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腰が鋭角に曲がっているおばあを助けられなかった腰抜けの私

2021-07-09 15:30:00 | 日記

下記はnoteオンラインからの借用(コピー)ですー

今日バスに乗ったら、私と入れ違いでバスを降りようとする人たちの中に、腰が鋭角に曲がっているおばあがいた。腰の位置が頭よりも高く、常に前屈をしているような状態である。
そのおばあは座席から立ち上がる時、同行者である身内らしきおばちゃんが手を貸そうとすると「いらん!」と跳ねのけ、杖を使って自力で立ち上がった。もたついてはいたが、人の手は借りず自分でやるのだという気概には恐れ入った。それに引き換え私はどうだ。ソファから起き上がるのを億劫がり夫にリモコンを持って来させている場合ではない。自戒を込めて、私はおばあがバスの通路を歩いて行く様をじっと見守った。
おばあの分の運賃を代わりに払おうとしたのか、おばちゃんがおばあの持っていた手提げ袋の中を覗いた。するとおばあはまた「いいから!」と跳ねのけ、先に行くよう促した。威勢のいいおばあである。おばちゃんは先に運賃を支払い、降車口の階段でおばあを待った。おばあは運転席の横で手提げ袋を床に置き、しばらくゴソゴソしていた。見かねて階段にいたおばちゃんが「ほら、貸して」と手を出した。すると、おばあがキレた。
「うるさいんだよ!あんたは!もう行け!さっさと行け!!!」
おばちゃんもキレた。
「ああ!?じゃあいいよもう行くから!行くからね!!!」
おばちゃんはバスを降り、すたすたと去って行ってしまった。
その時点では、「ほお、随分と血気盛んでありますな」などと呑気にその様子を見ていたのだが、次第にのほほんとしていられない事態となった。おばあ、待てど暮らせど運賃を払わないのである。ずっとゴソゴソしている。バスの運転手が「大丈夫?」「払えそう?」と逐一声をかけるが、「大丈夫!大丈夫!」「絶対あるから!」などと言い、ゴソゴソ。確かに大きめの手提げ袋だが、そんなにゴソる余地があるとは思えない。それでも、おばあはゴソる。ゴソり続ける。
これは、お手伝いすべきなのではないか。その考えはずっと頭にあるのだが、なかなか行動に移せない。さっきのおばあのブチギレが効いている。おばあは人に頼りたくない性分なのだ。手を出そうものなら「はぁ?うっせぇわ!あなたが思うより健康です!!!」と怒鳴られるかもしれないし、「人の心配するよりてめえこそ普段からきびきび動いて痩せろよウェディングドレス着れねえぞバカ!!!」と罵られるかもしれない。怖い。
運転手も困っている様子だ。おばあは運転席から出るための仕切りのすぐ前でゴソゴソしており、更に杖を床に置いてしまっているので、運転手が無理に出ようとすれば階段の方に落ちかねない。運転手は「なかったら今度乗る時に二回分払ってくれたらいいですよ」と何度もおばあに提案したが、おばあは断固として「あるよ!待ってね!」と言い続けた。
だんだんと車内の空気が張りつめていき、私も気が気じゃなくなってきた。座席から半身乗り出し、いつでも行けるという体勢。しかし、一歩踏み出す勇気が出ない。私の座っている場所はバスの真ん中辺りで、前方にも数人乗客がいる。私が出しゃばらずとも、近くの人が自然に手を貸すのではないか。次の瞬間には、他の誰かが立ち上がるのではないか。タイミングを見計らうばかりで、行動に移せない。
そうこうしているうちに、おばあが袋から財布を取り出した。よし、財布発見。あんなに派手なピンク色の長財布をどうしてこんなに長い間見つけられずにいたのかはとりあえず置いておくとして、これでもう大丈夫。おばあはついに運賃を払う。
そう思って見守っていたのだが、おばあは財布の小銭入れを開けたり閉めたり、他のポケット部分を覗いたり、なかなか払わない。どうしたというのか。
そんな中、チャリ……と小さな音が聞こえた。おばあが小銭を落としたっぽい。これはもしや、お助けチャンスではないか。今なら行ける気がする。あくまでも小銭を拾いにやってきましたという体なら、おばあは近づくことを許してくれるかもしれない。しかし、私はまたそこで考え込む。本当に小銭を落としたのだろうか。もし本当に落としたのなら、すぐ近くにいる運転手が「落としましたよ」と声をかけるのではないだろうか。となると、私の聞き間違いという可能性はないか。聞き間違いで拾いに行ってしまったら恥ずかしい。くそ、私に忍たま乱太郎のきり丸くらい精密に小銭の音を聞き分ける能力があれば……。
そんな考えが頭の中を駆け巡っている間に、私の斜め前に座っていたおじさんが「小銭!落ちたみたいよ!」と声を上げた。ああ、やっぱり落ちてたんじゃん。さっさと拾いに行けばよかった。私はどうしてこうもマイナス方向にだけ想像力豊かなのか。でもまあ、このおじさんが拾ってくれるならいいか。そう思っておじさんを見ていたが、おじさん、微動だにせず。なんてこった。じゃあやっぱり私が、と思った次の瞬間、おばあ、自分で腕を伸ばした。体が傾いて、車内に一瞬緊張が走る。しかしおばあ、フラつきながらも、何とか無事に小銭を拾った。安堵する車内一同。
「今度払ってくれたらいいから、ね、他の人も待ってるから」と運転手が再度説得を試みるも、おばあはまた財布やら手提げ袋やらをゴソゴソし始めた。今度こそ、今度こそ行こう。そう思った時だった。私のすぐ後ろに座っていたおばちゃんが「いい加減にしてよ!遅れるでしょうが!」と叫んだ。そんな言い方しなくても、とは思ったが、実際問題、定刻はとっくに過ぎている。私は急いでいないが、予定がある人も勿論いるであろう。
ならばやはりお手伝いせねば、と思うのだが、また一つ懸念事項が増えてしまった。後ろのおばちゃんが怒号を浴びせたすぐ後に助けに行ってしまうと、おばちゃんに「これ見よがしに助けに行きやがって」「私が悪者みたいじゃないか」と思われる可能性がある。いや、ない。いや、ある。あるには、ある。思われるだけならいいとして、おばちゃんは私の真後ろにいるのだ。おばあをヘルプして戻ってきた時に、何か言われるかもしれない。怖い。何なら後ろから首を絞められるかもしれない。怖い。
そんなことを思い悩むうち、おばあはついに運転手の説得に応じる素振りを見せた。「今度払えばいいのね?」「ごめんなさいね」と言っている。さすがに諦めてくれたらしい。おばあは財布を手提げ袋に仕舞い、また少しゴソゴソした後、杖を使って上手に階段を降りて行った。
バスは走り始めた。急いでいるのだろうか、いつもより揺れる気がした。
バスに揺られながら、私は自分に幻滅していた。どうしてさっさと助けに行かなかったのだろう。嫌がられたっていいじゃないか。あの場合、嫌がられてもお手伝いした方が、バスの運行のためには良かったはずだ。こういう時、悪い想像ばかり言い訳ばかりで行動に移さない。私という奴は昔からそうなのだ。子どもが泣いているとか、道を聞かれるとか、明らかなSOSを発している人は助けられるが、そうでない場合、怖気づく。本当は困っている人のほとんどが自分でSOSを発せない。そういうものだとわかっているはずなのに、声をかけて断られたら去ればいいだけのことなのに、一歩踏み出せない。地下鉄で通勤していた頃も黙って席を立つことはあれど「どうぞ」と言えた試しがなかった。中学生の頃もバスの待合所で目の前のベンチに座っていた人が10円玉を落としたのに結局最後まで「落ちてますよ」の一言が言えなかった。私はあの頃と何も変わっていない。もうアラサーだというのに、何をやっているのだ。酒ばかり飲んで、ろくに世の中の役になど立っていないのだから人助けくらいしたらどうなのだ。私のような人間にできることなど、人助けと、居酒屋で寝ないことと、吐く時はトイレで吐くことくらいではないか。

バスを降りて行ったおばあの後ろ姿は、腰は鋭角に曲がっているにも関わらず、なんだか逞しかった。一方、私はまだ体はしゃんとしているくせに、腰抜けだ。こんなことではいけない。私は今日から生まれ変わる。困っている人に声をかけられる人間になる。うちの地域のおじい、おばあ、覚悟しろ。ちょっとでも困っていたら、すぐに声をかけるからな!
おばあと身内のおばちゃんが帰ってから仲直りしていることを祈りつつ、私は強く強く決心したのであった。


7赤ちゃんと死のうか…18歳、予期せぬ妊娠に「まぢ、終わった」 1本の電話が人生の分岐点に

2021-07-09 13:30:00 | 日記

下記はAERAdoからの借用(コピー)です

複雑な事情を抱えて人知れず出産する女性たちがいる。赤ちゃんの殺害・遺棄事件につながることもある。そんな女性たちを助けたい。さまざまな動きが起きている。AERA 2021年6月28日号で取材した。

*  *  *
 1本の電話が人生の分岐点となることもある。

 2月のある夜、その人は分岐点に立っていた。まもなく18歳になる彼女は“いちごが好きだから、いちごちゃん”と名乗った。

 いちごちゃんは妊娠していた。生理不順だったため、気づいたときには既に中絶できる週数を過ぎていた。

 幼い頃、母は夜働いていて家におらず寂しかったが、ママが好きだった。母の恋人が住みつき、母への暴力や性交を見せられた。小5のときにできた継父はいちごちゃんを虐待した。弟と妹は可愛がられるのにひとり家族からのけものにされ、中学を出ると歓楽街でキャッチなどの仕事で生き延びた。

 妊娠の相手はわからなかった。受診したクリニックでは32週までは診るけれど、それ以降は大きな病院に行って産んでほしいと言われた。「まぢ、終わった」と思ったのだと、いちごちゃんは2度つぶやいた。

■18年間生きてきて初めて他人に頼ろうと思った

 今死ぬか、ひとりで産んで赤ちゃんと一緒に死ぬか。3週間、悩んだ。線路に飛び込もうと思ったができなかった。ひとりで産むのも怖かった。

 もう中絶できない時期にあること、誰にも知られずに産まなくてはならないことを、その電話に出た女性に伝え、「助けてください」と言った。

「18年間生きてきて初めて他人に頼ろうと思った」

 いちごちゃんはこう振り返った。

 勇気を振り絞って電話をしたその夜を境に、自殺さえ考えていたいちごちゃんの人生のベクトルは逆方向へと動き出す。3カ月が経った今、いちごちゃんは関東のある町で赤ちゃんとの新しい人生を始めている。

 電話でつながったのは熊本市の慈恵病院だった。「こうのとりのゆりかご(赤ちゃんポスト)」を運用する民間病院だ。予期せぬ妊娠をした女性が自分で育てられない赤ちゃんを匿名で預け入れることができる。2020年3月までに155人の赤ちゃんが預け入れられた。

 近くの病院を紹介するとの提案をいちごちゃんは拒んだ。何度か電話でやり取りをしたが、いちごちゃんは精神的に不安定で、このまま孤立出産になることを病院は心配した。

 ゆりかごに預け入れる母親の多くが自宅のトイレや浴室で一人で出産していた。命の危険はもちろん、赤ちゃんの殺害・遺棄事件に至ることもある。

30回以上SNSでやり取りして慈恵病院で出産するよう説得し、いちごちゃんの住む場所まで相談員が迎えに行った。だが待ち合わせたJRの駅にいちごちゃんは現れず、相談員は熊本市に引き揚げた。そして6日後、いちごちゃんは新幹線に乗って一人で熊本までやってきた。

「孤立出産を回避するためにこのような選択をしたものの、ほんとうに内密出産になってしまったら大変なことになるという思いはありました」

 こう振り返ったのは慈恵病院院長で産婦人科医の蓮田健さんだ。

 内密出産とは、妊婦が特定の関係者のみに身元を明かして出産し、赤ちゃんの出生届は母親の欄を空欄にして提出する。赤ちゃんが将来、実親を知りたいと希望すれば身元情報の開示を受けることができるというものだ。同院はゆりかごから一歩踏み込んで、17年12月、内密出産に取り組む意思を表明したが、合法性が担保できないとして、熊本市は慈恵病院に不許可を通達している。

■出生届で母親の身元は空欄 医師の違法性が最大の壁

「彼女は最初、継父に赤ちゃんのことがばれたら面倒臭いと言いました。日本初の内密出産になるかもしれないケースの背景が面倒臭いといういい加減なものであれば、これを社会に公表したときに批判され、内密出産の推進が頓挫してしまうと危惧しました」

 未成年を対象として想定していなかったことも蓮田さんを焦らせた。

 いちごちゃんは、熊本駅で出迎えた相談員が車で病院まで連れ帰った。怯えながら恐怖を隠そうと毛を逆立てる仔猫のようだった。

 院内のキッチン付き居室で過ごすうちに、相談員に心を開き始めた。若くしてシングルで自分を産んだ母のうつ、児童相談所の一時保護所で保護された経験など、厳しい生い立ちを話した。いちごちゃんは、赤ちゃんを育てたい、でも、自分も虐待してしまうのではないかと不安を打ち明けた。

 直前まで住んでいた自立援助ホームの管理者には蓮田さんが電話した。「そんな勇気のある子だったなんて」と管理者は驚き、気づいてやれなかったことを悔やんだ。

 病院職員が生活の世話をし、日々声かけを続けるうちに、いちごちゃんの表情は穏やかになり、ときにはあどけない表情で相談員に体をくっつける甘えた仕草も見せるようになっていた。

 4月末、いちごちゃんは無事に出産し、自分で育てる気持ちを固めた。実母と継父が赤ちゃんを奪い虐待する危険性があるため、実母に連絡はしていない。出産にあたって必要な保証人の欄は空欄のままとした。

このケースは内密出産に踏み切らずに済んだ。だが、もしいちごちゃんが頑なに身元を明かさなかったら、蓮田さんが何らかの罪に問われた可能性はある。内密出産のいちばんの壁は、病院で出産したにもかかわらず医師が出生届に女性の身元を空欄のまま提出することが「公正証書原本不実記載罪」(刑法157条)に抵触するのではないかという点だ。

 6月初旬、突破を試みる動きがあった。20年12月に成立した生殖補助医療法についてさらに議論するために発足した「超党派生殖補助医療の在り方を考える議員連盟」(以下超党派議連)の自民党参院議員、古川俊治さんが法務省と面会を持った。古川さんは医師で弁護士でもある。内密出産について、刑法35条「法令または正当な業務による行為は、罰しない」を適用すれば、内密出産で医師が違法性を問われることを避けられるのではないかと考えた。だが、法務省とは物別れに終わった。

 超党派議連は、14回開かれた勉強会で4回も内密出産を取り扱った。仕込んだのは議連事務局長で国民民主党副代表の伊藤孝恵さんだ。

 伊藤さんは超党派ママパパ議連の発起人でもあり、子ども子育て政策に力を入れている。初当選した16年は次女を出産して育休中のリクルート社員だった。慈恵病院が内密出産について検討していることを新聞報道で知ってから法整備を目指してきた。19年3月には国会予算委員会で「ゼロ歳ゼロカ月ゼロ日ゼロ時間、つまり産声を塞がれて亡くなる子どもが(児童虐待の中で)いちばん多い」として、内密出産制度の検討を求める質問に立った。このとき、予期せぬ妊娠に悩む当事者を「あばずれ」などと揶揄するヤジが飛び、反対派には予期せぬ妊娠に関する情報が伝わっていないと感じたという。超党派議連の勉強会では熊本の蓮田さんをオンラインでつないだレクチャーも開催した。

「こんな大事なこと、しっかりやらないとだめだ」と与党からも積極的な声が出てきた。だが、まだ壁は厚い。伊藤さんは悔しがった。

「思いもよらない事情が隠れているのが予期せぬ妊娠です。ただ、どんな事情があろうとも女性が安心して出産できないのはおかしいし、命は生まれてこそのもの」

■命がけで産んでいるかけがえない行為への尊敬

 超党派議連会長の野田聖子さんは、内密出産の法整備に関しては容易ではないという立場だ。生殖補助関連の議論では優先順位は高くないという。自身が過去に特別養子縁組あっせん法制定に関わった際に、内密出産も検討したが難しかったという実情を明かした。

取材の際に、野田さんにいちごちゃんの話をした。予期せぬ妊娠による孤立出産や遺棄事件は後を絶たず、その防波堤となる内密出産をめぐってギリギリのケースが起きていることを伝えた。すると、野田さんはこう言った。

「その子、18歳でよく頑張ったね。産んでくれてありがとうって言いたい」

 野田さんの母が野田さんを身ごもったとき、両親は婚姻届を出していなかった。

「だから私も予期せぬ妊娠で生まれた子どもなのよ。それに、うちの息子みたいに障害を持って頑張って生きてる人間もいるしさ。いちごちゃんによろしく言ってよ」

 野田さんは第三者の女性から提供された卵子と夫の精子を使った体外受精により50歳で出産している。また、10歳になった息子には障害がある。出産には、さまざまな事情や予期せぬ状況が複雑に絡み合うことを体感している。

 予期せぬ妊娠をめぐる問題は女性ばかりが責められ、生まれた子どもはかわいそうだと言われる。だが、決して子どもはかわいそうではないし、命をかけて子どもを産んだ女性のことが大切に考えられていない。そう指摘するのは、TBS報道局記者の久保田智子さんだ。久保田さんは19年に、特別養子縁組により赤ちゃんを迎えた。夫と子どもとの暮らしに幸せを感じている。

 子どもを特別養子縁組に託す女性には、貧困や虐待など厳しい成育環境に育ち支援が乏しい人が多いことを久保田さんは知った。

 特別養子縁組に子どもを託す際に泣かない女性はいないという。生後4日の赤ちゃんを託されたとき、久保田さんは病院で実母と対面した。わずかな時間だったが短い会話と表情から女性の言葉にならない思いを全身で感じ取った。

 特別養子縁組、ゆりかご、内密出産。いずれも産んだ女性たちには育てられない事情があり、赤ちゃんを託す。不倫や多産などのケースは批判されることもある。

「仮に反社会的な背景があったとしても、産む瞬間にはその人は命がけで産んでいるはずです。そのかけがえのない行為に対する尊敬の思いが私にはあります。娘を託してもらって私たちは感謝していますし、産んだ女性にはどうか幸せになってほしい」(久保田さん)

 命がけで産んだ人と生まれた命が無条件に大切にされる社会であるためにはどうしたらいいのか。自分で育てられない女性たちの、困難な背景が可視化されなければならないと、育てられない女性の哀しみに触れた久保田さんは言った。(ノンフィクションライター・三宅玲子)


小室さんとメーガン妃は「同類」 皇室と宮内庁が怯える“告白の日”

2021-07-09 11:00:00 | 日記

下記はAERAdotからの借用(コピー)です


ロイヤルファミリーをパートナーに選ぶ一方で、国民とメディアからの猛烈な批判をうける身の上。英国のヘンリー王子の妻のメーガン妃(39)と、秋篠宮家の長女・眞子さまの婚約内定者小室圭(29)さんは、共通項が多く、何かと引き合いに出されがちだ。「先輩」のメーガン妃は、王室生活で味わった受難を告白し、「勇気ある告白者」として米国で成功した。小室さんも「成功者」となるのか。

*     *  *
「日本のプリンセス・マコの恋人は、メーガンとよく似ている」

 英王室に詳しいジャーナリストの多賀幹子さんは、現地の友人らから、こんな言葉を耳にする機会が増えた。秋篠宮家の長女、眞子さま(29)の婚約内定者、小室圭さん(29)のことだ。

 海外王室と違い、皇室は情報が外に漏れない。

「菊のカーテンに包まれてミステリアス(神秘的)だ、と関心は高い」(多賀さん)

 英国に留学していた秋篠宮家の二人の内親王は、現地で親近感を持たれている。現地のタブロイド紙が「プリンセス・マコと恋人のケイ・コムロ」の話題を取り上げることもある。

「ただ、王室好きの英国人の間で、小室さんの評判はよくない」(多賀さん) 

 米国のドラマ女優のメーガン妃は、もちろん貴族出身ではない。厳しい芸能界でキャリアを積み、離婚経験を持つメーガン妃。人生経験の豊富な年上女房が、「世間知らずのヘンリー王子(36)をいいように操ってお金稼ぎをしている」。それが、英国におけるメーガン妃像だ。

 小室さんも、「プリンセスを利用する野心家だ」といった風に、見られてしまうのだという。

 ロイヤルブランドをビジネスに露骨に利用するヘンリー王子とメーガン妃の姿は、王室メンバーとしては、異色だった。王室を離脱する際に、ふたりは、王室の一員であることを表す「SUSSEX ROYAL」などの商標登録でビジネスを計画していた。これらを、英国とEUや米国、豪州やカナダの知的財産庁に出願。範囲は文房具などにも及んだことから批判を浴びた。
英王室はこれを禁じたことから目論見は外れたが、約15億円といわれるダイアナ元妃の遺産を持って英国を飛び出した。ふたりはすぐに、米国の動画配信サービスNetflixや、音楽ストリーミングサービスのSpotifyと番組制作への協力を含む契約を結んだ。成功報酬を入れると、300億円超と報じられた。

 一家は、米カリフォルニア州サンタバーバラに16億円の豪邸を購入。ヘンリー王子もメーガン妃も、英王室の公務から完全に引退し、主要メンバーである「シニアロイヤル」からは外れている。それでもまだ、王室の公式ウェブサイトに掲載されており、一員には違いない。

 ロイヤルの立場を利用した生々しい稼ぎ方は、王室を持たない米国はともかく、自国の王室を敬愛する人々には、嫌悪感を持って受け止められてしまうのだ。

 小室さんもまた、「ロイヤルブランドを利用した」と批判された経験がある。思い起こされるのは2018年、米フォーダム大学ロースクールへの入学時の出来事だ。

「プリンセス・マコのフィアンセであるコムロケイが入学する」

 大学はこんな文章を記載したうえ、小室さんは返済不要の授業料免除の奨学金を獲得した。本人の申告や承諾なしに、フィアンセとしてHPに掲載されることは、まずないはずだ。

 実際、秋篠宮家の知人は、小室さんが留学に出発する少し前に、こんな不安を漏らしていた。

「両殿下は、眞子さまが皇族であるという立場が利用されるのではないか、と心配なさっていました」

 周囲が不安を抱く理由のひとつは、メーガン妃と小室さんに共通する“能力”だろう。お金との距離感を含めて、社会で生き抜き「上」のステージにはい上がるための戦略に長け過ぎた点だ。国民が王室や皇室に、理想や敬愛を求める現代において、彼らの能力はロイヤルでは異質なものとして映ってしまう。

 小室さんは、留学先で勉学にまい進した。

 米国の法律専門誌である『NY Business Law Journal』に、論文が二回掲載され、NY州弁護士会のコンペでは、論文が2位に選ばれるという実績を残した。論文に選んだ題材のひとつは、「社会的企業のためのクラウドファンディング法改正の可能性への課題と示唆」。金融とビジネスの中心地NYにふさわしい内容だ。

多賀さんは、小室さんが論文に添えたプロフィル欄にも舌を巻いた。

「趣味をジャズピアノと記載した点はさすがです。NYはジャズの聖地の一つですからクラシックよりも親しみを持たれやすく、ホームパーティー開くから弾いてよ、と声もかかりやすい。趣味のよい人間だとアピールできます。コネ作りには効果的ですね。米国は、小室さんのような戦略的な人間は歓迎しますから、水があっているのでは」

 米国での就職が有力視される小室さん。だが、そこに一抹の不安を感じてしまうのは、同じくロイヤルファミリーと国民に受け入れられず、批判を浴びた「先輩」メーガン妃が、ヘンリー王子を伴い「告白」という王室の暴露を始めたからだ。

 昨年夏、メーガン妃の応援団であるライターらを著者として、王室との確執を記した自伝、『Finding Freedom(自由を求めて)』を出版。さらに、今年3月には米CBSテレビのインタビュー番組にヘンリー王子とメーガン妃が、5月には米国人俳優の務めるポッドキャスト番組「アームチェア・エキスパート」に王子が出演した。

 番組でふたりは、王室で人種差別にふれる会話があったことや、メーガン妃が自殺を考えたことなどを赤裸々に告白した。ヘンリー王子は王室での生活について、

「映画の『トゥルーマン・ショー』と動物園を足したようなもの」  

 と、苦悩を吐露した。

 この告白に対して、英国と米国の評価は、真逆だった。英国の著名やジャーナリストやテレビ司会者、メディアは、ふたりを猛烈に批判した。一方の米国では、「勇気ある告白をした」メーガン妃を称賛する声の方が勝った。

 米ホワイトハウスのサキ報道官は、メーガン妃が自殺願望を告白したことに触れ、「メンタルヘルスとの闘いについて話すのは勇気がいる」とコメント。セレブも応援に加わる。米人気歌手のビヨンセは、3月のインタビューが放映されると、自身の公式サイトに、こうつづった。

「あなたの勇気とリーダーシップに感謝します。私たちはみんな力づけられ、励まされています」

 テニス選手のセリーナ・ウィリアムズ、ドキュメンタリー監督のマイケル・ムーアなど、世論に影響を持つ著名人も、SNSで応援のメッセージを発信した。

「王室を持たない米国人は、ロイヤルという存在に愛憎半ばする感情を抱えています。アフリカ系の母を持つというマイノリティーに属する米国出身のメーガン妃。その彼女が、本家の英王室で受けた『受難』に対して、勇気をもって立ち上がったというストーリは、好意を持って受け入れました。プリンセスとの結婚問題で、国民やメディアの批判を浴びながらも米国で奮闘する小室さんの境遇は、メーガン妃と同じように、米国では共感を持って受け止められるでしょう」(多賀さん)

 眞子さまと小室さんの結婚が延期になっているのは、小室家の金銭トラブルが原因だ。だが、海外では、細かい事情など認識されていない。

おまけに欧州では、女性も王位継承権を持つ王室が増えるなかで、男系男子による皇統を保持する日本の皇室は、閉鎖的なイメージを持って海外メディアに報じられている。適応障害になった雅子さまは、「籠の中のプリンセス」。愛子さまも「天皇の子どもなのに継承権のないプリンセス」といった枕詞が記事につくことが多い。

 小室さんが取材を受けるかどうかは別にしても、

「米国メディアにとっても、ミステリアスな皇室の内情に興味を持っている人は多い。ましてや、プリンセスとの結婚問題で猛烈なバッシングの渦中にある小室さんの告白は、関心の高い題材に違いありません。英語が堪能な小室さんの場合、メディア側のハードルは格段に下がります」(多賀さん)

 他方、宮内庁元職員で報道室で勤務した経験のある山下晋司さんは、仮に海外のメディアが小室さんに群がったとしても、それほどセンセーショナルな内容にはならないだろう、と話す。

「婚約内定者の立場である小室さんの場合、そこまで皇室との接点はありません。複数回お会いした皇族方も、秋篠宮ご一家に限られます。英王室の一員として生活したメーガン妃とは異なり、強烈な暴露話はないと思います。そもそも米国ではセレブとロイヤルを混同する人も少なくない。ましてや、アジアの国である日本の皇室の認知度は、英王室と比べて相当に低いはず。『眞子内親王殿下との思い出』だけでは、皇室や宮内庁が戦々恐々というほどの事態は、かつてチャールズ皇太子は、メーガン妃に硬く高温に耐えるレアメタルを指す「タングステン」というニックネームをつけた。バッシングなど、どこ吹く風のたくましさをもつ人だ。 

小室さんも、日本のバッシング騒ぎを尻目に、7月末のNY州弁護士試験に向けて最後の仕上げにかかっていることだろう。(AERAdot.編集部 永井貴子)起こり得ないのではないでしょうか」


老化を防ぐ食べ方、最新の生命科学でも明らかに

2021-07-09 08:30:00 | 日記

下記の記事は日経グッディからの借用(コピー)です  記事はテキストに変換していますから画像は出ません

「オートファジー」は日本語では自食作用と呼ばれるが、ラテン語で“食べる”という意味の「ファジー」に「オート(自ら)」をくっつけた造語だ。その名の通り、動物や植物が、細胞内で自分のたんぱく質を分解して栄養分に変えて生き延びる現象として理解されてきた。
 オートファジーは、飢餓状態のときに起こりやすく、細胞の中に膜が出現して始まる。そして、周辺のたんぱく質などを包み込んで球状の構造に変わる。この球が、消化酵素が入った袋とくっつき、中のたんぱく質などが分解される(下図)。
 「ただ、栄養分に変える機能だけなら、オートファジーの分野は今ほど大きくならなかった」と大阪大学大学院生命機能研究科教授の吉森保さんは話す。
 近年、オートファジーは飢餓状態での栄養を得る役割以外に「細胞内の掃除役」として注目されている。細胞内の不要なたんぱく質を分解して新しいたんぱく質にリサイクルしたり、有害物質を除去する役割だ。それが最近さらに、老化とも関わりが深いとわかってきた。
オートファジーを抑制するたんぱく質「ルビコン」
 オートファジーの存在は半世紀以上前からわかっていたが、仕組みがわからず、長い間ほとんど注目されなかった。しかし、ノーベル賞を受賞した大隅良典さん(東京工業大学特任教授)が1990年代初頭に酵母でオートファジーに必要な遺伝子を見つけたことで新たな地平に立った。また、吉森さんらが人間にも同じ仕組みがあることを解明し、世界中で研究が加速した。
 「加齢とともにオートファジーの機能は低下。最近、オートファジーは老化とも関わりが深いことが判明した」。老化との関係性では吉森さんが発見した「ルビコン」と呼ばれるたんぱく質の存在が大きい。
 オートファジーを促進するたんぱく質はいくつも見つかっていたが、ルビコンは逆にオートファジーのブレーキ役を果たす。これが加齢とともに増えることから、オートファジーも低下することが判明してきた。
 人間など哺乳類は老化すると病気になりやすくなる。老化を止められれば寿命は延びるが、それはこれまで人類にとっては決して手の届かない領域であった。だが、老化と深い関わりのあるルビコンの動きを抑えたら老化は止まらないだろうか。少なくとも健康寿命は延びるのではないか──。
 夢物語に聞こえるかもしれないが動物実験では証明されている。遺伝子操作でルビコンの働きを抑えた線虫で実験したところ、オートファジーの活性化が維持され、寿命が平均20%延びたという。そして、寿命が延びただけでなく、老いても活発に動き続けた。 「私たちの実験では通常の線虫の2倍は動いた。これは、80歳の人間がフルマラソンを涼しい顔で走るようなもの」
 ルビコンの働きを抑えることで加齢に伴ってかかりやすい病気を防ぐことも解明されつつある。多くの病気で、オートファジーが低下すると病態が悪化するとわかってきた。
 例えば、脂肪肝。「ルビコンを働かないようにすることで、オートファジーが機能して脂肪の分解が進み、肝臓内での脂肪蓄積を防ぐ可能性がある」。
 吉森さんは、高脂肪食を与えたマウスの肝細胞で実験したところ、脂肪肝ではルビコンが増えていることを発見。一方、ルビコンの遺伝子を破壊したマウスに高脂肪食を食べさせ続けても、脂肪肝にならなかった。
 また、アルツハイマー病など神経変性疾患にもオートファジーの機能低下との関係が指摘されている。
 神経細胞は他の細胞と違って分裂しない。新しい細胞に入れ替わらないため、細胞の中の掃除役オートファジーの働きが重要だ。老化によって、オートファジーが働かなくなると、異常なたんぱく質などが蓄積される。結果的に、アルツハイマー病やパーキンソン病といった病気が誘発される可能性が高まる。実際、遺伝子操作で脳にオートファジー機能がないマウスをつくったところ、すべてがアルツハイマー病に似た症状をしめしたという。
免疫の一部でもあるオートファジー
 「細胞内の掃除役」は細胞内を広範に掃除する機能もあるが、スナイパーのように特定の対象も狙い撃ちできる。「細胞の中でオートファジーが免疫の働きを担っていることがわかってきている」と吉森さん。
 従来、免疫が働くのは細胞の外の世界だと考えられていた。例えば、血液にいる細菌は免疫細胞が察知して殺していたが、当然、細菌は殺されないように逃げ回る。結果、細胞の中に逃げ込む細菌も出てくると免疫細胞は原則見つけることはできず、対応できないとされていた。それが、吉森さんの研究によって、逃げ込んだ細菌をオートファジーが退治していることが明らかになった。
 ウイルスの中でも、アデノウイルスやヘルペスウイルスはオートファジーによって狙い撃ちされるという。
 オートファジーと老化や病気との関係は、哺乳類のマウスでの実験によって因果関係は証明されているため、人間にも当てはまる可能性が高い。すでに人間でも相関関係は見られるため、今、世界中で、オートファジーの活性を上げて、病気を防ぐ薬の開発が進む。吉森さんも2020年にベンチャー企業を立ち上げ、薬の開発を急ぐ。
運動、カロリー制限はオートファジーを活性化
 さて、「日常生活でオートファジーを活性化できないのか」とは誰もが考えるところ。最も手軽なのが運動だという。
 一方で、オートファジーを活性化させる食品成分の研究も進む。代表的な成分がスペルミジン。細胞の増殖に関わる物質であるポリアミンの一種で、豆類や発酵食品に多く含まれている。最も有名なのは納豆で、ほかにも味噌や醤油、チーズが有名だ。動物実験ではスペルミジンの摂取量が多いと、オートファジーが活性化し、心不全になりにくいとの報告もある。ほかにオートファジーを活性化させる成分としてレスベラトロールが知られている。これは、ブドウや赤ワインに含まれるポリフェノールの一種だ。
 また、食べる量も重要だ。「カロリー制限によって、動物では寿命が延びるが、それはオートファジーを介した作用だとわかっている。カロリー制限には、一日一食抜くといったプチ断食も含まれる。そういったプチ断食を時には行う、というのならばやりやすいかもしれない」と吉森さんは話す。
(図版:三弓素青)
この記事は日経ヘルス2021年4月号の転載です。情報は掲載時点のものです。
吉森保(よしもり たもつ)さん
大阪大学大学院生命機能研究科教授、医学系研究科教授