働き方改革関連法ノート

労働政策審議会(厚生労働大臣諮問機関)や厚生労働省労働基準局などが開催する検討会の資料・議事録に関する雑記帳

黒川検事長の懲戒免職を求めます ツイッター

2020年05月21日 | 検察庁法改正問題
「黒川検事長の懲戒免職を求めます」「黒川検事長の懲戒免職及び逮捕を求めます」

週刊文春(電子版)が、黒川弘務検事長と新聞記者ら(産経新聞などの記者ら3人)が緊急事態宣言下の東京都内で賭けマージャンをしていた疑いがあると報じたことなどを受け、「#黒川検事長の懲戒免職を求めます」「#黒川検事長の懲戒免職及び逮捕を求めます」というタグつきツイートが、ツイッターのトレンドになった。当初、ツイッターの中では「黒川検事長の辞任を求めます」という声があったが、「黒川検事長の懲戒免職を求めます」という意見に変わっていった。

だが、郷原信郎弁護士(元東京地検特捜部、長崎地検次席検事)の指摘によると、「人事院の『懲戒処分の指針について』では、『賭博をした職員は、減給又は戒告とする。』『常習として賭博をした職員は、停職とする』とされているので、今回の『賭けマージャン』での懲戒免職というのは考えにくい」とのこと。

しかし、人事院事務総長発通達「懲戒処分の指針について」に「任命権者が懲戒処分に付すべきと判断した事案について、処分量定を決定するに当たっての参考に供することを目的として、別紙のとおり懲戒処分の指針を作成しました」とあるように指針は「参考」にすぎないとも言える。

検察官は、安倍内閣が言っていたように単なる「行政官」ではなく、逮捕・監禁することもできる「特別公務員」であり、検察庁法によると「公益の代表者」。さらに黒川検事長は高位の検察官。特に公平・公正さが求められる黒川検事長が、刑法に規定された「賭博罪」を犯し、しかも常習性まで認められるとするなら、停職よりも重い「懲戒免職」も可能ではないかと思う。

定年延長を閣議決定した安倍内閣の責任は重大
また、ツイッターでは「#安倍内閣総辞職を求めます」というタグつきツイートも見られる。検事総長や検事長といった高位の検察官の任命権者は法務大臣ではなく内閣だ。さらに法解釈を強引に変えて黒川検事長の定年延長を閣議決定したのは安倍内閣(立憲民主党・安住議員は「余人をもって代えがたいというのは、どういう理由なのか。逆に任命者の責任を問わないといけない」とコメント)。賭けマージャンが事実なら、その責任は重大。ツイッター内での「安倍内閣総辞職」という声は当然。

賭けマージャンが事実であれば新聞記者も黒川検事長と同罪
黒川検事長と新聞記者らが賭けマージャンをしていたことが事実であれば、黒川検事長とともに麻雀をしていた新聞記者(産経新聞記者2人と朝日新聞社元記者1人)も黒川検事長と同罪。また、新聞社もコンプライアンスが問われることになる。

TBSニュースによると、朝日新聞は「勤務時間外の個人的行動ではあるが、不要不急の外出を控えるよう呼びかけられている状況下でもあり、極めて不適切な行為でお詫びする」と謝罪した。しかし、産経新聞は「取材に関することは従来からお答えしていない。ただし不適切な行為があった場合には取材源秘匿の原則を守りつつ適切に対処していく」とコメント。産経新聞のコメントは安倍政権タイプまたは官僚タイプのコメント。報道がするようなコメントではない。正直ウンザリしてしまった。なお、次のようなツイートもあった。

「黒川検事長も新聞記者も腐ってるな。終戦直後の荒れ果てた昭和の闇世界のようなことが、今の令和で起こっている。敗戦とコロナの違いがあっても、国民が生活崩壊して飢え苦しんでいる中で起こっているということでは共通している。真面目に生きてる奴は大損だな。酷いもんだ!」

追記(2020年5月21日)
本日(5月21日)5時45分頃、森雅子法務大臣が安倍首相との協議を終えた後、官邸で会見し、黒川検事長を訓告処分にした旨が発表された。訓告は国家公務員法等の規定による懲戒処分ではないから、法的には処分しなかったことに。人事院懲戒処分の指針では「賭博をした職員は減給又は戒告。常習として賭博をした職員は停職」。これは参考であって黒川検事長の場合は免職処分も可能。


追記(2020年5月22日)

「お尋ねの件に関し、調査した結果は次のとおり
1 令和2年5月1日、いわゆる賭け麻雀をしたものと承知している。
2 同日、ハイヤーに同乗し、その費用は支払っていないものと承知している。
3 5月13日も賭け麻雀を行い、費用負担のないハイヤーに同乗したと承知しているが、この2日間以外、賭け麻雀やハイヤーの送迎の事実の認定には至らなかった。
4 記事に出ている記者には接触していない。」

ツイッターで福島瑞穂(みずほ)議員が「法務省が発表をした黒川さんの賭けマージャンについての報告です。どれくらいの金額を賭けたのか、どれくらいやってきたのか分からず不十分な調査です。不十分な調査で処分はおかしい。」とツイートし、「黒川弘務検事長・賭博(賭けマージャン)問題」に関する法務省調査内容が記載された一枚の紙の写真を公開した。

そこに記された調査結果は予想以上に簡単な内容で、杜撰な身内に対する甘すぎる調査内容であった。特に問題視すべきは、3の「2日間以外、賭け麻雀やハイヤーの送迎の事実の認定には至らなかった」という個所で、このことにより常習性のない賭博行為であったとされたのだろう。つまり人事院「懲戒処分の指針」では「(常習としてではない)賭博をした職員は、減給又は戒告とする」(安倍内閣による決定は「訓告」であり指針にも記載されていない処分となる)とあり、また「常習として賭博をした職員は、停職とする」とあるので、常習性があったかどうかの事実認定は重要。

にもかかわらず、4には「記事に出ている記者には接触していない」と記載されているので、賭けマージャンをした産経新聞記者2人と朝日新聞元記者1人からは聞き取り調査などは一切行っていない不十分な調査であったと言わざるを得ない。この法務省調査報告に納得できる国民がいるのだろうか。


参考「黒川検事長が辞意 賭けマージャン、法務省調査に認める」
東京高検の黒川弘務検事長(63)が新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言が出ている5月初旬に産経新聞記者や朝日新聞社員とマージャンをしていたと週刊文春(電子版)が20日に報じたことを受け、黒川氏が法務省の聞き取り調査に対し、賭けマージャンをしたことを認めたことがわかった。黒川氏は関係者に辞意を漏らしているという。
 
森雅子法相は同日、調査内容を官邸に報告した。政府はこうした状況を踏まえ、黒川氏の進退について検討するとみられる。黒川氏をめぐっては与野党から辞任を求める声が上がっていた。
 
政府・与党は(5月)18日、検察官の定年を政府の判断で延長できる検察庁法改正案の今国会での成立を断念。この問題の発端となった黒川氏の処遇に注目が集まっていた。関係者によると、黒川氏は今国会での成立断念が決まった後、周囲に「自分の人事で国会が混乱した結果責任がある」などと語っていた。―以下略―(朝日新聞デジタル、2020年5月21日5時0分配信)

追記(2020年6月3日)
日刊ゲンダイ電子版(6月3日配信)は「黒川弘務前東京高検検事長の賭けマージャン問題をめぐり、市民団体『安倍首相による検察支配を許さない実行委員会』が2日、黒川氏に対する告発状を東京地検に提出」と報じた。

追記(2020年6月5日)
共同通信(6月5日配信)の報道によると,森雅子法務大臣は6月5日の参議院本会議で、法務省に設置予定の「法務・検察行政刷新会議(仮称)」に関し、賭けマージャン問題で辞任した黒川弘務前東京高検検事長の定年延長や訓告処分、検察幹部の定年延長を可能とする検察庁法改正案について、協議対象には含めない意向。森大臣は3点を列挙し「黒川氏の勤務延長や処分は適正に行われた。検察庁法改正案の内容も適切で、これらの適否を同会議の議題とする考えはない」と明言。


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