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サッカースカウティングレポート

2010年05月15日 22時02分24秒 | 読むログ(本)

サッカースカウティングレポート/小野剛(著)




ブラジルを倒したアトランタ五輪、
W杯初出場を果たしたフランスW杯で
スカウティング担当だった小野氏の著作。

攻撃、守備でいかに数的優位を作るか、
相手の弱点点は見破り、そこをいかに突くか、
この本を読んでサッカー観戦の楽しみが一つ増えた気がする。
 
昨年のJ2で栃木SCは
仙台には3連敗とまったく歯が立たなかったが、
湘南には1敗2分けと善戦した。

仙台は栃木と同じ4-4-2、
湘南は中盤に厚みのある4-3-3。

本書を読むと、
栃木は湘南と対戦すると、
サイドで数的有利な状況が作りやすく、
善戦できたのかな…、など
より深くサッカーが観られるようになる。


もっとも、
本書で小野氏は、
スカウティングは、
選手たち堂々とピッチに送り出すための手段にすぎないと、
繰り返し書いている。

試合前に
相手チームのことで、
頭を一杯にして、
自分のプレーに集中できないのでは
意味がないということか。
 

本書はスカウティングの方法なども書かれているが、
サッカーをプレーしない自分とって、
面白かったのは、
アトランタ五輪、フランスW杯で
実際にスカウティングした内容。

フランスW杯予選では3バック、4バックを併用
本戦では3バックで戦ったのですが、
その理由が明らかにされており、
なかなか興味深かった。

また代表で必ず発生する先発と控えの問題。
第3GKは重要などという記述もあり、
さすがは岡田監督と近い関係の小野氏。
まるで川口選出を予言していたようだ。
 


さらに、フランスW杯予選で
代表を中田英選手中心のチームにしようとした理由を
先日NHKBSで放送されていた「日本サッカーの50年」で、
岡田監督がコメントしていたが、
本書にも同じ内容の記述がある。

内容はこんな感じ。

中田英寿を控え組にしてみた。
ここで腐るようだったら、代表から外そうと考えていたが、
腐るどころか誰よりもひたむきにトレーニングに取り組んだ。

その後のウズベキスタン戦でも途中出場だったが、
チームのためにハードワークして最後までボールを追いかけた。
その姿を見て、中田中心のチームにしようと…。

当時の中田選手といえば、
アトランタ五輪でも西野監督との確執から、
ハンガリー戦では先発を外されるなど問題児扱いだったが、
キチンとした目で見れば、サッカーに関しては
誰よりも一生懸命やる選手だということだろうか。


”自分探しの旅”などと
ピッチ外では意味不明な所がある中田英寿氏だが、
サッカーにおいては、
尊敬できる名選手だったのだと改めて感じるページが
本書にはある。
 
そんな本書の内容から、
代表については、
良い選手を上から23人選べば良い、
というものではないということが理解できる。


ちょっと脱線したが、
W杯前に気持ちを高ぶらせる意味でも、
読んで損のない本。

ぜひ、読んでみてください。