2016年9月30日、民進党の細野代表代行が憲法改正に関する論議で安倍首相を追い詰める場面がありました。
細野氏は自民党の憲法改正草案から日本国憲法の最高法規の章の冒頭にある97条が全部削除されてしまっていることに、何故なのかと迫りました。
97条はこういう条文で、私はこのブログで何度も一番好きだと言ってきた条文です。
この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬(しれん)に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。
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答弁を再三避けたため、細野氏に逃げないで下さいよと言われた安倍首相は
「私は行政府の長(首相)として立っている立場で、逐条的な解説をする立場にはないということは再々申し上げている通り」
とまた逃げました。
結局、安倍首相が答弁したのは、11条も基本的人権を定めていることを踏まえ、97条の削除は
「条文の整理」
ということでしかありませんでした。
しかし、11条は基本的人権を定める国民の権利義務の総則的条文としての意義があり、97条には最高法規の章の冒頭にある条文として全く違う意味があります。
つまり、97条は、日本国憲法が基本的人権を保障するに至った経緯を振り返り、基本的人権は「侵すことのできない永久の権利」で「人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果」などと明記したうえで、そのような基本的人権を保障する憲法だからこそ最高法規なのだとして、憲法の最高法規性を規定した98条や公務員の憲法尊重擁護義務を規定する99条につながる条文なのです。
自民党憲法改正草案から日本国憲法97条という重要な条文が削除されていることは偶然ではありません。自民党の憲法改正草案も安倍首相も、条文が重なっていれば省いていいというように、基本的人権を軽視していることは間違いないのです。
そもそも、基本的人権を守るためにこそ存在するのが憲法です。
その基本的人権を軽視するような自民党案は改正草案の名に値しないのは当然でしょう。
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自民党の憲法改正草案を追及するという方針はいいのですが、もし自民党がこれを棚上げするとか撤回するとか言い出した時には、憲法改正に応じざるを得なくなるのではないかと、それが心配です。
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憲法97条で応酬 細野氏「なぜ削除」 首相「単なる整理」
2016年10月1日 東京新聞朝刊
衆院予算委で民進党の細野代表代行(左)の質問を聞く安倍首相(右端)=30日 |
三十日の衆院予算委員会で、憲法の最高法規の章で基本的人権を「永久の権利」と定めた九七条を巡り、安倍晋三首相と民進党の細野豪志代表代行の論争があった。首相は自民党改憲草案が同条を削除している理由を「条文の整理にすぎない」と説明したが、細野氏は「九七条は非常に重い。なぜ削除したのか」と批判。自民党草案を改憲議論のベースにすることは認められないとの考えを示した。 (金杉貴雄)
首相は答弁で「党の案をベースに議論したいというのは、私の思いと気持ちだ。わが党は既に案を決めているので、それでやっていただきたい」との考えを示した。一方で「政治の現実において、そのまま通るとは全く思っていない」とも述べた。
首相は、自民党草案も現行憲法の三原則である国民主権、基本的人権の尊重、平和主義は変わらないと主張。一一条も基本的人権を定めていることを踏まえ、九七条の削除は「基本的人権を制約するということではない」と主張した。
これに対し細野氏は、最高法規にも基本的人権が位置付けられている意義を強調。「人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果」などの経緯があることを重視し、自民党草案に懸念を示した。
自民党草案については、後に質問した民進党の辻元清美氏も「国民不在だ。棚上げした方がいい」と求めたが、首相は「自民党は草案を示した上で選挙に臨み、議員は当選している。国民不在との指摘は全く当たらない」と反論した。
<憲法第九七条> この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬(しれん)に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。
衆院予算委 憲法改正巡り論戦 首相を追及
2016年9月30日 19:03 日本テレビ
細野代表代行は、自民党が改正草案から基本的人権を「侵すことのできない永久の権利」と規定した憲法97条をなぜ削除したのか追及したが、安倍首相は答弁を避けた。
民進党・細野代表代行「逃げないでくださいよ。少なくとも主要な条文について答弁できないようであれば、憲法改正をやろうなんて資格はないですよ。」
安倍首相「『逃げないでください』とおっしゃったんだけども、そこはこちらが申し上げたいことであります。私は行政府の長(首相)として立っている立場で、逐条的な解説をする立場にはないということは再々申し上げている通り」
こうした安倍首相の姿勢に対して細野氏は、「憲法の議論を本気でやる気があるのか」と批判した。
また30日の論戦では、稲田防衛相が声を詰まらせる場面があった。
稲田防衛相は今年の8月15日、急きょ、自衛隊視察のためジブチにいた。恒例の靖国神社参拝を避ける目的もあったものとみられる。民進党の辻元議員は、そのため稲田防衛相が政府の全国戦没者追悼式を欠席したことを追及した。
民進党・辻元議員「(1982年に)閣議決定されてから(防衛相で)欠席したのはあなただけなんですよ、今まで。言行不一致じゃないですか」
稲田防衛相「その(戦没者に感謝と敬意を表さなければとの)気持ちは今も変わりません。今回、本当に残念なことに出席できなかったということですが、ご指摘はご指摘として受け止めたいと思います」
この稲田防衛相の答弁に対して、ある民進党幹部は「閣僚としての基本的資質に欠けている」として追及を強める考え。
「改憲議論 柔軟に」 首相、草案撤回せず
毎日新聞2016年10月1日 東京朝刊
安倍晋三首相は30日の衆院予算委員会で、自民党の憲法改正草案について「そのまま通るとは考えていない」として衆参両院の憲法審査会で柔軟に議論に応じる考えを強調した。野党に改憲論議に応じるよう促す一方、草案の撤回には応じない意向を重ねて示した。予算委は同日、首相と全閣僚が出席する基本的質疑を行い、臨時国会の本格論戦がスタートした。
首相は与野党の多くが憲法改正の案を出していない現状を踏まえ、野党が要求する草案の撤回は「意味が分からない。まずは(草案を)ベースに議論をお願いする」と述べた。民進党の細野豪志氏は「草案は(基本的人権の価値をうたった)憲法97条を削除している」などとして白紙撤回するよう迫ったが、首相は応じない考えを示した。
陸上自衛隊が国連平和維持活動(PKO)に参加している南スーダン情勢では7月に国内勢力同士が衝突して以降、「双方が敵対行為の停止を表明した」と指摘。PKO参加5原則は維持されていると強調した。政府が安全保障関連法に基づき陸自に付与する方針の「駆け付け警護」は「さまざまな状況を慎重に検討し、判断する」と述べた。【小山由宇】
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民進党・細野代表代行「逃げないでくださいよ。少なくとも主要な条文について答弁できないようであれば、憲法改正をやろうなんて資格はないですよ」
安倍首相「『逃げないでください』とおっしゃったんだけども、そこはこちらが申し上げたいことであります。
私は行政府の長(首相)として立っている立場で、逐条的な解説をする立場にはないということは再々申し上げている通り」
http://blog.livedoor.jp/holeguitar/archives/12262005.html
序でに自民党草案口語訳も
http://akiharahaduki.blog31.fc2.com/blog-entry-1372.html
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よく、相手の土俵にのってはいけないという方たちがいますが、相手の土俵で大暴れをしてやればいいのです。
もっとも、今の野党で大暴れができるのは、山本太郎参議院議員ぐらいですが。