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アートやねこ、本に映画に星と花たち、気の赴くままに日々書き連ねていきます。

助六、最後の仕事

2017-03-20 00:03:12 | 
3月13日、助六が死んだ。
あっけない最後だった。
隣のおばあさんが飼っていた猫だった助六は、おばあさんが亡くなって間もなくにうちへやってきた。
だから、はっきりとした歳はわからなかったけれど、毛並みの具合から見てそんなに歳をとっていないと思っていた。
ダミと一緒になって朝ごはんをねだるとき、目の前をお尻ぷりぷりさせながら小走りに行く姿は、なんとも微笑ましいものだ。
それが突然食欲をなくし、2日間姿をくらましてから家へ戻ってすぐの助六を義母が病院へ連れて行っての診察中に、助六は息を引き取った。
医者の話によると、そこそこに助六は歳をとっていたのと、何かしら脳に障害があったのではないかということだった。
でも、そうとは思えない気もする。
なぜならば、今年になってから我が家に大きな悩み事が2つできて、特に今月になってから大人どもは皆気持ちも体も蝕まれ、家の中はどんよりと沈んで負の空気が漂っていた。
その毒気に当てられて、助六は、その負荷に耐えられなくなって死んだのだと思えてならない。
それをはっきりと意識したのは、助六が死んだことを職場の同僚に話したときのこと、彼女はこう言ったのだ「猫はその家の災難をもって死ぬことがある。」と。
このことを家人に話すと、彼も何か思うところがあったらしく、助六の最後に立ち会って一番気を落としている義母に伝えた。
「助六は、家の苦難を救うために死んだのだろうから、助六に感謝してあげようよ。」
そして、助六が死んでから、我が家の大きな悩み事は、どうにか収束に向かい始めた。
思えば助六は、変な猫だった。
瀕死の捨て猫ダミを連れてきたり、これまたどこからか白い猫を連れてきては餌を分け与えたり。
猫に仏性が宿っているかは知らないが、そうだとするならば、助六にはそれがあったのかもしれないと思えるような最後であった。




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