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観たい映画だけしか観てません。今忙しいんでいろいろ放置

『her 世界でひとつの彼女』 (2013) / アメリカ

2014-06-29 | 洋画(は行)


原題: Her
監督: スパイク・ジョーンズ
出演: ホアキン・フェニックス 、エイミー・アダムス 、ルーニー・マーラ 、オリビア・ワイルド 、スカーレット・ヨハンソン
鑑賞劇場: ヒューマントラストシネマ有楽町

公式サイトはこちら。


近未来のロサンゼルスを舞台に、携帯電話の音声アシスタントに恋心を抱いた男を描いたラブストーリー。他人の代わりに思いを伝える手紙を書く代筆ライターのセオドアは、長年連れ添った妻と別れ、傷心の日々を送っていた。そんな時、コンピューターや携帯電話から発せられる人工知能OS「サマンサ」の個性的で魅力的な声にひかれ、次第に“彼女”と過ごす時間に幸せを感じるようになる。(映画.comより)


これも長らく書いてなくて(苦笑)ここの付近はフランス映画祭でとってもハードだったんですよね。この日も朝日ホールで3本観た後に、どうせなんで近いし行っちゃえ!って無理やり行きました。ようやるわほんまに・・・w
観終わって夜遅いし疲れてましたけど見応えありましたね。というか、考えさせられた作品かも。

近未来の話ということですが、今でもスマートフォンに夢中になってロクに周りを見ていない、人の話を聞いてない、自分しか見えてない、自分の好きなものしか興味がない、そういう人はそこら中に歩いていますね。自分の世界だけがあれば他の目は気にならない人。『her』の時代に生きる人たちって、今のそういう光景に似ています。

セオドアは離婚して間もない代筆ライター。やはり、さびしくないと言えばうそになるんでしょうね。近未来では端末のOSを自分仕様に設定できて、それぞれ好きなようにカスタマイズできて、しかも直接会話できるようになったらどうなるのか。 更にそこから流れる声が自分好みだったとしたら?リアルでは関係を築けない、苦手な人にとってはこれほど願ったりかなったりのことはないでしょう。

見ることはできない、あくまで「声」だけのつながりで本当に恋愛はできるのか? ということなんですけど、これって仮想の世界でありながらも本人の中ではどんどんリアルワールドとして構築されていってしまっているので、感覚としてはアイドルを追いかけたり二次元に夢中になったりというのに近い。抽象の世界のスカちゃんの声はなかなかセクシーで、妄想を掻き立てられますし、男性にとってはたまらないんでしょうね。我々はスカちゃんの姿を知っているので余計にそうなんですが(笑)、姿を知らない人が彼女の声だけ聞いたら、一体どんな女性を想像するのでしょうか。
でもハマってる本人はそれに気が付かないんですね。自分だけの恋人と思い込んでしまう。それが相手の「戦略」なのかもしれませんが。とことん相手の望むものをパターン化して提供し、離れられなくする方法は、一種の風俗にも共通するやり方でしょう。所詮相手は「商売としての恋人」でしかなく、お仕事としてOSしているのに、提供される側はそこに気が付かない不幸です。

リアルな付き合い、しかも恋人となったら万々歳… と思いきや、自分だけの相手として向かい合うには実態のない関係は厳しいのでしょう。ここでは、物質と抽象という言葉で表現しています。両者に分かれた二人がきちんと恋愛できるかどうか、感覚は二人で考えればいいのだけど、住む世界が違うから考える頭は元の世界の感覚なんですね。人間が絶対でない以上、人間が作ったOSも当然絶対ではないということです。 しかもOS側はお仕事なのですから、そこに愛は永遠に通い合いはしない。
さらにOSですから当然として寿命がある。突然壊れたりバージョンアップしたり、~月~日を持って廃止とかもあり得る。その事実に直面した時のセオドアは本当に哀れですね。今でも二次元で思い通りにさせたり、収集したりという人もいるけど、自分の望むようにならなかったり集まらなかったりしたらあんな風にキレてしまうのかも。

言葉はいらないOSと、言葉で求めすぎて傷つく人間と。どちらも完璧ではないから、近未来にもし登場するなら悩みまくるんでしょうが、それでも結局自分のいるワールドでしか人は物を考えられない。あくまで三次元の人間はそれでしか満たされるものはないんだという事実をセオドアは元妻からも投げつけられ、そしてたどり着く先が象徴するものもそうなんですね。自分の生きる世界でする恋の方が、たぶんたった一つの自分にふさわしいものなんじゃないかという1つの結論でしょうね。


★★★★ 4/5点







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4 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
実在、肉体… (ボー)
2014-07-22 07:44:44
最後は、現実の世界での関係がいいんじゃないかな~と示しているような映画だったと思います。
現実じゃないということは厳然たる事実で、実在がない。それは分かっているはずだけど、楽しいから、続いちゃうんですよねえ、これ。
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ボーさん (rose_chocolat)
2014-07-24 08:38:23
というか、現実じゃないと関係続行は無理ですね。
それでも非現実世界しか見れない人はたくさんいるけど。
現実に戻りたくないというか、それでも戻ったらそれなりにやり過ごすしかないんでしょうけど、その後どうするかってことですね。
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生身の (sakurai)
2014-09-04 07:51:29
人間と付き合うよりもずっと楽ですから、そっちの方に行っちゃいますよね。
そうやって人向き合えない人がいっぱい出てきて、でもそれでも支障がない世界になって行きそうです。
なかなか興味深い作品ではあったんですが、とにかく眠くて。。。
4本目にこれとは、そりゃ眠かったっしょ。
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sakuraiさん (rose_chocolat)
2014-09-05 06:19:22
>4本目にこれとは、そりゃ眠かったっしょ
(笑) はい、結構キツかった。
ほわんほわん・・・って途中なるとこなかったですか?
って、私だけかもw
でも大筋は理解してたんで大丈夫です(笑)
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