どう反応すればいいのか解らず言葉に詰まってる間に、明日香は自分の席に戻る。
そして本鈴が鳴った。
別個で見ろって……今日香と一緒にするなってか?
「おい。明日香と今日香って仲悪かったりするのか?」
ないとは思うが、訊いてみる。
俺よりもこいつの方が二人についてはよく知ってる筈だし。
すると尋ねた相手は前を向いたまま……と思ったら、こっちを向いた。
……まだイマイチこいつの振り向き条件が解らん。ただランダムなだけなのかもしれんが。
「…お前も明日香も妙なことを言う」
と、いつもの眼で返す。
相変わらず何を思っているか顔のパーツから窺うことはできない。
「妙って?」
「…別の人間なんだから別々に見るのは当たり前だろう。
…それと、あいつらの仲が悪いというのは有り得ない」
当たり前……まあそりゃ別の人間っちゃあそうだろうけど。
俺も本気で仲が悪いなんて思ったわけじゃないし。
「なら、明日香のどこが妙だと思ったんだ?」
明日香が言ったことを当たり前だと言ってるのに。
「…そんなことをわざわざ訊いてくること自体がだ」
口に出す必要もないほど当たり前のことらしい。
「そういうもんかね……」
明日香が俺にだけ質問したのは、こいつがそう考えていることを知ってたからか?
「ところでお前って、いつぐらいからあいつらと友達なんだ?」
「…初めて会ったのは幼稚園の時か。…それからだな」
「随分と長い付き合いなんだな」
「…そうなるな」
と、ちょうど話の区切りもついたところで教師が到着し、
クラス委員の声が教室中に行き渡った。
退屈な授業中、暇だったのでちょいと明日香のことを考えてみた。ずっと暇だけど。
確かに俺は明日香と今日香を並べて見ていたかも知れないが、
そんなにマズイことなのだろうか?
双子だと知ってる以上、片方だけのことを考えるってのは難しい気もするが。
俺、双子どころか兄弟すら居ないからな……そこら辺の感覚が鈍いのかもしれん。
ついでに寛とかなり前からの知り合いだとも解った。
何故それが喋ることすらなくなってしまったんだろうか?
様子を見る限り、喧嘩したとかいうわけでもなさそうだし。
ありがちだが、意識してしまって話し掛けられなかった? つまり惚れてたとか?
でもそれも見た感じなさそうだし、
そもそも明日香ならすぐに告白なりなんなり実行しそうなもんだが。
今日香は……まあいつもあんな感じだし、どうなんだろうな。
……ここまで来ると下世話な上に大きなお世話だな、我ながら。止め止め。
幸いにも『ちょっと行ってきます』とか言ってたやつがひょっこり帰ってくる、
という事態も起こらず、午後の授業は滞りなく終了した。あぁ暇だった。
やったことと言えばノート写すぐらいだが、
しかし話を聞いていないので後で見たときになんのことだか解らない可能性は否定できない。
見ないから別にいいけど。
さて帰ろうか、と席を立つと、明日香がやって来た。
「悪いけど、今週うち掃除当番やねん。ちょっと先行って待っててや」
「解った。じゃあ後でな」
「…じゃあな」
「また明日な。寛」
男二人、退室。
寛と一緒に校門に着くと、岩白と今日香が先に待っていた。
ついでにあの集団の男二人も。残りの三人を待っているのだろうか?
しかしいつもなら髪が長い方の女が先に居たのだが……
「あら? 明日香さんは?」
他人の観察をしても仕方がないか。
「掃除当番だ。で、センは?」
「ま、まだ……あ、来はった来はった」
今日香の視線の先、校舎の裏からセンが出てきた。
裏からってのは見た目にちょいと不自然だが、まあいいかな。
「お待たせしま……あれ? 明日香さんはまだですか?」
「掃除当番だって。……ところで持田君って家どっち?」
「…あっちです。…皆とは逆になりますね」
というわけで、一緒なのは残念ながらここまで。じゃあな、と指差した方向に歩き出す寛。
「あ、ま、待ってや寛くん」
そして本鈴が鳴った。
別個で見ろって……今日香と一緒にするなってか?
「おい。明日香と今日香って仲悪かったりするのか?」
ないとは思うが、訊いてみる。
俺よりもこいつの方が二人についてはよく知ってる筈だし。
すると尋ねた相手は前を向いたまま……と思ったら、こっちを向いた。
……まだイマイチこいつの振り向き条件が解らん。ただランダムなだけなのかもしれんが。
「…お前も明日香も妙なことを言う」
と、いつもの眼で返す。
相変わらず何を思っているか顔のパーツから窺うことはできない。
「妙って?」
「…別の人間なんだから別々に見るのは当たり前だろう。
…それと、あいつらの仲が悪いというのは有り得ない」
当たり前……まあそりゃ別の人間っちゃあそうだろうけど。
俺も本気で仲が悪いなんて思ったわけじゃないし。
「なら、明日香のどこが妙だと思ったんだ?」
明日香が言ったことを当たり前だと言ってるのに。
「…そんなことをわざわざ訊いてくること自体がだ」
口に出す必要もないほど当たり前のことらしい。
「そういうもんかね……」
明日香が俺にだけ質問したのは、こいつがそう考えていることを知ってたからか?
「ところでお前って、いつぐらいからあいつらと友達なんだ?」
「…初めて会ったのは幼稚園の時か。…それからだな」
「随分と長い付き合いなんだな」
「…そうなるな」
と、ちょうど話の区切りもついたところで教師が到着し、
クラス委員の声が教室中に行き渡った。
退屈な授業中、暇だったのでちょいと明日香のことを考えてみた。ずっと暇だけど。
確かに俺は明日香と今日香を並べて見ていたかも知れないが、
そんなにマズイことなのだろうか?
双子だと知ってる以上、片方だけのことを考えるってのは難しい気もするが。
俺、双子どころか兄弟すら居ないからな……そこら辺の感覚が鈍いのかもしれん。
ついでに寛とかなり前からの知り合いだとも解った。
何故それが喋ることすらなくなってしまったんだろうか?
様子を見る限り、喧嘩したとかいうわけでもなさそうだし。
ありがちだが、意識してしまって話し掛けられなかった? つまり惚れてたとか?
でもそれも見た感じなさそうだし、
そもそも明日香ならすぐに告白なりなんなり実行しそうなもんだが。
今日香は……まあいつもあんな感じだし、どうなんだろうな。
……ここまで来ると下世話な上に大きなお世話だな、我ながら。止め止め。
幸いにも『ちょっと行ってきます』とか言ってたやつがひょっこり帰ってくる、
という事態も起こらず、午後の授業は滞りなく終了した。あぁ暇だった。
やったことと言えばノート写すぐらいだが、
しかし話を聞いていないので後で見たときになんのことだか解らない可能性は否定できない。
見ないから別にいいけど。
さて帰ろうか、と席を立つと、明日香がやって来た。
「悪いけど、今週うち掃除当番やねん。ちょっと先行って待っててや」
「解った。じゃあ後でな」
「…じゃあな」
「また明日な。寛」
男二人、退室。
寛と一緒に校門に着くと、岩白と今日香が先に待っていた。
ついでにあの集団の男二人も。残りの三人を待っているのだろうか?
しかしいつもなら髪が長い方の女が先に居たのだが……
「あら? 明日香さんは?」
他人の観察をしても仕方がないか。
「掃除当番だ。で、センは?」
「ま、まだ……あ、来はった来はった」
今日香の視線の先、校舎の裏からセンが出てきた。
裏からってのは見た目にちょいと不自然だが、まあいいかな。
「お待たせしま……あれ? 明日香さんはまだですか?」
「掃除当番だって。……ところで持田君って家どっち?」
「…あっちです。…皆とは逆になりますね」
というわけで、一緒なのは残念ながらここまで。じゃあな、と指差した方向に歩き出す寛。
「あ、ま、待ってや寛くん」
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