ONE DAY: RYOKAN's Diary III

誰にだって訪れるさ どうしたって悪い日は 地雷と番犬と腰に機関銃 ドイツ製でもダメでしょう

新横綱

2007-05-27 19:30:00 | ニュース
ついに新横綱誕生朝青龍が後半おかしかったとはいえ全勝優勝での連覇達成は立派なものだし、まだ若いからこの先が楽しみな新横綱である。朝青龍がああいうタイプだからどうしてもヒール的な立場にある為にかなり持ち上げられている部分はあると思うけど。見た目も日本人好みだし。個人的には写真でみる限りあの双葉山に似ている気がしているんだが。
 ただ、昨日の千代大海を十分な体勢から強引に、これ見よがしに吊り落とそうとしたのは感心しなかった。現段階では同格である大関に対して取る態度ではないと思う。あれでは朝青龍がさんざん批判されている土俵態度と同じだ。かつて千代の富士がいわゆる「ウルフスペシャル」と呼ばれた相手の頭を押さえつける上手投げや寺尾等を相手にやっていた投げ捨てるような吊り落しも、大関相手にはやらなかった筈である。

さて、白鵬の所属する宮城野部屋は立浪一門なので、白鵬の土俵入りは不知火型ということになる。手足が長く体格のよい白鵬に似合うだろうと思う。
 立浪一門の横綱は羽黒山・吉葉山・双羽黒・旭富士と不知火型を受け継いできた。雲龍型と不知火型の両方が出る二所ノ関一門では玉の海・琴櫻・隆の里・(三代目)若乃花と出ているのだが、玉の海は現役中に急逝、双羽黒はご存知のように若くして廃業、また最も若い若乃花も既に相撲協会を去っているために、白鵬に実地で土俵入りを教えられるのは隆の里(鳴門親方)と旭富士(安治川親方)の2人しかいない(定年退職した琴櫻は足の病気で土俵入りの動作ができない)。まぁ多分安治川親方が教えるんだろうけど、この人あまり現役時代に土俵入りがうまいと思えなかったんだよな(苦笑)。まぁいちばん最悪だったのは双羽黒だったけど。

吉葉山も旭富士も若乃花も横綱昇進時の年齢が高めで、横綱としての活躍期間が短かく満足に土俵を務められず、玉の海は現役中に急逝、双羽黒は廃業ということで「不知火型=短命」のジンクスがついて回る。白鵬もこれを理由に最初は不知火型を嫌がったとも聞くが、一門で最初に不知火型の土俵入りを行った羽黒山は戦中から戦後にかけて十数年間も横綱を務め、アキレス腱断裂からも復活した大横綱である。兄弟子の双葉山がなければ彼の独走時代だったとも言われる。その域に迫ってもらいたい。
 ちなみに双葉山は立浪部屋だが土俵入りは雲竜型で、この当時はまだ不知火型が部屋一門の伝統になっていたわけではない。というか立浪部屋が名門とされて一門を築いたのは双葉山・羽黒山・名寄岩(大関)が相次いで出た1940年代以降のことだし、時津風一門はその双葉山が開祖(横綱昇進後に立浪親方と折り合いが悪くなった双葉山が現役中に事実上の部屋である双葉山道場(→時津風部屋)を開き、幾つかの部屋が一門の枠を超えて双葉山の人徳に惹かれ集まり新たな一門が成立した)である。現在の一門で明治期から存在するのは出羽海と高砂くらい。
 土俵入りの型そのものも時代によって変化が結構あって、現在の雲竜型・不知火型の原型になったのは明治期の(二代目)梅ヶ谷と太刀山であり、四股の踏み方も今のように足を高く上げる形になったのは双葉山の直前の第一人者だった玉錦(二所ノ関一門の事実上の創設者、現役中に急逝)からである。伝統芸能的な部分も多い相撲だが、その所作や様式は歌舞伎などのようにきっちり守られて受け継がれている訳でもない。それがいいか悪いのかは別として。

もちろん個人的な好みはある。個人的には足を高く上げる四股は好きだし、千代の富士・貴乃花・(三代目)若乃花といった四股の綺麗な土俵入りは好きだった。千代の富士は小柄な体をカバーして大きく見せるためか、雲竜型としてはかなり上半身前かがみ気味のせり上がりだったが、彼がこれをやるのはなかなか見栄えもよかったけど貴乃花の前かがみは酷かった。不知火型は両腕を広げるので前かがみ気味の方が格好いいんだけど。
 せり上がりは本来は前にかがまず腰を据えて垂直に立つものだそうで、この点は近年の横綱では曙がかなりしっかりしていた。曙は貴乃花と逆で四股がかなり酷かったけど(苦笑)、小さい四股はある意味で古式の四股踏みともいえる。当代の朝青龍の土俵入りは、柏手の打ち方とかせり上がり等の時の腕の動きにヘンなリズムや動きがあってあまり好きじゃない。さて白鵬はどんな土俵入りを見せてくれるか。