朝学活を終え、授業開始のチャイムが鳴った。
「あぁ……また書かなきゃならんのか……」
「…今日は寝るなよ」
喋ってはいるが、こいつは朝学活の時から前を向いたままだ。
背が高いうえに姿勢がよく、ガッチリ体型なので後ろから見たそれは正に壁である。
「昨日は九時からたっぷり寝たからな。大丈夫だ。」
「…暇がなかったんじゃないのか」
何やら嘘つきっぽくなってしまった。嘘をついたつもりはないのだが。
「色々あったって言ったろ? それでヘトヘトだったんだよ。だから寝た」
これを暇があるとは言わんだろ。
身体が発した警告を素直に受け入れただけなのだからな。
警告のレベルはさほど高くないのかもしれんが。
「…つまり明は眠かったら寝ると」
「その通りだ」
すると寛がこちらを向いた。いつものことだが無表情すぎて何考えてるのか全く読めない。
だから、自分から聞いてみる。
「なんだ」
「…生活は規則正しく」
それだけ言うと、また前を向いた。規則正しくねぇ……
っていうかなんでこっち向いたんだ今。
「お前なんか分刻みで行動してそうだもんな」
「…基本だ」
「……マジか?」
思わず本気で訊き返してしまった。
他の奴が言ったのなら笑い飛ばすだろうが、こいつなら実際にやっててもおかしくない。
するとまたこっちを向いた。
「なんだ」
「…冗談だ」
そしてまた前を向く。冗談は冗談っぽく言ってくれ。
あと、こっちを向く基準を教えて戴きたい。
教師がやってきたので、
ばらけていたクラスメイト達がガタガタゴトゴトと自分の席に着く。
「きりーっつ! れーい!」
朝っぱらから無駄に元気なクラス委員の号令で授業開始。
「…明もあのくらい声出せばいいんじゃないのか」
着席した後、教室の中心に居るクラス委員の方に顔を向けながら寛が言った。
「いいって何が」
声を落として返事をする。
「…眠気覚まし」
「眠くなる度に大声出してたら授業が止まるだろ」
「…そうだな」
そして、顔が正面を向いた。今のは冗談だったのだろうか?
「…元気なのはいいことだ」
……今のは独り言だったのだろうか?
果たして、それから四時間、俺は一睡もせずに授業を受け終える事に成功したのであった。
「…当たり前だ」
そのことを報告するとこのような返事を頂いた。
四時間目はかなり睡魔と闘っていたのだがな。
「じゃあ飯だ飯」
寛の机と俺の机を合わせて、準備完了。
取り出しましたるはいつものコンビニのからあげ弁当。500円也。
空いたペットボトルに入れた麦茶。計算めんどくさい也。
「…またその弁当か」
「いいだろ別に。美味いんだから。
っていうか他にまともな弁当売ってないんだよあのコンビニ」
一方寛はと言うと、少々大きめではあるがごく一般的な手作り弁当。飲み物は俺と同じ。
「お前はいいよな。毎日親に作ってもらえて」
「…学食に行けばいいんじゃないのか」
確かに学食に行けば定食やサラダ、カレーにラーメンにどんぶり物まで幅広く、
しかもお安く揃ってはいる。だが。
「人ごみは嫌いだ。あそこは混み過ぎて行く気にならん」
食費だってどうせ俺の金じゃないしな。
「…俺もだ」
早速食べようと二人同時に弁当を開け始める。しかし、途中で寛の手が止まった。
顔をあげると、寛は窓の外を見ている。もちろん無表情で。俺もそちらを見てみると、
窓の向こうからこちらに何か語りかけている人物が居たので寛が窓を開ける。
「明さんみーっけ!」
俺は窓を閉めた。
「あぁ……また書かなきゃならんのか……」
「…今日は寝るなよ」
喋ってはいるが、こいつは朝学活の時から前を向いたままだ。
背が高いうえに姿勢がよく、ガッチリ体型なので後ろから見たそれは正に壁である。
「昨日は九時からたっぷり寝たからな。大丈夫だ。」
「…暇がなかったんじゃないのか」
何やら嘘つきっぽくなってしまった。嘘をついたつもりはないのだが。
「色々あったって言ったろ? それでヘトヘトだったんだよ。だから寝た」
これを暇があるとは言わんだろ。
身体が発した警告を素直に受け入れただけなのだからな。
警告のレベルはさほど高くないのかもしれんが。
「…つまり明は眠かったら寝ると」
「その通りだ」
すると寛がこちらを向いた。いつものことだが無表情すぎて何考えてるのか全く読めない。
だから、自分から聞いてみる。
「なんだ」
「…生活は規則正しく」
それだけ言うと、また前を向いた。規則正しくねぇ……
っていうかなんでこっち向いたんだ今。
「お前なんか分刻みで行動してそうだもんな」
「…基本だ」
「……マジか?」
思わず本気で訊き返してしまった。
他の奴が言ったのなら笑い飛ばすだろうが、こいつなら実際にやっててもおかしくない。
するとまたこっちを向いた。
「なんだ」
「…冗談だ」
そしてまた前を向く。冗談は冗談っぽく言ってくれ。
あと、こっちを向く基準を教えて戴きたい。
教師がやってきたので、
ばらけていたクラスメイト達がガタガタゴトゴトと自分の席に着く。
「きりーっつ! れーい!」
朝っぱらから無駄に元気なクラス委員の号令で授業開始。
「…明もあのくらい声出せばいいんじゃないのか」
着席した後、教室の中心に居るクラス委員の方に顔を向けながら寛が言った。
「いいって何が」
声を落として返事をする。
「…眠気覚まし」
「眠くなる度に大声出してたら授業が止まるだろ」
「…そうだな」
そして、顔が正面を向いた。今のは冗談だったのだろうか?
「…元気なのはいいことだ」
……今のは独り言だったのだろうか?
果たして、それから四時間、俺は一睡もせずに授業を受け終える事に成功したのであった。
「…当たり前だ」
そのことを報告するとこのような返事を頂いた。
四時間目はかなり睡魔と闘っていたのだがな。
「じゃあ飯だ飯」
寛の机と俺の机を合わせて、準備完了。
取り出しましたるはいつものコンビニのからあげ弁当。500円也。
空いたペットボトルに入れた麦茶。計算めんどくさい也。
「…またその弁当か」
「いいだろ別に。美味いんだから。
っていうか他にまともな弁当売ってないんだよあのコンビニ」
一方寛はと言うと、少々大きめではあるがごく一般的な手作り弁当。飲み物は俺と同じ。
「お前はいいよな。毎日親に作ってもらえて」
「…学食に行けばいいんじゃないのか」
確かに学食に行けば定食やサラダ、カレーにラーメンにどんぶり物まで幅広く、
しかもお安く揃ってはいる。だが。
「人ごみは嫌いだ。あそこは混み過ぎて行く気にならん」
食費だってどうせ俺の金じゃないしな。
「…俺もだ」
早速食べようと二人同時に弁当を開け始める。しかし、途中で寛の手が止まった。
顔をあげると、寛は窓の外を見ている。もちろん無表情で。俺もそちらを見てみると、
窓の向こうからこちらに何か語りかけている人物が居たので寛が窓を開ける。
「明さんみーっけ!」
俺は窓を閉めた。
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