2020年8月1日
さて、いよいよ登山開始、時刻は午前8時15分。
二荒山神社に登山の無事を祈願してから、動物保護のゲートを抜けて歩いていく。
整備されたなだらかな傾斜の道を進んでいくと、次第に鬱蒼とした何やら森の精霊でもいそうな様相になってきて、濃くて重い森林特有の空気と苔むした倒木など、じっくり堪能したい場所が続く。
避難小屋あたりから登山味がましてきて、日ごろの怠けきった体にはすでに疲労感が濃厚になり、音を上げそうになる。
それでも、歩みを進めるごとに植生の変化がみられることに、この先にある森林限界から先の世界を思うと、こまめに休息をはさんでは、上を目指していく。
だんだんと木が細くなってきたかと思っていると、突然のように石楠花の低木地帯に突入、すると一気に視界が開けてきた。
そのうちに高山植物の可憐な花たちがちらほら出迎えてくれて、歩き辛いガレ場に出ると、そこからはもう森林限界となって、世界が一変する。
また運のいいことに、雲が切れてきて、抜けるような青空が現れてきた。
なんという高揚感。
見渡せば、遠くの山々が姿が認められ、清々しい気分になる。
体はしんどいといいながら、白根山頂上を目指してもう一息。
山頂到着は11時、さすがに頂上標識のあるところは人で込み合っていたが、そこから五色沼を一望できるところへ移動して、昼の休憩をとった。
12時にそろそろ下山を考えて、動き出す。
山の天気は変わりやすい、そのころから雲が押し寄せてきて、あっという間に周りの峰を飲み込んでしまった。
そんななか、自分たちの1m先にイワヒバリがちょんちょんと警戒心なく飛び歩いている。
丸っぽいボディーがなんとも愛らしい鳥で、ヒバリの名を冠するとおり、その歌声もすばらしい。
この小さな吟遊詩人が登山を祝福してくれたのだろうと勝手に想像しながら、山を下りていく。
下山の後半は、持ちこたえ切れなかった雨粒が落ちてきたけれど、木々の葉でかなりさえぎられたので足元が滑ることはなく、無事二荒山神社へと帰還を報告できたのだ。
あれからもう半月が経つ。
日光白根山は、山の好さをすべて備えたすばらしい山なのではないかとの感想が増すばかり。
それは、もちろん初心者にとってだろうと思うが、自分には何度となく登ってみたい山だ。
余裕を持って楽しめるくらいに体力づくりをしなくてはならないのは必須であることは、いうまでもないけれども。