ウィーンで研究留学!

以前はウィーンでの留学生活を綴っておりました。今後はクラッシック音楽を中心に細く長く続けていけたらと思っています。

絶不調を乗り越えての渡辺竜王の防衛

2007年12月14日 02時21分58秒 | 将棋
将棋の渡辺明竜王が今期も防衛を果たし史上初の竜王位連続4期となった。竜王を応援し続けてきた私にとって今期の防衛は非常に感慨深い。私が15年ぶりに将棋ファンに復活した4年前に彼は丁度若干20歳にして最高位の竜王を獲得したところであった。私は彼のブログを読み、彼の若さゆえの挑戦的な物言いと、若さにそぐわない将棋界に対する深い洞察に魅せられすっかりファンになった。新たなタイトルこそ獲得して居ないもののその後二期防衛を果たした竜王戦での彼の強さは凄みすら感じる。

しかし今年の夏、竜王は明らかな不調に陥った。それは恐らく彼のトレードマークでもありファン呼び寄せたブログからであったのではないかと思われる。Gooブログの中でも常にアクセス数ランキングの上位にいる彼のブログは遂にGoo公式ブログになったのだが、それとほぼ同時に悪質な書き込みが急増した。いままでもそういうものは無くは無かったが、あまりに執拗で、悪質な書き込みに対して、竜王本人はあまりに正直で無防備であったのではないかと思う。こういうものは気にしても仕方がないと思っても悪質な内容を読めば精神面でマイナスの効果が生じる。彼の書き込みも明らかに今までと調子の違うようなものが見られた。恐らくそれと、通常の好不調の波が重なって、大きく落ち込んでしまったのだろう。信じられない順位戦での連敗。大事な一番でも相次いで負け、最後に残ったのは竜王の防衛戦だけになってしまった。

だが不調期が防衛戦の前だったというのは、彼と竜王位の運命の強さなのかもしれない。見かけ上不調を引きずっているようにファンには写ったのではないかと思うが、ブログは彼の当初の何者も拒まない信念を、悪く言えば曲げ、悪質なものを拒否することで平常を取り戻した。

昨年に続き佐藤二冠を迎え撃った防衛戦はどちらかというと佐藤の方が不調で内容的には大分偏りがあったようだが、最後の一番は昨年も佐藤が連続採用した奇策に対し竜王がインタビューなどで語っていたという正攻法で、かつ、見たことも無いような駒組みで勝ちきった。昨年はお互いにギリギリの戦いで7番勝負の最後の最後で竜王が強さを見せた気がするが、今年は第6局で決着が着いたこともあり、竜王が新境地とともに貫禄を示した感がある。

私は極めて一般的なレベルの将棋のファンなので将棋の差し手についてレベルの高いことは分からないが、渡辺竜王の将棋はなんというかダイレクトで率直に面白い。羽生二冠の差し手が常に難解でいつも良く分からないうちに勝っているのとは明らかに違う。将棋には筋とか大局観という素人には分かりにくい感覚の言葉ががあるが、渡辺竜王の場合、よく分からない手というのは最後になってものすごい妙手であったり、多くの場合納得が行くことが多い。よく分からない手でいたずらに引き伸ばすとか、局面を難解にするとかいう感覚が彼には余り無いのかもしれない。だから負けるときはややあっさりであることが多い気もするが、将棋の内容は羽生世代よりも分かりやすく、しかも羽生世代に対抗しているのだからファンには嬉しいばかりである。

渡辺竜王はその風貌から魔太郎などと呼ばれることもあるが、対局中のふてぶてしい態度などは今の若手には余りみられない迫力があり、よく言われるように現代の大山名人になりうる個性的な存在だと思う。彼が今期の苦難を乗り越えたことで来年は一回り強くなると期待しているが、羽生世代を駆逐していく姿を是非見て見たい。数年のうちには名人位に挑戦してくれるのではないかと思うが、そのときにはなんとしてでも言い訳をつけて帰国し、現場に駆けつけたい。羽生世代が争っているだけではそんなことは微塵も思わないから、彼の活躍は確実に将棋界を活性化するだろう。


しばらくの沈黙の後いきなり将棋のねたになってしまいましたが、今週末には極めてウィーン的なネタでの更新を準備しています。

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