用途が広い≪頑張る≫≪頑張れ≫
日本語でもっとも用途が広い単語は≪頑張る≫≪頑張れ≫だと思う。いろいろな場面における≪頑張る≫≪頑張れ≫に見合う英語を考えてみる。
●入社試験に出かける息子を励ます場合の「頑張れよ」は、英語で何と言うか。
Good luck! かYou can do it.だろう。
●いい仕事をして会社に貢献した部下をねぎらう上司が「よう頑張ったな。有難う」と言う場合は?
Nice jobが適切である。
●マラソン・ランナーを沿道で「頑張れ」と大声で応援する場合は?
欧米人はWoo Hoo!とか大声で叫ぶだけで、ランナーの立場になって激励することは稀だが、あえて言葉をさがすなら、Give it your all.(力を振り絞れ)か。
●スポーツ選手を試合前に≪頑張れ≫と激励する場合は?
Have a nice game.が適切だが、「それではアッサリすぎて、闘争心が湧いてこないよ」という反論があるだろう。確かにHave a nice game.は勝敗を度外視しており、醒めた感があるのに対し、日本語の≪頑張れ≫には「その選手を勝たせたい」という気持ちが込められている。しかし、これは国民性の問題である。
●読売ジャイアンツの私設応援団が≪頑張れジャイアンツ≫という大きな垂れ幕を掲げた場合の≪頑張れ≫は?
アメリカのプロ野球に私設応援団はいないし、球場に応援の垂れ幕が掲げられることはないが、しいて訳せば Go! Go! Giantsだろう。
●ある新聞の地震の記事のタイトルが「頑張れ、熊本」だった。
この≪頑張れ≫は訳せないが、編集者の気持ちになって意訳すれば God bless, Kumamotoが適切だろう。
●山登りで足を滑らせ、必死に崖っぷちにしがみついている登山家(Tomとする)を仲間が≪頑張れ≫と激励する場合は?
Hang on, Tom!
●会社の社長が「もっと頑張って売り上げを伸ばせ」と檄を飛ばす場合はWork harder.
冒頭に述べたように、≪頑張る≫≪頑張れ≫は用途が広い言葉だが、逆に考えれば、日本語はヴォキャブラリーに乏しいということかも知れぬ。
一方、日本語を学ぶ外国人にとっては、≪頑張る≫≪頑張れ≫は使い勝手がいい言葉だ。しっかり用途を勉強して、使いこなしてほしい。