富岡町観光協会ブログ「夢咲くら」

警戒区域となった福島県富岡町の現在…
東日本大震災・原発事故・避難に関する新着情報などをお伝えしています。

ある家族のケース 3月16日(水)午前7時30分

2011-06-02 13:08:34 | 地震・津波・原発事故・避難
昨夜からの緊張がほぐれたのと、
弟が準してくれた朝食のおかげでお腹の調子が…

国道沿いの大甕神社の境内のトイレが故障中で、
仕方なく近くの民家のお宅へ…福島から避難している事情を話し、
「トイレをお借りしたい」とお願いするとと、
見ず知らずの私たちに快く貸して下さった。

この地域一帯はまだ水道がダメで、
訪ねたお宅は、たまたま井戸水が出る為、
なんとか生活できていたとの事。
自宅では生活出来ないので、実家に戻っていた娘さんが
対応してくれた。この家のお孫さんはちょうど出勤前で、
「福島第一発電所に、仕事で行ったことがある。
 人ごととは思えない」と。あたたかい言葉をかけて頂いた。

お礼を言って帰ろうとした時、アルミホイルに包んだ、
出来たてのあったかいおにぎりを6つ渡して下さった。
さらに、ペットボトルに入れた井戸水を4リットルも…

優しいお母さん(娘さん)の気遣いと心遣いに、
また涙がこぼれた…あったかいおにぎりは、
「あたたかい気持ち」そのものだったように思う。

家のそばに立っていた電柱の住所と、表札の名前をメモし、
清々しい気持ちで車列に戻った。

本当に、あの時はありがとうございました。
ご恩は一生忘れません…何度お礼を言っても足りないくらいです。

どこかでは、「福島」というだけで
いわれのない差別もあったと聴きましたが、
ほんの一部の報道と信じます。信じたいです。
多くの皆さんは、親身になり親切にして下さいます。
 
悪い事ばかりが大きく記事になっていますがこの場をお借りして、
応援して下さる多くの皆さんの「心」をご報告します。
  
一ヶ月後、ひたちなか市のお宅へお礼の葉書を書きました。
近況をお知らせするとともに、あの時のお礼を込めて…
本当に届くかどうかわかりませんでしたが、
2週間後、宅急便が仮住まいのアパートに届きました。
 
あのお母さん(娘さん)からの救援物資とお手紙でした…
またお世話をかけてしまったと反省しましたが、
ありがたく、遠慮なく使わせて頂く事に。
この縁を大事にしていこうと、心に誓いました。