自分の部屋に戻って貯金箱から適当に五百円ほど取り出し、財布に入れた。
野菜のついでになんかジュースでも買うかな。
「明さん」
開けっ放しのドアの向こうにセンが立っていた。
どうやら起きてきたらしい。本人はただ布団に潜りたかっただけかも知れないが。
「なんだ?」
「そのお金、コンビニで使うんですよね?」
俺の手にある財布を指差す。
「そうだが」
「じゃあ勿体無いから食べちゃいます」
そう言って、手を出す。よこせってことだな。
「ほれ」
財布を投げ渡した。
落としそうになりながら……結局落とし、拾い上げて財布を開ける。
「それではいただきま~す」
言った直後に食事終了。
「今回は何の味だった?」
貝類の欲を食って気持ち悪そうにしていた前回を思い出し、訊いてみる。
「食べ物に関する欲はなしでした。味なしです」
「じゃあどんな欲だったんだ?」
「えーと、小さい子の欲だったんですが、仮面ライダーになってました。
変身しても小さくて可愛かったですよ。
あとは競馬で勝ったとか家で昼寝とかおじさん達の欲ばかりでした」
子供の欲は楽しげに話すが、おじさんの欲はつまらなそうに話す。
それでも一応欲なんだから本人達からすれば楽しいことなんだろうに。
「仮面ライダーねぇ……ってお前、仮面ライダーなんて知ってるのか?」
「ウルトラマンと仮面ライダーとなんとかレンジャーは結構欲に出てきますよ。
最近のは知りませんが」
「なんか最近の仮面ライダーはバッタじゃないらしいぞ」
「そうなんですか? まあ別にバッタにこだわる必要もない気がしますが」
「ライダーがたくさん出てくることもあったらしい」
「たくさん出てきたら暴走族じゃないですか」
「バイク乗ってるのかな……」
「乗ってないんですか?
じゃあライダーじゃないじゃないですか。仮面ランナーとかですか?」
「いや、見たことないから詳しくは知らんが」
「仮面ランナー、仮面ジャンパー、仮面ウォーカー、あと何かいい案あります?」
「いい案とかそういう問題じゃないだろ」
「空を飛ぶって英語でなんて言いましたっけ?」
「フライ?」
「仮面フライヤー!」
「強調されても困る。そもそもあいつらは飛ばねえだろ多分」
「え~。でも虫だしそのうち……」
「さて行くか」
別に俺はライダーの話がしたくて金を出したわけじゃない。
「あ、ついて行っていいですか?」
そう来ると思った。
「別にいいけど、自転車だぞ」
「じゃあ二人乗りですね!」
というわけで、二人乗りで出発。ペダルが重い。
「それにしても人少ないですよねこの辺り。本当に全部の家に人住んでるんでしょうか?」
「まあ、人が集まるような場所なんて皆無だからな。
田んぼの手入れとか終わったら家に帰ってじっとしてるんだろうよ」
「そういうものですかね……外、楽しいのに」
そりゃお前だけだ。
コンビニ到着。
サラダ的なものを探してみる。すぐにあった。
商品名には『サラダ』とあるが、
他商品の製造過程で余った野菜を詰め込んだだけではないかと思うほどの詰め込みっぷり。
それでいて安い。さらにドレッシング付き。これは買いだ。
じゃあ後は適当にジュースでも……と思ったらセンが居ない。
気にしないことにしてジュースを手に取りレジに向かうと、
そのレジの前にセンは居た。
「何やってんだ?」
「いえ、お金がいっぱいあったので……」
「お釣りで我慢しろ」
消えれば食えるだろとは言い辛かった。他人の目もあるが、犯罪チックな気がしたのだ。
野菜のついでになんかジュースでも買うかな。
「明さん」
開けっ放しのドアの向こうにセンが立っていた。
どうやら起きてきたらしい。本人はただ布団に潜りたかっただけかも知れないが。
「なんだ?」
「そのお金、コンビニで使うんですよね?」
俺の手にある財布を指差す。
「そうだが」
「じゃあ勿体無いから食べちゃいます」
そう言って、手を出す。よこせってことだな。
「ほれ」
財布を投げ渡した。
落としそうになりながら……結局落とし、拾い上げて財布を開ける。
「それではいただきま~す」
言った直後に食事終了。
「今回は何の味だった?」
貝類の欲を食って気持ち悪そうにしていた前回を思い出し、訊いてみる。
「食べ物に関する欲はなしでした。味なしです」
「じゃあどんな欲だったんだ?」
「えーと、小さい子の欲だったんですが、仮面ライダーになってました。
変身しても小さくて可愛かったですよ。
あとは競馬で勝ったとか家で昼寝とかおじさん達の欲ばかりでした」
子供の欲は楽しげに話すが、おじさんの欲はつまらなそうに話す。
それでも一応欲なんだから本人達からすれば楽しいことなんだろうに。
「仮面ライダーねぇ……ってお前、仮面ライダーなんて知ってるのか?」
「ウルトラマンと仮面ライダーとなんとかレンジャーは結構欲に出てきますよ。
最近のは知りませんが」
「なんか最近の仮面ライダーはバッタじゃないらしいぞ」
「そうなんですか? まあ別にバッタにこだわる必要もない気がしますが」
「ライダーがたくさん出てくることもあったらしい」
「たくさん出てきたら暴走族じゃないですか」
「バイク乗ってるのかな……」
「乗ってないんですか?
じゃあライダーじゃないじゃないですか。仮面ランナーとかですか?」
「いや、見たことないから詳しくは知らんが」
「仮面ランナー、仮面ジャンパー、仮面ウォーカー、あと何かいい案あります?」
「いい案とかそういう問題じゃないだろ」
「空を飛ぶって英語でなんて言いましたっけ?」
「フライ?」
「仮面フライヤー!」
「強調されても困る。そもそもあいつらは飛ばねえだろ多分」
「え~。でも虫だしそのうち……」
「さて行くか」
別に俺はライダーの話がしたくて金を出したわけじゃない。
「あ、ついて行っていいですか?」
そう来ると思った。
「別にいいけど、自転車だぞ」
「じゃあ二人乗りですね!」
というわけで、二人乗りで出発。ペダルが重い。
「それにしても人少ないですよねこの辺り。本当に全部の家に人住んでるんでしょうか?」
「まあ、人が集まるような場所なんて皆無だからな。
田んぼの手入れとか終わったら家に帰ってじっとしてるんだろうよ」
「そういうものですかね……外、楽しいのに」
そりゃお前だけだ。
コンビニ到着。
サラダ的なものを探してみる。すぐにあった。
商品名には『サラダ』とあるが、
他商品の製造過程で余った野菜を詰め込んだだけではないかと思うほどの詰め込みっぷり。
それでいて安い。さらにドレッシング付き。これは買いだ。
じゃあ後は適当にジュースでも……と思ったらセンが居ない。
気にしないことにしてジュースを手に取りレジに向かうと、
そのレジの前にセンは居た。
「何やってんだ?」
「いえ、お金がいっぱいあったので……」
「お釣りで我慢しろ」
消えれば食えるだろとは言い辛かった。他人の目もあるが、犯罪チックな気がしたのだ。
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