先月は更新が少なすぎでしたので、今月はせめて3回位はと思っています。
長い梅雨の影響か、七夕をとっくに過ぎたというのに、全国のあちこちで豪雨になっていて、被害も全国的に出ています。竜巻の被害もあり、昨年の震災も含めて、人間は何でもできるわけでも、何でも防げるわけでもないことを再確認しています。
我が大分県でも内陸部で大きな被害が出ていまして、幸い実家は大丈夫そうでしたが、復旧作業を妨げるような猛暑、さらには台風も来ているそうです。被害にあわれた方にはお見舞いを申し上げるとともに、亡くなられた方々のご冥福をお祈りします。
実は最近マイブームで昭和のtvドラマをレンタルして見ているのですが、つい先日相当久しぶりに「北の国から」を数日かけて全話ぶっ通しで見ました。
その中で、富良野が大吹雪になり、電気が止まり確か水道もポンプがダメで町中が大パニックになったのに、もともと電気のない五郎さんの家は何事もなく、水道は沢から水をパイプで運んでいたため、町が大パニックなのに、そのことに全く気付かなかったという話がありました(尤もその回では純とおばさんが吹雪の中車に取り残されるんですが…)。
生活が便利になるってのも実はもろ刃の剣なのかもしれません。
さて、今日ご紹介するのはこのアルバムです。
夢回帰線Ⅱ (90.8.25)
1、ナイルにて 2、カリビアン・ブルー 3、SNOWMAN 4、白鯨 5、リンドバーグの墓 6、ビクトリア・ピーク 7、Song for a friend 8、水底の町 9、天然色の化石 10、夜想曲
以下チャートのランクの決め方は初回をご覧下さい。(今回から表示が変わります)
初めて聴く方のさださんのアルバム検索をよりやりやすい表示にしました。
①ヒット:C
シングル曲があり、ヒットしていればA、していなければB、シングルなしならC
②コミカル:C
関白宣言、関白失脚、雨やどり、私は犬になりたいなどのコミカル系があるか?
③国風:C
飛梅、まほろば、修二会などの日本の文化、建造物などの曲があるか?
④恋愛ソング:B
いわゆる恋愛ソングが多いかどうか?ちなみにさださんの場合皆無のアルバムは無いです。
⑤社会性:A’
前夜、空き缶と白鷺、遥かなるクリスマスなどの社会的な曲があるか?またその程度により分類
1990年に間髪いれず発売されたこの年2枚目のアルバムです。
個人的に言えば、前年平成の時代になって以降のさださんのアルバムは、一部のオールドファンの方々が言うほど嫌いではなく、むしろちょっとした旅行などにアルバムを10枚くらい持っていく時には結構な頻度でチョイスされていました(今となってはmp3や携帯音楽プレーヤーにものすごい数のアルバムが入りますからアルバムの持ち歩きはしませんが)。
さてこのアルバムは87年に発売された「夢回帰線」と同様のコンセプト(いわゆる世界旅行的な試み)でつくられた第二弾アルバムになっています。さらに特徴的なことは、その演奏を今も昔もさださんの活動の原点でもあるライブのバックバンド「亀山社中」によって収録されていることでしょう。タイトルクレジットにも「WITH 亀山社中」とあります。
さださんのバックバンドはやはりそのライブの回数の多さからさださん自身にも、またファンの間でも関わりが深い、というか影響力がありました。そしてそれは今も続いているのですが、ファンに一番なじみのあったバックバンドが「亀山社中」だったでしょうか。とりわけ福田幾太郎さんの時代、そして不慮の事故でお亡くなりになって急きょ駆けつけてくれ、以後正式メンバーになった立山健彦さん加入あたりのメンバーは若干の入れ替わりもあるものの、本当に愛されたバンドだったことは事実です。
それとは別にさださん自身のアルバム作りへのこだわりからか、アルバムミュージシャンも一流で、例えば現在コンサートに随行しているフォーク界の大御所石川鷹彦さんなどはこれよりももっと前のアルバムに演奏だけでなく編曲でも参加しています。要は、ライブとアルバムは非常に上手く分けられていました。
もちろんオリジナルアルバムに亀山社中のメンバーが参加することも別に珍しくはなかったのですが、こうやってアルバムの全曲、ほぼ亀山社中だけで作ったアルバムは後にも先にもこのアルバムだけだろうと思います。そういう意味ではさださん40枚強のアルバムの中でも極めて意義深いアルバムであるとは言えます。
世界旅行というコンセプトと並行に亀山社中という二つのテーマでつくられたアルバムはセールスこそ平凡でしたがファンの間では(少なくとも私にとっては)とても比重の重いアルバムです。また、曲もさださんらしい重厚な門構えの物から、静かな軽めの物まで幅広くできています。さださん初心者向けか?というと、自信はないのですが。
まずはヒット曲はありません(笑)。そもそも90年代さださんは「ヴァージン・ロード/関白失脚」で若干売れるもののセールス的にはそれほどでもない時期ですし、①のランクが低くなるのは仕方ありません。
またいわゆるコミカル路線の曲もこのアルバムでは影を潜め(②)、恋愛の曲は失恋も含めて多いものの(④)、国風的な歌(つまりは日本を歌ったもの)は強いて挙げれば「水底の町」等になるのでしょうが、はっきりとした場所が設定されているわけではありません。あえて言えば当時の箱モノ建設ラッシュで日本中結構ありふれていたダムなどによって失われていく日本の原風景の描写ということでしょうか。
このアルバムで特筆すべきは先述したテーマ面を除けば、「天然色の化石」という曲の存在感を避けて通れません。
現在の日本のとある一風景から「化石」(あるいは「化石の発見」という遊び)から現在と過去、現在と未来、さらには生物の進化のこと、人種差別のこと、そして「僕と君(の現在・未来)」まで、化石を「鎹(カスガイ)」にして様々な風景、問題をトリミングしていきます。そして最終的には秀逸なラブソングに仕立てていきます。
ある意味では「前夜」以降、内省的なタッチでの葛藤やつぶやきを表現したさださんの(いわゆる社会的な)曲の中でも指折りの曲になっています。
さらには編曲もギターのストロークでざっくりと始まることが、後の盛り上がりに大きく寄与しています。
この曲は後にセルフカバーされて別のアルバムに、アレンジも歌詞も少し変えて収録されますが、個人的には圧倒的にこちらのバージョンの方が好きです。
さだー1でも書きましたが曲としては「水底の町」と「天然色の化石」が個人的に抜けています。
ですが、それ以外にも「SNOWMAN」。消えていく恋愛の儚さを同じく儚く消えていく雪の、しかも恋愛という「形」を雪だるまに置き換え、二人が、いずれ消えることが分っている雪だるま(今の恋)を「作って」いく。いや作らずにはいられない。という想い。
「白鯨」。自身の中に劇的に湧いてくる衝動や想い、「お前との愛」がテーマにはなっていますが、「夢」などに置き換え、そこに向かって一直線に向かおうとする想いや衝動をうたっているとも取れます。海が人生と置き換えれば様々な立場の人に勇気を与えることができるでしょう。
激しい編曲が素晴らしく、アルバムの中間地点になる位置(4曲目)でとても良い働きをしています。
「春雷」「胡桃の日」「まほろば」などテーマの違いはさておき激しめの曲が好きな方は同じ系譜と言えるかもしれません。
直線的な友情の好きな人は「Song for a friend」もお勧めです。恋が終わったあと今度は友人として支えることができるかどうかでこの曲の重さは変わってくるかもしれませんが。
それ以外にも国際色豊かな曲の数々、アレンジとさださんの90年代の幕開け、そして年間二枚目のアルバム発売、意欲的なテーマ設定での試みと、実は見どころの多いアルバムで、個人的にはとても好きなアルバムです。
では、お勧め総合ランキング(この部分は毎週変動が起こります)
1位「風見鶏」
2位「夢ばかりみていた」
3位「夢回帰線Ⅱ」
4位「私花集」
5位「帰去来」
6位「せせらぎ」
7位「コミュニケーション」
8位「わすれもの」
<超個人的私見>
インパクト的には今回のアルバムの方が「夢ばかりみていた」より強いのですが、今、アルバムとしてどちらをより聴きたいか?という二択をした時、それよりは下になります。ある意味アルバムとして平均的な「夢ばかり~」に対して少し個性的過ぎたのかもしれません。また私花集との比較では「アルバム全体としてのメリハリ」VS「主人公、檸檬、秋桜などの曲としての強さ」の対決になり、今企画の「お勧めアルバムを決める」という趣旨だと少し下かなあと思いました。「私花集」ファンの方、物は投げないでください(汗)。しかもこの順位すらどうなるか分らないし…
では、これから猛暑になります。皆さんお体には十分お気を付けください。
最新の画像[もっと見る]
-
Reborn~生まれたてのさだまさし 7年前
-
惠百福~たくさんのしあわせ 7年前
-
Sada Pedia 43 風の軌跡 9年前
-
Sada Pedia 42 季節の栖 10年前
-
Sada Pedia 41 心の時代 10年前
-
Sada Pedia 41 心の時代 10年前
-
Sada Pedia 40 夢唄 10年前
-
Sada Pedia 39 古くさい恋の唄ばかり 10年前
-
Sada Pedia 38 さよなら にっぽん 10年前
-
Sada Pedia 37 Glass Age 10年前
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます