この頃のテレビ報道では、国でも地方自治体でもリーダーによる「安全安心」の連呼が見られる。「安全安心」は四字熟語ではない。
そもそも、安全と安心は同じ状態を表してはいないし相関関係は薄い。
航空機を例に「安全」を考える。米国家運輸安全委員会(NTSB)の調査によれば、航空機事故で死亡する確率は0.0009%だという。
自動車や自転車の事故よりも少ない数字。なので一番「安全」と言える。しかし、だから「安心」かと言うとそうではない。「安心」は個人によって受け取り方が違うので広辞苑にあるように「心配・不安がなくて心が安らぐこと」とはならない。なので「安全安心」をひとくくりにすることには無理がある。しかしこの国や地方のリーダーたちは、「安全安心」を四字熟語の標語のようにひとくくりに使ってしまう。日本人の心に響く心地よい四字熟語なのだろう。「安全安心」と言うからには、その「根拠」が必要となる。しかし厳然たる数字で表すことのできる「安全」と、情緒的な「安心」とは相性が悪すぎる。これを一緒に「安全安心」と言ってしまうと、数字と情緒を一緒くたにすることになり、「根拠」は存在しないことになる。
マスコミも情緒に流されることなく、「安全安心」の根拠を問いただしてほしいものだ。
ところで案外マスコミも、「安全安心」の違いをわかっていないのかな。
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