
250号線を走る。海岸線の道である。
素晴らしい海を見下ろしながら走る。
「♪・・瀬戸は日暮れて 夕波小波 あなたの島へ お嫁にゆくの・・♪」
と思わず「瀬戸の花嫁」を口ずさむ。
たくさんの島々に見守られているという安心感が、瀬戸内海を明るく陽気にさせている。
海の青さに感激して走ったのも暫くの間であった。
素晴らしい景色には、苦しいアップダウンの道という代償が必要であった。
何度、自転車を押して上がり、
下った途端に、また急な登りを押して上がることを何度繰り返したことだろう。
相生を通過して陸地に入ったと思ったら、高取峠。
31度の気温の中をまた押して上がる。
下りは、40キロほどのスピードが出たが、その私を大型車が追い越していく。
「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏、・・・・・。」
信仰心はないのだが、思わずに口から念仏だ。
赤穂を越えてからも、鳥打峠、福浦峠とアップダウンは続く。
自分の年老いた肉体を悲しむ。観念する。
岡山の手前の伊部駅で休憩し、タウンページで宿泊先を探す。
タウンページ誌の裏に4,300円のビジネスホテルを発見。それも、二食付きだ。
すぐに電話で予約。ラッキーだ。
よし、今日はおいしいビールでも飲むことにしよう。
腕が黒くなってきて、皮がむけてきた。私の顔も真っ黒だ。
