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がん治療「標準治療」の罠、「あなたは治療不可です。死ぬのを待ちなさい」

2021-08-31 15:30:00 | 日記

下記の記事はダイアモンドオンラインからの借用(コピー)です。

進行の食道ガンステージ3を生き抜いたジャーナリストの金田信一郎氏が、病院と治療法を自ら選択して生き抜いた著書『ドキュメント がん治療選択』。そこに登場するがん医療の権威で米国でもがん研究を続けた中村祐輔氏(外科医・がん研究所)は、日本の医療界の問題に鋭いメスを入れます。第2回は日本のがん治療が「標準治療」至上主義になってしまった原因について。なぜ患者一人ひとりに合わせた医療を提供できないのでしょうか。(聞き手は金田信一郎)
■がん研中村祐輔氏の「がん治療選択」01回目次へ「なぜ、日本はコロナワクチンが作れないのか。「白衣を着た詐欺師」たち」
『ドキュメントがん治療選択』にも登場するがん研究会がんプレシジョン医療研究センター所長の中村祐輔氏
――日本の医療界では「標準治療」が絶対的な力を持っているように見えます。医師は「これが標準治療です」と言って押し付けてくるし、患者も患者で「標準治療を受けていれば間違いない」と信じている人が多い。
中村祐輔氏(以下、中村) 2000年ぐらいから急激に「標準化」と言われ始めました。医療の標準化というのは、ある意味、必要だったかもしれない。でも、今では、もうマニュアル通りに受けるのが「患者の義務」みたいな感じになってしまった。
――それでいいのでしょうか?
中村 20世紀はよかったのでしょうね。20世紀というのは、こっちの医療をやった1000人と、あっちの1000人を比べて、どっちが有効だったかという形で新薬や医療が生まれてきたわけです。
 でも、現代は遺伝子の解明が進んで、患者ごとに大きな違いがあるというのがわかってきたわけですよ。個人個人の違いを考えた治療を提供できる時代になってきたわけです。私は「オーダーメイド医療」の概念を1990年代半ばから提唱していましたけども、技術的な進歩によって、それが実現できるようになってきました。
――2000年から「標準化」と強く言われたのは、何か理由があったんですか。
中村 結局、医師がみんなバラバラに治療をやっていて、スタンダードがなかったわけですね。あまりにも医師が好き勝手にやっている。だから、「やっぱり医療を標準化、そして、全国で均てん化しないといけない」となった。がん対策基本法なども整備されて、「標準化がかなり大事だ」ということになったんです。
 ところが、医者がマニュアルに書かれた治療を提供することが自分の責任を果たせると思うようになってしまった。その結果、目の前の患者さんごとに反応が違うということを、意識しなくなってしまったんです。
――それまではもうちょっと、患者ごとに合わせた治療をやっていた。
中村 悪い言い方をすると、好き勝手にやっていた側面があったんですけどね。だから、ある意味で標準化の成功した面もあったと思います。けれどもAよりBという薬の方が効く人がいても、BよりAという薬の方が効く人もいることがわかってきている。にもかかわらず、それに目を背けて、「とにかく標準治療だ」と。
 標準治療がある間はいいのです。患者さんにうまく対応できることもある。でも、標準治療がなくなった途端に医者はお手上げになって、もう平気で患者に、「あなたは死ぬのを待ちなさい」という感じで宣言することが増えてきたわけです。
――もうそれ以外のことはできないわけですね。マニュアルに書いていないから。
中村 保険診療という制度によって病院が縛られているという実情も確かにあるんですよね。余計なことをすると、病院にペナルティーが下るので、要するに決められた通りのことだけをする。それが、厚労省と保険診療という世界ですから。
 医療費がどんどん膨らんできて、保険財政が厳しくなってくると、縛りをきつくする。この「縛りをつける」のと、「標準化」というのが完全にマッチしてしまって、一定の治療法を提供するという形で、どんどん医師と病院を束縛しはじめたわけです。
 自由診療を一つでも受けると、「全額自分で払いなさい」となる。明らかに不合理な状況が進んできて、新しいものを生み出す力がなくなってしまったわけです。
――やはり、医療費が膨らんできて、財政が厳しいから、効率的でマスに効くことだけをやりましょう、となったんでしょうか。
中村 それは、多分20世紀の間はよかったと思うんです。21世紀になって、患者さんごとの個性を知ることができる時代になってきたにもかかわらず、定型的な医療行為しか許さない。明らかに科学の進歩を捉えられずに、医療行政が進んできた。その弊害が出てきている。
――今の話は皮肉ですね。21世紀になったというのに、工業化でマニュアル作業になっていった20世紀の産業に近い発想ですね。
中村 多くの医師たちが使う、「エビデンスがない治療」って言う批判ですが、どんな治療法でも、最初は有効だっていうエビデンスなんてあるはずがない。今では優秀な治療実績をあげている心臓移植や骨髄移植だって、最初は悲惨なものだったわけで、その壁を乗り越えてきたんです。
 日本は、海外で実績が得られて、いろいろ統計学的な差というエビデンスが揃っているものしか「科学」として認めない。本来は、基礎から積み上げていってエビデンスがあるものにしていくのですが、その力を失いかけている。
 がん組織からリンパ球を取り出し、対外で増やして、そのリンパ球を注射するがんの治療法っていうのは、もう1990年代から始まっているんです。それが、なぜ2018年にNature Medicineと言う超一流の学術雑誌から世に出たかというと、科学的に証明したわけです。注射すると効く人のリンパ球はどんな種類のものかを。
――誰がやったのですか。
中村 この論文はNCI(アメリカ国立がん研究所)です。我々も、もう10年以上前からいろいろながんで免疫療法に取り組んでいます。2020年、近畿大学の安田卓司教授が、論文を出しているんですけど、ワクチンをしている人としていない人では、5年生存率が倍ぐらい違う。
 この動画映像を見てください。(パソコン画面に、緑色に染色されたがん細胞が、リンパ球に囲まれて、消滅していく映像が流れる)
 我々の体の中には、がんをやっつけようとするリンパ球がいるんです。緑色に染色したがん細胞がどんどん減っていきますね。これは、6時間の映像を数十秒に圧縮したものです。
――劇的な効果があるわけですね。
中村 ところが、こういう映像を見せても信じない人たちがいっぱいいるんです。
 がんは遺伝子異常で起こる病気なんですよ。それは、ゲノムを調べればすぐにわかるわけです。そうすると、がん細胞の周りに、がんにしかない目印がいろいろとあるのが、すぐわかるんです。今だったら、1週間足らずで、がんの特徴を知ることができる。
 人工的に(がんの目印を)作って注射するネオアンチゲン療法は、中国やアメリカでかなり治験が進んでいる。
 リンパ球がわかると、がんの目印と鍵と鍵穴の関係ですね。鍵穴がわかったら、鍵穴を人工的にいっぱい入れてやることができるわけです。遺伝子操作で簡単にできる。いろんな形で患者さんの免疫を高めることができる時代になってきたんですよ。
――なぜ、こうした治療法が広まらないんですか。
中村 まあ、「治療費がかかって大変だ」っていう人がいるんですね。確かに、少人数だったら、何千万円単位でかかりますけど、患者が増えればコストは下がるわけですから。そして、命を助けることができる。我々の理想は、がんで患者さんを亡くさないことです。
 ところが、そういう考え方が日本では「異端」となってしまう。「標準医療がなくなった人は、そのまま息を引き取ってもらおう」みたいな医療になってきているわけです。
――確かに、日本には免疫療法をネガティブに見ている人が多くいます。でも、海外で治験が進んでいて、論文も出て映像もあるのに、それでも理解できない人たちがいる?
中村 そこには利権もあるわけです。今回のコロナ対策と同じですが。やっぱり、自分たちの既得権益を守りたいわけです。日本の「ムラ社会」の弊害がこういうところにも表れているわけです。
――既得権益というのは、医療界の人たちの既得権ですか。
中村 まあ、「日本において一番でいたい」という考え方で、これまで医療界はこのような考えが非常に強い。「外国人には負けてもいいけど、国内では負けたくない」というね。日本では自分たちを凌駕するようなことをやってほしくない、という考え方です。
――かなり歪んだムラ意識があるわけですね。
中村 今回のコロナのPCR検査がなかなか進まなかったのも、PCR検査をどう広めればいいのか、知識がなかっただけの話だと思います。コロナウイルスのゲノム解析も同様です。結局、最新の知識を知らない人たちが自分たちの古い知見で考えてやりくりしようとするから、「難しい」という話になって、PCR検査を「やらなくていい」とか言ってしまう。そうすると、そのままずっとボタンの掛け違えが続いてしまう。
 遺伝子が変わって危険度が増すわけですが、それを理解するためには、ウイルスのゲノムの解析をしないとわからない。特定の遺伝子異常を持ったものが増えてきて初めて、こいつは危険だってわかるんです。だから、地域ごとに、きちんと調べていかないとならない。でも、「調べないとわからない」ということさえわからない人たちが、コロナ対策を練っているわけです。


銀行預金の遺産相続に期限はある? 預貯金の相続に必要な手続きを解説

2021-08-31 13:30:00 | 日記

下記の記事は相続会議(朝日)からの借用(コピー)です

銀行など金融機関の預金口座は、口座の名義人が亡くなると凍結されて入出金ができなくなります。凍結を解除して亡くなった人(被相続人)の預金を相続人が引き出すには、金融機関ごとに所定の手続きが必要です。手続きに期限はありませんが、早めに手続きするのが望ましいです。預金の相続に必要な手続きや注意点について、ファイナンシャルプランナーが解説します。
預金の相続手続きは早めが望ましい
たいていの人は銀行や郵便局、信用金庫、信用組合などの金融機関に口座を作ってお金を預けているはずです。では、口座の名義人が亡くなった場合、預けていたお金はどうなるのでしょうか。
被相続人の預金は、相続人の共有財産となります。遺言書があって、預金を誰が相続するか指示されていたら、相続する人が金融機関で手続きをすることによって、預金を引き出すことができます。遺言書がなければ、相続人全員による話し合い(遺産分割協議)で誰が預金を相続するかを決め、相続する人が金融機関で手続きします。
この手続きに期限はありませんが、早めに行ったほうがよいでしょう。
というのは、手続きをしないうちに預金を相続した相続人が亡くなると、預金は相続人の相続人による共有財産となり、再度遺産分割協議が必要になるからです。亡くなった人の口座は凍結されて入出金ができなくなるため、電気やガスなどの公共料金などの引き落としができなくなる可能性もあります。
こうしたことから、預金の相続手続きはできるだけ早くするのが望ましいといえます。
預金を相続する手続き
預金を相続する手続きを見てみましょう。
まず金融機関に口座名義人が亡くなったことを知らせます。そうすると、金融機関がその口座を凍結します。
凍結を解除するには、金融機関の窓口へ出向くか郵送で次のような書類を提出します
l 被相続人の口座の通帳・キャッシュカード
l 金融機関所定の届出書
l 遺言書または遺産分割協議書
l 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本・除籍謄本
l 相続人全員の戸籍謄本
l 相続人全員の印鑑証明書
l 手続きする人の本人確認書類(運転免許証など)
必要書類は金融機関や相続の状況によって異なるので、あらかじめ金融機関に問い合わせるとよいでしょう。
この手続きは、口座のある金融機関ごとに行います。
必要となる戸籍謄本は複数枚になることも多く、金融機関がチェックするのに時間もかかるので、事前に法務局で「法定相続情報一覧図」の交付を受けておくとよいでしょう。「一覧図」の写しは被相続人の戸籍謄本・除籍謄本や相続人の戸籍謄本の代わりに利用することができるもので、必要枚数を無料で交付してもらえます。
分割協議前の仮払い制度もある
相続人が遠方にいたりすると遺産分割協議がすぐにできないこともあるでしょう。協議がなかなかまとまらないこともありえます。それによって預金が引き出せず、遺族の当面の生活費や葬儀費用に困るような場合には、「相続預金の仮払い制度」を利用して預金の一部を引き出すことができます。
払い戻せる金額には上限がある
払い戻せる金額は、1つの金融機関(複数の支店に相続預金がある場合はその全支店)について最高150万円までで、さらに、
「預金額の3分の1×仮払いを受ける相続人の法定相続割合」が上限です。
例えば、預金額が600万円で、仮払いを受ける相続人の法定相続割合が2分の1だとすると、引き出せるのは「600万円×3分の1×2分の1=100万円」までということになります。
金融機関に提出する必要書類
この制度を利用して預金を引き出すには、以下のような書類を金融機関に提出します。
l 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本・除籍謄本
l 相続人全員の戸籍謄本
l 手続きする人の印鑑証明書
金融機関によっては必要書類が異なることがあるので事前に確認してください。
放置すると休眠預金となることも
手続きをしなかった場合、被相続人の預金はどうなるでしょうか。
一定期間放置された預金は休眠預金となります。
休眠預金とは、2009年1月1日以降に行われた取引から10年以上入出金がないものをいいます。休眠預金に対しては金融機関から通知が送られますが、引っ越しなどで住所が変わっていると届かないことがあります。預金者の住所が確認できない場合は、休眠預金として預金保険機構へ移管され、民間公益活動に使われます。
休眠預金も引き出しは可能です。被相続人の預金が休眠預金になった場合は、相続人が口座のあった金融機関で手続きして引き出すことができます。手続きの仕方については金融機関に問い合わせてください。
遺産分割前の預金引き出しはNG
預金者が亡くなったからといって、すぐに預金口座が凍結されるわけではありません。亡くなったことを金融機関が知らなければ、ATMからキャッシュカードで預金を引き出せます。しかし、正しい手続きなしに預金を引き出すのは避けるべきです。その理由は主に2つあります。
①被相続人の預金を引き出すと相続放棄や限定承認ができなくなる
被相続人の遺産のうち、金融資産や不動産などのプラスの財産より借金などのマイナスの財産のほうが多い場合には、プラスの財産もマイナスの財産も相続しない「相続放棄」や、プラスの財産の範囲でマイナスの財産を相続する「限定承認」を選択することができます。しかし、被相続人の預金を引き出して使ってしまうと、プラスの財産もマイナスの財産も相続する「単純承認」をしたとみなされて、相続放棄や限定承認ができなくなってしまいます。
②トラブル防止
単純承認をするとしても、遺産分割の仕方が決まる前に相続人の一人が預金をおろして自分のために使ってしまうと、共有財産を勝手に引き出したことになり他の相続人との間でトラブルになる可能性があります。
遺産分割手続き前に被相続人の預金を引き出して葬儀の費用などに充てることもあるかもしれません。その場合は、費用の領収書を保管して、自分のために使ったのではないことを証明できるようにしておきましょう。
口座のある金融機関を共有しておく
被相続人の預金の手続きをするには、どの金融機関に口座があるかを相続人が知らなければなりません。口座は通帳やキャッシュカードがあれば確認できますが、最近はネット銀行だけでなく一般の銀行でも通帳を発行しないケースも出てきており、口座の所在がわからずに預金が放置される可能性が高くなっています。したがって、どこの金融機関に口座があるかは家族で共有しておくとよいでしょう。
(記事は2021年5月1日時点の情報に基づいています)
馬養雅子(ファイナンシャル・プランナー)

追記:ハッシュタグを作るために文中のいろいろな単語を入れたが検索数が少ない。このような大事なことに無関心の人が多いのには驚きました。


「飛び降りるのにちょうどいい窓あるで。死んどいた方がいいんちゃう?」ワタミ・吉本興業・ユニクロ…有名企業パワハラ暴言録7選

2021-08-31 12:00:00 | 日記
下記の記事は文春オンラインからの借用(コピー)です。

 企業のコンプライアンス遵守が叫ばれるようになって久しいが、それでもパワハラは一向に無くならない。
 厚生労働省が12年と16年に行った「職場のパワーハラスメントに関する実態調査」によれば、過去3年間にパワハラを受けたことがあると回答した従業員数は25.3%(12年)から32.5%(16年)と増加している。
 行政側も後手に回っていた対応にようやく本腰を入れており、昨年6月に施行された「改正労働施策総合推進法、通称・パワハラ防止法」によって、ようやく日本の法律で初めて「パワハラ」が規定され、企業側にパワハラ防止のための雇用管理上の措置が義務付けられるようになった。
 ただし、現在のところ同法の対象は大企業のみ。中小企業では22年4月からの施行と先送りされているため、パワハラ問題はまだしばらくの間、野放しとなりそうだ。
 パワハラがまん延する企業は、実際にそれを行う個人だけでなく、行為を容認し、助長する社内風土にも問題がある。そもそも本来なら問題の解決に率先して取り組まなければならない組織の経営幹部によるパワハラも目立つのだ。
 そこで改めて、これまでパワハラで問題になった企業やその経営幹部たちの「パワハラ暴言」を振り返ってみたい。(取材・文=常田裕/清談社)

◆◆◆
「365日24時間、死ぬまで働け」(ワタミ・渡邉美樹会長)
 日本で“ブラック”と呼ばれる企業は数多いが、 “ブラック企業”としてまず名前が挙がるのはやはりワタミだろう。創業者の渡邉美樹会長はブラック暴言の宝庫で、社員に配られる理念集には冒頭の言葉をはじめ、パワハラを是とするような理念が書かれており、過去の著書やインタビューなどでも、パワハラ発言をまるで武勇伝のように公言してきた。
「ビルの8階とか9階で会議をしているとき、『いますぐ、ここから飛び降りろ!』と平気で言います」
「営業12時間の内メシを食える店長は二流」
「『ごめん。今月、給料はゼロです』と言ったことが何度もあります」
「(ワタミは)もう爪の先まで自分のものです」ワタミの渡邉美樹会長兼グループ最高経営責任者(CEO) 
 2008年には、新入社員だった女性が過労自殺に追い込まれ、大きな社会問題となったが、渡邉氏は、「労務管理できていなかったとの認識はありません」「(自殺した女性の)心の病みを察知できなかった」と、問題を軽視するような言動を連発。大いに社会の反発を買った。最終的には責任を全面的に認めて謝罪しているのだが、死去から7年半にわたって謝罪を拒み続けた姿勢は、そのブラックぶりを日本全国に知らしめる結果となった。
 2013年に選挙に出馬して参議院議員となった渡邉氏は一時、同社の経営から離れていた。ワンマン創業者が不在となったワタミは労働環境の改善に努力し、従業員も労働組合を結成するなど、「ホワイト企業」に生まれ変わったことを内外にアピールしてきた。
 ところが2019年になって渡邉氏が代表取締役に復帰。昨年9月にはまたもや長時間労働や残業代未払いで厚労省から是正勧告を受けていたことが発覚するなど、社内には不穏な空気が漂い始めている。企業の体質はそう簡単には変わらないということだろう。
お前が飛び降りるのにちょうどいい窓あるで、死んどいた方がいいんちゃう?」(三菱電機)
 2018年、19年と2年連続で「ブラック企業大賞」に選ばれた三菱電機。このセリフは一昨年に自殺した新入社員が、上司の教育主任から浴びせられた言葉をメモに書き残していたことで発覚した。
 メモには「次、同じ質問して答えられんかったら殺すからな」「自殺しろ」といった言葉も書かれており、この上司は自殺教唆の疑いで書類送検されている。
 同社では12年以降、月100時間を超える残業やパワハラなどが原因で6人の労災認定者、5人の自殺者が出ているのだが、三菱電機は「個別具体の話はできない」としており、企業としての責任に本気で向きあっているとは思えない対応にも批判が集まった。
「お前みたいなクソは地獄に落としたる。死ぬまで償えボケェ」(Casa・宮地正剛社長)
 昨年12月に『週刊文春』が報じた一部上場企業・Casaのパワハラ疑惑。宮地社長が社員に暴言を吐くのは日常茶飯事だといい、多くの元役員や社員たちが、そのパワハラ語録を証言している。「Casa」の宮地社長(会社HPより)
 ノルマが達成できない役員には「家の権利書を持ってこい」「給料泥棒!」「金返せ!」と詰め寄り、ある支店長は「街金崩れが。(家賃を)滞納してる連中の集金しか能のないやつらが生きていけんのか。ああ? ゴミ拾いしかできんのだろうが」と責められたという。
 退職届を出した取締役に対しては、こんな罵倒の嵐だったとも。
「サラリーマンは金をベットできんのじゃ、乞食やから」
「俺も輩は輩で何人もと付き合っとるから」
「俺は頭おかしいんだ。だから危ねえんだよ。耐えれんかったら電車に飛び込め」
「死ぬほど苦しめ」
「お前は奈落の底に突き落として、お前の家族も突き落として」
 しかもCasa側は、こうした発言を認めたうえでなお、「我々はコンプライアンス上、問題がないと思っています」という回答だったというから驚きである。
「お前らテープ回してないやろな」(吉本興業・岡本昭彦社長)
 2019年の芸能界を大いに騒がせた吉本興業の闇営業問題。今となっては宮迫らがついた嘘が事態を混乱させていたわけだが、当時の騒動の渦中でクローズアップされたのが吉本興業のブラック体質だった。吉本興業の岡本社長 
 吉本に会見を止められた雨上がり決死隊の宮迫博之とロンドンブーツ1号2号の田村亮が、会社の制止を振り切って独自に開いた会見の中で告発したのが、この岡本社長の発言。岡本社長は、宮迫ら芸人たちとの話し合いの場で、他にも「(会見を)やってもええけど、ほんなら全員、連帯責任でクビにするからな。俺にはお前ら全員クビにする力があるんだ」という言葉を口にしており、これを宮迫と田村に暴露されたのだ。
 告発を受けて記者会見に臨んだ岡本社長は、テープ発言は「場を和ますための冗談だった」と釈明するも会場はスベりまくり。
 この騒動を機に、吉本興業は芸人との契約形態を見直しているが、現在も独立する芸人が相次いでいる。
「倒れるのはそいつが悪いだけ。自己管理の問題だ」(MFS・井戸実社長)
 昨年、倒産に追い込まれた「ステーキけん」などを運営していたMFS(旧エムグラント・フードサービス)。28歳で同社を創業した井戸社長は「ロードサイドのハイエナ」をキャッチフレーズにメディアで引っ張りだことなっていたが、一方では「なぜ週40時間以上の労働が残業になるのか」と労働基準法そのものに噛みつく思想の持ち主だった。
「死んでまえ」(大阪メトロ)
 昨年3月、大阪メトロの40代男性社員が、上司からのパワハラを受け社内で自殺。男性は上司から日常的に「死ね」などの人格を否定するような暴言を浴び、頭髪を丸刈りにするよう強要されるなどしていたという。
「年収100万円になるのも仕方ない」(柳井正・ファーストリテイリング代表取締役会長兼社長)
 アパレル大手「ユニクロ」を経営するファーストリテイリング社のトップ、柳井正会長が2013年に語った言葉である。
 文脈としては、世界的な競争を勝ち抜くためには、賃金も海外の労働者と同じ水準にする必要がある、というものだが、最低賃金を下回る労働環境を「仕方ない」というのは、さすがに労働者の権利を無視した暴論でしかないだろう。
 事実、当時のユニクロは、3年間で半数近い新卒が辞めてしまうほど苛烈な職場で、執行役員で柳井氏の右腕と評されていた人物が、過去に社員に対してこんな言葉を口にしていたことも話題になった。
「いいかげんにせいよ、オマエ。おー、何考えてるんかこりゃあ。ぶち殺そうかオマエ。調子に乗るなよ、オマエ」
 ちなみにこの人物はその後も順調に出世を続け、現在はファーストリテイリングの常勤監査役となっている。柳井正会長兼社長
 その後、柳井会長はたびたび公の場で「当社はブラック企業ではない」と主張しているが、果たしてどれだけ改善されているのか。1年間ユニクロに社員として潜入したジャーナリスト・横田増生氏が2017年に発表したルポによれば、現場の「やりがい搾取」は変わっておらず、勤務環境の改善は道半ばということのようだ。

小室佳代さんが労災トラブル 勤務先は「バカバカしくてやってられない」

2021-08-31 11:00:00 | 日記

下記の記事はNEWSポストセブンオンラインからの借用(コピー)です。

 国民的な関心事である秋篠宮家の長女・眞子さまの結婚問題。そのハードルとなっているのが婚約内定者の小室圭さんの母・佳代さんの金銭トラブルだ。小室さんは7月30日、留学先のニューヨーク州の法律事務所に勤務する見込みであり、日本に帰国せずに同地で生活を続けることが明らかになったが、佳代さんにまたしてもトラブルが持ち上がった。
 3年前に適応障害の診断を受け、勤務先の洋菓子店を長らく休んだという佳代さん。そこで1年以上にわたって休職補償を受けていたというが、その後さらに“労災トラブル”に発展したというのだ。
「もう来ないんじゃないですか?」
 今年4月8日、眞子さまと圭さんの結婚問題は大きく動いた。28枚にわたって佳代さんの金銭トラブルについて説明した「小室文書」が発表され、4日後には、佳代さんの元婚約者のAさんに小室家側から「解決金」を支払うという意向が表明された。解決に向けて進み始めたかと思われたが、その際のAさんのコメントにより、思わぬ事態が明らかになった。
《佳代さんは体調が悪く、長期間の入院中と伺っております。ご体調については私も心配しております》
 皇室記者が解説する。
「金銭トラブルの当事者である佳代さんは、『小室文書』発表当日、なんと顎の手術のため集中治療室にいたと話しているんです。結果的に1か月ほどの入院になったようで、再び仕事を長く休まざるを得なかったようです」
 さらに結婚に向けてターニングポイントになったのは、この5月末、小室さんが留学先の米フォーダム大学ロースクールを卒業したタイミングだろう。その直後の6月上旬、佳代さんの勤め先で、ある騒動が起きた。佳代さんが「アキレス腱断裂」と書かれた診断書を持参し、「休ませてほしい」と申し出たという。
「会社側も“またか”とは思いながら、佳代さんが6月いっぱい仕事を休むことを認めたそうです。そう思っていたら、7月に入ってからも佳代さんはお店に姿を見せなかった。無断欠勤の扱いになったそうですよ。
 お店の社長が連絡を入れたところ、佳代さんは、『弁護士から連絡があったはずだ』と言ったとか。ついには、『終業後、更衣室で靴を履き替えるときにバランスを崩してアキレス腱を傷めた』という内容の労災の申請書類を送ってきたそうです。問題は、その現場を誰も見ていないということです。社長は労災と認めず、争う姿勢だと聞きました」(勤務先関係者)
 現在、佳代さんは弁護士を立てて労災を申請中だという。結婚の延期のきっかけになった金銭トラブルがようやく収束に向かおうとするなかで、新たに起きた「労災トラブル」。渦中にいる洋菓子店の社長に話を聞いた。
「(労災トラブルの対応については)これからです。佳代さん? あぁ、もう(店には)来ないんじゃないですか? バカバカしくてやってられないですよ、もう」
眞子さまを「大尊敬しています」
 佳代さんの夫・敏勝さんは、2002年、小室さんが10才のときに自ら命を絶った。それ以降、佳代さんは女手一つで小室さんを育て上げてきた。
「佳代さんはよく、夫を早くに亡くして子供と2人で生きることのつらさを語っていました。その言葉の節々からは、そういった境遇でも、息子にバイオリンや絵画を習わせ、学費の高額なインターナショナルスクールの中学・高校にも通わせて立派に育てたという自負が感じられました」(小室家をよく知る人物)
 佳代さんの矜持は、2013年8月6日に録音された、Aさんに向けられた発言からも感じられる。
「女が1人で生きていくのは大変なの」
 だから、頼れる相手を見つけたら頼り尽くす──夫の死の直後、元暴力団員の知人男性に依頼して、夫の実家で遺産相続の交渉をし、その後は20才ほど年上の彫金師の男性と事実婚状態だったこともあった。そしてAさんに、佳代さんはメールなどを通じて金銭的な援助を求めるようになった。
「メールの中には、“遺族年金を受け取っている間は事実婚状態であることを隠してほしい”という内容もありました。本来、夫との死別後に別の男性と生計を一にしていれば、遺族年金の受給を止めなければなりません。しかし佳代さんはそれをしなかったのです。洋菓子店の件も然り、佳代さんのスタンスは一貫しているように見えます。それにしても、15年間お世話になった会社に対して、去り際が無断欠勤とは……」(皇室ジャーナリスト)
 佳代さんに対し、眞子さまは強い尊敬の念をもたれているという。
「眞子さまは、女手一つで小室さんを育て上げた佳代さんに心酔されているようです。
『お金も地位も名誉もいらないから、小室さんと結婚したい』という眞子さまの思い切りのよさには、佳代さんの影響が少なからずあるのではないでしょうか」(前出・皇室ジャーナリスト)
 佳代さんは『週刊文春WOMAN』(2021年夏号)のインタビューで、眞子さまのことを「大尊敬しています」と語っている。
「金銭トラブル発覚以降、佳代さんは適応障害や手術など、度重なる病気やけがに見舞われてきました。そのたびに、しっかり者で、思いやりの心が真っ直ぐな眞子さまは『佳代さんのことは私が支えます』とヘルプされてきたに違いありません。
 小室さんや佳代さんに対して世間から逆風が吹き、それが佳代さんのストレスになったとすれば、眞子さまは強く憤られて、さらに献身的にサポートをされたことでしょう。そうした関係が、佳代さんをして“眞子さまを大尊敬”という言葉につながったのだと思います」(宮内庁関係者)
 ご結婚は早晩、実現する。皇室からの表裏のサポートにより、ニューヨークにあるセキュリティー万全の高級マンションで、経済的な心配の一切ない生活を送られるだろう。そこでは眞子さまと小室さんの隣に、笑顔を取り戻した佳代さんの姿があるはずだ


症状の悪化、どう察知 自宅療養者になった場合の注意点

2021-08-31 08:30:00 | 日記

下記の記事は朝日新聞デジタルからの借用(コピー)です。

新型コロナウイルスの感染拡大とともに、自宅療養者が増えている。6日時点で東京都に約1万8千人。2週間で3・5倍に急増した。酸素吸入が必要になるといった症状の悪化を早めに察知することが重要だ。どのように気づき、家族は何に注意したらいいのか。
 東京都の自宅療養者フォローアップセンターは、30歳未満で基礎疾患のない陽性者を中心に、約4千人の健康観察をする。1割ほどの人は何らかの数値や症状が悪化し、看護師が電話で詳しく聞き取り、場合によっては救急車を呼んだり入院の手配をしたりしているという。
 自宅療養者への医療支援事業の委託を東京都から受ける、ファストドクター代表の菊池亮医師は、「自宅で酸素投与をする人が都内でではじめた」と話す。5日までの2週間で同社が受けた相談件数は、以前の2週間の2倍以上に増えたという。
病院行っても…診てもらえない可能性
 自宅療養者には、保健所などから血中の酸素飽和度を測る「パルスオキシメーター」が届く。
 発症から10日間は健康観察が必要で、血中の酸素飽和度や発熱の状況、息苦しさなどを電話やオンラインで保健所などに報告する。具合が悪いから、と自分の判断で病院に行っても診てもらえない可能性が高い。保健所などに電話で相談して、対応を決めたほうがよいという。
 症状の悪化をどう察知するのか。
 客観的な目安が酸素飽和度だ。厚生労働省の「診療の手引き」によれば、93%以下だと酸素吸入が必要な中等症Ⅱに分類される。1日3度ほど同じ条件で測り、変化をみる。
 菊池さんは「94%だから大丈夫ということでなく、90台前半を目安とし、前日から急に下がるといった変化があると要注意」と話す。
 パルスオキシメーターが手元にない場合は、呼吸回数が参考になる。
 呼吸状態が不安定になり体内の酸素が不足し始めると、呼吸が頻回になる。菊池さんは「1分間に20回を超した場合には気をつけてほしい。その時点で酸素飽和度が正常でも、しばらく後に下がってくることがある」と語る。
 厚労省がまとめた自宅療養者の注意事項は、唇が紫色▽脈がとぶ▽胸の痛みがある▽顔色が明らかに悪い▽もうろうとしている――などを緊急性の高い症状にあげる。
 あてはまれば、保健所などに伝えよう。
「我慢せずに電話でSOSを」
 新型コロナは、軽症の人が急変することが知られている。発症から7日前後に悪化することが多い。
 一度熱が下がっても、7日目前後に再び熱が上がったときは肺炎が疑われる。
 日常生活の注意点は何か。
 暑いいまの季節は、熱中症のおそれもある。センターの担当者は「毎日十分な水分をとり、少しでも体調に変化があったら、我慢せずに電話でSOSを送って欲しい」。
 菊池さんは1日に1・5リットル程度の水を飲むことや、室内を歩いたり足踏みをしたりする軽い運動をすすめる。横になってばかりだと血栓ができるリスクがある。血流をよくすることが重要だ。
 菊池さんは「今後1週間が山。このまま都内の自宅療養者が増え続ければ、スタッフが不足する。オンラインでも支援してくれる医師や看護師がいればぜひ、協力してほしい」と話す。
家庭内での感染防ぐポイント
 家庭内での感染を防ぐにはどうしたらいいのか。
 自治体は注意点を手引にまとめている。
 東京都の手引によると、自宅での感染予防として、部屋をわける▽感染者の世話は限られた人にする▽感染者と世話をする人はマスクをつける▽こまめに手洗い▽日中は換気▽手がよく触れる部分の消毒▽汚れた寝具や衣類を洗濯▽ごみは密閉して捨てる――といったポイントをあげる。
 ただし、感染力の高いインドで見つかった変異株(デルタ株)へのおきかわりが進み、状況は深刻化している。
 関西地方のある保健所長は「感染者の家族が陽性になる割合がぐんぐん高くなっている。家族のほとんど、全員が感染してしまうケースもある」と話す。
 少し期間をあけて家族が順番に感染すると、1カ月近く家から出られない状況になり、仕事や学校への影響も大きい。
 若い世代への感染も広がる。
 都内の保健所長は「これまでは子どもへの感染がなかったが、デルタ株が増えてからは大人と同じくらい感染する。保育園や学校からどんどん広がるため、なるべく自宅にいてもらうしかない」と話す。
 都では、自宅療養をする希望者には、およそ7日分の食料品が送られる。都の担当者によると、必要に応じて2回目の配達もするという。ただし、配達した人に感染が広がらないよう非対面で荷物を届ける「置き配」とし、直接は受け取らないようにしてほしいという。(後藤一也、編集委員・辻外記子)

 

下記の記事はプレジデントオンラインからの借用(コピー)です

「パルスオキシメーター」の仕組みを簡単におさらい
政府は8月2日、コロナに感染し中等症と診断されても、症状が軽い人や重症化リスクの少ない人は自宅療養とするという方針を決めた(5日に「中等症も原則入院対象」と軌道修正)。麻酔科医の筒井冨美氏は、「軽症でも中等症でも在宅療養者は、容体の急変で命を落とすことがないよう、重症化の目安となる血液中の酸素飽和度を測定できるパルスオキシメーターを準備すべき」という――。
政府に見捨てられた? 入院できぬコロナ自宅療養者が用意すべきモノ
8月2日、政府は新型コロナウイルスの感染拡大が続く地域において、中等症患者であっても「症状が軽い」あるいは「重症化リスクの少ない」患者に関しては、「自宅療養」とする方針を出した。
この政府の新方針に対し、医療機関からは「(これまで通りに入院していれば)早期に治療できていたものが、対応が遅れて重症化し、かえって重症病床がより逼迫ひっぱくする恐れがある」といった懸念が噴出している。
与党や野党からも撤回要求が出たが、菅義偉首相は突っぱねようとしている。
※編集部註:8月5日、田村憲久厚生労働相は、「中等症の中で、比較的、重症化リスクの低い人は自宅で対応いただく」としたものの、「中等症は原則入院」「肺炎の所見があり、息苦しい人は入院するのが当たり前だ」と述べた。中等症で入院できなくなるとの懸念や批判を受け、軌道修正した形。
7月下旬の東京五輪の開会式以降、全国的にコロナ感染者が急増している。東京だけで感染者数が1日4000人以上の日もあり、1万人超も現実味を帯びてきた。
リスクが高まる中、もし、自分がコロナに感染して発症したらどうすればいいのか。入院もさせてくれないし、ホテルなどの施設にも入れてくれない。医師からは、ただ、自宅で療養してください、と冷たく言われたら……。こんなに心細いことはないだろう。
多くの人の脳裏をよぎるのは、今春、大阪で感染者が急増した際、入院を拒否され自宅で半ば放置されたような状態の患者が続出したことだ。自宅で容体が急変して亡くなった人も少なくない。
それと同じことが感染者の多い東京を含む首都圏中心に起こる可能性がある。一人ひとりにできることは感染防止対策を念入りにすることしかないが、感染力の強いデルタ株が拡大する中、いつ当事者になってもおかしくない。
中等症、軽症の人の命綱「パルスオキシメーター」
そこで、改めて注目したいのが「パルスオキシメーター」という医療機器だ。ネットニュースやネット通販、書籍では下記のように“別名”で呼ばれることがある。
・サチュレーションモニター
・経皮的酸素飽和度計
・血中酸素測定器
・SpO2(エスピーオーツー)測定器
用語が入り乱れているが、これらはすべてパルスオキシメーターのことだ。入院させてくれないなら、これを少なくとも一家に一台、用意して自宅療養に備えるしかない。
ここで、パルスオキシメーターの仕組みを簡単におさらいしよう。
血液中には、酸素を体中に運搬するヘモグロビンという色素がある。コロナ感染関連のニュースでしばしば登場する「酸素飽和度」は「ヘモグロビンの何%が酸素と結合しているか」を示す指標である。
健康成人の正常値は96~100%だが、喫煙者・高齢者・肥満者などは約2~5%低下していることが多い。そして90%以下となると「低酸素血症(ハイポキシア)」と呼ばれて、酸素投与などの治療対象となることが多い。
酸素を結合したヘモグロビン(酸化ヘモグロビン)は鮮やかな紅色であり、酸素を結合しないヘモグロビン(還元ヘモグロビン)は暗赤色となる。低酸素血症となった患者が「顔色が悪い」のは、暗赤色の還元ヘモグロビンが増えるために唇や頬などがくすんだ色調になるからである。
このヘモグロビンの「酸素の有無で色調が変化する」性質を利用して、光を透過させることによって酸素飽和度をリアルタイムに測定できる機器がパルスオキシメーターである。
従来は、わざわざ動脈から採血しないと測定できなかった(この場合はSaO2表記される)データが、簡便に得られるようになり、酸素飽和度は「血圧・脈拍・体温・呼吸数に次ぐ第5の生体サイン」とも言われている。ちなみに、このパルスオキシメーターは1974年に日本の医療機器メーカーである日本光電(本社:東京都新宿区)によって発明された。
開発者である青柳卓雄氏はコロナ第1波渦中の2020年4月に亡くなり、ワシントンポスト紙などで世界に報じられた。
「息が苦しい」と言う代わりに「酸素飽和度が98から92へ落ちた」と言え
パルスオキシメーターを入手したら、まずは平常時に測定して、ベースラインの酸素飽和度を把握することが大切である。女性の場合、マニキュアのある指では正確な数値が出ないので、足指など何も塗っていない部分で測定しよう。指先が冷たい場合も脈が拾いにくいので、暖房やお湯などで指を温めた上で測定すると出やすい。
また、近年、女性に流行しているジェルネイルは専門店でないと除去できないため、スムーズに自宅での酸素飽和度の測定が困難になる。患者数が過去最大を更新するようなコロナ流行期にはお勧めできない。どうしてもしたいなら、2021年夏は「手指のみジェルネイルだが、足指はジェルネイルなし、あるいは落としやすい通常マニュキュア(足指で測定)」にすることを強くお勧めする。
何らかの体調の変化を感じた場合、微熱であっても酸素飽和度をマメに測定し、「90%未満」あるいは「ベースラインよりも5%以上低下」がみられる場合には、「かかりつけ医師」「発熱外来」「保健所」などに電話して「受診すべき病院」や「入院が相当ではないか」などの指示を仰ぎたい。単に「息が苦しい」と訴えるよりも、「普段の酸素飽和度は98以上なのに、今朝から92~3」という数値化された情報は、医療機関における判断の助けになるだろう。
こうした数値の推移を記録しておけば、当初の扱いが「入院不要なコロナ軽症」だった人が、「入院可能な中等症」へ格上げされる可能性もあるかもしれない。
もっとも、入院治療といっても医療ドラマのように「ホテルのような部屋でイケメン医師やかわいいナースが献身的に治療」を期待してはいけない。「医師の回診は1日数分間、看護師は基本モニター越しの会話、配膳される病院食はビミョー」おまけに「4人部屋で、遅いwi-fi、消灯21時」というのが平均的なコロナ中等症病床の現状である。
酸素飽和度が95%以上あり、タブレットで動画を見たりSNS発信できるレベルの元気があるならば、「保健所に登録した上で自宅療法」というのも悪いアイデアではない。実際、酸素飽和度が正常範囲なのに強く入院希望するので無理やり病床を確保したら、「個室じゃない」「wi-fiない」「隣の患者のイビキがイヤ」のような理由で帰宅するコロナ患者も少なくない。これはこれで問題だ。
「ハッピーハイポキシア(幸せな低酸素血症)」という深刻な状況
健康な成人が急に酸素飽和度が90%以下になるような低酸素血症に陥ると、通常は強い呼吸困難感に苦しめられる。医大生の実習でパルスオキシメーターを装着した後に「酸素飽和度が90%になるまで息を止めて」と指示しても、9割以上の学生は苦しくなって脱落してしまう。
ところがコロナ肺炎では、ウイルス感染によって酸素飽和度が70~80%のような重度の低酸素血症の状態になったにもかかわらず、患者が「息が苦しい」と訴えないことがある。そのため重症化の発見が遅れることが問題となっている。
この現象を科学雑誌『サイエンス』が「ハッピーハイポキシア(happy hypoxia:幸せな低酸素血症)」と呼んだことで世界中の医療関係者に知られることになった。
日本でも「自宅療養していたコロナ軽症者に医療機関が電話で容体を確認しても特別な訴えがなかったので特に警戒していなかったところ、その後に急変して死亡」というケースが報道されている。その陰には、ハッピーハイポキシアがあった可能性が指摘されている。
中等症コロナで自宅療養を指示されたら~うつ伏せの効用~
コロナ中等症と診断されたものの、自宅療養と指示された場合、どんな治療がほどこされるのか。コロナ治療の基本は「酸素投与」と「ステロイドを中心にした薬物治療」であり、これは在宅療養でも変わらない。「一瞬で治る魔法の薬」「神の手を持つコロナ名医」は存在せず、「肺組織とウイルスの闘いに耐え、そのダメージからの回復を待つ」という地味な治療方針となる。
さらに自宅で可能な治療法を追加するならば腹臥位療法、要するに「うつ伏せで寝る」ことだろう。肺炎の療養中は長期間仰向けで横たわっている時間が多いので、どうしても背中側の肺組織に分泌物が貯まってダメージを受けやすい。
そこで、意図的に腹臥位の時間を設けて、肺の背中側のダメージを軽減すると、肺炎の重症化を予防できることが、かねて知られていた。コロナ肺炎も例外ではなく、今も多くのコロナ病棟で人工呼吸器やECMO使用中の重症患者を、うつ伏せにすることで肺を守っている。
腹臥位の有用性は中等症コロナにも共通する。パルスオキシメーターで測定すると、「仰向け→うつ伏せ」にするだけで酸素飽和度が2~3%上昇することもある。
もし「完全うつ伏せ」が困難ならば、枕などを活用して「左斜め下」「右斜め下」とパルスオキシメーターの数値を参考にしつつ交互に体位変換するのも有用である。自分や家族が感染した際の対処法として覚えておきたい。パルスオキシメーターの選び方
なお、このパルスオキシメーターは、以前は安くても数万~数十万円する高価な医療器具だったが、コロナ禍で製造開発が急速に進み、最近では医療機器認証を受けた製品でも数千円で販売されている。数十グラムのポケットサイズが数多く販売されており、持ち運びも簡単である。
筆者としては、医療機器認証を受けた製品をお勧めしたいが、患者急増もあってアジア製の非認証製品しか手に入らないこともある。非認証製品の信頼性を確認したければ、「パルスオキシメーターを装着した状態で息を1分程度止めたら数値が1~2%低下」すれば、当面の家庭内使用は可能と思われる。

測定方法もクリップのような機器で指を挟んで数秒待って、モニターに表示された数字(酸素飽和度と心拍数の2つが表示される)を読むだけであり、高齢者でも簡単にマスターできるだろう。
発熱患者が発生した場合、地域によってはパルスオキシメーターを貸し出しする施設もあるが、数に限りがあり、迅速に入手できるとは限らない。よって、流行が心配な地域や外出が必須の職業ではネット通販や家電量販店などで入手するといいのではないか。
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    * 筒井 冨美(つつい・ふみ)
フリーランス麻酔科医、医学博士
地方の非医師家庭に生まれ、国立大学を卒業。米国留学、医大講師を経て、2007年より「特定の職場を持たないフリーランス医師」に転身。