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イングランドvsスイス (後半) 【親善試合】

2008年02月08日 | 欧州リーグ / 各国代表
■ カペッロ新体制でイングランドが初陣を飾る 後半の戦い

◆ イングランド選手交代一覧
スコアは1-0のまま前半を折り返し後半。 イングランドvsスイス(前半)

ここでカペッロ監督は選手交代の策に出る。(以下、イングランドの全交代選手と時間)
 後半12分 ジェナス  → ショーン・ライト・フィリップス
 後半12分 J・コール → クラウチ
 後半28分 A・コール → ブリッジ
 後半28分 バリー   → ハーグリーブス
 後半42分 ルーニー  → ヤング


後半13分 イングランド同点にされる。(詳細は、後述)

後半17分 GKジェイムズが蹴ったボールをクラウチが競り合う。こぼれ球を央に絞って来ていたルーニーが拾いジェラードへパス。ジェラードがフリーでドリブルし、右サイドからゴールへ斜めに進入してきたショーン・ライト・フィリップスがゴールを決め逆転。クラウチの高さをシンプルに使った形。ルーニー、ジェラードのポジションも注目(後述)



◆ 後半20分以降・・・
後半20分以降になると明らかに疲れから運動量が落ちて、チームとして上手く機能せず。

上記の通り選手交代はしたものの監督としてはあくまでも個々の選手のプレー・特性・対応力など、“チームとして”よりは“個々のプレー”及び“選手の組み合わせ”をチェックしたように思われる。

しかし、ブリッジ、ハーグリーブスに関しては、守備面での明確な指示があった様子がプレーから伺われた。
特に、アンカーとして投入されたハーグリーブスのプレーは、一日の長あり?バリーと比較すると「プレス、カバー、マーク」など局面におけるプレーの判断・切り分けがはっきりしていた。
但し、イングランドがチームとしてこのワンボランチの形にまだまだ慣れていないというのは、スイスの守備と比較すれば明らかだった。スイスは[4-4]の2ラインにおけるゾーンの守備。そして、サイドでの人数の掛け方、ボールの奪い方など局面ごとに上手く使い分けていた。

しかし、イングランドは、この辺の守備面の整備が不完全なのは、カペッロ監督も分かっていただろう。つまり、ある種、想定の範囲内だったかもしれない。
そして、カペッロ新体制でのイングランドがウェンブリィで2-1とスイスを下し初陣を飾った。
イングランド代表のファビオ・カペッロ監督は、自身の初陣を勝利で飾った。ウェンブリーにスイス代表を迎えて2-1で勝利。試合後のインタビューでカペッロ監督は以下のように語っている。

「とても満足している。改善すべき点がたくさんあるのは確かだが、良いプレーも見られた。2ゴールだけでなく多くのチャンスを作っていたね。相手は最初の決定機をゴールに結びつけただけだ」

「すべての選手をチェックしてきたが、彼らがウェンブリーのプレッシャーの中でどのようにプレーするかを見たかった。何人かの選手にはとても驚かされたよ。本当に良いプレーをしていたと思う」

「試合序盤、選手たちはナーバスになっていた。重圧から解放される必要があったね。次第に良い展開を見せられるようになったと感じている。終盤は少し危険だったがね」

「スイスが6人の選手交代を行ったことを心にとめておかなければならない。まぁ、相手にほとんどチャンスは与えなかったと思っているよ」

引用元:Goal.com - カペッロ監督:「とても満足している」


■ いくつかの課題と注目点

◆ 攻守の切り替えと守備における強い意識
前半44分 攻撃のイメージとしては面白い形だったが、前掛かり過ぎたバリーのプレー(判断)が気になった。この辺は、カペッロ監督も気になったであろう。


後半13分 イングランド同点にされる。
守備の組織の整備が必要であるとカペッロ監督は感じたであろう失点。なまじ人数がそろっていてスイスのボールのコースを切っているように感じているが、スイスボールの動きの中で、組織、個々のプレーの意識が切断されている。



大きなポイントは2つ。
 1.ボランチ/バイタルエリアのケア
 2.ゾーンとマンツーマンの明確な切り分け

他にもチームとしてプレーイメージの共有、連携ミスなどちらほらとあったが、初戦としては上出来だったかもしれない。
特に、後半30分くらいになると疲れから運動量が落ちて、チームとして上手く機能せず。

◆ バリー、ジェラード、ジェナスの中央3枚
前半のこの3人の組み合わせは、今後を考え良かったと思う。
あとは、この組み合わせメンバーがどう入れ替わるか?例えば、ランパードが戻ったらどうするのか?また、後半20分過ぎに入ったハーグリーブスはそれなりに良かったわけで・・・

◆ ルーニーのサイド起用
後半12分での交代によりルーニーはJ・コールのポジションに入った。
よってプレー自体は1トップの時とは異なり当然守備も求められる。結果、守備に意識が持っていかれ、プレーエリアの変更もありルーニーを生かした攻撃は低下した。マンチェスターUでもサイドのポジションに使われることがあるルーニーだが、ユナイテッドの場合とは異なると思われる。(今シーズンそれほどユナイテッドの試合を見ていないので詳細不明)

そもそも一般論として、[4-3-3]のウィングも守備に回れば必然的に[4-1-4-1]のサイドハーフと同じようなポジションになってしまう。
この辺のウィングがどれだけ守備に労力を使うかなどは、チームのシステムにより大きく異なるのでなんとも言えない。

後半28分の2人の交代の際にカペッロ監督が指示を与えたであろうもう一つのポイント。
 ・ハーグリーブスがボランチの位置と自分の前列(便宜上2列目)のケア。
 ・ジェラードが左サイド。
 ・ブリッジが少し前目の位置までケアする。

結果、ルーニーはサイドでプレーするものの央に絞り2列目より前気味の左のウィングという左肩上がりの変則的な布陣となった。
しかし、すでに後半17分のゴールの際には、ルーニーは央に絞ったポジションからゴールに絡むプレーをしている。この辺は、カペッロ監督が自分のシステムに固執するのではなく柔軟性(的確性)を示したように思えたが、今後この辺の選手の特性との兼ね合いをどうなるか?

◆ スイスの甘さ
一方のスイスは、この後半12~28分までの約15分。
スイスがあまり左サイドを意図的に狙わなかったのは、オシムの言葉ではないが「考えてプレー」すれば、ルーニーを左サイドに釘付けに出来るし、ジェラードが左サイドの守備に回り、結果、中央との関係性でもズレが生じるはずであった。

スイスは後半頭から3人の選手を交代してきた。
その中に右サイドGygax(読めん)→ フォルランテンというという交代もあり、これによりスイスの右サイドは機能し始めていた。
しかし、スイスは相手の弱点を突くことよりも自分たちの都合でこの時間帯を使ってしまった。

◆ 今後に期待を持てる戦いであった
新生イングランド代表に対する評価は、たった1試合であるがポジティブなものだった。簡単に気になった点を羅列すると・・・
 ・2列目の動き出しが特徴。
 ・ある意味「接近・展開・連続」を実践していた。まぁ、「接近」はさほどないけど、「展開・連続」は顕著。
 ・SBの上がりが極端に少ないのは、指示?
 ・サイドを深くえぐってという形は多くない(プレーヤーにより異なるのかどうか?ショーンライトが入ったら変わったので)
 ・ワンボランチを中心とした守備組織の構築が今後の主要のテーマ(あくまでもこの形でいくのであれば・・・)
 ・ルーニーの1トップの形は十分機能する。そして、そこに2列目が絡む形も将来性を感じ得た。ところで、2トップの形はやらないのか?

イングランドのフットボールはやはり「前線への推進力」が特徴でボールを奪ってから前へのスピードがポイントである一方、一本調子になりがち。さらに、W杯で長らくベスト8の壁を超えられない時代が続いてきたのは、ある意味「勝負強さ」のようなものがなかったからかもしれません。この辺の伝統・歴史をカペッロ監督がどれだけ代表という時間のない中で現代フットボールの形として刷り合わせていくか?また、「ジェラードとランパードの共存」という2010年まで続くであろう命題。そして、ベッカムの処遇など・・・

細かい点は置いておいて、ポルトガル代表がスコラーリ監督によりEURO2004で準優勝、ドイツW杯でベスト4まで行った事実は、イングランドと同じように「勝負弱さ」のあったポルトガルを変えた結果によるものだと思うのです。カペッロ監督により、イングランド代表が得られる大きなものは、「勝負強さ」のような、ある種「意識改革」であったりするのかな?とも思います。
今後も機会があれば、イングランド代表の試合を追跡調査してみようと思います。もしかしたら、南アフリカで日本が対戦するかもしれませんしね!


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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (シャンク)
2008-02-08 16:15:17
ジェラードのポジションと役割はどうだったんでしょうか?ランパード不在ということで比較的前で攻撃に絡んだ仕事をしていてくれたら嬉しいんですけど。
最近の彼はリバプールでもボランチとバックラインの間でボールを受ける場面が多く、守備の人になってしまって寂しいです。
とりあえず初戦勝利ということで、しばらくはマスコミにチャチャを入れられなくて良かったねカペッロ。

反町五輪監督が予選で苦戦していた最中に、恩師の勝沢要にいった一言を思い出しました。

「先生、結局サッカーというものは最後は勝たなくてはダメなんですね、、」 スポーツ報知のコラムより


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コメントのお返事 (コージ)
2008-02-09 06:29:13
シャンクさん

こんにちは。
ジェラードは図解(前半編に記載)通り、わりと前目でしたね。
但し、局面によっては、バリーのフォローに下がったりはしていました。

また、一応、2得点の展開の中でプレーに絡んでいるんで、キャプテンだったし幸先上々だったんじゃないでしょうかね。もちろん、クラウチも2点目の起点なったし^^
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Unknown (いっしー)
2008-02-09 20:08:12
いつも拝見しております、いっしーと申します。
初めて投稿させてもらいます。
Gygaxは“ギガクス”と読みます。
リーグ1のリールの選手ですよ~!
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Unknown (九州っこ)
2008-02-11 19:05:59
カッペロ監督がイングランドの伝統である4-4-2から4-1-4-1にしたのは、なるべく高い位置でプレッシングをかけてボールを奪ってサイドから攻撃したい意図があったのではないでしょうか?
ルーニーはSTタイプの選手では!?(4-4-1-1なら彼は適合するのでは!?)
1トップはクラウチになってしまうのでしょうか!?
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コメントのお返事 (コージ)
2008-02-11 22:25:17
いっしーさん

こんばんは、はじめまして、いっしーさん。
返事遅くなりました、すいません。
ギガクス??すごい名前ですね(笑)
リーグ1は、てんで分からないので、知りませんでした。
ありがとうございます。
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コメントのお返事 (コージ)
2008-02-11 22:27:25
九州っこさん

こんばんは。
前からという意識はあったでしょうね。
あとは、選手が動く意識。ここは明確でした。

ルーニーの件ですが、[4-4-1-1]となったわけではなく、
[4-1-4-1]の左サイドに入ったのです。しかし、上記図の通りに左肩上がりの感じになったという話です。
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