千呼萬喚！○×牛乳がお目見え！

（左から「哈密瓜牛乳」、「香蕉牛乳」、「地瓜牛乳」。バナナ牛乳って、ありそうで無い商品だったのだ）

ごく最近、台湾のコンビニエンスストアの飲料コーナーを見ていて大変なものを発見！それは「香蕉牛乳」、すなわちバナナ牛乳だ。中国語では牛乳のことは通常「牛奶」（ニウナイ）と言い、バナナ牛乳なら「香蕉牛奶」（シァンジャオニウナイ）だ。バナナ牛乳は日本で飲んだことがあると覚えている。…が、記憶は定かでない。なぜなら今、日本で一般に売られるバナナ牛乳が見つからないからだ。勘違いなのかもしれない。棒に付いたバナナのアイスクリームだったのか、それとも練り歯磨きだったのか。
しかし、台湾では確かに飲んだことがある。ほんの2、3年前までは光泉という食品メーカーがバナナ牛乳を作っており、台湾におけるコンビニ業界二位の「全家便利商店（ファミリーマート）」で買えたのだ。懐かしい想いもあって、時々飲んだものだ。それが突然姿を消した。ファミリーマートに電子メールで問い合わせると、「停産（生産停止）」という内容の丁寧な回答があった。かくして台湾からバナナ牛乳は絶滅したのだった。それが、最大手のセブンイレブンによって復活したのだ！タイトルの「千呼萬喚」と言うのは「大勢の人が待ち望んだ」という意味。これははっきり言ってオーバーで、あくまで「自分的」に大きな出来事だと言うことだ（笑）。

（これが香蕉牛乳。「新人気風味」、「台湾香蕉使用」と書かれ、台湾の農業サポートをアピールしている）

（グラスに注いで見るとこんな感じ。味はイメージどおりのもの、と言えばおわかりだろうか。バナナのアイスクリーム…の味だなぁ。とっても美味）

セブンイレブンのフルーツ牛乳シリーズはこれだけに止まらない。フルーツ牛乳ならぬ野菜牛乳の「地瓜牛乳」だ。「地瓜」とはサツマイモのこと。サツマイモ牛乳？？？これは新鮮だ。飲んでみると確かに焼きイモの皮が焦げたような香りと味がする！すこしトロリとしたノド越しも悪くない。これはぜひ一度お試しいただきたい。

（これが「地瓜牛乳」。パッケージにはそのものずばりの焼きイモが。これだけでもかなり衝撃的だ。そして「台農57号」と言う台湾が開発した品種のサツマイモを使用していること、サツマイモは体調を整え、消化を促すことが書かれている）

（色はこんな感じ。これだけで出されたら果たして味から「サツマイモ牛乳」だと気づくだろうか？）

そして最後は「哈密瓜牛乳」、メロン牛乳だ。これもメロンの香りは強いのだがいささか水っぽく、メロンジュースと言った方がいいくらいだ。しかし、パッケージにある「北海道夕張メロン風味」というのはよく分からない。こう書ける根拠があるのかどうか少し心配になる。

（「哈蜜瓜牛乳」のパッケージ。分かりやすいメロンの図案だ）

（色はこんな感じ。メロンの味はばっちり加えられていておいしいが、メロン「牛乳」というよりはメロンジュースのように感じる） 

（このテトラパックは上の部分にストロー用の穴があけられるようになっている。写真のようになる）

セブンイレブンが今、これらフルーツ牛乳（野菜牛乳？）を出した理由はわからない。ただ、バナナは今年どうしても特別な目で見られる。豊作で卸売価格が下がり、バナナ農家が苦しんでいるからだ。これまでバナナは一本か二本で売っていたセブンイレブンにもひとフサで販売する店が出ている。仕入れ価格が安いことで利益率が高いのか、それとも農家をサポートする姿勢で企業イメージのアップを図っているのか。
こういった動きはセブンイレブンだけではない。ベーカリー兼喫茶店の聖瑪莉では、「バナナ農家をサポート」と銘打って、「台湾バナナ使用」の「完熟香蕉蛋糕（完熟バナナ・マフィン）」を販売している。

（聖瑪莉のバナナ・マフィンのポスター。「完熟バナナ使用。メイド・イン・タイワンに関心を持ち、地元のバナナ農家をサポートしよう」と書いてある）

（これがそのマフィン。バナナの味がしっかり味わえるほか、しっとりフワフワしていてかなりおいしい！）

台湾経済が高度成長を始めるまで、農業が人々の生活を支えたためか、台湾では日本に比べて農家に対する関心が高いと感じる。そして農家も大変努力しており、農産品の品質もきわめて高い。フルーツ（野菜）牛乳でも出来るだけ台湾のものを使うことで、少しでも台湾の農家を助けようと言うのならば少々あざとく聞こえてもいいではないか。日本の皆様も台湾にいらしたら、ぜひ台湾の農産品を、そしてそれらが使われた加工品やお料理をたくさん食べていってもらいたい。（U）