禅と薔薇

高島市 曹洞宗 保寿院 禅の話と寺族の薔薇のブログ

2015年01月09日 | 小さな法話
ノーベル生理学・医学賞の受賞で有名な、京都大学の山中伸弥教授は、かっては外科医として働いておられました。
ご自身では、優秀ではなかったと謙遜しておられますが、きっと立派な外科医だったことでしょう。
しかし、外科医は激務であり、また同時に器用さも要求されます。人間が「立派」とか「優秀」とは、別の能力や運も必要かも知れません。

その山中教授が、外科医であった若い頃に、先輩の外科医に指導を受けておられますが、その中で次のような言葉を言われたそうです。

「ごちゃごちゃ言わずにとっとと、手を動かせ」

外科医ですから、想像するに手術中のことかも知れません。
やみくもに手を動かすのかと想像すると、患者側にとっては困ることかも知れませんが、もちろん十分な知識の上でのことです。

開腹手術などでは、手術中に判断をしなければならないこともあるでしょう。その時にゆっくり考えるなどは、これも困ることです。
まさに臨機応変な対応が必要な場合、「ごちゃごちゃ言わずにとっとと、手を動かせ」は
「ただひたすら」に通じる言葉です。