皆さんと一緒に考えましょう

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

「妹を金づちで殴っちゃって」閉鎖病棟に収容される少年たちの"ある共通点"

2021-07-04 15:30:00 | 日記

下記の記事はプレジデントオンラインからの借用(コピー)です

「なんでいけないのか分からない」

精神科病院には症状の重い患者などを収容する「閉鎖病棟」がある。閉鎖病棟に入院した経験のある牧師の沼田和也さんは「私が入院した閉鎖病棟には、金づちで妹の頭を殴打した少年や、幻覚に苦しむ少年など、さまざまな症状を抱える少年たちがいた。交流をするなかで、彼らはある共通点を持つことに気づいた」という――。
※本稿は、沼田和也『牧師、閉鎖病棟に入る。』(実業之日本社)の一部を再編集したものです。
「まさかそんな人と同じ部屋になるなんて」
同室の16歳の少年、マレと仲良くなると、彼の友人たちとも親しくなった。隣室の17歳の少年、キヨシ。廊下を挟んだ部屋にいる21歳の青年、カケル。19歳の大人しい少年、リョウ。彼らはいつも、わたしがいる部屋に集まってくる。
閉鎖病棟は、することが少ない。週なんどかの作業療法や、看護師に引率されての買い物があるとはいえ、基本的には暇である。彼らはとくに夕食後から就寝時間まで、修学旅行で旅館に泊まった子どもたちのようにじゃれあい、ときには喧嘩もした。マレが自分語りを始めた。
「ぼくはこの春、○○校の中等部を卒業しました。で、この春から高等部に入ったんですよ」
わたしはハッとした。幼稚園とも交流のある特別支援学校である。
「その学校、ぼくも入学式や卒業式に、来賓で呼ばれて参列しているよ。ぼくは教会の牧師で、幼稚園の理事長兼園長だったんだよ」
「じゃあ、ぼくが卒業証書を受け取るのを見てたんですね!」
マレの眼が輝く。
「そうそう! へえ、ぼくたちは出会ってたんだね」
「そういえば、あなたをエレベーターで見たような気が。パリッとしたスーツ姿だったから目立ったんです」
「うん、先に妻が入院していたからね。その見舞いに来ていたんだ。今度は入れ替わりで、ぼくというわけ」
「まさかそんな人と同じ部屋になるなんてなあ!」
「あ、妹は死んでません。ただ…」
「それにしても、きみはなんで入院しているの? ああ、先にぼくのことを話そう。ぼくは教会の牧師や園長をしていたんだけれど、その、まあ……キレちゃってね。
職場で大声で怒鳴り散らしちゃったんだよ。知能テストと医者の診察の結果によると、どうやら発達障害らしいってさ」
「ぼくもそうです。発達障害です。妹を金づちで殴っちゃって。テレビのチャンネル争いをしていたんですよ。それで腹が立って。殴ったあとは彫刻刀握って、自分の部屋に閉じこもりました。
ベッドの上で、両手には彫刻刀を持ってね。あと、部屋にはガスガンの拳銃やマシンガン、ナイフもたくさんありますから。立てこもってやろうと思って。そしたら親が警察呼んじゃって、強制入院させられたんです。
あ、妹は死んでません。ただ、今回のことですごくショックを受けてしまったみたいで……。ちょっとおかしくなっちゃって、今は別の施設に保護されています」
マレのおだやかな語りと、その内容の壮絶さとのギャップに、わたしはどう相槌を打ってよいのか分からなかった。
マレはとても丁寧な敬語を遣う。表情もおだやかだ。ただ、活舌が悪いので、ときどき聴き取れないこともあった。彼はそのことを気にしている。
「ぼくの言葉、聴きにくいですよね。小学生のときから発達障害の薬をたくさん飲まされて。舌がうまく回らないんですよ。それが恥ずかしくて……」
どの少年や青年にも共通していたこと
食後にトレイを看護師に返すとき、交換で看護師が患者に薬を渡すのだが、たしかに少年の薬は何錠もあった。
薬を飲み残さないか確かめるため、患者は看護師の前で服薬し、舌を出して看護師に見せる。マレもそうしていた。わたしはといえば、服薬にまつわるこんなささいなことさえ、嫌で仕方なかった。監視されなくても飲むよ! いちいちストレスがたまった。
自由の重さを初めて体験したのだと思う。少年たちはわたしに興味津々だった。どこへ行くにもついてくる。牧師で、園長もしていた、いわば彼らから見て最も遠い存在であるはずの「先生」という仕事をしていた人間。
そんな人間が今、目の前に自分たちと同じ患者として入院していることが不思議でたまらないのだろうか。彼らは折を見てはわたしに話しかけてきた。
彼らの境遇はさまざまであった。どの少年や青年にも共通していたのは、親の度重なる結婚と離婚だった。彼らの親のなかには、6回離婚と再婚を繰り返した人もいた。どの少年や青年も親権はみんな母親にあるので、「一貫した」親は母である。
しかし、母親が再婚するたびに環境は激変する。親が再婚するごとに、日本中を転々としたキヨシ。母親はぜんぜんかまってくれず、いつも新しい男に夢中。キヨシは家族団らんも、母親とのゆっくりとした時間も知らない。
「殺せよ」「殺したらいいじゃないか」という幻聴
「おれは野球部にいたんですよ。それと暴走族」「そおそお、おれらのちーむよね」とカケルが相槌を打つ。彼は交通事故の後遺症で、言語と歩行に障害がある。キヨシが続ける。
「おれ、しばらく児童養護施設で育ったんですけど。でもまあ、幻覚や幻聴がね。なんかひどくなっちゃって。あ、牧師さん、幽霊って見たことあります? おれはあるよ。部屋にね、青い顔が浮かんでるわけ。で、それが見えだすと、もうどこに行っても顔がついてくる。なんか、ずっとこっちを見てるんだよね」
頷いていたマレが口を挟む
「ぼくは声かな。ずっと話しかけられて。『殺せよ』『殺したらいいじゃないか』って。すごくはっきり聴こえる」
彼らは怪談話に興じているわけではない。わたしを怖がらせようと、わざと大袈裟に話しているのでもなく、ただ淡々と事実を語っている。むしろその口調に、わたしは背筋が凍りつくような恐怖を覚えた。
「なるほど、君は施設から学校に通い、野球部にいて、暴走族もやったと。幻聴や幻覚があるから入院したの?」「ま、それもあるけどね。リストカットね。そうそう、牧師さんに訊きたいんだけど。なんでリストカットしたらいけないの? 腕にね、彫刻刀をぐさっと突き刺す」
キヨシは刺す真似をしてみせる。手つきが慣れている。
「リストカットをするとほっ、とする」と語る少年
「で、あたたかい血が流れてくる。するとね、ほっ、とするんですよ。煙草を一服するのと、そんなに変わらないと思うんだけどなあ。いろんな人から言われたよ?『自分の身体を傷つけるのはよくない』とか『自分を大切にしなさい』とかって。
でも、なんでそれがいけないのかは教えてくれない。煙草を吸うのとなにが違うのかなあ。牧師さん、分かる?」わたしにはなにも答えられなかった。
なにも。聖書には「あなたがたは、自分が神の神殿であり、神の霊が自分たちの内に住んでいることを知らないのですか。」(コリントの信徒への手紙一三章一六節、新共同訳)とある。
わたしは今まで、「自殺はよくない」とか「自分を傷つけてはいけない」とか、「自分を愛そう」などと語ってきた。
しかし彼の一言の前に、すべての言葉が飛んだ。ありのままの自分を愛そう?
この子たちはもうじゅうぶん、自分の「ありのまま」とやらを見せつけられてきたんじゃないか?
この子たちに言うのか、「『あなたには神が宿っている』って聖書には書いてあるよ。だから神が宿るような、貴い自分を傷つけちゃだめだよ」って?
わたしはこのとき気づいた。自分が神の神殿であり、神の霊が自分の内に住んでいることを、このわたし自身ぜんぜん知らないし、信じてもいないと。そんなわたしが、この少年たちになにを偉そうに言えるのかと。
「聖書にこう書いてある」は通用しない
沼田和也『牧師、閉鎖病棟に入る。』(実業之日本社)
17歳で喫煙することが法に触れるということなら、「法律違反だから」と説明できたかもしれない。
けれども、なぜ自分の身体を傷つけてはいけないのか。本人が「ほっ、とする」と言っている、しかも出血多量で死ぬほどには至らない行為を、絶対にダメだと言い切る根拠はあるのか。
わたしは黙り込むしかなかった。キヨシはキヨシで、わたしが答えられないような質問をしたことに対して申し訳なさそうにしていた。どうやらこの病院のなかでは「聖書にこう書いてある」という、あらゆる回答は無効である──そのことだけは答えられそうだ。
沼田 和也(ぬまた・かずや)
牧師
1972年生まれ。兵庫県神戸市出身。高校を中退、引きこもる。その後、大検を経て受験浪人中、1995年、灘区にて阪神淡路大震災に遭遇。かろうじて入った大学も中退、再び引きこもるなどの紆余曲折を経た1998年、関西学院大学神学部に入学。2004年、同大学院神学研究科博士課程前期課程修了。そして伝道者の道へ。2015年の初夏、職場でトラブルを起こし、精神科病院の閉鎖病棟に入院。現在は東京都の小さな教会で再び牧師をしている。


「孤独死」と呼ばないで 上野千鶴子さんが考える幸せな最期の迎え方

2021-07-04 13:30:00 | 日記

下記の記事は朝日新聞Reライフからの借用(コピー)です

慣れ親しんだ自宅で“幸せな最期”を迎えるにはーー。社会学者の上野千鶴子さんが、シリーズ最新作『在宅ひとり死のススメ』を出しました。ベストセラーとなった『おひとりさまの老後』から14年。「おひとりさまでも、認知症でも大丈夫。ひとり静かに死んで『孤独死』とは呼ばれたくない」と語る真意を聞きました。
老後に子どもと同居するのは幸せか
 上野さんが『おひとりさまの老後』を書いたのは2007年、58歳の頃。当時、おひとりさまは「おかわいそうに」「おさみしいでしょう」と言われることに一石を投じようと出した本だったという。それが、おひとりさまだけでなく既婚の女性たちの共感も呼んでベストセラーに。続いて『男おひとりさま道』や『おひとりさまの最期』が出版されて“おひとりさま三部作”となった。
 かつて「子どもと同居することが幸せ」だと当たり前のように考えられていたのが、いまや週刊誌で老後特集があると、「子どもとの同居はNG」と取り上げられるようになった。同居だけでなく、「孫の教育資金を出す」「自分の家を売って手放す」などは、いずれも上野さんが「やってはいけない」と言い続けてきたこと。「14年前はおそるおそる言った“非常識”なことが、“常識”になってきた。この変化が10年ちょっとで起きたのだから驚きます」と振り返る。
家で死ぬのに医者はいる? いらない?
 『おひとりさまの最期』から6年たち、今回は「介護現場の経験値がさらに蓄積されてきた。そのことを広く知ってもらいたい」と筆を執ったという。
 戦後の高度成長期に病院で亡くなる人の割合が急増したことで、「最期は病院で迎える」ことが当たり前に。一方、在宅での看(み)取りは難しく、ましておひとりさまが自宅で最期を迎えることは非常識だと考えられてきた。しかし、2000年に介護保険制度が導入されたことで、介護現場の意識は徐々に変化してきたという。上野さんは「最初は、訪問看護に携わる人たちが『家で死ぬのに医者はいりません』と言い出しました。続いて介護職の人たちも経験値が上がり、『家で死ぬのに医者も看護師もいりません』と言うようになりました」と話す。病院でもなく、施設でもない、自宅で最期を迎えることが現実的な選択肢になってきた。
 その上で、「かつては家族がいないとできないと思われていた在宅の看取りが、家族がいない方が良いくらいまで変わった」と指摘する。家族がいることで介護保険制度を利用できなかったり、本人の意思に反して施設に入れられたりすることもあるからだ。
 上野さんが「在宅死のひけつは独居であること」と表現するほど、介護現場の経験値が積み重なってきているという。
問題は孤独死ではなく「孤立した生」
 「ひとり静かに死んだとき、『孤独死』とは呼ばれたくありません」と語る上野さんは、ひとり暮らしの高齢者がひとりで亡くなることを「在宅ひとり死」と名付け、広めてきた。新著では、老後はひとり暮らしの人のほうが幸せを感じているというデータを引用し、ひとり暮らしを「撲滅すべき社会問題」として捉えるべきではないと指摘する。「本当の問題は、死後に発見されることよりも、生きている間の孤立だということは忘れないようにしたい」

「嫁のタダ働き」が「労働」に 介護保険20年の意義を上野千鶴子さんが解説

草の根の女性たちを追って介護研究へ

 介護保険制度が導入されたのは2000年。女性学の専門家である上野さんは、その1年前に介護の研究を始めたという。その理由を、「草の根の活動をしている女性たちを応援してきて、当時、生協の助け合いボランティアなどが介護保険の認定事業になるかどうかの境目でした。こんな制度は歴史上日本にはありませんでした。この歴史の転換点を、現場の人たちがどう乗り越えていくのかに関心がありました」と振り返る。
 それから20年間、介護現場を歩き続けた。「日本の介護は、福祉先進国に比べれば、お金とマンパワーは絶対的に少ない。しかし、ケアの質は世界に誇れる。やってきたことに自信を持っていい」と評価する。
介護は「タダ」ではない
 「私以外の論者がめったに指摘しないことがあります」と上野さんは続ける。「この20年間で、『介護はタダではない』という常識が定着したことは、ものすごく大きな変化です」。他人にやってもらうとお金がかかると人々が気づいたことで、家の中であっても価値のある仕事だということが、やっと認識されるようになったからだ。
 「女性が家でやってきた介護は『タダ働き』が当然だったのが、よその家で介護をすれば対価が発生する『労働』に変わった。かつては嫁が舅(しゅうと)や姑(しゅうとめ)を介護しても当たり前で、『ありがとう』さえ言われませんでした。タダ働きだったことが『見える化』したことの効果は大きいです」
「明日は我が身」と心得よ
 しかし、介護保険も安泰ではない。法律で3年ごとに見直しを検討することになっていて、政府は利用を抑制する方針にすでに舵(かじ)を切っているからだ。上野さんは新著『在宅ひとり死のススメ』の中で、「介護保険が危ない!」というテーマに1章を割いた。介護保険が改定される度に使いにくくなってきた歴史をひもとき、制度を空洞化させる政府の方針に警鐘を鳴らす。「若い世代は、自分の問題だと考えてほしい。介護保険が危ないということは、あなたの親とあなた自身の老後が危ないということ。明日は我が身です」と説く。
 介護保険があることで、親と同居しなくてもすむようになった。若い世代もいずれ年を取って介護される側になる。いま40代の人が要介護になるのは40年後かもしれないが、その時も介護保険の制度が持続可能でなければ、安心して暮らせないだろう。
子どもには「ほどほどの負担」を
 「昔は、介護のために自分の人生を犠牲にするほどの負担を強いられましたが、いまは介護保険のおかげで、介護のために家族の誰かが犠牲にならなくてもすむようになりました」。上野さんは、介護保険が始まる前に「嫁」として介護で苦労した女性たちが「子どもには頼りたくない」と言うのを不思議に感じるという。「もちろん家族の負担はゼロにはなりません。介護保険を使って、背負いきれないほどの負担ではなく、背負える程度のほどほどの負担を子どもに背負ってもらったらいいでしょう。親の死に方は子どもへの最後の教育。子どもたちも、親を看(み)取ったあとに『頑張って介護したよね』という満足感と『これでやっと解放されたね』という解放感の両方の気分を味わったらいいと思うのです」
「ぼく、さみしいねん」と言えますか? 上野千鶴子さんが語る「受援力」
「在宅ひとり死のススメ」(下)
2021.04.28
 社会学者の上野千鶴子さんは近著『在宅ひとり死のススメ』で、「老いは誰にも避けられません」と書いています。超高齢社会の「老いの下り坂」を下りていくのに、どのような準備をしたらいいのでしょうか。介護の現場で生まれたキーワードと、ケアをされる時の心構えについて聞きました。
誰もが老いて弱者になる時代
 超高齢社会では、誰にでも訪れる「老いの下り坂」をゆっくりと下りていく。「おひとりさまブーム」の牽引(けんいん)役となった上野さんは、シリーズ最新作の『在宅ひとり死のススメ』で「老いは誰にも避けられません。死亡率は100%です」と書いた。
 内閣府の「高齢社会白書」によると、1980年には高齢者世帯のうち「三世代世帯」が全体の半数を占めていたが、2018年には10%にまで減少。「老後は子どもと同居」が当たり前ではなくなった。2000年に介護保険が導入されて20年。介護現場の経験値とスキルが上がり、独居の在宅看(み)取りが手に届くようになってきたという。
 老いについて、上野さんは「赤ん坊は、放っておくと死んでしまう無力な存在。みんな一人で育ったような顔をしますが、無力に生まれ、老いると再び無力な存在になっていきます。ケアを誰が担ってきたのか。誰のおかげで大きくなり、誰があなたの老後の世話をするのか。それを忘れていませんか」と語る。
人に助けてもらうスキルを身につけるには
 自分が弱者になると、人に助けてもらうスキルも必要になってくる。介護する人はプロなのに対し、介護される人はアマチュアだ。任せるところは任せながら、主張すべきところは主張する。上野さんは、介護現場で「受援力(じゅえんりょく)」という言葉が生まれた、と話す。人から助けてもらうにも「助けてもらうスキル」があり、「できない」「助けて」と言える力が求められるのだそうだ。
 では、受援力を身につけるにはどうすればいいのか。上野さんは「誰でも、いくつになっても学習できます」と言う。例えば、自分自身がケアをする側にいたら、いずれケアをされる側に回った時にも「こうすれば良い」と分かる。「学ぶ機会は、その気になればいくらでも見つかります。ただ、男の人は自分の弱さを認めたがらないから、これがなかなかできないようですね」
「助けて」と言えるのも能力
 上野さんは講演会などで、老後に男性が生き残る道を“伝授”しているという。「女性の集まりに出かけて、一言、こう言ってください。『ぼく、さみしいねん』。これが言えたらあなたは生きていけます」。反応は様々で、「とっくに実践しています」という人もいれば、「やってみたけれど何の効果もなかった」(笑)という人もいるという。
 「相手に聞こえるように言わないとダメですよ。女性たちは親切だから、これが言えたら構ってくれます」と上野さんは笑う。「ケアをされる準備をするには、弱音を吐くことが大切です。外国に行って言葉ができなければ、赤ん坊と同じ。助けてもらえないと生きていけません。『助けて』と言えるのも能力ですから」
上野 千鶴子(うえの・ちづこ)
社会学者
1948年生まれ。東京大学名誉教授。認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長。京都大学大学院社会学博士課程修了。日本における女性学・ジェンダー研究・介護研究のパイオニアとして活躍。著書に『おひとりさまの老後』『男おひとりさま道』(文春文庫)、『おひとりさまの最期』(朝日文庫)など。


「イメージは黒田清子さん」皇室有識者会議で飛び出した“1つの妙案”《小室圭さん“皇族化懸念”も》

2021-07-04 11:00:00 | 日記

下記は文春オンラインからの借用(コピー)です

「政府は3月23日から6月7日までの間、安定的な皇位継承策を議論する有識者会議の会合を6回にわたって開催し、皇室制度や歴史、憲法、海外王室の専門家ら計21人から意見聴取(ヒアリング)を行いました。意見聴取はこれで終了です。政府はこれらの意見を踏まえて論点を整理した上で国会に報告し、各党の意向も踏まえながら秋までの意見集約を目指すことになります。その中で、天皇・皇后両陛下の長女・愛子さまがご結婚後も皇室に残られてご両親をお支えする道筋が、示されることを願わずにはいられません」眞子さま 
 ある宮内庁関係者はこう語る。
 共同通信が4月30日にまとめた最新の世論調査では、女性天皇について「賛成」と「どちらかといえば賛成」が計87%に上り、2020年4月の前回調査の85%を上回った。母方だけが天皇家の血を引く女系天皇についても「賛成」と「どちらかといえば賛成」が計80%となり、前回の79%を上回ってついに8割に達した。一方、保守派と呼ばれる人々が主張する戦後に皇室を離れた旧宮家の男系男子の子孫を皇族にして男系男子の皇位継承を維持することについては「反対」と「どちらかといえば反対」が計67%に上り、賛成意見の計32%を大幅に上回っている。
「専門家らの意見は、男女平等に基づいて女性天皇・女系天皇を共に認めるべきというものや、10代8人の男系女子の天皇が過去に存在した史実に基づいて女性天皇は認めるものの、女系天皇は歴史や伝統に反するとして不可とするか慎重な議論を促すもの、男系男子の皇位継承を維持するために旧宮家の子孫を養子縁組させるべきといったものなど、これまでも論じられてきた意見が多かった印象です。報道陣に答える婚約内定報道直後の小室圭さん 
 また、女性皇族が結婚後も皇室に残る『女性宮家』の創設については保守派の論客として知られるジャーナリストの櫻井よしこ氏が、秋篠宮ご夫妻の長女・眞子さまとの婚約が内定している小室圭さんを念頭に『女性宮家をつくって女性皇族と民間男性が結婚すれば、その男性は皇族になる。今そのような事例が適用されるかもしれない女性皇族の方がいらっしゃる』とした上で、『今まで皇室と全く関係なかった男性が皇族になるならば、60、70年前まで皇室の一員だった方が皇室に戻るのは何の問題もない』と述べ、旧宮家の子孫の皇籍取得の妥当性を主張しました。ジャーナリストの櫻井よしこ氏は、小室圭さんを念頭に「女性宮家をつくって女性皇族と民間男性が結婚すれば、その男性は皇族になる。今そのような事例が適用されるかもしれない女性皇族の方がいらっしゃる」とした上で、「今まで皇室と全く関係なかった男性が皇族になるならば、60、70年前まで皇室の一員だった方が皇室に戻るのは何の問題もない」と述べ、旧宮家の子孫の皇籍取得の妥当性を主張 
 皇室の一員だった方はいずれも他界したか高齢なので、対象は現実的にはその子孫になることを考えれば、『戻る』という表現は正確とは言えませんが、どうやら小室家の金銭トラブルは、皇統の問題にまで影響を及ぼし始めているようです」(同前)
 眞子さまと小室さんは、共に30歳を迎える10月をめどにご結婚を実現したい考えだったとされる。
「スケジュール的にはかなり困難になってきていますが、まだ完全に諦めたわけではないのではないでしょうか。それほどまでに眞子さまの思いはご結婚に向けてまっしぐらといった印象です。
戦後に現行皇室典範に基づきご結婚により皇籍を離れた元女性皇族は7人おられますが、実はこのうち過半数の4人が10月に結婚されています。古くは昭和天皇の第四皇女子(四女)の池田厚子さんが1952年10月10日に結婚されています。直近では故高円宮さまの三女・守谷絢子さんが2018年10月29日に結婚されました。その姉の千家典子さんも14年10月5日です。特に高円宮家のお二方は年齢も近く、眞子さまが意識をされていないわけはない気がします。20歳頃の小室圭さんと眞子さま。お二人は学生時代に知り合った。今年30歳を迎える
 また、愛子さまは12月1日に20歳の誕生日を迎えられます。新型コロナウイルスの感染状況次第でどうなるかはまだ分かりませんが、成年皇族となられる節目に恒例の記者会見に臨まれる可能性があるのです。宮内庁関係は、「愛子さまは12月1日に20歳の誕生日を迎えられます。成年皇族となられる節目に恒例の記者会見に臨まれる可能性があるのです。もし眞子さまのご結婚がこの時点で実現しておらず、成年会見の中で記者から眞子さまのご結婚について問われた愛子さまが、2月の天皇陛下の誕生日会見と同様に『多くの人が納得し喜んでくれる状況になることを願っております』などとおっしゃったとしたならば、眞子さまにとって相当なプレッシャーとなることは想像に難くありません」と証言 
 もし眞子さまのご結婚がこの時点で実現しておらず、成年会見の中で記者から眞子さまのご結婚について問われた愛子さまが、2月の天皇陛下の誕生日会見と同様に『多くの人が納得し喜んでくれる状況になることを願っております』などとおっしゃったとしたならば、眞子さまにとって相当なプレッシャーとなることは想像に難くありません。納采の儀を経ずとも秋をめどにご結婚を実現させたいお気持ちは、依然としてお強いのではないでしょうか」(同前)
「旧宮家」の言及を潜り込ませようと画策してきた保守派
 女性天皇待望論や女系天皇容認論が国民世論の中で強まっている一方で、自民党保守派やその支持層に根強い男系男子の皇統死守論に配慮し、政府による意見集約は結論めいたものにはならないとみられており、皇位継承順位も当面は変更しない見込みだとされる。
 ある自民党関係者は言う。悠仁さま 宮内庁提供
「党内外の保守派にとって重要な点は、政府の公文書に旧宮家の子孫が皇籍を取得する可能性を書き込むことにあります。保守派勢力はかねてより有識者会議が発足した場合のテーマの中に『旧宮家』について潜り込ませようと画策してきた経緯があります。女性皇族が結婚後も皇室に残る女性宮家創設との両論併記になったとしても、旧宮家に言及した公的な文書が作成されれば快挙といっても過言ではないのです」
女性宮家が創設される場合、その夫は櫻井氏が述べたように皇族の身分になるのかどうか議論がなされておらず不明だが、皇室の戸籍に当たる皇統譜に夫として名前を記載するとなれば、皇族の身分となることになるだろう。皇居全景 
 同居する宮邸も故桂宮さまが住んでいた宮内庁分庁舎や上皇・上皇后両陛下の転居後の高輪皇族邸などが使用されることになる。
 また、宮内庁職員数人が宮家職員として配置される。皇族の配偶者「皇配」として皇族費から手当も支払われるため、民間企業などで働くわけにはいかず、公務に専念せねばならない。眞子さまと小室さんのご結婚までに女性宮家制度の確立は間に合うとは思えないが、もし間に合った場合、米国の司法試験に合格しても何の意味もなくなるというわけだ。前出の宮内庁関係者が語る。秋篠宮は2018年の会見で、「多くの人がそのことを納得し喜んでくれる状況、そういう状況にならなければ、私たちはいわゆる婚約にあたる納采の儀というのを行うことはできません」と発言 
結婚後も皇室に残って「潜在的な継承候補者」に?
「今回の意見聴取の中で、元朝日新聞宮内庁担当記者でジャーナリストの岩井克己氏は『女性宮家』とは別に『内親王』が結婚後も皇室に残って潜在的な継承候補者となる案を示しました。内親王とは天皇の娘や先帝の孫娘などを意味します。現在は愛子さまと眞子さま、その妹の佳子さまのお三方がいらっしゃいます。ほかに未婚の女性皇族は故寬仁さまの長女・三笠宮彬子さまと次女の瑶子さま、故高円宮さまの長女・承子さまのお三方がおられますが、ご身分は『女王』です。
 また、京都産業大学の所功名誉教授は男系男子を優先としつつも、一代限りで男系女子まで認めることは必要とした上で『愛子さまが結婚されても皇室にとどまり、ご両親を支えられるようにする必要がある』との意見を述べています。いずれも愛子さまを念頭に、ご結婚後も男系女子の天皇候補として皇室に籍を残せるようにすべきと受け取れるものです。
 皇統譜に名前を残したまま夫婦として別に戸籍を持つことになると、二重戸籍となってしまいますが、皇統譜は特殊なものだけに上皇陛下の退位を認めた特例法の前例に倣って『特例』として認めてもいいはずです。ゴルフの全米女子オープン選手権で優勝した笹生優花選手が日本とフィリピンの国籍を持っていることで話題となった二重国籍は、広い意味で国をまたいだ二重戸籍の状態ともいえるでしょう。決して不可能な制度設計ではないのです。
伊勢神宮の祭主を務める黒田清子さん
 皇族の身分を有したまま、民間の夫婦と同様の生活を送るわけです。天皇陛下の妹・黒田清子さんが現在でも皇籍を持っているイメージです。清子さんは皇室とゆかりのある伊勢神宮の祭主を務めており、皇籍離脱後も皇族に準じる活動をされています。皇宮警察本部や警視庁警備部警衛課の警護対象ではなくなりましたが、現在も必要に応じて地元警察署が警備対象としています。2012年5月14日、伊勢神宮の臨時神宮祭主として「神御衣祭(かんみそさい)」で初めて祭典奉仕を行った黒田清子さん 
 愛子さまが降嫁しても同じような状況になるでしょう。その愛子さまに皇族の身分は維持して頂くというわけです。皇族のままとなれば警備は少し手厚くなるでしょうが、女性宮家創設と比較して財政負担も軽く、国民の理解も得やすいはずです。あくまでも秋篠宮ご夫妻の長男・悠仁さまのご健康に問題が生じた場合などのセイフティーネットとして、年齢も近い愛子さまに期待を寄せる新たな制度と言えるのではないでしょうか」
 意見聴取では、女性天皇に「賛成」か「条件付きで賛成」は13人に上り6割を上回ったが、女系天皇に賛成したのはそのうちの5人にとどまった。一方で女性天皇に「反対」か「慎重な意見」を表明したのも5人にとどまった。女性天皇を認める場合も男子優先か長子優先かについてはばらつきが出たが、これらの意見を踏まえれば、兎にも角にも愛子さまだけは潜在的な皇位継承候補者としてご結婚後も皇室に籍を残される道を開く方向に、意見集約はなされるべきなのではないだろうか。


農薬の毒性に迫る最先端の研究成果…動物実験では精巣破壊

2021-07-04 08:30:00 | 日記

下記の記事は日刊ゲンダイデジタルからの借用(コピー)です

前もってお断りするがこうした実験は人間で行うわけにはいかず、ほとんどラットやマウスを使っている。同じ哺乳類のマウスで起こることは、人間でも起こりうるからだ。

 ネオニコチノイド(ネオニコ)という農薬が残留した野菜と一緒にハンバーグなどの高脂肪食を食べると肥満が1・5倍加速すると書いたが、そうなるのは農薬によって腸内細菌叢が変わるからだ。抗生物質を飲んでも腸内細菌叢は変わるが、農薬でも変わる。

 では、他にどう変わるかというと、まず免疫に影響を与える。人間の腸には1000兆個ともいわれる腸内細菌がいる。免疫細胞の7割は腸の消化管にいるが、これを活性化しているのが腸内細菌だ。

ラットにこの農薬を投与すると、腸内細菌叢が変わって免疫系が撹乱され、炎症を抑える善玉菌が減った。免疫系が撹乱されて炎症を抑える菌が減れば、免疫系は敵と味方が分からなくなり、自己免疫疾患やアトピー性皮膚炎などになりやすい。

 自己免疫疾患というのは膠原病や関節リウマチなどの難病が多く、安倍晋三前首相も患った潰瘍性大腸炎もそうだ。原因は、異物を排除する免疫系が敵と味方を判別できず、自分の正常な細胞を攻撃することで起こるといわれる。農薬が全てとはいえないが、実験では農薬も関わっていることは明らかだ。

 自己免疫疾患の患者数は90年代から急激に増え始めたが、ネオニコが使われたのもその頃からだから、やはり気になる。

■動物実験では精巣が壊れた

 この農薬をウズラに投与すると、オスは精巣が壊れてしまった。また、オスのマウスに投与すると、精巣から精子が消えたという実験結果もある。男性ホルモンのテストステロンが消えて精巣が育たないのだ。現実世界でも、1973年から2011年まで、男子の精子が半分以下に減少したというから、農薬との関わりは十分考えられる。草食系男子が増えたというのも、あるいは農薬と無関係ではないのかもしれない。

さらにマウスにネオニコを投与して物体の認識能力を調べると、明らかに短期記憶が悪くなったそうだ。アルツハイマー病も記憶障害から発症することは多いが、もしかすると認知症にも関わっているのかもしれない。

 この農薬、ごく少量で免疫系や神経系に障害を与えるが、その毒性は短期間では目に見えず、発がんのような派手さもないだけに、怖さを理解するのは簡単ではない。