ウィーンで研究留学!

以前はウィーンでの留学生活を綴っておりました。今後はクラッシック音楽を中心に細く長く続けていけたらと思っています。

ブーレーズ指揮・ベルリン国立歌劇場管弦楽団のマーラー交響曲8番「千人の交響曲」

2009年05月01日 07時01分03秒 | 音楽(クラシック)
千人の交響曲は人を集めるだけで大変だと思いますが、それを考えるとかなり頻繁に演奏されているような気がします。が、今まで一度も生で聴いたことが有りませんでした。録音はいろいろ持っているのですが、この曲は余りに音量の幅が大きすぎて基本的に録音では辛いような気もします。実際普通にCDを聴いていても第二部に入った後で必ず寝てしまうような感じです。

去年から今年のシーズンでなぜかブーレーズとバレンボイムが分担してベルリン国立歌劇場のオケとマーラーのサイクルをやっています。やはり結構人気で早めにチケットを買ったのですが、何が入るか分からない日常のため余り沢山買うわけにも行かず、結局6番か8番で迷ったあげく8番を選びました。6番は2度ほど生で聴いたことが有ります。といってもブーレーズのマーラーは5番と6番の録音を聴いた限りバーンスタインの演奏になれた耳には感性が欠如しているような音楽に聞こえるのでそこまでの期待が有ったわけではありません。バレンボイムはまああり得ないし。

ということでキャストは以下のように。これだけでも凄く長い!

Staatskapelle Berlin
Singverein der Gesellschaft der Musikfreunde in Wien
Slowakischer Philharmonischer Chor
Wiener Sängerknaben
Pierre Boulez, Dirigent
Ricarda Merbeth Ricarda Merbeth, Sopran
Camilla Nylund Camilla Nylund, Sopran
Adriane Queiroz Adriane Queiroz, Sopran
Michelle DeYoung Michelle DeYoung, Alt
Jane Henschel Jane Henschel, Alt
Robert Dean Smith Robert Dean Smith, Tenor
Hanno Müller-Brachmann Hanno Müller-Brachmann, Bariton
Robert Holl Robert Holl, Bass

結論から行くと、凄い数でしかもかなり良く訓練されたレベルの高い合唱のパワーで時々びりびり来るような感触は覚えたものの、なんというか全くうねりの無いブーレーズの音楽と、この曲の特殊性でなんというか冷めて聴いてしまうような感じでした。周りを見ているとみんな一生懸命歌詞を追っているのでやっぱりドイツ語が分かって意味を理解しながら聞くと違うんだとは思いますが、やっぱり第二部の途中から20分ほどは寝てしまいました。第一部はなんというかいつもクライマックスのような感じで、全体がつかめないし、第二部は冗長で音楽だけを聴いていると本当に難しい曲です。最後の盛り上がりがオケだけなのも結構謎です。

舞台は本当にいっぱいいっぱいで、使えるスペースはとにかく使うような状態。ソリストは第一部では合唱の前に入って、第二部では指揮者の横に来たのですが、第一部では彼らですら狭そうでした。合唱団のおじさん達は肩と肩が接しているような感じ。バルコニーの少年合唱団はまあ余裕が有りそうでしたが。通常の舞台では足りないので舞台を客席側に継ぎ足していて、サークルと呼ばれている席は舞台になってしまっていました。それに舞台と同じ高さのバルコニー席の1番は鍵盤楽器に占拠されていました。バルコニーの2番の席の人は辛いだろうなあとか余計なことを考えてしまいました。打楽器群も近いし。

ブーレーズの指揮はなにかの映像で見たとおり、何の変哲も無く感情表現などまるで無し、かといってテクニックが有るわけでも無いという感じでしたが、まあ基本は作曲家ですからね。全然キューが入らないオケがしっかり入っていたのはさすがという感じです。まめにキューが出ていたのはやはり合唱団に対してで、特に少年合唱団にはとても丁寧に出していました。それでも第一部のはじめの方の複雑なところは合唱団のソプラノが走り気味でオケとだいぶずれていたようにきこえました。まあ本当に規模が大きいので一人の指揮者では大変すぎます。

ブーレーズも初めて生で聴いたわけですが、まあ予想通りというか今度は別の曲で聴きたいところです。彼が指揮者として復活した時のはじめのCD、ストラビンスキーのペトルーシュカと春の祭典、が衝撃的だったのでちょっと期待したのですが


最後に付け加えておくと終了後の観客の盛り上がりはかなりのものでした。やっぱりブーレーズは現代的にはスターなんだなあと思わされました。他のお客さんが盛り上がっていて乗れないのは寂しいものが有りますが、この前は周りが冷めていて叫びたいんだけどちょっと遠慮するようなことも有りました。やっぱりウィーンの聴衆もネームバリューに弱い気がします。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。