かぐや姫です👸
今月のアトピー広場は、
藤澤皮膚科副院長 藤澤大輔先生のお話でした。
テーマは「事実は真実の敵なり」
際どいところ以外をご報告させていただきますね(*^^)
<ステロイドの歴史>
●1946年 コルチゾンの部分合成に成功
●1948年 Hench氏、コルチゾン(ステロイド)を寝たきりのリウマチ患者に注射したところ、
患者が踊れるようになったと、ニューヨークタイムズの一面を飾る
●1952年 サルツバーガー氏、アトピー性皮膚炎に酢酸ヒドロコルチゾン軟膏(ロコイド)を使用
●1954年 日本でステロイド外用剤の使用が開始された。
以後40年間に約30種類のステロイド外用剤が認可され、使用された。
<昔は子どもの湿疹は、大きくなる前に治っていた>
●1940年 サルツバーガー アトピー性皮膚炎は20歳以降には自然に治る
●1946年 ノーリンド 35歳以降のアトピー性皮膚は稀である
●1954年 わが国でCS外用剤の使用が開始された
<1959年 ステロイド外用剤発売5年後>
新しい副腎皮質ホルモン療法の指針をめぐって座談会
・小嶋理一 東京医科大学教授
・小堀辰治 東京逓信病院部長
・原田儀一郎 東京医科歯科大学教授
・川村太郎 東京大学教授
・安田利顕 日本皮膚科学会第九理事長
小堀:アトピー性皮膚は非常に慢性の病気で、こういう者にコルチゾンを使うと、
だらだらといつまでも使わなければならない。
また軽いものにこういうものを使っても本当の一時しのぎだけになりますから、
私の考えとしては、この病気にはできるだけ膏薬の治療をやって、
それでどうにもならないようなときにだけ短期間使っていただきたいという考えです。
安田:短期間ですね。
小堀:ええ、できるだけ短期間で済ますようにしたいと思います。
<AD治療におけるステロイド外用薬の副作用>
(日本皮膚科学会 アトピー性皮膚炎の診療ガイドラインの記載)
① 皮膚感染症
② 多毛
③ 色素異常
④ 接触皮膚炎
⑤ 皮膚の委縮と脆弱化
⑥ 毛細血管拡張、血管の脆弱性
⑦ ステロイド誘発性皮膚炎
――以下、記載なし――
⑧ スキンバリアの機能低下
⑨ 効加減弱(治療抵抗性)→
効かなくなり、強さと使用量が増え、全ての副作用が累積 → 悪循環
⑩ 遅延型アレルギーの増強
⑪ 依存性
⑫ 中止時のリバウンド
⑬ 内分泌異常
●1970年代 ステロイド外用剤の副作用
皮膚委縮、多毛、毛細血管拡張、にきび、紫斑、口囲皮膚炎・酒さ様皮膚炎の治療が検討される
結論、ステロイド外用剤の副作用の治療は使用の中止
●1975年 ステロイド外用剤治療における減弱効果についての論文
●1978年 「ステロイド嗜癖」ALBERT M. KLIGMAN
●1979年 プロピオン酸クロベタゾール(デルモべート)発売
(ステロイド外用剤の中で最強)
●現在 リンデロンやフルコートは、CMが放送され、薬局で購入できる
●1972年(京都市)、1995年(大津市)のアトピー性皮膚炎の有病率
23年間で変わったこと
・乳児期の発症率は同じ
・ステロイド軟膏の生産量が3倍
・小児の有病率は2倍、青年は5倍
<皮膚科学会や小児科学会の医師達>
2014年 成育医療センター出生コホート研究験で、
新生児期からの保湿剤塗布によりアトピー性皮膚炎の発症リスクが3割以上低下する。
皮膚のバリア機能が障害された状態で、早期に対応がなされず皮疹の改善が遅れると、
食物アレルゲンの皮膚感作が進行する。
スキンケアを徹底して行い、皮膚バリア機能を改善し、
新たな皮膚感作を起こさないようにする。
<Prof. Corkが指摘するステロイド使用で皮膚バリア機能が障害を受ける理由>
① 皮膚が薄くなる
ステロイドで治療された皮膚は最大で70%薄くなる
細胞間皮質ラメラの量、角質層一顆粒層界面の顆粒数が減少
② 乾燥しやすくなる
ステロイド治療の皮膚では蒸散水分量が多い
③ 皮膚バリアが壊れる
非常に強いステロイドの短期使用(3日)
非常に弱いステロイドの長期使用(6週間)で皮膚バリアが欠損
④ ステロイド中止後のリバウンド
ステロイド中止後のリバウンドによる炎症は、
界面活性剤やテープストリッピングなどのバリア破壊で見られるものと類似
ステロイドによる免疫抑制の停止後にサイトカインストームが起こり、
連続する炎症反応でバリアが破壊される
これはバリア欠陥が炎症反応を引き起こすことを示唆している
⑤ まとめ
ステロイドで炎症は抑制されるが、皮膚バリアが損傷し、
アトピー悪化のリスクが高まる
<ヒルドイド>
ヒルドイドは進行性指掌角皮症、血栓性静脈炎、瘢痕・ケロイドの治療と予防などに
効果・効能が認められている健康保険適用の処方薬です。
ところがこのヒルドイドは保湿効果がある、との噂によって
美容液や美容クリームとして使用する奥様方に対する保険適用外処方が
社会問題化していました。
蛭はヒトに吸い付いた時にヒルジンを唾液腺から出しています。
そのヒルジンの性質がヘパリンに似ているためにヘパリン類似物質と呼ばれるようになりました。
「化粧水を塗らないとシミシワだらけになる」
という恐怖感をうえつけて、皆さんを「保湿剤依存」にさせている勢力がいます。
「何も考えていない医師が多いものだ」と思っていたのですが、彼らは実は「確信犯」かもしれません。
今月のアトピー広場は、
藤澤皮膚科副院長 藤澤大輔先生のお話でした。
テーマは「事実は真実の敵なり」
際どいところ以外をご報告させていただきますね(*^^)
<ステロイドの歴史>
●1946年 コルチゾンの部分合成に成功
●1948年 Hench氏、コルチゾン(ステロイド)を寝たきりのリウマチ患者に注射したところ、
患者が踊れるようになったと、ニューヨークタイムズの一面を飾る
●1952年 サルツバーガー氏、アトピー性皮膚炎に酢酸ヒドロコルチゾン軟膏(ロコイド)を使用
●1954年 日本でステロイド外用剤の使用が開始された。
以後40年間に約30種類のステロイド外用剤が認可され、使用された。
<昔は子どもの湿疹は、大きくなる前に治っていた>
●1940年 サルツバーガー アトピー性皮膚炎は20歳以降には自然に治る
●1946年 ノーリンド 35歳以降のアトピー性皮膚は稀である
●1954年 わが国でCS外用剤の使用が開始された
<1959年 ステロイド外用剤発売5年後>
新しい副腎皮質ホルモン療法の指針をめぐって座談会
・小嶋理一 東京医科大学教授
・小堀辰治 東京逓信病院部長
・原田儀一郎 東京医科歯科大学教授
・川村太郎 東京大学教授
・安田利顕 日本皮膚科学会第九理事長
小堀:アトピー性皮膚は非常に慢性の病気で、こういう者にコルチゾンを使うと、
だらだらといつまでも使わなければならない。
また軽いものにこういうものを使っても本当の一時しのぎだけになりますから、
私の考えとしては、この病気にはできるだけ膏薬の治療をやって、
それでどうにもならないようなときにだけ短期間使っていただきたいという考えです。
安田:短期間ですね。
小堀:ええ、できるだけ短期間で済ますようにしたいと思います。
<AD治療におけるステロイド外用薬の副作用>
(日本皮膚科学会 アトピー性皮膚炎の診療ガイドラインの記載)
① 皮膚感染症
② 多毛
③ 色素異常
④ 接触皮膚炎
⑤ 皮膚の委縮と脆弱化
⑥ 毛細血管拡張、血管の脆弱性
⑦ ステロイド誘発性皮膚炎
――以下、記載なし――
⑧ スキンバリアの機能低下
⑨ 効加減弱(治療抵抗性)→
効かなくなり、強さと使用量が増え、全ての副作用が累積 → 悪循環
⑩ 遅延型アレルギーの増強
⑪ 依存性
⑫ 中止時のリバウンド
⑬ 内分泌異常
●1970年代 ステロイド外用剤の副作用
皮膚委縮、多毛、毛細血管拡張、にきび、紫斑、口囲皮膚炎・酒さ様皮膚炎の治療が検討される
結論、ステロイド外用剤の副作用の治療は使用の中止
●1975年 ステロイド外用剤治療における減弱効果についての論文
●1978年 「ステロイド嗜癖」ALBERT M. KLIGMAN
●1979年 プロピオン酸クロベタゾール(デルモべート)発売
(ステロイド外用剤の中で最強)
●現在 リンデロンやフルコートは、CMが放送され、薬局で購入できる
●1972年(京都市)、1995年(大津市)のアトピー性皮膚炎の有病率
23年間で変わったこと
・乳児期の発症率は同じ
・ステロイド軟膏の生産量が3倍
・小児の有病率は2倍、青年は5倍
<皮膚科学会や小児科学会の医師達>
2014年 成育医療センター出生コホート研究験で、
新生児期からの保湿剤塗布によりアトピー性皮膚炎の発症リスクが3割以上低下する。
皮膚のバリア機能が障害された状態で、早期に対応がなされず皮疹の改善が遅れると、
食物アレルゲンの皮膚感作が進行する。
スキンケアを徹底して行い、皮膚バリア機能を改善し、
新たな皮膚感作を起こさないようにする。
<Prof. Corkが指摘するステロイド使用で皮膚バリア機能が障害を受ける理由>
① 皮膚が薄くなる
ステロイドで治療された皮膚は最大で70%薄くなる
細胞間皮質ラメラの量、角質層一顆粒層界面の顆粒数が減少
② 乾燥しやすくなる
ステロイド治療の皮膚では蒸散水分量が多い
③ 皮膚バリアが壊れる
非常に強いステロイドの短期使用(3日)
非常に弱いステロイドの長期使用(6週間)で皮膚バリアが欠損
④ ステロイド中止後のリバウンド
ステロイド中止後のリバウンドによる炎症は、
界面活性剤やテープストリッピングなどのバリア破壊で見られるものと類似
ステロイドによる免疫抑制の停止後にサイトカインストームが起こり、
連続する炎症反応でバリアが破壊される
これはバリア欠陥が炎症反応を引き起こすことを示唆している
⑤ まとめ
ステロイドで炎症は抑制されるが、皮膚バリアが損傷し、
アトピー悪化のリスクが高まる
<ヒルドイド>
ヒルドイドは進行性指掌角皮症、血栓性静脈炎、瘢痕・ケロイドの治療と予防などに
効果・効能が認められている健康保険適用の処方薬です。
ところがこのヒルドイドは保湿効果がある、との噂によって
美容液や美容クリームとして使用する奥様方に対する保険適用外処方が
社会問題化していました。
蛭はヒトに吸い付いた時にヒルジンを唾液腺から出しています。
そのヒルジンの性質がヘパリンに似ているためにヘパリン類似物質と呼ばれるようになりました。
「化粧水を塗らないとシミシワだらけになる」
という恐怖感をうえつけて、皆さんを「保湿剤依存」にさせている勢力がいます。
「何も考えていない医師が多いものだ」と思っていたのですが、彼らは実は「確信犯」かもしれません。