キッチンさなえ Kitchen SANAE 

女優、結城さなえの徒然なる日々。

父の話

2022-12-16 13:48:00 | 女優


父が大好きだった鰻重。

初めての月命日が無事過ぎましたので、謹んでご報告させていただきます。

先月11月9日午前2時22分、父が天国へ旅立ちました。
79歳でした。


あの真っ赤な皆既月食の日、月食の終わった満月がいつも以上にひときわ白く輝いている真夜中でした。


この10年、大きな病や厄介な持病に見舞われながらも手術や辛い治療も乗り越えて、ずっとずっと頑張ってきた父。

昨年亡くなった姉の分まで頑張って生きるんだと、前向きにリハビリもして、お散歩までできるようになってきた矢先でした。

亡くなる1週間前に少し体調を崩し、点滴のために入院したつもりでしたが、体力も免疫力もまだまだだった父の身体はその悪化の勢いを、どうしてもどうしても止めることができませんでした。

あれだけピンチを乗り越えてきたのに、これからやっと穏やかな時間を楽しめるのに、こんなにもあっけなく、心の準備もなく、どうして、、、と私自身もとても心が追いつきませんでした。

そんな私の心を察したのか、
父が最期にちゃんと時間をくれました。

午前2時過ぎの皆がいなくなった(コロナで面会制限があったので)病室。
私は意識のない父の手を握っていました。
二人きりのとても静かな時間。

今まで父へ伝えたかった言葉を、父の耳元で話し続けました。
あふれでてくる懺悔や感謝、、意識がある時にちゃんと伝えておけばよかった、そんな思いもよぎりながら、とにかくありったけの愛を伝えました。

すべてを話し終わり、
最後に、、
「お父さん、私が最後までずっと一緒にいるからね。安心してね」
と言ったほんの5秒後、、
ピーッという音とともに心拍数が0になり、父は旅立っていきました。

今までの辛さや苦しみから解放された、本当に穏やかで優しい顔をしていました。

そして何よりも「全力でやりきった」という顔をしていました。

私の手を握り、
私の話をしっかり受け止め、
心に寄り添って安心させて、
最後はとびきり穏やかな満足した顔で、、、

最期の最期まで、本当に家族想いの父らしい旅立ちでした。


最後にしっかり話をして、父の穏やかな旅立ちの顔を見ることができて、救われた思いでした。
父が最後に私にくれた、最高の優しいプレゼントでした。

私の人生において、父は、いつも優しく、そして、常に無条件で私を応援し味方でいてくれました。

私が、人を信じ愛し、人の中に希望を見出せるのも、そんな父に育ててもらったからだと思います。

あぁ、いつも大きな深い愛で支えてもらっていたんだと、亡くして初めて、どしんと心に重く響くように気付かされています。

この喪失の大きさ。
まだまだとても受け止めきれず、毎日毎日、まとまりようのない感情に右往左往しております。

何かに気づいたり見つけたりする日々。

焦らず、向き合いたいと思っています。

皆様には、ご心配をおかけいたしまして大変申し訳ありませんでした。

少しずつ回復していくので、どうぞしばらくは温かく見守ってくださると幸いです。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

追伸1
この1ヶ月、公演や集まりなどのお誘いのご連絡をくださった皆さまには、ほとんどお返事もできず不義理をいたしまして、大変申し訳ありませんでした。
忌中につき、これからの年末年始、お誘いやご挨拶をご遠慮させていただくことがございますが、なにとぞご理解いただけますと幸いです。

追伸2
実はこの鰻重は、通夜の後、通夜ふるまいでご参列の皆さまにお出ししたものです。もちろん、父の遺影の前にも。
通夜には珍しいメニューですが、どうしても好物を出してあげたかった。
お父さん、食べられてよかったね。

#ripmydad 
#20221109
#2022 #autumn


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