ヴァイオリン日記

オーストラリア・メルボルンでヴァイオリン弾きをしてます。日常生活で感じたこと、経験した事、きままに更新しています。

子供の言葉

2005年09月29日 | ひとりごと
オーストラリアでは多くの移民が英語を使っている。
日本人永住者も多い。

その子供達は、家庭では日本語を、
社会では英語を使わなければならない。

ある日本人永住者の子は、最近地元の学校に通い始めた。
メルボルンには、日本人学校もあるのだが、
将来の事を考え、多くは地元の学校に行く。

彼らは日本国籍より、オーストラリア国籍を選ぶ可能性が
高いと親御さんは、思っているからだ。

環境とは凄いもので、彼女が学校に通い始めてからは、
英語を発する事が増えた。

一人でお遊びしている時の言葉が英語だったり、
反射的に発した言葉が英語だったり。。

そして発音がネイティブ。

しかし、日本人と話す時はしっかり日本語に戻る。
誰に英語で話し、誰に日本語を使うか、
しっかり把握している。

彼女は今のところ日本語の方が上手だが、
そのうち変わってくるだろう。

そういった子を見ると私は本当にたくましく思う。

その子は日本には<遊びにいく>
オーストラリアには<帰る>と言うらしい。

それはそうだ。
彼女は日本人だが、ここで生まれ育っているのだから。



叱責

2005年09月28日 | 教えること
本当の優しさとは何だろう。
日本では、<優しい>という言葉が
むやみに多く使われている気がする。
その意味は<心地良い>だったり、 <放任>だったり。。。

私は本当の優しさに触れたとき、自分のちっぽさを感じる。

相手の強さと愛情の深さを感じるからだ。
そしてそれは感謝の念を生む。

私は優しい人間でいたいと思う。

それは、自分の生徒に対してもそうだ。
無責任で、エゴ的な優しさではなく、
愛情と厳しさのある優しさをもって接したいと思う。




再生芸術

2005年09月27日 | 演奏について
演奏するということはどういうことだろう。

偉大なる作曲家が残した音楽を再生する。

再生するという事は大袈裟に言えば、
命を吹き込む事である。

その命に個性を与えるのは
演奏家の解釈であり、感性である。

再生芸術の難しいところは
そのバランスだ。







暗譜

2005年09月25日 | 演奏について
これでもかと思うほどバッハの暗譜には力を入れる。

本番で暗譜がとんでしまった経験がある。
コンクール前の試演会で、
かなり多くの曲を仕上げていたつもりだったが、
バッハで、暗譜がとんでしまった。。。
思い出すだけでも苦い思い出だ。

あとあと良く考えてみると、
その曲の練習の仕方に問題があったんだと思う。
手癖で曲を覚えていたのだ。

ある曲を覚える時、何度も弾いていると
自然に暗譜できるようになる。
その<自然に>が曲者だ。

物事は<自然に>崩れるからだ。

楽譜をよく読む。
練習する時は、余計に無駄には弾かない。
頭で順序よく記憶する。

バッハの場合、和音進行の把握は大切だと思う。
似たような旋律があちこちにでてくる。
旋律だけではなく、和音進行を意識する事によって
崩れない暗譜ができるのではないかと思う。





フットボール

2005年09月24日 | ひとりごと
今日は、フットボールのグランドファイナル。

シドニースワンズVSウエストコーストイーグルズの試合が、
私の住むリッチモンドの近くで行われた。

結果はシドニーが72年ぶりに勝利。
実はシドニースワンズは、1982年前まで
サウスメルボルンスワンズというメルボルンのチームの一つだった。
よって、今でも、そのファンがここメルボルンにも多い。

本当に凄い熱気だった。
前日から、街ではパレードがあって
これから、オリンピックでもあるのかと思われるほど。

なかには精神病といわれるほど
シーズン中、フットボール以外考えられないファンがいたりする。

今回のグランドファイナルの試合は
誰もがいい試合だと言うほど素晴らしいものだった。

それにしてもメルボルンの人々のチームに対する
情熱は凄まじいものがある。









音を味わう

2005年09月22日 | 教えること
新しい生徒さんが来る時は
必ず何曲か弾く事にしている。

私は人前で弾く事が好きだし、
私の考えや、やってきたことは、
私の音楽に反映されていると思うので、
私を紹介するのには、手っ取り早いと思う。

今日の男の子は、かなりやんちゃ子だったが、
私の演奏が始まると動きをとめ、
じーっと耳をすまし、集中して聞いていた。

純粋に音楽を聴くことを
私たちプロは忘れている時がある。

音を楽しみ、味わう。
これは、美しい音を自ら創り上げるのにも、
必要な事だと思う。

できるだけ美しい音を聴かせてあげたいと思う。







成長するという事

2005年09月21日 | ひとりごと
<私の知るかぎり、広い意味でもっとも成功している人々は、
自分たちの才能や能力を見いだそうとした人であり、
今でもそれを続けている人です。
目的とその方向を見すえて仕事をし、
自分にとってのその仕事の価値と、
他人にとっての価値を常に心にとどめてきた人々です。
自分と正直にむきあい、変化を起こしたり人生を見つめなおしたりするのに、
まだまだ遅くはありません。 >

この言葉はアレックス・ロビラ著の
<レターズ・トュー・ミー>からの引用である。

いつまでも、自分の才能や能力を信じ、
それを見出そうとするパワーを持っていたい。

それが、成長すると言う事のカギになると思うから。




ベートーベンについて

2005年09月20日 | 演奏について
今日は、ひさびさにカルテットのリハがあった。
Port Melbourneという海の近くの、
もう一人のヴァイオリン奏者、KaiKaiの家へ。

Kaikaiは中国系オーストラリア人。
3歳から鈴木メソッドでヴァイオリンを始めた。

彼の教師はオーストラリアに初めて鈴木メソッドを
導入した先生らしい。
Kaikai曰く「僕は鈴木メソッドで始めたから、初見苦手なんだよ。」

しかし、私から言わせると、全然得意そうなんだけど。。

ベートーベンのop.18 の4番。
ベートーベンの初期の作品6曲のなかでも
旋律が豊かで、派手なので、とっつきやすい。

私見を述べると、
ベートーベンを弾く時に重要なのは、厚みと重さだと思う。
強弱や響きの厚み。ぐらつかないリズムとテンポ感。
単調な弾き方ほどつまらないベートーベンはない。
少しおおげさぐらいがいいと思う。

カルテットの場合、厚みは内声の努力につきる。
タイミングとバランスと音質。

まだまだ課題は山積だ。





ヴァイオリンでソルフェージュ

2005年09月19日 | 教えること
ある生徒は楽符の読み方を勉強中。
今日はE線のAとFisの曲を初見で、弾いてもらった。
四分音符と二分音符の簡単なものだが、
AとFis、四分音符と二部音符の組み合わせは、弾けるようになった。

宿題にしていた5枚ほどの音符カードも
読めるようになっっていたので、
ヴァイオリンで音をだしながら、カルタ遊びをしてみた。

来週はそれらの音でつくった曲を
ヴァイオリンで弾くレッスンをしようと思う。

私は鈴木の教本を使っているが、
楽譜を読むことも重要だと考えるので、
初見用の教材も使っている。

一分ほど楽譜を見て、頭の中でヴァイオリンを弾く。
強弱や、テンポ、リズムに注意して。

一分後、心して弾いてもらう。
ここで、緊張感をもたせる。
できるだけ、間違えないように弾いてもらうが、
間違えても、弾き通してもらう。

ソルフェージュの視唱の要領だ。

これらをおもしろ、おかしく、おだてながら教える。
色々でてくるアイデアを順序よく
教える事に頭を使う。








Aussieの英語

2005年09月18日 | ひとりごと
オーストラリアの英語にはなまりがある。
数字の8(eight)をアイトュ と発音し、
I'm lazy をアイム ライジー といい、
Good day ! mate! グッダイ マイトュ と挨拶する。

アメリカ英語に慣れていた私は、来たばかりの頃は
ちんぷんかんぷんだった。

それでも注意していると少しずつ慣れてくるものだ。

最近では、このなまりに愛着がでてきた。

移民が多いので、人種ごとになまりがあるが
人々はそんな状況にとっても慣れている。
日本の様に、外国人と知って、
毛嫌いされる事は、無いに等しい。

ここにいる人々の多くは昔は外国人だったのだから。












練習方法

2005年09月17日 | 教えること
同じ1時間でも練習方法によって
得られるものが変わってくる。

効率的に、本番で失敗しないように練習するには、
練習中は、かならず集中していなければならない。

テレビを見ながら練習すると言った子がいたが、
とんでもない!

部分練習と通しの練習。

部分練習では、苦手なところを細かく区切って練習する。
フレーズを分解し、リズムを変え、テンポを変え、繰り返す。
が、1回ごと、意識して、注意を払って、繰り返す。

通しの練習では、最初から最後まで決して止まらないように練習する。
暗譜を忘れても、間違えても、
本番と同じように切り抜ける。
緊張感をもって、最後まで弾き通す。

恩師はいつも、頭を使って練習しなさいと言っていた。
(私はどちらかと言うと、要領がいいほうではなかった。)

そして、私も今、生徒に同じ事を言っている。




ショック

2005年09月15日 | ひとりごと
私の好きな曲にイザイのバラードがある。
プラハにいた頃、コンクールでも弾いたし、
レコーディングもした事のある曲なので、
弾きこんでいる曲の一つだ。

久しぶりに弾いてみた。

かなりやばい。。。

完全に忘れている。
曲の情緒は感覚的に覚えているものの
まずは左指が思うように動いていない。

最近、教える事に無我夢中になっていて、
自分のソロの練習をさぼっていた。

私は、いつまでも人前でヴァイオリンを弾いていたい。

これからは、ちゃんと練習します。

反省。。。。

教師の憂鬱

2005年09月14日 | 教えること
ヴァイオリンを始める時期はそれぞれだが、
2、3歳から始めたからといって
それが能力につながるというわけではない。

この時期の子供の記憶力は
凄まじいものだが、これは、日常生活で必要な情報や
言語能力を蓄えるものだ。
生活の基準となるこういったものを
大切に育てる事は、ヴァイオリンを習う以前に大切な気がする。

ただ、色々な情報を小さい頃から与える事も、
感性の育成や、知的好奇心にも繋がる場合がある。

子供にできる事、できない事をしっかり見極め、
さらに、私にできる事、できない事も
しっかり伝えていかなければと思う。











国別教授法

2005年09月12日 | 教えること
今日は新しい生徒のレッスンがあった。

彼女の家族はメルボルンに来る前までインドにいたらしい。
9歳の彼女は、インド人の先生の事、学校の事、環境の事、
色々、話してくれた。
それらはとても興味深いものだった。

汚れた空気を通して太陽を、直視できるとか、
中級以上の家にはメイド、運転手、門番が必ずいるとか、
ガンジス川の事とか。。などなど。。。

インド人のヴァイオリンの先生の教授法。

たとえば、音がA線のDだとすると、
彼女はA3と答える。
音がE線のFisだと、E1と答える。
つまり、音名ではなく各弦の指番号を覚えているので、
音符は読めない。


私は、その生徒と親に断って、
新しい勉強法になるが良いかとたずねたところ
OKがでたので、
今日はまず、音符カードから始めた。
とても反応のいい子なので
すぐ音符とフィンガリングの関係は、理解できるであろう。

できるだけわかりやすく、
順序よく教えたいと思っている。









国境での出来事 その2

2005年09月11日 | ひとりごと
チェコ人のそのバス運転手は、私のところへ来て、
「ドイツの検察官に君を連れて来いと言われたので
一緒に来ていただけますか?」と言うのだ。

深夜2時雪が少し降っていて、静かな、国境で
私は何がなんだかわからず、オフィスに出向いた。

そこには、かなり体の大きい無愛想な検察官が
私のパスポートをスクリーンで細かくチェックしていた。
彼はドイツ語で何か話しながら、そこの仲間と
私のパスポートについて調査している。

しばらくたつと、その検察官が
「君は本当に日本人か?君のパスポートは怪しい。
これはどこでつくったパスポートだ?」と英語で聞いてきた。

当時の私のパスポートはスタンプだらけだった。
しかも、列車やバスでの出入国のスタンプが多かった。
5年のパスポートだが、表紙の金字もはげかかっていた。

それでも日本でつくったもので何も嘘はないので
自信を持って
「これは確かに私のもので、日本でつくったものだ。
何がそんなに怪しいのか?」と聞いたがその無愛想な検察官は
私の言葉には答えず、怪しい目でそのパスポートと見本らしき
パスポートを見比べていた。

15分ほどたって彼は私に1枚の紙を差し出した。

なんと日本語のテストだ!

「このテストをやれ。」と言われたので目を通してみると、

-あなたのパスポートに書いてある同じサインをここに書きなさい。
-三角形と円の形をここに書きなさい。
-七千五百八十三を数字で書きなさい。
-梯子(はしご)の図柄を描きなさい。

と言う感じのものだった。
まあ、私はあいにく正真正銘の日本人だったので、
完璧にこなした。

解答用紙をどこかで採点したのか、
やっとバスに戻っていいと許可がでたので、
バス運転手とともにもどったが、約45分くらいは、
そこにいただろう。
かなり腹立たしかった。

バスの運転手は、私に「何故疑われたのだ?」と聞いたが、
私が知りたいところだと答えた。

それにしてもあの無愛想な検察官の顔は一生忘れないだろう。
最後まで罪人扱いだった。

バスに戻った時、他のの乗客に白い目で見られたのは
言うまでもない。

今も何故あそこで疑われたのかわからないが、
裕福な日本人が深夜バスに乗り込み旅行するという事が
怪しかったのかも知れないと思っている。