リンムーの眼 rinmu's eye

リンムーの眼、私の視点。

今年のベスト3

2009-12-29 | Weblog
今年もあと残り3日。
今年一年を振り返ってベスト3を挙げてみます。


小説:
『1Q84』村上春樹
『横道世之介』吉田修一
『ねたあとに』長嶋有

『1Q84』は、久しぶりにがっつり小説を読む愉しみを味わった。
週末に時間を取って集中して読んだ。
吉田修一は、文庫になった『悪人』もよかった。
『横道世之介』は、主人公の名前がタイトルなんだけど、登場人物のキャラクターが印象強く残った。
長嶋有は、ディテールを描くのがうまい。人里離れた山荘を舞台にして、ケータイもつながらないシチュエーションを逆手にとって現代を描く。

ノンジャンル:
『ニッポンの思想』佐々木敦
『通勤電車で読む詩集』小池昌代編
『〈狐〉が読む入門書』山村修

『ニッポン~』は、80年代~00年代の批評の流れを交通整理。
90年代、00年代を歴史化する評論は、近年けっこうあるが、本書は中でも分かりやすく整理されていて、勉強になった。
『通勤~』は、いろんなタイプの詩をつまみ食いできてよかった。
新書版で現代詩のアンソロジーを出してしまうというのもチャレンジングで面白かった。
〈狐〉の書評は、ブログで書評めいた読書感想文を書いている者にとって座右の書。

雑誌:
「渋カフェ」
「日経ビジネスassocie」
「週刊プロレス」

「渋カフェ」は、渋い喫茶店を紹介するムック。
眺めているだけでも幸せな気分になれる。
「associe」は、図解とかきれいで見やすい。
ビジネス誌チェックする人間になってしまいましたね。
「週プロ」は、横須賀選手の動向を立ち読みでチェックしてる。
ZERO-1の試合を見に行ったとき、紙面に写っていたので、その号は買いました。

ベストアルバム:
bookerT 『evergreen』
ray bryant 『solo flight』
斉藤和義『月が昇れば』

ブッカーTの「JAMAICA SONG」が蒼井優が出ている「午後の紅茶」のCMで使われていて、めちゃくちゃいい曲。
アルバムがCD化されていないからアナログ版で買った。
今年はJAZZをけっこう聴いた。
どうもジャズ・ピアノが好きみたいだということが分かった。
なかでもレイ・ブライアントは気に入ったミュージシャン。ジャケも愛嬌あっていいんだ。
斉藤和義については言うことなし。いい歌。

ベストソング:
木村カエラ「マスタッシュ」
斉藤和義「おつかれさまの国」
ユニコーン「HELLO」

木村カエラは、通勤電車のウォークマンで聴くと元気でますね。
なんだかフツーのJポップリスナーみたいですが。
「おつかれさまの国」は、作詞が本人ではなく、アルバム未収録だが、ホントいい曲。
ありふれた「おつかれさま」が、特別の響きで聞こえる。
ユニコーンはまさかの再結成をした。
「HELLO」はそんな状況をリンクする歌詞で、グッと来た。
奥田民生のソロにはないキャッチーさがユニコーンにはあって、そこもいい。


展覧会:
「ジョルジュ・ビゴー展」in東京都写真美術館
「引込線」in西武鉄道旧所沢車両工場
「‘資源’としての〈炭鉱〉展」in目黒区美術館

今年も色々と観ました。
空間を味わうというか、実際に作品の前に身を置くことが重要なんじゃないかと思います。

映画:
「シャイン・ア・ライト」in早稲田松竹
「サマーウォーズ」in Tジョイ大泉
「扉をたたく人」inシネマ・ジャック&・ベティ

美術展に較べて、映画館に行く回数が減った。
2時間拘束されるよりも、自分のペースで観れる美術展の方が楽なんだよな。
映画館の「空間に身を置く」ということも大事だとは思うんだけど。


以上、今年刺激を与えてくれたモノたちに感謝。
来年も、未知のオモシロイモノたちに出会えることを願う。

そして、当ブログの駄文に今年も付き合ってくれた皆様、
どうもありがとう。
来年もよろしくお願いします。

ボブ・ディランのクリスマス・アルバム

2009-12-26 | music
bob dylan「christmas in the heart」聴く。

今年4月にブルース色の強いアルバム「together through life」を発表したボブ・ディラン。
まさか年内にもう一枚新譜を発表するとは思わなかった。
しかも、それがクリスマス・アルバムだとは。

“フォークの神様”と呼ばれることもあるディランの歌詞は、文学的かつ難解なことで有名だ。ノーベル文学賞の候補に挙がっていたともいわれている。
ようするに、ストイックで思索者然とした世間的な印象がある。
それがまさかのクリスマス・アルバム……。
期待と不安が大きく膨らんだ。

聴いてみると、これが意外なことに良い。
まさかディランのアルバムで鈴の音やコーラスを聴くとは思わなかったが、妙にハマる。
ここ何作かで、アメリカン・ルーツ・ミュージックをさかのぼって取り上げてきた感じなので、ゴスペルに基づいた楽曲をカバーするというのは、必然的な流れなのかも知れない。

シリアスなイメージのディランだが、時に予想外のユーモアを見せることは、ファンならよく知っていることだ。
このアルバムは、そんなディランがファンを驚かせるために用意した、クリスマス・プレゼントなのかもしれない。

声に出して歌いたい日本文学

2009-12-20 | music
桑田佳祐のシングル「君にサヨナラを」聴く。
二曲目に「声に出して歌いたい日本文学〈medley〉」という曲が収録されている。
近代文学の名作にメロディをつけ、メドレー形式で歌っていく曲。18分を越す大曲だ。
これはフジテレビの「音楽寅さん」で披露され、あまりの完成度にCD化しようということになったのかもしれない。

歌われているのは、
「汚れつちまつた悲しみに……」中原中也
「智恵子抄」高村光太郎
「人間失格」太宰治
「みだれ髪」与謝野晶子
「蜘蛛の糸」芥川龍之介
など、誰もがどこか聴いたことがあるフレーズを持つ名作ばかりだ。
それが意外な曲調でアレンジされている。
「たけくらべ」樋口一葉は、「ベイベー ベイベー」と忌野清志郎のように歌っているし、「蟹工船」小林多喜二は美しいバラードだ。
「一握の砂」石川啄木がカントリー調なのは妙に合っている。

僕は、テレビをオンタイムで見ることができず、評判だけは聞いていたので、こうして作品として聴けたのはありがたい。

「音楽寅さん」は、余技でやるには懲りすぎた番組で、面白かった。
見のがした回も多いので、21日深夜の特番総集編を忘れずにチェックしよう。

通天閣

2009-12-14 | book
西加奈子著『通天閣』(ちくま文庫)読む。

坦々と町工場で働く日々を「こなす」中年男の生活と、去った恋人に未練を残しつつスナックで働く若い女性の生活が、並行して進むストーリー。

通天閣の真下、大阪の人いきれが濃厚な町ミナミが舞台だ。
二人の主人公以外にも、登場人物はみな、おかしくも悲しい人生を背負い、日々をやり過ごして生活する人々ばかりである。

「私が泣いていることなんて、誰も知らない。皆自分のことに夢中で、夢中になっていることは本当につまらないことで、そしてまた明日を待っている。」

だが、これは悲観的な物語ではない。むしろ、不器用な人生を肯定する物語だ。
中年男と女性二人のストーリーは、徐々に並走し、終盤で見事に重なる。
クライマックスはとても感動的で、ストーリーテリングが巧みだ。

二人のストーリの間に、寓話とも夢の断片ともつかない小文が挿入されている。
メイントーリーの生活感あふれるリアリズムに対して、非現実的な要素を配するバランスが絶妙だ。

「ポケットに手を入れると、見覚えのない鍵が入っていた。それを雪に投げ捨てると、そのまま雪の上で溶けてしまった。ははは、やった! そんな風に大声を出し、空を見上げた。すると通天閣が立っている。」

文章がいきいきしており、シーンも鮮やか。
悲哀を感じさせつつ、滑稽な愛すべき登場人物たち。
とてもよい小説だと思う。
多くの人に読まれてほしい小説だ。

最近の若い作家はピリッとしないなと思う方にも是非、オススメしたい。

NAXOS

2009-12-10 | Weblog
ジャズの入口がブルーノートなら、クラシックはこちらです。
ナクソス。
けっこう個性的なラインナップが揃ってます。
「ベスト・オブ・サティ」武満徹「そして、それが風であることを知った」「鳥は星形の庭に降りる」しか持ってませんが。
いずれも何度聴いても飽きないスルメ盤です。
千円という安値で充実楽しめるので、気軽に気になるタイトルから入門できると思います。

そういえば、「そして、それが風であることを知った」は、グラミー賞の室内楽部門にノミネートされてました。
なぜ今のタイミングなのか?という気もしますが、武満徹の再評価の機会になれば幸いです。

雨のBORDERLINE

2009-12-06 | music
12/5 野毛ボーダーラインに170㎝-Jackの歌を聴きにいく。

恒例の行事である。
雨降る寒い一日ではあったが、駆けつけた。

毎回、入場前に別の店で飲むことにしているので、「野毛ゴールデン」なる店に初めて入ってみる。
おでんを肴に早くもホッピーを飲んでしまう。デジカメ撮らなきゃならないのだが。
若い店主がやってるニュータイプの立ち飲み屋で、なかなかいい感じだ。
突如、太鼓とトランペットの演奏が始まる。


野毛はこういう即興感が似合うからいい。

さて、本題の170㎝-JACK。
お馴染みの定番曲から久しぶりの昔の曲まで聴くことができた。
なんだかこの日は、ギターの鳴りというか切れ味がよかった気がする。
そう感じたのはホッピーの酔いのせいか。



新曲も披露してくれた。今後の活動も楽しみだ。


モノクロでも撮ってみた。コントラストでバックの絵の存在感も際立つんじゃないだろうか。



そして、対バン・たかはしようへい君。
MCでヤイリギターの工場を訪問したという話をしていた。
音に対するこだわりを持ってやってるのが頼もしい。

いつも終演後もガヤガヤと飲み食いしているのだが、この日は来れない人も多かったので、比較的早めに帰った。

毎度、いい空間で音楽を楽しませてもらって感謝している。
友人から受ける刺激はやっぱり一番大きい。
酒飲んで語らったりするのは、大事な時間だ。
これからも友人と集まれる場所と時間を大切にしていきたい。

次回も楽しみにしているよ。