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本日をもってジーコ監督、退任

2006年06月26日 | 日本代表 (ジーコJAPAN)
■ 黄金の中盤

結局、今回のW杯で「中田、中村、小野、稲本」が同時にピッチに立つことはなかった・・・ブラジルとの第3戦を前にやけっぱちで書いた記事で「黄金の中盤で行けば!」と書いた。では、どうしてこの4人がピッチに立つことが出来なかったのだろうか?と改めて考えてみた。

福西の成長 「いつ頃から福西がボランチのポジションに定着したのだろうか?」という疑問が湧き調べてみた。するとはっきりと分岐点となる時期があった。みなさんも覚えていると思う、2004年の欧州遠征(チェコ4/28、イングランド6/1)との試合があった。これらの試合は、欧州組(稲本、小野)というボランチで臨んでいた。欧州組と国内組の連携を図りたいという意図もあった為、稲本、小野を選んだのかもしれない!そういう見方もあると思う。ところが、1年後のコンフェデレーションズカップ2005の際には、福西は、3試合ともスタメンだった。では、分岐点となる時期は?2004年の欧州遠征後の7/17~8/7に行われた“アジアカップ”である。この時期を境に福西は、スタメンに定着して、小野、稲本は、サブ組へと回った。

小野の不調 以前も何度か書いたが、フェイエノールト時代の小野は、非常に評価している。単純にUEFAカップで優勝したチームの主軸としてボランチを務めたからだけではない。(ポジションは、便宜上こう呼ばせて貰います)しかし、その後怪我によりコンディションを落とした。小野がボランチに入り、中田が前めにいたら結果は違っただろうし、日本代表のサッカー幅が違ったと思う。

本家ブラジルは?
  
    
つまり、ブラジルの場合は、エメルソンという“絶対的”守備的中盤の選手がいる。攻撃力、守備力のバロメーターを比較すれば、小野、稲本、福西の3人を比べれば分かると思うが、“単純に”エメルソンの役割を果たせるのは、福西となる。そういう意味では、「稲本と小野」で中盤の1つを争う形になってしまった。
 また、福西と同じようにアジアカップ、W杯アジア最終予選以降、小笠原も信頼を勝ち得て来たので、欧州組とは言え、クラブでの出場機会が少なく試合から遠ざかっていた稲本と小野は、結局ベンチとなってしまった。結局、“絶対的”守備的中盤の選手が「中田、中村、稲本、小野」にいなかったから、黄金の中盤は、夢の話だったということになる。

■ ジーコの功罪

まず、大きな意味で、“日本代表でもブラジルのようなサッカーが出来る可能性がある”といことを4年間で証明したことだと思う。アクションサッカーを日本も出来ると言うことを感じさせたことは、実際、これまで親善試合などでは、何度もあった。W杯でも、ピッチ上の選手達には、十分な可能性(勝利)を感じさせた。

「自由・自主性」という言葉でジーコの監督としての采配形容されることが多かった。その結果、前任者のトルシエとは違いジーコは、選手達に“考えてプレーする”ことを求めた。(個人的には、“考えるサッカー”とは、ジーコが代表に求めた物とは、もう少し違うような気がする・・・)しかし、ディフェンスの部分に関しては、宮本が相当苦労したと思う。また、攻撃については、結局「得点力」は変わらなかった。この部分に関しては、次期監督にも強く要求しなければならない。ある意味、トルシエとジーコという両極端な監督がこの8年間日本代表の監督をしたと思う。そういう意味では、今後の日本のサッカー界の指針となったと思う。

しかし、最後の最後でジーコのブラジル戦後の会見には、正直がっかりした・・・
――日本はアジアカップで優勝するなどアジアでは力を見せた。世界との大きな差は具体的には何か?
 まずプロフェッショナリズム。自分の欠点を、それも日常のレベルで知らないといけない。日本の選手は外国のリーグでたくさん使われているわけではないが、私は彼らを信頼しているから使っていた。しかし選手には(試合の)リズムが必要。そこは改善しないといけない。

この“プロフェッショナリズム”という部分である。鹿嶋時代からこの点を強調してきたジーコ。しかし、最後の最後で、この点について言うとは思ってもみなかった。それでは、ジーコは、プロフェッショナルの監督として、ベストを尽くしたのだろうか?少なからず、私は、ノーだと思う。戦術的な采配は、やりたい事は十分に分かる。しかし、もう少し現実的に考えるべき点もあったと思う。また、“甘やかした”選手もいたと思う。そういう選手にチーム内でプロフェッショナリズムを求めるのは、検討違いではないだろうか?
 また、私が期待していた「本番での采配」これには、正直、怒りを覚えた。トルシエは、トルコ戦で大きな采配ミスをした。以前、ちらっと書いたのだが、「選手としてW杯を経験しているジーコならば、本番(試合中)では、トルシエのように采配ミス(選手交代など)はないだろう」と思っていた。しかし、実際には、買い被り過ぎていた。やはり、「名選手、名監督ならず」は、サッカーでも野球でもあらゆるスポーツで言えることだと再認識させられた。トータル的には、ジーコJAPANは、十分成果、意味があった4年間だと思う。

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■ 歴史とは、引き継がれるべきものでは?

これまでの歴代代表監督を見てみると・・・
オフト(オランダ)→加茂・岡田(日本)→トルシエ(フランス)→ジーコ(ブラジル)→オシム(旧ユーゴ)?
しかし、前任者の築き上げたものが次の世代に引き継がれることは少ない。個々の選手にとっては、前任者での経験などが次の監督になっても生かされることはあると思うが、日本代表、日本サッカー界、という大きな枠組みでは引き継がれていないような気がする。監督が変われば、代表に限らずクラブでもサッカー自体の内容は、大きく変わるのは分かる。しかし、なぜか4年でリセットしてしまう感じがどうももったいないような感じがしてならない。引き継がれているのは、「得点力不足」、「決定力不足」という負の遺産だけというのが皮肉な話だが・・・(苦笑)

とりあえず、次期監督がオシムになったとしたら、トルシエ、ジーコのように、ある意味理想の強い監督というより、現実的な監督のカラーとなると思う。そういう意味では、これまでは、序章という感じで、これからが本当の日本代表を作り上げる時代が来るのではないかと思う・・・


≪追記≫
本当は、大きな構造として、Jリーグ、日本サッカー界も含めて考える時代にならなければならないと思います。この点に関しては、今回は、割愛します。また、オシムJAPANとなった際には、監督関連の記事を書きます。本当にジーコ監督、お疲れ様でした。


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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
基盤 (九州っこ)
2006-06-26 21:53:20
ジーコ監督の跡を継ぐとされるオシム監督が日本代表サッカーの基盤を創ることができるかが最大のポイントでしょう

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コメントのお返事 (コージ)
2006-06-27 00:48:24
九州っこさん



>オシムであれ誰であれ、そろそろ基盤を作って欲しいですね。別にその基盤は、将来的に変わることがあってもいいと思うのです。イタリア、オランダ、ブラジルなどのように、「自国のサッカー」という拠り所が欲しいって思いますね。
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TBありがとうございます。 (しょうちゃ@BlogAnoia)
2006-06-27 08:34:24
日本のサッカーっていうとショートパスを繋いで…、てイメージが付いたのはトルシエの頃から。それ以前はロングボールの多いサッカーでしたが…。では自国のサッカーとは?



答えは「まだ無い」と言ったところでしょうか?



まだまだ日本のサッカーは歴史が浅いということかもしれません。
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ロングボールサッカー (サッカー人)
2006-06-27 09:43:24
宮本主将(私は全く買っていないが)が豪州戦後にこんなことを言った。『競りすぎている間にいつもと違う筋肉がおかしくなった』どうやらアイルランド的サッカーに不慣れのため、ふくらはぎををやったらしい。勘弁願いたい。。歴史・経験が浅いとこうなるのかな。経験を早くつむには今のところ、欧州へ飛ぶしかないようです。。
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コメントのお返事 (コージ)
2006-06-27 11:26:12
しょうちゃ@BlogAnoiaさん



>はじめまして。

自国のサッカーという点に関しては、これまで漠然と考えていました。しかし、今大会、日本に限らず、自国のサッカーというものを各国が最後の拠り所としてやっている姿を多く観ました。例えば、イタリア。昨日の試合では、10人になっても結果的に守りきった。カテナチオの文化があるからだと思いました。追い込まれた時に、自然と身体から出るものだと思います。まだまだ、そこまでは望むのは、酷な話ですので、九州っこさんも言ってましたが、ある程度、基盤(=形・スタイル)ってのを次期監督の時には、作って欲しいですね。



サッカー人さん



>アイルランド的サッカーですか・・・私の友人も同様の表現をしていました^^; 昔から、中盤を飛ばされたサッカーって弱点だと思います。例えば、中東系の国は、ロングボールを放り込んできました。これは、フィジカルが弱いという日本の弱点に起因する部分なんだと思います。でも、単純に身長、体格というフィジカルだけでいったら、アルゼンチンもそれほど変わらないと思います。単純にサッカー人さんがおっしゃるアイルランド的、イングランド的なスタイルの「経験値」が少ないだけだと思います。



この辺もまさに経験なんでしょうかね・・・^^;
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