR(X,Y,Z)を示そう。まず、

  (▽_X)((▽_Y)(hZ))

  =(▽_X){(Yh)Z+h((▽_Y)(Z))} [∵ [注意3]の⑥]

  =(X(Yh))Z+(Yh)(▽_X)(Z)+(Xh)((▽_Y)(Z))+h(▽_X)((▽_Y)(Z))
                …(11) [再び [注意3]の⑥]
 同様にして、
  (▽_Y)((▽_X)(hZ))

  =(Y(Xh))Z+(Xh)(▽_Y)(Z)+(Yh)((▽_X)(Z))+h((▽_Y)((▽_X)(Z))
          
               …(12)
 また、
 (▽_[X,Y])(hZ)

 =([X,Y]h)Z+h((▽_[X,Y])(Z))  …(13) [∵ [注意3]の⑥]

 ゆえに(11)(12)(13)から、

 R(X,Y,hZ)
 
 =(X(Yh))Z+(Yh)((▽_X)(Z))+(Xh)((▽_Y)(Z))+h(▽_X)(((▽_Y)(Z))

 -{(Y(Xh))Z+(Xh)(▽_Y)(Z)+(Yh)((▽_X)(Z))+h((▽_Y)((▽_X)(Z))}

 -([X,Y]h)Z-h((▽_[X,Y])(Z))

 =(X(Yh))Z-(Y(Xh))Z-([X,Y]h)Z

 +(Xh)((▽_Y)(Z))+(Yh)((▽_X)(Z))   
       
 -(Xh)((▽_Y)(Z))-(Yh)((▽_X)(Z))

 +h{(▽_X)((▽_Y)(Z))-(▽_Y)((▽_X)(Z))-(▽_[X,Y])(Z)}

 ={X(Yh)ーY(Xh)-[X,Y]h}Z+hR(X,Y,Z)

 =hR(X,Y,Z)  [∵[X,Y]h=X(Yh)-Y(Xh)]

 即ち

    R(X,Y,hZ)=hR(X,Y,Z)…(14)。

  ゆえに[命題2]から、

    R(fX,gY,hZ)=(fgh)R(X,Y,Z)が成り立つ。以上です。
  [回答」終わり
 
 ◎ 曲率テンソルの「テンソル解析」との関係をみておこう。
 
  X=∂/∂x^i,Y=∂/∂x^j,Z=∂/∂x^k,∂/∂x^mに対して
 
  R(X,Y)Z=(▽_X)(▽_Y)(Z)-(▽_Y)(▽_X)(Z)-(▽_[X,Y])(Z)は局所表示では、

  R(∂/∂x^i,∂/∂x^j)(∂/∂x^k)=∑^(m)[Rijk^(m)](∂/∂x^m)

 と書かれる。 但し、mは上付きの文字、i,j,kは下付きの文字とする。

  Rijk^(m)は[線形接続]の曲率テンソルの成分である。

  Rijk^(m)をR^(m)kij とする流儀もあるので注意したい。したがって
 
 回答で述べた、R(Y,X,Z)=-R(X,Y,Z)は、Rjik^(m)=-Rijk^(m) …(b)

 と同値である。またBianchi(ビアンキ)の第1恒等式は、以下の捩率 T=0のとき
 
 R(X,Y)Z+R(Y,Z)X+R(Z,X)Y=0 ⇔ Rijk^(m)+Rjki^(m)+Rkij^(m)=0 …(♯1)

  となる。[野水克己 現代微分幾何入門 P80の[定理1] 参照]

☆ さらに、線形接続がMのRiemann(リーマン)計量gから決まるリーマン接続

  [即ち 捩率(れいりつ) T について、T(X,Y)=(▽_X)Y-(▽_Y)X-[X,Y] が  
  T=0 ⇔ [Γj^(i)k=Γk^(i)j] を満たし、 かつ (▽_X)g=0 for ∀X∈X(M)] 

  であるならば、(ここにΓはギリシャ文字の大文字ガンマです)

   g(R(X,Y)Z,W)+g(Z,R(X,Y)W)=0 かつ g(R(X,Y)Z,W)-g(R(Z,W)X,Y)=0…(♯2) 

  が成り立つそうだ。[村上信吾著 多様体第2版 P176演習問題4の2番] 

  (♯2)は私にはわからない。

 (♯1)の右側の式は、例えば「立花俊一 リーマン幾何学」PP77~79に載っている。

  但しリーマン接続のときである。

 


単行本「重心座標による幾何学」第2部・畔柳和生担当分の 校正ミスの訂正箇所:2019.11.02(土)

2019年11月02日 | 考察

 単行本「重心座標による幾何学」第2部・畔柳和生担当分の校正ミスの訂正箇所について

:2019.11.02(土)

今年の10月は台風・大雨の猛威が凄まじく大変でしたが、
皆さんのところは如何でしたか。私のところは幸いなことに無事でした。
被害に遭われたかたが一刻も早く日常生活が取り戻せるよう祈っております。

 さてこのブログも途中、中断がありましたが、お陰様で何とか10年ほど
続けることができました。それで、四面体やn次元単体については、
あと2回ほど書くことはありますが、一旦やめて他の数学的話題について、
書いてゆきます。

 その前に、一松信先生と共著の上記単行本の第2部-畔柳和生-担当分の
校正ミスや誤りなどを遅くなりましたが、記しておきたいと思います。
本を購入して下さったかたには、訂正が遅くなって申しわけありませんが、
宜しくお願いします。

   (誤)
   (正)

の順に記してゆきます。

 (1)  P169の下から4行目の所

   (誤) (→PT)=κ(→PA)+λ(→PB)+μ(→PC)+ν(→PD) ・・・(3)
  
  (正) (→PI)=κ(→PA)+λ(→PB)+μ(→PC)+ν(→PD) ・・・(3)

 Tを Iに直す。

 (2) P170の下から5行目の所

  (誤) 球面」とは四面体ABCDの対面の△BCD

    (正) 球面」とは四面体ABCDの頂点Aの対面△BCD

 (3)  P171の「証明」のところの5行目の所

   (誤) (→PT)=κ(→PA)+λ(→PB)+μ(→PC)+ν(→PD) ・・・(3)

  (正) (→PE_A)=κ(→PA)+λ(→PB)+μ(→PC)+ν(→PD) ・・・(3)
  
 (4)  P174の「命題11.1」「証明」のところの8行目

  (誤) DH_A⊥AB

    (正)  DH_A⊥BC

 (5)  P217の「命題12.25」の「証明」下から10~8・9行目

  (誤) 二面角の定義より、θ(D,A)=∠DLH_D である。

    この場合 sinθ(D,A)=sin∠DLH_D=DH_D/DL ・・・(1)

  (正)  二面角の定義より、θ(D,A)=180°-∠DLH_D (θ(D,A) が鈍角のとき)
 
     または θ(D,A)=∠DLH_D (θ(D,A)がそれ以外のとき)
     
     いずれの場合も sinθ(D,A)=sin∠DLH_D=DH_D/DL ・・・(1)

     (図 12.6、12.7 参照)

 (6) [命題12.31] P225の「証明」の上から11行目の所

  (誤) この右辺に今得られた(11)(12)を代入し

  (正) この右辺に今得られた(19)(20)を代入し

 
 (7) P242の[定理13.11]の「証明」の2行目の所

  (誤) (→PO_3)=(detJ_3-2yzw)(→PA)+・・・/(2detJ_3)

  (正) (→PO)=(detJ_3-2yzw)(→PA)+・・・/(2detJ_3)
 
  
 と後もう1箇所、「日本語の文章でひらがなが一文字抜けている所が」あったが、
 
 見つからない。また探しておきます。


 
 特に、上の「訂正」の(6)については、(正) のようにしないと、折角の
    「証明」が分からなくなっていたので、申し訳ありませんでした。
    ここにお詫び申しあげます。
   
 次回からは「グレゴリオ暦」について、書こうと思っています。


四面体ABCDの実例で内接球面Iと側面の接点I^Dの重心座標の公式の確認その2

2019年05月26日 | 考察

四面体ABCDの実例で内接球面Iと側面の接点I^Dの重心座標の公式の確認(その2) 2019.05.26(日)

ーーー接点I^Dの重心座標の公式の確認(その1)からの続きーーーー

(Ⅴ)
    それでは、いよいよ本題に入る。

 四面体ABCDを上の通りとする。このとき、内接球面Iと△ABCとの接点I^Dに対して、
(1) (→II^D)⊥△ABC かつ (2)  |(→II^D)|=r [ここにrは内接球面Iの半径]
  ・・・(5.1.0) となっていることを実際に計算して示そう。

 それには、内心Iの重心座標と、I^Dの重心座標を必要とする。
前に示したように、I(S_A/2F,S_B/2F,S_C/2F,S_D/2F)
だった。ここに 2F=S_A+S_B+S_C+S_D である。また I^Dは、
(S_A(1+cosθ(A,D))/2F,S_B(1+cosθ(B,D))/2F,S_C(1+cosθ(C,D))/2F,0)である。
 ・・・(#)

(1)
  よって、
(→II^D)=[S_A(1+cosθ(A,D))/2F-S_A/2F](→PA)+[S_B(1+cosθ(B,D))/2F-S_B/2F](→PB)
    +[S_C(1+cosθ(C,D))/2F-S_C/2F](→PC)+[0-S_D/2F](→PD)
即ち、(→II^D)=1/2F[(S_A)cosθ(A,D))(→PA)+(S_B)cosθ(B,D))(→PB)]
              +1/2F[(S_C)cosθ(C,D))(→PC)-(S_D)(→PD)]   ・・・(5.1.1)
(5.1.1)において、P ⇒ Aとして
    (→II^D)=(1/2F)[(S_B)cosθ(B,D))(→AB)]
              +(1/2F)[(S_C)cosθ(C,D))(→AC)-(S_D)(→AD)]   ・・・(5.1.2)
(5.1.2)で内積 ((→II^D),(→AB))及び((→II^D),(→AB)) を計算して0となることを
 示したい。そのため次の[補題]を準備する。
[補題5.1]
 |(→AB)|^2=c^2=3^2=9,((→AC),(→AB))=6,((→AD),(→AB))=19/2,
 |(→AC)|^2=b^2=(√7)^2=7,((→AD),(→AC))=15/2
(証明)
 (4.1)を使う。
 AB=c=3,AC=b=√7より第1,4式は明らか。また第2式は、
 ((→AC),(→AB))=[AC^2+AB^2-BC^2]/2=[(√7)^2+3^2-2^2]/2=[7+9-4]/2=6
 第3式は、((→AD),(→AB))=[AD^2+AB^2-BD^2]/2=[4^2+3^2-(√6)^2]/2
         =[16+9-6]/2=19/2 ,第5式は,((→AD),(→AC))=[AD^2+AC^2-CD^2]/2
         =[4^2+(√7)^2-(2√2)^2]/2=[16+7-8]/2=15/2 による。
(証明終わり)

 内積 ((→II^D),(→AB))の計算。(5.1.2)と[補題5.1]と(4.1),(4.2.1)(4.3.1)より
 ((→II^D),(→AB))=(1/8F)[4(S_B)cosθ(B,D))|(→AB)|^2]
           +(1/8F)[4(S_C)cosθ(C,D))((→AC),(→AB))-4(S_D)((→AD),(→AB))]
 =(1/8F)[√223×{43/(√223√27)}×9]+(1/8F)[√215×{21/(√215√27)}×6]
  -(1/8F)[2√27×19/2]
  =(1/8F)[(43×9)/√27+(21×6)/√27-√27×19] この右辺の
 [ ]=(1/√27)×[43×9+21×6-27×19]=(9/√27)×[43+7×2-3×19]
      =(9/√27)×[43+14-57]=0 
 即ち、((→II^D),(→AB))=0    ・・・(5.1.3)が示された。

次に、
 内積 ((→II^D),(→AC))の計算。(5.1.2)と[補題5.1]と(4.1),(4.2.1)(4.3.1)より
 ((→II^D),(→AC))=(1/8F)[4(S_B)cosθ(B,D))((→AB),(→AC))]
           +(1/8F)[4(S_C)cosθ(C,D))|(→AC)|^2-4(S_D)((→AD),(→AC))]
 =(1/8F)[√223×{43/(√223√27)}×6]+(1/8F)[√215×{21/(√215√27)}×7]
  -(1/8F)[2√27×15/2]  
  =(1/8F)[(43×6)/√27+(21×7)/√27-√27×15] この右辺の
 [ ]=(1/√27)×[43×6+21×7-27×15]=(3/√27)×[43×2+7×7-9×15]
      =(3/√27)×[86+49-135]=(3/√27)×[135-135]=0 
 即ち、((→II^D),(→AC))=0    ・・・(5.1.4)が示された。
 
 (5.1.3)(5.1.4)と(→II^D)≠(→0) により、(5.1.0)の(1)の(→II^D)⊥△ABCが
 計算で証明された。

(2)
そこで、(5.1.0)の(2)の|(→II^D)|=r [ここにrは内接球面Iの半径]を示すため、
 |(→II^D)|^2=r^2=[3V/2F]^2=(6V/4F)^2=[√(detJ(3))/4F]^2=[detJ(3)/16F^2]を
 示したい。(5.1.2)より、
 (→II^D)=1/2F[(S_B)cosθ(B,D))(→AB)+(S_C)cosθ(C,D))(→AC)-(S_D)(→AD)]

よって、
16(2F)^2|(→II^D)|^2
=[{(4S_B)cosθ(B,D)}^2|(→AB)|^2+{(4S_C)cosθ(C,D)}^2|(→AC)|^2+(4S_D)^2|(→AD)|^2]
+2(4S_B)(4S_C)cosθ(B,D)cosθ(C,D))((→AB),(→AC))
-2(4S_B)(4S_D)cosθ(B,D)((→AB),(→AD))-2(4S_C)(4S_D)cosθ(C,D)((→AC),(→AD))
  ・・・(5.2.1)となる。
ここで、(Ⅳ)[と(4.1)などと二面角の余弦など]の結果より、
(4S_B)cosθ(B,D)=√223×43/[√223√27]=43/√27 ・・・(5.2.2)
(4S_C)cosθ(C,D)=√215×21/[√215√27]=21/√27 ・・・(5.2.3)
(4S_B)(4S_C)cosθ(B,D)cosθ(C,D))=√223√215×43/[√223√27]×21/[√215√27]
=(43×21)/27  ・・・(5.2.4)
(4S_B)(4S_D)cosθ(B,D)=√223(2√27)×43/[√223√27]=2×43 ・・・(5.2.5)
(4S_C)(4S_D)cosθ(C,D)=√215(2√27)×21/[√215√27]=2×21 ・・・(5.2.6)
これと[補題5.1]から、(5.2.1)は
16(2F)^2|(→II^D)|^2
=[43/√27]^2×9+[21/√27]^2×7+(2√27)^2×16+2×(43×21)/27×6
-2×2×43×(19/2)-2×(2×21)×(15/2)
=(43^2)/3+(7^2×7)/3+4×27×16+2×(43×7×2)/3
-2×43×19-2×21×15
=1/3[43^2+7^3+2^2×43×7]+2×[27×2×16-43×19-21×15]
=1132+2×(-268)
=4×283-4×134
=4×149
となる。
即ち 16×(4F^2)×|(→II^D)|^2=4×149 ⇔ 16(F^2)×|(→II^D)|^2=149
 ⇔ |(→II^D)|^2=149/(4F)^2 ⇔ |(→II^D)|=√149/(4F)=√[detJ(3)]/(4F)[∵(4.1)]
 ⇔ |(→II^D)|=(6V)/2[S_A+S_B+S_C+S_D]=(3V)/[S_A+S_B+S_C+S_D]=r
 ここにrは内接球面Iの半径である。
 よって |(→II^D)|=r が示された。これは(5.1.0)の(2)の示したかったことであった。
 ☆☆☆
以上計算が大変であったが、内接球面Iと△ABCとの接点I^Dの重心座標に間違いが
ないことが具体例で示された。なお、
 I^Dの真の重心座標は、
([2√23√27-10]/[{2√23+√223+√215+2√27}√27],
 [√223√27+43]/[{2√23+√223+√215+2√27}√27] ,
 [√215√27+21]/[{2√23+√223+√215+2√27}√27] , 0 )
  となる。興味のある方は計算してみて下さい。[(Ⅴ)の(1)の前の(#)の式]
 その際  (5.2.2)(5.2.3) などを使用するとよいだろう。


四面体ABCDの実例で内接球面Iと側面の接点I^Dの重心座標の公式の確認(その1)

2019年05月26日 | 考察

四面体ABCDの実例で内接球面Iと側面の接点I^Dの重心座標の公式の確認(その1) 2019.05.26(日)


以前、2016.04.25(月)に、blog「物言はぬは腹ふくるる業」で、以下の話題
を扱った。

「四面体の6辺の長さで、二面角の大きさの余弦を表す公式 2016.04.25(月)」

『一般的な四面体の例を挙げ、「重心座標による幾何学」PP225~226の公式を
用いて具体的に、二面角の大きさθ(A,D)を求めよう。なお二面角は内部から測る。
(Ⅰ) 四面体ABCDの6辺を以前のように、BC=a,CA=b,AB=c,AD=d,BD=e,CD=f・・・(1.1)と
おく。[図1参照] また、
△BCD,△ACD,△ABD,△ABCの面積をそれぞれS_A,S_B,S_C,S_D で表す。・・・(1.2)
また便宜上、△BCD,△ACD,△ABD,△ABCそのものも、それぞれS_A,S_B,S_C,S_D で表す。
頂点Aの対面△BCDが S_Aという具合である。二面S_AとS_Dのなす二面角の大きさを
内部から測り、θ(A,D)で表すことにする。内部から測っているから、
0°<θ(A,D)<180°である。もちろん、θ(A,D)=θ(D,A)。そして

四面体ABCDの実例として、
四面体ABCDの6辺を、BC=a=2,CA=b=√7,AB=c=3,AD=d=4,BD=e=√6,CD=f=2√2 ・・・(1.1)
とおく。[図2参照] 』

---という具合だった。

(Ⅱ)このとき、
計算したように、
detJ(3)=149 >0・・・(2.1)。
 4S_A=2√23⇔ 2S_A=√23,4S_D=2√27⇔ 2S_D=√27,
 4S_C=√5√43=√215 ,    4S_B=√223            ・・・(2.2)
 また、
 cosθ(A,D)=-5/[√23√27]=-0.200643088 位 
 sinθ(A,D)=2√149/[√23√27]  (以前のblog「四面体の正弦定理と応用」より)
 θ(A,D)  =101.5745676°位 (鈍角!)            ・・・(2.3)
また、
 cosθ(B,C)=198/[2√223√215]=99/[√223√215]
 (blog「物言はぬは腹ふくるる業」による)                
 sinθ(B,C)=16√149/[√223√215] 
 θ(B,C)  =56.64751355°位 (これらは後の(Ⅲ)の(ア)でも求める)・・・(2.4)である。               

次に
(Ⅲ)
 cosθ(B,D)を求めよう。「本」のP226の「ややこしい公式(5)」より、
 16(S_B)(S_D)cosθ(B,D)
 =b^2(f^2+d^2-b^2)+a^2(d^2+b^2-f^2)+c^2(b^2+f^2-d^2)-2b^2e^2 ・・・(3.1)
 =f^2(b^2+c^2-a^2)+b^2(c^2+a^2-b^2)+d^2(a^2+b^2-c^2)-2b^2e^2 ・・・(3.2)
(3.1)の右辺は、(1.1)より
 =b^2(f^2+d^2-b^2)+a^2(d^2+b^2-f^2)+c^2(b^2+f^2-d^2)-2b^2e^2
 =(√7)^2[(2√2)^2+4^2-(√7)^2]+2^2[4^2+(√7)^2-(2√2)^2]+3^2[(√7)^2+(2√2)^2-4^2]
 -2×(√7)^2×(√6)^2
 =7×(8+16-7)+4×(16+7-8)+9×(7+8-16)-2×7×6
 =7×17+4×15+9×(-1)-7×12=119+60-9-84
 =86
よって(2.2)を代入して、
  cosθ(B,D)=86/[4(S_B)4(S_D)]=86/[√223×2√27]=43/[√223√27] ・・・(3.3)となる。
 ついでに sinθ(B,D)を求めよう。「本」のP217の[命題12.25]と同様にして、
 sinθ(B,D)=AC√[detJ(3)]/[4(S_B)(S_D)]であるから、
 (2.1)(2.2)から、
  sinθ(B,D)=AC√[detJ(3)]/[4(S_B)(S_D)]=(√7×√149×2)/[4(S_B)2(S_D)]
      =(2√7√149)/[√223×√27] ・・・(3.4)
 これらより、θ(B,D)=56.34721356° 位

さて、cosθ(A,D),cosθ(B,D)が求まったので、四面体の第1余弦定理
 S_D=(S_A)cosθ(A,D)+(S_B)cosθ(B,D)+(S_C)cosθ(C,D) ・・・(3.5)から、cosθ(C,D)を
 求めることが できる。(2.2)及び(2.3)と(3.3)を、(3.5)を4倍したものに代入すれば、
 2√(27)=2√23×{-5/[√23√27]}+√223×{43/[√223√27]}
        +√215×cosθ(C,D)
 √215×cosθ(C,D)=2√27-2×{-5/[√27]}-{43/√27}
         =2√27-33/[√27]
この両辺を√27倍して、√27√215×cosθ(C,D)=2×27-33
 ⇔  cosθ(C,D)=21/[√27√215] ・・・(3.6) となる。こうして、
 二面角 、θ(A,D),θ(B,D),θ(C,D)の余弦が求まった。[ Dがみな付いている事に注意]

☆  すると3つの四面体の第3余弦定理から、
 cosθ(B,C),cosθ(A,C),cosθ(A,B)が求まるのである。こうして
 6つの二面角の余弦 cosθ(A,D),cosθ(B,D),cosθ(C,D),cosθ(B,C),cosθ(A,C),cosθ(A,B)
  が全て求まる。これを実行しよう。
(ア) まず第3余弦定理  (S_A)^2+(S_D)^2-2(S_A)(S_D)cosθ(A,D)
            =(S_B)^2+(S_C)^2-2(S_B)(S_C)cosθ(B,C)
  により、cosθ(A,D)からcosθ(B,C)を求める。

    上の式を16倍すると、
             (4S_A)^2+(4S_D)^2-2(4S_A)(4S_D)cosθ(A,D)
            =(4S_B)^2+(4S_C)^2-2(4S_B)(4S_C)cosθ(B,C)  
  これに、(2.2)(2.3)を代入して
   (2√23)^2+(2√27)^2-2(2√23)(2√27){-5/[√(23)√(27)]}
 =(√223)^2+(√215)^2-2(√223)(√215)cosθ(B,C)
 ⇔ 2(√223)(√215)cosθ(B,C)=223+215-(4×23+4×27+8×5)
                =223+215-(92+108+40)
                             =223+215-200-40=23+175
               =198
 よって cosθ(B,C)=99/[√223√215] ・・・(3.7)
 
(イ)  
      次に第3余弦定理  (S_B)^2+(S_D)^2-2(S_B)(S_D)cosθ(B,D)
            =(S_A)^2+(S_C)^2-2(S_A)(S_C)cosθ(A,C)
  により、cosθ(B,D)からcosθ(A,C)を求める。これは16倍した
             (4S_B)^2+(4S_D)^2-2(4S_B)(4S_D)cosθ(B,D)
            =(4S_A)^2+(4S_C)^2-2(4S_A)(4S_C)cosθ(A,C) と同値。
   これに、(2.2)(3.3)を代入して
   (√223)^2+(2√27)^2-2(√223)(2√27)×{43/[√223√27]}
 =(2√23)^2+(√215)^2-2(2√23)(√215)cosθ(A,C)
 ⇔ 2(2√23)(√215)cosθ(A,C)=4×23+215-(223+4×27-4×43)
               =92+215-(223+108-172)
                              =92+215-223-108+172
               =(92-108)+(215-223)+172
               =-16-8+172
               =-24+172=148
  よって cosθ(A,C)=37/[√23√215]  ・・・(3.8)
 (ウ)
 最後に 第3余弦定理  (S_C)^2+(S_D)^2-2(S_C)(S_D)cosθ(C,D)
          =(S_A)^2+(S_B)^2-2(S_A)(S_B)cosθ(A,B)
  により cosθ(C,D)からcosθ(A,B)を求める。これは16倍した
             (4S_C)^2+(4S_D)^2-2(4S_C)(4S_D)cosθ(C,D)
            =(4S_A)^2+(4S_B)^2-2(4S_A)(4S_B)cosθ(A,B) と同値。      
   これに、(2.2)(3.6)を代入して
   (√215)^2+(2√27)^2-2(√215)(2√27)×{21/[√215√27]}
 =(2√23)^2+(√223)^2-2(2√23)(√223)cosθ(A,B)    
 ⇔ 2(2√23)(√223)cosθ(A,B)=(4×23+223)-(215+4×27-4×21)
               =92+223-(215+108-84)
               =223-215-108+84+92
               =8-108+176=76
  よって cosθ(A,B)=19/[√23√223] ・・・(3.8)
以上(ア)(イ)(ウ)により、四面体ABCDの6つの二面角の余弦が全て求まった。
 二面角は全て、0°より大きく180°より小さいので、二面角の余弦から、全て
 求まるわけである。以上を含めて、二面角の正弦も全て求めて一覧にしてまとめておく。

(Ⅳ)
  BC=a=2,CA=b=√7,AB=c=3,AD=d=4,BD=e=√6,CD=f=2√2 のとき、四面体ABCDが
 できる。
 detJ(3)=149, 4S_A=2√23,4S_B=√223,4S_C=√215,4S_D=2√27
 そして四面体ABCDの体積をVとするとき、6V=√detJ(3)=√149  ・・・(4.1)となる。
 
 (1) cosθ(A,D)=-5/[√23√27]=-0.200643088 位 ・・・(4.1.1)
     sinθ(A,D)=2√149/[√23√27]           ・・・(4.1.2)
     θ(A,D)  =101.5745676°位 (鈍角!)       ・・・(4.1.3)

 (2) cosθ(B,D)=43/[√223√27]               ・・・(4.2.1)      
   sinθ(B,D)=2√7√149/[√223×√27]     ・・・(4.2.2)
   θ(B,D)  =56.34721355°位               ・・・(4.2.3)

 (3) cosθ(C,D)=21/[√27√215]    =          ・・・(4.3.1)
   sinθ(C,D)=6√149/[√27√215]            ・・・(4.3.2)
     θ(C,D)   =74.00075251° 位             ・・・(4.3.3)

 (4) cosθ(B,C)=99/[√223√215]               ・・・(4.4.1)
     sinθ(B,C)=16√149/[√223√215]          ・・・(4.4.2)
     θ(B,C)   =63.11956117° 位             ・・・(4.4.3)

 (5) cosθ(A,C)=37/[√23√215]                ・・・(4.5.1)
   sinθ(A,C)=2√6√149/[√23√215]         ・・・(4.5.2)
     θ(A,C)   =58.25357225° 位             ・・・(4.5.3)
 
 (6) cosθ(A,B)=19/[√23√223]                ・・・(4.6.1)
   sinθ(A,B)=4√2√149/[√23√223]         ・・・(4.6.2)
     θ(A,B)   =74.61522034° 位             ・・・(4.6.3)
 
 ☆☆
 ここで 求め方の注意。

 まず、二面角 θ(A,D),θ(B,D),θ(C,D),θ(B,C),θ(A,C),θ(A,B)の中で、
 二面角の2つの添え字の内、1つずつ共通な文字の「余弦」を「本」P225からP226
 の「ややこしい」公式で、2つ求める。[先ほどの例では,θ(A,D)とθ(B,D)のDが共通]
 そのあとは覚えやすい四面体の第1余弦定理で、共通な文字を添え字にもつ
 残りの二面角の余弦をまず求める。[先ほどの例では、θ(C,D)の余弦を求める。]
 次に、四面体の第3余弦定理を3回使用して、2つの添え字に共通な文字がない
 二面角の余弦を3つ求めると良い。[先ほどの例ではcosθ(A,D)→cosθ(B,C)。
  cosθ(B,D)→cosθ(A,C)。cosθ(C,D)→cosθ(A,B)。のように求めるということ。]
 二面角の正弦については、detJ(3)、言い換えれば四面体ABCDの体積Vが求まって
 いれば、「本」の「四面体ABCDの二面角の正弦の公式」P217の[命題12.25]の
 sinθ(A,D)=BC√detJ(3)/[4(S_A)(S_D)] などで、求めるのが簡単である。
 [なお、四面体の第2余弦定理を使って、θ(A,D),θ(D,B)から、θ(B,A)を求めても
 よいが、計算が大変である。ただし、この場合の第2余弦定理とは、
 (S_C)^2=(S_A)^2+(S_D)^2+(S_B)^2
 -2(S_A)(S_D)cosθ(A,D)-2(S_D)(S_B)cosθ(D,B)-2(S_B)(S_A)cosθ(B,A)
 をさす。添え字A,D,Bが巡回的]
☆☆
 求め方の注意終わり。

ーーーーーーーーーー四面体ABCDの実例で内接球面Iと側面の接点I^Dの重心座標の公式の確認 (その2)へ続くーーーーー


四面体の正弦定理と応用,特に四面体の「6つの二面角がすべて等しい四面体は、正四面体になる」

2018年12月18日 | 考察

四面体ABCDの正弦定理と応用,特に、四面体の「6つの二面角がすべて等しい四面体は、正四面体になる」_2018.12.18(火)

1.
まず、△ABCの正弦定理を振り返ってみよう。△ABCの正弦定理は、角A,B,Cと辺a=BC,b=CA,c=AB
と外接円の半径 R_2に対し、
 a/sinA=b/sinB=c/sinC=2(R_2) ・・・(1.1.1) と表現される。ここで大事なことは、
 a:b:c=sinA:sinB:sinC ・・・(1.1.2)であり、その一定の連比が2(R_2)ということであるが、
ここでは三角関数に注目して、sinA:sinB:sinC=a:b:c ・・・(1.1.3) その連比が、
 1/[2(R_2)]・・・(1.1.4)と考えることにする。さて(1.1.3)の証明であるが、普通は△ABC
の外接円を描き、円周角の定理を用いておこなう。しかしここでは、面積の公式
S=(1/2)bcsinAを使って証明してみるのである。これから sinA=(2S)/(bc) つまり
 sinA=a(2S)/(abc)・・・(1.1.5) 同様に S=(1/2)casinB=(1/2)absinC から、
 sinB=b(2S)/(abc)・・・(1.1.6), sinC=c(2S)/(abc)・・・(1.1.7)
 ゆえに  sinA/a=sinB/b=sinC/c=(2S)/(abc)・・・(1.1.8)
 よって sinA:sinB:sinC=a(2S)/(abc):b(2S)/(abc):c(2S)/(abc)=a:b:c・・・(1.1.3) 
 が導かれた。次に一定の連比については、(1.1.8)から、(2S)/(abc)であることが分かるが、
 ここで、よく知られた、
 R_2=(abc)/[4S_2] ・・・(1.1.9) となることから、一定の連比 (2S)/(abc)は
 (2S)/(abc)=1/[2(R_2)]・・・(1.1.4)であることが分かる。これで(1.1.1)が示された。

[(1.1.9)はよく知られたことであるが、(1.1.9)の証明の為に正弦定理(1.1.1)を
使うと循環論法になる」そこで、(1.1.9)を正弦定理(1.1.1)を用いずに証明してみる。

2.
(1.1.9)の「証明」

 本「重心座標による幾何学」の「n次元単体の外心(但しn≧2)」についてのP128~129の
 [定理8.8]における、(R_n)^2=-[detΘ_n]/[2detΞ_n]を見てみる。ここにおいて、n=2
 として (R_2)^2=-[detΘ_2]/[2detΞ_2]・・・(2.1.1)となる。本のP131とP132のように、

 Θ_2=
( d00^2  d01^2  d02^2 )
( d10^2  d11^2  d12^2 )
( d20^2  d21^2  d22^2 )
=
(    0            A0A1^2    A0A2^2 )
( A1A0^2       0            A1A2^2 )
( A2A0^2     A2A1^2              0    )
=
(   0       AB^2        AC^2   )
( BA^2        0         BC^2   )
( CA^2      CB^2          0    )
=
(   0      c^2        b^2   )
(  c^2       0            a^2   )
(  b^2      a^2          0     )
即ち、
 Θ_2=
(    0      c^2        b^2   )
(  c^2       0            a^2    )
(  b^2      a^2            0     ) ・・・(2.1.2)
ゆえに detΘ_2=a^2b^2c^2+a^2b^2c^2=2a^2b^2c^2 ・・・(2.1.3)
また、
 Ξ_2=
(   0       c^2      b^2       1   )
(  c^2       0           a^2       1   )
(  b^2      a^2           0        1   )
(   1             1            1        0   ) ・・・(2.1.4)
detΞ_2を計算するにはまともにやらずに、本の分解定理[命題8.6](P126)を使う。
つまり、
detΞ_2=-detΘ_2^0-detΘ_2^1-detΘ_2^2 ・・・(2.1.5)として、

detΘ_2^0=
|  1      c^2     b^2  |
|   1       0           a^2  |
|   1      a^2           0   |    
=a^2(b^2+c^2-a^2) ・・・(2.1.6)

detΘ_2^1=
|   0        1       b^2   |
|  c^2       1         a^2   |
|  b^2       1            0    |
=b^2(c^2+a^2-b^2) ・・・(2.1.7)

detΘ_2^2=
|    0      c^2      1    |
|  c^2        0          1    |
|  b^2      a^2       1    |
=c^2(a^2+ b^2-c^2) ・・・(2.1.8)

(2.1.6)~(2.1.8)を(2.1.5)に代入して、
 detΞ_2=-a^2(b^2+c^2-a^2)-b^2(c^2+a^2-b^2)-c^2(a^2+ b^2-c^2)
        =a^4+b^4+c^4-2(b^2)(c^2)-2(c^2)(a^2)-2(a^2)(b^2)
        =-[-a^4-b^4-c^4+2(b^2)(c^2)+2(c^2)(a^2)+2(a^2)(b^2)]
        =-(a+b+c)(b+c-a)(c+a-b)(a+b-c) ・・・(2.1.9)
 (2.1.3)と(2.1.9)を(2.1.1)に代入して、
  (R_2)^2=-[detΘ_2]/[2detΞ_2]
     =-[2a^2b^2c^2]/[-2(a+b+c)(b+c-a)(c+a-b)(a+b-c)]
     =[a^2b^2c^2]/[(a+b+c)(b+c-a)(c+a-b)(a+b-c)]
     =[a^2b^2c^2]/[16(S_2)^2] (∵ ヘロンの公式)
 ⇔ R_2=[abc]/[4(S_2)}

これで (1.1.9)が証明された。なおヘロンの公式はS=(1/2)bcsinAを平方し、
第二余弦定理 cosA=[b^2+c^2-a^2]/[2bc]を使うが、第二余弦定理は
三平方の定理から図形的に導かれるので、以上の議論は外接円には関係なく
循環論法ではない。しかし、これでは正弦定理を導く為に余弦定理も用いたことに
なってしまう。これを避けるには、detΞ_n=-(-2)^n×detJ_n ・・・(2.1.10)
[本のP123の(1)式]とdetJ_n=(n!V_n)^2[本のP122の(2)式]を使い、
n=2とすれば、detΞ_2=-(-2)^2×detJ_2=-4×4(V_2)^2=-16(S_2)^2
 [∵ V_2=S_2]を使えばよい。 何れにしろ大分面倒だった。
((1.1.9)の「証明」終わり)

3.四面体ABCDの正弦定理について

△ABCの正弦定理では、面積公式 S_2=(1/2)bcsinAを基本にし、
 sinA/a=(2S_2)/(abc)・・・(1.1.8)  において、 R_2=[abc]/[4(S_2)]
 即ち、(2S_2)=(abc)/[2R_2]・・・(1.1.10) を更に用いて、(1.1.8)の右辺のabcが
 相殺されて、
一定の連比が、R_2「だけ」の式になったが,これはたまたまのことである。
(図形的な証明ではexplicitに関係してくるが)

これから述べる「四面体ABCDの正弦定理」と私がよぶものにおいては、
一定の連比がR_3だけの式にはならない。まず、「本」「重心座標による幾何学」
 のP217の[命題12.25]の式
 sinθ(A,D)=BC√[detJ(3)]/[4(S_A)(S_D)] ・・・(3.1.1)を変形して
 [ここにBCは辺BCの長さ]
 
 sinθ(A,D)/[(BC)/{(S_A)(S_D)}] =√[detJ(3)]/4 となる。detJ(3)=(3!V_3)^2より、
 √[detJ(3)]=6V_3 
 ゆえに  sinθ(A,D)/[(BC)/{(S_A)(S_D)}] =√[detJ(3)]/4=6(V_3)/4・・・(3.1.2) 
 となる。
 これらより、
 sinθ(A,B):sinθ(A,C):sinθ(A,D):sinθ(B,C):sinθ(B,D):sinθ(C,D)
 =[(CD)/{(S_A)(S_B)}]:[(BD)/{(S_A)(S_C)}]:[(BC)/{(S_A)(S_D)}]
 :[(AD)/{(S_B)(S_C)}]:[(AC)/{(S_B)(S_D)}]:[(AB)/{(S_C)(S_D)}] ・・・(3.1.3)
 となる。V_3を単にVで表し、[定理3.1]として述べると、

[定理3.1] 「四面体ABCDの正弦定理]

sinθ(A,B):sinθ(A,C):sinθ(A,D):sinθ(B,C):sinθ(B,D):sinθ(C,D)

 =[(CD)/{(S_A)(S_B)}]:[(BD)/{(S_A)(S_C)}]:[(BC)/{(S_A)(S_D)}]

 :[(AD)/{(S_B)(S_C)}]:[(AC)/{(S_B)(S_D)}]:[(AB)/{(S_C)(S_D)}] ・・・(3.1.3)
 となる。その一定の連比=√[detJ(3)]/4=6V/4 ・・・(3.1.4)
 また、この一定の連比=√[-detΘ(3)]/[16R_3]・・・(3.1.5)とも書ける。

 ここにR_3は四面体ABCDの外接球面の半径、detΘ(3)は本のP125の[定義8.5]
 (3)のものである。 [detΘ(3)<0 であり、detΘ(2)>0 (∵(2.1.3)) である。] 
「証明」
 (3.1.4)は(3.1.2)よりいえる。
 (3.1.5)は「本」のP135の (R_3)^2=-[detΘ(3)]/[2detΞ(3)] と
  detΞ(3)=-[(-2)^3]detJ(3)=8detJ(3) より
    (R_3)^2=-[detΘ(3)]/[16detJ(3)] ・・・(3.1.6) detΘ(3)<0により、
 ⇔ (R_3)^2=[-detΘ(3)]/[16detJ(3)]⇔ R_3=√[-detΘ(3)]/[4√detJ(3)]
 ⇔ √detJ(3)= √[-detΘ(3)]/[4R_3] ⇔√[detJ(3)]/4=√[-detΘ(3)]/[16R_3]
 と(3.1.4)による。
(「証明」終わり)                            

[定理3.1]の系1
 θ(A,B),θ(A,C),θ(A,D)などのように共通の添え字[ここではA]を1つずつもつ
  3つの二面角については、

 sinθ(A,B):sinθ(A,C):sinθ(A,D)=[(CD)/(S_B)]:[(BD)/(S_C)]:[(BC)/(S_D)]・・・(3.1.7)
 などが成り立つ。

[定理3.1]の系2:[等面四面体ABCDの正弦定理]
 
  sinθ(A,B):sinθ(A,C):sinθ(A,D):sinθ(B,C):sinθ(B,D):sinθ(C,D)

 =CD:BD:BC:AD:AC:AB ・・・(3.1.8)
「証明」
 四面体ABCDが等面四面体 ⇔ S_A=S_B=S_C=S_D 「バンの定理] であるから、[定理3.1]の
 の(3.1.3)の右辺の比の分母を払った式を考えればよい。
(「証明」終わり)

なお (3.1.1)自体は detJ(3)=(3!V)^2 ⇔ √[detJ(3)]=6V により、
sinθ(A,D)=BC√[detJ(3)]/[4(S_A)(S_D)]⇔sinθ(A,D)=(BC)6V/[4(S_A)(S_D)]
⇔ sinθ(A,D)=(BC)3V/[2(S_A)(S_D)] ・・・(3.1.9)
⇔ V=(1/3)[2(S_A)(S_D)]sinθ(A,D)/BC・・・(3.1.10) と同値。これは四面体ABCDの

体積を求めようとして自然に出てくる。BCはS_AとS_Dとの共通辺である。

 ☆
  また(3.1.1)にて、sinθ(A,D)を求めたいとき、BCの長さだけでなく S_A,S_Dと
 体積Vも必要ということである。

 この実例については、2016.04の兄弟 blog「物言はぬは腹ふくるる業」
 に挙げた実例:
 BC=a=2,CA=b=√7,AB=c=3,AD=d=4, BD=e=√6,CD=f=2√2とすると、
 4S_A=2√23,4S_D=2√27,detJ(3)=149 なので、
 sinθ(A,D)=BC√[detJ(3)]/[4(S_A)(S_D)]=4BC√[detJ(3)]/[(4S_A)(4S_D)]
           =[4×2√149]/[(2√23)(2√27)]=2√149/[√23√27] つまり、

  sinθ(A,D)=2√149/[√23√27]・・・(3.1.11)となる。
 一方、そこのblogの結果より、
 cosθ(A,D)=-5/[√23√27]・・・(3.1.12)だったので、

  sin^2θ(A,D)+cos^2θ(A,D)を計算してみると、

  sin^2θ(A,D)+cos^2θ(A,D)=[(2√149)^2+(-5)^2]/[23×27]
     =[596+25]/[23×27]=621/[23×27]=[23×27]/[23×27]
     =1 であって、
 目出度く  「sin^2θ(A,D)+cos^2θ(A,D)=1」 
 となって計算に間違いはない。

 しかし、 sinθ(A,D)が判ったといって、
 θ(A,D)=sin^(-1)(2√149/[√23√27])=(78.42543239)°とすると、間違いである。
 それは、(3.1.12)にあるように、cosθ(A,D)<0 よりθ(A,D)は鈍角で、blogに
 あったようにθ(A,D)=(101.5745676)°が正しい値。
 θ(A,D)=180-sin^(-1)(2√149/[√23√27])=180°-(78.42543239)°
 =(101.5745676)°としなければならない。[関数電卓のsin^(-1)(x)の定義域は、
 -1≦x≦1、値域は -90°≦y≦90°]
 図を正確に描いて二面角θ(A,D)が 鋭角か、鈍角かが 判れば、
 sinθ(A,D)の方が、detJ(3)の計算が要るが、 計算は楽である。
 しかし、一般には公式が複雑ではあるが、detJ(3)の計算
 [即ち体積の計算]が要らないcosθ(A,D)の方がきちんと求まる。
 ・・・という状況である。

4.

最後に、[等面四面体ABCDの正弦定理]の応用として、既に以前のblogで
与えた「二面角が全て等しい四面体は正四面体に限る」ことを、
証明してみよう。

[定理4.1.1] 「二面角が全て等しい四面体は正四面体に限る」

 四面体ABCDにおいて、その二面角
 θ(A,B)=θ(A,C)=θ(A,D)=θ(B,C)=θ(B,D)=θ(C,D)
 ⇒ この四面体は正四面体
「証明」
 四面体の第一余弦定理をまず使用する。
 S_D=(S_A)cosθ(A,D)+(S_B)cosθ(B,D)+(S_C)cosθ(C,D)・・・(4.1.2)
 において、θ(A,D)=θ(B,D)=θ(C,D)だから、(4.1.2)に代入して、
 S_D=[(S_A)+(S_B)+(S_C)]cosθ(C,D) ・・・(4.1.3)となる。
 (S_A)+(S_B)+(S_C)=2F-S_D>0 より cosθ(C,D) =S_D/[2F-S_D]・・・(4.1.4)
 同様に
 S_A=(S_B)cosθ(B,A)+(S_C)cosθ(C,A)+(S_D)cosθ(D,A)・・・(4.1.5)
 よって cosθ(D,A) =S_A/[2F-S_A]・・・(4.1.6)
 同様に
 S_B=(S_A)cosθ(A,B)+(S_C)cosθ(C,B)+(S_D)cosθ(D,B)・・・(4.1.7)
 よって cosθ(D,B) =S_B/[2F-S_B]・・・(4.1.8)
 同様に
 S_C=(S_A)cosθ(A,C)+(S_B)cosθ(B,C)+(S_D)cosθ(D,C)・・・(4.1.9)
 よって cosθ(D,C) =S_C/[2F-S_C]・・・(4.1.10)
 (4.1.4),(4.1.6),(4.1.8),(4.1.10)と、θ(C,D)=θ(D,A)=θ(D,B)=θ(D,C)
 により、
 S_D/[2F-S_D]=S_A/[2F-S_A]=S_B/[2F-S_B]=S_C/[2F-S_C] ・・・(4.1.11)
 となる。ここで、
 写像 g:(0,2F) → (0,∞) ,g(t)=t/[2F-t] は単射だから、(4.1.11)から
 S_A=S_B=S_C=S_D となり、この四面体ABCDは等積四面体、つまり等面四面体
 となる。そこで、θ(A,B)=θ(A,C)=θ(A,D)=θ(B,C)=θ(B,D)=θ(C,D)と
 (3.1.8)の[等面四面体ABCDの正弦定理]を用いて、
   CD=BD=BC=AD=AC=AB ・・・(4.1.12)が示され四面体ABCDの6辺が
 全て等しくなり、この四面体ABCDは正四面体であることが分かった。
(「証明」終わり)


五心の中で傍心を除いた四心の内、二心が一致⇒正三角形の証明

2018年07月15日 | 考察

五心の中で、傍心を除いた四心の内、二心が一致⇒正三角形の証明_2018.07.15(日)

三角形ABCで、五心の中で、傍心を除いた四心の内、二心が一致⇒正三角形を「重心座標の
内積表示を用いて」証明する。この「証明」は2017_08_17(木)に完成した。簡単だった。
このブログをあまり読んでおられない方のために少し復習をしておく。

0.1

△ABCで、3辺の長さを,BC=a,CA=b,AB=cとし、面積をSとおく。
 (→AB,→AC)=x,(→BA,→BC)=y,(→CA,→CB)=z・・・(0.1.1)
 とおくと、次のことが成り立つ。
 y+z=a^2=BC^2・・・(0.1.2),z+x=b^2=CA^2・・・(0.1.3),x+y=c^2=AB^2・・・(0.1.4) 
 また、 4S^2=yz+zx+xy>0・・・(0.1.5)
「証明」
 (0.1.2)は次のように示される。(0.1.1)から、y+z=(→BA,→BC)+(→CA,→CB)
 =(→BA,→BC)-(→CA,→BC)=(→BA,→BC)+(→AC,→BC)=(→BA+→AC,→BC)
 =(→BC,→BC)=BC^2=a^2 。(0.1.3),(0.1.4)も同様である。最後に(0.1.5)を
 示す。S=(1/2)bcsinA=(1/2)(AC)(AB)sin A⇔2S=(AB)(AC)sinA
 ⇔ 4S^2=(AB)^2(AC)^2(sin^2A)=(AB)^2(AC)^2(1-cos^2A)
          =(AB)^2(AC)^2-(AB)^2(AC)^2(cos^2A)=(AB)^2(AC)^2-[(AB)(AC)(cosA)]^2
          =(AB)^2(AC)^2-[(→AB,→AC)]^2 (∵→ABと→ACのなす角はA )
          =(x+y)(z+x) -x^2=xz+x^2+yz+xy-x^2=yz+zx+xy>0 [∵(0.1.4),(0.1.3),(0.1.1)]
 即ち、4S^2=yz+zx+xy>0 
 (「証明」終わり)
0.2

以前のblog で示したように、
(ア)垂心Hの真の重心座標は  (yz/[yz+zx+xy],zx/[yz+zx+xy],xy/[yz+zx+xy])・・・(0.2.1)

 (イ)外心Oの真の重心座標は (x(y+z)/2[yz+zx+xy],y(z+x)/2[yz+zx+xy],z(x+y)/2[yz+zx+xy])
                                                  ・・・(0.2.2)
 (ウ)内心Iの真の重心座標は   (a/(a+b+c),b/(a+b+c),c/(a+b+c))      ・・・(0.2.3)
 (エ)傍心E_Aの真の重心座標は (-a/(-a+b+c),b/(-a+b+c),c/(-a+b+c))  ・・・(0.2.4)
 (オ)重心Gの真の重心座標は  (1/3,1/3,1/3)                     ・・・(0.2.5)

0.3

 [補題0.3.1]
 △ABCは正三角形 ⇔ x=y=z
「証明」
(0.1.1)から以前のblog             で示したように、
 x=(→AB,→AC)=(1/2)[AB^2+AC^2-BC^2]・・・(0.3.2)
 y=(→BA,→BC)=(1/2)[BA^2+BC^2-AC^2]・・・(0.3.3)
 z=(→CA,→CB)=(1/2)[CA^2+CB^2-AB^2]・・・(0.3.4) だから、
 x=y ⇔ AB^2+AC^2-BC^2=BA^2+BC^2-AC^2 ⇔ 2AC^2=2BC^2 ⇔ CA=CB・・・(0.3.5)
 y=z ⇔ BA^2+BC^2-AC^2=CA^2+CB^2-AB^2 ⇔ 2AB^2=2AC^2 ⇔ AB=AC・・・(0.3.6)
 よって x=y=z ⇔BC=CA=AB ⇔ △ABCは正三角形
(「証明」終わり)
 それでは、
表題の事実を証明する。4点の内2点が一致となる場合、4C2=6通り確認すればよい。

1.

 垂心H=重心Gとする。まず (0.2.1)と(0.2.5)から、
    垂心H=重心G
 ⇔ (yz/[yz+zx+xy],zx/[yz+zx+xy],xy/[yz+zx+xy])=(1/3,1/3,1/3)
 ⇔ yz/[yz+zx+xy]=zx/[yz+zx+xy]=xy/[yz+zx+xy]=1/3 (0.1.5)からyz+zx+xy>0
 よって
 ⇒ yz=zx=xy ・・・(1.1)かつ yz=zx=xy>0・・・(1.2) 
 ゆえに(1.2)から、x≠0,y≠0、z≠0 よって (1.1)から
 ⇒ y=x かつ z=y ⇔ x=y=z したがって [補題0.3.1]より△ABCは正三角形

2.
 外心O=重心Gとする。まず (0.2.2)と(0.2.5)から、
    外心O=重心G
 ⇔ (x(y+z)/2[yz+zx+xy],y(z+x)/2[yz+zx+xy],z(x+y)/[2yz+zx+xy])=(1/3,1/3,1/3)
 ⇔ x(y+z)/2[yz+zx+xy]=y(z+x)/2[yz+zx+xy]=z(x+y)/2[yz+zx+xy]=1/3
 ⇔ x≠0,y≠0、z≠0 で x(y+z)=y(z+x)・・・(2.1) かつ y(z+x)=z(x+y)・・・(2.2)
 ⇔ x≠0,y≠0、z≠0 で xz=yz ・・・(2.3) かつ yx=zx ・・・(2.4)
 ⇔ x≠0,y≠0、z≠0 で x=y・・・(2.5) かつ y=z・・・(2.6)
 ⇔ x=y=z≠0 ゆえに [補題0.3.1]により △ABCは正三角形

3.
 
 外心O=内心I とする。まず (0.2.2)と(0.2.3)から
   外心O=内心I
 ⇔  x(y+z)/2[yz+zx+xy]=a/[a+b+c]・・・(3.1) かつ
   y(z+x)/2[yz+zx+xy]=b/[a+b+c]・・・(3.2) かつ
   z(x+y)/2[yz+zx+xy]=c/[a+b+c]・・・(3.3)
 ここで(0.1.2),(0.1.3),(0.1.4) から y+z=a^2,z+x=b^2,x+y=c^2
 よって (3.1)(3.2)(3.3)は ax/2[yz+zx+xy]=1/[a+b+c]・・・(3.4) かつ
  by/2[yz+zx+xy]=1/[a+b+c] ・・・(3.5) かつ cz/2[yz+zx+xy]=1/[a+b+c] ・・・(3.6)
 となる。
 ⇒ ax=by=cz>0  ・・・(3.7) ⇒  x>0,y>0,z>0であって、(3.7) を平方して
   (a^2)x^2=(b^2)y^2=(c^2)z^2 ここで再び  y+z=a^2,z+x=b^2,x+y=c^2より、
    (y+z)x^2=(z+x)y^2=(x+y)z^2 ・・・(3.8) となる。ところで
    (y+z)x^2=(z+x)y^2 ・・・① ⇔ xy(x-y)=-z(x^2-y^2)
 ⇔ (x-y)[xy+z(x+y)]=0 ⇔ (x-y)[yz+zx+xy]=0 ここで(0.1.5)から
    yz+zx+xy>0 ゆえに x=y ・・・③ 同様にして(z+x)y^2=(x+y)z^2 ・・・② 
 ⇒ yz(y-z)=-x(y^2-z^2)⇔ (y-z)[yz+zx+xy]=0 よって y=z・・・④
 ゆえに ③④から x=y=z よって [補題0.3.1]により △ABCは正三角形

4.
 内心I=重心Gとする。まず (0.2.3)と(0.2.5)から、
    内心I=重心G
 ⇔ a/(a+b+c)=1/3,,b/(a+b+c)=1/3,c/(a+b+c)=1/3 
 ⇔ a=b=c ⇔ △ABCは正三角形

5.
 垂心H=外心Oとする。まず (0.2.1)と(0.2.2)から、
    垂心H=外心O
 ⇔ yz/[yz+zx+xy]=x(y+z)/2[yz+zx+xy] ・・・(5.1) かつ
    zx/[yz+zx+xy]=y(z+x)/2[yz+zx+xy] ・・・(5.2)  かつ
  xy/[yz+zx+xy]=z(x+y)/2[yz+zx+xy] ・・・(5.3)
 ⇔(5.1)から 2yz=x(y+z) ・・・(5.4) かつ
   (5.2)から 2zx=y(z+x) ・・・(5.5) かつ
    (5.3)から 2xy=z(x+y) ・・・(5.6)
 (5.4)から 3yz=yz+zx+xy>0 ⇒ yz>0 同様に (5.5)(5.6)から zx>0,xy>0
 よってxyz≠0 ・・・(5.7) がまずいえる。さて、
 (5.4)-(5.5)として 2(y-x)z=(x-y)z ⇔ 3(y-x)z=0 ここで z≠0[∵(5.7)]だから
 x=y ・・・(5.8) 次に (5.5)-(5.6)として 2(z-y)x=x(y-z)⇔3(z-y)x=0
 ここでまた x≠0 だから y=z ・・・(5.9) ゆえに(5.8)(5.9)より
  x=y=z  よって [補題0.3.1]により △ABCは正三角形

6.
 垂心H=内心Iとする。まず (0.2.1)と(0.2.3)から
    垂心H=内心I
 ⇔ yz/[yz+zx+xy]=a/[a+b+c]・・・(6.1) かつ
    zx/[yz+zx+xy]=b/[a+b+c]・・・(6.2) かつ
    xy/[yz+zx+xy]=c/[a+b+c]・・・(6.3)
 よって (6.1)~(6.3)より xyz≠0 ・・・(6.4)
  (6.1)÷(6.2) ⇒ y/x=a/b⇔ ax=by ・・・(6.5) 
  (6.2)÷(6.3) ⇒ z/y=b/c⇔ by=cz ・・・(6.6)
 ゆえに ax=by=cz したがって平方して、a^2x^2=b^2y^2=c^2z^2
 よって 3.の(3.7)と同様にして x=y=z となり [補題0.3.1]により △ABCは正三角形

☆ 以上により△ABCにおいて 五心の内、傍心を除いた二心が一致
 ⇒ その△ABCは正三角形が証明された。

☆☆
 ところで どんな△ABCにおいても、「傍心が他の四心に一致することはない」ことを
 示しておこう。
 まず 傍心E_Aの真の重心座標は (-a/(-a+b+c),b/(-a+b+c),c/(-a+b+c))     ・・・(0.1.4)
 -a/(-a+b+c)<0 であるから、これが内心I:(a/(a+b+c),b/(a+b+c),c/(a+b+c)),
 重心G :(1/3,1/3,1/3) に一致することはない。
 そこで、

7.

 仮に「 垂心H=傍心E_A」になるとして、矛盾を導こう。まず (0.2.1)と(0.2.5)から、
    yz/[yz+zx+xy]=-a/[-a+b+c]・・・(7.1) かつ
    zx/[yz+zx+xy]=b/[-a+b+c]  ・・・(7.2) かつ
    xy/[yz+zx+xy]=c/[-a+b+c]  ・・・(7.3) よって yz<0 かつzx>0 かつxy>0・・・(7.4)
 であって(7.1)÷(7.2) ⇒ y/x=-a/b ⇔ -ax=by・・・(7.5)
         (7.2)÷(7.3) ⇒ z/y=b/c  ⇔  bx=cz・・・(7.6)
 (7.5)を平方して a^2x^2=b^2y^2 ゆえに 3.の(3.7)と同様にして (y+z)x^2=(z+x)y^2
 ⇔ (x-y)(yz+zx+xy)=0 yz+zx+xy>0 だから x=y ・・・(7.7)。(7.4)に注意して、
   x=y≠0 ・・・(7.7) となる。よって(7.5)から -a=b となり矛盾。

8.
 仮に「 外心O=傍心E_A」になるとして、矛盾を導こう。まず (0.2.2)と(0.2.5)から、
    x(y+z)/2[yz+zx+xy]=-a/[-a+b+c] ・・・(8.1) かつ
    y(z+x)/2[yz+zx+xy]=  b/[-a+b+c] ・・・(8.2)  かつ
  z(x+y)/2[yz+zx+xy]=  c/[-a+b+c] ・・・(8.3)
  よってまず、x<0,y>0,z>0 ・・・(8.4) y+z=a^2,z+x=b^2,x+y=c^2 だから (8.1)÷(8.2)
 より、(ax)/(by)=-1 ⇔ -ax=by ・・・(8.5)。(8.5)を平方して7.と同様にして、
  x=y≠0 ・・・(8.6)をうる。よって (8.5)から -a=bとなり矛盾。

 9.

 以上により、どんな△ABCにおいても、「傍心E_Aが他の四心に一致することはない」
 ことが証明された。他の傍心E_B,E_Cについても同様に「他の四心に一致することはない」
 ことが証明される。

 次回は「四面体の正弦定理」を利用した四面体ABCDの実例、または
「等積四面体 ⇒ 等面四面体」の「計算による証明」を紹介するつもりである。  




四面体ABCDの「内接球面Iの接点」と内心Iとの間のベクトル等式_[その2]

2018年04月11日 | 考察

-------四面体ABCDの「内接球面Iとその接点」と内心Iとの間のベクトル等式_2018.04.11(水)_[その1]からの続き------

四面体ABCDの「内接球面Iとその接点」と内心Iとの間のベクトル等式_2018.04.11(水)_[その2]

[2].

さて、それでは表題の「四面体の内心I」についても同様なことが成り立つことを示そう。
四面体ABCDを考え、内心をI、内接球面Iと各面△BCD,△ACD,△ABD,△ABCとの接点を
例によって、I^A,I^B,I^C,I^D とし、面△BCD,△ACD,△ABD,△ABCの面積を
S_A,S_B,S_C,S_D とおき、S_A+S_B+S_C+S_D=2F とおく。このとき、
[定理2.1]
 四面体ABCD⊆E^3⊆E^n (但し n≧3とする)とする。任意の∀P∈E^nに対し
    S_A(→PI^A)+S_B(→PI^B)+S_C(→PI^C)+S_D(→PI^D)
   =S_A(→PA)+S_B(→PB)+S_C(→PC)+ S_D(→PD)       ・・・(2.1.1) となる。
 これは、
  S_A(→AI^A)+S_B(→BI^B)+S_C(→CI^C)+ S_D(→DI^D) =(→0) ・・・(2.1.2)と同値である。
 
「証明」
 (2.1.1)⇔(2.1.2)のことは[定理1.2]の証明と同様である。そこで(2.1.1)を証明しよう。
 まず、2017.1.31(火)のblog「四面体ABCDの「内接球面」の各側面と4つの接点
 「I^A,I^B,I^C,I^D」の重心座標」の[定理2.3]で述べたように、
 I^Aは
 (0,S_B/(2F)[1+cosθ(B,A)],S_C/(2F)[1+cosθ(C,A)],S_D/(2F)[1+cosθ(D,A)] )
   ・・・(2.1.3)
  I^Bは、
 (S_A/(2F)[1+cosθ(A,B)],0,S_C/(2F)[1+cosθ(C,B)],S_D/(2F)[1+cosθ(D,B)] )
   ・・・(2.1.4)
 I^Cは、
 (S_A/(2F)[1+cosθ(A,C)],S_B/(2F)[1+cosθ(B,C)],0,S_D/(2F)[1+cosθ(D,C)] )
      ・・・(2.1.5)
 I^Dは、
 (S_A/(2F)[1+cosθ(A,D)],S_B/(2F)[1+cosθ(B,D)],S_C/(2F)[1+cosθ(C,D)],0 )
      ・・・(2.1.6)
 即ち
 (→PI^A)
 =S_B/(2F)[1+cosθ(B,A)](→PB)+S_C/(2F)[1+cosθ(C,A)](→PC)+S_D/(2F)[1+cosθ(D,A)](→PD)
 などにより、

 (2F)(→PI^A)=S_B[1+cosθ(B,A)](→PB)+S_C[1+cosθ(C,A)](→PC)+S_D[1+cosθ(D,A)](→PD)
             ・・・(2.1.7)
 (2F)(→PI^B)=S_A[1+cosθ(A,B)](→PA)+S_C[1+cosθ(C,B)](→PC)+S_D[1+cosθ(D,B)](→PD)
              ・・・(2.1.8)
  (2F)(→PI^C)=S_A[1+cosθ(A,C)](→PA)+S_B[1+cosθ(B,C)](→PB)+S_D[1+cosθ(D,C)](→PD)
              ・・・(2.1.9)
  (2F)(→PI^D)=S_A[1+cosθ(A,D)](→PA)+S_B[1+cosθ(B,D)](→PB)+S_C[1+cosθ(C,D)](→PC)
              ・・・(2.1.10)
 となる。ゆえに、このとき
    (2F)[S_A(→PI^A)+S_B(→PI^B)+S_C(→PI^C)+S_D(→PI^D)]
  =S_A[S_B[1+cosθ(B,A)](→PB)+S_C[1+cosθ(C,A)](→PC)+S_D[1+cosθ(D,A)](→PD)]
  +S_B[S_A[1+cosθ(A,B)](→PA)+S_C[1+cosθ(C,B)](→PC)+S_D[1+cosθ(D,B)](→PD)]
  +S_C[S_A[1+cosθ(A,C)](→PA)+S_B[1+cosθ(B,C)](→PB)+S_D[1+cosθ(D,C)](→PD)]
  +S_D[S_A[1+cosθ(A,D)](→PA)+S_B[1+cosθ(B,D)](→PB)+S_C[1+cosθ(C,D)](→PC)]

  =S_A[S_B[1+cosθ(A,B)]+S_C[1+cosθ(A,C)]+S_D[1+cosθ(A,D)]](→PA)
  +S_B[S_A[1+cosθ(B,A)]+S_C[1+cosθ(B,C)]+S_D[1+cosθ(B,D)]](→PB)
  +S_C[S_A[1+cosθ(C,A)]+S_B[1+cosθ(C,B)]+S_D[1+cosθ(C,D)]](→PC)
  +S_D[S_A[1+cosθ(D,A)]+S_B[1+cosθ(D,B)]+S_C[1+cosθ(D,C)]](→PD)

  =S_A[(S_B+S_C+S_D)+{S_Bcosθ(A,B)+S_Ccosθ(A,C)+S_Dcosθ(A,D)}](→PA)
  +S_B[(S_A+S_C+S_D)+{S_Acosθ(B,A)+S_Ccosθ(B,C)+S_Dcosθ(B,D)}](→PB)
  +S_C[(S_A+S_B+S_D)+{S_Acosθ(C,A)+S_Bcosθ(C,B)+S_Dcosθ(C,D)}](→PC)
  +S_D[(S_A+S_B+S_C)+{S_Acosθ(D,A)+S_Bcosθ(D,B)+S_Ccosθ(D,C)}](→PD)
      ・・・(2.1.11)
 ここで、四面体の第1余弦定理から S_Bcosθ(A,B)+S_Ccosθ(A,C)+S_Dcosθ(A,D)=S_A
 よって
   S_A[(S_B+S_C+S_D)+{S_Bcosθ(A,B)+S_Ccosθ(A,C)+S_Dcosθ(A,D)}]
  =S_A[(S_B+S_C+S_D+S_A]=S_A×2F=(2F)S_A ・・・(2.1.12) 
  同様にして
   S_B[(S_A+S_C+S_D)+{S_Acosθ(B,A)+S_Ccosθ(B,C)+S_Dcosθ(B,D)}]
 =(2F)S_B ・・・(2.1.13)
   S_C[S_A[1+cosθ(C,A)]+S_B[1+cosθ(C,B)]+S_D[1+cosθ(C,D)]]
  =(2F)S_C ・・・(2.1.14)
   S_D[(S_A+S_B+S_C)+{S_Acosθ(D,A)+S_Bcosθ(D,B)+S_Ccosθ(D,C)}]
  =(2F)S_D ・・・(2.1.15)

 したがって (2.1.11) の
   右辺
  =(2F)(S_A)(→PA)+(2F)(S_B)(→PB)+(2F)(S_C)(→PC)+(2F)(S_D)(→PD) ゆえに(2.1.11)式は
 
     (2F)[S_A(→PI^A)+S_B(→PI^B)+S_C(→PI^C)+S_D(→PI^D)]
    =(2F)[S_A(→PA)+S_B(→PB)+S_C(→PC)+S_D(→PD))]
 ⇔   S_A(→PI^A)+S_B(→PI^B)+S_C(→PI^C)+S_D(→PI^D)
  =S_A(→PA)+S_B(→PB)+S_C(→PC)+S_D(→PD) となって[定理2.1]は証明された。
(「証明」終わり)

 次に以前に証明したように,
[命題2.2]
四面体ABCD⊆E^3⊆E^n、但し n≧3としておく。内心をIとすると、∀P∈E^n に対して
 (→PI)=[S_A(→PA)+S_B(→PB)+S_C(→PC)+S_S(→PD)]/(S_A+S_B+S_C+S_D) ・・・(2.2.1)
 であって、これは S_A(→IA)+S_B(→IB)+S_C(→IC)+S_D(→ID)=(→0) ・・・(2.2.2)と同値。

[命題2.3]
[定理2.1]の等式 (2.1.1)は、
 S_A(→II^A)+S_B(→II^B)+S_C(→II^C)+S_D(→II^D)=(→0) ・・・(2.3.1)と同値。よって
また (2.1.2)とも同値である。
「証明」
(2.1.1)であるとする。(2.1.1)で P ⇒ Iとして
   S_A(→II^A)+S_B(→II^B)+S_C(→II^C)+S_D(→II^D)
   =S_A(→IA)+S_B(→IB)+S_C(→IC)+ S_D(→ID)       ・・・(2.3.2) ここで
 [命題2.2]の(2.2.2)より S_A(→IA)+S_B(→IB)+S_C(→IC)+ S_D(→ID)=(→0) だから
  (2.3.2)⇔ S_A(→II^A)+S_B(→II^B)+S_C(→II^C)+S_D(→II^D)=(→0)・・・(2.3.1)
 となる。逆に
   S_A(→II^A)+S_B(→II^B)+S_C(→II^C)+S_D(→II^D)=(→0)・・・(2.3.1)であるとする。
 ⇔  S_A[(→PI^A)-(→PI)]+S_B[(→PI^B)-(→PI)]
    +S_C[(→PI^C)-(→PI)]+S_D[(→PI^D)-(→PI)]=(→0)

 ⇔   S_A(→PI^A)+S_B(→PI^B)+S_C(→PI^C)+S_D(→PI^D)
    =(S_A+S_B+S_C+S_D)(→PI)
  ここで [命題2.2]の(2.2.1) より
   (S_A+S_B+S_C+S_D)(→PI)=S_A(→PA)+S_B(→PB)+S_C(→PC)+S_S(→PD) よって
  S_A(→PI^A)+S_B(→PI^B)+S_C(→PI^C)+S_D(→PI^D)
  =S_A(→PA)+S_B(→PB)+S_C(→PC)+S_D(→PD) となり、
  (2.1.1)が成り立つ。  
(「証明」終わり)

[定理2.1]の(2.1.1)と[命題2.2]の(2.2.1)から、次の命題が成り立つ。

[命題2.4]
 四面体ABCD⊆E^3⊆E^n (但し n≧3とする)とする。 内心をI、内接球面Iと
 各面△BCD,△ACD,△ABD,△ABCとの接点を例によって、I^A,I^B,I^C,I^D とし、
 面△BCD,△ACD,△ABD,△ABCの面積をS_A,S_B,S_C,S_D とおき、
 S_A+S_B+S_C+S_D=2F とおく。
 このとき、∀P∈E^n に対して
 (→PI)=[S_A(→PI^A)+S_B(→PI^B)+S_C(→PI^C)+S_D(→PI^D)]/(2F) ・・・(2.4.1)
 が成り立ち、これは

 S_A(→AI^A)+S_B(→BI^B)+S_C(→CI^C)+ S_D(→DI^D) =(→0) ・・・(2.1.2)と
 S_A(→II^A)+S_B(→II^B)+S_C(→II^C)+S_D(→II^D)=(→0)   ・・・(2.3.1)とも同値である。

そこで、
[定義2.5]
[命題2.4]の同値な3つの等式(2.4.1),(2.1.2),(2.3.1)を、「内心I」と「内接球面I
と接点との間」に成り立つ「ベクトル等式」とよぶことにする。
以上のことをまとめれば、

[定理2.7]
 四面体ABCDに対しその「内接球面I」から決まる4つの接点I^A,I^B,I^C,I^Dに対し
 四面体(I^A)(I^B)(I^C)(I^D)ができるときは、四面体(I^A)(I^B)(I^C)(I^D)の「外心J」は
 四面体ABCDの「内心I]に一致するが、その 四面体(I^A)(I^B)(I^C)(I^D)の「外心J」

四面体(I^A)(I^B)(I^C)(I^D)に関する ベクトルによる「重心座標表現」は、
 (→PJ)=(→PI)=[S_A(→PI^A)+S_B(→PI^B)+S_C(→PI^C)+S_D(→PI^D)]/(2F) ・・・(2.7.1)
 となる。

 また「ベクトル等式」
  S_A(→AI^A)+S_B(→BI^B)+S_C(→CI^C)+ S_D(→DI^D) =(→0) ・・・(2.7.2)と
  S_A(→II^A)+S_B(→II^B)+S_C(→II^C)+S_D(→II^D)=(→0)   ・・・(2.7.3)が成り立ち、
  (2.7.1)と同値である。

☆ [定理2.7]において、四面体(I^A)(I^B)(I^C)(I^D)ができそうだが、明らかではない。
これについてはまた考えることにする。










四面体ABCDの「内接球面Iの接点」と内心Iとの間のベクトル等式_[その1]

2018年04月11日 | 考察

四面体ABCDの「内接球面Iとその接点」と内心Iとの間のベクトル等式_2018.04.11(水)_[その1]
                                        
みなさん、今年の2月は寒かったですね。やっとなんとか過ごしやすい時季になりました。
  それではブログを続けます。

[0].

 2016.11.17(木)に東京出版の「大学への数学」の2016.12月号のP23のベクトルの「問題」を
 みていて、 以下に述べる[1].の内容が成り立つことに気がついた。

[1].
まず、どういうことであるかを△ABCについて述べる。それで

△ABCの3辺をBC=a,CA=b,AB=cとし内心をI,内接円Iと3辺BC,CA,ABとの接点を例によって
I^A,I^B,I^Cとする。次のことはよく知られている。

[命題1.1]
 a+b+c=2sとおく。このとき、
 AI^B=AI^C=s-a, BI^C=BI^A=s-b, CI^A=CI^B=s-c ・・・(1.1.1) である。
 なお、s-a>0 ,s-b>0,s-c>0 が成り立つ。
「証明」
 老婆心ながら、証明しておく。
 I^BとI^Cとは内接円Iとの接点であるから、直角三角形△AII^Bと△AII^Cにおいて
 II^C=II^B=半径r、AIは共通の斜辺だから△AII^B≡△AII^C。ゆえに AI^B=AI^C ・・・(1.1.2)
 また ∠IAI^C=∠IAI^B (角Aの二等分。これが内心Iを求めるときの1つの方法)となる。
 同様にして、BI^C=BI^A ・・・(1.1.3)、CI^A=CI^B ・・・(1.1.4)  そこで、
 AI^B=AI^C=x,BI^C=BI^A=y,CI^A=CI^B=z とおけば、(1.1.2)~(1.1.4)より
 BC=a=y+z・・・(1),CA=b=z+x・・・(2),AB=c=x+y ・・・(3) つまり
 y+z=a,z+x=b,x+y=c  [図1参照] この連立方程式を解く。全辺加えて 2(x+y+z)=a+b+c つまり  
 2(x+y+z)=2s ⇔ x+y+z=s ・・・(4)。 (4)-(1) ⇒ x=s-a, (4)-(2) ⇒ y=s-b,
 (4)-(3) ⇒ z=s-c こうして (1.1.1)が示された。そして b+c>a ⇔a+b+c>2a
 ⇔2s>2aなどから、s-a>0 などが成り立っている。
(「証明」終わり)

さて、△ABC⊆E^2⊆E^n としておく。但し n≧2とする。[命題1.1] より 点I^Aは辺BCを
  y:z=s-b:sーc に 内分する点 であるから、∀P∈E^n に対して、次の式が成り立つ。
 (→PI^A)=[z(→PB)+y(→PC)]/[y+z]=[z(→PB)+y(→PC)]/a ・・・(1.2.1)
同様にして、 
 (→PI^B)=[x(→PC)+z(→PA)]/[z+x]=[x(→PC)+z(→PA)]/b ・・・(1.2.2)
 (→PI^C)=[y(→PA)+x(→PB)]/[x+y]=[y(→PA)+x(→PB)]/c ・・・(1.2.3)
これらより、
 a(→PI^A)+b(→PI^B)+c(→PI^C)を計算してみると次の[定理1.2]をうる。

[定理1.2]
 △ABC⊆E^2⊆E^n としておく。但し n≧2とする。△ABCの3辺をBC=a,CA=b,AB=cとし内心をI,
 内接円Iと3辺BC,CA,ABとの接点を例によって I^A,I^B,I^Cとする。
このとき、∀P∈E^n に対して
  a(→PI^A)+b(→PI^B)+c(→PI^C)=a(→PA)+b(→PB)+c(→PC) ・・・(1.2.4) となる。これは、

  a(→AI^A)+b(→BI^B)+c(→CI^C)=(→0) ・・・(1.2.5)と同値である。

「証明」
(1.2.1)~(1.2.3)により、
(1.2.4)の左辺=a(→PI^A)+b(→PI^B)+c(→PI^C)
       =[z(→PB)+y(→PC)]+[x(→PC)+z(→PA)]+[y(→PA)+x(→PB)]
       =(y+z)(→PA)+(z+x)(→PB)+(x+y)(→PC)
             =a(→PA)+b(→PB)+c(→PC) [∵ [命題1.1]の(1)(2)(3)による]

       =(1.2.4)の右辺。 ゆえに (1.2.4)が成り立つ。次に
 (1.2.4) ⇔a[(→PI^A)-(→PA)]+b[(→PI^B)-(→PB)]+c[(→PI^C)-(→PC)]=(→0)
     ⇔a(→AI^A)+b(→BI^B)+c(→CI^C)=(→0)
 ゆえに (1.2.4)⇔(1.2.5)
(「証明」終わり)

 ところで既に三角形の内心Iの「ベクトルによる重心座標表現」[三線座標を使うもの]
 で示した様に次のことが成り立つ。
[命題1.3]
 △ABC⊆E^2⊆E^n としておく。但し n≧2とする。内心をIとすると、∀P∈E^n に対して
 (→PI)=[a(→PA)+b(→PB)+c(→PC)]/(a+b+c) ・・・(1.3.1)
 であって、これは a(→IA)+b(→IB)+c(→IC)=(→0) ・・・(1.3.2)と同値。
「証明」
 (1.3.1)は三線座標を使うと分かりやすい。点T∈E^2の真の三線座標(α,β,γ)と
 真の重心座標 (κ,λ,μ),κ+λ+μ=1 ・・・(#)との間には、
 α=(2S/a)κ,β=(2S/a)λ,γ=(2S/a)μ ・・・(1.3.3)が成立する。
  [(1.3.3)の証明には 重心座標と三角形の相似を使う。四面体版の四線座標については、  
 「本」のPP163~169に書いておいた。(命題10.6と命題10.8が本質的。命題10.9の
  h_A:α=1:κがポイント)そちらを 見て三線座標も同様に行うか、
   以前のblog 2009.02.16(月)(その1)・(その2)を参照のこと。]

 すると内接円の半径をr>0とすれば、内心Iの三線座標 (α,β,γ)について、
 α=β=γ=r>0 である。これは (1.3.3)から、(2S/a)κ=(2S/b)λ=(2S/c)μ=r ・・・(1.3.4) 
  と同値。(1.3.4) ⇔(2Sκ)/a=(2Sλ)/b=(2Sμ)/c=r 。ここで高校の「数学Ⅰ」の「加比の理」
 を使えば (1.3.4) は
   (2Sκ)/a=(2Sλ)/b=(2Sμ)/c=(2Sκ+2Sλ+2Sμ)/(a+b+c)
       =(2S)(κ+λ+μ)/(a+b+c)=rとなるが、(#)を使って、
 最後の等式の部分=(2S)/(a+b+c)=r となる。よって  (1.3.4) ⇔
  (2Sκ)/a=(2Sλ)/b=(2Sμ)/c=r=(2S)/(a+b+c) ・・・(1.3.5) これより まず
  r=(2S)/(a+b+c) ,
 また (2Sκ)/a=(2S)/(a+b+c) により κ=a/(a+b+c) がでてくる。同様にして、
 λ=b/(a+b+c),μ=c/(a+b+c) ・・・(1.3.6) こうして(1.3.1)が示される。
 次に
 (1.3.1) ⇒ (1.3.2)を示す。(1.3.1)は ∀P∈E^nに対して成り立つので (1.3.1)で
  特に P ⇒ Iとして
  (→II)=[a(→IA)+b(→IB)+c(→IC)]/(a+b+c) が成り立つが、この左辺=(→0) よって
   (1.3.2)が成り立つ。
 逆の (1.3.2) ⇒ (1.3.1)を示す。a(→IA)+b(→IB)+c(→IC)=(→0)とする。すると、
  ∀P∈E^nに対して a[(→PA)-(→PI)]+b[(→PB)-(→PI)]+c[(→PC)-(→PI)]=(→0)
 ⇔  (a+b+c)(→PI)=a(→PA)+b(→PB)+c(→PC)
 ⇔ (→PI)=[a(→PA)+b(→PB)+c(→PC)]/(a+b+c) ゆえに示された。
 (証明」終わり)
 これで次の命題がいえる。
[命題1.4]
 [定理1.2]の等式  (1.2.4)は、
    a(→II^A)+b(→II^B)+c(→II^C)=(→0)・・・(1.4.1)と同値。よってまた
  (1.2.5)とも同値。
「証明」
 (1.2.4)であるとする。(1.2.4)で P ⇒ I として
 a(→II^A)+b(→II^B)+c(→II^C)=a(→IA)+b(→IB)+c(→IC) ・・・(1.4.2)
 ここで[命題1.3]の(1.3.2)より a(→IA)+b(IB)+c(→IC)=(→0) だから、
 (1.4.2) ⇔ a(→II^A)+b(→II^B)+c(→II^C)=(→0)・・・(1.4.1)
 となる。逆に
  a(→II^A)+b(→II^B)+c(→II^C)=(→0)・・・(1.4.1)であるとする。
  ⇔ a[(→PI^A)-(→PI)]+b[(→PI^B)-(→PI)]+c[(→PI^C)-(→PI)]=(→0)
  ⇔ a(→PI^A)+b(→PI^B)+c(→PI^C)=(a+b+c)(→PI)  ここで[命題1.3]の(1.3.1)
  より  (a+b+c)(→PI)=a(→PA)+b(→PB)+c(→PC)  よって
  a(→PI^A)+b(→PI^B)+c(→PI^C)=a(→PA)+b(→PB)+c(→PC)  となる。
(「証明」終わり)

 [定理1.2]の(1.2.4)と[命題1.3]の(1.3.1)から、次の命題が成り立つ。
[命題1.5]
 △ABC⊆E^2⊆E^n としておく。但し n≧2とする。△ABCの3辺をBC=a,CA=b,AB=cとし内心をI,
 内接円Iと3辺BC,CA,ABとの接点を例によって I^A,I^B,I^Cとする。
このとき、∀P∈E^n に対して
  (→PI)=a(→PI^A)+b(→PI^B)+c(→PI^C)/(a+b+c)・・・(1.5.1)が成り立ち、これは
 (1.2.5),(1.4.1)と同値である。
(∵ (1.3.1) ) 

そこで
[定義1.6]
 (1.2.5),(1.4.1)及び(1.5.1)を「内心I」と「内接円Iとの接点との間に」成り立つ
「ベクトル等式」とよぶことにする。

△ABCの「内接円I」は△(I^A)(I^B)(I^C)の「外接円」であるから、△ABCの「内心I」は、
△(I^A)(I^B)(I^C)の「外心J」(「内心」ではない!)になることが分かる。そして、
 [命題1.5]から、△(I^A)(I^B)(I^C)の「外心J」の「△(I^A)(I^B)(I^C)に関する」
「ベクトルによる重心座標表現」は、
 (→PJ)=(→PI)=a(→PI^A)+b(→PI^B)+c(→PI^C)/(a+b+c)・・・(1.5.1)であることが分かる。
 (∵ J=I )

 (∵ a/(a+b+c)+b/(a+b+c)+c/(a+b+c)=1 ) 一見して不思議な感じがするが、
 a,b,cは△(I^A)(I^B)(I^C)の3辺ではないことに注意! これを説明してみよう。
 実際に図を書いてみれば、次のことが分かる。

[命題1.7]
(I^B)(I^C)=2(s-a)sin(A/2),(I^C)(I^A)=2(s-b)sin(B/2),
 (I^C)(I^A)=2(s-c)sin(C/2),∠(I^B)(I^A)(I^C)=90°-(A/2),
 ∠(I^C)(I^B)(I^A)=90°-(B/2), ∠(I^A)(I^C)(I^B)=90°-(C/2) ・・・(1.7.1)と
 なることが分かる。
[これについては、またいつの日か示すことにする。] これより、
2008.09.01(月)のblogでの(2.6)式で述べた三角形の角の正弦による「外心J」の表示式に
よれば、△(I^A)(I^B)(I^C)の「外心J」の「△(I^A)(I^B)(I^C)に関する」
 「ベクトルによる重心座標表現」は、
(→PJ)
=[sin2(90°-A/2)(→PI^A)+sin2(90°-B/2)(→PI^B)+sin(90°-C/2)(→PI^C)]
/[sin2(90°-A/2)+sin2(90°-B/2)+sin2(90°-C/2)] ・・・(1.7.2)
であるが、
(1.7.2)の右辺=[sinA(→PI^A)+sinB(→PI^B)+sinC(→PI^C)]/[sinA+sinB+sinC]
             =[a(→PI^A)+b(→PI^B)+c(→PI^C)/(a+b+c) (∵ 正弦定理 )と
 なる。
 即ち、小さい △(I^A)(I^B)(I^C)の「外心J」の「△(I^A)(I^B)(I^C)に関する」
 ベクトルによる重心座標表現は、
 (→PJ)=[a(→PI^A)+b(→PI^B)+c(→PI^C)/(a+b+c) であって、
 これが元の大きい△ABCの「内心I」の「△ABC)に関する」ベクトルによる重心座標表現
 に等しい、つまり、(→PJ)=(→PI) ⇔ J=I というのが[定理1.2]の内容である。




二葉双曲面のGauss曲率及び平均曲率について

2018年01月17日 | 考察

二葉双曲面のGauss曲率及び平均曲率について_2018_01_17(水)

2. 二葉双曲面 x²/a²+y²/b²-z²/c²=-1 ・・・(1)を曲面Sとする。そのパラメーター表示を
 するのだが、u,vを用いて、D={(u,v)|u>0}とすると、二葉双曲面の上半分から頂点を
 除いた部分と対応(1対1ではない)がつくそうだ。[「曲線と曲面の微分幾何」のP44による。]
 下図[図1]参照。そこで、u>0としておく。
   (x↑)=x(u,v)=(x,y,z)=(asinhucosv,bsinhusinv,ccoshu) にて表す。
 下半分が欲しいときには、z=-ccoshuとすればよい。そこで、u>0とし、
   (x↑)=x(u,v)=(x,y,z)=(asinhucosv,bsinhusinv,±ccoshu) ・・・(2) にて表す。
(ア)上半分,下半分から頂点を除いた部分を考える。但し u>0。
ここに  coshx=[e^x+e^(-x)]/2,sinhx=[e^x-e^(-x)]/2 はxの双曲線関数(hyperbolic_
 functions of x)とする。u>0 ⇔ sinhu>0,u=0 ⇔ sinhu=0,u<0 ⇔ sinhu<0に注意されたい。
 なお、coshuはその定義から全ての実数 uに対して、coshu>0。
 このとき、cosh^2x-sinh^2x=1,(coshx)'=sinhx,(sinhx)'=coshx・・・(3)が成り立つ。それで
(2)は(1)を満たすことが分かる。ベクトルの内積を「・」、外積を「×」で表すことにする。

一般論を述べる。第一基本形式 I(いち)は、dx=x_udu+x_vdv を用いて、I=ds^2=dx・dx
=(x_udu+x_vdv)・(x_udu+x_vdv)=(x_u・x_u)du^2+2(x_u・x_v)dudv+(x_v・x_v)dv^2・・・(4)
と定義される。そこで、g₁₁=E=x_u・x_u ,g₁₂=F=x_u・x_v,g₂₁=x_v・x_u ,
 g₂₂=G=x_v・x_v・・・(5) とおく。このとき、x_u・x_v=x_v・x_u ⇔g₁₂=g₂₁=F となる。また、
第一基本形式は、I=Edu^2+2Fdudv+Gdv^2=g₁₁du^2+2g₁₂dudv+g₂₂dv^2 ・・・(6)とも表せる。
但し、x_u=∂x/∂u,x_v=∂x/∂v,ベクトルxのu,vによる偏微分である。また、曲面Sの1つの
単位法線ベクトルをeで表す。e=(x_u×x_v)/|x_u×x_v| ・・・(7)とする。ここに「×」は「外積」
を表す。第二基本形式Ⅱ(に)は, L=h₁₁=x_uu・e,M=h₁₂=x_uv・e,h₂₁=x_vu・e ,
N=h₂₂=x_vv・e として、h₁₂=h₂₁となるので、
Ⅱ(u,v)=Ldu^2+2Mdudv+Ndv^2=h₁₁du^2+2h₁₂dudv+h₂₂dv^2 ・・・(8)と定義される。このとき、
第一基本形式は正定値なので、EG-F^2=g₁₁g₂₂-(g₁₂)^2>0 ・・・(9)がいつも成り立っている。
Gauss曲率 Kは、K=(LN-M^2)/(EG-F^2)=[h₁₁h₂₂-(h₁₂)^2]/[g₁₁g₂₂-(g₁₂)^2]・・・(10)
で与えられ、平均曲率 Hは、H=[EN-2FM+GL)/[2(EG-F^2)]
=[g₁₁h₂₂-2g₁₂h₁₂+g₂₂h₁₁]/[2{(g₁₁g₂₂-(g₁₂)^2)}] ・・・(11)となる。

一般論はここまでとする。

さて、2番の回答に移る。二葉双曲面のGauss曲率及び、平均曲率を求める問題。(2),(3)から、
x_u=∂x/∂u=(acoshucosv,bcoshusinv,±csinhu),x_v=(-asinhusinv,bsinhucosv,0),もう一回
偏微分し、
x_uu=∂(x_u)/∂u=(asinhucosv,bsinhusinv,±ccoshu)=(x,y,z)・・・(12),
x_uv=∂(x_u)/∂v=(-acoshusinv,bcoshucosv,0)・・・(13),x_vv=∂(x_v)/∂v
=(-asinhucosv,-bsinhusinv,0)・・・(14)となる。ゆえに、
E=x_u・x_u=a^2cosh^2ucos^2v+b^2cosh^2usin^2v+c^2sinh^2u・・・(15),
F=x_u・x_v=-a^2sinhucoshusinvcosv+b^2sinhucoshusinvcosv=(b^2-a^2)sinhucoshusinvcosv
・・・(16),
G=x_v・x_v=a^2sinh^2usin^2v+b^2sinh^2ucos^2v=sinh^2u(a^2sin^2v+b^2cos^2v)・・・(17)
よって 
EG-F^2
=(a^2cosh^2ucos^2v+b^2cosh^2usin^2v+c^2sinh^2u)×
        sinh^2u(a^2sin^2v+b^2cos^2v)-[(b^2-a^2)sinhucoshusinvcosv]^2
=sinh^2u[(a^2cosh^2ucos^2v+b^2cosh^2usin^2v)(a^2sin^2v+b^2cos^2v)
+(c^2sinh^2u)(a^2sin^2v+b^2cos^2v)ー(b^4-2a^2b^2+a^4)cosh^2usin^2vcos^2v]
=sinh^2u[cosh^2u{a^2b^2(sin^4v+2sin^2vcos^2v+cos^4v)}
  +(c^2sinh^2u)(a^2sin^2v+b^2cos^2v)] ここで [ ]は2行に亘るものとする。
=sinh^2u[cosh^2u{a^2b^2(sin^2v+cos^2v)^2}+b^2c^2sinh^2ucos^2v+c^2a^2sinh^2usin^2v]
=sinh^2u[cosh^2u{a^2b^2}+b^2c^2sinh^2ucos^2v+c^2a^2sinh^2usin^2v]
=[b^2c^2sinh^2ucos^2v+c^2a^2sinh^2usin^2v+a^2b^2cosh^2u]sinh^2u・・・(18)
そこで、
Δ=√[b^2c^2sinh^2ucos^2v+c^2a^2sinh^2usin^2v+a^2b^2cosh^2u]・・・(19) とおけば、
(18)は、EG-F^2=(Δ^2)sinh^2u・・・(20)となる。
次に、
x_u×x_vを計算しよう。大学1・2年で物理の「荒川泰二」先生に習った「行列式的方法」にて
「外積」を計算する。
i,j,kを(x,y,z)空間の基本ベクトルとして、
x_u=(acoshucosv,bcoshusinv,±csinhu),
x_v=(-asinhusinv,bsinhucosv,0)     であるから、これらを3行3列の行列式として、
第1行に i,j,kを並べ、第2行に x_u,第3行にx_vを並べて

x_u×x_v
=
|      i                 j       k      |
|  acoshucosv    bcoshusinv  ±csinhu   |
| -asinhusinv     bsinhucosv    0    |

 とし、これを第1行に関し展開する方法である。
すると、
x_u×x_v
= i[-(±)bcsinh^2ucosv]+j[-(±)casinh^2usinv]
 +k[absinhucoshu(cos^2v+sin^2v)]
=(-(±)bcsinh^2ucosv)i+(-(±)casinh^2usinv)j+(absinhucoshu)k
=(-(±)bcsinh^2ucosv,-(±)casinh^2usinv,absinhucoshu) つまり
x_u×x_v=(-(±)bcsinh^2ucosv,-(±)casinh^2usinv,absinhucoshu)・・・(21) とやるのである。
ゆえに,(19)から、
|x_u×x_v|^2=sinh^2u[b^2c^2sinh^2ucos^2v+c^2a^2sinh^2usin^2v+a^2b^2cosh^2u]
            =(Δ^2)sinh^2・・・(22)
⇔|x_u×x_v|=Δsinhu ・・・(23) [∵u> 0 ] ここで次の[補題1]を準備する。
[補題1]
Δ=abc・[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2) ・・・(1.1)

「証明」(2)から、

x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4
   =a^2sinh^2ucos^2v/a^4+b^2sinh^2usin^2v/b^4+c^2cosh^2u/c^4
   =sinh^2ucos^2v/a^2+sinh^2usin^2v/b^2+cosh^2u/c^2
   =[1/(abc)^2][b^2c^2sinh^2ucos^2v+c^2a^2sinh^2usin^2v+a^2b^2cosh^2u]
   =[1/(abc)^2]・Δ^2   [∵ (19)による]
⇔ Δ=abc・[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2) よって証明された。
(証明終わり)
次に、
[命題2]

e=-(±)(x/a^2,y/b^2,-z/c^2)/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)・・・(2.1)

と表すことができる。
「証明」
e=(x_u×x_v)/|x_u×x_v| ・・・(7)と(21)(23) により、
e=(-(±)bcsinh^2ucosv,-(±)casinh^2usinv,absinhucoshu)/[Δsinhu]
 =(-(±)bcsinhucosv,-(±)casinhusinv,abcoshu)/Δ
 =-(abc)((±)asinhucosv/a^2,(±)bsinhusinv/b^2,-ccoshu/c^2)/Δ・・・(2.2) ここで、
(2) より (x↑)=x(u,v)=(asinhucosv,bsinhusinv,±ccoshu) だから
 ((±)asinhucosv/a^2,(±)bsinhusinv/b^2,-ccoshu/c^2)=(±)(x/a^2,y/b^2,-z/c^2)
・・・(2.3)を(2.2)に代入して、
 e=-(±)(abc)(x/a^2,y/b^2,-z/c^2)/Δ
 =-(±)[(abc)/Δ](x/a^2,y/b^2,-z/c^2)・・・(2.4) ところで[補題1]の
(1.1)式から、
 (abc)/Δ=1/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)・・・(2.5) ゆえに(2.4)は
e=-1/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)・(±)(x/a^2,y/b^2,-z/c^2)
 =-(±)(x/a^2,y/b^2,-z/c^2)/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2) ・・・(2.6)となり証明された。
(証明終わり)

さて、L,M,Nを求めよう。L=h_11=x_uu・e,M=h_12=x_uv・e,N=h_22=x_vv・e であるので、
[命題2]と(12)から
L=x_uu・e=(x,y,z)・e
 =-(x,y,z)・(±)(x/a^2,y/b^2,-z/c^2)/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2) 
 =-(±)(x^2/a^2+y^2/b^2-z^2/c^2)/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)
 =(±)1/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2) ・・・(23)
 [∵ 曲面Sの方程式は(1) から  x^2/a^2+y^2/b^2-z^2/c^2=-1 ]
即ち  L=(±)1/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)・・・(24)
次に(13)の
x_uv=(-acoshusinv,bcoshucosv,0) と[命題2]と(2)の
x(u,v)=(asinhucosv,bsinhusinv,±ccoshu) により、
[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)・M=[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)x_uv・e
=-(±)(x/a^2,y/b^2,-z/c^2)・(-acoshusinv,bcoshucosv,0)
=(±)[(x/a)coshusinv-(y/b)coshucosv]=(±)[sinhucosv(coshusinv)-sinhusinv(coshucosv)]
=(±)[sinhucoshusinvcosv-sinhucoshusinvcosv]=0 よって[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)・M=0
⇔ M=0 ・・・(25)
最後に Nを求める。(14)と(1)(2)[命題2]から
N=x_vv・e=(-asinhucosv,-bsinhusinv,0)・e
 =(-asinhucosv,-bsinhusinv,0)・(±)[-(x/a^2,y/b^2,-z/c^2)]
  /[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)
 =(±)(-x,-y,0)・[-(x/a^2,y/b^2,-z/c^2)]/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)
 =(±)[x^2/a^2+y^2/b^2]/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)
 =(±)[(x^2/a^2+y^2/b^2-z^2/c^2)+z^2/c^2]/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)
 =(±)[-1+z^2/c^2]/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)
 =(±)[-1+c^2cosh^2u/c^2]/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)
 =(±)[cosh^2u-1]/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)
 =(±)sinh^2u/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2) [∵ cosh^2u-sinh^2u=1 ]
つまり、N=(±)sinh^2u/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)・・・(26)

☆それでは、Gauss曲率K 及び平均曲率 Hを求めよう。
(24)(25)(26)により、
LN-M^2=LN-0^2=LN
=(±)1/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)・(±)sinh^2u/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)
=sinh^2u/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4] ・・・(27)
ゆえに、(10)とEG-F^2=(Δ^2)sinh^2u・・・(20)から、
K=(LN-M^2)/(EG-F^2)=sinh^2u/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4] ÷[(Δ^2)sinh^2u]
 =1/[(x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4)(Δ^2)]・・・(28)ここで[補題1]から、
Δ=abc・[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2) ゆえに、
K=1/[(x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4)・(abc)^2・(x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4)]
 =1/[(abc)^2{x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4}^2]
 =1/[(a^2b^2c^2)(x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4)^2]・・・(29) 即ち
Gauss曲率Kは
 K=1/[(a^2b^2c^2)(x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4)^2]・・・(30)

 つまりパラメーターu,v[但し u>0 ]に無関係に、二葉双曲面の上下半分の頂点を除く
任意の(x,y,z)に対し、
 Gauss曲率は、 (30)で与えられ、K > 0 ・・・(31)であることも分かった。
また、(x,y,z)の値により変化することも分かった。次に
Sophie Germain(ソフィー・ジェルマン)の平均曲率 Hを求める。M=0と(24)(26)により、

H=[EN-2FM+GL)/[2(EG-F^2)]=[(EN+GL)/[2(EG-F^2)] ・・・(32)であった。
ここで、E=a^2cosh^2ucos^2v+b^2cosh^2usin^2v+c^2sinh^2u・・・(15)と
N=(±)sinh^2u/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)・・・(26)とにより,
EN=(±)sinh^2u[a^2cosh^2ucos^2v+b^2cosh^2usin^2v+c^2sinh^2u]
     ×1/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)
  =(±)sinh^2u[cosh^2u(a^2cos^2v+b^2sin^2v)+c^2(cosh^2u-1)]
     ×1/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)  [∵ sinh^2u=cosh^2u-1 ]
 =(±)sinh^2u[(sinh^2u+1)(a^2cos^2v+b^2sin^2v)+c^2cosh^2u-c^2]
     ×1/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)
  =(±)sinh^2u[a^2sinh^2ucos^2v+b^2sinh^2usin^2v+c^2cosh^2u+(a^2cos^2v+b^2sin^2v)-c^2)]
     ×1/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)・・・(33) 
  [ ∵ cosh^2u-sinh^2u=1 ]
また、(17)のG=sinh^2u(a^2sin^2v+b^2cos^2v)と(24)の
 L=(±)1/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)とから、
から
GL=(±)sinh^2u(a^2sin^2v+b^2cos^2v)×[1/(x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4)^(1/2)]
  =(±)sinh^2u(a^2sin^2v+b^2cos^2v)/[(x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4)^(1/2)]
      ・・・(34)
ゆえに、
EN+GL=(±)sinh^2u[a^2sinh^2ucos^2v+b^2sinh^2usin^2v+c^2cosh^2u+    (a^2cos^2v+b^2sin^2v)-c^2)]
     /[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)
   +(±)sinh^2u(a^2sin^2v+b^2cos^2v)/[(x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4)^(1/2)]
    =(±)sinh^2u[(x^2+y^2+z^2)+(a^2cos^2v+b^2sin^2v)+(a^2sin^2v+b^2cos^2v)-c^2]
   /[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)
   =(±)sinh^2u[(x^2+y^2+z^2)+a^2(cos^2v+sin^2v)+b^2(sin^2v+cos^2v)-c^2]
   /[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)
   =(±)sinh^2u[(x^2+y^2+z^2)+(a^2+b^2-c^2)]
   /[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2) ・・・(35)

 [ここで、(1)の x=asinhucosv, y=bsinhusin^2v,z=±ccoshu を用いた。]
したがって、(32)の平均曲率は (35)÷[2×(20)]として
 H=[EN-2FM+GL)/[2(EG-F^2)]=[(EN+GL)/[2(EG-F^2)]
      =(±)sinh^2u[(x^2+y^2+z^2)+(a^2+b^2-c^2)]/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)
     ÷[2(Δ^2)sinh^2u]
      =(±)[(x^2+y^2+z^2)+(a^2+b^2-c^2)]/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)
      ×1/[2(Δ^2)] ・・・(36) ところが[補題1]により、
      Δ^2=(abc)^2×[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4] よって (36)から
  H=(±)[(x^2+y^2+z^2)+(a^2+b^2-c^2)]/[2a^2b^2c^2(x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4)^(3/2)]
   ・・・(37)
 と求まった。
  二葉双曲面の上半分の頂点を除いた任意の(x,y,z)に対し、平均曲率Hは
  [(x^2+y^2+z^2)+(a^2+b^2-c^2)]/[2a^2b^2c^2(x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4)^(3/2)]で与えられ、
 下半分の頂点を除いた任意の(x,y,z)に対し、平均曲率Hは、
  -[(x^2+y^2+z^2)+(a^2+b^2-c^2)]/[2a^2b^2c^2(x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4)^(3/2)]で与えられる。
  上半分と下半分で、「+,-の違い」があることになる。このことは図からもわかるように、
 主曲率をκ_1,κ_2とすると、二葉双曲面の上半分と下半分のz軸に関して対称な点では、κ_1,κ_2が、
 符号が異なるからで平均曲率Hは、(κ_1+κ_2)/2 で与えられるからであり、

 一方、Gauss曲率は、K=(κ_1)(κ_2)=(-κ_1)(-κ_2) だから、上下半分に関係なく、
 K >0 であることが分かる。

2.の(イ)
 二葉双曲面の上半分下半分の頂点の座標は、(0,0,c)と(0,0,-c)。ここで u>0 と
 したのは、(28)と(36)を導くにあたり、sinhu>0 [ sinhu≠0 でよい」を用いるからである。
 (2)ではu>0であるが、仮にu=0とすれば、sinhu=0 ,coshu=1より,(x↑)=x(u,v)=(0,0,±c)と
 なる。
 そこで、頂点の近傍でのパラメーター表示をして求めねばならないが、分からないので、
 u→0 として、 K,Hの極限値を計算しておくと、K→c^2/[a^2b^2] [∵(30)],
 H→±[(a^2+b^2)]/[2a^2b^2/c] =±[(a^2+b^2)c]/[2a^2b^2] [∵(37)]となる事を述べておくことで
 よしとしておく。

なお、上記の内容は、小林 昭七著「曲線と曲面の微分幾何」のP62~P63の例3.4を敷衍(ふえん)
して書いたつもりである。

次回は、「四面体及び三角形の内心Iと、内接球面と接点I^A,I^B,I^C,(I^D)との間のベクトル等式」に
ついて記す予定である。
[図1]

 


一葉双曲面のGauss曲率及び平均曲率について

2018年01月08日 | 考察

一葉双曲面のGauss曲率及び平均曲率について_2018_01_08(月)

「Yahoo 知恵袋」での「guanguansugaro」さんの幾何の質問に答えようとしていたが、期限が
2018_01_08(月)に切れてしまい、質問が削除された。折角なので、このBlogに書いておく。

1 一葉双曲面 x^2/a^2+y^2/b^2-z^2/c^2=1 ・・・(1)を曲面Sとする。下図[図1]参照。

 そのパラメーター表示を
 u,vを用いて   (x↑)=x(u,v)=(x,y,z)=(acoshucosv,bcoshusinv,csinhu) ・・・(2) にて表す。
ここに  coshx=[e^x+e^(-x)]/2,sinhx=[e^x-e^(-x)]/2 はxの双曲線関数(hyperbolic_
functions of x)とする。
 このとき、cosh^2x-sinh^2x=1,(coshx)'=sinhx,(sinhx)'=coshx・・・(3)が成り立つ。それで
(2)は(1)を満たすことが分かる。ベクトルの内積を「・」、外積を「×」で表すことにする。

一般論を述べる。第一基本形式 I(いち)は、dx=x_udu+x_vdv を用いて、I=ds^2=dx・dx
=(x_udu+x_vdv)・(x_udu+x_vdv)=(x_u・x_u)du^2+2(x_u・x_v)dudv+(x_v・x_v)dv^2・・・(4)
と定義される。そこで、g_11=E=x_u・x_u ,g_12=F=x_u・x_v,g_21=x_v・x_u ,
 g_22= G=x_v・x_v・・・(5) とおく。このとき、x_u・x_v=x_v・x_u ⇔g_12=g_21=F となる。また、
第一基本形式は、I=Edu^2+2Fdudv+Gdv^2=g_11du^2+2g_12dudv+g_22dv^2 ・・・(6)とも表せる。
但し、x_u=∂x/∂u,x_v=∂x/∂v,ベクトルxのu,vによる偏微分である。また、曲面Sの1つの
単位法線ベクトルをeで表す。e=(x_u×x_v)/|x_u×x_v| ・・・(7)とする。ここに「×」は「外積」
を表す。第二基本形式Ⅱ(に)は, L=H_11=x_uu・e,M=H_12=x_uv・e,H_21=x_vu・e ,
N=H_22=x_vv・e として、H_12=H_21となるので、
Ⅱ(u,v)=Ldu^2+2Mdudv+Ndv^2=H_11du^2+2H_12dudv+H_22dv^2 ・・・(8)と定義される。このとき、
第一基本形式は正定値なので、EG-F^2=g_11g_22-(g_12)^2>0 ・・・(9)がいつも成り立っている。
Gauss曲率 Kは、K=(LN-M^2)/(EG-F^2)=[H_11H_22-(H_12)^2]/[g_11g_22-(g_12)^2]・・・(10)
で与えられ、平均曲率 Hは、H=[EN-2FM+GL)/[2(EG-F^2)]
=[g_11H_22-2g_12H_12+g_22H_11]/[2{(g_11g_22-(g_12)^2)}] ・・・(11)となる。

一般論はここまでとする。

さて、1番の回答に移る。一葉双曲面のGauss曲率及び、平均曲率を求める問題。(2),(3)から、
x_u=∂x/∂u=(asinhucosv,bsinhusinv,ccoshu),x_v=(-acoshusinv,bcoshucosv,0),もう一回
偏微分し、
x_uu=∂(x_u)/∂u=(acoshucosv,bcoshusinv,csinhu)=(x,y,z)・・・(12),
x_uv=∂(x_u)/∂v=(-asinhusinv,bsinhucosv,0)・・・(13),x_vv=∂(x_v)/∂v
=(-acoshucosv,-bcoshusinv,0)・・・(14)となる。ゆえに、
E=x_u・x_u=a^2sinh^2ucos^2v+b^2sinh^2usin^2v+c^2cosh^2u・・・(15),
F=x_u・x_v=-a^2sinhucoshusinvcosv+b^2sinhucoshusinvcosv=(b^2-a^2)sinhucoshusinvcosv
・・・(16),
G=x_v・x_v=a^2cosh^2usin^2v+b^2cosh^2ucos^2v=cosh^2u(a^2sin^2v+b^2cos^2v)・・・(17)
よって 
EG-F^2
=(a^2sinh^2ucos^2v+b^2sinh^2usin^2v+c^2cosh^2u)×
        cosh^2u(a^2sin^2v+b^2cos^2v)-[(b^2-a^2)sinhucoshusinvcosv]^2
=cosh^2u[(a^2sinh^2ucos^2v+b^2sinh^2usin^2v)(a^2sin^2v+b^2cos^2v)
+(c^2cosh^2u)(a^2sin^2v+b^2cos^2v)-sinh^2u(b^4-2a^2b^2+a^4_)cosh^2usin^2vcos^2v]
=cosh^2u[sinh^2u{a^2b^2(sin^4v+2sin^2vcos^2v+cos^4v}
  +(c^2cosh^2u_)(a^2sin^2v+b^2cos^2v)] ここで [ ]は2行に亘るとする。
=cosh^2u[sinh^2u{a^2b^2(sin^2v+cos^2v)^2}+b^2c^2cosh^2ucos^2v+c^2a^2cosh^2usin^2v]
=cosh^2u[sinh^2u{a^2b^2}+b^2c^2cosh^2ucos^2v+c^2a^2cosh^2usin^2v]
=[b^2c^2cosh^2ucos^2v+c^2a^2cosh^2usin^2v+a^2b^2sinh^2u]cosh^2u・・・(18)
そこで、
Δ=√[b^2c^2cosh^2ucos^2v+c^2a^2cosh^2usin^2v+a^2b^2sinh^2u]・・・(19) とおけば、
(18)は、EG-F^2=(Δ^2)cosh^2u・・・(20)となる。
次に、
x_u×x_vを計算しよう。大学1・2年で物理の「荒川泰二」先生に習った「行列式的方法」にて
「外積」を計算する。
i,j,kを(x,y,z)空間の基本ベクトルとして、
x_u=(asinhucosv,bsinhusinv,ccoshu),
x_v=(-acoshusinv,bcoshucosv,0)     であるから、これらを3行3列の行列式として、
第1行に i,j,kを並べ、第2行に x_u,第3行にx_vを並べて

x_u×x_v
=
|           i              j         k   |
|  asinhucosv    bsinhusinv   ccoshu   |
| -acoshusinv     bcoshucosv     0    |

 とし、これを第1行に関し展開する方法である。
すると、
x_u×x_v
= i[-bcoshucosv(ccoshu)]+j[-acoshusinv(ccoshu)]
 +k[asinhucosv(bcoshucosv)+acoshusinv(bsinhusinv)]
=(-bccosh^2ucosv)i+(-cacosh^2usinv)j+[absinhucoshu(cos^2v+sin^2v)]k
=(-bccosh^2ucosv)i+(-cacosh^2usinv)j+[absinhucoshu]k
=(-bccosh^2ucosv,-cacosh^2usinv,absinhucoshu) つまり
x_u×x_v=(-bccosh^2ucosv,-cacosh^2usinv,absinhucoshu)・・・(21) とやるのである。
ゆえに
|x_u×x_v|^2=coshu^2[b^2c^2cosh^2ucos^2v+c^2a^2cosh^2usin^2v+a^2b^2sinh^2u]
            =(Δ^2)cosh^2u・・・(22)
⇔|x_u×x_v|=Δcoshu ・・・(23) ここで次の[補題1]を準備する。
[補題1]
Δ=abc・[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2) ・・・(1.1)

「証明」(2)から、

x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4
   =a^2cosh^2ucos^2v/a^4+b^2cosh^2usin^2v/b^4+c^2sinh^2u/c^4
   =cosh^2ucos^2v/a^2+cosh^2usin^2v/b^2+sinh^2u/c^2
   =[1/(abc)^2][b^2c^2cosh^2ucos^2v+c^2a^2cosh^2usin^2v+a^2b^2sinh^2u]
   =[1/(abc)^2]・Δ^2   [∵ (19)による]
⇔ Δ=abc・[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2) よって証明された。
(証明終わり)
次に、
[命題2]

e=-(x/a^2,y/b^2,-z/c^2)/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)・・・(2.1)

と表すことができる。
「証明」
e=(x_u×x_v)/|x_u×x_v| ・・・(7)と(21)(23) により、
e=(-bccosh^2ucosv,-cacosh^2usinv,absinhucoshu)/[Δcoshu]
 =(-bccoshucosv,-cacoshusinv,absinhu)/Δ
 =-(abc)(acoshucosv/a^2,bcoshusinv/b^2,-csinhu/c^2)/Δ・・・(2.2) ここで、
(2) より (x↑)=x(u,v)=(acoshucosv,bcoshusinv,csinhu) だから
 (acoshucosv/a^2,bcoshusinv/b^2,-csinhu/c^2)=(x/a^2,y/b^2,-z/c^2)・・・(2.3)を
(2.2)に代入して、
e=-(abc)(x/a^2,y/b^2,-z/c^2)/Δ
 =-[(abc)/Δ](x/a^2,y/b^2,-z/c^2)・・・(2.4) ところで[補題1]の
(1.1)式から、
 (abc)/Δ=1/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)・・・(2.5) ゆえに(2.4)は
e=-1/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)・(x/a^2,y/b^2,-z/c^2)
 =-(x/a^2,y/b^2,-z/c^2)/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2) ・・・(2.6)となり証明された。
(証明終わり)

さて、L,M,Nを求めよう。L=H_11=x_uu・e,M=H_12=x_uv・e,N=H_22=x_vv・e であるので、
[命題2]と(12)から
L=x_uu・e=(x,y,z)・e
 =-(x,y,z)・(x/a^2,y/b^2,-z/c^2)/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2) 
 =-(x^2/a^2+y^2/b^2-z^2/c^2)/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)
 =-1/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2) ・・・(23)
 [∵ 曲面Sの方程式は(1) から  x^2/a^2+y^2/b^2-z^2/c^2=1 ]
即ち  L=-1/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)・・・(24)
次に(13)の
x_uv=(-asinhusinv,bsinhucosv,0) と[命題2]と(2)の
x(u,v)=(acoshucosv,bcoshusinv,csinhu) により、
[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)・M=[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)x_uv・e
=-(x/a^2,y/b^2,-z/c^2)・(-asinhusinv,bsinhucosv,0)
=(x/a)sinhusinv-(y/b)sinhucosv=coshucosv(sinhusinv)-coshusinv(sinhucosv)
=coshusinhusinvcosv-coshusinhusinvcosv=0 よって[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)・M=0
⇔ M=0 ・・・(25)
最後に Nを求める。(14)と(1)(2)[命題2]から
N=x_vv・e=(-acoshucosv,-bcoshusinv,0)・e
 =(-acoshucosv,-bcoshusinv,0)・[-(x/a^2,y/b^2,-z/c^2)]
  /[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)
 =(-x,-y,0)・[-(x/a^2,y/b^2,-z/c^2)]/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)
 =[x^2/a^2+y^2/b^2]/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)
 =[(x^2/a^2+y^2/b^2-z^2/c^2)+z^2/c^2]/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)
 =[1+z^2/c^2]/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)
 =[1+c^2sinh^2u/c^2]/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)
 =[1+sinh^2u]/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)
 =cosh^2u/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2) [∵ cosh^2u-sinh^2u=1 ]
つまり、N=cosh^2u/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)・・・(26)

☆それでは、Gauss曲率K 及び平均曲率 Hを求めよう。
(24)(25)(26)により、
LN-M^2=LN-0^2=LN
=-1/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)・cosh^2u/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)
=-cosh^2u/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4] ・・・(27)
ゆえに、(10)とEG-F^2=(Δ^2)cosh^2u・・・(20)から、
K=(LN-M^2)/(EG-F^2)=-cosh^2u/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4] ÷[(Δ^2)cosh^2u]
 =-1/[(x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4)(Δ^2)]・・・(28)ここで[補題1]から、
Δ=abc・[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2) ゆえに、
K=-1/[(x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4)・(abc)^2・(x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4)]
 =-1/[(abc)^2{x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4}^2]
 =-1/[(a^2b^2c^2)(x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4)^2]・・・(29) 即ち
Gauss曲率Kは
 K=-1/[(a^2b^2c^2)(x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4)^2]・・・(30)

 つまりパラメーターu,vに無関係に、一葉双曲面の任意の(x,y,z)に対し、
 Gauss曲率は、 (30)で与えられ、K < 0 ・・・(31)であることも分かった。
また、(x,y,z)の値により変化することも分かった。次に
Sophie Germain(ソフィー・ジェルマン)の平均曲率 Hを求める。M=0と(24)(26)により、

H=[EN-2FM+GL)/[2(EG-F^2)]=[(EN+GL)/[2(EG-F^2)] ・・・(32)であった。
ここで、E=a^2sinh^2ucos^2v+b^2sinh^2usin^2v+c^2cosh^2u・・・(15)と
N=cosh^2u/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)・・・(26)とにより,
EN=cosh^2u[a^2sinh^2ucos^2v+b^2sinh^2usin^2v+c^2cosh^2u]
     ×1/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)
  =cosh^2u[sinh^2u(a^2cos^2v+b^2sin^2v)+c^2(1+sinh^2u)}
     ×1/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2) {∵ cosh^2u-sinh^2u=1 ]
 =cosh^2u[(cosh^2u-1)(a^2cos^2v+b^2sin^2v)+c^2sinh^2u+c^2]
     ×1/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)
  =cosh^2u[a^2cosh^2ucos^2v+b^2cosh^2usin^2v+c^2sinh^2u-(a^2cos^2v+b^2sin^2v)+c^2]
     ×1/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)・・・(33) 
  [ ∵ sinh^2u=cosh^2u-1 ]
また、(17)のG=cosh^2u(a^2sin^2v+b^2cos^2v_)と(24)の
 L=-1/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)とから、
から
GL=cosh^2u(a^2sin^2v+b^2cos^2v)×[-1/(x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4)^(1/2)]
  =-cosh^2u(a^2sin^2v+b^2cos^2v)/[(x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4)^(1/2)]
   ・・・(34)
ゆえに、
EN+GL=cosh^2u[a^2cosh^2ucos^2v+b^2cosh^2usin^2v+c^2sinh^2u-(a^2cos^2v+b^2sin^2v)+c^2]
     /[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)
   -cosh^2u(a^2sin^2v+b^2cos^2v)/[(x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4)^(1/2)]
    =cosh^2u[(x^2+y^2+z^2)-(a^2cos^2v+b^2sin^2v)-(a^2sin^2v+b^2cos^2v)+c^2]
   /[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)
   =cosh^2u[(x^2+y^2+z^2)-a^2(cos^2v+sin^2v_)-b^2(sin^2v+cos^2v)+c^2]
   /[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)
   =cosh^2u[(x^2+y^2+z^2)-(a^2+b^2-c^2)]
   /[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2) ・・・(35)

 [ここで、(1)の x=acoshucosv, y=bcoshusin^2v,z=csinhu を用いた。]
したがって、(32)の平均曲率は (35)÷[2×_(20)]として
 H=[EN-2FM+GL)/[2(EG-F^2)]=[(EN+GL)/[2(EG-F^2)]
      =cosh^2u[(x^2+y^2+z^2)-(a^2+b^2-c^2)]/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)
     ÷[2(Δ^2)cosh^2u]・・・(20)
      =[(x^2+y^2+z^2)-(a^2+b^2-c^2)]/[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4]^(1/2)
     ×1/[2(Δ^2)] ・・・(36) ところが[補題1]により、
      Δ^2=(abc)^2×[x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4] よって (36)から
  H=[(x^2+y^2+z^2)-(a^2+b^2-c^2)]/[2a^2b^2c^2(x^2/a^4+y^2/b^4+z^2/c^4)^(3/2)]
   ・・・(37)
 と求まった。
 一葉双曲面の任意の(x,y,z)に対し、平均曲率は (37)で与えられパラメーターに関係ない。

なお、上記の内容は、小林 昭七著「曲線と曲面の微分幾何」のP62の例3.3を敷衍(ふえん)
して書いただけである。今はこのような古典的な内容は大学ではやらない事が多い。
大学1年生か2年生の内容である。私のときもやらなかった。
いきなり3年生で多様体論を学習した。研究者を目指す読者は早いうちに、、
「多様体論」を学習するべきであると思う。「多様体論」の本としては、
松島与三「多様体入門(新装版)」と村上 信吾「多様体第2版」,松本 幸夫「多様体の基礎」
,今は、東京大学出版会の
「坪井 俊」の「多様体入門」から始まる幾何学の三部作「幾何学<1>_多様体入門」,
「幾何学<2>_ホモロジー入門」,「幾何学<3>_微分形式」がある。坪井の本は行間が狭く、
 1頁に文字がびっしりと記されており、内容が盛りだくさんで、なかなか読みにくい気が
 私にはする。

★ 次回は、二葉双曲面P62~P63の例3.4について(古典的な微分幾何)などか、
「四面体及び三角形の内心Iと、内接球面と接点I^A,I^B,I^C,(I^D)との間のベクトル等式」について
 記す予定である。

[図1]