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Blue Moon Cafe

~since1999~

どうでもよくない人

2018年10月14日 | 瑠璃色ノート
貴方は何もわかっていない、なぜ私が決死の思いで家から外に出て夜の街にきて

自分をエサに釣りをするようなそんな真似をするのか そうせねばならないのか

貴方は何も知らない全然わかっていない、と私はムキになって語気を強めた。

だって「今でも貴女は亡くなったご主人のことを忘れられずにいるのでしょう」と

さぞかし愛し愛されていたことだろう、とM氏は一人で納得しようとしているので。

他のどうでもいいような人から言われるのなら、しおらしく曖昧にしておけば

勝手に解釈して必要以上に近寄ってこないので否定はしないでおくのが常だが

今夜はお酒が入っているとはいえ、無防備な人にボールをぶつけるようなことをした。

先日一人に打ち明けてしまったせいで、秘密の箱の鍵が壊れてしまったみたいだ。

あってはならない遺品と一枚の写真のせいで、私は疑問と怒りにのたうち回り

ついには夫との28年間をキリトリ別の場所に保存し、出会う前の二十歳から

人生をやり直していること、新たな愛を掴み夫に幸せのリベンジをすること、

夫とのことはもう前世の記憶のようなもので、これっぽっちも未練などないこと、、

全ての元凶である夫の秘密を話してしまった。失敗だったか?かもしれん。

同い年のセンパイ

2018年09月29日 | 瑠璃色ノート
お互いにスタンプを送り合うだけで終わったM氏とのLINE。

今後の展開を妄想するだけで一週間が終わり、土曜の夜はおひとりさま。

(M氏居るかな)とほとんど確信に近い感じでごく自然を装って件の店へ。

男や女の取り巻きに囲まれた人気者のM氏を見つけて嬉しさと寂しさMIX。

M氏はそのステータスと人柄で誰しもお近づきになりたい一角の人物。

私はただお喋り出来るだけで儲けもの・・と解っていたことじゃないか。。

出会ってからこの2年間の平行線を思いつつ平静を保ってワインを飲む。

突然、M氏の取り巻きの中の一人の女性と意気投合。

キーワード『娘二人』『長女が結婚』『ひとりになって5年』(私は4年)

なんだか似ているなあ、もしかして同じ歳?と干支で確認BINGOでWAO!

同じ境遇の同い年。お互いに何か運命めいたものを感じて手を握り合う。

M氏はもしかして今夜この女性と私を引き合わせてくれたのかもしれない。

M氏への二度目のラインは彼女と友達になれた報告とありがとうスタンプ。

その間にも未亡人の先輩とは次に会う約束のテンポ良すぎるラインの応酬。










アメリカンクラッカー

2018年09月28日 | 瑠璃色ノート
迷える子羊たちがたどり着く不思議な喫茶店がある。

入ってくるなり「もう自分の変態さ加減にうんざりして」と奥で突っ伏す少女。

『放っておいて欲しかったらココ来ないよね?いいからこっち来て座んなさい』

とマスターに促されて、しぶしぶカウンターの私の隣にやってきた少女は

よく見たら20代後半位の大人だった。「話、聞いてもらっていいですか」

というので神妙な面持ちで、が内心(こりゃあ小説読むよりずっと刺激的だ)と

彼女が話すを聞いていた。変態の捉え方が誇大すぎるとも思ったが、要約すると

絵描きの卵の彼女は男と寝ると、性欲が脳を支配して自分の絵が描けなくなる。

だから極力男とは関わらないようにしているのに、ふと魔がさしてしまい

外人もすぐに見つかるアプリに手が伸びる。寝ることは覚せい剤級の麻薬。

脳は拒否し、身体は求め、精神は病み、心も全てがはじき飛んでしまう。

性欲に浸食されたなら逆にそれを芸術に落とし込めるんじゃないか、嫌、違う、

私は絵が描けないと生きていけないのにそれだけだともっと生きていられない・・

マスターと突き抜けた会話をするのをただ聞いている私はもういい大人なのに

全然大人な世界が解っていない夢見る夢子ちゃんなのだなと思い知らされたよ。

キコンシャM氏の提案

2018年09月23日 | 瑠璃色ノート
好きな人に巡り会えないまま時は過ぎ、恋愛なんてもう自分には無理

これからはシニアの互助会助け合いのサークルでも立ち上げようかな

仲間同士で近くに住んで月に一度は生存確認のお食事会とか季節行事

それなら適度に楽しくて傷つくこともなく孤独でもなく合理的、、、

と、娘以上に娘の失恋を引きずって恋に臆病になっている私って一体。

面倒くさい自分を持て余して久々赴いたお店で、飲み友達M氏と再会。

優しい人に会いたくなると訪れる店に、優しいM氏が居て嬉しくなる。

M氏とはお互いの子どもが同じ年で学校も一緒、というので意気投合。

人当たりがソフトで、これまで何度も保護者会気分で楽しく話す間柄。

なのに、その夜は突然他の人達の居る前でも「今度デートしませんか」

友達感覚なのか、もしかしたらものスゴイ女たらしなのか、わからない。

ラインの友達のQRコードを読み取って、私達は次の段階へと進む。のか?

失恋花

2018年08月25日 | 瑠璃色ノート
「順調な交際で本人も周りも(このままいけば結婚か)と思っていた矢先

『少し距離を置きたい』と彼氏からのラインで唐突に終わった娘の初恋。

理由を尋ねてもハッキリせず、直接会って話したいと言っても逃げられて

「ちゃんと会って話してキチンとフッて欲しい」という娘の願いは叶わず

失恋の悲しみよりも怒り沸騰の風花。

理由をはっきりさせたいから、と電話でやっと捕まえて訊いてみると

「結婚はしたくない、キミは元カノ以上の存在にはなれなかった」

という思いっきり嫌いにしてくれる台詞でジ・エンド。バカ馬鹿ばーか!

元カノって人妻だろうがっ。言うに事欠いて元カノ出してくる無神経さ。

元々私の行きつけのワインダイニングBARのオーナーが風花を気に入って

ぴったりの人がいるから会ってみない?と縁を結んで交際が始まり

お店の常連さんからもあたたかく見守られながらの2年の付き合い。

お似合いのカップルだったのに。それが逆にプレッシャーだったのか。

本当の理由は他にあるかもしれない、とモヤモヤする私と娘の

失恋の痛手も癒えたその二か月後に、彼からまさかの復縁願いのライン。

「キミと別れたのは間違いだった」と今さら気付いてももう遅い。



6日間0円生活

2017年09月14日 | 瑠璃色ノート
娘が卒業旅行に出掛けてしまったので期間限定一人暮らし。

自分一人の食事だったら適当にあり合わせ料理で十分だ。

ストックしてある食材だけでどこまでいけるか試してみる。

大学の後期授業料を納めてしまったら、財布がすっからかん。

ついでに一切お金を使わずに暮らしてみる。カードも禁止。

会社に週1で来るパンやヤクルトの訪問販売も今週はパス。

だってお財布には108円しか入ってないし、銀行は遠い。

コンビニでお金をおろしたことも無いし、この先もしない。

仕事帰りに回転寿司やスーパーやマツキヨ、100均にも寄らず

まっすぐ帰宅して玄関開けたら2分でワイン。メルシャン最高。

あり合わせだが栄養バランスのとれた美容食を作って食べる。

オニオンスライスとか豆腐料理とか乾物とか缶詰料理とか。

ワインが尽きて、他のアルコール、ノンアル類も全て無くなり

夫が飲み遺した3年前のウィスキーも飲みつくし、お弁当も

非常食のカップ麺とおにぎりとリンゴとナッツとヨーグルト、

とかになってようやく娘が帰国。お互いの奮闘ぶりを報告。



犯人探し

2017年08月29日 | 瑠璃色ノート
新理事長から緊急理事会が召集された。平日の夜、仕事終わりでご飯も食べてない。

理事といってもマンション自治会の輪番制。お当番だからしょうがなく、というスタンス。

議題はゴミ出し。ルール違反をして布団をそのままゴミに出した住人(もしくは外部の人間)

がいるので、監視カメラの映像をさかのぼって調べて特定する、というもの。

15年くらい前にマンション各所に、犯罪抑止と不審者対策の目的で監視カメラを付けた。

録画の内容は事件や事故の際、警察からの要請があったら立ち合いのもとに観ることにし、

建物内での違反行為や住人の行動を監視するものではない、という前提だった記憶がある。

(犯人探しをしたい)という正義感と好奇心のワクワクに取りつかれた新理事長と副理事長。

女性の理事の出席は私一人。僭越ながら反対意見を述べた。隣人を犯人扱いしたくないので

今回の件もこれまで同様、注意書きの文書をゴミ集積所に掲示し注意喚起することを提案。

「奥さんは性善説派だから・・」「ルール遵守する人なら犯人探しに同意賛成するはず」

皮肉なのか女性卑下か、半分にやけながらの態度にカチンときた。『奥さん』でも無いし。

犯人なんて知りたくもない。ゴミの始末はマンション管理費と市町村税で解決する話だ。

正義感と好奇心を抑えきれないオジサン達を、終始努めてにこやかにおだやかに諭した。

疲れた。

転げ落ちる階段

2017年08月27日 | 瑠璃色ノート
在来線から地下鉄に乗りかえる連絡通路の階段を、注意深く下りていた。

ふいに背後から「キャー」という女性の悲鳴と、派手に転んだような鈍い音が響いた。

「痛っっ、ッテ―、、なんなのよ、もう・・」という涙声のつぶやき。

ふり向くことが出来なかった。手すりを伝わりながら速やかにその場を離れた。

先月私も全く同じところで派手に転んでアザを作った。

運が悪かったら頭から、もしくは顔面から落ちていた。

(ヒールで足がぐらついたのだ、ただの偶然)と自分に言い聞かせ、娘に話すと

「嘘!そこの階段、私も前転んだ!普通に下りてたのに、ダダダって落ちたっ」

偶然が重なり怪談になる。ただの偶然だ。けどこれも結構あとからじわじわ来る。

二人の老婆

2017年08月24日 | 瑠璃色ノート
霊感も無く幽霊も見たことがなく、夫の夢さえ見たことがないので、死後の世界は『無』

だと思っていたが、『走る女』を見てしまってからなんだか疑心暗鬼。コペルニクス的転換。

毎朝田舎道を通って通勤しているが、たまに見かける高齢の『佇む老婆』と『異形の老婆』。

一人は小さくやせて黒い帽子をかぶり、いつも信号の角の家の前の生垣の石のところに

ちょこんと腰かけ、信号で停まる車を眺めている。死んだ祖母と面影が重なるので

今日も元気そうで何よりだなあ、と呑気に思っていたけど、はて。疑うときりがない。

よく見るとたまに何かつぶやいている。こっちをじっと見ている。朝の8時40分。

もう一人の老婆は、白髪をふり乱し、ボロをまとい田んぼの一本道を歩いてくる。

ホームレスのような風貌でビニール袋に荷物持って、3ヶ月に1〜2度出くわす。

身寄りが無いんだろうか、と見かけるたびに思う。この間は道にしゃがんで嘆いていた。

ように見えた。見かけると(まだ生きてた)と安心したり心配になったり福祉を問うたり。

娘達にそのことを話すと「お母さん!それ、絶対に目を合わせちゃ駄目だよ!」

「もう絶対ソレだよ」「こわいよ」と言われても生きてる人とソレの区別が出来ない。

同じ通勤路の同僚に二人の老婆の確認をしたいが、怖くていまだに出来ないでいる。

あとからじわじわくる話

2017年08月20日 | 瑠璃色ノート
【走る女】


のどかな秋田。田んぼと山しかない国道でお盆の帰省ラッシュ。渋滞行列のろのろ運転。

娘二人と何気なく景色を眺めていたら、はるか行列の先の方から細い歩道を
こちらに向って走ってくる長い髪の女性がいた。

白いブラウスと薄茶のロングスカートで、カバンもケータイも持たずに悲壮な顔をして
早いペースで私の車の左横を通り過ぎて行った。

近くにお店や集落も無いのに一体どこまで走っていくのだろう、と不思議に思って

「ねえ、あの人どこまで走って行くんだろうね」と娘たちに話しかけても返事がない。

「ねえってば。あの人、ケータイもカバンも持たないで何急いで走ってくんだろうね」
と語気を強めてみると

『お母さん、さっきから何言ってるの?』と恐ろしげに目を見開いて聞いてくる。

「さっき、この渋滞のずっと先の方からそこの道ずっと走ってきた女の人、居たでしょ?」

『誰のこと言ってるの!?』『私たちずっと一緒に外見てたけど、そんな人見なかったもん』

「・・・え・・・」


車中大混乱。


今すれ違ったのは本当に普通の人のように見えた。