児童養護施設の描写などをめぐり、放送開始直後から賛否両論が巻き起こっている日本テレビ系「明日、ママがいない」(水曜後10:00)。 日本テレビ側は取材不足を認め、「子供たちに配慮していく」と改善を表明している。このドラマに関しては,「あくまでフィクション」「問題提起になってい る」「子役の演技が素晴らしい」などの声もある。
「明日、ママがいない」(毎週水曜午後10時)は今週で最終回を迎える。「魔王」と恐れられた施設長もドラマの中盤以降では子ども思いの暖かみある人として描かれ、けなげにひたむきに生きる子どもの姿が涙を誘う。
騒動の発端は、同ドラマの第1話(1月15日)が放送された翌日16日、「こうのとりのゆりかご」運営の熊本の慈恵病院が開いた記者会見だった。第1話内では、赤ちゃんポストに預けられたという設定の子役に「ポスト」というあだ名がつけられたり、施設長が「お前たちはペットショップの犬と同じだ」という言葉を子役たちに浴びせた り、子役たちを平手打ちにするなどのシーンも見られた。
これを受け慈恵病院の蓮田健・産婦人科部長は会見で「施設の現状を知る視聴者は少ない。フィクショ ンと言っても誤解されかねない」「同じ立場の子供が聞いたらどれだけ傷つくか」などと、日本テレビに同ドラマの放送中止と謝罪を求めたことがきっかけとな り、同ドラマが施設に対する偏見を与えかねないとの批判がさまざまな方面から日本テレビに寄せられる事態となった。
批判を受けた初回の演出は必要だったのか,疑問を禁じ得ない。埼玉新聞 3月8日(土)に,親から離れて生活せざるを得ない子どもたちと関わる埼玉県内の施設、里親が「実態違う」と語っている。
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┗━★ ドラマでは見えない現実・・・実態に即したフィクションであってほしい
出典:http://www.saitama-np.co.jp/news/2014/03/08/11.html
埼玉県里親会の新井康夫理事長は、これまで3人の子どもの成長を見守ってきたが、ドラマで"お試し"と呼ばれる児童と里親のマッチングに疑問を持つ。
新井さんが現在24歳になる長男と出会ったのは20年前。初めて会ってから長男が一つ屋根の下に暮らすまでには5カ月の時間を要したという。夫婦で施設を訪れ、子どもと面談した回数は12回。施設の近くを散歩し、公園へドライブ。慣れてきたところで宿泊体験を試みた。初回の宿泊体験では、子どもが夕方になり泣きだしたため、施設まで送り届けた。
新井さんは当時を思い出しながら「里親といっても、親も子どもも真剣に悩みながら考えています。子どもにいい顔しろと強要するようなことはありません」とドラマの一部内容とのギャップに首をかしげる。
県内では今年2月1日現在で、203世帯が里親として244人の子どもを受託している。国が里親による家庭的養護を積極的に推進しており、施設に里親支援専門相談員を配置するなど力を入れている。この5年で県内では里子の受託数が1・5倍に増加しているという。
「子どものおかげで学校や地域の付き合いが深くなり、学ぶことも多かった」。新井さんは里親としてのやりがいを語る一方で、現実的な課題を挙げる。
「まだまだ地域によっては払拭(ふっしょく)しなければならない偏見もあるし、学校や先生の捉え方にも温度差がある。児童相談所、施設、里親、学校、市町村が輪になり、絆を深めていくために、情報を発信していきたい」と語った。
「ありがたいけど」
実際に施設の現場で子どもたちに向き合う職員たちの胸中も穏やかではない。県児童福祉施設協議会の丑久保恒行会長はドラマ開始直後の内容に触れ、「子どもが犬猫扱いされ、施設内職員の暴言、暴動が取り上げられるなど、実態と懸け離れていた。施設内虐待と受け取れられ、懲戒権の乱用に当たる。本来なら児童相談所のヒアリングがあるし、事実が判明すれば、指導者として失格だ」と厳しい。
親との生活が困難な子どもは、個性に応じて児童福祉施設、ドラマに出てくるグループホーム、里親による家庭的養護の支援を受けることができる。県内には22カ所の児童福祉施設があり、家庭から引き離されている子どもが1364人(2013年4月現在)いる。
こうした子どもの数は近年横ばいで推移。丑久保会長は「家庭で子どもが窮地に追いやられるケースが後を絶たない」と現状を憂慮する。不景気で生活が苦境に陥り、重篤化するケースが増えているという。
丑久保会長はドラマなどでの描き方について「施設の現実を映し出してもらうことはありがたいことだが、実態に即したフィクションであってほしい」と話している。
出典:埼玉新聞 http://www.saitama-np.co.jp/news/2014/03/08/11.html
ヤフーニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140308-00010002-saitama-l11
>>>「明日、ママがいない」視聴率の推移
第1話 14.0%
第2話 13.5%
第3話 15.0%
第4話 13.1%
第5話 11.6%
第6話 11.5%
第7話 11.8%
第8話 11.8%
長野県上田市にまい降りたコウノトリ ・ 撮影 安藤和義氏
「こうのとりのゆりかご」運営開始から6年間で,92人の子どもが預けられた赤ちゃんポスト。小さな命をどう未来につなげていくのか。重い問いを投げかけている。
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【慈恵病院 見解を表明】 http://jikei-hp.or.jp/tv_mama/
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1月29日,熊本の慈恵病院は、ホームページ上で,、日本テレビ系ドラマ「明日、ママがいない」について「養護施設の子供や職員への誤解偏見を与え、人権侵害だ」として放送中止を申し入れたことについて、同病院の見解 http://jikei-hp.or.jp/tv_mama/ を改めて示した。
声明文の冒頭で「日本テレビによる『明日、ママがいない』放送に当たりまして当院のお願いが一種の論争を引き起こす形となったにも関わらず、皆様に十分な 情報が伝わりにくくなっていることに対し、深くお詫び申し上げます」と謝罪した上で,「ご理解いただければと、私たちの考えをホームページ上に掲載させて 頂くことに致しました」と趣旨を説明した。
「こうのとりのゆりかご」を見つめて (熊日新書) | 揺れるいのち―赤ちゃんポストからのメッセージ | こうのとりのゆりかご検証会議・最終報告「こうのとりのゆりかご」が問いかけるもの―いのちのあり方と子どもの権利― | 「こうのとりのゆりかご」は問いかける―子どもの幸せのために (熊日新書) |
◆熊本県HP 「こうのとりのゆりかご」最終報告(保存)」 http://www.pref.kumamoto.jp/soshiki/173/kounotori.html
熊本県では、ゆりかごをめぐる課題を明らかにするため、「こうのとりのゆりかご検証会議」を設置し、以来10回の会議を開催し議論を重ね、その集大成として最終報告をとりまとめた。
本編・資料編及び概要版に分かれている。
「こうのとりのゆりかご」最終報告 概要版 [PDFファイル/3.2MB]