光画繚乱

映画と写真、どちらも「光」が関わるので、そしてそれが「錯綜し合う」ということから、ブログタイトルを光画繚乱としました。

医師の提案に従った結果……

2023-06-28 19:06:19 | 私見偏在

 
 日本人の国民性を垣間見る記事に出会った。
国民の2人に1人が罹患するがんは治療の第一選択肢が手術になりやすい。例えば、ステージIの肺がんの場合、治療法の内訳はアメリカでは手術が60%、放射線治療が25%。同様にイギリスは手術53%、放射線12%だが、日本は手術95%、放射線5%となる。手術に伴う入院日数の長さも世界有数だが、入院の長期化は体が衰弱する原因になると考える医療関係者も少なくない。
 「早めに切った方がいい」夫が初期の胃がんになり、主治医からそうすすめられた例や、
 乳がんで乳房全摘手術を受け、「腫瘍の部位の関係で全摘。手術した方の腕は肩まで上がらず、体のバランスが変化してまっすぐ歩けなくなり、肩こりや頭痛に悩まされ、メンタル面でも乳房がなくなったショックは想像以上に大きかった、という。
 いずれも医師の提案に従って手術を受け、QOL(生活の質)が低下したケースだが、特に乳がんの場合は、切らない治療法がいくつもある。
 子宮がん検診で5cm弱の卵巣嚢腫が見つかった例では、半年後の検査で嚢腫が6cmになると医師から「これ以上大きくなるとねじれや壊死で激痛が走るかもしれない」と宣告され、その後、がんになりかねない「異型細胞」も見つかった。「がん」と聞いて怖くなった患者は、医師にすすめられるまま手術を受け、片方の卵巣を切除した。
 「手術を終えた後から尿漏れや下腹部痛、腰や背中の痛みが続き、膀胱炎をこじらせて腎盂腎炎を発症。1か月ごとの生理は陣痛のような痛みで、下半身の不調がずっと続いた。がんになったわけではなかったのだから手術を急がず、経過観察を続けるべきだったのかもしれない。手術以外の選択肢も示してくれていたら……」
 食道がんは執刀医の技術の差が出やすく、切除した食道と胃をつなぎ合わせるとき、下手なドクターに当たると、縫い合わせた部分がはがれやすく、予後が悪くなる。通常なら3週間で済む入院が3か月に延びたり、消化機能が低下して、慢性的な下痢に見舞われる、という。
 特に年齢が高くなるほど治療後のリスクは増す。治療は手術だけでなく、患者の状態によっては、さまざまな放射線治療もある。また、年齢だけで判断できるものではなく、高齢者は体の負担を考えて、治療そのものをしないという選択肢も考えたほうがいい、と結んでいる。
 とかく日本人は「権威」に弱い。「権威」のある者にはへりくだるだけでなく、従順に従う傾向にある。クイズ番組でも「旧帝大」卒には一目置く。そんなこんなで「権威」に黙ることから、「予期せぬ未来」に後悔することが多い。そろそろ「NOと言えない日本人」から脱皮しなければならないはず。
 近藤誠氏の「患者よ、がんと闘うな」には
自分のがん治療法を決めるのは患者自身だ! がん死の恐怖に煽られ、がんと闘わさせられて、苛酷な治療に苦しむ患者たち……。手術はほとんど役にたたず、抗がん剤治療に意味のあるがんは全体の一割にすぎず、がん検診は百害あって一利もないことを知ろう。無知や誤解にもとづくがんについての認識を改め、後悔しないため、自分のがん治療法は自分で決める。そのための書、とある。
 

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防人としての矜持

2023-06-21 19:32:15 | 私見偏在

 
 岐阜市内にある陸上自衛隊で発生した18歳自衛隊候補生による発砲事件。専門家や自衛隊OBは、銃に弾倉を充填するのは射撃位置に入ってからというのが射撃訓練の決まり。候補生は誰にも気づかれずに、発砲の準備を終えていた、のは「射撃場内に入った時点で実弾を渡したことが問題」としているが、根本はそんなことではない。人を殺傷可能な武器を扱う職場では、規則よりも相互の信頼関係が最も大事なはず。実弾を装填した銃を持つものが自分の後ろにいても、信頼関係がしっかりしていれば不安はない。規則は順守していても「味方のふりをした敵」がいては安全安心ではないからだ。
 自衛隊も隊員が不足だとか応募がないからといって、頭数をそろえればいいというものではないだろう。応募した若者に国防意識があるのかないのか見極めができなかったことこそが問題なのだ。「規則や手順の順守」が問題なのではない。警察官もだが、武器を扱う者としての心構えを問うたほうがいい。専門家を交えた心理テストや応募者の考え方を上司の前で発表・吐露させるとか方法はいろいろあるはず。
 私は十把ひとからげ的な「ゼット世代」だから、などという言葉が好きではない。人それぞれでいいから、国防を生業とする「防人としての矜持」があるかどうかにかかっている。簡単なことではないが、国には是非「選別」に力点を置いてほしい。この種の事案があると行政は慣用句のように「二度とこのようなことが起きないように」などと言うが、「選別」を真剣に行うようにすべきだ。

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なぜ加害者ばかり擁護

2023-06-14 20:19:57 | 私見偏在

 
  日本ペンクラブ会員 日野百草氏
 回転寿司チェーン「くら寿司」の店で、客席にある醤油差しを舐める。うどん店では、天かすを入れるためのスプーンを口に入れる。さらには、そのめいわく行為を撮影した動画をSNS上に投稿し、店の業務を妨害する。こんなめいわく行為が社会問題化している。
 そんななかでスシローの運営会社がこの問題を巡って、ついに加害者少年への提訴に踏み切った。請求した損害賠償額は6700万円。この額については世間から様々な意見がある。一方でこの期に及んでも加害者を擁護するようなマスコミの言動が目立つ。現代社会が産んだ病理ともいえる「めいわく行為×SNS」は、どのような顛末を迎えるのか。
 衛生問題と風評被害で店は大損害、客足も一時的に減少し、株価の時価総額もまた一時的とはいえ、およそ160億円も下落したとされる。業界全体、外食全体に与えた影響はとてつもなく大きい。6700万円の是非はともかく、それでも他国なら桁の1つや2つは違うかもしれない。
 この騒動で一部の大手新聞社やテレビ局はペロペロ少年のプライバシーや「更生」を重視する姿勢をとった。テレビ朝日のワイドショーで、ある元野球選手でタレントの方が「下働きというか、裏方さんの業務をやらせるのも一つの手」「少年を育成、教育の観点からも(スシローが更生の手助けをすれば)イメージが上がる」と、少年の更生について語ったとされる件だ。
 冒頭のような膨大な被害を受けながら、なぜ加害者であるペロペロ少年の更生にスシローが尽くさなければならないのか、という疑問もでてくる。「スシロー」が「罰を下す」ではなく判断するのは司法であり、スシローではない。これこそ他罰を誤解している、と氏は述べている。
 こういう「事件」では被害者や社会が少年の更生や将来について考えることは必要ないと言える。考えるのは加害者と両親の方だからである。加害者側が反省するのは当たり前。加害者は被害者の要求した金額を支払うことだけを考えて対処してほしいものだ。
 
 

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ジャーナリズム

2023-06-07 19:53:45 | 私見偏在

 
 日刊ゲンダイの記事から
 岸田文雄首相(65)の長男で首相秘書官(当時)の翔太郎氏(32)や親族らが参加した昨年末の首相公邸での忘年会の様子を撮影した写真がメディアに相次いで報じられた。
 週刊文春が翔太郎氏らの「どんちゃん忘年会」を報じたのに続き、写真週刊誌「フライデー」がこの忘年会に岸田首相が参加者らと寝間着姿のまま記念撮影に応じていた写真を掲載。「文春砲」が掲載された当初、「誠に遺憾」などと他人事にように答えていた岸田首相だったが、実は自分も顔を出して笑顔で写真を撮っていたのだから唖然茫然だ。ネット上でささやかれているのが、《岸田首相は自分の行動が、まさかバレるとは思っていなかった》との声だ。というのも、岸田首相の親族らが公邸を訪れ、大臣ごっこしたり、赤じゅうたんの階段に寝そべったりするなどしていた悪ノリ忘年会が開かれていた日の新聞各紙の「首相動静」を振り返ると、こうあるからだ。
 「午前10時現在、公邸。朝の来客なし。午前中は来客なく、公邸で過ごす。午後2時19分、公邸発。午後2時34分、東京・日本橋兜町の東京証券取引所着。同35分から同44分まで、脚本家の三谷幸喜氏、清田瞭日本取引所グループ(JPX)最高経営責任者(CEO)ら。同3時1分から同22分まで、大納会に出席しあいさつ。午後3時24分、同所発。午後3時32分、東京・銀座のリラクセーションサロン「クイーンズウェイ銀座並木通り店」着。マッサージ。午後5時34分、同所発。午後5時46分、公邸着。午後10時現在、公邸。来客なし」になっている。報道の通りならば、同日は終日、公邸への来客はなかったことになるが、実際は全く違っていた。
 記事は《床屋やサロンに行ったことは詳細に出ているのに、どんちゃん忘年会出席の記載はなし。まだ何か隠しているのでは》と結んでいる。
 これが日本のジャーナリズム。記者クラブや番記者などが幅を利かせる世界。
 記者クラブとは大手メディア(新聞社・通信社・テレビ局など)から派遣された記者が取材のために常駐している拠点とある。
 番記者とは情報を得るために、有力な政治家、特定の有名人などに密着して取材する新聞社や放送局の記者。
 「報道する自由と報道しない自由を自在に使い分ける組織」と言える。番記者が「総理から食事に誘われた」などと自慢することもあるようだ。これだと記事にできないような場合も考えられる。
報道の自由度ランキングでは71位の日本。さもありなん。 

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