原題: PIANOMANIA
監督: リリアン・フランク 、ロベルト・シビス
出演 シュテファン・クニュップファー 、ピエール=ロラン・エマール 、ラン・ラン
観賞劇場: シネマート六本木
公式サイトはこちら。
これ感想書こう書こうと思いつつも、疲れてしまってなかなか書けなかったんですが、
先日リクエストを頂戴したので書いてみます。 私かなり本作気に入りましたし。。
映画の主人公シュテファン・クニュップファーは、「ピアノの老舗ブランド・スタインウェイ社を代表するドイツ人調律師」ということで、日々綿密にピアノの調律をすることが仕事なのですが、
何せ相手が「スタインウェイのピアノ」ですので、要求される調律のレベルが半端じゃない訳なんですね。
私はピアノをちゃんと弾いたことがないので今回いろいろと勉強になったことがたくさんあるんですけど、ピアノ1台1台が名前(正確には「番号」なんだけど)で呼ばれ、そしてその1台1台の癖も違うし調律方法も違うこと、
さらには弾く人間によってもピアノは変化するということです。
そういう意味ではピアノは「生き物」と言えましょう。
数組のアーティストとシュテファンとのエピソードがあるけどやはり何と言っても印象に残ったのは、ピアニストのピエール=ロラン・エマールとの話。
エマールは音感が鋭い上に(たぶんだけど)力が強く、練習しただけでも念入りな調律が必要になってしまうほど。
通常1日に1回、朝に行う調律だが、エマールが弾く時は弾いた後にも、つまり夜にも調律が要求されてしまう。 それだけピアノがエマールの力によって変化してしまっている。
このエマールの要求が凄まじいんですね。 細かい。
そんなことどうやって直す? というリクエストにも淡々と答えていくシュテファンの姿は忍耐強い。 どんなことを訊かれても真摯に対応していく。 それは彼が何よりもピアノが好きだからであり、愛しているから故なのだろう。
劇中シュテファンがピアノを弾く場面がある。 彼も当然ながらピアノは上手い。 上手いけどピアニストにはならなかったシュテファンは完全に裏方となる道を選びますが、裏方がしっかりしてないと表舞台はできません。
彼のピアノに対する、愛情が裏づいた知識と技術は、多くの人を魅了し感嘆させる。 そして何よりも感謝される存在なのがいいのかもしれない。
映像もとても美しく、ピアノ内部もたっぷり見せてくれるが、こんなに美しかったのかと改めてピアノを見直すこともあった。
自然に近い特色を持つ楽器は手入れ次第で輝いたり沈んだりという、ごく当たり前のことを認識させられる1本でした。
★★★★ 4/5点
感想書いてくれてありがとうございます。(*^-^*
>そういう意味ではピアノは「生き物」と言えましょう。
陰で整える人、表で演奏する人。
2つの呼吸が融合してこそピアノの音色が生き生きと輝くけど、
調律師もピアニストも音楽家であり一人の人間であることには変わりはないので、
お互いに自我をぶつけすぎるとその時点で終わりになってしまうけど、
欲張らずお互いの職に徹した音を追求したからこそ、真の音が実現したのでしょうね。
ただこれって、文章であれやこれやと言うよりも、観て感じる作品ですね。
芸術系だし。。
シュテファンとエマール、2人のせめぎ合いもまたよかったです。 いいものを追求するからね。