『香水~ある人殺しの物語り~』…なんて魅惑的なタイトルでしょうか。
このタイトルに惹かれ、本屋で初めて手にしたのは一体いつのことか…。
あれから何度立ち読みし、何度元の場所に戻したことか。
本自体が圧倒的な香りを放ってそこにいた。
ジャン・バティスト・グルヌイユ…妖しい香りと共に記憶された名前。
映画『パフューム』として公開されたのが今年の春。
それが、あの『香水』だと知った時の衝撃といったら…。
とうとう読むべき時が来た、といった感じでしょうか?(笑)
なぜ当時読もうとしなかったのか?
禁断の香りに怯えたせいでしょうか?
惹き付けられながら、拒む。
それはきっと本が放つ妖しい香りのせいかもしれない。
抗いがたい誘惑に抵抗する快楽もあるのです。
18世紀のフランスがいかに悪臭に満ちていたかという描写で物語は始まる。
こんなにも臭う活字というものがあるのだと、眉をひそめながら思った。
最も暑い時期の魚市場で、悪臭を放つ腐敗した魚の中に産み落とされたグルヌイユ。
天才的な嗅覚を持ったこの男は、全く匂いの無い人間だった。
やがて彼は究極の理想の香りを求めて若い女を殺めてゆく。
非常に興味深い内容にも関わらず、微妙な感じが否めない。
前半は調子よく進みながらも、残念だったのはクライマックス。
ありえない話は分かるとしても、我が目を疑う展開に突入する。
許せる作りごとと、許せない作りごとがある(笑)
このあたりで本の持つ馥郁とした香りは飛んでしまった。
『え?』…これが読了後の感想です。
読まなかったことにしようかな(笑)
本は閉じられて、その妖気漂う香りは再び永遠に閉じ込められたのです。
けれども、この本の持つただならぬ芳香だけは書き留めておきたいと思うのです。
人は香りというものに惹かれる。
嗅覚の辿る記憶の宮殿は、どこか官能的な彩りに満ちて美しい。
『香水』は、私を読書の楽園に連れ去ることなくその役目を終えた。
UFOキャッチャーで掴んで、ボックスに運ぶ手前で落としたような。
惜しい…。非常に惜しかった。
本来なら好きな世界だったのだけれど…。
それでも誘惑の力強さと強烈な芳香を発する存在感は残る。
私にとっては『香水』の誘惑に抗うことが魅力の全てだったのかと今更ながら思う。
手を伸ばしても触れられない香り。
その香りは見知らぬどこかの街を密やかに漂っているだけでいい。
我がものに出来ない香りに、憧れたままでいればいい。
ところで、これとほぼ同じ理由で惹かれたウンベルト・エーコ『薔薇の名前』。
ところがこちらは何度読んでも数ページで挫折。
読めば何とかなると思っても何ともならなかった。
それは何故か?…難解すぎて進めない(涙)
開いたとたんに修行僧のような気分になった。
読書は苦行ではなく快楽であるべき。
良かった、『上』だけ買って。良かった古本で(笑)←負け惜しみ。
オチが気になってレンタルで映画を観ましたが忘れました。。
しかしながら、こちらも抜群の存在感を誇るハードカバー。
醸し出す雰囲気は芸術的で高貴な薔薇の香りそのもの。
もしかしてこれも憧れたままで触れずにおくべき本かもしれない、
などと都合の良い理由を付けて、今も本棚のオブジェと化しております。
(たぶん永久に読むことはないでしょう。)
本の誘惑にときめく瞬間は、恋に落ちる風情がある。
私は長い間『香水』に恋をしていた。
だから、さよならを言う時はちょっぴり切ない。
【追伸】
私はまだ映画を観ていませんが、
これは映像化した作品の方が良いと思われます。
機会があったら『パフューム』から漂う香りに酔ってみたいと思います。
いつも、沢山本を読んでらして、全く頭が下がります
私なんて、先日から読みたかった「グッドオーメンズ」上巻の途中でずっと止まったままです(笑)来日騒動があって、そのまんまですわ~ハハハ(ちょっとね、想像してたのと違うってのもあるんですがね)
グルちゃん(パフューム)は映画で見ました♪
ええ、映画も途中まではかなりいい感じでしたよ♪
でも本と全く同じなら、ラストあたりでしょうか。。。。
私は笑いを禁じえませんでした(笑笑笑)
ここまで来ると、ガッカリを通り越して、誰も笑っていない映画館で肩を揺らして必死で声を出すまいとこらえてましたよ(笑)
しかし両隣の友人はすぐに気付き、私につられたのか、クックックと笑い出してしまいました(爆)こうなると無理です。。。。
可笑しくて可笑しくて、周りの人に迷惑をかけないように声を押し殺し続けていました。。。ハハハハハハ!!
映画が終わって外に出てから、思い出しては笑い、笑っては思い出し。。。。ハハ、すみません。。。Reiさんの香しい記事がお笑いモードになっちゃいましたね(汗)
そうそう、薔薇の名前も映画で見ました。随分前なので、うっすらとしか覚えていませんが、結構面白い話でしたよね♪
神学を理解してないと、不明なトコもチョロチョロありましたが。
こういったテイストは私も好きですよ♪
本で読んじゃうとReiさんはやっぱり凄いですね♪
私は是非ジョニーの次回作「シャンタラム」が早く読んでみたいです!!
私も、「パヒューム」は劇場で観ました。
映像で香りを表現する。
確かに香りを感じる作品に仕上がっていたと思います。
原作と映画のラストが同じなのかどうかは知りませんが、
映画のラストも、ちょっと。。。という感じでしたよ。
Reiさん、ホントにたくさん本を読まれるのね!
私は、映画はもっぱら洋画派ですが、
本は、翻訳物はチョット苦手です。
といっても、ジョニーに夢中になってからは、
本を読む時間が、激減しました。(爆)
今日は、ジョニーの誕生日。
心から、「おめでとう」ですね♪
映画で見た一人です!
>UFOキャッチャーで掴んで、ボックスに運ぶ手前で落としたような。
惜しい…。非常に惜しかった。
本来なら好きな世界だったのだけれど…。
うんうん!(うなずいています)まさしく!
グルヌイユ役の俳優もピッタンコだと思いました。(このネーミングもいいわ)
Reiさんが見られたらどう思われるでしょう。
でも、ジョニーには演じてほしくないと思ってしまう。
でも、ジョニーだったらどう演じるんだろうとも思ってしまう。
とにかく、ジョニーも早く芸術性が高い映画にこれでもかこれでもかと思うくらいにでてほしいです。
・・・・とジョニーの事で終ります。(笑)
映画館で観ましたが、なんというか
ものスゴイ強烈な映画でした!
なぜか分からないけど、せっかく買った飲み物も
とうとう最後まで飲めなかったです。
ラストはちょっと、う~むむむ(苦笑)
本と違うのか気になります。
>「グッドオーメンズ」
わ♪面白かったら教えて下さいね
>ちょっとね、想像してたのと違うってのもあるんですがね
そうそう!これがネックなんですよ!!
こちらの期待が大き過ぎてなんだか最近撃沈続きですわ(自爆)
>グルちゃん
笑…またまたこんな呼び名を(爆)最高です☆
>でも本と全く同じなら、ラストあたりでしょうか。。。。
笑いを禁じえないのであれば、たぶん同じで間違いないと思います。
だって、ああするとこうなるなんて、そんなフザケタことをよくも…(笑)
ええ、いつか観て笑ってみます。
『薔薇の名前』は読めてないんですよ(汗)
あまりの苦行にリタイヤしました(笑)
映画だと楽しめそうですね♪
>是非ジョニーの次回作「シャンタラム」
Me too♪本の情報ありましたら教えて下さいね
riさんも『パヒューム』はご覧になっているのですね☆
>確かに香りを感じる作品に仕上がっていたと思います。
これは映画の方がよさそうな気がしています。
映像化に成功した作品かもしれませんね。
ただ原作があれなので(笑)そこはアレですが(爆)
最近の読書時間はすごく減りました。
それもこれもパソコンで皆さんとのおしゃべり
が楽しいから♪
私の今の読み物は99%が翻訳物です。
スパイとか、陰謀とか、テロとか、特殊部隊とか、
そういった陽の目を見ない裏の話が大好きなんです(笑)
でもすご~く面白いんですよ♪
今日はジョニーの誕生日ですね
皆さんとご一緒に祝えることがとても嬉しいです
>うんうん!(うなずいています)まさしく!
やよいさんもそういう感想でしたか?
すごく好きな世界なんですけど、オチがいま一つなんでしょうか?
原作がそうなので、映画のオチはしょうがないですよね。
勝手に作り替えることも難しいでしょうし。。
>グルヌイユ役の俳優もピッタンコだと思いました。(このネーミングもいいわ)
俳優さんはどなたなんでしょう?
それよりもネーミング!!
『グルヌイユ』ってカエルという意味だとか?
それは置いといても、
人体から脂分を抽出してグニュグニュした感じの名前ですよね(爆)
ジョニーのダークなスウィーニーが楽しみですね
>ものスゴイ強烈な映画でした!
はい、そういうの好きです
匂いを映像化した『パフューム』をぜひ観てみたいと思います。
ちょっとクライマックスだけは突如喜劇になりそうですけど(汗)
原作に忠実に、となっていたように記憶してますので、
おそらく同じラストではないかな~と思います。
だとすると、ああなるのね(笑)
これはフィクションなのでどのような結末だろうと構わない、と思いながら、
それでもアレはないだろう…とずっこけました(笑)
いつか映像で観てみたいと思います