日本上陸 半年で4組
デビューシングル「ミスター」が、オリコンの週間ランキング5位に入った=岩波友紀撮影
韓国のガールズグループがこの夏、続々と日本に上陸する。デビューを記念するイベントには大勢のファンが詰めかけ、人気は早くも過熱気味。旋風を巻き起こしそうな韓流アイドルの魅力と、日本進出の背景を探った。(田中誠)
11日にシングル「ミスター」でデビューしたのが、親しみやすさで人気の5人組、KARA。動画投稿サイトでは、腰をくねらす「ヒップダンス」が話題を集めている。同日、東京の「渋谷109」前で行われた記念ライブには、事前告知をしなかったにもかかわらず約3000人(主催者発表)が訪れた。
韓国の音楽グループの日本進出は、東方神起、BIGBANG(ビッグバン)など男性グループが先行していたが、今年に入ってから、韓国でのブームが波及する形で、女性グループの動きが目立つようになった。
先陣を切ったのは、5月にデビューした5人組、4Minute(フォーミニッツ)。ラップ担当もいるヒップホップ色のあるグループで、先月早くも2枚目のシングルを発表した。
KARAと同じ8月11日には、来月デビューを控えた9人組、少女時代の、これまでの音楽ビデオなどを収録したDVDが発売された。すらりと伸びた脚を強調した衣装が特徴で、韓国では絶大な人気を誇る。25日には、東京・有明コロシアムで1万人規模のイベントを開催する。
その25日には、「小生意気ダンス」で注目を集めた大人の色気を漂わせる4人組、BROWN EYED GIRLS(ブラウン・アイド・ガールズ)がデビュー。半年足らずで4組が日本に進出する事態となっている。
個性は少しずつ異なるが、流行の電子音楽で、息の合ったダンスやセクシーな衣装を武器としているのが共通している。
「かわいさ」より「かっこいい」
獲得競争の末、3組と契約したユニバーサルミュージック合同会社の小池一彦CEO兼社長は「男性グループの成功で、韓国のポピュラー音楽は日本に定着した。次に何が来るかを考えたら、韓国でピークを迎えている女性のグループ」と狙いを語る。同じ社内の異なるレーベル(部門)からとはいえ、本国で人気を分け合うグループが同時期にデビューすることについて、「ライバルがいた方が市場を刺激する。火が付くのは早いと思う」と相乗効果を期待する。
相次ぐ日本進出について、韓国で音楽専門チャンネル「Mnet(エムネット)」を放送するCJメディアの日本法人の宣伝企画チーム宣伝広報パート長・金ミン廷さんは、「Kポップ(韓国のポピュラー音楽)のグループは、海外進出を前提にしている」と説明する。
「質の高いグループ、歌手を育成するためには高額の費用がかかり、それを国内市場だけで回収するのは限界がある」ためで、デビュー前から外国語やダンス、歌唱の厳しい訓練をしているという。
これまでの韓流ブームを支えてきたのは、ドラマ「冬のソナタ」や東方神起のファンを始め、女性が中心だった。「業界内では、日本で女の子のグループが受けるだろうかという意見が多かった」(金さん)が、これまで開催されたイベントでは10~20代の男性ファンも目立つようになったと指摘する。
「かわいさ」や手に届きそうなところが魅力の日本のアイドルとは違い、同性から「かっこいい」とあこがれられる存在という韓国のガールズグループ。今年後半の音楽業界の台風の目となりそうだ。
KARA5人に聞く 「新しい音楽だと感じて」
11日にデビューしたKARAの5人に抱負などを聞いた。
――日本デビューが決まって今の気持ちは。
ギュリ「本当にわくわくします。ファンの皆さんが思ったより積極的でうれしかったです。デビュー曲の『ミスター』は、新しい音楽だと感じていただけるように、韓国語と日本語をミックスしています」
――日本でデビューすることは、どんな意味があるのでしょう。
スンヨン「新しい可能性です。韓国ではちょっと欠けていたな、足りなかったなと思うことを試すチャンス。2度目のチャレンジと思います」
――韓国では人気グループでも、日本では新人からスタートとなります。苦労も多いのでは。
ニコル「韓国でデビューした時のことを思い出してときめきもありました。また一から始めるんだという気持ちでみんな一生懸命だったので、準備の過程も楽しむことができました」
――「ミスター」の曲の途中で踊る「ヒップダンス」が日本でも話題です。
ジヨン「すごく楽しい歌だと思います。日本でも、友だちが集まった時、一緒に『ヒップダンス』を踊ろうよ、という感じになったらうれしいです」
――日本での目標や目標とするアーティストは。
ハラ「歌やダンスを通じて、元気でエネルギッシュな姿を届けていきたい。誰かのようになりたいというのではなく、KARAのようになりたい、と思われるグループになりたいです」
(2010年8月20日
読売新聞)
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