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リンムーの眼 rinmu's eye

リンムーの眼、私の視点。

100年後のうらなりくん

2006-07-09 | book
小林信彦著『うらなり』(文藝春秋)は、夏目漱石『坊っちゃん』の登場人物“うらなり”の視点から『坊っちゃん』の世界を描いた小説だ。
小林信彦は、『ちはやぶる奥の細道』『裏表忠臣蔵』など、有名な古典を本歌取りしたパロディ作品が数多くある。
角度を変えてよく知られた作品を読んでみると、新鮮な魅力が発見できるといういい見本だ。
“うらなり”は、“坊っちゃん”が名付けたアダ名で、青く脹れているという意味。目立たない地味なキャラクターである。
『坊っちゃん』の後日談を“うらなり”の側から小説的想像力を駆使し、描写する。
“うらなり”は、“マドンナ”と“赤シャツ”の三角関係にあり、“赤シャツ”の陰謀によって、転任させられてしまう。
さびしい末路をたどるキャラクターに着目するところが独創的だ。

『うらなり』は、『坊っちゃん』の作品批評にもなりえている。

『坊っちゃん』は、登場人物を“赤シャツ”“山嵐”などアダ名を付けて痛快な小説だと思われているが、“坊っちゃん”とは“赤シャツ”側から「あのべらんめえと来たら、勇み肌の坊っちゃんだから愛嬌がありますよ」と、“世間知らず”の意味合いで名付けられるアダ名なのだ。
(なんとなく下女の清が親しみを込めて呼ぶ愛称だと思っている人が多いのではないだろうか)

笑っていた者が笑われていた皮肉。『坊っちゃん』は明るさの中に苦みがあるところが隠し味になっている。

昔読んだけど、どんな内容か覚えてないなあという人、“うらなり”君に写った『坊っちゃん』の世界を再読してみてはいかがですか?

トレイン、トレイン。

2006-07-04 | Weblog
用事があって、市ヶ谷へ行く。
山手線の円の真ん中を走る代々木~秋葉原間の、川沿いを並走する車窓の風景が僕は好きだ。
市ヶ谷駅前には「釣り堀」がある。都会のエア・ポケットというべき光景だ。

帰り道、JR品川駅の「駅ナカ」に寄った。
この「駅ナカ」商戦が、駅前商店街を逼迫しているという新聞記事を先日読んだ。
品川の「駅ナカ」には、品のよい高級なお店ばかりが並んでいる。

そもそも品川って乗り換えばかりで、めったに駅から出ないんだよなあ。

本日のステンドグラス&レイニー・デイ・サービス&読了

2006-07-02 | book
横浜山手にある洋館・ブラフ18番館のステンドグラスです。
きれいですね。

雨の日は、ディスクユニオンが中古3枚で10%引きなので、
BOB DYLAN「JOHN WESLEY HARDING」、JIMI HENDRIX EXPERIENCE「SMASH HIT」(どちらも「見張り塔からずっと」が入ってる)
サザンオールスターズ「この青い空、みどり~BLUE IN GREEN~」(夏になるとサザン聞きたくなるなんてベタか?)を購入。

栗田有起著『お縫い子テルミー』、
絲山秋子著『イッツ・オンリー・トーク』を読了。
どちらも表題作より併録作のほうが面白かったです。
お二人とも会話が巧いなあと思いました。

「おれら、ユニット組もう」
「なんの」
「名前は、暴れ太鼓」
「はぁ?」
「おれたちは、暴れと太鼓だ」
「どっちが暴れ?」
「アルファベットにしたらグローバルかな。ABARE・DAICO。このまんなかの点が大事になってくるわけだ」
『お縫い子テルミー』所収「ABARE・DAICO」より(ちなみに、主人公の、小学5年生の会話です)