働き方改革関連法ノート

労働政策審議会(厚生労働大臣諮問機関)や厚生労働省労働基準局などが開催する検討会の資料・議事録に関する雑記帳

テレワーク就業規則(在宅勤務規程)モデル ひな形

2020年08月19日 | テレワーク
1 テレワークとは
厚生労働省が作成した「テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン」(このガイドラインは「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」の詳細版のパンフレットとして厚生労働省が作成)にはによると、テレワークとは「労働者が情報通信技術を利用して行う事業場外勤務」のことをいい、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方であることから、子育て、介護 と仕事の両立手段となるとともに、ワーク・ライフ・バランスに資することができ、多様な人材の能力発揮が可能となります」と、テレワークによる働き方を推奨している。

しかし、ガイドラインはテレワークの問題や課題等についても指摘しており、企業側からは「労働時間の管理が難しい」等が、また労働者側からは「仕事と仕事以外の切り分けが難しい」、「長時間労働に なりやすい」などの点を挙げている。

特に労働時間の管理や長時間労働の問題については、働き方改革実行計画(2017年 3月28日、働き方改革実現会議決定)においても「テレワークが長時間労働につながるおそれがある」と指摘されているが、適切な労務管理を行うには就業規則の変更が必要であり、「テレワーク就業規則」や「在宅勤務規程」の整備が求められる。

なお、厚生労働省が作成した「テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン」によると、テレワークは次のように分類される。

(1)在宅勤務(労働者の自宅で業務を行う)
通勤を要しないことから、事業場での勤務の場合に通勤に要 する時間を有効に活用できます。また、例えば育児休業明けの 労働者が短時間勤務等と組み合わせて勤務することが可能と なること、保育所の近くで働くことが可能となること等から、仕事と家庭生活との両立に資する働き方です。

(2)サテライトオフィス勤務(労働者の属するメインのオフィス以外に設けられたオフィスを利用する)
自宅の近くや通勤途中の場所等に設けられたサテライトオフィスでの勤務は、通勤時間を短縮しつつ、在宅勤務やモバイル勤務以上に作業環境の整った場所で就労可能な働き方です。

(3)モバイル勤務(ノートパソコンや携帯電話等を活用して臨機応変に選択した場所で業務を行う)
労働者が自由に働く場所を選択できる、外勤における移動時間を利用できる等、働く場所を柔軟に運用することで、業務の効率化を図ることが可能な働き方です。(厚生労働省「テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン」抜粋)


2 厚生労働省テレワーク モデル就業規則
厚生労働省が「テレワークモデル就業規則(作成の手引き)」を公開しているが、このテレワーク就業規則は文字通りモデルであり、記載例、ひな形にすぎません。企業・法人などの実情や人事方針に基づいてテレワーク就業規則を作成することが大切。

厚生労働省テレワーク モデル就業規則(PDFファイル)

なお、厚生労働省の「テレワーク モデル就業規則」をはじめとしたテレワークにおける労務管理に関する資料などは「テレワーク総合ポタルサイト」(厚生労働省)からダウンロード可能。

「テレワーク総合ポータルサイト」関連資料(厚生労働省)

一般社団法人日本テレワーク協会もウエブサイトに「テレワークに関わる勤務規則例」というページがあるが、厚生労働省のモデル就業規則をリンクしているにすぎない。

また、労務ドットコムに「テレワーク就業規則(在宅勤務規程)」のページがあるが、労務ドットコムも厚生労働省のモデル就業規則をリンクしているが、PDF版だけでなくWORD版)もリンクしている。

テレワーク就業規則-在宅勤務規程(労務ドットコム)

3 モデル「テレワーク就業規則」(在宅勤務規程)
*このテレワーク就業規則(在宅勤務規程)は厚生労働省「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」(指針)を基に厚生労働省が作成したモデル就業規則(在宅勤務規程)を一部修正したテレワーク就業規則(在宅勤務規程)記載例であることに留意すること。また、昨年(2020年)12月25日に厚生労働省は「これからのテレワークでの働き方に関する検討会」報告書を公表したが、厚生労働省は検討会報告書を踏まえ、今年(2021年)3月末までに「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」(指針)の改定が行われる予定。ガイドラインが改定されると、テレワーク就業規則(在宅勤務規程)の内容にも影響を及ぼすため、「これからのテレワークでの働き方に関する検討会」報告書をよく読んで検討すべきと思う。

第1章 総 則
(在宅勤務制度の目的)
第1条 この規程は、〇〇株式会社(以下「会社」という。)の就業規則第〇〇条に基づき、従業員が在宅で勤務する場合の必要な事項について定めたものである。

*厚生労働省「テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン」には、在宅勤務規程やテレワーク勤務規程など別規程を作成する場合の就業規則に記載する根拠規定例が書かれている。このガイドラインでは「テレワーク勤務規程」としているが、別規程の名称を「在宅勤務規程」とする場合は、就業規則規定例にある「テレワーク勤務規程」は「在宅勤務規程」と書き換えること。
「就業規則
(時間外及び休日労働等)
第〇〇条 業務の都合により、第〇〇条の所定労働時間を超え、又は、第〇条の所定休日に労働させることがある。
2 前項の場合、法定労働時間を超える労働又は法定休日における労働については、あらかじめ会社は従業員の過半数代表者と書面による労使協定を締結するとともに、これを所轄労働基準監督署長に届け出るものとする。
3 妊娠中の女性、産後1年を経過しない女性従業員(以下「妊産婦」という。)であって請求した者及び18歳未満の者については、 第2項 による時間外、休日及び 深夜(午後10時から午前5時まで)は労働に従事させない。
4 災害その他避けることのできない事由によって臨時の必要がある場合には、第1項から前項までの制限を超えて、所定労働時間外又は休日に労働させることがある。ただし、この場合で あっても、請求のあった妊産婦については、所定労働時間外労働又は休日労働に従事させない。
5 テレワーク勤務者の時間外、休日及び深夜における労働に ついては、別に定めるテレワーク勤務規程による。」


(在宅勤務の定義)
第2条 在宅勤務とは、従業員の自宅、その他自宅に準じる場所(会社指定の場所に限る。)において情報通信機器を利用した業務をいう。

(サテライトオフィス勤務の定義)
第2条 サテライトオフィス勤務とは、会社所有の所属事業場以外の会社専用施設(以下「専用型オフィス」という。)、又は、会社が契約(指定)している他会社所有の共用施設(以下「共用型オフィス」という。)において情報通信機器を利用した業務をいう。

(モバイル勤務の定義)
第2条 モバイル勤務とは、在宅勤務及びサテライトオフィス勤務以外で、かつ、社外で情報通信機器を利用した業務をいう。

*2020年12月1日、日本実業出版社は「これならわかるテレワークの導入実務と労務管理」(川久保皆実著)を出版。その川久保皆実氏の著書には「テレワーク勤務規程」(以下「川久保皆実版テレワーク勤務規程」}が掲載されている。川久保皆実版テレワーク勤務規程では、「テレワーク勤務」を「在宅勤務:従業員の自宅、その他自宅に準じる場所における情報通信機器を利用した勤務」「サテライトオフィス勤務:所属事業場以外の会社所有施設又は会社が指定する他社所有の共用施設における情報通信機器を利用した勤務」「モバイル勤務:所属事業場以外における情報通信機器を利用した勤務」といった勤務の「総称」と定義。(2020年12月13日に追記)


第2章 在宅勤務の許可・利用
(在宅勤務の対象者)
第3条 在宅勤務の対象者は、就業規則第〇〇条に規定する従業員であって次の各号の条件を全て満たした者とする。
(1) 在宅勤務を希望する者
(2) 自宅の執務環境、セキュリティ環境、家族の理解のいずれも適正と認められる者
2 在宅勤務を希望する者は、所定の許可申請書に必要事項を記入の上、1週間前までに所属長から許可を受けなければならない。
3 会社は、業務上その他の事由により、前項による在宅勤務の許可を取り消すことがある。
4 第2項により在宅勤務の許可を受けた者が在宅勤務を行う場合は、前日までに所属長へ利用を届け出ること。

*川久保皆実版テレワーク勤務規程によると、対象者「次の各号の条件を全て満たした者」のうち本人がテレワーク勤務を希望し、かつテレワーク勤務規程に記載された事項に基づき「会社がテレワーク勤務を許可した者」とする。
1.原則として勤続1年以上であること
2.テレワーク勤務により自己の業務を円滑に遂行できると会社が認める者であること
3.在宅勤務及びサテライトオフィス勤務の場合は、作業環境及びセキュリティ環境が適正であること
4.在宅勤務の場合は、同居者の理解を得られていること


*川久保皆実版テレワーク勤務規程では次のように非常事態にけるテレワーク対象者規定も記載されている。
「前項の規定にかかわらず、天災事変、感染症の流行、交通障害等の非常事態においては、テレワーク勤務の対象者は、本則第〇条に規定する従業員であって安全配慮の観点からテレワーク勤務が必要であると会社が認める者のうち、本人がテレワーク勤務を希望し、かつ第4条第2項に基づき会社がテレワーク勤務を許可した者とする。なお、本項に基づきテレワーク勤務の対象者となった者については、前項各号の条件を全て満たしている場合を除き、当該非常事態が終了したと会社が判断した時点においてテレワーク勤務の対象者から除外されるものとする。」

(在宅勤務時の服務規律)
第4条 在宅勤務に従事する者(以下「在宅勤務者」という。)は就業規則第〇〇条及びセキュリティガイドラインに定めるもののほか、次に定める事項を遵守しなければならない。
(1) 在宅勤務の際に所定の手続に従って持ち出した会社の情報及び作成した成果物を第三者が閲覧、コピー等しないよう最大の注意を払うこと。
(2) 在宅勤務中は業務に専念すること。
(3) 第1号に定める情報及び成果物は紛失、毀損しないように丁寧に取扱い、セキュリティガイドラインに準じた確実な方法で保管・管理しなければならないこと。
(4) 在宅勤務中は自宅以外の場所で業務を行ってはならないこと。
(5) 在宅勤務の実施に当たっては、会社情報の取扱いに関し、セキュリティガイドライン及び関連規程類を遵守すること。

*川久保皆実版テレワーク勤務規程ではテレワークにおける服務規律については、次の5項目が記載されている。
1.テレワークセキュリティ規程を遵守し、情報漏えい等のセキュリティ事故が発生しないよう細心の注意を払うこと
2.テレワーク勤務中は業務に専念すること
3.第〇条第〇項に基づき会社からテレワーク勤務を許可された場所又は第〇条第〇項に基づき会社からテレワーク勤務を命じられた場所以外では業務を行わないこと
4.在宅勤務又はサテライトオフィス勤務の場合には、勤務環境チェックシート記載の注意事項を遵守すること
5.サテライトオフィス勤務の場合には、サテライトオフィスの利用規約を遵守すること


第3章 在宅勤務時の労働時間等
(在宅勤務時の労働時間)
第5条 在宅勤務時の労働時間については、就業規則第〇〇条の定めるところによる。
2 前項にかかわらず、会社の承認を受けて始業時刻、終業時刻及び休憩時間の変更をすることができる。
3 前項の規定により所定労働時間が短くなる者の給与については、育児・介護休業規程第 〇〇条に規定する勤務短縮措置等の給与の取扱いに準じる。

(休憩時間)
第6条 在宅勤務者の休憩時間については、就業規則第〇〇条の定めるところによる。

(所定休日)
第7条 在宅勤務者の休日については、就業規則第〇〇条の定めるところによる。

(時間外及び休日労働等)
第8条 在宅勤務者が時間外労働、休日労働及び深夜労働をする場合は所定の手続を経て所属長の許可を受けなければならない。
2 時間外及び休日労働について必要な事項は就業規則第〇〇条の定めるところによる。
3 時間外、休日及び深夜の労働については、給与規程に基づき、時間外勤務手当、休日勤務手当及び深夜勤務手当を支給する。

(欠勤等)
第9条 在宅勤務者が、欠勤をし、又は勤務時間中に私用のために勤務を一部中断する場合は、事前に申し出て許可を得なくてはならない。ただし、やむを得ない事情で事前に申し出ることができなかった場合は、事後速やかに届け出なければならない。
2 前項の欠勤、私用外出の賃金については給与規程第〇〇条の定めるところによる。

第4章 在宅勤務時の勤務等
(業務の開始及び終了の報告)
第10条 在宅勤務者は就業規則第〇〇条の規定にかかわらず、勤務の開始及び終了について次のいずれかの方法により報告しなければならない。
(1) 電話
(2) 電子メール
(3) 勤怠管理ツール

(業務報告)
第11条 在宅勤務者は、定期的又は必要に応じて、電話又は電子メール等で所属長に対し、所要の業務報告をしなくてはならない。

(在宅勤務時の連絡体制)
第12条 在宅勤務時における連絡体制は次のとおりとする。
(1) 事故・トラブル発生時には所属長に連絡すること。なお、所属長が不在時の場合は所属長が指名した代理の者に連絡すること。
(2) 前号の所属長又は代理の者に連絡がとれない場合は、〇〇課担当まで連絡すること。
(3) 社内における従業員への緊急連絡事項が生じた場合、在宅勤務者へは所属長が連絡をすること。なお、在宅勤務者は不測の事態が生じた場合に確実に連絡がとれる方法をあらかじめ所属長に連絡しておくこと。
(4) 情報通信機器に不具合が生じ、緊急を要する場合は〇〇課へ連絡をとり指示を受けること。なお、〇〇課へ連絡する暇がないときは会社と契約しているサポート会社へ連絡すること。いずれの場合においても事後速やかに所属長に報告すること。
(5) 前各号以外の緊急連絡の必要が生じた場合は、前各号に準じて判断し対応すること。
2 社内報、部署内回覧物であらかじめランク付けされた重要度に応じ至急でないものは在宅勤務者の個人メール箱に入れ、重要と思われるものは電子メール等で在宅勤務者へ連絡すること。なお、情報連絡の担当者はあらかじめ部署内で決めておくこと。

第5章 在宅勤務時の給与等
(給 与)
第13条 在宅勤務者の給与については、就業規則第〇〇条の定めるところによる。
2 前項の規定にかかわらず、在宅勤務(在宅勤務を終日行った場合に限る。)が週に4日以上の場合の通勤手当については、毎月定額の通勤手当は支給せず実際に通勤に要する往復運賃の実費を給与支給日に支給するものとする。

(費用の負担)
第14条 会社が貸与する情報通信機器を利用する場合の通信費は会社負担とする。
2 在宅勤務に伴って発生する水道光熱費は在宅勤務者の負担とする。
3 業務に必要な郵送費、事務用品費、消耗品費その他会社が認めた費用は会社負担とする。
4 その他の費用については在宅勤務者の負担とする。

(情報通信機器・ソフトウェア等の貸与等)
第15条 会社は、在宅勤務者が業務に必要とするパソコン、プリンタ等の情報通信機器、ソフトウェア及びこれらに類する物を貸与する。なお、当該パソコンに会社の許可を受けずにソフトウェアをインストールしてはならない。
2 会社は、在宅勤務者が所有する機器を利用させることができる。この場合、セキュリティガイドラインを満たした場合に限るものとし、費用については話し合いの上決定するものとする。

(教育訓練)
第16条 会社は、在宅勤務者に対して、業務に必要な知識、技能を高め、資質の向上を図るため、必要な教育訓練を行う。
2 在宅勤務者は、会社から教育訓練を受講するよう指示された場合には、特段の事由がない限り指示された教育訓練を受けなければならない。

(災害補償)
第17条 在宅勤務者が自宅での業務中に災害に遭ったときは、就業規則第〇〇条の定めるところによる。

(安全衛生)
第18条 会社は、在宅勤務者の安全衛生の確保及び改善を図るため必要な措置を講ずる。
2 在宅勤務者は、安全衛生に関する法令等を守り、会社と協力して労働災害の防止に努めなければならない。

附 則
本規程は、〇〇年〇〇月〇〇日より施行する。

テレワーク モデル就業規則~作成の手引~(PDF)




4 これからのテレワークでの働き方に関する検討会 報告書
厚生労働省は「これからのテレワークでの働き方に関する検討会報告書」を公表(2020年12月25日)。

報告書では、これからのテレワークでの働き方について
・テレワークの対象者を選定する際の課題
・テレワークの実施に際しての労務管理上の課題(人事評価、費用負担、人材育成)
・テレワークの場合における労働時間管理の在り方
・テレワークの際の作業環境や健康状況の管理・把握、メンタルヘルス
の対応方針等についての有識者の意見をまとめたほか、テレワークを推進するにあたって必要な今後の対応についての有識者の提言が盛り込まれている。

また、厚生労働省では、この報告書を踏まえ、今後、「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」の改定が行われる予定。

5 これからのテレワークでの働き方に関する検討会 報告書 概要(抜粋)
*昨年(2020年)12月25日に厚生労働省は「これからのテレワークでの働き方に関する検討会」報告書を公表したが、その報告書(概要版)の各論部分を抜粋して掲載。

(1)テレワークの対象者を選定する際の課題について
・テレワークを実施するのが難しい業種・職種がある。一般にテレワークを行うことが難しい業種・職種であってもテレワークを実施できる場合があり、必ずしも既存の業務を前提にテレワークの対象業務を選定するのではなく、仕事内容の本質的な見直しを行うことが有用である場合がある。

・正規雇用労働者、非正規雇用労働者といった雇用形態の違いのみを理由として、テレワーク対象者を分けることのないよう留意 する必要がある。

・テレワークという働き方を希望しない労働者がいる場合もあり、テレワークの実施に関する考え方にミスマッチが生じないよう、労使における話し合いの機会を持つことが重要である。

(2)テレワークの実施に際しての労務管理上の課題について
1.人事評価
・人事評価の評価者においても、適正な評価を実施できるよう、評価者に対する訓練等の機会を設ける等の工夫が考えられる。

・テレワークを行わずに出社しているということのみで高く評価することや、テレワークを行う者が時間外のメール等に対応しなかったこと等のみを理由として不利益な人事評価を行うことは不適切である。

2.費用負担
・個々の企業毎の業務内容、物品の貸与状況等により費用負担の状況は様々である。企業毎の状況に応じたルールを定め、ルールを遵守することが必要であり、労働者を採用する際やテレワークを導入する際に、取扱いについてよく話し合うことが望ましい。

・在宅勤務に伴い増加する通信費等については、その実際の費用のうち業務に要した実費を、勤務時間等の在宅勤務の実態を踏まえて合理的・客観的に計算し、支給することも考えられる。

3.人材育成
・人材育成については、例えば新入社員等に対して状況に応じてオンラインと対面の方法を組み合わせて実施することも有用。

・自律的に業務を遂行できる人材育成に企業が取り組むことが望ましい。併せて、労働者が自律的に働くことができるよう、適切な業務指示ができるようにする等、管理職のマネジメント能力向上に取り組むことも望ましい。

(3)テレワークの際の労働時間管理の在り方について
・テレワークは、業務を効率的に行える側面がある一方、長時間労働になる可能性があり、過度な長時間労働にならないように留意することが重要である。健康管理の観点からも、使用者が労働時間を適切に把握することが重要である。

・一方で、使用者が仕事の遂行状況を常時把握・管理するような方法はあまり現実的ではない場合もあり、テレワークのメリットを失うことになりかねないという点についても留意が必要である。

・成長戦略会議の実行計画において指摘されているように、自己申告された労働時間が実際の労働時間と異なることを客観的な事実により使用者が認識している場合を除き、労働基準法との関係で、使用者は責任を問われないことを明確化する方向で検討を進めることが 適当である。

・テレワークを自宅で行う際には生活の場所で仕事を行うという性質上、中抜けが生ずることも想定される。このことから、労働時間について、少なくとも始業時間と終業時間を適正に把握・管理すれば、労働基準法の規制との関係で、問題はないことを確認しておくことが適当である。

・企業がテレワークを積極的に導入するよう、テレワークガイドラインにおいては、テレワークの特性に適した労働時間管理として、フレックスタイム制、事業場外みなし労働時間制がテレワークになじみやすい制度であることを示すことが重要である。

・事業場外みなし労働時間制については、制度を利用する企業や労働者にとって、その適用の要件がわかりやすいものとなるよう、具体的な考え方をテレワークガイドラインにおいて明確化する必要がある。

・規制改革実施計画において指摘されているように、所定労働時間内の労働を深夜に行うことまでを原則禁止としているとの誤解を与えかねないテレワークガイドライン上の表現について見直しを行うべきである。

・テレワークは生活と仕事の時間の区別が難しいという特性があり、時間外・休日・深夜の業務連絡の在り方について、労使間で話し合いルールを設けることも有効である。

(4)テレワークの際の作業環境や健康状況の管理・把握、メンタルヘルスについて
・テレワーク中心の働き方をする場合、周囲に同僚や上司がおらず、対面の場合と比較してコミュニケーションが取りづらい場合があるため、業務上の不安や孤独を感じる等により、心身の健康に影響を与えるおそれがあり、その変化に気づきにくい。

・自宅での作業環境が確保されていることの確認について、チェックリストの活用など労働者自らが容易に確認可能な方法により、労使が協力して作業環境の確認、改善を図ることが重要である。

・安全衛生教育、健康診断や長時間労働者に対する面接指導等の健康管理、ストレスチェック等のメンタルヘルス対策については働く場所にかかわらず実施する必要があり、テレワークを行う労働者に対してこれらの措置を講ずるに当たり、事業者が留意すべき事項をチェックリストなどわかりやすい形で示す必要がある。

・自宅が狭隘であるなどテレワークを実施するために必要な作業環境整備が困難である場合や、生活と仕事の線引きが困難になることにより問題が生じる場合もあり、サテライトオフィス等の活用も有効である。

「これからのテレワークでの働き方に関する検討会」報告書(PDF)

「これからのテレワークでの働き方に関する検討会」報告書概要(PDF)

追記(2021年3月9日)
記事(つながらない権利 テレワーク就業規則規定例)をブログ(働き方改革関連法ノート)に投稿。連合が作成した「つながらない権利」に関するテレワーク就業規則(在宅勤務規程)規定例を掲載。

つながらない権利 テレワーク就業規則規定例(働き方改革関連法ノート)

追記:厚生労働省「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」公表
厚生労働省は、現行のテレワークガイドライン(指針)「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」を「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」(指針)に改定し、本日(2021年3月25日)公表。

テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン(厚生労働省)


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