◆「山梨県立文学館」◆
みなさんこんにちは!
甲府市学生レポーターとして活動している山梨県立大学3年生の秋山です。
今回は甲府市貢川にある山梨県立文学館を取材し学芸員である伊藤さんにお話しを伺いましたのでレポートしていきます!
言葉や小説がどんな背景から生まれたのか、そんな“物語の源”に触れることができる場所が、山梨県甲府市にある「山梨県立文学館」です。実は山梨県立美術館の隣にある、まさに芸術に触れるにふさわしい場所なんです!
文学館は昭和58年に建設の構想が始まり、平成元年に開館した、文学の博物館施設です。もちろんやまなしゆかりの文学者の展示紹介も行われています。
5月3日時点での館内
建物内に入ると真っ先に目に飛び込んでくるのは大理石を基調とした重厚感のある内装です。館内修理は多少行っているものの、内観は開館当時からずっと変わらないそうです。とっても素敵な雰囲気ですよね!
撮影日が5月3日だったため、こいのぼりを吊り下げたり、小イベントスペースを設けたりして大人だけでなく、子どもや親子連れで訪れやすいようにしているとのことです。12月には大きなクリスマスツリーも飾るなど、季節によって様々な工夫をしているのも見どころの一つです。
2階に上がると文学館の反対側にある美術館が見えるロビーや常設展、そして期間限定の特設展に分かれるのですが、今回は常設展を中心にお伝えしていきます。通常展示室内の撮影は禁止なのですが、取材ということで特別に撮影させていただきました。
※展示資料は撮影当時のもの
5月3日撮影
ここ常設展では、実物の原稿・書簡・初版本など、作家たちの生の声を感じられる展示が並びます。写真中央に飾ってある飯田蛇笏の直筆原稿や初版本、同年代に活躍した小説家や歌人からの書簡が、ガラスケースに厳重に保管されています。綺麗な状態のものも多いのが特徴です。作者直筆の資料からは、書き手の個性や執筆時の心境などが伝わってきますね!
※展示資料は撮影当時のもの
5月3日撮影
さらに奥に進むと、みなさんも馴染みのある人物の紹介になります。この写真に写る井伏鱒二と太宰治は特に山梨と関係が深いことを知っていますか?
実は隣にいる井伏鱒二が東京での生活が荒れていた太宰治を山梨の御坂峠に来るよう誘ったらしいのです。その後石原美知子さんという女性と出会い結婚、甲府に8か月ほど住んでいたとのこと。
昭和に生きた文学者たちの創作活動には、戦争が大きく影響しているそうです。太宰治も例外ではなく、甲府であった七夕空襲を経験しています。しかし、東京にいた頃より甲府にいたときの方が心身は穏やかだったそうで、明るい作風が多かったことも山梨の生活が影響しているそうです。甲府での生活が作品に影響しているのを知ることができると一気に親近感が湧くのではないでしょうか?!
※展示資料は撮影当時のもの
5月3日撮影
太宰治つながりで芥川龍之介も紹介させていただきます。実は芥川は大正12年8月に山梨県北杜市にある清光寺で開かれた夏期大学で「人生と文芸」と題する4日間の講義をしたそうです。小説家という印象が強いですが、文学の講師としても活躍していたなんて驚きですね!講義していた時の直筆メモも残っているのでどんなことを教えていたのかを見ることができます。
また代表作の「羅生門」の草稿の複製も展示しています。そこには主人公の名前を何度も書き直した跡が残っているのですが、何気なく読んでいた作品の苦労が見えるなんて贅沢ではないでしょうか?そのほかにも芥川が写っている映像資料や愛用品の実物も展示しています。詳細な内容は文学館を訪れた際にご覧くださいね!
5月3日撮影
今回は常設展のみの紹介になってしまいましたが、期間限定の特設展も見ごたえがあってとても有意義な時間を過ごせると思います。一見堅苦しい雰囲気に思われるかもしれませんが、今回取材させていただいた文学館の輿石さんは、気軽に若い人にも来てほしいとおっしゃっていました。むしろ漫画やアニメから足を運んでくれる方々も多いとのこと。実際に「文豪ストレイドッグス」という漫画とコラボした際はファンの方が何度も足を運んでくださったそうです。様々な入口から文豪や文学に興味を持つのも楽しいのではないでしょうか。
山梨県立文学館は、ただ文学を紹介するだけの場所ではありません。そこにあったのは、言葉を紡ぎ続けた人間たちの生き様と、それに触れることができる特別な空間です。
自然が多い周りの環境とも相まって過ごしやすいはずです。忙しい日々の中で立ち止まりたいとき、そっと訪れてみてはいかがでしょうか?