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模擬裁判

2006年11月28日 03時47分25秒 | 法律
10月からずっと、

模擬裁判という授業にかかりっきりでした。

これは、学生が、裁判官、検察官、弁護人に分かれて、

実際の裁判のまねごとをするという授業です。

自分は弁護人役をやり、被告人の無罪を主張してきました。


さて、1ヶ月以上も続いてきた模擬裁判も、

先週ついに結審しました。

心配していた最終弁論も

先生から「しつこかった」という謎のお褒めをいただき、一安心です。

あとは、数日後の判決を待つだけですが、

先生に見込みを聞いたところ、

いまだ審理不尽だろうとのコメントをいただきました。

審理不尽とは、つまり、被告人が犯罪をしたという立証が不十分で、

この時点では無罪ということです。

この1ヶ月の苦労が報われるのではないかと、判決に期待が持てます。


もっとも、このような結果が招かれたのは、

弁護人が有能だったからではありません。


刑事訴訟では、「被告人が本当に罪を犯したのか」ということをめぐって、

両当事者が、主張立証を展開します。

で、このときに、犯罪をしたという立証は、すべて検察官がしなくてはなりません。

つまり、被告人(弁護人)に比べて、

検察官には非常に重い負担が課されているわけです。

今回の模擬裁判では、

検察官がその重い負担をはねのけるまでには至らなかったということだと思います。

検察官を演じるのも学生ですから、初めての立証はなかなか難しいのです。


検察官がすべての立証をしなくてはならないということは、

現実の刑事訴訟でも同じです。

この現在の仕組みは、

「10人の犯罪者を野に放しても、1人の冤罪被害者を出さない」という

強力な被告人の人権擁護の思想に基づいています。

この仕組みの下では、検察官の立証がへたくそだったら、

本当は罪を犯していた被告人も無罪になります。

したがって、検察官は立証の失敗を防ぐために、捜査に熱心になります。

強引にでも証拠を発見しようとするわけです。

たとえば、取調べにおいては、被疑者を長時間壁に立たせたり、

ペンを眉間に突きつけたりというようなことが、時として行われるようです。

結局、訴訟段階で被告人の人権を守る仕組みが、

捜査段階での人権侵害を起きやすくしていることになります。

そうだとすると、現在の仕組みが適当なのかという疑問が出てきます。


その疑問に対する正解は、よくわかりません。

ただ、犯罪をしていないことを被告人に立証させるのはかなり難しいですし、

被告人役を演じた友達の話によると、

1人で法廷に引き出されて質問を受けるというのはかなり心細く

自分に不利な供述をさせられそうになることもあるそうです。

そうだとすると、やはり検察官に立証の負担が負わされている仕組みにも

いい面はありそうです。


ここでは、これ以上検討しませんが、

制度設計をどうするかという問題は、複雑で面白いものですよね。

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2 コメント

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ありがとう (たっきー)
2006-12-31 22:51:55
こんな辺鄙なブログに足しげく通っていただいて
ありがとうございました。
ヒマワリさんも素敵な年をお迎えください
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2006年も残りわずか (ヒマワリ)
2006-12-31 22:16:28
2006は楽しい記事ありがとうございます☆
2007年もたっきーさんとたっきーさんのまわりも幸せに元気でいられますように☆

良いお年を☆
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